JP7083737B2 - パドルホイールの衝撃吸収構造及び水草刈取船 - Google Patents
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Description
このような場合、パドルホイールが水底の岩石や、異物に衝突すると、パドルのブレードが破損したり、パドルホイールの軸受けや、モータに衝撃を与え破損したりすることもある。
前記緩衝部は、前記ハブボルトと同じ径の円柱形であることも好ましい。
前記衝撃緩衝部材は、樹脂から形成されていることが好ましい。ここで、樹脂とは、合成樹脂、天然樹脂、ゴム等を広く含むが、ハブの素材より柔らかい素材でハブを傷つけないで、弾性で衝撃を吸収することができる素材が好ましく、例えば合成ゴムでは、配合や構造により最適な強度、弾性を調整しやすい点で好ましい。
以下、本発明を具体化した水草刈取船の一実施形態を図1~図10にしたがって説明する。説明に当たり、水草刈取船1の作業時の進行方向を前として、右舷側を右として説明する。また、水草刈取船1が前進するときのパドルホイール10の回転方向を正回転とする。
図1~3に示すように、水草刈取船1は、フロートとなる前後方向に長い概ね直方体の船体4と、船体4の船首41に配置された刈取ヘッド5を備える。船体4の中央部に配置され、刈取ヘッド5により刈り取られた水草を搬送し貯蔵する貯蔵部6を備える。船体4の船尾42には、貯蔵部6に貯蔵された刈り取られた水草を外部に搬送して搬出する搬出部7を備える。これらはコンベアで連続して水草を搬送可能に構成されている。
<船体4>
船体4は、ステンレス製で、全体が、前後に長く、概ね扁平な直方体のフロートとして水面に浮遊可能に気密な構造となっている。
<刈取ヘッド>
刈取ヘッド5は、船体4に支持されるフレーム52と、このフレーム52に支持されるバケット53と、このバケット53の底面に配設される取込コンベア54とから構成される。
フレーム52は、上方に直線状に延びる左右一対の後アーム52a/52aと、この後アーム52aと下端部近傍で分岐しておよそ50度程度前側に直線状に延びる左右一対の前アーム52b/52bを備える。左右の前アーム52bと後アーム52aの上端をそれぞれ連結する上アーム52cが設けられる。このように後アーム52aと前アーム52bと上アーム52cによりトラス構造となっている。
バケット53は、水平な底面53aと、底面53aの左右両側に垂直に設けられた側壁53b/53bを備える。側壁53b/53bは、前部が概ね直角二等辺三角形の形状で、後部は底面53aに平行な前部より低い壁面が形成されている。この側壁53b/53bの前部の頂点近傍は、前水平アーム52eの両端に設けられた前支持部53c(図3)に支持されている。また、側壁53b/53bの後端部は、左右の後アーム52a/52aの中央部同士を架け渡す後支持部52hにより、底面53aの後支持部53d(図2)が載置されるようにして支持されている。したがって、バケット53は、フレーム52と一体に回動する。
側壁53b/53bの前端には、連続するように開口側壁55aが設けられ、開口側壁55a/55aの前端は、側壁53b/53bの間隔より広く、船体4の幅と略同等の幅となっている。この開口側壁55a/55aの先端部と底面53aの先端部により開口部55が形成される。
貯蔵部6には、取込コンベア54と同様の構成の搬送コンベア60が配設されている。搬送コンベア60は、取込コンベア54により搬送された刈り取った水草をさらに後方に搬送する。この時、搬出部7が搬出の動作をしていないときには、搬送コンベア60により搬送された水草は、搬出部7との境界で搬送が停止され、この部分に水草が貯蔵されていく。
搬出部7は、船尾42から後方に突出するように形成された樋状の構成で、底面70aと、この底面70aの両側に形成された垂直な側壁70b/70bを備える。側壁70b/70bの前側下端には、その一端部が船体4に設けられた支持部(不図示)に軸支される軸部73が設けられ、搬出部7は、後部が上方に揺動可能に支持される。
<運転台>
運転台8は、貯蔵部6を左右に跨ぐように構成される。このため、搬送コンベア60が水草を搬送し、貯蔵することには差支えがない。運転台8の後部には、機械室9が設けられ、エンジンや油圧ポンプ(不図示)が収容される。機械室9の前方には、運転席81が設けられ、オペレータが着座する椅子が設けられるとともに、その前方には、油圧回路を制御する操作コラム82が操作可能に配置される。その前方には、安全のための安全柵83が配置されている。
船体4の上面45の右舷43及び左舷44には、推進用のパドル部2/2が配設される。
図5は、パドルホイール10を外側から見た斜視図、図6は、パドルホイール10を船体4側から見た斜視図である。また、図7は、パドルホイール10の分解斜視図である。
図8は、実施形態のハブとパドルホイール10の分解斜視図、図9は、実施形態のハブに衝撃吸収部材を組みつけた側面図、図10は、本実施形態の作用を説明する正面図である。
図9に示すように、駆動手段である油圧モータからなるパドルモータ13には、回転軸としてスプライン軸13dを有し、当該スプライン軸13dと嵌合するスプライン穴13eを備えたハブ13aが装着されている。ハブ13aは、円盤状に形成され、パドルモータ13のスプライン軸13dの回転中心を中心とした仮想円周C上に等間隔に配置された、スプライン軸13dと平行な6本のハブボルト13bを備える。
図8に示すように本実施形態の衝撃吸収部材であるショックアブソーバ11は、円盤状の円盤部11aと、ハブボルト13bが配設されている仮想円周C上にあり、ハブボルト13bを隙間なく貫通させるボルト貫通孔11bと、パドルモータ13とは反対側に突出するとともに、ハブボルト13bに隣接する緩衝部11cを備える。緩衝部11cは、ハブボルト13bと同じ径の円柱状に形成され、ハブボルト13bが配設されている仮想円周C上でハブボルト13bに隣接するように配置される。突出長さは、ほぼセンターディスク10dの厚みに等しい。
パドルモータ13は、ショックアブソーバ11を介して、パドルホイール10のセンターディスク10dを装着する。
図10は、ショックアブソーバ11の作用を説明する図である。上述のように、固定されたハブボルト13bと、ショックアブソーバ11の円盤部11aと、センターディスク10dと、パドル固定プレート12のうち、ハブボルト13bとショックアブソーバ11の円盤部11aと、パドル固定プレート12は、相互に回転方向におけるずれは生じることがない。
以上のように構成された水草刈取船1のパドルホイール10の衝撃吸収構造の作用について説明する。
すなわち、ショックアブソーバ11の緩衝部11cは、ハブボルト13bとセンターディスク10dのボルト挿入孔10gの間に介在して、瞬間的にパドルホイール10が外力で停止しても、パドルモータ13に与えるショックを吸収し、パドルモータ13のオイルシールなどに過度な圧力を与えて故障することを回避する。
上記実施形態の水草刈取船によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の水草刈取船のパドルホイール10の衝撃吸収構造によれば、パドルホイール10が水底の岩石などに触れて瞬時に停止した場合でも、ショックアブソーバ11により衝撃を吸収することで、パドルモータ13などの衝撃を吸収して、故障することを回避できる。
(3)本実施形態のショックアブソーバ11は、合成ゴム製としているが、水草刈取船1の大きさやパドルモータ13の出力などに応じて、成分を変更することでその硬度を調整することができる。
<構成の特徴>
図11は、第2実施形態の要部を説明する分解斜視図である。
緩衝部11cは、ハブボルト13bの周囲を囲むように、ハブボルト13bを貫通させるボルト貫通孔11bを備えた環状に形成される。
ハブボルト13bは、円環状の緩衝部11cを介してセンターディスク10dのボルト挿入孔10gに挿入されているため、センターディスク10dに対して、緩衝部11cの弾性により、いずれの方向にも変位可能となっている。そのため、パドルホイール10の回転方向の衝撃を吸収するばかりか、パドルホイール10の半径方向の衝撃も吸収することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ショックアブソーバ11の素材は、合成ゴムに限定されず、弾性を有する各種の合成樹脂や天然樹脂、天然ゴムを広く用いることができる。
○各装備の駆動は、油圧回路に限定されるものではなく、内燃機関による駆動や、電気駆動でもよい。
○実施形態においては、船舶は好適な実施例として水草刈取船を例示したが、他の作業船や、観光船などにも好適に適用できる。
○なお、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるものでなく、当業者により本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、付加し、削除し、置換して変形して実施できることは言うまでもない。
Claims (8)
- 船舶の推進に用いるパドルホイールの衝撃吸収構造であって、
駆動手段と、
当該駆動手段の回転軸に駆動され、当該回転軸と同心の仮想円周上に等間隔に前記回転軸と平行に配置された複数のハブボルトを有するハブと
当該ハブに駆動されるパドルホイールのセンターディスクと、
当該センターディスクから放射状に設けられたスポーク若しくはディスクからなる動力伝達部材と、
当該動力伝達部材に先端に設けられ水面を掻くパドル部材と、
当該パドル部材を挟むように設けられた一対のホイールと
を備えるとともに、
前記ハブと前記センターディスクの間に介在された円盤状の部材であって、
前記ハブボルトが貫通される貫通孔と、
前記ハブボルトに接するように配置され、前記ハブボルトと平行に前記駆動手段と反対側に突出する緩衝部と
を有する衝撃緩衝部材とを備え、
前記センターディスクは、前記ハブボルトと前記緩衝部とを収容する固定用の孔を備え、前記ハブボルトにナットを螺合させることで、前記ハブと前記センターディスクとを前記衝撃緩衝部材を介在させて固定する
ことを特徴とするパドルホイールの衝撃吸収構造。 - 前記緩衝部は、前記ハブボルトが配設された仮想円周上において、前記ハブボルトに隣接するように軸状に形成され、
前記センターディスクは、前記ハブボルトが配設された仮想円周上に沿って、前記ハブボルトと前記緩衝部とを収容する固定用の長孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。 - 前記長孔は、前記緩衝部との間に、前記ハブボルトが配設された仮想円周上に沿って、間隙が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。
- 前記緩衝部は、前記ハブボルトと同じ径の円柱形であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。
- 前記緩衝部は、前記ハブボルトの周囲を囲むように、前記ハブボルトを貫通させる孔を備えた環状に形成され、
前記センターディスクは、前記ハブボルトと前記緩衝部とを収容する固定用の孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。 - 前記駆動手段は、スプライン軸を有し、前記ハブは、スプライン軸と嵌合するスプライン穴を備え、前記ハブボルトが当該ハブに配設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。
- 前記衝撃緩衝部材は、樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のパドルホイールの衝撃吸収構造を備えた水草刈取船。
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