JP7126704B2 - 結腸直腸癌発症のリスクを評価するための方法 - Google Patents

結腸直腸癌発症のリスクを評価するための方法 Download PDF

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Description

技術分野
本開示は、ヒト対象が結腸直腸癌を発症することに対するリスクを評価するための方法およびシステムに関する。これらの方法は、臨床的リスク対象と組み合わされ、リスク分析を改善し得る。このような方法は、適切な結腸直腸癌スクリーニングレジメンについての決定を補助するために使用され得る。
発明の背景
結腸直腸癌スクリーニングプログラムは、明らかに健常な集団の個体に試験を施行して、前悪性腫瘍または早期結腸直腸癌のいずれかを有する個体を同定し、予防または早期治療による利益を得ることができるようにすることを提唱する。スクリーニング検査には、便潜血検査および大腸内視鏡検査が含まれる。平均リスク集団では、便潜血検査に基づくスクリーニングは、結腸直腸死亡率を15%~25%低下させる(Hewitson et al.,2007)。内視鏡検査は、死亡率を30%~40%低下させることができる(Brenner et al.,2014)。
多数の集団をスクリーニングすることは費用がかかり得る。理想的には、スクリーニングを受けるべき人とそのスクリーニングの手順および強度を決定することは、個体の結腸直腸癌のリスクに基づくべきである。しかし、現在のところ、疾患の個々のリスクを特定する正確で有効な方法がないため、対象となるスクリーニングは、年齢、性別、および時には家族歴の非常に広いリスク要因にのみ基づいている。このことは、スクリーニングされた者の多くが結腸直腸癌になることはなく、スクリーニングされていない人の多くはこの疾患の相当なリスクがあるため、スクリーニングプログラムを非効率にする。(Ait Ouakrim et al.,2012)。
遺伝的リスクアセスメントは、スクリーニングプログラムの効率を高める可能性がある。しかしながら、遺伝性結腸直腸癌に対する遺伝的感受性は複雑であり、複数の変異体および遺伝子を含む。
スクリーニング効率を高め、結腸直腸癌死亡率を減少させるために、ヒト対象が結腸直腸癌を発症するリスクを評価するための改善された方法が必要である。
発明の概要
本発明者らは、対象が結腸直腸癌を発症するリスクを評価するために有用な、ゲノム内のSNPを同定した。
したがって、一態様において、本開示は、被験体の遺伝子リスク評価を実施することを含む、結腸直腸癌を発症するヒト被験体のリスクを評価するための方法であって、遺伝子リスク評価は、対象由来の生物学的試料において、表1から選択される少なくとも28個の一塩基多型の存在、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多型の存在を検出することを含む、方法に関する。
いくつかの一塩基多型は、特定のリスク評価のために他のものよりも有益である。したがって、一実施形態では、遺伝的リスク評価は、一塩基多型rs3987、rs35509282およびrs744166、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多型の存在を検出することを少なくとも含む。
一実施形態では、遺伝的リスク評価は、表1から選択される28を超える一塩基多型、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡の単一ヌクレオチド多型を検出することを含む。例えば、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44個の一塩基多型が検出され得る。他の実施形態では、少なくとも45個の一塩基多型が検出される。
他の実施形態では、遺伝的リスク評価は、一塩基多型rs5934683の存在またはその連鎖不均衡における一塩基多型を検出することを含む。
他の実施形態では、遺伝子リスク評価は、臨床リスク評価と組み合わせて、結腸直腸癌を発症するヒト対象のリスクを得る。一例では、臨床リスク評価は、結腸直腸癌の病歴、年齢、結腸直腸癌の家族歴、以前の大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査のスクリーニングおよび人種/民族の1つまたは複数の情報を対象から得ることを含む。他の例では、臨床的リスク評価は、年齢および/または第一度近親者の結腸直腸癌の病歴に関する情報を被験者から得ることを含む。一実施形態では、結腸直腸癌の家族歴には、多世代家族歴が含まれる。
当業者であれば、臨床リスク評価と遺伝的リスク評価とを組み合わせることにより、対象が大腸癌を発症する全般的なリスクを定義することを理解するであろう。したがって、本発明の方法は、全体的なリスクを評価するために使用することができる。
一実施形態では、本開示の方法は、結腸癌を発症するためのヒト女性対象の絶対的なリスクを決定する。
他の実施形態では、本開示の方法は、結腸癌を発症するためのヒト女性対象の相対リスクを決定する。
本開示の方法は、結腸直腸癌の症状を有する対象に適用可能であり得る。例えば、陽性の糞便潜血検査を受けた対象は、本開示の方法を使用して評価することができる。便潜血検査は一般的に50歳前後の被験者に推奨される。本発明者らは、特定の個体が50歳に達する前に、特に第一度近親者が結腸直腸癌と診断された場合に、結腸直腸癌のリスクが高いことを見出した。これらの所見は、一部の個体が早期に評価され、結腸直腸癌のリスクがあるかどうかを判定するべきであることを示唆している。したがって、一実施形態では、本開示の方法を用いて評価される対象は、少なくとも40歳である。他の実施形態において、第一度近親者が結腸直腸癌と診断された場合、評価される対象は少なくとも30歳である
対象は男性または女性であり得る。他の実施形態において、対象は男性である。
本発明を用いて結腸直腸癌を発症するリスクがあると判定された対象は、次いで、スクリーニングプログラムに登録され得るか、またはより頻繁なスクリーニングに供され得る。
一実施形態では、本開示の方法の性能は、少なくとも0.63の曲線下面積(AUC)によって特徴付けられる。
一実施形態では、連鎖不平衡における一塩基多型は、0.9を超える連鎖不平衡を有する。他の実施形態では、連鎖不平衡における一塩基多型は、1の連鎖不平衡を有する。
他の態様では、本開示の方法は、結腸直腸癌のためのヒト対象の日常的な診断試験の必要性を決定するために使用される。例えば、一塩基多型の各々が対象の体細胞倍数体ゲノム中に2倍まで存在し得ることを考慮すると、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも44、少なくとも46、少なくとも50、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、または少なくとも70個の一塩基多型は、便潜血スクリーニング、大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。他の実施形態では、評価が、結腸直腸癌を発症するリスクのある集団の対象の上位20%に対象が入る場合、対象は便潜血スクリーニング、結腸鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。他の実施形態では、評価が、結腸直腸癌を発症するリスクのある集団の対象の上位10%に対象が入る場合、対象は、糞便潜在性スクリーニング、大腸内視鏡またはS状結腸鏡スクリーニングプログラムに登録される。
さらなる態様において、本発明は、ヒト対象における結腸直腸癌に対するスクリーニング方法であって、本発明の方法を使用して結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを評価すること、および結腸直腸癌を発症することに対するリスクを有すると評価されるとき、対象において結腸直腸癌に対して日常的にスクリーニングすることを含む、方法を提供する。
他の態様において、本開示の方法は、リスクがあるヒト対象において結腸直腸癌を予防することにおける使用のための抗結腸直腸癌治療に使用される。
さらなる態様において、本開示は、28個以上の核酸を増幅するための少なくとも28個のプライマーセットを含むキットであって、28個以上の核酸は表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型を含む、キットに関する。
他の態様において、本開示は、28個以上の核酸にハイブリダイズするための少なくとも28個のプローブセットを含む遺伝子アレイであって、28個以上の核酸は表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型を含む、遺伝子アレイに関する。
他の態様において、本開示は、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを評価するためのコンピューターによって実行される方法であって、プロセッサーおよびメモリーを含むコンピューターシステムにおいて操作可能であり:
対象に対する遺伝的リスクデータを受信すること、ここで、遺伝的リスクデータは、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、表1からの少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型の存在を検出することによって得られる;
データを処理して、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを決定すること;
結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを出力すること
を含む、方法に関する。
一の態様において、コンピューターによって実行される方法は:
対象に対する臨床的リスクデータを受信すること;
データを処理して、臨床的リスクデータと遺伝的リスクデータとを組み合わせて、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを得ること;
結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを出力すること
をさらに含む。
一実施形態において、対象に対するリスクデータは、コンピューターシステムと連結しているユーザーインターフェースから受信される。他の実施形態において、対象に対するリスクデータは、無線通信ネットワークを介して遠隔デバイスから受信される。他の実施形態において、ユーザーインターフェースまたは遠隔デバイスは、SNPアレイプラットフォームである。他の実施形態において、出力することは、コンピューターシステムと連結しているユーザーインターフェースに情報を出力することを含む。他の実施形態において、出力することは、無線通信ネットワークを介する遠隔デバイスに情報を伝達することを含む。
本明細書の実施例は、他に特に明記しない限り、変更すべきところは変更して他の例に準用するものとする。
本開示は、例示のみを目的とする本明細書に記載の特定の例によって範囲が限定されるものではない。機能的に同等な製品、組成物および方法は、本明細書に記載されているように、明らかに本開示の範囲内である。
本明細書を通して、別段の記載がない限り、または文脈上別途必要な場合を除き、単一の工程、組成物、工程の群または組成物の群への言及は、それらの1つおよび複数(すなわち1つ以上)の工程、組成物、工程の群または組成物群を包含するものとする。
本明細書を通じて、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」または「含み(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数または工程、または要素、整数または工程の群を含むことを意味するが、他のいかなる要素、整数または工程、または要素、整数または工程の群を排除しないことを意図することが理解される。
本開示は、以下の非限定的な実施例および添付の図面を参照して以下に記載される。
結腸直腸癌の病歴のある1,000,000人(赤)および結腸直腸癌の病歴のない1,000,000人(青)のリスク対立遺伝子の模擬分布;およびオーストラリア(四角)および米国(丸)集団のリスク対立遺伝子の数について70歳までの結腸直腸癌の累積リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、オーストラリアでの結腸直腸癌(男性および女性を合わせた)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、米国での結腸直腸癌(男性および女性を合わせた)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、オーストラリアでの結腸直腸癌(男性)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、オーストラリアでの結腸直腸癌(女性)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、米国での結腸直腸癌(男性)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。 年齢区分、結腸直腸癌の家族歴(第一度近親者)による、およびリスク対立遺伝子の数による、米国での結腸直腸癌(女性)のリスク。A:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、70歳までの累積リスク。B:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、70歳までの累積リスク。 C:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の五分位値での、5年リスク。D:リスク対立遺伝子の数の最大および最小の十分位値での、5年リスク。
発明の詳細な説明
一般的な技術および選択された定義
他に特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有するものとする(例えば結腸直腸癌分析、分子遺伝学、バイオインフォマティクスおよび生化学)。
他に示されない限り、本開示において利用される分子および統計学的技術は、当業者に周知の標準的な手順である。このような技術は、J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989), T.A. Brown (editor), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M. Glover and B.D. Hames (editors), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995 and 1996), and F.M. Ausubel et al. (editors), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988,現在までの全ての改版を含む), Ed Harlow and David Lane (editors) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988), and J.E. Coligan et al. (editors) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (現在までの全ての改版を含む)、などの出典の文献を通して記載および説明される。
この開示は特定の実施形態に限定されず、当然のことながら変更可能であることが理解される。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解される。 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数および単数形の用語「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、内容が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を任意に含む。したがって、例えば、「プローブ(a probe)」なる記載は、場合により複数のプローブ分子を含む。同様に、文脈に依存して、用語「核酸(a nucleic acid)」なる用語は、事実上、その核酸分子の多くのコピーを任意に含む。
本願明細書において使用される「約」なる用語は、それに反する言及がない限り、設定された数値の±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%を意味する。
「および/または」なる用語、例えば「Xおよび/またはY」は、「XおよびY」または「XまたはY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味またはいずれかの意味を明示的に支持するために用いられる。
本明細書中で使用される「結腸直腸癌」なる用語は、対象の結腸または直腸において発生し得る任意のタイプの癌を包含する。「結腸直腸癌」、「結腸癌」、「直腸癌」および「腸癌」なる用語は、本開示の文脈において交換可能に使用することができる。
例えば、結腸直腸癌は、Tステージ1~4として特徴付けられ得る。別の例において、結腸直腸癌は、DukesステージA~Dとして特徴付けられ得る。
本明細書で使用する「結腸直腸癌」は、個体において結腸直腸癌を発症する素因を示す表現型も包含する。結腸直腸癌の素因を示す表現型は、例えば、与えられた一連の環境条件(食餌、身体活動状況、地理的な位置など)下で、関連する一般集団のメンバーよりも表現型を有する個体において癌が発症する可能性が高い傾向を示し得る。例えば、結腸直腸癌は、前癌性(例えば過形成、腺腫)として臨床的に分類され得る。
「多型」は可変の座位、すなわち、集団内で、多型におけるヌクレオチド配列は1を超える型または対立遺伝子を有する。多型の一例は、ゲノム中の単一ヌクレオチド位置(特定の位置のヌクレオチドは個体または集団によって異なる)における多型である「一塩基多型」である。
本明細書で使用される、「SNP」または「一塩基多型」なる用語は、個体間の遺伝的変異を指し;例えば、可変である生物のDNA中の単一の窒素含有塩基位置である。本明細書で使用される、「SNPs」は複数のSNPである。もちろん、本明細書中のDNAを指す場合、このような参照文献は、アンプリコン、そのRNA転写物などのDNAの誘導体を含み得る。
「対立遺伝子」なる用語は、特定の座位で生じているかまたはコードされている2つ以上の異なるヌクレオチド配列の1つ、またはそのような座位によってコードされる2つ以上の異なるポリペプチド配列の1つを指す。例えば、第1の対立遺伝子は1つの染色体上で生じ、一方で第2の対立遺伝子は第2の相同染色体上で、例えばヘテロ接合性個体の異なる染色体に対して、または集団中の異なるホモ接合型またはヘテロ接合性個体間で生じる。対立遺伝子は、それがある形質と関連している場合、および対立遺伝子の存在が対立遺伝子を含む個体において形質または形質形態が生じるという指標である場合、形質と正に相関する。対立遺伝子は、それがある形質と関連している場合、および対立遺伝子の存在が対立遺伝子を含む個体において形質または形質形態が生じないことの指標である場合、形質と「負に」相関する。「リスク対立遺伝子」という用語は、本開示の文脈において、結腸直腸癌に対する感受性に対する遺伝的傾向を示す対立遺伝子を意味するために使用される。対象は、特定のリスク対立遺伝子についてホモ接合、ヘテロ接合またはヌルであり得る。
表現型に(陽性または陰性に)統計的に関連付けることができる場合、マーカー多型または対立遺伝子は特定の表現型(結腸直腸癌感受性など)と「相関」または「関連」する。多型または対立遺伝子が統計的に関連づけられているかどうかを決定するための方法は、当業者に公知である。すなわち、指定された多型は、対照集団(例えば結腸直腸癌を有さない個体)よりも症例集団(例えば、結腸直腸癌患者)においてより一般的に生じる。この相関はしばしば因果関係であると推測されるが、必ずしもそうである必要はなく-表現型の根底にある形質に対する座位との(関連する)単純な遺伝子連鎖が、相関/会合を起こすのに十分である。
「連鎖不均衡」(LD)なる用語は、2つの隣接する多型遺伝子型間の統計的相関を説明するために使用される。典型的には、LDは、2つの座位におけるランダムな配偶子の対立遺伝子間の相関を指し、配偶子間のハーディ-ワインバーグ平衡(統計的独立)を前提とする。LDは、Lewontinの関連パラメータ(D’)またはピアソン相関係数(r)のいずれかを用いて定量化される(Devlin and Risch,1995)。LD値が1の2つの座位は、完全LDといわれている。その反対に、LD値が0である2つの座位は、連鎖平衡にあるといわれている。連鎖不平衡は、ハプロタイプ頻度の推定のための期待値最大化アルゴリズム(EM)の適用後に計算される(Slatkin and Excoffier,1996)。隣接する遺伝子型/座位についての本開示によるLD値は、0.5を超える、より好ましくは0.6を超える、さらにより好ましくは0.7を超える、好ましくは0.8を超える、より好ましくは0.9を超える、理想的には約1.0で選択される。本明細書に記載される本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsの多くは、0.9または1のLD値を有する。
本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsを当業者が容易に特定できる他の方法は、2つの座位のLODスコアを決定することである。LODとは「尤度対数」の略であり、2つの遺伝子が、または1つの遺伝子と1つの疾患遺伝子とが、1本の染色体上で互いに近接しているかどうか、つまり共に遺伝する可能性があるかどうかの統計学的推定である。一般に、LODスコアが約2~3かそれよりも高い場合、その2つの遺伝子は染色体上で互いに近接している、とみなされる。したがって、一実施形態では、本開示において選択される近接する遺伝子型/座位のLOD値は、少なくとも2よりも高い、少なくとも3よりも高い、少なくとも4よりも高い、少なくとも5よりも高い、少なくとも6よりも高い、少なくとも7よりも高い、少なくとも8よりも高い、少なくとも9よりも高い、少なくとも10よりも高い、少なくとも20よりも高い、少なくとも30よりも高い、少なくとも40よりも高い、少なくとも50よりも高い、から選択される。
他の実施形態では、本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsは、約20センチモルガン(cM)以下または未満の特定の遺伝子組換え距離を有し得る。例えば、15cM以下、10cM以下、9cM以下、8cM以下、7cM以下、6cM以下、5cM以下、4cM以下、3cM以下、2cM以下、1cM以下、0.75cM以下、0.5cM以下、0.25cM以下、または0.1cM以下。たとえば、1つの染色体セグメント内の2つの連鎖した座位は、減数分裂の間、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.75%、約0.5%、約0.25%、または約0.1%以下または未満の頻度で、互いに組換えが生じ得る。
他の実施形態では、本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsは、互いから少なくとも100kb(座位の組換え率にもよるが、ヒトでは約0.1cMと相関)、少なくとも50kb、少なくとも20kb以内にある。
特定のSNPの代用マーカーを同定するための例示的なアプローチは、標的SNPの周囲のSNPsが連鎖不平衡にあり、それゆえ疾患感受性に関する情報を提供できる、とみなす簡単な方法を含む。したがって、潜在的な代用マーカーは、HAPMAPなどの公に利用可能なデータベースから、科学界で好適な代用マーカー候補として選択されている、一定の基準を満たすSNPsを検索することによって、同定できる。
「対立遺伝子頻度」は、個体、系統または系統集団内で、ある座位にある対立遺伝子が存在する頻度(割合または比率)を指す。たとえば、対立遺伝子「A」に関して、遺伝子型「AA」「Aa」または「aa」の二倍体個体は、それぞれ1.0、0.5、または0.0の対立遺伝子頻度を有している。ある系統または集団(たとえば症例集団または対照集団)内での対立遺伝子頻度は、その系統または集団の個体標本の対立遺伝子頻度を平均化すれば推定できる。同様に、系統集団内の対立遺伝子頻度は、その集団を構成している系統の対立遺伝子頻度を平均化することで計算できる。
一実施形態では、「対立遺伝子頻度」なる用語は、マイナー対立遺伝子頻度(MAF)の定義に使用される。MAFは、所与の集団でもっともまれな対立遺伝子で生じる頻度を指す。
ある個体が所与の座位に1つの対立遺伝子しか有しない場合、その個体は「ホモ接合」である(たとえば、二倍体個体は、2本の相同染色体それぞれのある座位に、同じ対立遺伝子のコピーを有している)。所与の座位に2つ以上の対立遺伝子が存在する場合、個体は「ヘテロ接合」である(たとえば、2つの座位のコピーを1つずつ有している二倍体個体)。「homogeneity(均一性)」なる用語は、ある群のメンバーが1つ以上の特定の座位に同じ遺伝子型を有することを意味する。これに対して「heterogeneity(不均一性)」なる用語は、ある群内の個体が1つ以上の特定の座位に異なる遺伝子型を有することを意味するために使用される。
「座位(locus)」は、染色体上の位置または領域である。たとえば、ある多型座位は、ある多型核酸、形質決定因子、遺伝子またはマーカーが存在する位置または領域である。さらなる一例では、「遺伝子座位(gene locus)」は、特定の遺伝子が見られ得る種ゲノム内の特定の染色体上の部位(領域)である。
「マーカー」「分子マーカー」または「マーカー核酸」は、座位または連鎖座位を特定する際の基準点として用いられるヌクレオチド配列またはそのコード化産物(たとえば、たんぱく質)を意味する。マーカーは、ゲノムヌクレオチド配列または発現したヌクレオチド配列(たとえば、RNA、nRNA、mRNA、cDNAなど)、またはコード化ポリペプチドに由来し得る。この用語はまた、マーカー配列を増幅できるプローブまたはプライマー対として用いられる核酸などの、マーカー配列に対して相補的なまたはマーカー配列の両側の核酸配列も指す。「マーカープローブ」は、マーカー座位の存在を特定するのに用いられ得る核酸配列または分子であり、たとえば、あるマーカー座位の配列に対して相補的な核酸プローブである。核酸は、たとえばワトソンとクリックの塩基対ルールによると、溶液中で特異的にハイブリダイズする場合に「相補的」である。「マーカー座位(marker locus)」は、第2の連鎖座位の存在、たとえば、表現型形質の集団バリエーションをコードするかまたはそれに寄与している連鎖または相関する座位の存在を追跡するのに用いられ得る座位である。たとえば、マーカー座位は、マーカー座位と遺伝的または物理的に連鎖している量的形質座位(QTL)などの座位でのアレルの分離を観察するのに用いられ得る。したがって、「マーカー対立遺伝子」あるいは「マーカー座位の対立遺伝子(allele of a marker locus)」は、あるマーカー座位に関して多型である集団においてマーカー座位に見られる複数の多型ヌクレオチド配列のうちの1つである。
一実施形態では、本開示は、目的の表現型、例えば結腸直腸癌と相関するマーカー座位を提供する。同定されたマーカーの各々は、関連する表現型に寄与するQTLなどの遺伝的要素と物理的および遺伝的に近接している(物理的および/または遺伝的連鎖をもたらす)と予想される。集団のメンバー間の遺伝子多型に対応するマーカーは、当技術分野で十分に確立された方法によって検出することができる。これらには、例えばPCRに基づく配列特異的増幅法、制限断片長多型(RFLP)の検出、アイソザイムマーカーの検出、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(ASH)の検出、一塩基伸長の検出、単純反復配列(SSR)の検出、一塩基多型(SNPs)の検出、または増幅断片長多型(AFLP)の検出のために使用することができる。
核酸増幅の文脈における「増幅する」なる用語は、選択された核酸(またはその転写形態)のさらなるコピーが産生される任意のプロセスである。典型的な増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)およびRNAポリメラーゼに基づく増幅(例えば、転写による)などのリガーゼ媒介方法を含む種々のポリメラーゼに基づく複製方法が含まれる。
「アンプリコン」は、増幅された核酸であり、たとえば、任意の利用可能な増幅法(たとえば、PCR、LCR、転写など)により鋳型核酸を増幅して生産された核酸である。
特定の核酸が、所与の核酸に「由来する」とは、所与の核酸の配列を用いて構築される場合、または特定の核酸が、所定の核酸を用いて構築される場合のことをいう。
「遺伝子」は、1つ以上の発現分子、たとえばRNA、またはポリペプチドを一緒にコード化している、ゲノム内の1つ以上のヌクレオチド配列である。遺伝子は、RNAへと転写されるコード化配列を含み得、RNAは次いでポリペプチド配列へと翻訳され得、該遺伝子の複製または発現を介助する関連の構造的または調節配列を含み得る。
「遺伝子型」は、1つ以上の遺伝子座位における個体(または個体群)の遺伝的構成である。遺伝子型は、個体の1つ以上の既知の座位の対立遺伝子により、典型的には、両親から受け継いだ対立遺伝子の集合により、定められる。
「ハプロタイプ」は、1本のDNA鎖上の複数の遺伝子座位における個体の遺伝子型である。典型的には、ハプロタイプにより説明される遺伝子座位は、物理的及び遺伝的に連鎖しており、すなわち同じ染色体ストランド上に存在する。
マーカー、プローブ、またはプライマーの「セット」は、一般的な目的(たとえば結腸直腸癌発症リスクをもつ人の特定)に用いられる、マーカー、プローブ、プライマーの集合または群、あるいはそれらから得られるデータを意味する。マーカー、プローブ、もしくはプライマーに対応する、またはそれらを用いて得られるデータは、電子媒体に記憶されることが多い。あるセットの各メンバーは特定の目的に関して有用性があるが、セットならびに全部ではなく一部のマーカーを含む各サブセットから選択される個々のマーカーも、特定の目的を達成するために有用である。
上述した多型および遺伝子、および対応するマーカープローブ、アンプリコンまたはプライマーは、物理的な核酸として、または核酸の配列情報を含むシステム命令として、本明細書の任意のシステムで具体化され得る。たとえば、システムは、本明細書で説明する遺伝子または多型に対応する(あるいはその一部分を増幅する)プライマーまたはアンプリコンを含み得る。上述の方法と同様に、マーカープローブまたはプライマーのセットは、任意に、複数の該遺伝子または遺伝子座位の複数の多型を検出する。したがって、たとえば、マーカープローブまたはプライマーのセットは、これらの多型または遺伝子それぞれの、あるいは本明細書で説明する任意の他の多型、遺伝子または座位それぞれの、少なくとも1つの多型を検出する。そのようなプローブまたはプライマーはどれでも、任意のそのような多型または遺伝子、またはその相補的核酸、またはその転写産物(たとえば、ゲノム配列から、たとえば転写またはスプライシングによって生産されるnRNAまたはmRNA)のヌクレオチド配列を含み得る。
本願明細書において使用される、「受信者操作特性曲線(receiver operating characteristic curves)」は、二分類システムで区切り閾値を変化させながら(1-特異性)に対する感受性をプロットしたグラフを意味する。ROCは、偽陽性の割合(FPR=偽陽性率)に対する真陽性の割合(TPR=真陽性率)をプロットすることでも同等に表すことができる。基準を変えながら2つの操作特性(TPRとFPR)を比較するので、相対操作特性曲線としても知られている。ROC分析は、コストコンテキストまたはクラス分布から独立して(かつそれらを特定する前に)、最善であろうモデルを選択し、次善のモデルを破棄するツールを提供する。本開示の文脈で使用する方法は、当業者には明らかになろう。
本願明細書において使用される、「遺伝リスク評価を臨床リスク評価と統合してリスクを求めること(combining the genetic risk assessment with the clinical risk assessment to obtain the risk)」なる用語は、これらの2つの評価の結果に依存する任意の好適な数学的分析を意味する。たとえば、臨床リスク評価と遺伝リスク評価の各結果を足してもよいし、より好ましくは掛けてもよい。
本願明細書において使用される、「結腸直腸癌に対して日常的にスクリーニングすること」および「より頻繁なスクリーニング」なる用語は、相対的な用語であり、結腸直腸癌発症リスクが特定されていない対象に勧められるスクリーニング頻度との比較に基づく。たとえば、日常的なスクリーニングは、糞便スクリーニング、大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査が1~2年毎に含まれる。日常的なスクリーニングのための様々な他の時間間隔は、以下で論じられる。
遺伝的リスク評価
ある態様において、本願の方法は、遺伝的リスク評価を実施することにより、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを評価することに関する。
遺伝的リスク評価は、一塩基多型について2つ以上の遺伝子座での対象の遺伝子型を解析することにより行われる。例えば、少なくとも28個の一塩基多型が検出することができる。他の例において、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44の一塩基多型が検出される。別の例において、少なくとも45個の一塩基多型が検出される。
当業者が認識するように、結腸直腸癌を発症するリスクを増加させる各SNPは、1.0より大きい結腸直腸癌との関連性のオッズ比を有する。ある態様において、多型のいずれも、3より大きいまたは4より大きい結腸直腸癌との関連性のオッズ比を有しない。
遺伝的リスク評価の一環として検出することができるSNPsの例は、限定はしないが、rs72647484、rs10911251、rs6687758、6691170、rs11903757、rs812481、rs35360328、rs10936599、rs3987、rs35509282、rs647161、rs1321311、rs16892766、rs6983267、rs10505477、rs7014346、rs719725、rs10904849、rs10795668、rs704017、rs11190164、rs1035209、rs12241008、rs174537、rs4246215、rs174550、rs1535、rs3824999、rs3802842、rs3217810、rs3217901、rs10774214、rs11169552、rs7136702、rs3184504、rs59336、rs73208120、rs1957636、rs4444235、rs11632715、rs16969681、rs9929218、rs16941835、rs744166、rs4939827、rs10411210、rs1800469、rs2241714、rs2423279、rs4813802、rs961253、rs6066825、rs4925386、rs5934683またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡におけるSNPからなる群から選択されるSNPsを含む。ある例において、検出されたSNPsは、表1またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型から選択される。ある例において、遺伝的リスク評価を実施する場合に、表1からの少なくとも28SNPsまたはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型が検出される。他の例において、表1からの少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44の一塩基多型またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型が検出される。別の例において、表1からの少なくとも45個の一塩基多型またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型が検出される。
表1. 結腸直腸癌と関連するSNPs。表は、SNP名、可能性のあるSNPの調節標的に最も近いまたは内部の遺伝子、報告されたリスク対立遺伝子遺伝子型、コントロールにおける報告されたリスク対立遺伝子頻度、リスク対立遺伝子あたりの結腸直腸癌との報告された関連性(オッズ比)、SNPに起因する家族性相対リスク(FRR)、およびSNPによるlog FRRの割合を示す。*SNPの調節標的に最も近いまたは可能性のある遺伝子/s。連鎖不均衡におけるSNPsは、角括弧[]で示される。
Figure 0007126704000001
Figure 0007126704000002
ある例において、表1から選択される一塩基多型の1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型は、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8のLD値を有する。別の例において、連鎖不均衡における一塩基多型は、少なくとも0.9のLD値を有する。別の例において、連鎖不均衡における一塩基多型は、少なくとも1のLD値を有する。
いくつかの一塩基多型は、特定のリスク評価について、他のものよりも有益である。例えば、遺伝的リスク評価は、rs3987、rs35509282およびrs744166、またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型を検出することを含み得る。
別の例において、遺伝的リスク評価は、rs72647484、rs10911251、rs6687758、rs11903757、rs812481、rs35360328、rs10936599、rs3987、rs35509282、rs647161、rs1321311、rs16892766、rs6983267、rs719725、rs10904849、rs10795668、rs704017、rs11190164、rs12241008、11qhap(rs174537、rs4246215、rs174550、およびrs1535のいずれか1つまたは全部)、rs3824999、rs3802842、rs3217810、rs3217901、rs10774214、rs11169552、rs7136702、rs3184504、rs59336、rs73208120、rs1957636、rs4444235、rs11632715、rs16969681、rs9929218、rs16941835、rs744166、rs4939827、rs10411210、19qhap^(rs1800469およびrs2241714のいずれか1つまたは全部)、rs2423279、rs4813802、rs961253、rs6066825、rs4925386またはそれらの1つ以上と連鎖不均衡における一塩基多型を検出することを含むことができる。
別の例において、遺伝的リスク評価は、一塩基多型rs5934683、またはその連鎖不均衡における一塩基多型の存在を検出することを含む。
ある態様において、評価されたSNPsの数は、純再分類指標(Net Reclassification Index)(NRI)(Pencinaら、2008)を使用して計算したリスク予測における純再分類改善度に基づく。ある態様において、本願の方法の純再分類改善度は、0.01より大きい。
さらなる態様において、本願の方法の純再分類改善度は、0.05より大きい。さらに他の態様において、本願の方法の純再分類改善度は、0.1より大きい。
本願明細書に具体的に記載されているものと連鎖不均衡におけるSNPsは、当業者により容易に同定される。かかるSNPsの例は、11q12.2(rs174537、rs4246215、rs174550、およびrs1535)内の4つの完全に相関したSNPsを含む。これらの4つのSNPsは、11q12.2ハプロタイプとして本願において命名される。別の例は、19q13.2内に位置するrs1800469およびrs2241714を含む。これらのSNPsもまた完全に相関し、かつ19q13.2ハプロタイプとして本願において命名される。他の例は、1q41内に位置するrs6687758およびrs6691170;8q24.21内に位置するrs10505477、rs6983267およびrs7014346;15q31内に位置するrs11632715およびrs16969681;10q24.2内に位置するrs1035209、rs11190164;12q13.13内に位置するrs11169552、rs7136702(表2に提供されるさらなる可能な例)を含む。
表2. 上位6リスクSNPs内のLD*におけるSNPs(相関したSNPs)(DbSNP)のリスト。HAPMAPデータセット(http://hapmap.ncbi.nlm.nih.gov)における0.08より大きいrを有するSNPs(アフリカ系アメリカ人、アメリカ人、アジア人、およびヨーロッパ人)が示される。
Figure 0007126704000003
Figure 0007126704000004
Figure 0007126704000005
臨床的リスク評価
本願の方法は、対象の臨床的リスク評価を実施することを含むことができる。臨床的リスク評価の結果は、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを得るために、遺伝的リスク評価と組み合わせることができる。
任意の適当な臨床的リスク評価手順が、本願において使用することができる。好ましくは、臨床的リスク評価は、1つ以上の遺伝子座で対象を遺伝子型決定することを伴わない。それにもかかわらず、臨床的リスク評価手順は、MLH1、MSH2およびMSH6遺伝子における変異ならびにマイクロサテライト不安定性状態に関する情報を得ることを含んでもよい。
他の態様において、臨床的リスク評価手順は、対象から以下の1つ以上に関する情報を得ることを含む:結腸直腸癌および/もしくはポリープの病歴、年齢、診断時の近親者の年齢を含む結腸直腸癌および/もしくはポリープならびに/または他の癌の家族歴、以前の結腸内視鏡検査および/またはS状結腸鏡検査の結果、前回の糞便潜血検査の結果、体重、ボディマス指数、身長、性別、アルコール消費歴、喫煙歴、運動歴、食事(例えば葉酸、野菜、赤身の肉、果物、繊維、および飽和脂肪の消費)、炎症性腸疾患の罹患率、人種/民族、アスピリンおよびNSAIDの使用、エストロゲン補充の実施および経口避妊薬の使用。例えば、臨床的リスク評価手順は、第一度近親者の結腸直腸癌の病歴に関する情報を対象から得ることを含むことができる。別の例において、臨床的リスク評価手順は、年齢および/または第一度近親者の結腸直腸癌の病歴に関する情報を対象から得ることを含む。
ある態様において、臨床的リスク評価は、少なくともいくつかの、好ましくは全ての第一度近親者の結腸直腸癌の家族歴に関する詳細を含む。
ある態様において、結腸直腸癌の家族歴は、数世代の家族歴の分析を伴う。本願明細書において使用される「数世代の家族歴」は、2つ以上の世代の分析を指す。数世代の家族歴は、例えば同じ世代(例えばいとこ)、および/または世代間(例えば叔父および叔母)の分析を含んでもよい。例えば、ある態様において、臨床的リスク評価は、少なくともいくつか、好ましくは全ての第二度近親者の結腸直腸癌の家族歴に関する詳細を含む。他の態様において、臨床的リスク評価は、少なくともいくつかの、好ましくは全ての第二または三度近親者の結腸直腸癌の家族歴に関する詳細を含む。
ある態様において、臨床的リスク評価手順は、次の5年間に結腸直腸癌を発症する対象のリスク(すなわち5年リスク)の推定値を提供する。ある例において、臨床的リスク評価により決定される5年リスクは、約1%-約3%の間である。別の例において、臨床的リスク評価により決定される5年リスクは、約1.5%-約2%の間である。
ある態様において、臨床的リスク評価手順は、次の10年間に結腸直腸癌を発症する対象のリスク(すなわち10年リスク)の推定値を提供する。ある例において、臨床的リスク評価により決定される10年リスクは、約1%-約3%の間である。別の例において、臨床的リスク評価により決定される5年リスクは、約1.5%-約2%の間である。
他の態様において、臨床的リスク評価手順は、年齢70までの結腸直腸癌を発症する対象のリスク(すなわち寿命リスク)の推定値を提供する。ある例において、臨床的リスク評価により決定される寿命リスクは、約15%-約30%の間である。別の例において、臨床的リスク評価により決定される寿命は、約20%-約25%の間である。
他の態様において、臨床的リスク評価を実施することは、大腸癌を発症する絶対的なリスクを計算するモデルを使用する。例えば、大腸癌とは別に他の原因により死亡する競合リスクを考慮しながら、大腸癌を発症する絶対的なリスクは、癌発生率を使用して計算され得る。ある態様において、臨床的リスク評価は、大腸癌を発症する5年の絶対的なリスクを提供する。他の態様において、臨床的リスク評価は、大腸癌を発症する10年の絶対的なリスクを提供する。
臨床的リスク評価手順の例は、限定はしないが、ハーバード癌リスクインデックス(Harvard Cancer Risk Index)、国立がん研究所(National Cancer Institute)の結腸直腸癌リスク評価ツール、クリーブランドクリニックツール(Cleveland Clinic Tool)、ミスマッチ修復確率モデル(MMRproとしても知られている)、結腸直腸リスク予測ツール(CRiPT)など(例えば、Usher-Smithら、2015参照)を含む。高リスク変異および表現型危険因子に焦点を当てた幅広い研究は、これらの典型的なリスク予測アルゴリズムにまとめられてきた。
ハーバード癌リスクインデックスは、家族歴データ(大腸癌を有する第一度近親者)ならびに、ボディマス指標、アスピリン使用、喫煙、炎症性腸疾患歴、身長、身体活性、エストロゲン補充、経口避妊薬の使用、ならびに葉酸、野菜、アルコール、赤身の肉、果物、繊維、および飽和脂肪の消費などの環境因子を使用して、大腸癌を発症する10年リスク予測する。ある例において、臨床的リスク評価手順は、大腸癌を発症する対象の10年リスクを予測するためにハーバード癌リスクインデックスを使用する。
結腸直腸癌リスク評価ツールは、年齢、性別、S状結腸鏡検査および/もしくは結腸内視鏡検査の使用、現在の余暇活動、アスピリンおよびNSAIDの使用、喫煙歴、ボディマス指標、ホルモン補充歴、ならびに野菜の消費に基づいて50歳を超える人々について、結腸直腸癌を発症する5、10、20年、および寿命リスクを予測する。ある例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の5年リスクを予測するために結腸直腸癌リスク評価ツールを使用する。別の例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の10年リスクを予測するために結腸直腸癌リスク評価ツールを使用する。別の例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の20年リスクを予測するために結腸直腸癌リスク評価ツールを使用する。別の例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の寿命リスクを予測するために結腸直腸癌リスク評価ツールを使用する。
クリーブランドクリニックツールは、年齢、性別、民族、体重、身長、S状結腸鏡検査および/もしくは結腸内視鏡検査の使用、糞便潜血検査、喫煙、運動、結腸直腸癌の病歴およびポリープ、ならびに野菜および果物の消費に基づく結腸直腸癌リスクスコアを提供する。
MMRproモデルは、MLH1、MSH2およびMSH6遺伝子における変異、ならびに疾患の家族歴、マイクロサテライト不安定性状態、年齢、および民族などの環境因子に基づいて、結腸直腸および子宮内膜癌を発症する5年および寿命リスクを予測する。ある例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の5年リスクを予測するためにMMRproモデルを使用する。別の例において、臨床的リスク評価手順は、結腸直腸癌を発症する対象の寿命リスクを予測するためにMMRproモデルを使用する。
結腸直腸リスク予測ツール(CRiPT)モデルは、結腸直腸癌リスクを推定するために、混合された主要遺伝子ポリジーン(polygenic)モデルを使用して数世代の家族歴を使用する。
複合SNP相対リスク「遺伝的リスク」を計算する
個人の「遺伝的リスク」は、評価された各SNPの遺伝子型相対リスク値の積として定義され得る。対数加法リスクモデルは、1、OR、およびORの相対リスク値を有する単一のSNPについて、希少疾患モデルのもとで、3つの遺伝子型AA、AB、およびBBを定義するために使用され得、ここで、ORは、高リスク対立遺伝子B対低リスク対立遺伝子Aについての以前に報告された疾患オッズ比である。B対立遺伝子が、頻度(p)を有する場合、これらの遺伝子型は、ハーディー・ワインベルク平衡を仮定して(1-p)、2p(1-p)、およびpの集団頻度を有する。各SNPについての遺伝子型相対リスク値は、これらの頻度に基づいて、集団における平均相対リスクが1であるようにスケールできる。具体的には、スケールされていない集団の平均相対リスクを考えると:
(μ)=(1-p)+2p(1-p)OR+pOR
調整されたリスク値1/μ、OR/μ、およびOR/μは、AA、AB、およびBB遺伝子型に使用される。喪失した遺伝子型は1の相対リスクが割り当てられる。以下の式は、遺伝的リスクを定義するために使用することができる:
SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNPなど。
非SNP多型について同様の計算が行われ得る。
複合SNPリスクを計算する代替の方法は、Mavaddatら(2015)に記載される。この例では、以下の式が使用される;
PRS=β+β+...β+β
ここで、βは、SNPについてのマイナー対立遺伝子と関連する大腸癌のper-対立遺伝子(per-allele)logオッズ比(OR)であり、およびxは同一のSNPの対立遺伝子の数であり(0、1または2)、nは、SNPsの総数であり、かつPRSはポリジーンリスクスコア(複合SNPリスクとも呼ぶことができる)である。
結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「リスク」は、必要に応じて相対リスク(またはリスク比)または絶対的なリスクとして提供され得ることが想定される。
ある態様において、遺伝的リスク評価は、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「相対リスク」を得る。特性の無い個人における疾患の発生率で割った、特定の特性(または暴露)を有する個人における疾患の発生率として測定される相対リスク(またはリスク比)は、特定の暴露がリスクを増加させるまたは減少させるかどうかを示す。相対リスクは、疾患と関連する特性を同定するのに役立つが、リスクの頻度(発生率)が相殺されるため、それ自体でスクリーニングの決定を導くのに特に有用というわけではない。
他の態様において、遺伝的リスク評価は、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「絶対的なリスク」を得る。絶対的なリスクは、指定された期間(例えば5、10、15、20年以上)内で結腸直腸癌を発症するヒト対象の数値的確率である。それは、単独で様々な危険因子を考慮しない限りにおいて、結腸直腸癌を発症するヒト対象のリスクを反映する。
組み合わせた臨床的評価×遺伝的リスク
臨床的リスク評価を遺伝的リスク評価と組み合わせる際に、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「リスク」を得るために、以下の式が使用することができる:
[リスク(すなわち臨床評価×SNPリスク)]=[臨床評価リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45など
ここで、臨床評価は、臨床評価により提供されるリスクであり、SNP-SNP45は、個々のSNPsの相対リスクであり、上記で概説されているとおり、1の集団平均を有するように各々はスケールされている。SNPリスク値は、1の集団平均リスクを有するように「中心」に置かれるため、SNPs間の独立性を前提とすると、組み合わせた値についての全遺伝子型にわたる集団平均リスクは、基礎となる臨床評価リスク推定値と一致する。
ある態様では、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクは、[臨床評価リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45などにより計算される。別の態様において、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクは、[臨床評価5年リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45などにより計算される。
別の態様において、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクは、[臨床評価寿命リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45などにより計算される。ある態様において、臨床評価は、臨床的リスクを提供するために、以下の1つ以上を評価することにより行われる:結腸直腸癌の病歴、年齢、結腸直腸癌の家族歴、以前の結腸内視鏡検査/S状結腸鏡検査の結果および人種/民族。この態様において、リスク(すなわち組み合わせた遺伝的リスク×臨床的リスク)は、以下により提供される:
[リスク(すなわち臨床的×遺伝的リスク)]=[臨床的因子×臨床的因子2、×臨床的因子]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45など
ある態様において、臨床評価は、臨床的リスクを提供するために、第一度近親者の結腸直腸癌の病歴を評価することにより行われる。この態様において、リスク(すなわち組み合わせた遺伝的リスク×臨床的リスク)は、以下により提供される:
[リスク(すなわち臨床的×遺伝的リスク)]=[結腸直腸癌を有する第一度近親者と関連する臨床的リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP…×SNP45など
ある態様において、SNPsのリスク対立遺伝子に起因し得るlog家族性相対リスク(FRR;結腸直腸癌を伴う第一度近親者を有することと関連する結腸直腸癌についてのオッズ比)の割合は、推定され得る(45SNPsの検出、各SNPについてのハーディー・ワインベルグ平衡、SNPs間の連鎖平衡、および結腸直腸癌リスクを伴うSNPsとの関連性についての乗法モデルを前提とすると)。SNP、…SNP45は、表1からのSNPsであり、かつ臨床46、…臨床は、臨床的因子である(注:これらはFRRに寄与する任意の遺伝因子であり得る)。次に、Gは、集団からのランダムな人物についてのSNPでのリスク対立遺伝子の数を与える確率変数であり、G、…、Gは全て独立した確率変数(連鎖平衡による)であり、かつランダムな人物のlog-オッズ比はX+…+X(仮定された乗法モデルによる)であり、ここで、X=GlogORおよびORは、SNPについてのper-対立遺伝子オッズ比である。Antoniouら、2003の式は、Winら、2014に厳密に由来し、そしてlogFRR=1/2[Var(X)+…+Var(X)]となる。これは、log FRRが既知および未知の結腸直腸癌関連SNPsからの独立成分の合計であることを示す。既知のSNPsによるlog FRRの割合は、1/2[Var(X)+…+Var(X45)/logFRRであるが、臨床的因子による割合は、1からこの値を差し引かれる。追加的な臨床的因子は、必要に応じて上記計算に組み込まれ得る。
ある態様において、遺伝的リスク評価は臨床的リスク評価と組み合わせられ、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「相対リスク」を得る。他の態様において、遺伝的リスク評価は、臨床的リスク評価と組み合わせられ、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象の「絶対的なリスク」を得る。
対象
本願明細書において使用される「対象」なる語は、ヒト対象を意味する。「対象」、「患者」または「個人」のような語は、文脈において、本願において互換的に使用されることができる語である。一例において、本願の方法は、対象の日常的なスクリーニングのために使用されることができる。日常的なスクリーニングは、所定の時間間隔で対象を試験することを含むことができる。典型的な時間間隔は、1ヶ月に一度、3ヶ月に一度、6ヶ月に一度、1年に一度、2年に一度または3年に一度のスクリーニングを含む。
現行のリスクデータは、平均的なヒトは、約50歳で糞便潜血検査スクリーニング(ほとんどの国家的スクリーニングプログラムが推奨する)のリスク-閾値を満たすということを示唆する。しかしながら、本願の発明者らは、本願の方法を使用して、特に、これらの対象の第一度近親者が結腸直腸癌であると診断された場合、幾人かは、50歳に到達するかなり前に、糞便潜血検査スクリーニングに付されるべきであるということを見いだした。これらの知見は、50歳未満の対象は本願の方法を使用して評価されるべきであることを示唆する。したがって、一例において、本願の方法を使用してスクリーニングされる対象は、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49歳である。一例において、対象は、少なくとも40歳である。
結腸直腸癌の家族歴を有する対象は、より早くスクリーニングされることができる。例えば、これらの対象は、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37歳またはそれより高い年齢からスクリーニングされることができる。
別の例において、本願の方法を使用して評価される対象は、陽性の糞便潜血検査を有した。他の例において、対象は、腺腫性ポリープの個人歴または炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病)の個人歴を有する。
別の例において、本願の方法は、結腸直腸癌を示し得る症状を有する結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを評価するために使用することができる。結腸直腸癌の文脈において、本願は、陽性の糞便スクリーニング試験を有する対象、または下痢または便秘、便の硬さの変化、経直腸出血、さしこみ、不完全な排便、ガスまたは痛みのような持続性の腹部不快症状を含む用便習慣の変化のような症状を診療所へ提示している対象に適用できるだろう。
本願の方法は、男性および女性の対象におけるリスクを評価するために使用することができる。しかしながら、一例において、対象は男性である。
本願の方法は、種々の民族的背景からのヒト対象における結腸直腸癌を発症することに対するリスクを評価するために使用することができる。時間とともに異なった民族の起源の混合があることは周知である。実際、これは、本願明細書に記載されている方法を実施する当業者の能力に影響しないが、対象の民族的背景を同定することは望ましい場合がある。この場合、ヒト対象の民族性は、対象により自己報告されることができる。一例として、対象は、この質問:「あなたは何の民族群に属しているか?」に応答して彼らの民族を同定するように求められることができる。別の例において、対象の民族性は、対象から適当な同意を得た後の診療記録から、または臨床医の意見または観察から得られることができる。
一例において、対象は、自然人類学に基づいてコーカソイド、アウストラロイド、モンゴロイドおよびネグロイドに分類されることができる。一態様において、対象は、コーカサス人、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、アジア人、インド人、またはラテン系であることができる。一例において、対象はコーカサス人である。例えば、対象はヨーロッパ人であることができる。
祖先より直接または間接的な、白色の皮膚を有する主にヨーロッパ起源である対象は、本願の文脈においてコーカサス人であると見なされる。コーカサス人は、例えば、少なくとも75%コーカサス人の祖先を有し得る(例えば、限定はしないが、少なくとも3人のコーカサス人の祖父母を有する対象)。
祖先より直接または間接的な、主に中央または南部アフリカ起源である対象は、本願の文脈においてネグロイドであると見なされる。ネグロイドは、例えば、少なくとも75%ネグロイドの祖先を有し得る。主にネグロイドを祖先とし、黒色の皮膚を有するアメリカ人の対象は、本願の文脈においてアフリカ系アメリカ人であると見なされる。アフリカ系アメリカ人は、例えば、少なくとも75%ネグロイドの祖先を有し得る。類似の原理は、例えば、他の国(例えばグレート・ブリテン、カナダまたはオランダ)に住んでいるネグロイドを祖先とする対象に適用する。
祖先より直接または間接的に、スペイン、または中央または南アメリカの国のようなスペイン語を話す国を主に起源とする対象は、本願の文脈においてヒスパニック系であると見なされる。ヒスパニック系の対象は、例えば、少なくとも75%ヒスパニック系の祖先を有し得る。
日常的なスクリーニング
糞便潜血検査および結腸内視鏡検査/S状結腸鏡検査は、結腸直腸癌からの死亡率を減少させるが、多数の対象に日常的に提供するには高価である。したがって、スクリーニングするべき正しい集団を同定することが望ましい。一例において、本願の方法は、結腸直腸癌のためのヒト対象の日常的な診断試験の必要性を決定するために使用することができる。かかる日常的なスクリーニングは、上記で議論されたもののような所定の時間間隔での糞便潜血検査または結腸内視鏡検査/S状結腸鏡検査のいずれかを含むことができる。
一例において、結腸直腸癌に対するヒト対象の日常的な診断試験の必要性は、検出されるリスク対立遺伝子数に基づいて決定される。当業者は、一塩基多型の各々が、対象の体細胞二倍体ゲノムにおいて最大2倍存在し得ることを認識するだろう。故に、例えば、28個の一塩基多型の評価は、56個の対立遺伝子の検出をもたらし得る。別の例において、45個の一塩基多型の評価は、90個の対立遺伝子の検出をもたらし得る。検出される対立遺伝子の割合は、リスク対立遺伝子であり得る。検出されるリスク対立遺伝子数は、大腸癌を発症する対象のリスクに関連する。
一例において、一塩基多型の各々が、対象の体細胞二倍体ゲノムにおいて最大2倍存在し得ることを考慮するとき、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60個またはそれより多い、一塩基多型のリスク対立遺伝子を有する対象は糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。例えば、少なくとも44個の一塩基多型のリスク対立遺伝子を有する対象は糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。一例において、少なくとも44個の一塩基多型のリスク対立遺伝子を有する少なくとも49歳の対象は、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。
別の例において、少なくとも46個の一塩基多型のリスク対立遺伝子を有する対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。この例において、少なくとも46個の一塩基多型のリスク対立遺伝子を有する少なくとも47歳の対象は、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである。
別の例において、結腸直腸癌に対するヒト対象の日常的な診断試験の必要性は、対象の集団内の対象リスク序列に基づいて決定される。例えば、評価が対象を、結腸直腸癌を発症する危険性がある集団において対象の上位30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%に置くとき、対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。
一例において、遺伝的リスクは、SNPxSNPxSNPxSNPxSNPxSNPxSNP,×SNPに基づいて算出され、約5.9%より高いリスクを有する対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。別の例において、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4%またはそれより高いリスクを有する対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。
別の例において、組み合わされるリスク(すなわち臨床的x遺伝的リスク)は、[結腸直腸癌を有する第一度近親者を有することと関連する臨床的リスク]xSNPxSNPxSNPxSNPxSNPxSNPxSNP,×SNPに基づいて算出され、約11.5%より高いリスクを有する対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。別の例において、約12、12.5、13、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、14%またはそれより高いリスクを有する対象は、糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される。
別の例において、本願の方法は、対象における結腸直腸癌に対するスクリーニングの方法中へ組み込まれる。この例において、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクは、本願の方法を使用して評価され、対象は、結腸直腸癌を発症することに対するリスクを有すると評価されるとき、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査を介して結腸直腸癌について日常的にスクリーニングされる。
本願の方法は、結腸直腸癌を発症することのリスクの評価を提供することにおける他の方法または「追加の検査」と組み合わせて使用されることもできる。この例において、多重検査の結果は、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査のようなより確定的な検査が必要かどうかを決定することにおいて臨床医を助け得る。一例において、本願の方法は糞便潜血検査と組み合わせて実施される。
方法の性能
種々の態様において、方法の性能は、少なくとも約0.61、少なくとも約0.62、少なくとも約0.63の曲線下面積(AUC)によって特徴付けられる。
種々の態様において、本願の方法によりなし遂げられる感度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。
種々の態様において、本願の方法によりなし遂げられる特異性は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。
処置
結腸直腸癌についての高い遺伝的傾向は、予防または治療処置を開始するための警告として処理されることができる。故に、本願の方法の実施後、処置は、対象に処方されまたは施され得る。一態様において、本願の方法は、そのリスクのあるヒト対象における結腸直腸癌のリスクを予防することまたは減少させることにおける使用のための抗結腸直腸癌治療に関する。この態様において、対象は、治療または予防薬を処方されまたは投与され得る。例えば、対象は、化学予防薬を処方されまたは投与され得る。他の例において、対象は、アスピリン、イブプロフェン(buprofen)、アセトアミノフェン、およびナプロキセンのような非ステロイド性の抗炎症性薬物またはホルモン治療(エストロゲン+プロゲスチン)を処方されまたは投与され得る。別の例において、処置は、対象の食事の操作のような行動上の介入を含み得る。典型的な食事の修飾は、上昇した食物繊維、モノ飽和脂肪酸および/または魚油を含む。
サンプル製造および分析
本願の方法の実施において、対象からの生物学的サンプルが必要とされる。「サンプル」および「試料(specimen)」のような語は、文脈において、本願において互換的に使用されることができる語であると見なされる。任意の生物学的材料は、それが対象から得られることができる限りは上記サンプルとして使用することができ、DNAは、本願の方法に従って単離および分析されることができる。サンプルは、一般的に、インフォームドコンセントの後に、標準医学研究方法により患者から採取される。サンプルは、患者から直接採取された形態であってもよく、または少なくともいくつかの非核酸物質を除去するために、少なくとも部分的に処理(精製)されていてもよい。
典型的な「生物学的サンプル」は、患者からの体液(血液、唾液、尿など)、生検、組織、および/または排泄物を含む。故に、組織生検、糞便、痰、唾液、血液、リンパ液、涙、汗、尿、膣内分泌物など、本質的に適当な核酸を含むいずれの興味ある組織も、SNPsについて容易にスクリーニングされることができる。1つの態様において、生物学的サンプルは頬細胞サンプルである。
別の態様において、サンプルは血液サンプルである。血液サンプルは、必要に応じて、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィー(例えば免疫吸着剤手法)、免疫選択および濾過のような種々の方法を使用して、特定の細胞を除去するために処理されることができる。故に、一例において、サンプルは、対象から直接単離された、または対象から得られたサンプルから精製された特異的細胞型または細胞型の混合物を含むことができる。一例において、生物学的サンプルは、末梢血単核細胞(pBMC)である。細胞のサブ集団を精製する種々の方法は、当分野で知られている。例えば、pBMCは、種々の既知のFicollベースの遠心分離方法(例えばFicoll-Hypaque密度勾配遠心分離)を使用して全血から精製されることができる。
DNAは、SNPsを検出するためのサンプルから抽出することができる。一例において、DNAはゲノムDNAである。DNA、特にゲノムDNAを単離する種々の方法は、当業者に知られている。一般的に、既知の方法は、出発物質の破壊および溶解、その後のタンパク質および他の汚染物質の除去、および最後にDNAの回収を含む。例えば、アルコール沈殿;有機フェノール/クロロホルム抽出および塩析を含む技術は、長年、DNAを抽出し、単離するために使用されている。種々の市販されているゲノムDNA抽出のためのキット(Qiagen、Life technologies;Sigma)がある。DNAの純度および濃度は、種々の方法、例えば、分光光度法により評価されることができる。
マーカー検出戦略
マーカーを増幅するための増幅プライマー(例えば、マーカー遺伝子座)、およびこのようなマーカーを検出するための、または多重マーカー対立遺伝子に関してサンプルの遺伝子型を決定するための適当なプローブは、本願において使用することができる。例えば、長範囲PCRのためのプライマー選択は、US10/042,406およびUS10/236,480に記載されており;短範囲PCRのために、US10/341,832がプライマー選択に関して案内を提供する。また、プライマー設計のために利用できる「Oligo」のような公的に利用できるプログラムがある。かかる利用できるプライマー選択および設計ソフトウェア、公的に利用できるヒトゲノム配列および多型位置を用いて、当業者は、本願を実施するために、プライマーを構築してSNPsを増幅することができる。さらに、SNPを含む核酸(例えば、SNPを含むアンプリコン)の検出のために使用されるべき正確なプローブは変化することができ、例えば、検出されるべきマーカーアンプリコンの領域を同定することができる任意のプローブを本願と共に使用することができるということが評価されるだろう。さらに、検出プローブの立体配置は、もちろん、変化することができる。
結腸直腸癌と関連していることが知られるSNPsを含む核酸を増幅するために有用なオリゴヌクレオチドプライマーの例を表3に提供する。当業者が認識するであろうように、これらのオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするゲノム領域の配列は、5’および/または3’末端でより長く、恐らく5’および/または3’でより短い(該切断型が、増幅のためにまだ使用されることができる限り)、1つのまたは少数のヌクレオチド差異を有する(しかし、それにもかかわらず増幅のためになお使用されることができる)、または提供されるものと配列類似性を共有しないが、具体的に提供されたオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする位置に近いゲノム配列に基づいて設計され、増幅のためになお使用されることができる、プライマーを設計するために使用することができる。
Figure 0007126704000006
いくつかの態様において、本願のプライマーは、いかなる追加の標識工程または視覚化工程を用いることなく、増幅反応の後の異なったサイズのアンプリコンの迅速な視覚化を可能にするため、放射性標識され、または任意の適当な手法により(例えば、非放射性蛍光タグを使用して)標識される。いくつかの態様において、プライマーは標識されず、アンプリコンは、それらのサイズ解析の後に、例えば、アガロースまたはアクリルアミドゲル電気泳動の後に視覚化される。いくつかの態様において、サイズ解析の後のPCRアプリコンの臭化エチジウム染色は、異なったサイズアプリコンの視覚化を可能にする。
本願のプライマーが、任意の特定のサイズのアンプリコンを生成することに限定されることは意図されていない。例えば、本明細書中で、マーカー遺伝子座および対立遺伝子を増幅するために使用されるプライマーは、関連する遺伝子座の全体の領域、または任意のそのサブ領域を増幅することに限定されない。該プライマーは、検出のための任意の適当な長さのアンプリコンを生成することができる。いくつかの態様において、マーカー増幅は、少なくとも20ヌクレオチド長、あるいは、少なくとも50ヌクレオチド長、あるいは、少なくとも100ヌクレオチド長、あるいは、少なくとも200ヌクレオチド長のアンプリコンを製造する。任意のサイズのアプリコンは、本願明細書に記載されている種々の科学技術を使用して検出することができる。塩基組成物またはサイズにおける差異は、電気泳動法のような慣用の方法により検出することができる。
実際、増幅がマーカー検出にとって必須要件ではない、例えば単純にゲノムDNAのサンプル上でサザンブロットを実施することにより、増幅されないゲノムDNAを直接検出することができるということが認識されるだろう。
一般的に、分子マーカーは、限定することなく、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(ASH)、一塩基伸長の検出、アレイハイブリダイゼーション(所望によりASHを含む)、または、一塩基多型を検出するための他の方法、増幅フラグメント長多型(AFLP)検出、増幅可変配列検出、無作為増幅多型DNA(RAPD)検出、制限フラグメント長多型(RFLP)検出、自律性配列複製検出、単純配列反復(SSR)検出、および一本鎖コンホメーション多型(SSCP)検出を含む、当該分野において利用できる任意の確立された方法により検出される。
遺伝子マーカーを検出するためのいくつかの技術は、遺伝子マーカーに対応する核酸(例えば、鋳型としてのゲノムDNAを使用して製造された増幅核酸)へのプローブ核酸のハイブリダイゼーションを利用する。限定はしないが:液相、固相、混合相、またはin situハイブリダイゼーションアッセイを含むハイブリダイゼーション様式は、対立遺伝子検出のために有用である。核酸のハイブリダイゼーションへの広範囲の案内は、Tijssen(1993)およびSambrookら(上記)において見いだされる。
通常「TaqManTM」プローブと呼ばれる二重標識蛍光性オリゴヌクレオチドプローブを使用したPCR検出は、本願に従って実施されることもできる。これらのプローブは、2つの異なる蛍光色素を用いて標識される短い(例えば、20-25塩基の)オリゴデオキシヌクレオチドで構成される。各プローブの5’末端上にレポーター色素があり、各プローブの3’末端上に消光性色素が見つけられる。該オリゴヌクレオチドプローブ配列は、PCRアンプリコン中に存在する内部標的配列に対して相補的である。該プローブが無傷である場合、エネルギー移動が2つのフルオロフォア間で起こり、該レポーターからの発光は、FRETによる消光剤により消光される。PCRの伸長フェーズの間、該プローブは、反応において使用されるポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により開裂され、それにより該オリゴヌクレオチド-消光剤から該レポーターを放出させ、レポーター発光強度の上昇を引き起こす。したがって、TaqManTMプローブは、標識および消光剤を有するオリゴヌクレオチドであり、ここで該標識は、増幅において使用されるポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ作用によって増幅の間に遊離される。これは、合成の間の増幅のリアルタイム測定を提供する。種々のTaqManTM試薬は、例えば、Applied Biosystem(本社カリフォルニア州、フォスターシティ)から、ならびに、Biosearch Technologies(例えば、ブラックホール消光剤プローブ)のような種々の専門メーカーから市販されている。二重標識プローブ戦略に関するさらなる詳細は、例えば、WO92/02638において見いだされることができる。
他の類似の方法は、例えば、US6,174,670に記載されている「Light Cycler(登録商標)」フォーマットを使用し、例えば、2つの隣接してハイブリダイズしたプローブ間の蛍光共鳴エネルギー移動を含む。
アレイベースの検出は、例えば、Affymetrix(カリフォルニア州、サンタクララ)または他の製造業者からの市販されているアレイを使用して実施されることができる。核酸アレイの操作に関するレビューは、Sapolskyら(1999);Lockhart(1998);Fodor(1997a);Fodor(1997b)およびCheeら(1996)を含む。アレイベースの検出は、アレイベースの検出の本質的にハイスループットな特性のため、本願のマーカーをサンプル中で同定するための1つの好ましい方法である。
分析されるべき核酸サンプルは、単離され、増幅されおよび、一般的に、ビオチンおよび/または蛍光レポーター基を用いて標識される。標識された核酸サンプルは、次いで、流体ステーション(fluidics station)およびハイブリダイゼーションオーブンを使用して、アレイとともにインキュベートされる。該アレイは、検出方法に応じて適宜、洗浄され、およびまたは染色され、または対比染色されることができる。ハイブリダイゼーション、洗浄および染色後、該アレイは、スキャナー中へ挿入され、そこでハイブリダイゼーションのパターンが検出される。ハイブリダイゼーションデータは、該プローブアレイに今は結合している標識された核酸中へすでに組み込まれた蛍光レポーター基から放出される光として回収される。該標識された核酸に最もはっきりと適合するプローブは、不一致を有するものより強いシグナルを生ずる。該アレイ上の各プローブの配列および位置が既知であるため、相補性により、該プローブアレイに適用された核酸サンプルの同一性は、同定されることができる。
癌リスクと相関するマーカー
SNPと結腸直腸癌のリスクとの間の相関関係は、対立遺伝子と癌リスクの上昇との間の関係、または対立遺伝子と癌リスクの上昇との組合せを同定することができるいずれかの方法により実施されることができる。例えば、本明細書中で定義される遺伝子または遺伝子座における対立遺伝子は、結腸直腸癌のリスクの上昇と相関していることができる。最も一般的に、これらの方法は、多型の対立遺伝子と癌リスクとの間の相関関係を含むルックアップテーブルを参照することを含む。該テーブルは、複対立遺伝子-リスク関係のためのデータを含むことができ、および、例えば、主成分分析(principle component analysis)、発見的アルゴリズム、などのような統計的手法の使用により、複対立遺伝子-リスク関係の追加のまたは他のより高次の効果を考慮することができる。
癌リスクに対するマーカーの相関関係は、所望により、相関関係のための1つ以上の統計的試験を実施することを含む。多くの統計的試験が既知であり、ほとんどは、分析しやすくするためにコンピューターにより実行される。表現型形質と生物学的マーカーとの間の関連/相関関係を決定する種々の統計的方法が、既知であり、本願に適用されることができる。Hartl(1981)。種々の適当な統計的モデルは、LynchおよびWalsh(1998)に記載されている。これらのモデルは、例えば、遺伝子型値と表現型値との間の相関関係を提供し、遺伝子座の癌リスクに対する影響を特徴付け、環境と遺伝子型との間の関係を明らかにし、遺伝子の優位性または浸透度を決定し、母方のおよび他のエピジェネティックな効果を決定し、分析において主成分を決定する(主成分分析、すなわち「PCA」を介して)、などができる。これらの文献において引用される参考文献は、マーカーと癌リスクとを相関させるための統計的モデルについて、考慮すべきさらなる詳細を提供する。
相関関係を決定するための標準統計的方法に加えて、遺伝的アルゴリズムの使用のような、パターン認識および訓練により相関関係を決定する他の方法は、マーカーと癌リスクとの間の相関関係を決定するために使用することができる。これは、複対立遺伝子と癌リスクとの間のより高次の相関関係を同定する際、特に有用である。説明するため、ニューラルネットワークアプローチは、遺伝情報と表現型結果との間の相関関係を決定する構造-機能データ空間モデルの発見的開発のための遺伝的アルゴリズム型プログラミングと連結されることができる。
いずれの場合も、本質的にいずれかの統計的試験は、標準プログラミング方法により、または、例えば、パターン認識のためのソフトウェアを提供する(例えば、Partek Pro2000パターン認識ソフトウェアを提供する)、上記で述べられたものおよび市販のもの、例えば、Partek Incorporated(St.Peters、Mo.;www.partek.com)由来のものを含む、かかる統計分析を実施する種々の「既製の(off the shelf)」ソフトウェアパッケージのいずれかを使用して、コンピューターにより実行されるモデルにおいて適用されることができる。
関連研究に関する追加の詳細は、US10/106,097、US10/042,819、US10/286,417、US10/768,788、US10/447,685、US10/970,761、およびUS7,127,355中に見いだされることができる。
上記の相関関係を実施するためのシステムも本願の特性である。一般的に、該システムは、対立遺伝子の存在または不在(直接検出される、または、例えば、発現レベルによる)を予測される癌リスクと相関させるシステム指示を含むだろう。
所望により、システム指示は、任意の検出される対立遺伝子情報と関連する診断情報、例えば、関連する対立遺伝子を有する対象が、特定の癌リスクを有するという診断を許容するソフトウェアも含むことができる。このソフトウェアは、ルックアップテーブルの精度および/または該システムによる該ルックアップテーブルの解釈を改善するためのかかる入力された関連を使用して、特性において発見的であることができる。ニューラルネットワーク、マルコフ(Marcov)モデリングおよび他の統計分析を含む種々のかかるアプローチが、上記される。
多型プロファイリング
本願は、本願(表6)において概略が示されるSNPsまたはそれらの1つ以上との連鎖不均衡におけるSNPsで個人の多型プロフィールを決定する方法を提供する。
多型プロフィールは、個人において種々の多型部位を占めている多型形態を構成する。二倍体ゲノムにおいて、同じかまたは互いに異なっている2つの多型形態は、通常各多型部位を占める。故に、部位XおよびYでの多型プロフィールは、形態X(x1,x1)、およびY(y1,y2)において表されることができ、ここでx1,x1は、部位Xを占めている対立遺伝子x1の2コピーを表し、y1,y2は、部位Yを占めているヘテロ接合体対立遺伝子を表す。
個人の多型プロフィールは、各部位で発生する結腸直腸癌に対する感受性と関連する多型形態との比較により得点を付けられることができる。該比較は、少なくとも、例えば、1、2、5、10、25、50個の、または全ての多型部位、および所望により、それらと連鎖不均衡における他のものに対して実施されることができる。該多型部位は、他の多型部位と組み合わせて分析されることができる。
多型プロファイリングは、例えば、所定の個人における結腸直腸癌の処置または予防に影響する薬剤を選択することにおいて、有用である。類似の多型プロフィールを有する個人は、同様に薬剤に反応する可能性がある。
コンピューターにより実行される方法
本願の方法は、コンピューターにより実行される方法としてシステムにより実行され得る。例えば、該システムは、メモリーに接続され、共に作動し得る1つまたは複数のプロセッサー(便宜上「プロセッサー」と呼ばれる)を含むコンピューターシステムであり得る。該メモリーは、ハードドライブ、固体ディスクまたはCD-ROMのような非一過性コンピューター可読媒体であり得る。コードモジュールにグループ分けされたプログラムコードのような、実行可能な指示またはプログラムコードであるソフトウェアは、メモリー上に蓄積されてもよく、プロセッサーにより実行される場合、遺伝的リスク、および所望により、結腸直腸癌を発症する対象の臨床的リスクを示すデータを受信して、ユーザーが結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを決定するのを助けるために、タスクが実施されるべきであるということを決定することなどの機能を該コンピューターシステムに実施させ得る。ここで、該遺伝的リスクは、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、表1に示される少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型の存在を検出すること;結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを得るためにデータを処理すること;結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクの存在を出力することにより得られた。
例えば、メモリーは、プロセッサーにより実行される場合、システムに、表1から選択される少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型の存在を決定させ、または、表1から選択される少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型の存在を示すデータを受信させ;該データを処理して結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを得させ;結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを報告させるプログラムコードを含み得る。故に、一態様において、該プログラムコードは、システムに「遺伝的リスク」を決定させる。
別の例において、メモリーは、プロセッサーにより実行される場合、システムに、表1から選択される少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型の存在を決定させ、または表1から選択される少なくとも28個の一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型の存在を示しているデータを受信させ;および、対象のための臨床的リスクデータを受信させまたは決定させ;該データを処理して遺伝的リスクデータを臨床的リスクデータと組み合わせて、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを得させ;結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを報告させるプログラムコードを含み得る。例えば、該プログラムコードは、システムに臨床的リスク評価データ×遺伝的リスクを組み合わせさせることができる。
他の態様において、システムは、該システムにユーザーからの情報を受信させる、および/または情報を出力または表示させるために、ユーザーインターフェースと連結している場合がある。例えば、該ユーザーインターフェースは、グラフィカルユーザーインターフェース、ボイスユーザーインターフェースまたはタッチスクリーンを含み得る。一例において、ユーザーインターフェースは、SNPアレイプラットフォームである。
一態様において、システムは、少なくとも1つの遠隔デバイスまたは無線通信ネットワークのような通信ネットワークを介するサーバーを用いて通信するように構成され得る。例えば、該システムは、デバイスまたは通信ネットワークを介するサーバーから情報を受信するために、および、情報を同じまたは異なったデバイスまたは通信ネットワークを介するサーバーへ伝達するために構成され得る。他の態様において、システムは、直接的ユーザー相互作用から単離され得る。
他の態様において、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを評価するために本願の方法を実施することは、結腸直腸癌を発症する対象の遺伝的リスクに基づいた診断または予後規則の確立を可能にする。例えば、診断または予後規則は、リスクの対照、標準または閾値レベルに相対的な遺伝的リスクに基づくことができる。別の例において、診断または予後規則は、リスクの対照、標準または閾値レベルに相対的な組み合わされた遺伝的および臨床的リスクに基づくことができる。
他の態様において、診断または予後規則は、統計的および機械学習アルゴリズムの適用に基づいている。かかるアルゴリズムは、SNPsの集団と訓練データにおいて観察される疾患状態(既知の疾患状態を伴う)との間の関係を使用して、未知のリスクを有する対象における結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを決定するために使用される関係を推論する。結腸直腸癌を発症するヒト対象のリスクを提供するアルゴリズムが、採用される。該アルゴリズムは、多変量または単変量分析機能を実施する。
キットおよび製品
一態様において、本願は、28個以上の核酸を増幅するための少なくとも28個のプライマーセットを含むキットを提供し、ここで28個以上の核酸は、表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型を含む。
一態様において、キットは、表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型を含む核酸を増幅するための、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45個のプライマーセットを含む。
当業者により認識されるであろうように、一旦SNPが同定されると、ルーチンなこととして、該SNPを増幅するようにプライマーを設計することができる。興味あるSNPsを増幅するための適当なプライマーを提案することができる種々のソフトウェアプログラムは、自由に利用できる。
また、PCRプライマー対のPCRプライマーが、ヒトDNAからの興味ある領域を特異的に増幅するように設計されることができるということは、当業者に知られているだろう。本願の文脈において、興味ある領域は、遺伝子型を決定されるべき一塩基変異(例えば、一塩基多型、SNP)を含む。PCRプライマー対の各PCRプライマーは、DNA配列変異の反対の部位上の特定の一塩基変異に隣接して置かれることができる。さらに、PCRプライマーは、それらのPCRプライマー結合部位における任意の既知のDNA配列変異および反復DNA配列を回避するように設計されることができる。
キットは、バッファー、ヌクレオチドおよび/またはポリメラーゼ、ならびにサンプルから核酸を抽出するための試薬のような増幅反応を実施するのに必要とされる他の試薬をさらに含み得る。
アレイベースの検出は、アレイベースの検出の本質的にハイスループットな特性のため、サンプルにおいて本願のSNPsを評価するための1つの好ましい方法である。種々のプローブアレイは、文献に記載されており、結腸直腸癌と相関されることができるSNPsの検出のために、本願の文脈において使用することができる。例えば、DNAプローブアレイチップは、本願の一態様において使用される。DNAプローブセットによるサンプルDNAの認識は、DNAハイブリダイゼーションにより行われる。DNAサンプルが、DNAプローブのアレイとハイブリダイズする場合、該サンプルは、該サンプルDNA配列に対して相補的であるプローブに結合する。個人のためのサンプルDNAが、どのプローブにより強くハイブリダイズするかを評価することにより、該サンプル中に核酸の既知の配列が存在するかしないかを決定し、それにより核酸中に見つけられるマーカーが存在するかどうかを決定することが可能である。
故に、他の態様において、本願は、28個以上の核酸にハイブリダイズするための少なくとも28個のプローブセットを含む遺伝子アレイを提供し、ここで28個以上の核酸は、表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型を含む。一態様において、該アレイは、表1から選択される一塩基多型、またはそれらの1つ以上との連鎖不均衡における一塩基多型を含む核酸にハイブリダイズするための、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45個のプローブを含む。
他のSNPsのためのプライマーおよびプローブは、上記で例示されたキットに含まれることができる。例えば、X染色体SNP(rs5934683)または種々の他のSNPsのためのプライマーおよび/またはプローブが含まれ得る。
実施例
実施例1-結腸直腸癌リスクを示すSNPs
ヨーロッパ人集団において結腸直腸癌と関連する54個のSNPsを同定した。これらのうち、11q12.2内の4個のSNPs(rs174537、rs4246215、rs174550およびrs1535)が、完全に相関しており、共通のハプロタイプ(11q12.2ハプロタイプとしてここで命名)によって表すことができる。19q13.2内の2個のSNPs(rs1800469およびrs2241714)が、完全に相関しており、共通のハプロタイプ(19q13.2ハプロタイプとしてここで命名)によって表すことができる。1個のSNPは、X染色体(rs5934683)上にあり、組み合わせられる男性および女性に対する結腸直腸癌リスクのシミュレーションにおいて含まれなかった。1q41内の2個のSNPs(rs6687758およびrs6691170)は連鎖不均衡にある。したがって、rs6691170を除外した。8q24.21内の3個のSNPs(rs10505477、rs6983267およびrs7014346)は、1.0のD primeを有する。したがって、rs10505477およびrs7014346を除外した。10q24.2内の2個のSNPs(rs1035209およびrs11190164)は0.9のD primeを有する。したがって、rs1035209を除外した。
したがって、連鎖不均衡にある、またはX染色体上にある残りのSNPsで合計で、45個のSNPsを同定されている。結腸直腸癌リスクを示すSNPsを表4に示す。各リスク対立遺伝子の対立遺伝子頻度およびリスク対立遺伝子あたりのオッズ比も表4に示す。
平均リスク対立遺伝子頻度は0.43(0.07から0.91の範囲)であった。リスク対立遺伝子あたりの平均オッズ比は1.14(1.05から1.53の範囲)であった。各SNPに起因することができる平均家族性相対リスク(FRR;結腸直腸癌を有する第一度近親者を有することと関連する結腸直腸癌に対するオッズ比)は、総log FRRの0.50%(0.07%から3.41%の範囲)である1.0040(1.0006から1.0281の範囲)であった。全45個のSNPsに起因する可能性のある組み合わされるFRRは、総log FRRの22.3%である1.1980であった。SNPsによらない推定されるFRRは1.88であった。
表4. 結腸直腸癌と関連するSNPs。表は、SNP名、可能性のあるSNPの調節標的に最も近いまたは内部の遺伝子、報告されたリスク対立遺伝子遺伝子型、コントロールにおける報告されたリスク対立遺伝子頻度、リスク対立遺伝子あたりの結腸直腸癌との報告された関連性(オッズ比)、SNPに起因する家族性相対リスク(FRR)、およびSNPによるlog FRRの割合を示す。*SNPの調節標的に最も近いまたは可能性のある遺伝子/s。連鎖不均衡におけるSNPsは、角括弧[]で示される。
Figure 0007126704000007
Figure 0007126704000008
Figure 0007126704000009
実施例2-リスク対立遺伝子シミュレーション
SNPsのリスク対立遺伝子の累積数がコントロールから結腸直腸癌の症例を区別し、リスク対立遺伝子の数の関数として結腸直腸癌のリスクを推定する能力を決定するシミュレーションを、ソフトウェア PLINK(Purcell et al.、2007)(http://pngu.mgh.harvard.edu/purcell/plink/)を使用して行った。
結腸直腸癌を有する1,000,000人(症例)および結腸直腸癌を有さない1,000,000人(コントロール)の集団をシミュレートした。シミュレートされた集団に対するSNPリスク対立遺伝子の分布は、報告されたリスク対立遺伝子頻度に、および結腸直腸癌関連のper対立遺伝子オッズ比に一致した。各SNPについて結腸直腸癌との関連が独立しているリスクの単純なモデルが、この評価において仮定された。この分析において、また、各SNPについて結腸直腸癌に対する報告されたオッズ比が、男性および女性の両方に適用可能であり、年齢によらず一定であったと仮定した。
SNPsの区別能力を、受信者操作曲線を使用して、曲線下面積を評価して(無作為に選択された結腸直腸癌症例が無作為に選択されたコントロールよりもよりリスク対立遺伝子を有する確率)、コントロールから症例を区別するために評価した。オッズ比を、(i)中央五分位値にあるリスク対立遺伝子の数の最高および最低の五分位値にある;(ii)リスク対立遺伝子の数の最高および最低の十分位値にある 対 リスク対立遺伝子の中央値にある;および(iii)リスク対立遺伝子の標準偏差あたり、に関して結腸直腸癌リスクについて推定した。五分位値および十分位値のリスク対立遺伝子の数のカットオフ、および標準偏差は、コントロールについてのリスク対立遺伝子の分布に基づいていた。
これらのオッズ比は年齢によらず一定であり、男性と女性で同等であるとの仮定の下で、結腸直腸癌の累積寿命リスク(誕生から70歳)および各年齢カテゴリーの5年リスクを、SNPリスク対立遺伝子の数によってオーストラリア人およびアメリカ人について推定した。年齢別のオーストラリア人およびアメリカ人集団発生率は、リスク対立遺伝子の中央値を有するものの発生率であると評価された。結腸直腸癌集団発生率を、オーストラリア保健福祉研究所、2015(Australian Institute of Health and Welfare, 2015)および監視疫学遠隔成績(Surveillance, Epidemiology, and End Results)(SEER)プログラム癌統計値から得た(Howlander et al., 1975-2011)。
SNPsのリスク対立遺伝子に起因し得るlog家族性相対リスク(FRR;結腸直腸癌を伴う第一度近親者を有することと関連する結腸直腸癌についてのオッズ比)の割合は、推定された。各SNPについてのハーディー・ワインベルグ平衡、SNPs間の連鎖平衡、および結腸直腸癌リスクを伴うSNPsとの関連性についての乗法モデルを評価した。より正確には、SNP、…、SNP45を既知の結腸直腸癌関連SNPsとし、臨床的因子、…、臨床的因子を未知のものとする(注:これらはFRRに寄与する任意の遺伝因子であり得るが、単純化のためにそれらをSNPsと考える)。次に、Gは、集団からのランダムな人物についてのSNPでのリスク対立遺伝子の数を与える確率変数であり、G、…、Gは全て独立した確率変数(連鎖平衡による)であり、かつランダムな人物のlog-オッズ比はX+…+X(仮定された乗法モデルによる)であり、ここで、X=GlogORおよびORは、SNPについてのper-対立遺伝子オッズ比である。Antoniouら、2003の式は、Winら、2014に厳密に由来し、そしてlogFRR=1/2[Var(X)+…+Var(X)]となる。
これは、log FRRが既知および未知の結腸直腸癌関連SNPsからの独立成分の合計であることを示す。既知のSNPsによるlog FRRの割合は、1/2(Var(X)+…+Var(X45))/logFRRであるが、未知のSNPsによる割合は、1からこの値を差し引かれる。結腸直腸癌を有する少なくとも1つの第一度近親者を有するFRRが、結腸直腸癌の家族歴の以前のメタ分析(Johns et al., 2001)および初等的計算(ハーディー・ワインベルグ平衡を仮定)に基づいて2.25であり、Var(Xi)=2pi(1-pi)(logORi)ことを示し、ここでpiはSNPiの小さい対立遺伝子頻度であると仮定した。この統計値を使用して、結腸直腸癌の家族歴の有および無で、リスク対立遺伝子の数による結腸直腸癌の5年リスクを推定した。
結腸直腸癌の家族歴の有および無で、シミュレートされた人々に対するリスク対立遺伝子の数を図1に示し、以下のように要約することができる:
-結腸直腸癌を有するもの:中央42リスク対立遺伝子、21から61の範囲のリスク対立遺伝子、平均41.6リスク対立遺伝子、標準偏差4.2リスク対立遺伝子;
-結腸直腸癌を有さないもの:中央40リスク対立遺伝子、20から59の範囲、平均39.7リスク対立遺伝子、標準偏差4.2リスク対立遺伝子;上位四分位値44以上のリスク対立遺伝子;下位四分位値36以下のリスク対立遺伝子;上位十分位値46以上のリスク対立遺伝子;下位十分位値34以下のリスク対立遺伝子)(図1)。
29個のリスク対立遺伝子を有することが、オーストラリア人の1.4%およびアメリカ人の1.0%の結腸直腸癌の寿命リスクに相当した。それぞれのリスクは、36個のリスク対立遺伝子に対して2.9%および2.0%であり;43個のリスク対立遺伝子に対して6.1%および4.3%であり;および50個のリスク対立遺伝子に対して12.5%および8.8%であった(図1)。リスク対立遺伝子の数に関する中間五分位値の人々と比較して、結腸直腸癌のオッズ比は、リスク対立遺伝子の数の最高五分位値の人々に関して1.81、および最低五分位値の人々に関して0.51であった;これは、3.55倍の五分位値間リスク(最高 対 最低五分位値)と同等である。40個のリスク対立遺伝子の中央を有する人々と比較して、結腸直腸癌に関するオッズ比は、リスク対立遺伝子の数の最高十分位値の人々に関して2.27、および最低十分位値の人々に関して0.45であった;これは、5.04倍の十分位値間リスク(最高 対 最低十分位値)と同等である。リスク対立遺伝子の標準偏差あたりのオッズ比は1.57であった。受信者操作特性曲線は、0.63の曲線下面積を有した。
オーストラリア人における結腸直腸癌についての2011年集団発生率に基づいて、70歳までの結腸直腸癌の平均累積リスクは3.3%であった。リスク対立遺伝子の数の最高五分位値の人々に関して、累積リスクは、リスク対立遺伝子の数の最低五分位値の人々に関して1.7%(結腸直腸癌を有する第一度近親者を有しもするとき3.2%、および有さなかったとき1.6%)と比較して、5.9%(結腸直腸癌を有する第一度近親者を有しもするとき11.5%、および有さなかったとき5.5%)であった。
リスク対立遺伝子の数の最高十分位値の人々に関して、累積リスクは、リスク対立遺伝子の数の最低十分位値の人々に関して1.5%(結腸直腸癌を有する第一度近親者を有しもするとき2.8%、および有さなかったとき1.4%;図2A、B)と比較して、7.4%(結腸直腸癌を有する第一度近親者を有しもするとき13.4%、および有さなかったとき6.9%)であった。組み合わせられる男性および女性よりも、男性に対する概算は、平均約13%高く、女性に対する概算は、平均16%低かった(図4および5)。
オーストラリア人の平均(以前に罹患していない)人の結腸直腸癌の5年リスクは、63歳で1%に達する。同じ1% 5年リスクは、リスク対立遺伝子の数の最高五分位値の人々に関して約7歳早い(および結腸直腸癌の家族歴を有しもするとき、約14歳早い)、およびリスク対立遺伝子の数の最高十分位値の人々に関して約10歳早い(家族歴を有しもするとき16歳早い;図2のパネルC、Dおよび表5)で達成される。組み合わせられる男性および女性よりも、平均して、男性は1-2年早い1%リスク 閾値に達し、女性は平均3-4歳遅い閾値に達した(表5)。
表5.結腸直腸癌の5年リスクが、結腸直腸癌の家族歴(少なくとも1の第一度近親者)および45SNPsのリスク対立遺伝子の種々のカテゴリーに関して、1%の閾値に達するか、または超える年齢(歳)。
Figure 0007126704000010
アメリカ人における結腸直腸癌の集団発生率がより低い(特にオーストラリア人と比較して50歳後)ことを考慮すると、リスク対立遺伝子の数および家族歴に基づく関連リスクもまた、オーストラリア人よりもより低い(図3パネルA、B、図6および7)。比較において、同じ1% リスクは、リスク対立遺伝子の数の最高五分位値の人々に関して約9歳早い(結腸直腸癌の家族歴を有しもするとき、20歳早い)、およびリスク対立遺伝子の数の最高十分位値の人々に関して約12歳早い(家族歴を有しもするとき22歳早い;図3のパネルC、Dおよび表5)で達成される。組み合わせられる男性および女性よりも、平均して、男性は3-5年早い1%リスク 閾値に達し、女性は平均1-3歳遅い閾値に達した(表5)。
実施例3-結腸直腸癌のリスクによる対象のカテゴリー化
シミュレーションを使用して、45個のリスク関連SNPsのパネルの有用性を定量化し、結腸直腸癌のリスクに基づいて人々を分類した。リスク対立遺伝子のスペクトルの末端の人々は、結腸直腸癌を発症するかなり高い可能性(上限)または結腸直腸癌を発症する低い可能性(下限)があった。集団にわたるこれらのSNPsと関連するリスクの全変動は総FRRの約4分の1を説明することができるため、結腸直腸癌の家族歴も考慮すると、SNPプロフィールの予測強度が増加する。(これらのSNPsのリスク対立遺伝子数に関する)集団の最低20%の結腸直腸癌との関連性の強度は、残りのFRRと関連する増加したリスクのほぼ逆であることを考慮すると、結腸直腸癌の家族歴を有するが、これらのSNPsのリスク対立遺伝子の数の集団の最低五分位値にもある人々は、集団リスクにある。
したがって、これらのSNPsの測定は、結腸直腸癌リスクの評価のための有用な方法であり、誰が結腸直腸癌スクリーニングについて推奨されるべきか、およびどの強度でを決定するためのツールとして使用することができる。例えば、リスク対立遺伝子(少なくとも44個の対立遺伝子)の集団の上位20%の人々は、平均的な人よりも平均集団5年リスク 9歳早いに達する。したがって、平均的な人が50歳で糞便潜血検査スクリーニング(ほとんどの国民のスクリーニングプログラムが推奨する)のリスク閾値を満たすとき、少なくとも44個のリスク対立遺伝子を有する人が41歳で同じリスク閾値に達する。結腸直腸癌を有する第一度近親者を有する人々について結腸内視鏡検査スクリーニングを始める年齢は、リスク対立遺伝子の最高五分位値および最高十分位値についてそれぞれ49および47歳であろう。アメリカ人において、結腸直腸癌の集団リスクがオーストラリア人よりも低い場合、上位五分位値または十分位値であり、結腸直腸癌の家族歴を有する2%閾値は、それぞれ62および59歳で達成される。
実施例4-45個の独立したリスク関連SNPsおよび多世代家族歴に基づく非リンチ症候群結腸直腸癌に対するリスク予測
混合主要遺伝子-多遺伝子モデル(CRiPT)を使用する多世代結腸直腸癌データに基づくlog変換年齢調整した5年結腸直腸癌リスクを与える家族歴ベースのリスクスコアを決定した。この臨床的リスク評価を、表4に列挙される45個のSNPsに基づくリスクスコアと組み合わせた。本願発明者らは、ロジスティック回帰を使用して、結腸直腸癌を有するリスクでの各スコアに関する調整された標準偏差あたりのオッズ比(OPERA)(Dite et al., 2016)を概算した。
SNPベースのスコア、家族歴ベースのスコア、および組み合わせられたSNPおよび家族歴ベースのスコアは、全て、それぞれ1.40(95%信頼区間[CI]、1.24-1.58)、1.39(1.26-1.53)、および1.59(1.42-1.79)のOPERAを有する結腸直腸癌リスクと関連する。これらは、2.4、2.3および3.2の四分位値間リスク比(リスクスコアに関して、集団の最低25%のリスクによって割られた集団の最高25%のリスク)に相当する。組み合わせられたリスクスコアは、SNPおよび家族歴ベースのスコアよりもより良い適合を与えた(両方P<0.001)。(50歳を超えて結腸直腸癌と診断された2つの第一度近親者と同様に)約4倍増加したリスクにある適度に強い家族歴を有する人々に関して、これらの概算は、SNPスコアの上位四分位値(25%)は6倍以上の集団リスク、下位四分位値は2.5倍未満の集団リスクであると予測する。
したがって、SNPsの情報と多世代家族歴とを組み合わせることは、結腸直腸癌を予測する能力を約40%改善した。したがって、これらの人々の約半分について臨床管理を再分類され得ることを考慮すると、この新たな組み合わせられたリスク尺度は、リスクに基づくより良い標的化された結腸直腸癌スクリーニングを知らせるために使用することができる。
広範に記載された本開示の精神または範囲から逸脱することなく、特定の態様に示されるように、本開示に多くの変形および/または修飾がなされ得ることは、当業者には理解される。したがって、本態様は、すべての点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
本出願は、2016年1月28日に出願されたAU2016900254および2016年8月16日に出願された2016903246の優先権を主張し、これらの記載は出典明示により本願明細書に包含させる。
上記のすべての文献が、それら全体において本明細書に本願される。
本願明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などの議論は、単に本開示の文脈を提供する目的のためである。これらの事項の一部または全部が、先行技術ベースの一部を構成するか、または本願の各請求の優先日以前に存在していたとき本開示に関連する分野における共通の一般知識であったと認めるとみなすべきでない。
文献
Figure 0007126704000011

Claims (17)

  1. 結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを評価することを補助するための方法であって、該方法は、対象の遺伝的リスク評価を実施することを含み、遺伝的リスク評価は、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、表1に提供される少なくとも45個の一塩基多型存在を検出することを含、方法。
  2. 対象の臨床的リスク評価を実施すること、および遺伝的リスク評価と臨床的リスク評価とを組み合わせて、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを得ることをさらに含む、請求項に記載の方法。
  3. 臨床的リスク評価を実施することが、対象から以下:結腸直腸癌の病歴、年齢、結腸直腸癌の家族歴、以前の結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングの結果および人種/民族の1つ以上の情報を得ることを含む、請求項に記載の方法。
  4. 臨床的リスク評価を実施することが、対象から年齢および/または第一度近親者の結腸直腸癌の病歴の情報を得ることを含む、請求項に記載の方法。
  5. 対象が、
    -陽性の糞便潜血検査;
    -少なくとも40歳;
    -結腸直腸癌の家族歴および少なくとも30歳
    の1つ以上または全てによって特徴づけられる、
    請求項1からのいずれかに記載の方法。
  6. 対象が男性である、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  7. リスク評価の結果が、対象がスクリーニングプログラムに登録されるべきであるか、またはより頻繁なスクリーニングに付されるべきであることを示す、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  8. 方法の性能が、少なくとも約0.63の曲線下面積(AUC)によって特徴付けられる、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の方法を使用して結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを評価することを含む、結腸直腸癌に対するヒト対象の日常的な診断試験の必要性を決定することを補助するための方法。
  10. 一塩基多型の各々が対象の体細胞二倍体ゲノムにおいて最大2回存在し得ることを考慮するとき、一塩基多型の少なくとも41、少なくとも42、少なくとも44、少なくとも46、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、または少なくとも70個を有する対象が糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録されるべきである、請求項に記載の方法。
  11. 評価が対象を、結腸直腸癌を発症する危険性がある集団において対象の上位20%に置くとき、対象が糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される、請求項に記載の方法。
  12. 評価が対象を、結腸直腸癌を発症する危険性がある集団において対象の上位10%に置くとき、対象が糞便スクリーニング、結腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査スクリーニングプログラムに登録される、請求項に記載の方法。
  13. ヒト対象における結腸直腸癌に対するスクリーニングを補助する方法であって、請求項1からのいずれかに記載の方法を使用して結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを評価すること、および結腸直腸癌を発症することに対するリスクを有すると評価されるとき、対象において結腸直腸癌に対して日常的にスクリーニングすることを含む、方法。
  14. 45個以上の核酸を増幅するための少なくとも45個のプライマーセットを含むキットであって、45個以上の核酸は表1に提供される一塩基多型、キット。
  15. 45個の核酸にハイブリダイズするための45個のプローブセットからなる遺伝子アレ イを含むキットであって、45個の核酸は表1に提供される一塩基多型を含む、キット。
  16. 結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを評価するためのコンピューターによって実行される方法であって、該方法は、プロセッサーおよびメモリーを含むコンピューターシステムにおいて操作可能であり、
    対象に対する遺伝的リスクデータを受信すること、ここで、遺伝的リスクデータは、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、表1に提供される少なくとも45個の一塩基多型存在を検出することによって得られ
    データを処理して、結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを決定すること;
    結腸直腸癌を発症することに対するヒト対象のリスクを出力すること
    を含む、方法。
  17. 対象に対する臨床的リスクデータを受信すること;
    データを処理して、臨床的リスクデータと遺伝的リスクデータとを組み合わせて、結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを得ること;
    結腸直腸癌を発症することに対する対象のリスクを出力すること
    をさらに含む、請求項16に記載の方法。
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