JP7123086B2 - 鞍乗型電動三輪車 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗型電動三輪車に関し、特に、単一の前輪を支持する前側車体と、左右一対の後輪を支持すると共に前側車体に対してロール軸方向に揺動可能に構成される後側車体とを有する鞍乗型電動三輪車に関する。
従来から、単一の前輪を支持する前側車体と、左右一対の後輪を支持すると共に前側車体に対してロール軸方向に揺動可能に構成される後側車体とを有する鞍乗型電動三輪車が知られている。
特許文献1には、後側車体にモータユニットおよびスイングアームを備え、スイングアームの後端部をリヤクッションによって吊り下げた鞍乗型電動三輪車が開示されている。
特開2016-43722号公報
特許文献1のような車体構成を有する鞍乗型電動三輪車においては、左右の後輪からの入力によって後側車体のフレームにねじれの力がかかりやすく、後側車体の剛性を高める工夫が必要となる。特に、特許文献1では、クッション性を高めるためにリヤクッションをスイングアームの後端で支持する構成とされており、ねじれの力が後側車体のフレームにかかりやすい構成とされていた。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、後側車体の剛性を高めることでクッション性や操安性を向上させることができる鞍乗型電動三輪車を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、単一の前輪(WF)を支持する前側車体(BF)と、左右一対の後輪(WR)を支持する後側車体(BR)と、前記後輪(WR)を駆動するパワーユニット(U)と、前記前側車体(BF)の下部に取り付けられて前記後側車体(BR)をロール方向に揺動可能に支持する揺動装置(50)とを含む鞍乗型電動三輪車において、前記後側車体(BR)は、前記パワーユニット(U)を支持するスイングアーム(16)と、該スイングアーム(16)を前記後側車体(BR)に吊り下げるリヤクッション(88)とを含み、前記パワーユニット(U)は、前記スイングアーム(16)に対して、前側固定部(200)および左右一対の後側固定部(201)によって固定されており、前記リヤクッション(88)の下端部は、前記後側固定部(201)より後方で前記スイングアーム(16)の後端部材(107)に支持されており、前記後端部材(107)が、上方に開放する略U字状断面をなす点に第1の特徴がある。
また、前記パワーユニット(U)の下縁部(120a)とアーム部(103)とが、車体側面視でオーバーラップする点に第2の特徴がある。
また、前記スイングアーム(16)は、車両の前後方向に沿って延びる左右一対のアーム部(103)と、左右一対の前記アーム部(103)を互いに接続するクロス部(C)とを有し、前記クロス部(C)は、上側板部材(110)と下側板部材(111)とからなり、前記クロス部(C)の略中央に、前記上側板部材(110)と前記下側板部材(111)とが接する接合部(105)が設けられている点に第3の特徴がある。
また、車体平面視で、前記クロス部(C)の前端縁または後端縁が、車両前後方向に湾曲する湾曲部(106)とされる点に第4の特徴がある。
また、前記接合部(105)は、前記アーム部(103)の上縁部より低い凹部を構成しており、前記接合部(105)の直上に前記パワーユニット(U)が配設される点に第5の特徴がある。
また、前記接合部(105)の前端縁部(105b)が、円弧形状をなす点に第6の特徴がある。
また、前記接合部(105)の底部(105a)が、車体側面視で、後方に向けて直線状に伸びる点に第7の特徴がある。
また、前記後側車体(BR)は、前記スイングアーム(16)のピボット(24)から後上方に伸びた後、湾曲部(71a)で湾曲して後方に伸びる左右一対のメインフレーム(71)と、前記湾曲部(71a)の直後の位置で前記左右一対のメインフレーム(71)を互いに接続するクロスフレーム(80)とを有する点に第8の特徴がある。
さらに、前記後側車体(BR)に搭載されるPCU(64)を有し、前記PCU(64)は、前記左右一対のメインフレーム(71)からそれぞれ車幅方向内側に向けて互いに接触しない位置まで延出するPCU固定用フレーム(78)によって支持される点に第9の特徴がある。
第1の特徴によれば、単一の前輪(WF)を支持する前側車体(BF)と、左右一対の後輪(WR)を支持する後側車体(BR)と、前記後輪(WR)を駆動するパワーユニット(U)と、前記前側車体(BF)の下部に取り付けられて前記後側車体(BR)をロール方向に揺動可能に支持する揺動装置(50)とを含む鞍乗型電動三輪車において、前記後側車体(BR)は、前記パワーユニット(U)を支持するスイングアーム(16)と、該スイングアーム(16)を前記後側車体(BR)に吊り下げるリヤクッション(88)とを含み、前記パワーユニット(U)は、前記スイングアーム(16)に対して、前側固定部(200)および左右一対の後側固定部(201)によって固定されており、前記リヤクッション(88)の下端部は、前記後側固定部(201)より後方で前記スイングアーム(16)の後端部材(107)に支持されており、前記後端部材(107)が、上方に開放する略U字状断面をなすので、スイングアーム長およびリヤクッションのストローク量を確保できることで、後側車体による振動吸収性を向上させることができる。また、スイングアームの後端を上方に開放された形状とすることで、左右の後輪から入力される外力によるねじれの力を逃がすことができ、後側車体にかかる負荷を抑制することが可能となる。
第2の特徴によれば、前記パワーユニット(U)の下縁部(120a)とアーム部(103)とが、車体側面視でオーバーラップするので、スイングアームに対してパワーユニットを安定して配置できると共に、パワーユニットを配置した際の上下高さを抑えることができる。その結果、後側車体に設けられる荷台の高さを下げることができ、利便性が向上する。
第3の特徴によれば、前記スイングアーム(16)は、車両の前後方向に沿って延びる左右一対のアーム部(103)と、左右一対の前記アーム部(103)を互いに接続するクロス部(C)とを有し、前記クロス部(C)は、上側板部材(110)と下側板部材(111)とからなり、前記クロス部(C)の略中央に、前記上側板部材(110)と前記下側板部材(111)とが接する接合部(105)が設けられているので、接合部を有するクロス部によってスイングアームの剛性を向上させることができると共に、上側板部材(110)と下側板部材(111)とがそれぞれ車体振動により振動した場合でも、上側板部材(110)と下側板部材(111)とで形成された空間内で振動音が反響することを抑制することができる。
第4の特徴によれば、車体平面視で、前記クロス部(C)の前端縁または後端縁が、車両前後方向に湾曲する湾曲部(106)とされるので、例えば、クロス部の車体後方側に配設される湾曲部によってねじれの応力を分散させることができる。
第5の特徴によれば、前記接合部(105)は、前記アーム部(103)の上縁部より低い凹部を構成しており、前記接合部(105)の直上に前記パワーユニット(U)が配設されるので、スイングアームに対してパワーユニットを安定して配置できる。
第6の特徴によれば、前記接合部(105)の前端縁部(105b)が、円弧形状をなすので、接合部の前端縁部によってねじれの応力を分散させやすくなる。
第7の特徴によれば、前記接合部(105)の底部(105a)が、車体側面視で、後方に向けて直線状に伸びるので、接合部から後方に水を排出して接合部に水が留まることを防ぐことができる。
第8の特徴によれば、前記後側車体(BR)は、前記スイングアーム(16)のピボット(24)から後上方に伸びた後、湾曲部(71a)で湾曲して後方に伸びる左右一対のメインフレーム(71)と、前記湾曲部(71a)の直後の位置で前記左右一対のメインフレーム(71)を互いに接続するクロスフレーム(80)とを有するので、クロスフレームによって左右のメインフレームを連結することで、後側車体の剛性を向上させることができる。
第9の特徴によれば、前記後側車体(BR)に搭載されるPCU(64)を有し、前記PCU(64)は、前記左右一対のメインフレーム(71)からそれぞれ車幅方向内側に向けて互いに接触しない位置まで延出するPCU固定用フレーム(78)によって支持されるので、左右のPCU固定用フレームが互いに連結されないことで、後側車体フレームに伝達されるねじれがPCUに伝わることを抑制することができる。
本実施形態に係る鞍乗型電動三輪車の斜視図である。 鞍乗型電動三輪車の左側面図である。 図2の状態から外装部品を取り外した鞍乗型電動三輪車の左側面図である。 前側車体を構成する車体フレームの斜視図である。 後側車体の左側面図である。 後側車体の斜視図である。 外装部品を取り外した状態の後側車体の斜視図である。 後側車体の一部断面斜視図である 後側車体フレームの斜視図である。 スイングアームの斜視図である。 スイングアームの平面図である。 スイングアームの底面図である。 後側車体の左側面図である。 後輪車体の平面図である。 パワーユニットおよびスイングアームの断面図である。 パワーユニットの斜視図である。 パワーユニットを構成する左側ケーシングおよび右側ケーシングの斜視図である。 パワーユニットの左側面図である。 三相ハーネスおよび制御線を車幅方向右側から見た側面図である。 第2バンドにより固定される大径グロメットおよび小径グロメットの斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る鞍乗型電動三輪車1の斜視図である。また、図2は鞍乗型電動三輪車1の左側面図であり、図3は図2の状態から外装部品を取り外した鞍乗型電動三輪車1の左側面図である。
鞍乗型電動三輪車1は、1つの前輪WFを支持する前側車体BFと2つの後輪WRを支持する後側車体BRとを、揺動装置50によってロール方向に揺動可能に軸支したスクータ型の電動車両である。後輪WRを駆動するモータMに電力を供給する高圧のバッテリ(メインバッテリ)Bは、前側車体BFに設けられるシート22の下方に、車幅方向に2本並んで収納される。2本のバッテリBは、開閉式のシート22を開いた状態で上方に引き抜くことで、車体から取り外すことができる。操向ハンドル2とシート22との間には、運転者が足を乗せる低床フロア12が設けられている。
前側車体BFを構成する車体フレームFは、操向ハンドル2が固定されるステアリングステムF1を揺動可能に軸支するヘッドパイプF2と、ヘッドパイプF2から後方下方に延びるダウンフレームF3と、該ダウンフレームF3の両側面に接続されて下方に延びて後方に湾曲する左右一対の湾曲フレームF6と、該湾曲フレームF6に連結されて後方に延びる左右一対のフロアフレームF4とを含む。
操向ハンドル2には、左右一対のバックミラー3およびメータ装置4が取り付けられている。操向ハンドル2を支持するステアリングステムF1の下端部にはボトムブリッジF5が固定されており、このボトムブリッジF5に、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク9が固定されている。
前側車体BFと後側車体BRとを揺動可能に支持する揺動装置50は、バッテリBの下方の位置でフロアフレームF4の下部に固定されている。大型の荷台19を有する後側車体BRには、ピボット24によって揺動自在に軸支される左右一対のスイングアーム16が設けられ、このスイングアーム16の後部に、後輪WRを支持するパワーユニットUが取り付けられている。
ヘッドパイプF2の前方は、左右一対のサイドカウル10に連なるセンタカウル5で覆われており、ヘッドパイプF2の後方にはレッグシールド11が配設されている。ヘッドライト7を支持する延出部の左右には前側フラッシャランプ6が取り付けられており、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ8は、ボトムブリッジF5に支持されている。
低床フロア12の左右両端部には、フロアフレームF4の側方および下方を覆うアンダカウル13が連結されている。シート22の下方には、バッテリケース29を前方から覆うシート下カウル14と、シート下カウル14の後部に連結される後部カバー15が配設されている。
図3に示すように、バッテリBの後方で、後部カバー15の内側の位置には、配線ターミナルであるジャンクションボックスJが配設されている。バッテリBおよびジャンクションボックスJは、モータMに電力を供給する電源装置を構成する。一方、電源装置B,Jから供給される電力をモータMに伝達するための制御装置(PCU:パワーコントロールユニット)64は、後側車体BRの前端部に配設されている。バッテリBの下端部には、バッテリ側の端子と車体側の端子との接続部を覆うカバー部材としてのバッテリ下部カバー30が配設されている。
後側車体BRの荷台19には、荷物のずれを防ぐ細パイプ状のストッパ18が設けられている。薄板状の合成樹脂等からなる荷台19は、後側車体フレーム70の上部に配設されており、後側車体フレーム70の下部には、後輪WRの上方を覆うリヤフェンダ17が固定されている。荷台19は、後側車体フレーム70に固定された金属製の丸パイプ材からなる荷台フレーム32に支持されている。荷台19の前端部には、荷台フレーム32の上方にアーチ状をなして立設する部分を覆う荷台フレームカバー20が配設されている。
車体左側のリヤフェンダ17の前方には、左側電装部品カバー25が取り付けられている。主に金属製の角パイプ材からなる後側車体フレーム70の後端部には、テールランプ27、左右一対の後側フラッシャランプ28およびライセンスプレートホルダ26が固定されている。
図4は、前側車体BFを構成する車体フレームFの斜視図である。主に金属製の丸パイプ材で構成される車体フレームFは、ヘッドパイプF2から後方下方に延びるダウンフレームF3と、該ダウンフレームF3の両側面に接続されて下方に延びて後方に湾曲する左右一対の湾曲フレームF6と、該湾曲フレームF6に連結されて後方に延びる左右一対のフロアフレームF4とを含む。車幅方向中央のダウンフレームF3は、下端部で後方に湾曲して、左右一対のフロアフレームF4に固定されるガセットF7に連結される。
ガセットF7の後方の位置で、フロアフレームF4の上部には、低床フロア12を支持する長尺の低床フロア支持ステー33が架け渡されている。低床フロア支持ステー33の後方には、バッテリケース29を下方から支持する前側バッテリケース支持ステー34および後側バッテリケース支持ステー37が、それぞれ左右一対で取り付けられている。
後側バッテリケース支持ステー37の内側の位置には、車幅方向に指向して左右のフロアフレームF4を連結するクロスフレームF8が配設されており、クロスフレームF8の下部には、揺動装置50の後方寄りの位置を支持する後側ステー38が設けられている。一方、前側バッテリケース支持ステー34の下方の位置には、揺動装置50の前方寄りの位置を支持する前側ステー35が左右一対で設けられている。
図5は、後側車体BRの左側面図である。この図では、揺動装置50を後側車体BRに固定した状態で、前側車体BFを除去した状態を示す。揺動装置50の前側支持部51L,51Rには、ボルトを通す貫通孔51aが形成されている。また、揺動装置50の後側支持部55には、ボルトを通す貫通孔55aが形成されている。
本実施形態では、バッテリBの電力を、配線ターミナルであるジャンクションボックスJに一旦送り、ジャンクションボックスJから延びる高圧ハーネスH1,H2によって、後側車体BRに送るように構成されている。ジャンクションボックスJから下方前方に延びる高圧ハーネスH1,H2は、前側支持部51L,51Rの前方に位置する湾曲部CでUターンするように湾曲した後、揺動装置50の右側を通って後方に向けて配索される。
荷台19は、荷物を載せる平板部19aの前端に、上方に立設する立設部19bを備えた形状とされる。荷台フレームカバー20は、荷台フレーム32のアーチ部分と荷台19の立設部19bとを同時に覆う構成とされる。
図6は、後側車体BRの斜視図である。モータMに供給する電力を制御する制御装置64は、荷台フレームカバー20の下方の位置で、複数の冷却フィンが車体前方に露出するように配設されている。制御装置64の左右には、左側電装部品カバー25および右側電装部品カバー63が配設されている。
図7は外装部品を取り外した状態の後側車体BRの斜視図であり、図8は同後側車体BRの一部断面斜視図である。後側車体フレーム70は、主に、金属製の角パイプからなる左右一対のメインフレーム71を、車幅方向に指向する複数のクロスパイプ等で連結した構成とされる。前方下方に湾曲した先のメインフレーム71の先端部には、スイングアーム16のピボット24が通される。スイングアーム16の前端部には、ピボット24を通す円筒カラー100が取り付けられている。ピボット24の上方には、左右のメインフレーム71を連結する第1クロスパイプ72が配設される。ピボット24を通す円筒カラー73は、第1クロスパイプ72に支持される。第1クロスパイプ72の下部には、揺動軸60を締結部材62で固定するための左右一対の固定板75が取り付けられている。
ジャンクションボックスJから延びる高圧ハーネスH1は、制御装置64の左側部に接続される。この接続部分は、左側電装部品カバー25によって覆われている。パワーユニットUへの電力供給は、制御装置64の上部に設けられた配線コネクタ64aから延出する高圧ハーネスとしての三相ハーネス89によって行われる。ジャンクションボックスJから延びる高圧ハーネスH2は、制御装置64の後方に配設されるダウンレギュレータ86に接続される。
丸パイプ材で構成される荷台フレーム32は、荷台19の外縁を支持する略方形の外枠部32bと、外枠部32bの前方寄りの位置からアーチ状に立設する立設部32aと、車幅方向に指向して左右の立設部32aを連結する左右連結部32cと、左右連結部32cと外枠部32bとを連結する左右一対の上下連結部32dとを含む。右側電装部品カバー63の内側には、低圧のサブバッテリやヒューズボックス等の電装部品が配設されている。
図9は、後側車体フレーム70の斜視図である。後側車体フレーム70は、左右一対の角パイプからなるメインフレーム71を複数のクロスパイプ等で接続した構成を有する。メインフレーム71の前下端部には、ピボット24が通る貫通孔74が形成されている。貫通孔74の上方の位置には、左右のメインフレーム71を連結する第1クロスパイプ72がかけ渡されており、第1クロスパイプ72の下方に円筒カラー73が固定されている。第1クロスパイプ72の下方には、揺動軸60を固定するための貫通孔76が設けられた左右一対の固定板75が固定されている。
メインフレーム71は、後上方に伸びてから湾曲部71aで湾曲して後方に伸びる形状とされる。湾曲部71aの前方下部には、メインフレーム71の左右の内壁面から車幅方向内側に向かって伸びるPCU固定用フレーム78が取り付けられている。PCU64は、第1クロスパイプ72およびPCU固定用フレーム78によって支持されるPCU支持板77によって支持される。左右のPCU固定用フレーム78が互いに離間していることで、メインフレーム71に加わるねじれがPCU64に伝達されるのを防ぐことができる。湾曲部71aの後方で、車幅方向右側のメインフレーム71の内壁部には、ダウンレギュレータ86を支持するダウンレギュレータ支持板81が取り付けられている。
ダウンレギュレータ支持板81の上方には、左右のメインフレーム71を互いに連結する角パイプ状の第2クロスパイプ80が設けられている。第2クロスパイプ80は、三相ハーネス89の揺動代を確保するために、車幅方向中央が後方に向けてオフセットした湾曲形状を有する。メインフレーム71の後端部には、左右のメインフレーム71を互いに連結する角パイプ状の第3クロスパイプ85が設けられている。第2クロスパイプ80と第3クロスパイプ85の間の位置で、メインフレーム71の下面には、リヤクッション88(図13参照)の上端部を支持するリヤクッション支持部83が設けられる。
図10は、スイングアーム16の斜視図である。また、図11はスイングアーム16の平面図であり、図12はスイングアーム16の底面図である。アルミや鉄等の金属で構成されるスイングアーム16は、主に、前後方向に伸びる左右一対のアーム部103と、左右のアーム部103を連結するクロス部Cによって構成されている。アーム部103の前端は上方に湾曲しており、その先端にピボット24が通る円筒カラー100が取り付けられる。円筒カラー100の下方には、補強ガセット101が取り付けられる。
クロス部Cは、上側板部材110と下側板部材111とからなり、その中央部には、凹部をなして上側板部材110と下側板部材111とが互いに接合する接合部105が設けられている。クロス部Cの前端縁102は車体平面視で直線状とされており、クロス部Cの後端縁106は車体平面視で湾曲形状とされている。この後端縁106の湾曲形状によってスイングアーム16にかかるねじれの応力を分散させることができる。また、接合部105の前端縁部105bは、前方に凸をなす円弧状とされており、この形状においても、スイングアーム16にかかるねじれの応力を分散させることができる。
前端縁102の近傍で車幅方向中央の上面には、パワーユニットUの前側支持部104が設けられている。前側支持部104は、左右いずれかにオフセットして配設してもよい。アーム部103の後端部は、上方に開放された略U字断面の後端部材107によって構成されている。後端部材107の前方側には、パワーユニットUの左右一対の支持部を支持するための貫通孔108が形成されており、後端部材107の後端部には、リヤクッション88の下端部を支持するための貫通孔109が形成されている。このように、スイングアーム16の後端を上方に開放された形状とすることで、左右の後輪WRから入力される外力によるねじれの力を逃がすことができ、後側車体BRにかかる負荷を抑制することが可能となる。
図13は、後側車体BRの左側面図である。また、図14は後輪車体BRの平面図である。図13では、左側の後輪WRを取り外した状態を示している。スイングアーム16の上部に固定されるパワーユニットUは、モータMを収納する車幅方向中央の前部90と、モータMの中心から後方下方にオフセットした位置から車幅方向外側に延出する左右一対の後部91とからなる。前部90の下部に設けられる前側ステー200は、スイングアーム16に形成される前側支持部104に対して締結部材150によって固定される。
リヤクッション88の上端部は、ボルト83aによってリヤクッション支持部83に支持される。一方、リヤクッション88の下端部は、ボルト16aによってスイングアーム16の後端部材107の後端部に支持される。
パワーユニットUの開口部130には、高圧ハーネス89が接続される。高圧ハーネス89は、らせんを描くように上方に向かって配索される。これにより、後輪車体フレーム70に対してスイングアーム16が揺動しても高圧ハーネス89の曲がりを少なく抑えることが可能となる。第2クロスパイプ80は、この高圧ハーネス89の揺動代を確保するために、車幅方向中央部が後方側に突出した湾曲形状とされている。メインフレーム71の車幅方向間隔は、PCU64やパワーユニットUを支持する車体前方側に比して、リヤクッション88を支持する部分で狭くなるように構成されている。
図15は、パワーユニットUおよびスイングアーム16の断面図である。この図では、車幅方向中央で切断して左側から見た状態を示している。前記したように、パワーユニットUの前側ステー200は、締結部材150によってスイングアーム16の前側支持部104に支持される。パワーユニットUの後方側には、左右一対の後側ステー201が形成されており、締結部材151によってスイングアーム16の後端部材107に支持される。
前記したように、スイングアーム16のクロス部Cには、上側板部材110と下側板部材111とが接する接合部105が形成されている。この接合部105の底部105aは、車体側面視で、車体後方に向けて直線状に伸びており、これにより、接合部105から後方に水を排出して接合部105の上面に水が留まることを防ぐことができる。スイングアーム16の裏面側には、接合部105を形成するための凹部112が設けられている。
パワーユニットUの底部120aは、車体側面視で、スイングアーム16のアーム部103と重なる位置まで、接合部105の底部105aに近接配置される。これにより、後側車体BRの全高を低減し、荷台19の位置を低く抑えることが可能となる。
図16は、パワーユニットUの斜視図である。パワーユニットUの前部90および後部91は、左側ケーシング120と右側ケーシング121とを車幅方向中央で接合して構成される。パワーユニットUの車幅方向外側端部には、ドラムブレーキのブレーキシューの取り付け部が設けられる。パワーユニットUの前端部には、三相ハーネス89の取出し口である開口130が形成されている。開口130は、左側ケーシング120に設けられており、前側ステー200は右側ケーシング121に設けられている。
開口130には、U相、V相、W相の高圧線160と制御線163とが挿入される。三相ハーネス89に束ねられるアース線161は、開口130の下方で左側ケーシング120に締結される。
開口130から延出する三相ハーネス89は、第1バンド140および第2バンド142によって左側ケーシング120に固定される。第1バンド140は、三相ハーネス89および制御線163をそのままクランプし、第2バンド142は、ゴム製の円筒状グロメットを介して三相ハーネス89および制御線163をクランプする。第2バンド142のさらに上方の位置では、三相ハーネス89および制御線163が第3バンド143によって、PCU64の配線コネクタ64aに支持されるステーに固定される。
図17は、パワーユニットUを構成する左側ケーシング120および右側ケーシング121の斜視図である。また、図18は、パワーユニットUの左側面図である。第1バンド140は、開口130より後方の位置で側方に向けて開口する貫通孔である下側支持部131に固定される。また、第2バンド142は、下側支持部131の上方の位置で上方に向けて開口する貫通孔である上側支持部132に固定される。下側支持部131および上側支持部132は、車体側面視で、単一の垂線Vと重なる位置に設けられている。これにより、下側支持部131と上側支持部132とが上下方向に並ぶことで、開口部130から上方に伸びる三相ハーネス89を効率よく支持することが可能となる。また、下側支持部131および上側支持部132をいずれも左側ケーシング120に設けることで、スペースの有効活用が可能となる。下側支持部131および上側支持部132は、貫通孔であり、形成が容易であると共に、第1バンド140および第2バンド142が取り付けしやすく、パワーユニットUの組み立て作業が容易となる。
図19は、三相ハーネス89および制御線163を車幅方向右側から見た側面図である。また、図20は第2バンド142により固定される大径グロメット170および小径グロメット171の斜視図である。前記したように、三相ハーネス89および制御線163は、らせんを描くように上方に向かって配索される。これにより、後側車体BRに対して前側車体BFがロール方向に揺動したり、後側車体BRのスイングアーム16が上下に揺動する際にも、高圧ハーネス89が揺動動作の影響を受けにくくすることができる。
第1バンド140の端部に設けられるクリップ140aは、下側支持部131に側方から挿入固定される。また、第2バンド142の端部に設けられるクリップ142aは、上側支持部132に上方から挿入固定される。これにより、高圧ハーネス89を効率よく左側ケーシング120に支持させることができ、また、簡単な構造のクリップを適用することで、パワーユニットUまわりの組み立て作業が容易となる。
なお、電動三輪車の形態、後側車体フレームやスイングアームの形状や構造、パワーユニットのケーシングの形状や構造、高圧ハーネスの取り回し等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。
1…鞍乗型電動三輪車、16…スイングアーム、24…ピボット、64…PCU、71a…湾曲部、71…メインフレーム、78…PCU固定用フレーム、80…クロスフレーム、89…三相ハーネス(高圧線)、50…揺動装置、88…リヤクッション、103…アーム部、107…後端部材、105…接合部、106…湾曲部、105b…接合部の前端縁部、105a…接合部の底部、110…上側板部材、111…下側板部材、120…左側ケーシング、121…右側ケーシング、120a…パワーユニットの下縁部、130…開口部、131…下側支持部(支持部)、132…上側支持部(支持部)、140a,142a…クリップ、200…前側固定部、201…後側固定部、B…バッテリ、C…クロス部、M…モータ、V…垂線、WF…前輪、WR…後輪、BF…前側車体、BR…後側車体、U…パワーユニット

Claims (9)

  1. 単一の前輪(WF)を支持する前側車体(BF)と、左右一対の後輪(WR)を支持する後側車体(BR)と、前記後輪(WR)を駆動するパワーユニット(U)と、前記前側車体(BF)の下部に取り付けられて前記後側車体(BR)をロール方向に揺動可能に支持する揺動装置(50)とを含む鞍乗型電動三輪車において、
    前記後側車体(BR)は、前記パワーユニット(U)を支持するスイングアーム(16)と、該スイングアーム(16)を前記後側車体(BR)に吊り下げるリヤクッション(88)とを含み、
    前記パワーユニット(U)は、前記スイングアーム(16)に対して、前側固定部(200)および左右一対の後側固定部(201)によって固定されており、
    前記リヤクッション(88)の下端部は、前記後側固定部(201)より後方で前記スイングアーム(16)の後端部材(107)に支持されており、
    前記後端部材(107)が、上方に開放する略U字状断面をなすことを特徴とする鞍乗型電動三輪車。
  2. 前記スイングアーム(16)は、車両の前後方向に沿って延びる左右一対のアーム部(103)と、左右一対の前記アーム部(103)を互いに接続するクロス部(C)とを有し、
    前記パワーユニット(U)の下縁部(120a)と前記アーム部(103)とが、車体側面視でオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動三輪車。
  3. 前記スイングアーム(16)は、車両の前後方向に沿って延びる左右一対のアーム部(103)と、左右一対の前記アーム部(103)を互いに接続するクロス部(C)とを有し、
    前記クロス部(C)は、上側板部材(110)と下側板部材(111)とからなり、
    前記クロス部(C)の略中央に、前記上側板部材(110)と前記下側板部材(111)とが接する接合部(105)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型電動三輪車。
  4. 車体平面視で、前記クロス部(C)の前端縁または後端縁が、車両前後方向に湾曲する湾曲部(106)とされることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型電動三輪車。
  5. 前記接合部(105)は、前記アーム部(103)の上縁部より低い凹部を構成しており、
    前記接合部(105)の直上に前記パワーユニット(U)が配設されることを特徴とする請求項3または4に記載の鞍乗型電動三輪車。
  6. 前記接合部(105)の前端縁部(105b)が、円弧形状をなすことを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型電動三輪車。
  7. 前記接合部(105)の底部(105a)が、車体側面視で、後方に向けて直線状に伸びることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型電動三輪車。
  8. 前記後側車体(BR)は、前記スイングアーム(16)のピボット(24)から後上方に伸びた後、湾曲部(71a)で湾曲して後方に伸びる左右一対のメインフレーム(71)と、前記湾曲部(71a)の直後の位置で前記左右一対のメインフレーム(71)を互いに接続するクロスフレーム(80)とを有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の鞍乗型電動三輪車。
  9. 前記後側車体(BR)に搭載されるPCU(64)を有し、
    前記PCU(64)は、前記左右一対のメインフレーム(71)からそれぞれ車幅方向内側に向けて互いに接触しない位置まで延出するPCU固定用フレーム(78)によって支持されることを特徴とする請求項8に記載の鞍乗型電動三輪車。
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