JP7128885B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らが、特許文献1に記載されている感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を検討したところ、パターンの高アスペクト比化を進めた場合における、パターンのピッチについて、改善の余地があることを知見した。
また、本発明は、レジスト膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
エーテル化合物と、
フェノール性極性基を有する繰り返し単位及び酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、
上記エーテル化合物とは異なる化合物である酸拡散制御剤と、
溶剤と、を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記酸拡散制御剤の含有量に対する、上記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.2以上であり、
上記樹脂の含有量に対する、上記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.1以下であり、
固形分濃度が20質量%超である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔2〕
上記エーテル化合物が、窒素原子を含む、〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔3〕
上記エーテル化合物が、後述する一般式(X1)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔4〕
後述する一般式(X1)中、少なくとも1つのRq1がベンゼン環基である、〔3〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔5〕
上記樹脂の全繰り返し単位中、ベンゼン環基を有する繰り返し単位の含有量が、65モル%未満である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔6〕
上記樹脂が、更に、後述する一般式(VW)で表される繰り返し単位を有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔7〕
上記光酸発生剤が、後述する一般式(ZI-3)で表される化合物、及び、後述する一般式(ZI-4)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔8〕
〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
〔9〕
〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光された上記レジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を含むパターン形成方法。
〔10〕
〔9〕に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
また、本発明によれば、レジスト膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー社製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、及び、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、及び、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、及び、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及び、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びに、これらの組み合わせが挙げられる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以後、単に「レジスト組成物」ともいう)は、エーテル化合物と、フェノール性極性基を有する繰り返し単位及び酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤と、上記エーテル化合物とは異なる化合物である酸拡散制御剤と、溶剤とを含む。
また、レジスト組成物中、上記酸拡散制御剤の含有量に対する、上記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.2以上である。
同様に、レジスト組成物中、上記樹脂の含有量に対する、上記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.1以下である。
更に、固形分濃度は20質量%超である。
レジスト組成物中にエーテル化合物が一定割合で存在することで、レジスト膜の基板等に対する密着性が改善しており、高アスペクト比のパターンを形成した場合でもパターン倒れを抑制でき、更に、露光から現像の過程において解像されるパターンのコントラスト等を改善できていることが、本発明の課題の解決に寄与していると考えている。
また、本発明のレジスト組成物は、固形分濃度が20質量%超であり、更に、樹脂が、フェノール性極性基を有する繰り返し単位を有していることによって、高アスペクト比を有するパターンを得るために用いられる、厚膜のレジスト膜を形成するための適性が改善していると考えている。
また、本発明のレジスト組成物を用いて得られるパターンは、パターンの断面形状(矩形性)にも優れる。
本発明のレジスト組成物は、典型的には、化学増幅型のレジスト組成物である。
本発明のレジスト組成物は、エーテル化合物を含む。
エーテル化合物の分子量は、100~2000が好ましく、150~1000がより好ましく、200~600が更に好ましい。
エーテル化合物は、エーテル基(-O-)を有する化合物である。
エーテル基は、2つの結合位置で、それぞれ炭素原子と結合する、
ただし、エーテル化合物が有するエーテル基としては、カルボニル炭素(-C(=O)-を形成する炭素原子)と直接結合して、エステル基を形成する基を意図しない。
*x-(-O-AL-)a-*y (O1)
上記アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、2~3が更に好ましい。
上記アルキレン基が有してもよい置換基に特に制限はなく、無置換であるのが好ましい。なお、上述の好ましい炭素数は、置換基に含まれる炭素原子の数を算入しない数である。
中でも、上記アルキレン基としては、-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-が好ましい。
ALが複数存在する場合、複数存在するALは、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
また、aが1の場合、一般式(O1)で表される基と*xで結合する原子は、カルボニル炭素以外の炭素原子である。上記カルボニル炭素以外の炭素原子としては、例えば、芳香環基(好ましくは炭素数6~15。芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい)を構成する炭素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~5)を構成する炭素原子、又は、アルキレン基を構成する炭素原子が好ましい。
Rp及びRqは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RpとRqとが互いに結合して環を形成していてもよい。Rp又はRqが2価の連結基(例えばアルキレン基(好ましくは炭素数1~5))となって、一般式(O1)で表される基と*xで結合して、一般式(O1)で表される基を含む環を形成していてもよい。
Rp、Rq、及び、RpとRqとが互いに結合して形成する環は、それぞれ、一般式(O1)で表される基を有していてもよい。また、上記2価の連結基であるRp又はRqが、一般式(O1)で表される基を有していてもよい。
エーテル化合物に、複数の一般式(O1)で表される基が存在する場合、それらはそれぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
なお、エーテル化合物中が有する一般式(O1)で表される基の数は、各化合物中に存在する一般式(O1)で表される基の数を、できるだけ少なく計上して得られる数である。例えば、「フェニル基-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-フェニル基」で表されるエーテル化合物は、a=3である一般式(O1)で表される基を1つ有している。
[Rq1-(-O-AL-)m]n-N-Rq2 3-n (X1)
mが複数存在する場合、すなわちnが2以上の整数である場合、複数存在するmは、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
ALが複数存在する場合、複数存在するALは、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
なお、Rq1における芳香環基が有する置換基としては、例えば、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~5)が好ましい。
Rq1が複数存在する場合、複数存在するRq1は、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
複数存在してもよいRq1のうち、少なくとも1つのRq1がベンゼン環基であるのが好ましい。
また、このような[Rq1-(-O-AL-)]において、Rq1中の、(-O-AL-)と直接結合する原子は、水素原子及びカルボニル炭素から選択される原子以外の原子が好ましく、カルボニル炭素以外の炭素原子がより好ましい。上記カルボニル炭素以外の炭素原子としては、例えば、芳香環基(好ましくは炭素数6~15。芳香族炭化水素環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい)を構成する炭素原子、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1~5)を構成する炭素原子が好ましい。
Rq2が複数存在する場合、複数存在するRq2は、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
Rq1とRq2とが互いに結合して形成される基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1~5)が好ましい。
中でも、mのうちの1つ以上が1である場合において、一般式(X1)中に存在する[Rq1-(-O-AL-)]における、Rq1が、Rq2と互いに結合して環を形成するのが好ましい。この場合、Rq1とRq2とが互いに結合して形成される基において、(-O-AL-)と直接結合する原子は、カルボニル炭素以外の炭素原子(例えば、アルキレン基を構成する炭素原子)が好ましい。
一般式(X1)中、少なくとも1つのRq1は、芳香環基(好ましくは炭素数6~15)であるのが好ましく、アリール基(好ましくは炭素数6~15)であるのが好ましく、フェニル基であるのがより好ましい。
また、レジスト組成物中、樹脂の含有量に対する、エーテル化合物の含有量の質量比R2(エーテル化合物の含有量/樹脂の含有量)は、0.1以下であり、0.0002~0.05が好ましく、0.0002~0.01がより好ましく、0.0003~0.005が更に好ましい。
酸拡散制御剤及び樹脂については後段で詳述する。
レジスト組成物中、エーテル化合物の含有量は、上述のR1及びR2の規定を満たす限り特に制限はなく、例えば、レジスト組成物の全固形分に対して、0.006~8質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.02~0.5質量%が更に好ましい。
なお、固形分とは、レジスト膜を形成する成分を意図し、溶剤は含まれない。また、レジスト膜を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
エーテル化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。エーテル化合物を2種以上使用する場合、その合計含有量が上記範囲内となるのが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、フェノール性極性基を有する繰り返し単位及び酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂(単に「樹脂B」又は「樹脂」ともいう)を含む。
樹脂Bは、フェノール性極性基を有する繰り返し単位を有する。フェノール性極性基とは、芳香環基に極性基が結合している基を意図する。
上記芳香環基は、芳香族炭化水素環基でもよく芳香族ヘテロ環基でもよい。また、芳香環基は単環でも多環でもよい。また、芳香環基に、非芳香環が縮環していてもよい。
芳香環基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~18の芳香族炭化水素環基、又は、例えば、チオフェン環基、フラン環基、ピロール環基、ベンゾチオフェン環基、ベンゾフラン環基、ベンゾピロール環基、トリアジン環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、及びチアゾール環基等のヘテロ環を含む芳香族ヘテロ環基が好ましい。
中でも、上記芳香環基は、芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。
フェノール性極性基を有する繰り返し単位は、一般式(P01)で表される繰り返し単位が好ましい。
中でも、R41、R42、及び、R43は水素原子であるのが好ましい。
R44は、水素原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基としては、R41~R43のアルキル基と同様のアルキル基が好ましい。
X4としては、単結合、-COO-、又は-CONH-が好ましく、単結合又は-COO-がより好ましく、単結合が更に好ましい。
2価の連結基としては、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、チオエーテル基、-SO2-、-NR-(Rは、水素原子又はアルキル基を表す)、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基(例:-CH=CH-)、アルキニレン基(例:-C≡C-)、及びアリーレン基)、又はこれらを組み合わせた基が挙げられる。
中でも、2価の連結基としてはアルキレン基が好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及び、オクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基がより好ましい。
また、L4とR42とが結合して環を形成する場合、L4は3価の連結基を表す。この場合、L4の2価の連結基として上述した基のうちの、更に置換基を有することができる基において、その置換基とR42とが互いに結合して、単結合又は2価の連結基(例えば上述の基)を形成するのが好ましく、単結合又はアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びオクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい)を形成するのがより好ましい。
R42とL4とが結合する場合に形成される環は、5又は6員環であるのが好ましい。
中でも、L4は、単結合であるのが好ましい。
Ar4の芳香環基としては、上述の芳香環基が同様に例示される。
中でも、Ar4は、炭素数6~18の芳香族炭化水素環基であるのが好ましく、ベンゼン環基であるのがより好ましい。
Ar4が有する置換基とR42とが結合して形成するのは、単結合又は2価の連結基(例えば上述の基)を形成するのが好ましく、単結合又はアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びオクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい)を形成するのがより好ましい。
極性基としては、上述の極性基が同様に例示される。中でも、極性基としては水酸基が好ましい。
また、Ar4が、ベンゼン環基部分を有する芳香族ヘテロ環基である場合、Yは、芳香族ヘテロ環基に含まれるベンゼン環基部分と結合しているのが好ましい。
フェノール性極性基を有する繰り返し単位は1種のみを使用しても2種以上を使用してもよく、2種以上使用する場合はそれらの合計含有量が上記範囲内になるのが好ましい。
樹脂Bは、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する。
酸分解性基とは、酸の作用により脱離する保護基で極性基が保護された構造を有する基である。
保護基とは酸の作用によって脱離する基である。上記保護基は、極性基が有する水素原子と置換して、酸分解性基を形成しているのが好ましい。
樹脂Bがこのような酸分解性基を有する繰り返し単位を有しているため、典型的には、樹脂Bは、アルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、酸の作用によって保護基が脱離することで、アルカリに対する可溶性が増大する樹脂である。また、同様に、典型的には、樹脂Bは、有機溶剤に対して可溶性の樹脂であって、酸の作用によって保護基が脱離することで、有機溶剤に対する可溶性が減少する樹脂である。
中でも、保護基で保護される極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又は、スルホン酸基が好ましく、カルボキシル基、又は、フェノール性水酸基がより好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
式(Y1):-C(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y2):-C(=O)OC(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38)
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
中でも、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx1~Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、又は、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくは、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくは、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基等が挙げられる。
Rx1~Rx3のアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及び、ナフチルメチル基等が挙げられる。
Rx1~Rx3のアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及び、シクロへキセニル基等が挙げられる。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくは、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくは、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様も好ましい。
上記アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基としては、例えば、上述のRx1~Rx3におけるアリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基として挙げた基が同様に挙げられる。
また、R38は、繰り返し単位中の、式(Y3)で表される基以外の他の基と互いに結合していてもよい。例えば、R38は、繰り返し単位中の主鎖が有する基と、結合していてもよい。R38が、繰り返し単位中の他の基と互いに結合する場合、R38と他の基とは、単結合又は2価の連結基(アルキレン基等)を形成するのが好ましい。また、R38が、繰り返し単位中の他の基と互いに結合する場合、上記繰り返し単位は式(Y3)で表される基を含む環を形成する。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を有していてもよいアルキル基、ヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を有していてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L1及びL2のうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であるのが好ましい。
Q、M、及び、L1の少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員又は6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、L2が2級又は3級アルキル基であるのが好ましく、3級アルキル基であるのがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基が挙げられる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)及び/又は活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
上記アルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基としては、例えば、上述のRx1~Rx3におけるアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基として挙げた基が同様に挙げられる。
酸分解性基を有する繰り返し単位は、一般式(A02)で表される繰り返し単位であってもよい。
Xa1は、水素原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合、又は、2価の連結基を表す。
Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)、又は、シクロアルキル基(単環又は多環)を表す。ただし、Rx1~Rx3の全てがアルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)である場合、Rx1~Rx3のうち少なくとも2つはメチル基であるのが好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、シクロアルキル基(単環又は多環)を形成してもよい。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH2-基、-(CH2)2-基、又は、-(CH2)3-基がより好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位は1種のみを使用しても2種以上を使用してもよく、2種以上使用する場合はそれらの合計含有量が上記範囲内になるのが好ましい。
樹脂Bは、一般式(VW)で表される繰り返し単位を有するのも好ましい。
Rvは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、又は、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
上記炭化水素基が置換基を有していてもよいが、有していてもよい置換基としては、極性基(より具体的な例としては、これまでに極性基として例示した基)以外の基が好ましい。
Rwが有する脂環基は、単環(単環式炭化水素環基)でも多環(多環式炭化水素環基)でもよい。
多環式炭化水素環基には、環集合炭化水素環基、架橋環式炭化水素環基が含まれる。
上記環集合炭化水素環基としては、例えば、ビシクロヘキサン環基及びパーヒドロナフタレン環基が挙げられる。
上記架橋環式炭化水素環基として、例えば、ピナン環基、ボルナン環基、ノルピナン環基、ノルボルナン環基、及び、ビシクロオクタン環基(ビシクロ[2.2.2]オクタン環基、ビシクロ[3.2.1]オクタン環基等)等の2環式炭化水素環基;ホモブレダン環基、アダマンタン環基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環基、及び、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環基等の3環式炭化水素環基;並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環基、及び、パーヒドロ-1,4-メタノ-5,8-メタノナフタレン環基等の4環式炭化水素環基等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環基には、縮合環式炭化水素環基(例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)環基、パーヒドロアントラセン環基、パーヒドロフェナントレン環基、パーヒドロアセナフテン環基、パーヒドロフルオレン環基、パーヒドロインデン環基、及び、パーヒドロフェナレン環基等の5~8員シクロアルカン環基が複数個縮合した縮合環基)も含まれる。
式中、Raは、H、CH3、CH2OH、又は、CF3を表す。
一般式(VW)で表される繰り返し単位は1種のみを使用しても2種以上を使用してもよく、2種以上使用する場合はそれらの合計含有量が上記範囲内になるのが好ましい。
なお、樹脂Bのフェノール性極性基を有する繰り返し単位の芳香環基がベンゼン環基である場合、このフェノール性極性基を有する繰り返し単位は、ベンゼン環基を有する繰り返し単位に相当する。
GPC法によりポリスチレン換算値として、樹脂Bの重量平均分子量は、1,000~200,000が好ましく、3,000~25,000がより好ましく、10,000~25,000が更に好ましい。樹脂Bの重量平均分子量を、1,000~200,000とすることにより、耐熱性及びドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、更に、現像性の劣化、及び、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
樹脂Bの分散度(分子量分布)は、通常1~5であり、1~3が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.2~2.0が更に好ましい。分散度が小さいものほど、解像度、及び、レジスト形状が優れ、更に、レジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
また、樹脂Bは、1種のみを使用しても2種以上を使用してもよく、2種以上使用する場合はそれらの合計含有量が上記範囲内になるのが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、更に、光酸発生剤を含む。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及び、o-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
R201、R202、及び、R203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
R201、R202、及び、R203としての有機基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
なお、これらのアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基の好ましい炭素数に、これらの基が有する置換基に含まれる炭素原子の数は算入しない。
Z-は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも1つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
化合物(ZI-1)は、上記一般式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物が有していてもよいアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及び、シクロヘキシル基等が挙げられる。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、それぞれ独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R201~R203としての芳香環を有さない有機基は、炭素数1~30が好ましく、炭素数1~20がより好ましい。
R201~R203は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又は、ビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又は、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
R201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又は、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アリール基を表す。
Rx及びRyは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又は、ビニル基を表す。
なお、R2とR3とが互いに結合して環を形成してもよい。また、R1とR2とが互いに結合して環を形成してもよく、形成される環は炭素-炭素二重結合を有しているのも好ましい。また、RxとRyとが互いに結合して環を形成してもよく、形成される環は、酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又は、炭素-炭素二重結合を有しているのも好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
R1で表されるアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及び、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。
なお、R1が環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又は、炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
R2及びR3で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
Rx及びRyで表される2-オキソアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられ、具体的には、2-オキソプロピル基、及び2-オキソブチル基等が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられる。また、RxとRyは、結合して環を形成してもよい。
また、RxとRyとが互いに結合して環を形成してもよく、RxとRyとが互いに連結して形成される環は、酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又は、炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
なお、形成される環が酸素原子等を有するとは、例えば、互いに結合できる二つの基(例えばRxとRy)とが互いに連結してアルキレン基を形成し、このようなアルキレン基中のメチレン基が酸素原子等で置換されている形態等である。
RxとRyとが互いに連結して形成される環としては、3~10員環が好ましく、4~8員環がより好ましく、5又は6員環が更に好ましい。
化合物(ZI-3A)は、下記一般式(ZI-3A)で表される化合物で、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c~R5cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又は、アリールチオ基を表す。
R6c及びR7cとしては、上述した一般式(ZI-3)中のR2及びR3と同義であり、その好ましい態様も同じである。
Rx及びRyとしては、上述した一般式(ZI-3)中のRx及びRyと同義であり、その好ましい態様も同じである。
なお、形成される環が酸素原子等を有するとは、例えば、結合できる二つの基(例えばRxとRy)が互いに結合してアルキレン基を形成し、このようなアルキレン基中のメチレン基が酸素原子等で置換されている形態である。
また、上記環としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環としては、3~10員環が好ましく、4~8員環がより好ましく、5又は6員環が更に好ましい。
R5cとR6c、及び、R5cとRxが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zc-は、アニオンを表す。
化合物(ZI-4)は、下記一般式(ZI-4)で表される化合物である。
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい。シクロアルキル基部分は単環でも多環でもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい。シクロアルキル基部分は単環でも多環でもよい。例えば、シクロアルキルスルホニル基、又は、シクロアルコキシ基等)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14が複数存在する場合、複数存在するR14は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成するのが好ましい。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204~R207は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。
R204~R207のアリール基としてはフェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及び、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
R204~R207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、ペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ノルボルニル基)が好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であるのが好ましく、フッ素原子又はCF3であるのがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であるのが更に好ましい。
R4及びR5で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。R4及びR5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
2価の連結基としては、例えば、-COO-(-C(=O)-O-)、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-SO2-、-COO-アルキレン基-、-OCO-アルキレン基-、-CONH-アルキレン基-、又は、-NHCO-アルキレン基-が好ましく、-COO-、-OCO-、-CONH-、-SO2-、-COO-アルキレン基-、又は、-OCO-アルキレン基-がより好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び、複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、多環であってもよい。多環の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及び、デカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であるのが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
本発明のレジスト組成物中、光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1~35質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%が更に好ましく、1~5質量%が特に好ましい。
また、樹脂Bは、1種のみを使用しても2種以上を使用してもよく、2種以上使用する場合はそれらの合計含有量が上記範囲内になるのが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、更に、上述したエーテル化合物とは異なる化合物である酸拡散制御剤を含む。
酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における樹脂Bの反応を抑制するクエンチャーとして作用するのが好ましい。
例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物)、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用できる。
中でも、酸拡散制御剤は、塩基性化合物(DA)及び窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)が好ましい。
塩基性化合物(DA)としては、下記式(A)~(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
R200、R201、及び、R202は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205、及び、R206は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であるのがより好ましい。
また、酸拡散制御剤は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう)であるのも好ましい。化合物(DD)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であるのが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又は、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又は、ヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表される。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又は、アルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rb同士は、互いに結合して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルコキシアルキル基が有していてもよい置換基としては、それぞれ独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子が好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素環、芳香族炭化水素環、複素環式炭化水素環、及び、その誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落<0466>に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは互い結合して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を有していてもよい。また、この複素環の置換基としては水酸基が好ましい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、それぞれ独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基が有していてもよい置換基として例示した置換基を有しているのも好ましい。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落<0475>に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
本発明のレジスト組成物は、溶剤を含む。
本発明のレジスト組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落<0665>~<0670>、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落<0210>~<0235>、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落<0424>~<0426>、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落<0357>~<0366>に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
水酸基を有する溶剤及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は、乳酸エチルがより好ましい。
また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は、酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は、酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は、2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99~99/1であり、10/90~90/10が好ましく、20/80~60/40がより好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
本発明のレジスト組成物は、更に、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又は、フッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落<0280>に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
本発明のレジスト組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。界面活性剤を2種以上使用する場合、その合計含有量が上記範囲内となるのが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、更に、異なる成分を含んでいてもよく、例えば、疎水性樹脂、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、及び、溶解促進剤等からなる群から選択される1種以上の成分を含有してもよい。
本発明のレジスト組成物の固形分濃度は、20質量%超であり、21~50質量%がより好ましく、22~40質量%がより好ましく、23~35質量%が更に好ましい。
なお、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、固形分の合計含有量(溶剤を除く他のレジスト成分の質量の合計)の質量百分率である。
なお、粘度は、室温(23℃)においてE型粘度計により測定できる。
本発明のレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明のレジスト組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明のレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)についても説明する。
(i)上述したレジスト組成物(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物)を用いてレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)を支持体上に形成する工程(レジスト膜形成工程)、
(ii)上記レジスト膜を露光する(活性光線又は放射線を照射する)工程(露光工程)、及び、
(iii)上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、を有する。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含むレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は、界面活性剤を適当量含有していてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10~15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含むリンス液がより好ましい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
リンス工程においては、現像を行った基板を、リンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000~4,000rpm(revolution per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去するのが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40~160℃であり、70~120℃が好ましく、70~115℃がより好ましい。加熱時間は通常10秒~3分であり、30秒~90秒が好ましい。
形成されるパターンがライン状である場合、パターン高さをライン幅で割った値で求められるアスペクト比は、0.3~20が好ましく、0.5~15がより好ましく、1~10が更に好ましい。
形成されるパターンがトレンチ(溝)パターン状又はコンタクトホールパターン状である場合、パターン高さをトレンチ幅又はホール径で割った値で求められるアスペクト比は、0.3~20が好ましく、0.5~15がより好ましく、1~10が更に好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016-206500号明細書(特開2016-206500)に開示されるものが挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
レジスト組成物の材料(樹脂及び光酸発生剤等)の製造工程(原料を合成する工程等)に用いられる装置の装置内を、一部又は全部グラスライニング処理することも、レジスト組成物の金属不純物の含有量を少量(例えば、質量pptオーダー)にするために好ましい。このような方法が、例えば、2017年12月21日の化学工業日報に記載されている。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991-270227号明細書(特開平3-270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に示す成分を使用して、レジスト組成物(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物)を調製した。
エーテル化合物として、以下に示す化合物を使用した。
樹脂として、以下に示す樹脂を使用した。
光酸発生剤として、以下に示す光酸発生剤を使用した。
界面活性剤として、以下の化合物を使用した。
G2:メガファック-R4(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
溶剤として、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)とPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)の混合溶剤(混合比:PGMEA/PGME=80/20(質量比))を使用した。
<レジスト組成物の調製>
各実施例又は比較例で使用したレジスト組成物の配合を下記表に示す。
表中の含有量の表記は、それぞれの成分の全固形分に対する含有量(質量%)を示す。
<パターンの形成>
東京エレクトロン製スピンコーター「ACT-8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチのSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「基板」ともいう。))上に、レジスト組成物をスピンコートした。
この基板を140℃で60秒加熱(PB:PreBake)して乾燥し、膜厚4.2μmのレジスト膜を形成した。その後、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、ライン幅500nm、スペース幅300nmのマスクを介して、種々の露光量で露光した。
更に、露光後のレジスト膜を、115℃で60秒加熱してから、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬して現像してラインアンドスペースパターンを得た。
得られたパターンを、30秒間、純水でリンスした後、110℃で60秒加熱した。
作製したパターンを日立製作所製測長SEM S-9380を使用して観察した。レジスト膜の露光された箇所が、基板の表面が露出するまで完全に現像(除去)されていることが確認できた最小の露光量を最適露光量Eoptとした。このEoptでパターンを形成した場合における、隣接するライン間の幅(スペース(nm))を測定した。この値が小さいほど解像性に優れ、より狭ピッチのパターンを形成できると評価できる。
なお、上記「隣接するライン間の幅」は、パターンの厚みをdとした場合において、互いに隣接するラインにおけるd/2の高さの位置同士をつなぐ距離を意図する。
最適露光量Eoptで形成したパターンの断面を走査型電子顕微鏡で観察し、観察されたラインの形状を下記基準に照らして断面形状(矩形性)を評価した。
B:ラインの形状がテーパー状であった。
C:ラインの形状がテーパー状であり、更に、現像時に非露光部が部分的に除去されて膜減りが生じていた。
-:パターン倒れが生じてパターンを形成できなかった。
なお、トレンチ(露光によりレジスト除去した領域)の上辺の幅が、底辺の幅より、1.5倍以上大きい場合、ラインの形状がテーパー状であると評価した。
下記表に、各実施例又は比較例における評価の結果と、各実施例又は比較例で使用したレジスト組成物の特徴を示す。
表中、「R1」の欄は、レジスト組成物中の、酸拡散制御剤の含有量に対する、エーテル化合物の含有量の質量比(エーテル化合物の含有量/酸拡散制御剤の含有量)を示す。
「R2」の欄は、レジスト組成物中の、樹脂Bの含有量に対する、エーテル化合物の含有量の質量比(エーテル化合物の含有量/樹脂Bの含有量)を示す。
「窒素含有」の欄は、レジスト組成物中のエーテル化合物が、含窒素化合物であるか否かを示す。本要件を満たす場合はAとし、満たさない場合をBとした。
「式(X1)」の欄は、レジスト組成物中のエーテル化合物が一般式(X1)で表される化合物であるか否かを示す。本要件を満たす場合はAとし、満たさない場合をBとした。
「Rq1:ベンゼン環基」の欄は、レジスト組成物中のエーテル化合物が式(X1)で表される化合物である場合において、Rq1がベンゼン環基であるか否かを示す。本要件を満たす場合はAとし、満たさない場合をBとした。
「フェノール性極性単位」の欄は、レジスト組成物中の樹脂が、フェノール性極性基を有する繰り返し単位を有するか否かを示す。本要件を満たす場合はAとし、満たさない場合をBとした。
「ベンゼン単位含有量」の欄は、レジスト組成物中の樹脂における、樹脂の全質量に対する、ベンゼン環基を有する繰り返し単位の含有量(質量%)を示す。
「式(Z1-3)」の欄は、レジスト組成物中の光酸発生剤が、一般式(Z1-3)で表される化合物であるか否かを示す。本要件を満たす場合はAとし、満たさない場合をBとした。
一方で、比較例のレジスト組成物では、所望のパターンを得ることはできなかった。なお、比較例4では、PB後にレジスト膜に割れが生じて、パターンを形成できなかった。
また、固形分濃度を10質量%としたレジスト組成物を用いた試験もしたところ、評価基準とした膜厚(4.2μm)のレジスト膜は形成できなかった。
エーテル化合物が、一般式(X1)で表される化合物であり、更に、Rq1に相当する基がベンゼン環基である場合、更に狭いピッチのパターンを形成でき、得られるパターンの断面形状もより優れることが確認された(実施例1~3の比較)。
樹脂の全質量に対する、ベンゼン環基を有する繰り返し単位の含有量が65モル%未満である場合、より狭いピッチのパターンを形成でき、得られるパターンの断面形状もより優れることが確認された(実施例1、5、及び、6の比較)。
光酸発生剤が式(ZI-3)で表される化合物である場合、より狭いピッチのパターンを形成できることが確認された(実施例1、7、及び、10の比較)。
Claims (8)
- エーテル化合物と、
フェノール性極性基を有する繰り返し単位及び酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、
前記エーテル化合物とは異なる化合物である酸拡散制御剤と、
溶剤と、を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
前記エーテル化合物が、窒素原子を含み、一般式(X2)で表される化合物であり、
前記酸拡散制御剤の含有量に対する、前記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.2以上であり、
前記樹脂の含有量に対する、前記エーテル化合物の含有量の質量比が、0.0002~0.05であり、
固形分濃度が20質量%超である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[R q1 -(-O-AL-) m ] 3 -N (X2)
一般式(X2)中、mは、1~10の整数を表す。mが複数存在する場合、複数存在するmは、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
ALは、アルキレン基を表す。複数存在するALは、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。
R q1 は、水素原子又は置換基を表す。複数存在するR q1 は、それぞれ同一でもよく異なっていてもよい。ただし、少なくとも1つのR q1 は、水素原子である。
複数の[R q1 -(-O-AL-) m ]は、同一でもよく異なっていてもよい。 - 少なくとも1つのRq1がベンゼン環基である、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記樹脂の全繰り返し単位中、ベンゼン環基を有する繰り返し単位の含有量が、65モル%未満である、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記光酸発生剤が、更に、一般式(ZI-3)で表される化合物、及び、一般式(ZI-4)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(ZI-3)中、R1は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、ベンジル基を表す。R1が環構造を有する場合、前記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又は、炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アリール基を表す。
Rx及びRyは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又は、ビニル基を表す。
R2とR3とが互いに結合して環を形成していてもよい。R1とR2とが互いに結合して環を形成していてもよい。RxとRyとが互いに結合して環を形成していてもよい。
Z-は、アニオンを表す。
一般式(ZI-4)中、
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、シクロアルキル基を有する基を表す。
R14は、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、又は、シクロアルキル基を有する基を表す。R14が複数存在する場合、複数存在するR14は、それぞれ同一でも異なっておいてもよい。
R15は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
露光された前記レジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を含むパターン形成方法。 - 請求項7に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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