JP7127900B1 - 火災予防剤 - Google Patents
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Description
そこで、火災が発生した場合でも、このような建築用部材を燃えにくくするための様々な技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
第2発明の火災予防剤は、第1発明において、前記二酸化ケイ素含有組成物の含有量が、溶剤全体中において20~35質量%であり、前記水の含有量が、溶剤全体中において、18~25質量%であり、前記リン酸アンモニウム含有組成物の含有量が、溶剤全体中において、30~45質量%であり、前記ケイ素含有撥水組成物の含有量が、溶剤全体中において、5~10質量%であり、前記臭化アンモニウム含有組成物の含有量が、溶剤全体中において、3~7質量%であることを特徴とする。
第3発明の火災予防剤は、第1発明または第2発明において、前記二酸化ケイ素含有組成物が、シリカゾルと、シリカゲルと、を含み、該シリカゲルは、前記シリカゾル100質量部に対して、3~10質量部であることを特徴とする。
第4発明の火災予防剤は、第3発明において、前記シリカゾルが日揮触媒化成株式会社製のSI-30であり、該シリカゾルを120g、前記シリカゲルが水澤化学工業株式会社製のSNであり、該シリカゲルを6g、前記水を96g、前記リン酸アンモニウム含有組成物が太平化学産業株式会社製のタイエン Nであり、該リン酸アンモニウム含有組成物を180g、前記ケイ素含有撥水組成物が大同塗料株式会社製のアクアシール 50E(アクアシール:大同塗料株式会社の登録商標)であり、該ケイ素含有撥水組成物を30g、前記臭化アンモニウム含有組成物がマナック株式会社製の化学用臭化アンモニウムであり、該臭化アンモニウム含有組成物を25g、それぞれ含有したものであることを特徴とする。
第2発明の火災予防剤は、第1発明において、前記二酸化ケイ素含有組成物が、シリカゾルと、シリカゲルと、を含み、該シリカゲルは、前記シリカゾル100質量部に対して、3~10質量部であることを特徴とする。
第3発明の火災予防剤は、第2発明において、前記シリカゾルが日揮触媒化成株式会社製のSI-30であり、該シリカゾルを120g、前記シリカゲルが水澤化学工業株式会社製のSNであり、該シリカゲルを6g、前記水を96g、前記リン酸アンモニウム含有組成物が太平化学産業株式会社製のタイエン Nであり、該リン酸アンモニウム含有組成物を180g、前記ケイ素含有撥水組成物が大同塗料株式会社製のアクアシール 50E(アクアシール:大同塗料株式会社の登録商標)であり、該ケイ素含有撥水組成物を30g、前記臭化アンモニウム含有組成物がマナック株式会社製の化学用臭化アンモニウムであり、該臭化アンモニウム含有組成物を25g、それぞれ含有したものであることを特徴とする。
例えば、カーテンやロールカーテン、間仕切り布などを挙げることができる。また、カーテン類の素材もとくに限定されず、例えば、布製、紙製、木製、樹脂製等のものを挙げることができる。つまり、家屋や神社、仏閣などの木造建築物はもちろん、内装品、紙製の重要書類なども被対象物とすることができる。
被対象物に火災予防剤を「付着」させるとは、被対象物の表面に火災予防剤の層を形成させることや、被対象物の表面から内部に火災予防剤を含浸させるようなことも含む概念である。例えば、漆塗りの柱などに火災予防剤をスプレー等を用いて吹き付けるようにして塗布することにより、かかる柱表面に火災予防剤の塗膜層を形成してもよいし、吸水性の被対象物(例えば、木材や布製のカーテン、壁紙など)に火災予防剤を塗布することにより、カーテンなどに火災予防剤を含浸させたりして使用することができる。もちろん、後者の被対象物に対してスプレー等を用いて塗布するようにして火災予防剤を付着させてもよい。例えば、はけ塗り、ローラー塗り、吹付塗装、エアスプレー、ロールコーター、等を挙げることができる。また、浸漬塗り、加圧含浸法等といった方法を用いれば、火災予防剤を布製の被対象物の内部にまで含浸させることもできる。
例えば、液体状のものの他、固体状、ペースト状、粉末状など被対象物に応じて適宜選択することができる。例えば、吹き付け用として用いる場合には、粘性が低くなるように調整すればよいし、刷毛を用いて塗布する場合には、増粘剤などを加えて用いることができる。
火災予防剤の二酸化ケイ素含有組成物は、二酸化ケイ素を含有する組成物であり、周囲の大気中の存在するガス状の物質を吸着する機能を有している。
火災予防剤のリン酸アンモニウム含有組成物は、リン酸アンモニウムを含有する組成物であり、難燃性を発揮する機能を有している。一方、このリン酸アンモニウム含有組成物は、潮解性を有する組成物でもある。そこで、火災予防剤は、ケイ素含有撥水組成物を含有している。このケイ素含有撥水組成物は、ケイ素系の組成物であり、乾燥させることにより、撥水性を発揮する機能を有している。
火災予防剤の臭化アンモニウム含有組成物は、臭化アンモニウムを含有する組成物であり、リン酸アンモニウム含有組成物と同様に難燃性を発揮する機能を有している。しかも、この臭化アンモニウム含有組成物は、リン酸アンモニウム含有組成物よりも耐熱が高い組成物である。そして、火災予防剤において、リン酸アンモニウム含有組成物とともに存在させることにより、リン酸アンモニウム含有組成物の耐熱性を向上させることができる。
このため、周囲の高い温度になった場合でもリン酸アンモニウム含有組成物が有する難燃機能を適切に発揮させることができる。
しかしながら、火災予防剤は、このような状況においても、臭化アンモニウム含有組成物とリン酸アンモニウム含有組成物を併存させることにより、火災予防剤を塗布した被対象物の周囲が一般的な火災温度以上(例えば、800℃以上~950℃程度)になった場合でも、両者の相互作用により、火災予防剤に含まれるリン酸アンモニウム含有組成物が有する難燃性を失活させることなく、上記のような高温でも難燃効果を適切に発揮できるようになっている。とくに、火災予防剤がケイ素含有撥水組成物を含有することにより、被対象物の周囲が一般的な火災温度以上(例えば、800℃以上~950℃程度)になった場合でも、より適切に難燃性効果を発揮させることができる。
このため、火災予防剤を被対象物に対して塗布等により付着させた状態で乾燥させれば、長期間にわたって火災予防剤が潮解することなく付着させた状態を維持させることができる。
しかし、本実施形態の火災予防剤であれば、上記のごとく1回の塗布などで従来の防炎剤(一般的に数年に1回の塗布が必要と言われている)と比べてより長い期間(例えば、5年~10年)、優れた難燃効果を維持させることができるので、塗布などの作業回数を減らすことができ、経済的である。
しかも、屋内での作業の場合、作業時間を長くなることから、定期的な塗布作業等を怠りがちになることがあるが、本実施形態の火災予防剤であれば、1回の塗布等で従来の防炎剤と比べて長期間にわたって難燃効果を発揮させることができるので、上記のようなことを抑制できるという利点もある。
火災予防剤のリン酸アンモニウム含有組成物の含有量は、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、135~165質量部であり、より好ましくは140~160質量部であり、さらに好ましくは140~150質量部であり、さらにより好ましくは140~145質量部である。
例えば、リン酸アンモニウム含有組成物は、二酸化ケイ素含有組成物を126gとした場合、180g(つまり、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して143質量部)となるように調整することができる。
例えば、二酸化ケイ素含有組成物の含有量が、溶剤全体中において30~45質量%であり、好ましくは35~40質量%であり、さらに好ましくは39質量%となるように調整することができる。
火災予防剤の臭化アンモニウム含有組成物の含有量は、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、15~25質量部であり、より好ましくは17~23質量部である。
例えば、臭化アンモニウム含有組成物は、二酸化ケイ素含有組成物を126gとした場合、25g(つまり、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して20質量部)となるように調整することができる。
例えば、溶剤全体中において、3~7質量%であり、好ましくは5質量%となるように調整することができる。
火災予防剤のケイ素含有撥水組成物の含有量は、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、20~30質量部であり、より好ましくは22~26質量部である。
例えば、ケイ素含有撥水組成物は、二酸化ケイ素含有組成物を126gとした場合、30g(つまり、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して24質量部)となるように調整することができる。
例えば、溶剤全体中において、5~10質量%。好ましくは7質量%となるように調整することができる。
火災予防剤は、上記組成物を水に溶解または分散して調整される。このときの水の含有量は、上記組成物を分散等することができれば、とくに限定されない。例えば、火災予防剤の水の含有量は、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、70~90質量部であり、より好ましくは74~78質量部となるように調整することができる。
例えば、上記水は、二酸化ケイ素含有組成物を126gとした場合、96g(つまり、二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して76質量部)となるように調整することができる。
例えば、溶剤全体中において、18~25質量%、好ましくは21質量%となるように調整することができる。
また、火災予防剤の二酸化ケイ素含有組成物の含有量は、とくに限定されない。
例えば、二酸化ケイ素含有組成物の含有量は、溶剤全体中において、20~35質量%、好ましくは25質量%~35質量%、より好ましくは25質量%~30質量%となるように調整することができる。なお、製造時の作業性の観点において、二酸化ケイ素含有組成物の含有量があまり多くなりすぎると粘性が増加して作業性が低下する傾向にある。
したがって、二酸化ケイ素含有組成物の火災予防剤中の含有量は、上記範囲内となるように調整するのが好ましい。
例えば、シリカ系のケイ酸化合物を含有する組成物であればよい。とくに、シリカゾルと、シリカゲルと、を含むように調整されているのが好ましい。
二酸化ケイ素含有組成物がシリカゾルとシリカゲルとを含む場合、シリカゲルの含有量は、シリカゾル100質量部に対して、3~10質量部であり、好ましくは3~7質量部である。
例えば、シリカゲルは、シリカゾルを120gとした場合、6g(つまり、シリカゾル100質量部に対して5質量部)となるように調整することができる。
また、シリカゲルとしては、例えば、水澤化学工業株式会社製のSNを採用することができる。
火災予防剤は、上記組成物が上記含有割合となるように調整されていれば、とくに限定されない。例えば、以下のようにして調製することができるが、かかる方法に限定されないはいうまでもない。
まず、容器に水を入れ、この容器に上記各組成物を入れて混合する。そしてこの容器を湯煎しながら撹拌しながら、各組成物を溶解または分散させる。所定時間撹拌した後、布などで濾過すれば、火災予防剤を得ることができる。
二酸化ケイ素含有組成物のシリカゾル:日揮触媒化成株式会社製のSI-30(120g)
二酸化ケイ素含有組成物のシリカゲル:水澤化学工業株式会社製のSN(6g)
リン酸アンモニウム含有組成物:太平化学産業株式会社製のタイエン N(180g)
ケイ素含有撥水組成物:大同塗料株式会社製のアクアシール 50E(アクアシール:大同塗料株式会社の登録商標)(30g)
臭化アンモニウム含有組成物:マナック株式会社製の化学用臭化アンモニウム(25g)
なお、火災予防剤を塗布していない同様の画用紙を比較例とした。
実験1では、火災予防剤の難燃効果について確認した。
比較例の画用紙は、約5~6秒で灰になった。
一方、図1に示すように、本発明の火災予防剤を塗布した画用紙は、ガスバーナーの炎が当たった箇所は黒く変化したものの、画用紙の表裏を貫通することなく、画用紙の形状を保持していた。
実験2では、火災予防剤を塗布することにより、火災時に発生する有害物質である一酸化炭素を適切に吸収できることを確認した。
この画用紙を実験1と同様にガスバーナーを用いて炎をあてた。
このガスバーナーで炎をあてている際に発生したガスを検知管式気体測定器(株式会社ガステック社製、GV100S)を用いて測定した。
使用した検知管:一酸化炭素を検出することができる検知管(ガステック社製、No.1LL)
なお、測定方法は、株式会社ガステック社のGV100S付属の取扱説明書のとおり行った。
図2に示すように、検知管の目盛りは5~20が黒変色、30~50が薄変色した。よって、読み取り値は、40とした。
使用時の温度が約20℃であったことから、温度補正を行った測定値(40×1.00)は、40ppmであった。この値は、人が吸引しても健康上、影響がでない値である。一般的に、一酸化炭素は、100ppmで中毒症状を発症することが知られている。
したがって、火災予防剤を塗布することにより、火災時に発生する有害物質である一酸化炭素の濃度を低く抑えることができることが確認できた。
Claims (3)
- 二酸化ケイ素含有組成物と、水と、リン酸アンモニウム含有組成物と、ケイ素含有撥水組成物と、臭化アンモニウム含有組成物と、を含んでおり、
前記水は、
前記二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、70~90質量部であり、
前記リン酸アンモニウム含有組成物は、
前記二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、135~165質量部であり、
前記ケイ素含有撥水組成物は、
前記二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、20~30質量部であり、
前記臭化アンモニウム含有組成物は、
前記二酸化ケイ素含有組成物100質量部に対して、15~25質量部である
ことを特徴とする火災予防剤。 - 前記二酸化ケイ素含有組成物が、
シリカゾルと、シリカゲルと、を含み、
該シリカゲルは、
前記シリカゾル100質量部に対して、3~10質量部である
ことを特徴とする請求項1記載の火災予防剤。 - 前記シリカゾルが日揮触媒化成株式会社製のSI-30であり、該シリカゾルを120g、
前記シリカゲルが水澤化学工業株式会社製のSNであり、該シリカゲルを6g、
前記水を96g、
前記リン酸アンモニウム含有組成物が太平化学産業株式会社製のタイエン Nであり、該リン酸アンモニウム含有組成物を180g、
前記ケイ素含有撥水組成物が大同塗料株式会社製のアクアシール 50E(アクアシール:大同塗料株式会社の登録商標)であり、該ケイ素含有撥水組成物を30g、
前記臭化アンモニウム含有組成物がマナック株式会社製の化学用臭化アンモニウムであり、該臭化アンモニウム含有組成物を25g、
それぞれ含有したものである
ことを特徴とする請求項2記載の火災予防剤。
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- 2021-05-24 JP JP2021086662A patent/JP7127900B1/ja active Active
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