JP7121853B2 - 燃料ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は車両用部品について、特に燃料を高圧にしてエンジンに供給する燃料ポンプに関する。
自動車等のエンジン(内燃機関)の燃焼室へ燃料を直接、噴射する直接噴射型エンジンにおいては、燃料を高圧にするための高圧燃料供給ポンプが広く用いられている。この高圧燃料供給ポンプの従来技術として、たとえば、特開2016-208359号公報(特許文献1)に示すものがある。この特許文献1の図8には、電磁駆動装置について「固定コア812には軸方向外側、すなわちアンカー部118とは反対側に細径部831が設けられている。また、細径部831には固定ピン832が固定されており、カバー部815が外径拡大部830と接触するよう押し付けることで、カバー部815の軸法の動きを規制している。」と開示されている。
WO2016-208359号公報
上記従来技術では、カバー部815を保持するために別部品の固定ピン832が必要であるため、部品点数の増加によるコストの増大と組み立て工程の増加に伴うコストの増大を招いていた。また従来技術では固定コア812がカバー部815から飛び出る構造であるため、ポンプ作動時の電磁弁機構による動作音が増大する虞がある。
そこで本発明は、組み立て工数を低減するとともに電磁弁機構による動作音の抑制を図る燃料ポンプを提供することを目的とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、コイルと、可動コアに対して加圧室と反対側に配置され、前記コイルが通電することで前記可動コアを吸引する磁気コアと 、前記コイルの径方向外側に配置されるヨークと、前記ヨークと別体に形成され、前記コイルを軸方向外側から覆うカバー部と、前記ヨークの径方向外側とともに前記カバー部の軸方向外側を覆うモールド部と、前記コイルと電気的に接続される端子部材と、前記モールド部により形成され、内部に前記端子部材の一部が埋め込まれ、前記端子部材の一部を外部に露出させるコネクタと、を備え、前記端子部材は、平板形状に形成され、当該端子部材の軸方向内側端面と前記カバー部の軸方向内側端面とが同一平面上に形成され、前記モールド部は、前記磁気コアの軸方向外側端面を覆うように形成され、前記コネクタの軸方向外側端面は、前記磁気コアの軸方向外側端面を覆うモールド部の軸方向外側端面に対して、軸方向内側に位置する
このように構成した本発明によれば、組み立て工数を低減するとともに電磁弁機構による動作音の抑制を図る燃料ポンプを提供することが可能となる。
上記した内容以外の本発明の構成、作用、効果については以下の実施例において詳細に説明する。
燃料ポンプが適用されたエンジンシステムの構成図を示す。 燃料ポンプの縦断面図である。 燃料ポンプの上方から見た水平方向断面図である。 燃料ポンプの図2と別方向から見た縦断面図である。 本発明の実施例の電磁吸入弁機構3を説明するための軸方向の断面図である。 電磁吸入弁機構3の主要部品を分解して示した図面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず本発明の実施例について図1~6を用いて詳細に説明する。
図1に示すエンジンシステムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作を説明する。
破線で囲まれた部分が高圧燃料ポンプ(以下、燃料ポンプと呼ぶ)の本体を示し、この破線の中に示されている機構・部品はボディ1(ポンプボディと呼んでも良い)に一体に組み込まれていることを示す。
燃料タンク102の燃料は、エンジンコントロールユニット101(以下ECUと称す)からの信号に基づきフィードポンプ102によって燃料タンク103から汲み上げられる。この燃料は適切なフィード圧力に加圧されて燃料配管104を通して燃料ポンプの低圧燃料吸入口10aに送られる。
吸入配管5(図3、4参照)の低圧燃料吸入口10aから流入した燃料は圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して容量可変機構である電磁吸入弁機構3の吸入ポート31に至る。
電磁吸入弁機構3に流入した燃料は、吸入弁3bを通過し、ボディ1に形成された吸入通路1aを流れた後に加圧室11に流入する。エンジンのカム機構91によりプランジャ2に往復運動する動力が与えられる。プランジャ2の往復運動により、プランジャ2の下降行程には吸入弁3bから燃料を吸入し、上昇行程には、燃料が加圧される。加圧室11の圧力が設定値を超えると、吐出弁機構8が開弁し、圧力センサ105が装着されているコモンレール106へ高圧燃料が圧送される。そしてECU101からの信号に基づきインジェクタ107がエンジンへ燃料を噴射する。本実施例はインジェクタ107がエンジンのシリンダ筒内に直接、燃料を噴射する、いわゆる直噴エンジンシステムに適用される燃料ポンプである。燃料ポンプは、ECU101から電磁吸入弁機構3への信号により、所望の供給燃料の燃料流量を吐出する。
図2は本実施例の燃料ポンプの垂直方向の断面で見た縦断面図を示し、図3は燃料ポンプを上方から見た水平方向断面図である。また図4は燃料ポンプを図2と別の垂直方向断面で見た縦断面図である。
本実施例の燃料ポンプはボディ1に設けられた取付けフランジ1e(図3)を用いエンジン(内燃機関)の燃料ポンプ取付け部90(図2、4)に密着し、図示しない複数のボルトで固定される。
図2、4に示すように燃料ポンプ取付け部90とボディ1との間のシールのためにOリング93がボディ1に嵌め込まれ、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止する。
図2、4に示すようにボディ1にはプランジャ2の往復運動をガイドし、ボディ1と共に加圧室11を形成するシリンダ6が取り付けられている。また燃料を加圧室11に供給するための電磁吸入弁機構3と加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構8が設けられている。
シリンダ6はその外周側においてボディ1と圧入される。またボディ1を内周側(径方向内側)へ変形させることでシリンダ6の固定部6aを図中上方向へ押圧し、シリンダ6の上端面で加圧室11にて加圧された燃料が低圧側に漏れないようシールしている。すなわち、加圧室11は、ボディ1、電磁吸入弁機構3、プランジャ2、シリンダ6、吐出弁機構8にて構成される。
プランジャ2の下端には、エンジンのカムシャフトに取り付けられたカム91の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット92が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね18にてタペット92に圧着されている。これによりカム91の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に往復運動させることができる。
また、シールホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13がシリンダ6の図中下方部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されている。これにより、プランジャ2が摺動したとき、副室7aの燃料をシールしエンジン内部へ流入するのを防ぐ。同時にエンジン内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がボディ1の内部に流入するのを防止する。
図2、3に示すリリーフ弁機構4は、シート部材4e、リリーフ弁4d、リリーフ弁ホルダ4c、リリーフばね4b、及びばね支持部材4aで構成される。ばね支持部材4aはリリーフばね4bを内包しリリーフ弁室を形成するリリーフボディとしても機能する。リリーフ弁機構4のばね支持部材4a(リリーフボディ)がボディ1に形成された横孔に圧入されて固定される。リリーフばね4bは、一端側がばね支持部材4aに当接し、他端側がリリーフ弁ホルダ4cに当接している。リリーフ弁4dは、リリーフばね4bの付勢力がリリーフ弁ホルダ4cを介して作用してリリーフ弁シート(シート部材4e)に押圧されることで燃料を遮断する。リリーフ弁4dの開弁圧力は、リリーフばね4bの付勢力によって決定される。本実施例ではリリーフ弁機構4は、リリーフ通路を介して加圧室11に連通しているが、これに限定されるわけではなく、低圧通路(低圧燃料室10又は吸入通路10d等)に連通するようにしても良い。リリーフ弁機構4は、コモンレール106やその先の部材に何らかの問題が生じ、コモンレール106が異常に高圧になった場合に作動するよう構成された弁である。
つまりリリーフ弁機構4は、リリーフ弁4dの上流側と下流側との差圧が設定圧力を超えた場合に、リリーフばね4bの付勢力に抗してリリーフ弁4dが開弁するように構成される。コモンレール106やその先の部材内の圧力が高くなった場合に開弁し、燃料を加圧室11または低圧通路(低圧燃料室10又は吸入通路10d等)に戻すという役割を有する。なお、図2、3においてはリリーフ弁機構4は開弁した場合に加圧室11に戻す構造を示している。そのため、所定の圧力以下では閉弁状態を維持する必要があり、高圧に対抗するために非常に強力なリリーフばね4bを有している。
図3、4に示すように燃料ポンプのボディ1の側面部には吸入配管5が取り付けられている。吸入配管5は、車両の燃料タンク103からの燃料を供給する低圧配管104に接続されており、燃料はここから燃料ポンプ内部に供給される。吸入配管5の先の吸入流路5a内の吸入フィルタ17は、燃料タンク103から低圧燃料吸入口10aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって燃料ポンプ内に吸収することを防ぐ役目がある。
低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構9、低圧燃料流路10dを介して電磁吸入弁機構3の吸入ポート3kに至る。
カム91の回転により、プランジャ2がカム91の方向に移動する吸入行程の場合、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。吸入行程では電磁コイル3gは無通電状態であり、ロッド付勢ばね3mによりロッド3iが開弁方向(図3、4の右方向)に付勢されることで、ロッド3iの先端部でアンカー3hを付勢する。この行程で加圧室11内の燃料圧力が吸入ポート3kの圧力よりも低くなって、吸入弁3bの前後差圧よりもロッド付勢ばね3の付勢力が大きくなると、吸入弁3bは吸入弁シート部3aから離れ開弁状態になる。これにより燃料は吸入弁3bの開口部3fを通り、加圧室11に流入する。なお、ロッド付勢ばね3により付勢されたロッド3iはストッパ3nに衝突して開弁方向への動作が規制される。
プランジャ2が吸入行程を終了した後、プランジャ2が上昇運動に転じ上昇行程に移る。ここで電磁コイル3gは無通電状態を維持したままであり磁気付勢力は作用しない。ロッド付勢ばね3mは、無通電状態において吸入弁3bを開弁維持するのに必要十分な付勢力を有するよう設定されている。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度、加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁3bの開口部3fを通して吸入通路10dへと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称する。
この状態で、エンジンコントロールユニット101(以下ECUと呼ぶ)からの制御信号が電磁吸入弁機構3に印加されると、電磁コイル3gには端子16を介して電流が流れる。電磁コイル3gに電流が流れると磁気コア3eとアンカー3hとの間に磁気吸引力が作用し、磁気コア3e及びアンカー3hが磁気吸引面で接触する。磁気吸引力はロッド付勢ばね3mの付勢力に打ち勝ってアンカー3hを付勢し、アンカー3hがロッド凸部3jと係合して、ロッド3iを吸入弁3bから離れる方向に移動させる。
よって、吸入弁付勢ばね3lによる付勢力と燃料が吸入通路10dに流れ込むことによる流体力により吸入弁3bが閉弁する。閉弁後、加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇し、燃料吐出口12aの圧力以上になると、吐出弁機構8を介して高圧燃料の吐出が行われ、コモンレール106へと供給される。この行程を吐出行程と称する。なお、ボディ1の横穴に吐出ジョイント12が挿入され、吐出ジョイント12の内部空間により燃料吐出口12aが形成される。なお、吐出ジョイント12は溶接部12bにより溶接でボディ1の横穴に固定される。
すなわち、プランジャ2の下始点から上始点までの間の上昇行程は、戻し行程と吐出行程からなる。そして、電磁吸入弁機構3のコイル3gへの通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル3gへ通電するタイミングを早くすれば、上昇行程中の、戻し行程の割合が小さく、吐出行程の割合が大きい。
つまり、吸入通路10dに戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば上昇行程中の、戻し行程の割合が大きく吐出行程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル3gへの通電タイミングは、ECU101からの指令によって制御される。
以上のように電磁コイル3gへの通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量をエンジンが必要とする量に制御することが出来る。ボディ1の加圧室11出口側の吐出弁機構8は、吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8c、及び吐出弁8bのストローク(移動距離)を決める吐出弁ストッパ8dから構成されている。吐出弁ストッパ8dは燃料の外部への漏洩を遮断するプラグ8eに圧入されている。プラグ8eは溶接部8fで溶接により接合される。吐出弁8bの二次側には、吐出弁室8gが形成され、この吐出弁室8gがボディ1に水平方向に形成される横穴を介して燃料吐出口12aと連通する。
加圧室11と吐出弁室8gの間に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cの付勢力により吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が吐出弁室8gの燃料圧力よりも大きくなった時に初めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cの付勢力に逆らって開弁する。吐出弁8bが開弁すると、加圧室11内の高圧の燃料は、吐出弁室8g、燃料吐出口12aを経てコモンレール106(図1参照)へ吐出される。以上のような構成により、吐出弁機構8は、燃料の流通方向を制限する逆止弁として機能する。
低圧燃料室10には燃料ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管104へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。一度、加圧室11に流入した燃料が、容量制御のため再び開弁状態の吸入弁体3bを通して吸入通路10dへと戻される場合、吸入通路10dへ戻された燃料により低圧燃料室10には圧力脈動が発生する。しかし、低圧燃料室10に設けた圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダイアフラムダンパで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。
プランジャ2は、大径部2aと小径部2bを有し、プランジャの往復運動によって副室7aの体積は増減する。副室7aは燃料通路10eにより低圧燃料室10と連通している。プランジャ2の下降時は、副室7aから低圧燃料室10へ、上昇時は、低圧燃料室10から副室7aへと燃料の流れが発生する。
このことにより、ポンプの吸入行程もしくは、戻し行程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、燃料ポンプ内部で発生する圧力脈動を低減する機能を有している。以下、本実施例について図5、6に基づいて具体的に説明する。
図5は本実施例の電磁吸入弁機構3の軸方向における断面図を示し、図6はこの電磁吸入弁機構3の主要部品を分解して示す。本実施例の燃料ポンプは、加圧室11の吸入側に配置された吸入弁3bを開弁、又は閉弁させるロッド3iと、磁気吸引力により磁気コア3e(固定コア)に吸引されることでロッド3iを動作させる可動コア3hと、磁気コア3e又は可動コア3hの径方向外側に配置されるコイル3gと、を備えている。そして本実施例の燃料ポンプは、コイル3gの軸方向外側(図5において左側)に配置されるとともに、径方向外側に切欠き3raを有するカバー部3rと、切欠き3raに対応する位置から径方向外側に向かって形成されるとともに、コイル3gと電気的に接続される端子部材16と、を備える。端子部材16はコイル3gに電流を流すための金属で構成され、ターミナルと呼んでも良い。また電磁コイル3gはワイヤが円筒状のボビン3pの外周部に複数回、巻かれることで形成される。
つまり本実施例ではコイル3gと電気的に接続される端子部材16が径方向外側に向かって配置される。このときカバー部3rに対して軸方向内側(図5において右側)に端子部材16を配置する方法も考えられるが、この場合、軸方向において電磁吸入弁機構3の大型化を招くだけでなく、カバー部3rとコイル3gとの距離が長くなるため、磁気回路特性の悪化を招くという問題があった。これに対して、上記構成によれば、カバー部3rの切欠き3raに対応する位置に端子部材16を配置することで、カバー部3rとコイル3gとを近接して配置することができる。したがって、軸方向において電磁吸入弁機構3の小型化を図ることができ、さらにはカバー部3rとコイル3gとの距離を短くできるため、磁気回路特性を向上することができる。
また本実施例の燃料ポンプは、磁気コア3e又は可動コア3hの径方向外側に配置され、コイル3gが巻かれるボビン3pを備え、端子部材16は、切欠き3raに対応する位置において、ボビン3pと接続される。具体的には、燃料ポンプは、コイル3g及びカバー部3rの径方向外側に配置されるカップ形状のヨーク3qを備え、端子部材16は、ヨーク3qの円筒側面部よりも径方向内側において、ボビン3pと接続される。図6に示すように、ボビン3pはヨーク3qの円筒側面部に対し、径方向内側から径方向外側まで配置される突出部3paを有し、この突出部3paにより端子部材16が固定される。ボビン3p及び突出部3paは樹脂モールドやプラスチックなど非導電性材料により一体に構成される。
ヨーク3qの底面には孔3qcが形成され、この孔3qcの内周部がアンカーガイド部3uの外周部に圧入される。アンカーガイド部3uの内周部はアンカー3hの外周部をガイドする。アンカーガイド部3uの内周部はアンカー3hと軸方向反対側において、シート部材3vの小径部の外周部に圧入される。シート部材3vは図2及び3のシート部3aを形成するとともに、径方向中心に長孔が形成され、この長孔の内周部でロッド3iをガイドする。
また、コイル3gはヨーク3qの径方向外側において、端子部材16と接続される。具体的には端子部材16はワイヤ接続部16aにおいて、コイル3gからのワイヤを挟み込み、圧着することでワイヤを固定する。つまりワイヤ接続部16aにおいてコイル3gからのワイヤが端子部材16と溶接される。なお図6においてはこのコイル3gからのワイヤは図示していない。またボビン3pはコイル3gの軸方向(図5の左右方向)に沿うように形成される突起3pb、又は溝(図示なし)を有し、コイル3gのワイヤは、突起3pb、又は溝に接触した状態で、端子部材16に巻かれるように形成されることが望ましい。また、ボビン3pにはボビン3pに巻かれたコイル3gをコイル3gの軸方向外側に配置するための切欠き3pcが形成され、ボビン3pの切欠き3pcの軸方向内側(図5の右方向)から軸方向外側(図5の左方向)に配置されたコイル3gは、径方向外側に位置する突起3pb、又は溝に向かって形成されることが望ましい。
なお、コイル3gからワイヤは2本、出されるため、ボビン3pの切欠き3pcは端子部材16を間にして左右対称に設けられるが、図6ではその一方のみに符号を付している。つまり燃料ポンプは、ボビン3pにはボビン3pに巻かれたコイル3gのワイヤをコイル3gの軸方向外側(図5の左方向)に配置するための切欠き3pcとともに、コイル3gの軸方向に沿うように形成される突起3pb、又は溝を有する。そしてボビン3pの双方の切欠き3pcの間隔はボビン3pに形成される双方の突起3pb、又は溝の間隔よりも大きくなるように構成される。
またボビン3pの切欠き3pcから軸方向外側(図5の左方向)に配置されたコイル3gのワイヤは、コイル3gの径方向に沿うように突起3pb、又は溝に向かって形成されることが望ましい。つまり、突起3pb、又は溝が切欠き3pcに対してボビン3pの径方向外側に位置しているため、ボビン3pの切欠き3pcから軸方向外側に出されたコイル3gのワイヤはそれに向かってボビン3pの表面に沿って配置される。より具体的にはボビン3pの切欠き3pcから軸方向外側に配置されたコイル3gのワイヤは、ボビン3pの切欠き3pcから突起3pb、又は溝までの全領域においてボビン3pと接触した状態で配置されることが望ましい。なお、コイル3gのワイヤは、ボビン3pの切欠き3pcから軸方向外側に出た後に周方向に沿ってボビン3pに形成される突起3pb、又は溝に向かうように配置される。
さらにコイル3gからのワイヤはワイヤ接続部16aにおいて固定された後、さらに径方向外側における端子部材16の先端側において端子部材16の外周に巻かれるように構成されることが望ましい。これによりコイル3gからのワイヤを端子部材16に対して強固に巻きつけることが可能となる。
本実施例ではボビン3pにコイル3gを巻き、さらにコイル3gと端子部材16とを電気的に接続した状態で、コネクタ17を樹脂材料等により成形する。コネクタ17は内部に端子部材16の一部が埋め込まれ、端子部材16の一部を外部に露出することで、外部との接続を可能に構成されている。コネクタ17は樹脂材料等を溶かしながら流し込むことで成形するが、このときコイル3gのワイヤが端子部材16から離れた状態にあると、樹脂モールドの際の圧力により切れてしまう虞があった。これに対し上記の構成を採用することにより、樹脂モールドの際の圧力によりコイル3gのワイヤが切れてしまう虞を抑制し、生産効率を向上させることができる。
なお、樹脂材料等は注入ポイント17aにおいて注入されることでコネクタ17が成形されるが、この注入ポイント17aはヨーク3qの円筒側面部の円周部3qaと径方向において重なる位置となるように構成される。またコネクタ17の注入ポイント17はコネクタ17の外周面17bから内側に凹むように形成される。コネクタ17の長手方向の外周面17bはコネクタ17の先端部17cからヨーク3qに至るまでコイル3gの径方向に沿ってほぼ直線状に形成されることが望ましい。またコネクタ17は、カバー部3rに形成される切欠き3raに対応する位置に配置されることが望ましい。
また図5に示すように端子部材16は平板形状に形成され、端子部材16の軸方向内側端面16bとカバー部3rの軸方向内側端面3rbとが同一平面上に形成されることが望ましい。また端子部材16は2本の端子を有し、2本の端子がヨーク3qの円筒側面部3qdに形成された孔部3qbを介して径方向外側に向かって配置される。
以上の本実施例の構成によれば、コイル3gの通電時に可動コア3hが磁気的に吸引される吸引力を向上させることが可能となり、かつ電磁吸入弁機構3を小型化にすることができる。すなわち本実施例によれば磁気回路を効率良く形成できたので、通電電流を低下させても、必要な磁気吸引力を発生できるようになり、消費電力を低減できる。
ここで図5、6に示すように本実施例の燃料ポンプは、コイル3gと、可動コア3hに対して加圧室11と反対側に配置され、コイル3gが通電することで可動コア3hを吸引する磁気コア3eと 、コイル3gの径方向外側に配置されるヨーク3qと、コイル3gを軸方向外側から覆うカバー部3rと、ヨーク3qの径方向外側とともにカバー部3rの軸方向外側を覆うモールド部17と、を備えている。またヨーク3qは、加圧室11の側の底部3qeと加圧室11と反対側に開放部3qfとを有し、カバー部3rは開放部3qfを覆うように配置されている。また、ヨーク3qの底部3qeに形成された孔3qcの内周部とボディ(アンカーガイド部3u)の外周部とが圧入により固定されている。
つまり、本実施例においてカバー部3rは、ヨーク3qと別体に形成され、コイル3g及びボビン3pを軸方向外側(図5左側)から覆うように構成される。そして、カバー部3rは、ヨーク3qの径方向内側に配置され、かつ、ヨーク3qの内周面3qgとの間に隙間を介して配置される。この隙間は5μm~60μmとなるように設定されることが望ましい。この場合、カバー部3rも保持する必要が生じるが、本実施例ではわざわざ別の保持部材を用いることなく、モールド部17によりヨーク3qの円筒側面部3qdとともにカバー部3rを保持することが可能となる。したがって、部品点数の削減によりコスト低減が図れ、かつ、モールド部17によりソレノイド放射音の低減を図ることが可能となる。
ここで本実施例では磁気コア3eの軸方向外側端面3eaがカバー部3rの軸方向外側端面3raよりも軸方向外側に位置するため、ポンプ作動時の振動による音が増加する虞がある。そこで本実施例においてモールド部17は、磁気コアの軸方向外側端面3eaの径方向の全体を覆うように形成される。またモールド部17は、カバー部3rの径方向の全体を覆うように形成される。またモールド部17は、ヨーク3qの軸方向外側端面3qaから軸方向中心部Axまで覆うように形成される。さらにモールド部17は、ヨーク3qの軸方向外側端面3qaからヨーク3qの外周面3qdの軸方向中心3qhを超える範囲に形成されることが望ましい。これにより、モールド部17により広範囲にカバー部3r、あるいはヨーク3qを覆うことによりソレノイド放射音の低減が図れ、上記課題を解決することが可能となる。
またモールド部17は、カバー部3rの軸方向外側端面3raと接触するように形成される。これにより強固にカバー部3rを保持することが可能となる。またモールド部17と磁気コア3eの軸方向外側端面3eaとの間には所定範囲の空間が形成される。これは本実施例ではまずヨーク3qにコイル3g及びボビン3pを組み付け、そしてカバー部3rを覆うように配置するためである。そしてこれらの部品を一体にした状態で上記した樹脂材料等を注入することによりモールド部17を形成する。その後、ヨーク3qの底部3qeに形成された孔3qcの内周部とボディ(アンカーガイド部3u)の外周部とを圧入するが、このとき、部品公差を考慮して、モールド部17と磁気コア3eの軸方向外側端面3eaとの間に所定範囲の空間を形成している。これにより容易に製造することを可能とするものである。
1…ボディ、2…プランジャ、3…電磁吸入弁機構、3g…コイル、3p…ボビン、3q…ヨーク、3r…カバー部、4…リリーフ弁機構、5…吸入配管、5a…吸入配管取付部位、6…シリンダ、7…シールホルダ、8…吐出弁機構、9…圧力脈動低減機構、10a…低圧燃料吸入口、11…加圧室、12…吐出ジョイント、13…プランジャシール、17…モールド部。

Claims (10)

  1. コイルと、
    可動コアに対して加圧室と反対側に配置され、前記コイルが通電することで前記可動コアを吸引する磁気コアと、
    前記コイルの径方向外側に配置されるヨークと、
    前記ヨークと別体に形成され、前記コイルを軸方向外側から覆うカバー部と、
    前記ヨークの径方向外側とともに前記カバー部の軸方向外側を覆うモールド部と、
    前記コイルと電気的に接続される端子部材と、
    前記モールド部により形成され、内部に前記端子部材の一部が埋め込まれ、前記端子部材の一部を外部に露出させるコネクタと、を備え
    前記端子部材は、平板形状に形成され、当該端子部材の軸方向内側端面と前記カバー部の軸方向内側端面とが同一平面上に形成され、
    前記モールド部は、前記磁気コアの軸方向外側端面を覆うように形成され、
    前記コネクタの軸方向外側端面は、前記磁気コアの軸方向外側端面を覆うモールド部の軸方向外側端面に対して、軸方向内側に位置する燃料ポンプ。
  2. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記ヨークは、前記加圧室の側の底部と前記加圧室と反対側に開放部とを有し、
    前記カバー部は前記開放部を覆うように配置された燃料ポンプ。
  3. 請求項2に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記ヨークの前記底部に形成された孔の内周部とボディの外周部とが圧入により固定された燃料ポンプ。
  4. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記カバー部は、前記ヨークの径方向内側に配置され、かつ、前記ヨークの内周面との間に隙間を介して配置される燃料ポンプ。
  5. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部は、前記磁気コアの軸方向外側端面の径方向の全体を覆うように形成される燃料ポンプ。
  6. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部は、前記カバー部の径方向の全体を覆うように形成される燃料ポンプ。
  7. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部は、前記ヨークの軸方向外側端面から軸方向中心部まで覆うように形成される燃料ポンプ。
  8. 請求項に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部は、前記カバー部の軸方向外側端面と接触するように形成される燃料ポンプ。
  9. 請求項に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部と前記磁気コアの軸方向外側端面との間に空間が形成される燃料ポンプ。
  10. 請求項1に記載の燃料ポンプにおいて、
    前記モールド部は、前記ヨークの軸方向外側端面から前記ヨークの外周面の軸方向中心をえる範囲に形成される燃料ポンプ。
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