JP7123751B2 - 水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船 - Google Patents

水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 1.公開日,公開した場所、内容/・平成30年 6月18日-10月30日,戸田公園漕艇場,ノダック株式会社により、発明品の性能試験が実施された。・平成30年 7月30日- 8月18日,水元公園,ノダック株式会社により、発明品の性能試験が実施された。・平成30年 8月22日- 8月24日,戸田公園漕艇場,ノダック株式会社により、発明品の性能試験が実施された。・平成30年10月15日-10月19日,第17回世界湖沼会議,ノダック株式会社により発明品が公開された。・平成30年10月17日,戸田公園漕艇場,ノダック株式会社により、発明品の性能試験が実施された。2.発行日,刊行物/・平成30年10月15日-10月19日,製品名GM-5000 Aquatic Weed Hunter 和文パンフレット2種(発行元:ノダック株式会社)・平成30年10月15日-10月19日,製品名GM-5000 Aquatic Weed Hunter 英文パンフレット(発行元:ノダック株式会社)・平成30年10月15日-10月19日,製品名WH-2400 Aquatic Weed Hunter 英文パンフレット(発行元:ノダック株式会社)
本発明は、水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船に係り、詳しくは、刈取ヘッドが水底や水底の障害物などと干渉した場合に、その衝撃を吸収する水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船に関する。
水草が繁茂した水面に浮かべ、フロートを備えた船体の船首に、周囲に刈刃を有した開口部を備えた刈取ヘッドで、刈り取った水草をコンベアで船体の後方に搬送し、貯蔵し、船体の後部から排出するような水草刈取船が知られている。このような水草刈取船は、水草を刈り取るために、刈取ヘッドを水中に沈めて刈刃で刈り取り、刈り取った水草をコンベアで船内に搬送する。
しかしながら、このような水草を刈り取って回収するような湖沼や河川は、繁茂した水草により水底が見えないことが多い。また、水が濁っている場合も多い。
このような場合、刈刃が水底の岩石や、異物などの水中障害物に衝突すると、刈刃が破損したり、刈取ヘッドに衝撃を与え破損したりすることもある。
そこで、特許文献1に記載された水草刈取作業船の刈取装置では、湖沼または河川の底を検出するセンサーを備え、コントローラを介して刈取部昇降装置に接続するか、または運転席のメーターとセンサーを連動連結して刈刃深さを容易に知ることができるようにした。
このようにセンサーを備えることで、刈刃が湖沼または河川の底に突っ込む危険を未然に回避する水草刈取作業船が提案された。
特開平4-349813号公報
しかしながら、水中に水草が繁茂していた場合は、センサーをもってしても、前進方向の水底の岩石などを検出することは困難である。また、重量の大きい刈取ヘッドを上昇させる速度が、水草刈取作業船の進む速度に追いつかない場合もある。そのような場合は、刈取ヘッドが、水中の異物に衝突してしまうことを回避できない。
本発明は、仮に、刈取ヘッドが水中の障害物と干渉した場合であっても、その衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制する水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構では、船体と、進行方向に向けて刈刃が配設された開口部を有する刈取ヘッドと、前記船体の船首に設けられ、前記刈取ヘッドを支持するとともに、当該刈取ヘッド前端部を上下させる昇降手段と、刈り取った水草を開口部から後方に搬送する取込コンベアと、前記船体を推進する推進手段とを備えた水草刈取船において、前記刈取ヘッドは前記昇降手段に揺動可能に支持されるとともに、当該刈取ヘッドの前側下端に後ろ向きに負荷がかかっていない通常時には、当該刈取ヘッドの後部の下端が、前記昇降手段に重力により当接して支持され、当該刈取ヘッドの前側下端に後ろ向きに所定以上の負荷がかかった異常時に、当該刈取ヘッドの後端部が上昇するように揺動することで、前記負荷による衝撃を吸収することを特徴とする。
また、本発明の別の側面の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構として、船体と、進行方向に向けて刈刃が配設された開口部を有する刈取ヘッドと、前記船体の船首に設けられ、前記刈取ヘッドを支持するとともに、当該刈取ヘッド前端部を上下させる昇降手段と、刈り取った水草を開口部から後方に搬送する取込コンベアと、前記船体を推進する推進手段とを備えた水草刈取船において、前記刈取ヘッドは前記昇降手段に支持されるとともに、前記昇降手段は、前記刈取ヘッドが重力で下降するのを規制するように支えるとともに、上昇する方向には規制しないで支持し、当該刈取ヘッドの下端に上向きに負荷がかかっていない通常時には、当該刈取ヘッドが、前記昇降手段により支持され、当該刈取ヘッドの下端に所定以上の上向きに負荷がかかった異常時に、当該刈取ヘッドが上昇するように揺動することで、前記負荷による衝撃を吸収することを特徴とする。
また、前記刈取ヘッドの前側下端に、衝撃緩衝部材が配設されることが好ましい。
この場合、前記衝撃緩衝部材は、進行方向に直交する水平な軸線を中心に、回転可能に構成された底ローラからなることも好ましい。
また、上記記載の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構を備えた水草刈取船により発明が好適に実施される。
本発明の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構及び水草刈取船によれば、仮に刈取ヘッドが水中の障害物と干渉した場合であっても、その衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制することができる。
実施形態の水草刈取船の斜視図。 実施形態の水草刈取船の平面図。 刈取ヘッドを下げ、搬出部を上げた実施形態の水草刈取船の左舷の側面図。 刈取ヘッドを上げ、搬出部を下げた実施形態の水草刈取船の左舷の側面図。 (a)前方から刈取ヘッドの前側下端に負荷を受けていない状態を示す左舷の側面図。(b)前方から刈取ヘッドの前側下端に負荷を受けた場合の状態を示す左舷の側面図。 底ローラを示す斜視図。 (a)前方から前側下端に負荷を受けていない刈取ヘッドの状態を示す模式図。(b)前方から前側下端に負荷を受けた場合の刈取ヘッドの状態を示す模式図。 別の実施形態の(a)下方から刈取ヘッド下端に負荷を受けていない状態を示す模式図。(b)下方から刈取ヘッドの下端に負荷を受けた場合の状態を示す模式図。(c)ヘッドシリンダ及び伸縮ロッドの構成を示す模式図。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した水草刈取船の一実施形態を図1~図7にしたがって説明する。本説明に当たり、水草刈取船1の作業時の進行方向を前として、右舷側を右として説明する。
<全体構成>
図1~3に示すように、水草刈取船1は、フロートとなる前後方向に長い概ね直方体の船体4と、船体4の船首41に配置された刈取ヘッド5を備える。船体4の中央部に配置され、刈取ヘッド5により刈り取られた水草を搬送し貯蔵する貯蔵部6を備える。船体4の船尾42には、貯蔵部6に貯蔵された刈り取られた水草を外部に搬送して搬出する搬出部7を備える。これらはコンベアで連続して水草を搬送可能に構成されている。
また、船体4の中央部には、貯蔵部6を左右に跨ぐように運転台8が設けられ、運転台8の後部には、エンジンや油圧ポンプ(不図示)が収容されている機械室9が設けられている。
また、船体4の上面45の右舷43(図2)と左舷44の中央部には、推進用のパドル部2が左右に突出するように配設されている。
<船体4>
船体4は、ステンレス製で、全体が、前後に長く、概ね扁平な直方体のフロートとして水面に浮遊可能に気密な構造となっている。
上面45は、前後に長い長方形の水平な平面となっている。図3に示すように船首41の前側下部は、斜め下向きの平面として形成されており、前方に移動時の水の抵抗を低くしている。前側上部は、刈取ヘッド5との干渉を防ぐために斜め上方に向けた平面となっている。船尾42の下部は、斜め下向きの平面として形成されており、後方に移動時の水の抵抗を低くしている。底面(図3~5参照)は、浅い湖沼でも作業ができ、地上に載置した場合でも安定するように水平面となっている。
右舷43(図2)及び左舷44は、いずれも垂直な平面として形成されている。
<刈取ヘッド>
図1~4、図5(a)に示すように、刈取ヘッド5は、船体4に支持されるフレーム52と、このフレーム52に支持されるバケット53と、このバケット53の底面に配設される取込コンベア54とから構成される。
<フレーム>
フレーム52は、上方に直線状に延びる左右一対の後アーム52a/52aと、この後アーム52aと下端部近傍で分岐しておよそ50度程度前側に傾けて直線状に延びる左右一対の前アーム52b/52bを備える。左右の前アーム52bと後アーム52aの上端をそれぞれ連結する上アーム52cが設けられる。このように後アーム52aと前アーム52bと上アーム52cによりトラス構造となっている。
また、後アーム52a/52aの上端同士を左右水平に連結する後水平アーム52dと、前アーム52b/52bの上端同士を左右水平に連結する前水平アーム52eを備える。また、左右の後アーム52a/52aの中央部同士を水平に架け渡す後支持部52hを備える。
<フレームの上下移動>
図3、図4に示すように、船体4の上面45の前部の左右に支持部51/51が設けられ、後アーム52a/52aの下端がそれぞれ軸支され、フレーム52は、この支持部51/51を中心に揺動可能となっている。
また、船体4の上面45の支持部51/51より前側の船首41側端部の左右に、下支持部52g/52gが配設される。下支持部52g/52gには、ヘッドシリンダ52f/52fのそれぞれの下端が軸支され、ヘッドシリンダ52f/52fのそれぞれの上端は、後水平アーム52dの両端部に配置された上支持部52i/52iに軸支されている。
このため、図3に示す状態からヘッドシリンダ52f/52fが伸長すると、図4に示すように、フレーム52は、支持部51/51を回転中心として前部が上昇するように変位し、ヘッドシリンダ52f/52fが収縮すると図3に示すようにフレーム52は、前部が下降するように変位する。
<バケット>
バケット53は、水平な底面53aと、底面53aの左右両側に垂直に設けられた側壁53b/53bを備える。側壁53b/53bは、前部が概ね直角二等辺三角形の形状で、後部は底面53aに平行で、前部より低い壁面が形成されている。この側壁53b/53bの前部の頂点近傍は、前水平アーム52eの両端に設けられた前支持部53c(図3)に揺動可能に軸支されている。また、側壁53b/53bの後端部は、左右の後アーム52a/52aの中央部同士を水平に架け渡す後支持部52hにより、底面53aの後支持部53d(図2)が載置されるようにして支持されている。通常は、バケット53の質量により、後支持部53dは、後支持部52hに押し付けられている。したがって、通常は、図3、図4に示すようにバケット53は、フレーム52と一体に回動する。
<開口部と刈刃>
側壁53b/53bの前端には、連続するように開口側壁55aが設けられ、開口側壁55a/55aの前端は、側壁53b/53bの間隔より広く、船体4の幅と略同等の幅となっている。この開口側壁55a/55aの先端部と底面53aの先端部により開口部55が形成される。
この開口部55の周縁には、刈刃56が設けられる。刈刃56は、開口側壁55a/55a先端部の縦刈刃56a/56a(図1)と、底面53aの先端部の下刈刃56b(図1)とから構成される。
刈刃56は、2枚の刃体が相互に揺動するいわゆる周知のバリカン式刈取機を採用する。オペレータの操作により操作コラム82が操作されるとヘッドナイフモータ(不図示)が駆動されて刃体が往復動して、水草が切断される。
取込コンベア54は、バケット53の底面53aの内側に配設される。ステンレス製のメッシュ状のチェーンが無端状のコンベアベルトを形成し、一対の搬送ローラにより駆動され(不図示)、刈り取った水草を船体の中央部の運転台8の下の貯蔵部6に搬送する。
<底ローラ>
図6は、バケット53の前側下端に配置された衝撃緩衝部材である底ローラ57の構成を示す斜視図である。
底ローラ57は、図1に示すように、バケット53の前側下端に、左右と中央の3か所に、取付部57cにより、回転可能に支持する回転軸57bを介して樹脂製の弾性体からなるローラ57aが取り付けられている。材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、合成ゴムなどが用いられる。構造は材料に応じて、中実な構造、気密な中空構造や、解放した中空構造、発泡構造など、所定の弾性を備える。
本実施形態では、バケット53の前側下端に底ローラ57が設けられているため、水中障害物Bとバケット53の前側下端が衝突した場合でも、底ローラ57が衝撃緩衝部材として働く。
このため、バケット53の前側下端に配置されている下刈刃56bには、水中障害物Bが直接当たることがない。
<貯蔵部>
貯蔵部6には、取込コンベア54と同様の構成の搬送コンベア60が配設されている。搬送コンベア60は、取込コンベア54により搬送された刈り取った水草をさらに後方に搬送する。この時、搬出部7が搬出の動作をしていないときには、搬送コンベア60により搬送された水草は、搬出部7との境界で搬送が停止され、この部分に水草が貯蔵されていく。
<搬出部>
搬出部7は、船尾42から後方に突出するように形成された樋状の構成で、底面70aと、この底面70aの両側に形成された垂直な側壁70b/70bを備える。側壁70b/70bの前側下端には、その一端部が船体4に設けられた支持部(不図示)に軸支される軸部73が設けられ、搬出部7は、軸部73を回転中心として後部が上方に揺動可能に支持される。
また、側壁70b/70bの外側の中央には、側壁70bの長手方向と直交する方向に上下に突出する棒状の支持部材74が取り付けられ、支持部材74の上端部に設けられた支持部75に搬出コンベアシリンダ72の上端が軸支され、船尾42の上面45の左右に設けられた支持部76に搬出コンベアシリンダ72の下端が軸支される。このため、搬出コンベアシリンダ72が伸長すると搬出部7の後端が上方に変位し、搬出コンベアシリンダ72が収縮すると搬出部7の後端が船体4の上面45と平行になるまで下方に変位する。
また、底面70aの上には、搬出コンベア71が配設される。搬出コンベア71は、基本的に取込コンベア54、搬送コンベア60と共通の構成で水草を搬送する。
<運転台>
運転台8は、貯蔵部6を左右に跨ぐように構成される。このため、搬送コンベア60が水草を搬送し、貯蔵することには差支えがない。運転台8の後部には、機械室9が設けられ、エンジンや油圧ポンプ(不図示)が収容される。機械室9の前方には、運転席81が設けられ、オペレータが着座する椅子が設けられるとともに、その前方には、油圧回路を制御する操作コラム82が操作可能に配置される。その前方には、安全のための安全柵83が配置されている。
<パドル部>
図1、図2に示すように、船体4の上面45の右舷43及び左舷44には、推進用のパドル部2/2が配設される。パドル部2には、パドルホイール10が配設される。
パドルホイール10は、支持軸15を介して、船体4の上面45の右舷43及び左舷44の取付部16に軸支され、水平位置と垂直位置に回動可能に取り付けられている。支持軸15の先端上部と、取付部16の上部の間には、パドルシリンダ14が取り付けられている。このため、パドルシリンダ14が伸長すると支持軸15が回動して水平に変位し、パドルホイール10は、水面に接触して、水草刈取船1を推進させることができる。一方、パドルシリンダ14が収縮すると支持軸15が回動して垂直に跳ね上げられて、パドル部2が舷側に突出しない状態となる。
<第1実施形態の衝撃吸収機構の作用>
図5(a)、(b)は、本発明の刈取ヘッドの衝撃吸収機構の詳細を示す側面図であり、図7(a)、(b)は本発明の刈取ヘッドの衝撃吸収機構の作用を示す模式図である。
刈取ヘッド5は、バケット53が、昇降手段であるフレーム52に揺動可能に支持されるとともに、ヘッドシリンダ52fにより支持部51を支点に上下する。
図5(a)、図7(a)に示す通常時(すなわち、刈取ヘッド5の前側下端に配設された底ローラ57に後ろ向きに負荷がかかっていない場合。)には、重力により図5(a)の時計回りの矢印のようなモーメントM1を生じ、刈取ヘッド5のバケット53の下面の特定領域である後支持部53dが、フレーム52の後支持部52hに当接して支持されている。この状態は、フレーム52がヘッドシリンダ52fにより、昇降しても変化がない。
図5(a)、図7(a)において、バケット53の重心は、バケット53が支持される前支持部53cよりも後方にあり、前支持部53cを軸に時計回り方向のモーメントM1が生じている。そのため、後支持部53dが、フレーム52の後支持部52hに押し付けられる状態となるからである。
ここで、図5(b)、図7(b)に示す異常時(すなわち、水草刈取船1が左向きに運転しながら作業をしているときに、バケット53の前側下端に設けられた底ローラ57に、水底などの水中障害物Bなどと衝突したような場合。)では、バケット53の前側下端に設けられた底ローラ57は、外力OFを受ける。このとき、図7(b)に示すように、外力OFは水中障害物Bに沿って上に持ち上げられる外力UFと共に、進行方向と逆向きの抗力BFを受ける。この抗力BFにより、図5(b)に示す反時計回りの矢印のように前支持部53cを軸に反時計回り方向のモーメントM2が生じる。
そのため、このモーメントM2は、後支持部53dを、フレーム52の後支持部52hから離す方向に働く。このような働きにより、衝突したエネルギーがバケット53の運動エネルギーに変換されることで、衝突して、水草刈取船1のバケット53などを変形させるエネルギーは減少する。
さらに、図7(b)のようななだらかな水底のような水中障害物Bであれば、底ローラ57が回転してその斜面に沿って誘導されることで、衝突の衝撃の一部を水草刈取船1の船首41を持ち上げる運動エネルギーに変換することができる。
また、さらに小さな衝撃であれば、底ローラ57のローラ57a自体が弾性体からなるので、衝突の衝撃の一部が、ローラ57aの変形のために費やされる。
そして、前述のとおり、バケット53自体が揺動することで、エネルギーが減少する。
以上のような理由で、本実施形態の衝撃吸収機構であれば、刈取ヘッド5の前側下端が水中障害物Bと衝突した場合でも、その衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制することができる。
<効果>
上記実施形態の水草刈取船によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の水草刈取船1によれば、衝撃吸収機構を備えるため、刈取ヘッドの前側下端が水中障害物Bと衝突した場合でも、その衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制することができる。
(2)衝撃を運動エネルギーに変換することで、干渉したエネルギーを吸収するので、刈取ヘッド5自体の変形や破損を免れることができる。
(3)また、変位したバケット53は、そのまま重力で元の位置に復帰するため、衝撃を吸収した後の処理も不要である。
(4)また、衝撃を吸収するためのメンテナンスも不要である。
(5)特に、衝撃緩衝部材である底ローラ57を備えたため、破損しやすい下刈刃56bを有効に保護することができる。
(6)また、底ローラ57は、水中障害物Bが水底のような斜面の場合、この斜面に沿って、船体4を誘導することで、衝撃を逃がすことができる。
(7)また、小さな衝撃であれば、底ローラ57のローラ57a自体が弾性体として衝撃緩衝部材として機能するため、岸壁に係留した時や、岸辺の際を除草する場合など、軽い接触をする程度であれば、底ローラ57自体で衝撃を吸収することができる。
(第2実施形態)
<特徴>
図8(a)、(b)は本発明の刈取ヘッドの衝撃吸収機構の作用を示す模式図である。第2実施形態の刈取ヘッドの衝撃吸収機構では、第1実施形態と刈取ヘッド5の構成が異なる点で相違し、他の構成は第1実施形態と共通するため、他の構成の説明は省略する。
以下、相違点のみ説明する。
刈取ヘッド5は、バケット53が、フレーム52に揺動可能に支持されるとともに、昇降手段であるフレーム52のヘッドシリンダ52fにより支持部51を支点に上下する点では共通する。
第1実施形態と構成が異なるのは、図8(c)に示すように、第2の実施形態では、昇降手段であるヘッドシリンダ52fと上支持部52iとの間に伸縮ロッド52jが配置される。伸縮ロッド52jは、外部の力により自由に伸縮するとともに、最大長と最小長が規制されている点で相違する。
図8(a)に示す第1実施形態でいう通常時(すなわち、刈取ヘッド5の下端に配設された底ローラ57に上向きに負荷がかかっていない場合。)には、刈取ヘッド5のバケット53は、フレーム52を介してヘッドシリンダ52fに支持されている。この場合、バケット53は、前支持部53cと後支持部53dにおいて、フレーム52に支持されている。
<第2実施形態の衝撃吸収機構の作用>
ここで、図8(b)に示す異常時(ここでいう「異常時」は、第1実施形態でいう主に後ろ向きの力がかかる「異常時」とは異なり、すなわち、水草刈取船1が左向きに運転しながら作業をしているときに、バケット53の下端に設けられた底ローラ57に、水底などの水中障害物Bなどと衝突したような場合に、主に下から上向きの衝撃を受けたような場合をいう。以下、第1実施形態の異常時を「第1の異常時」といい、第2実施形態の異常時を「第2の異常時」として区別することにする。)では、バケット53の前側下端に設けられた底ローラ57は、外力OFを受ける。
第2の異常時の場合、たとえば水中障害物Bの斜面がなだらかな場合、外力OFは水中障害物Bに沿って上に持ち上げられる外力UFと共に、進行方向と逆向きの抗力BFを受けるが、上向きの外力UFが主な成分で、進行方向と逆向きの抗力BFの値は小さい。そのため、前支持部53cを中心としてバケット53は、図8(b)において、時計回りのモーメントM1が生じるため、バケット53の後支持部53dは、フレーム52の後支持部52hと当接したままになる。つまり、第1実施形態の衝撃吸収機構は、作用しないこととなる。
ここで、図8(b)のようななだらかな水底のような水中障害物Bであれば、その斜面に沿って底ローラ57が誘導されることで、衝突の衝撃の一部を水草刈取船1の船首41を持ち上げる方向の外力OFの分力UFを受ける。
通常時は、図8(a)に示すように、上支持部52iと下支持部52gの間は、フレーム52とバケット53の質量により、圧縮する方向に力が掛かっているため、支持部51を中心として反時計回りのモーメントM3が働いている。そのため、通常時には、伸縮ロッド52jは、最小長に圧縮されている。
一方、第2の異常時には、上支持部52iと下支持部52gの間は、支持部51を中心として時計回りのモーメントM4が働くため、伸縮ロッド52jを伸長させる方向に力が掛かっている。そのため、ヘッドシリンダ52fが同じ長さであっても、伸縮ロッド52jが、最小長から最大長に伸長することができるため、上支持部52iと下支持部52gの間の長さは伸びることができる。
このため、底ローラ57が上向きの分力UFを含む外力OFを受けた場合でも、支持部51を中心として、刈取ヘッド5全体が図において、時計回りに回動することで、主に上向きの外力OFによる衝撃を吸収して干渉の影響を抑制することができる。
なお、さらに小さな衝撃であれば、底ローラ57のローラ57a自体が弾性体からなるので、衝突の衝撃の一部が、ローラ57aの変形のために費やされる。
以上のような理由で、第2の実施形態の水草刈取船1であれば、刈取ヘッドの下端が水中障害物Bと衝突した場合でも、その衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制することができる。
<効果>
上記実施形態の水草刈取船によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の水草刈取船1によれば、衝撃吸収機構を備えるため、刈取ヘッドの下端が水中障害物Bと衝突した場合でも、下からの衝撃を吸収して、干渉の影響を抑制することができる。
<変形例等>
なお、上記第1及び第2実施形態は以下のように変更してもよい。
○第1実施形態と第2実施形態の発明は、同一の水草刈取船において、同時に実施することができる。
○衝撃緩衝部材は、実施形態のような底ローラに限定されず、全幅にわたる1本のローラなどでもよい。また、ローラによらず防舷用のクッション材などを用いてもよい。さらに、下刈刃56bを囲うような金属製のガードでもよい。
○第1の実施形態において、衝撃を効果的に吸収するため、また振動や騒音を防止するため、異常時の作動方向とは逆向きに、フレーム52の後支持部52hとバケット53の後支持部53dを引き寄せる方向に付勢する付勢手段で、付勢することも望ましい。
○第2の実施形態においても、衝撃を効果的に級数するため、また振動や騒音を防止するため、異常時の作動方向とは逆向きに、フレーム52の上支持部52iと船体4の下支持部52gを引き寄せる方向に付勢する付勢手段で、付勢することも望ましい。
○各装備の駆動は、油圧回路に限定されるものではなく、内燃機関による駆動や、電気駆動でもよい。
○推進手段は、パドルホイールのみに限定されるものではなく、スクリュー推進や風力推進、ウォータジェット推進などと組み合わせてもよい。
○なお、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるものでなく、当業者により本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、付加し、削除し、置換して変形して実施できることは言うまでもない。
1…水草刈取船、2…パドル部、4…船体、5…刈取ヘッド、6…貯蔵部、7…搬出部、8…運転台、9…機械室、10…パドル部、41…船首、42…船尾、43…右舷、44…左舷、45…上面、51…支持部、52…フレーム、52a…後アーム、52b…前アーム、52c…上アーム、52d…後水平アーム、52e…前水平アーム、52f…ヘッドシリンダ、52g…下支持部、52h…後支持部、52i…上支持部、52j…伸縮ロッド、53…バケット、53a…底面、53b…側壁、53c…前支持部、53d…後支持部、54…取込コンベア、55…開口部、55a…開口側壁、56…刈刃、60…搬送コンベア。

Claims (5)

  1. 船体と、
    進行方向に向けて刈刃が配設された開口部を有する刈取ヘッドと、
    前記船体の船首に設けられ、後端が軸支された前記刈取ヘッドを支持するとともに、当該刈取ヘッド前端部を上下に揺動させる昇降手段と、
    刈り取った水草を開口部から後方に搬送する取込コンベアと、
    前記船体を推進する推進手段と
    を備えた水草刈取船において、
    前記刈取ヘッドは
    前記昇降手段に支持されるとともに、
    前記昇降手段は、前記刈取ヘッドが重力で下降するのを規制するように支えるとともに、上昇する方向には規制しないで支持し、
    当該刈取ヘッドの下端に上向きに負荷がかかっていない通常時には、当該刈取ヘッドが、前記昇降手段により支持され、
    当該刈取ヘッドの下端に所定以上の上向きに負荷がかかった異常時に、当該刈取ヘッドが上昇するように揺動することで、前記負荷による衝撃を吸収することを特徴とする水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構。
  2. 船体と、
    進行方向に向けて刈刃が配設された開口部を有する刈取ヘッドと、
    前記船体の船首に設けられ、前記刈取ヘッドを支持するとともに、当該刈取ヘッド前端部を上下させる昇降手段と、
    刈り取った水草を開口部から後方に搬送する取込コンベアと、
    前記船体を推進する推進手段と
    を備えた水草刈取船において、
    前記刈取ヘッドは
    前記昇降手段に揺動可能に支持されるとともに、
    当該刈取ヘッドの前側下端に後ろ向きに負荷がかかっていない通常時には、当該刈取ヘッドの後部の下端が、前記昇降手段に重力により当接して支持され、
    当該刈取ヘッドの前側下端に後ろ向きに所定以上の負荷がかかった異常時に、当該刈取ヘッドの後端部が上昇するように揺動することで、前記負荷による衝撃を吸収することを特徴とする請求項1に記載の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構。
  3. 前記刈取ヘッドの前側下端に、衝撃緩衝部材が配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構。
  4. 前記衝撃緩衝部材は、進行方向に直交する水平な軸線を中心に、回転可能に構成された底ローラからなることを特徴とする請求項3に記載の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の水草刈取船の刈取ヘッドの衝撃吸収機構を備えた水草刈取船。
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