JP7121596B2 - マットスラブの解体方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マットスラブの解体方法に関する。
近年、築年数が比較的少ない高層建物などが解体されるケースが増えている。その結果、築年数が比較的少ない高層建物に採用されているマットスラブを解体することがある。
マットスラブは、全体に平板形状であり、コンクリートが厚く配筋量も多いことから、通常の破砕機では掴みきれず、ジャイアントブレーカーで解体することがある。
また、特殊化学剤を用いて発破的にマットスラブを部分解体したり、φ1500mm程度の大型のケーシングドリルでマットスラブを部分的にくり抜きながら解体したりすることもある。
また、例えば、特許文献1に開示されたような押し切り型ワイヤーソーなどを用いてマットスラブをブロック切断して解体することもある。
特開2014-69529号公報
しかしながら、ジャイアントブレーカーを用いたマットスラブの解体では、大きな振動や騒音、粉じんが生じるという問題がある。
特殊化学剤を用いて発破的にマットスラブを部分解体する方法では、管理や振動・騒音・粉じん対策に労力がかかっていた。
大型のケーシングドリルでマットスラブを部分的にくり抜きながら解体する方法では、重量機材が必要となり、コストが嵩むとともに管理に労力がかかっていた。
マットスラブをブロック切断する方法では、振動・騒音・粉じんを抑えることができるが、例えば厚さが2m以上となるマットスラブに押し切り型ワイヤーソーで上下方向全体を貫通するように切込みを入れることが困難である。
そこで、本発明は、振動・騒音・粉じんを抑えることができるとともに、マットスラブを容易に解体することができるマットスラブの解体方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るマットスラブの解体方法は、マットスラブを解体するためのマットスラブの解体方法において、前記マットスラブにおける上下方向の中間部よりも上部側の切断領域を切断する切断工程を有し、前記切断工程では、前記切断領域の外周部に沿って前記マットスラブの上端部から前記上下方向の中間部まで達する溝部を形成する溝部形成工程と、溝部における異なる2箇所に対応する位置において前記溝部の幅寸法よりも大径のコア孔を前記溝部の底部に達する深さに形成するコア孔形成工程と、2つの前記コア孔それぞれにプーリを設置し、ワイヤーソーの長さ方向の中間部分を前記切断領域を囲むように前記ワイヤーソーを前記溝部に沿って設置するとともに、前記ワイヤーソーを2つの前記プーリに巻き掛けて、前記ワイヤーソーの長さ方向の両端部分を前記コア孔を通して前記マットスラブの上方に引出すワイヤーソー装置設置工程と、前記ワイヤーソーを両端部それぞれから上方に引き上げて前記切断領域の底部に沿って移動させ、前記切断領域を切断する底部切断工程と、を有し、前記溝部形成工程は、前記コア孔形成工程の後に行われ、2つの前記コア孔それぞれの底部の第1位置にプーリを設置し、ワイヤーソーを前記マットスラブにおける前記溝部が形成される溝部形成領域の上端部で、かつ前記溝部の幅方向の一方側の第1縁部に相当する位置に沿って配置するとともに、前記第1縁部の長さ方向の両端部から2つの前記コア孔を通して下方に延ばし前記プーリに巻き掛けてから2つの前記コア孔を通して上方に延ばし、前記マットスラブの上方に引出す第1溝部形成ワイヤーソー装置設置工程と、前記ワイヤーソーにおける前記プーリよりも前記マットスラブの上方に引き出される側を上方に引き上げながら、前記ワイヤーソーにおける前記第1縁部に沿って配置されている部分を下方に移動させ、前記溝部形成領域に前記第1縁部に沿った第1切込み部を形成する第1切込み部形成工程と、2つの前記コア孔それぞれの底部の前記第1位置よりも前記溝部の幅方向の他方側の第2位置に前記プーリを設置し、前記ワイヤーソーを前記溝部形成領域の上端部で、かつ前記溝部の幅方向の他方側の第2縁部に相当する位置に沿って配置するとともに、前記第2縁部の長さ方向の両端部から2つの前記コア孔を通して下方に延ばし前記プーリに巻き掛けてから2つの前記コア孔を通して上方に延ばし、前記マットスラブの上方に引出す第2溝部形成ワイヤーソー装置設置工程と、前記ワイヤーソーにおける前記プーリよりも前記マットスラブの上方に引き出される側を上方に引き上げながら、前記ワイヤーソーにおける前記第2縁部に沿って配置されている部分を下方に移動させ、前記溝部形成領域に前記第2縁部に沿った第2切込み部を形成する第2切込み部形成工程と、前記ワイヤーソーを、前記第2切込み部の底部に沿って配置し、前記第1切込み部の底部に向かって移動させて、前記溝形成領域を前記マットスラブの下部側から切断する溝形成領域切断工程と、前記溝形成領域切断工程の後に、前記溝形成領域を撤去する溝形成領域撤去工程と、を有することを特徴とする。
本発明では、切断工程においてマットスラブにおける上下方向の中間部よりも上部側の切断領域をワイヤーソーで切断している。このため、厚さのあるマットスラブであっても、上下方向に段階的に切断することにより、ジャイアントブレーカーなどでマットスラブを破砕する場合と比べて、振動・騒音・粉じんを抑えることができる。
また、厚さのあるマットスラブであっても、上下方向全体に切込み(溝部)を形成する必要がないため、特別な装置を使用することなくマットスラブを容易に解体することができる。
また、マットスラブを部分的に切断するため、ジャイアントブレーカーなどでマットスラブ全体を破砕する場合と比べて作業床を確保しやすく、解体時の安全性を向上させることができる。
また、溝部形成工程では、コア孔の底部に設けられたプーリに巻き掛けられたワイヤーソーを用いてマットスラブの上端部からプーリの高さまでワイヤーソーを押し下げるようにすることにより、コア孔の底部に達する深さの第1切込み部および第2切込み部をそれぞれ一度に形成することができる。
これに対し、ロードカッターで第1切込み部および第2切込み部を形成する場合では、溝部の深さがロードカッターの高さ寸法よりも大きいと、ロードカッターの高さ寸法ごとに溝部を形成することになる。このように、本発明によるマットスラブの解体方法では、所望の深さの溝部を高さごと分けずに、また、分けた場合は少ない分割で形成することができるため、溝部形成工程の工期短縮を図ることができる。
また、本発明に係るマットスラブの解体方法では、前記切断領域の平面視形状を矩形とし、前記溝部形成工程では、前記矩形の外周部に対応する位置に前記溝部を形成し、前記コア孔形成工程では、前記矩形の4辺のうちの第1辺の両端部に対応する位置それぞれに前記コア孔を形成し、前記ワイヤーソー装置設置工程では、2つの前記コア孔それぞれにプーリを設置し、前記ワイヤーソーの長さ方向の中間部分を前記矩形の4辺のうちの前記第1辺以外の3つの辺に対応する溝部に沿って前記切断領域を囲むように設置するとともに、2つの前記プーリに巻き掛けて、前記ワイヤーソーの長さ方向の両端部分を前記コア孔を通して前記マットスラブの上方に引出すようにしてもよい。
このような構成とすることにより、ワイヤーソーが切断領域の外周部に沿いやすいため、切断領域を効率よく切断でき、ワイヤーソーの消耗を抑えることができる。
本発明によれば、振動・騒音・粉じんを抑えることができるとともに、マットスラブを容易に解体することができる。
(a)は本発明の第1実施形態によるマットスラブの一例を示す平面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。 第1実施形態によるマットスラブの解体方法の溝部形成工程、第1コア孔形成工程および第2コア孔形成工程を説明する平面図である。 第1実施形態によるマットスラブの解体方法の溝部形成工程を説明する断面図である。 第1実施形態によるマットスラブの解体方法のワイヤーソー装置設置工程を説明する平面図である。 図4のB-B線断面図である。 第1実施形態によるマットスラブの解体方法の底部切断工程を説明する平面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の第1コア孔形成工程および第2コア孔形成工程を説明する平面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の第1溝部形成ワイヤーソー装置設置工程および第1切込み部形成工程を説明する平面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の第1溝部形成ワイヤーソー装置設置工程および第1切込み部形成工程を説明する断面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の第2溝部形成ワイヤーソー装置設置工程および第2切込み部形成工程を説明する平面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の溝形成領域切断工程を説明する平面図である。 第2実施形態によるマットスラブの解体方法の図11に続く溝形成領域切断工程を説明する平面図である。 ワイヤーソー装置のプーリの他の形態を説明する図である。 切断領域の平面視形状が台形である場合のワイヤーソー装置設置工程および底部切断工程を説明する図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態によるマットスラブの解体方法について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示すマットスラブ1は、コンクリートスラブで例えば高層建物などの基礎として構築されている。本実施形態によるマットスラブ1の解体方法では、マットスラブ1の上側部分11を切断して撤去し、マットスラブ1の下側部分12を破砕して解体し撤去している。
本実施形態では、マットスラブ1の上側部分11のうちの水平方向に配列された複数の領域をそれぞれ切断して撤去している。このマットスラブ1の上側部分11のうち切断される複数の領域をそれぞれ切断領域13とする。
複数の切断領域13は、平面視形状が長方形(矩形)となり、略直方体となるように切断される。水平方向に隣り合う切断領域13は、間隔をあけて配置されている。このため、マットスラブ1の上側部分11においても、複数の切断領域13を切断して撤去した後に、隣り合う切断領域13の間の残存部分14を破砕して解体している。
本実施形態によるマットスラブ1の解体方法は、まず、マットスラブ1の上側部分11の複数の切断領域13をそれぞれ切断する切断工程を行い、その後に、マットスラブ1の上側部分11の切断領域13の間の残存部分14、およびマットスラブ1の下側部分12を破砕する破砕工程を行う。
切断工程では、まず、図2に示すように、切断領域13の外周部全体に沿ってマットスラブ1の上端部から上下方向の中間部まで達する溝部2を形成する溝部形成工程を行う。
溝部形成工程では、図3に示すようにロードカッター3を用いて溝部2を形成する。形成する溝部2の幅は、ワイヤーソー51(図4および図5参照)を配置可能な約20mmとする。
溝部2を形成するには、まず、溝部2のうち幅方向の一方側(切断領域13と離間する側)となる部分をロードカッター3で切断して第1溝部21を形成する。続いて、この第1溝部21と間隔をあけて溝部2のうち幅方向の他方側(切断領域13と近接する側)となる部分をロードカッター3で切断して第2溝部22を形成する。第1溝部21と第2溝部22との間の部分は残存している。
そして、第1溝部21と第2溝部22との間の残存部分23を撤去する。残存部分23撤去は、例えば、溝部2に楔を打ち込んで残存部分23を折って撤去するようにしてもよいし、ハンドブレーカなどの斫り機で残存部分23を斫って撤去するようにしてもよい。これにより第1溝部21と第2溝部22とが連続し、溝部2が形成される。
このようにして、切断領域13の外周部全体に図2に示す溝部2を形成する。本実施形態では、平面視において長方形を描くように溝部2が形成される。
溝部2のうちの平面視の長方形の2つの短辺のうちの一方の短辺に沿った部分を第1短辺溝部24とし、他方の短辺に沿った部分を第2短辺溝部25とし、2つの長辺のうちの一方の長辺に沿った部分を第1長辺溝部26とし、他方の長辺に沿った部分を第2長辺溝部27とする。
続いて、溝部2が描く長方形の4つの角部のうちの、第1短辺溝部24の両端部それぞれに配置される2つの第1角部28,28それぞれに、溝部2の幅よりも大径で上下方向に延びる第1コア孔(コア孔)41,41を形成する第1コア孔形成工程(コア孔形成工程)と行う。
第1コア孔41の底部41aと溝部2の底部2aとが略同じ高さとなるように、第1コア孔41を形成する。第1コア孔41は、溝部2と連通している。
第1コア孔形成工程と前後して、溝部2が描く長方形の4つの角部のうちの2つの第1角部28以外の2つの第2角部29に溝部2の幅よりも大径となる第2コア孔42を形成する第2コア孔形成工程を行う。
第2コア孔42の底部42aと溝部2の底部2aとが略同じ高さとなるように、第2コア孔42を形成する。第2コア孔42は溝部2と連通している。
なお、第1コア孔形成工程および第2コア孔形成工程は、溝部形成工程の前に行ってもよい。
続いて、図4および図5に示すように、切断領域13を囲むように溝部2に沿ってワイヤーソー51を設置するワイヤーソー装置設置工程を行う。
本実施形態では、引き切りワイヤーソー装置5のワイヤーソー51を切断領域13の周囲に設置する。引き切りワイヤーソー装置5は、ワイヤーソー51と、ワイヤーソー51が巻き掛けられる2つのプーリ52と、ワイヤーソー51を上方に引き上げ可能および下方に引き下げ可能なワイヤーソー上下機構53と、を有している。
2つのプーリ52は、回転軸52a(図4参照)が水平方向に延びる向きに配置されている。プーリ52に巻き掛けられたワイヤーソー51は、プーリ52の一方側では水平面に沿うように配置され、プーリ52の他方側では上下方向に延びるように配置される。
2つのプーリ52は、それぞれワイヤーソー上下機構53の下側に配置されるようにワイヤーソー上下機構53またはマットスラブ1に支持された他の部材に支持されている。なお、ワイヤーソー上下機構53に対する2つのプーリ52の高さは調整可能に構成されていてもよい。
本実施形態では、2つのプーリ52は、鉛直方向に延びる鉛直軸52b(図5参照)回りに回転可能に構成されている。
2つのプーリ52の上方には、ワイヤーソー上下機構53が配置されている。
ワイヤーソー51は、2つのプーリ52に巻き掛けられるとともに、両端部分51b,51bがワイヤーソー上下機構53に接続されている。ワイヤーソー51における長さ方向の中間部分51aは、プーリ52よりもワイヤーソー上下機構53と離間する側に配置されている。ワイヤーソー51における長さ方向の両端部分51b,51bは、プーリ52よりもワイヤーソー上下機構53に近接する側に配置され、上下方向に延びる姿勢となっている。
ワイヤーソー上下機構53は、ワイヤーソー51を2つのプーリ52それぞれの上方に引き上げるように構成されている。このため、ワイヤーソー上下機構53がワイヤーソー51を引き上げると、ワイヤーソー51における長さ方向の中間部分51aがワイヤーソー上下機構53側に近接する方向に移動するように構成されている。
ワイヤーソー装置設置工程では、まず、引き切りワイヤーソー装置5のワイヤーソー上下機構53をマットスラブ1の切断領域13の外側で2つの第1コア孔41と隣接する位置に配置する。本実施形態では、マットスラブ1の切断領域13の外側にアンカーを設置し、このアンカーにワイヤーソー上下機構53を固定している。これにより、ワイヤーソー上下機構53がアンカーを介してマットスラブ1に固定される。
このとき、2つのプーリ52のうちの一方のプーリ52を2つの第1コア孔41のうちの一方の第1コア孔41の底部41aに配置し、他方のプーリ52を他方の第1コア孔41の底部41aに配置する。
そして、ワイヤーソー51を溝部2に沿って配置して切断領域13を囲んだ状態にするとともに、プーリ52に巻き掛けてワイヤーソー51の両端部分51b,51bがワイヤーソー上下機構53に接続された状態とする。
ワイヤーソー51は、切断領域13の第1長辺溝部26、第2短辺溝部25および第2長辺溝部27それぞれの底部に沿ってC字形状に配置された状態とする。
ワイヤーソー51を溝部2に配置する際には、溝部2の幅よりも径の大きい第2コア孔42を利用してワイヤーソー51を溝部2の底部2aまで挿入する。
続いて、引き切りワイヤーソー装置5で切断領域13を切断する底部切断工程を行う。
底部切断工程では、ワイヤーソー上下機構53でワイヤーソー51を両端部分51b,51bから引き上げて、切断領域13をC字形状に囲んだワイヤーソー51の中間部分51aを、図5および図6に示すように、ワイヤーソー上下機構53側に水平方向に移動させてワイヤーソー51の中間部分51aで切断領域13の底部13a(切断領域13とその下側との境界部分)を切断する。上述したように、2つのプーリ52は、それぞれ鉛直軸52b回りに回転可能に構成されているため、ワイヤーソー51の移動に追従して鉛直軸52b回りに回転する。
マットスラブ1における複数の切断領域13を同様に切断し、切断したマットスラブ1の切断領域13を撤去する。
続いて、切断領域13が撤去された後のマットスラブ1の残存部分を破砕して解体する破砕工程を行う。
破砕工程では、図1に示すマットスラブ1の上側部分11の切断領域13の間の残存部分14、およびマットスラブ1の下側部分12を破砕機で破砕して解体する。マットスラブ1全体ではなく、切断領域13が撤去された後のマットスラブ1の残存部分を破砕するため、ジャイアントブレーカーのような大型の破砕機ではなく、通常の破砕機を使用することができる。
このようにしてマットスラブ1が解体される。
次に、上述した第1実施形態によるマットスラブの解体方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態によるマットスラブの解体方法では、切断工程においてマットスラブ1における上下方向の中間部よりも上部側の切断領域13をワイヤーソー51で切断している。このため、厚さのあるマットスラブ1であっても、上下方向に段階的に切断することにより、ジャイアントブレーカーなどでマットスラブ1を破砕する場合と比べて、振動・騒音・粉じんを抑えることができる。
また、厚さのあるマットスラブ1であっても、上下方向全体に切込み(溝部)を形成する必要がないため、特別な装置を使用することなくマットスラブ1を容易に解体することができる。
また、マットスラブ1を部分的に切断するため、ジャイアントブレーカーなどでマットスラブ1全体を破砕する場合と比べて作業床を確保しやすく、解体時の安全性を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
第2実施形態によるマットスラブの解体方法では、溝部形成工程が第1実施形態によるマットスラブの解体方法の溝部形成工程と異なり、溝部形成工程を第1コア孔形成工程および第2コア孔形成工程の後に行なっている。
第1コア孔形成工程および第2コア孔形成工程では、図7に示すように、溝部2が形成される前に、第1実施形態と同様の第1コア孔41,41および第2コア孔42,42を形成する。
溝部形成工程では、第1実施形態のようなロードカッター3(図2参照)を用いずに、ワイヤーソー装置5を用いて溝部2を形成する。溝部2の形成では、溝部2を構成する第1短辺溝部24、第2短辺溝部25、第1長辺溝部26および第2長辺溝部27をそれぞれ個別に形成する。
以下では、溝部2のうちの2つの第1コア孔41,41の間の第1短辺溝部24の形成方法について説明する。
まず、図8に示すように、2つの第1コア孔41,41それぞれの底部41aにおける切断領域13と離間する側に位置する第1位置411にプーリ52を設置する。
ワイヤーソー51をマットスラブ1における第1短辺溝部24が形成される第1短辺溝部形成領域(溝部形成領域)241の上端部で、かつ第1短辺溝部24の切断領域13と離間する側(幅方向の一方側)の第1縁部242が形成される位置に沿って配置する。
図8および図9に示すように、ワイヤーソー51を第1縁部242に沿って配置された部分の両端部から2つの第1コア孔41,41を通して下方に延ばしそれぞれプーリ52に巻き掛ける。2つのプーリ52に巻き掛けられたワイヤーソー51をそれぞれ第1コア孔41を通して上方に延ばし、マットスラブ1の上方に引出して、ワイヤーソー上下機構53に接続する(第1溝部形成ワイヤーソー装置設置工程)。
続いて、ワイヤーソー上下機構53を駆動し、ワイヤーソー51における第1縁部242に沿って配置されている部分を下方に移動させながら、マットスラブ1を切断する。このようにして、第1短辺溝部形成領域241に第1縁部242に沿った第1切込み部243を形成する(第1切込み部形成工程)。
続いて、図10に示すように、第1コア孔41,41それぞれの底部41aに設置されたプーリ52を第1位置411から、第1位置411よりも切断領域13と近接する側の第2位置412に移動させる。
ワイヤーソー51を第1短辺溝部形成領域241の上端部で、かつ第1短辺溝部24の切断領域13と近接する側(幅方向の他方側)の第2縁部244が形成される位置に沿って配置する。ワイヤーソー51を第2縁部244に沿って配置された部分の両端部から2つの第1コア孔41,41を通して下方に延ばしそれぞれプーリ52に巻き掛ける。2つのプーリ52に巻き掛けられたワイヤーソー51をそれ第1コア孔41を通して上方に延ばし、マットスラブ1の上方に引出して、ワイヤーソー上下機構53に接続する(第2溝部形成ワイヤーソー装置設置工程)。
続いて、ワイヤーソー上下機構53を駆動し、ワイヤーソー51における第2縁部244に沿って配置されている部分を下方に移動させながら、マットスラブ1を切断する。このようにして、第1短辺溝部形成領域241に第2縁部244に沿った第2切込み部245を形成する(第2切込み部形成工程)。
続いて、図11に示すように、プーリ52の位置を第2位置412から第1位置411に移動させる。このとき、ワイヤーソー51は、第2切込み部245の底部に沿って配置したままにする。これにより、ワイヤーソー51は、第1コア孔41,41の内部で、第2切込み部245の底部の両端部から切断領域13と離間する側(第1切込み部243側)に延びた状態となる。
ワイヤーソー上下機構53を駆動し、第2切込み部245の底部に沿って配置されたワイヤーソー51を第1切込み部243の底部に向かって移動させる。図12に示すように、ワイヤーソー51が第1切込み部243の底部まで移動すると、第1短辺溝部形成領域241の底部がマットスラブ1から切断される(溝形成領域切断工程)。これにより、第1短辺溝部形成領域241は、マットスラブ1から切断された状態となる。
切断された第1短辺溝部形成領域241を撤去する(溝形成領域撤去工程)。これにより、マットスラブ1に第1短辺溝部24が形成される。
第2短辺溝部25、第1長辺溝部26および第2長辺溝部27は、第1短辺溝部24と同様に形成する。
溝部形成工程が完了したら、第1実施形態と同様に、ワイヤーソー装置設置工程、底部切断工程、破砕工程を行う。
第2実施形態によるマットスラブの解体方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態によるマットスラブの解体方法は、溝部形成工程では、コア孔41,42の底部に設けられたプーリ52に巻き掛けられたワイヤーソー51を用いてマットスラブ1の上端部からプーリ52の高さまでワイヤーソー51を押し下げるようにすることにより、コア孔41,42の底部に達する深さの第1切込み部243および第2切込み部245をそれぞれ一度に形成することができる。
これに対し、第1実施形態によるマットスラブの解体方法における溝部形成工程では、ロードカッター3を用いるため。溝部2の深さがロードカッター3の高さ寸法よりも大きい場合は、ロードカッター3の高さ寸法ごとに溝部2を形成することになる。
このように、第2実施形態によるマットスラブの解体方法では、所望の深さの溝部2を高さごと分けずに、また、分けた場合は少ない分割で形成することができるため、溝部形成工程の工期短縮を図ることができる。
以上、本発明によるマットスラブの解体方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、プーリ52は、水平方向に延びる回転軸52aを中心に回転可能であるとともに、鉛直軸52b回りに回転可能(平面回転可能)に構成されている。このようなプーリ52に代わって、図13に示すように、水平方向に延びる回転軸55aを中心に回転可能な第1プーリ55と、鉛直方向に延びる回転軸56aを中心に回転可能な第2プーリ56とが設けられ、第1プーリ55および第2プーリ56にワイヤーソー51が巻き掛けられていてもよい。このようにすることで、ワイヤーソー51を切断領域13を切断するための良好な向きとすることができる。
また、上記の実施形態では、切断領域13は、平面視形状が長方形となるように設定されているが、図14に示す切断領域13Bのように、平面視形状が台形となるように設定されてもよい。このとき、溝部2Bにおける台形の長辺に対応する長辺溝部2Baの両端部に対応する位置に第1コア孔41Bを形成する。溝部2Bにおける台形の短辺に対応する短辺溝部2Bbおよび一対の斜辺に対応する一対の斜辺溝部2Bc,2Bdにワイヤーソー51の中間部分51aを巻き掛けて、上記の実施形態度と同様に切断領域13Bの底部13Baを切断するようにしてもよい。
このようにすることにより、ワイヤーソー51が切断領域13Bの外周部に沿いやすいため、切断領域13Bを効率よく切断でき、ワイヤーソー51の消耗を抑えることができる。
なお、切断領域13の平面視形状は、矩形以外であってもよい。
また、上記の実施形態では、マットスラブ1の上側部分11における隣り合う切断領域13の間に間隔を設けているが、隣り合う切断領域13を隙間なく設けるようにしてもよい(マットスラブ1の上側部分11を連続的に切断してもよい)。なお、このような場合、切断を行う切断領域13の側方が既に切断されている場合は、既に切断されている側には溝部2を形成せずにワイヤーソー51を設置することができる。また、このような場合には、マットスラブ1の上側部分11の切断領域13の間に残存部分14が生じないため、この残存部分14を破砕する工程を省略することができる。
また、上記の第2実施形態の溝部形成工程では、まず、ワイヤーソー51で第1短辺溝部形成領域241に第1縁部242に沿った第1切込み部243を形成し、続いて、ワイヤーソー51で第2縁部244に沿った第2切込み部245を形成し、その後にワイヤーソー51を第2切込み部245の底部から第1切込み部243の底部に移動させるようにして第1短辺溝部形成領域241の底部を切断することで、第1短辺溝部形成領域241をマットスラブ1から切断している。
これに対し、まず、ワイヤーソー51で第1短辺溝部形成領域241に第1縁部242に沿った第1切込み部243を形成し、続いて、ワイヤーソー51を第1切込み部243の底部から第2切込み部245の底部となる位置まで移動させるようにして第1短辺溝部形成領域241の底部を切断し、その後にワイヤーソー51を第2縁部244に沿って上方に引き上げるようにして第2切込み部245を形成することで、第1短辺溝部形成領域241をマットスラブ1から切断するようにしてもよい。
また、以下のように溝部を形成してもよい。まず、ワイヤーソー51で第1短辺溝部形成領域241に第1縁部242に沿った第1切込み部243を形成し、続いて、ワイヤーソー51で第2縁部244に沿った第2切込み部245を形成する。その後にワイヤーソー51を第2切込み部245から引き上げてから第1切込み部243に上方から挿入して第1切込み部243の底部に配置する。そして、第1切込み部243の底部に配置されたワイヤーソー51を第1切込み部243の底部から第2切込み部245の底部に移動させるようにして第1短辺溝部形成領域241の底部を切断する。
また、上記の第2実施形態の溝部形成工程では、第1切込み部243および第2切込み部245を形成する際に、第1コア孔41,41の底部に設置されたプーリ52にワイヤーソー51を巻き掛けているが、プーリ52をワイヤーソー51と同じ高さに配置し、マットスラブ1を切断するワイヤーソー51とともに下降するようにしてもよい。
また、上記の実施形態の切断工程は、マットスラブ1における上下方向の中間部よりも上部側の切断領域を切断する工程であるが、マットスラブ1における上下方向の中間部よりも下部側においても上記の切断工程のように切断を行ってもよい。
1 マットスラブ
2,2B 溝部
2a 底部
5 ワイヤーソー装置
13 切断領域
41,41B 第1コア孔(コア孔)
51 ワイヤーソー
51a 中間部分
51b 端部分
52 プーリ

Claims (2)

  1. マットスラブを解体するためのマットスラブの解体方法において、
    前記マットスラブにおける上下方向の中間部よりも上部側の切断領域を切断する切断工程を有し、
    前記切断工程では、前記切断領域の外周部に沿って前記マットスラブの上端部から前記上下方向の中間部まで達する溝部を形成する溝部形成工程と、
    溝部における異なる2箇所に対応する位置において前記溝部の幅寸法よりも大径のコア孔を前記溝部の底部に達する深さに形成するコア孔形成工程と、
    2つの前記コア孔それぞれにプーリを設置し、ワイヤーソーの長さ方向の中間部分を前記切断領域を囲むように前記ワイヤーソーを前記溝部に沿って設置するとともに、前記ワイヤーソーを2つの前記プーリに巻き掛けて、前記ワイヤーソーの長さ方向の両端部分を前記コア孔を通して前記マットスラブの上方に引出すワイヤーソー装置設置工程と、
    前記ワイヤーソーを両端部それぞれから上方に引き上げて前記切断領域の底部に沿って移動させ、前記切断領域を切断する底部切断工程と、を有し、
    前記溝部形成工程は、前記コア孔形成工程の後に行われ、
    2つの前記コア孔それぞれの底部の第1位置にプーリを設置し、ワイヤーソーを前記マットスラブにおける前記溝部が形成される溝部形成領域の上端部で、かつ前記溝部の幅方向の一方側の第1縁部に相当する位置に沿って配置するとともに、前記第1縁部の長さ方向の両端部から2つの前記コア孔を通して下方に延ばし前記プーリに巻き掛けてから2つの前記コア孔を通して上方に延ばし、前記マットスラブの上方に引出す第1溝部形成ワイヤーソー装置設置工程と、
    前記ワイヤーソーにおける前記プーリよりも前記マットスラブの上方に引き出される側を上方に引き上げながら、前記ワイヤーソーにおける前記第1縁部に沿って配置されている部分を下方に移動させ、前記溝部形成領域に前記第1縁部に沿った第1切込み部を形成する第1切込み部形成工程と、
    2つの前記コア孔それぞれの底部の前記第1位置よりも前記溝部の幅方向の他方側の第2位置に前記プーリを設置し、前記ワイヤーソーを前記溝部形成領域の上端部で、かつ前記溝部の幅方向の他方側の第2縁部に相当する位置に沿って配置するとともに、前記第2縁部の長さ方向の両端部から2つの前記コア孔を通して下方に延ばし前記プーリに巻き掛けてから2つの前記コア孔を通して上方に延ばし、前記マットスラブの上方に引出す第2溝部形成ワイヤーソー装置設置工程と、
    前記ワイヤーソーにおける前記プーリよりも前記マットスラブの上方に引き出される側を上方に引き上げながら、前記ワイヤーソーにおける前記第2縁部に沿って配置されている部分を下方に移動させ、前記溝部形成領域に前記第2縁部に沿った第2切込み部を形成する第2切込み部形成工程と、
    前記ワイヤーソーを、前記第2切込み部の底部に沿って配置し、前記第1切込み部の底部に向かって移動させて、前記溝形成領域を前記マットスラブの下部側から切断する溝形成領域切断工程と、
    前記溝形成領域切断工程の後に、前記溝形成領域を撤去する溝形成領域撤去工程と、を有することを特徴とするマットスラブの解体方法。
  2. 前記切断領域の平面視形状を矩形とし、
    前記溝部形成工程では、前記矩形の外周部に対応する位置に前記溝部を形成し、
    前記コア孔形成工程では、前記矩形の4辺のうちの第1辺の両端部に対応する位置それぞれに前記コア孔を形成し、
    前記ワイヤーソー装置設置工程では、2つの前記コア孔それぞれにプーリを設置し、前記ワイヤーソーの長さ方向の中間部分を前記矩形の4辺のうちの前記第1辺以外の3つの辺に対応する溝部に沿って前記切断領域を囲むように設置するとともに、2つの前記プーリに巻き掛けて、前記ワイヤーソーの長さ方向の両端部分を前記コア孔を通して前記マットスラブの上方に引出すことを特徴とする請求項1に記載のマットスラブの解体方法。
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