JP7121559B2 - 曲げ加工方法及び曲げ加工システム - Google Patents

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本発明は、板材などのワークを曲げ加工するための曲げ加工方法及び曲げ加工システムに関する。
従来から、長尺のダイとパンチを含む曲げ加工装置(例えば、プレスブレーキ装置)を用いて、板状のワークの一部又は全体を湾曲した形状に成形する曲げ加工方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、この曲げ加工方法では、ワークをピッチ送りすることによりワークにパンチをプレスする位置(以下、「プレス位置」という。)をずらしながら、ワークに対して複数回のプレス曲げを行う。
このような曲げ加工方法では、曲げ加工装置を用いた曲げ加工作業に入る前に、各プレス位置でどの程度プレス曲げを行うかを計画する。例えば、板状のワークを円筒面に成形する場合、図11に示すように、目標形状である円筒面Dに内接する断面視略多角形状の多角形面Dを設定する。この多角形面Dは、ワークWaにおける複数のプレス位置Pが目標形状である円筒面Dの周方向に沿って等間隔に配される正多角形面として設定される。即ち、この正多角形の外角αが、各プレス位置Pに形成すべき目標の曲げ角となる。曲げ加工作業では、目標形状に内接する多角形面Dに基づき、隣り合うプレス位置Pの間隔(正多角形の辺の長さ)だけピッチ送りすることと、各プレス位置Pで目標曲げ角αが形成されるようパンチをプレスすることとを繰り返し、ワークを成形する。
特開2009-90293号公報
例えば図12に示す鉄道車両の側構体となるワークWの基板201には、窓用又はドア用の開口202が部分的に形成されていたり、補強板203や取付板204が接合されていたりする。このようなワークWに対して曲げ加工を行う場合、ワークWにおけるプレス位置Pは、ワークWにおける開口202の端縁近傍やワークWの板厚が変化する部分にパンチを押し付けないようにするなど、ワークWの構成に応じた制約を受けつつ決定される。プレス位置Pが決定されると、図13に示すように、目標形状である曲面Dに沿うように、幾何学的に各プレス位置Pでの目標曲げ角α(図例ではα,αi+1,αi+2)が決定される。
ところで、ワークのプレス位置での曲げ角が大きくなりすぎると、当該プレス位置に、「キンク」と呼ばれるパンチの延在方向に沿った折れ曲がり線が生じるおそれがある。上述のワークWのようにプレス位置Pに制約がある場合、図13に示すように、隣り合うプレス位置P同士の間隔が比較的大きくなる箇所では、目標曲げ角が比較的大きく設定されるため、キンクの発生が懸念される。一方で、キンクの発生には、ワークの材質や板厚など様々な条件が関係しているため、目標曲げ角だけからキンクが発生するか否かを判断することは難しい。
そこで、本発明は、板状のワークのプレス位置でのキンクの発生を抑制することができる曲げ加工方法及び曲げ加工システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る曲げ加工方法は、板状のワークをピッチ送りすることと、ワーク送り方向に対し直交する方向に延びるパンチを前記ワークに対してプレスすることとを繰り返して、目標とする曲面に近づくよう前記ワークを曲げ加工する曲げ加工方法であって、前記ワークに対して前記パンチがプレスされる複数のプレス位置を決定する工程と、前記複数のプレス位置の夫々においてキンクが発生しないように、前記複数のプレス位置の目標曲げ角に対して、夫々、上限値を決定する工程と、前記複数のプレス位置の夫々において前記目標曲げ角が前記上限値を超えないように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似することによって、前記複数のプレス位置の夫々について前記目標曲げ角を決定する工程と、を含む。ここで、本件明細書及び特許請求の範囲において、「多角形面」とは、複数の平面部が各プレス位置で連結されて構成された、パンチの延びる方向から見て多角形の少なくとも一部を呈する面を意味する。
上記の方法によれば、各プレス位置の目標曲げ角に対して、キンクが発生しないように上限値を決定し、当該上限値を超えないよう目標曲げ角が決定されるため、板状のワークのプレス位置でのキンクの発生を抑制することができる。
上記の方法において、前記上限値の決定は、前記ワークとは材質及び/又は板厚が異なる板材を曲げ加工した際のキンクの発生条件を示すデータに基づき行ってもよい。
上記の方法において、前記目標曲げ角を決定する工程では、前記曲面に倣った前記多角形面における多角形の頂点が、前記曲面に対して前記パンチに遠い側に位置するように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似してもよい。例えば、ワークの形状を、目標とする曲面におけるパンチが押し付けられる側の面に接する内接多角形面に近似する場合、各プレス位置の目標曲げ角は一意に決まるため、各プレス位置の目標曲げ角について上限値を超えないように設定することができない。これに対し、上記の方法によれば、各プレス位置が目標とする曲面上に位置するという制約を受けないため、各プレス位置の目標曲げ角について上限値を超えないように設定することが可能である。
また、本発明に係る曲げ加工システムは、ピッチ送りされる板状のワークに対して、目標とする曲面に近づくように曲げ加工する曲げ加工システムであって、ワーク送り方向に対して直交する方向に延びるパンチを有し、前記ワークにおける複数のプレス位置の夫々に前記パンチをプレスすることにより、複数のプレス位置の夫々に曲げ角を形成する曲げ加工装置と、過去に行った板材の曲げ加工によって得られたキンクの発生条件を示すデータを記憶する記憶装置と、前記データに基づき、前記複数のプレス位置の目標曲げ角に対して、夫々、上限値を決定する上限値決定部と、前記複数のプレス位置の夫々において前記目標曲げ角が前記上限値を超えないように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似する近似計算を行う近似計算部と、を備える。
本発明によれば、板状のワークのプレス位置でのキンクの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る曲げ加工方法に用いられる曲げ加工システムの概略構成を示すブロック図である。 図1に示す曲げ加工装置の斜視図である。 図2に示す曲げ加工装置の一部の正面断面図である。 図2に示す曲げ加工装置の一部の側面断面図である。 曲げ加工の流れを示すフローチャートである。 成形試験の一例を説明するための図であり、(A)は、成形試験に用いた板状のワークの一部の平面図であり、(B)は、成形試験に用いた板状のワークの一部の側面図である。 成形試験結果の一例を示す図である。 成形試験結果の別の例を示す図である。 近似手法の一例を説明するための図である。 近似手法の別の例を説明するための図である。 あるワークを円筒状に曲げ加工する際の目標曲げ角を説明するための図である。 曲げ加工されるワークの一例である。 図12に示すワークを円筒状に曲げ加工する際の目標曲げ角を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態に係る曲げ加工方法及び曲げ加工システムについて、図面を参照しながら説明する。
(曲げ加工システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る曲げ加工方法に用いられる曲げ加工システム1の概略構成を示すブロック図である。曲げ加工システム1は、ピッチ送りされる板状のワークに対して、目標とする曲面に近づくように曲げ加工するためのものである。曲げ加工システム1は、曲げ加工装置2、記憶装置8、及び計算装置9を備える。
図2は、曲げ加工装置2の斜視図であり、図3は、曲げ加工装置2の一部の正面断面図であり、図4は、曲げ加工装置2の一部の側面断面図である。なお、図4では、ワークWの断面が模式的に示されている。曲げ加工装置2は、板状のワークWの一部又は全体を湾曲した形状に成形する。ワークWは、例えば図12に示す鉄道車両の側構体の一部となる板材である。具体的には、ワークWは、比較的に大きな基板201と、基板201に接合された補強板203及び取付板204を有し、基板201には、窓用又はドア用の開口202が部分的に形成されている。
曲げ加工装置2は、ワークWを下方から支持する雌型3と、雌型3の上方に配置されたパンチ4を含む。雌型3及びパンチ4は、ワークWをピッチ送りする方向(以下、ワーク送り方向)に対し直交する方向に長尺である。本実施形態では、ワークWが、当該ワークWの長手方向と雌型3及びパンチ4の長手方向が一致するように雌型3及びパンチ4の間にセットされる。
さらに、パンチ4の上方には、雌型3と同程度の長さの固定フレーム21が配置されている。固定フレーム21の両端部は、複数のロッド22により雌型3の両端部に連結されている。
上述したパンチ4は、可動フレーム24に保持されている。可動フレーム24は、平面視で固定フレーム21と同形状であり、鉛直方向に摺動可能にロッド22に支持されている。可動フレーム24と固定フレーム21の間には、複数(図例では3つ)の油圧シリンダ23が設けられている。油圧シリンダ23は、可動フレーム24を介してパンチ4をワークWに押し付けたりワークWから離間させたりする。
図4に示すように、雌型3は、当該雌型3の長手方向に延びる溝32を挟んで離間する一対の反力部31を有している。上述したパンチ4は、これらの反力部31の間でワークWに押し付けられる。
図2及び図3に示すように、パンチ4は、当該パンチ4の長手方向に並ぶ複数の分割型41に分割されている。各分割型41の下向き先端面は、鋭利に尖っているのではなく、図4に示すように比較的に大きな曲率半径を有している。図3に示すように、上述した可動フレーム24は中空であり、可動フレーム24内には、分割型41とそれぞれ対応する複数の電動アクチュエータ6が配置されている。各電動アクチュエータ6は、パンチ4の押し付け方向(本実施形態では、鉛直方向)における分割型41の位置を調整可能なものである。本実施形態では、各電動アクチュエータ6が、分割型41に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合するネジ軸62と、ネジ軸62を回転させるモータ61を含む。
全ての電動アクチュエータ6(正確には、モータ61)は、各分割型41の位置がワークWの形状に応じた位置に調整されるように制御装置7により制御される。より詳しくは、制御装置7は、複数の分割型41のうち、少なくとも1つの分割型41が基板11に接触するとともに、他の少なくとも1つの分割型41が補強板12に接触するように、複数の電動アクチュエータ6を制御して複数の分割型41の位置を調整する。なお、パンチ4の位置を変更する手段としては、電動アクチュエータ6に制限されず、例えば電動アクチュエータ6の代わりに、例えば油圧アクチュエータなど別の位置変更手段を採用してもよい。
本実施形態の曲げ加工方法では、上述の曲げ加工装置2を用いたワークWの成形を開始する前に、後述するように、ワークW上におけるパンチ4をプレスするプレス位置(プレスライン)Pと、プレス位置Pごとに形成すべき目標の曲げ角αとが決められている。図4に示すように、パンチ4の鉛直下方にプレス位置Pがくるように、ワーク送り方向にワークWをピッチ送りし、当該プレス位置Pに目標とする曲げ角αが形成されるようにパンチ4をプレスする。プレス位置Pに目標とする曲げ角αが形成されると、次のプレス位置Pがパンチ4の下方にくるようワークWをピッチ送りする。こうして、ピッチ送りとパンチ4のプレスを繰り返して、当該ワークWの一部又は全体を湾曲した目標形状に成形する。なお、各プレス位置Pでのプレス曲げでは、上述したように電動アクチュエータ6によってワークWの形状に応じて各分割型41の位置が調整され、その状態で、ワークWにパンチ4が押し付けられる。
図1に戻って、記憶装置8は、曲げ加工装置2を用いた成形試験の結果を記憶する。成形試験結果には、ワークWとは異なる構成の板材の曲げ加工によって得られたキンクの発生条件を示すデータが含まれる。成形試験とその結果について、詳細は後述する。記憶装置8は、読み書き可能なRAM又はROM等の半導体記憶装置によって実現できる。
また、計算装置9は、各プレス位置Pの目標曲げ角αを導き出すための計算を行う。計算装置9は、例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、ユーザからの入力を受け付けるキーボード及びマウスなどの入力装置や、当該入力装置からの入力情報を確認可能に表示する、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置を含む。計算装置9は、記憶装置8に接続されている。
計算装置9は、機能的構成として、上限値決定部91及び近似計算部92を含む。計算装置9のこれら機能部91,92は、例えば、各種プログラムを記憶するROMやRAM等の記憶部と、当該記憶部に記憶されたプログラムを実行するCPU等の演算部とにより実現される。上限値決定部91は、記憶装置8に記憶されたデータに基づき、複数のプレス位置Pの目標曲げ角αに対して、夫々、上限値を決定する。近似計算部92は、複数のプレス位置Pの夫々において目標曲げ角αが上限値を超えないように、ワークWの形状を曲面に倣った多角形面に近似する近似計算を行う。
(曲げ加工の流れ)
次に、曲げ加工システム1による曲げ加工の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態に係る曲げ加工方法では、曲げ加工対象となるワークWと目標となる湾曲形状を決めた後に、当該ワークWに対してパンチ4がプレスされる複数のプレス位置Pを決定する(ステップS1)。ワークWにおけるプレス位置Pは、ワークWの構成に応じて制約を受ける。例えば、図12に示すようにワークWの基板201に、開口202が形成されていたり、補強板203や取付板204が接合されていたりする場合、プレス位置Pは、ワークWにおける開口202の端縁近傍やワークWの板厚が変化する部分を避けるように設定される。
プレス位置Pを決定した後に、複数のプレス位置Pの夫々においてキンクが発生しないように、複数のプレス位置Pの目標曲げ角αに対して、夫々、上限値を決定する(ステップS2)。上限値の決定は、記憶装置8に記憶された成形試験結果等のデータに基づき、上限値決定部91により行われる。
図6(A)及び図6(B)は、成形試験の一例を説明するための図であり、夫々、成形試験に用いた板材Yの一部の平面図及び側面断面図である。試験用の板材Yは、ワークWとは材質及び/又は板厚が異なる板材である。板材Yは、厚さt1の薄板部y1と、それに連続する厚さt2の厚板部y2を有しており、薄板部y1と厚板部y2との間に形成される段差である板厚変化部y3を有する。板厚変化部y3は直線状に延びており、成形試験では、パンチ4に板厚変化部y3が平行となるように曲げ加工装置2に板材Yをセットし曲げ成形を行なう。
図7に、この成形試験結果の一例を示す。この成形試験結果は、板材Yを複数用意して、板材Yごとに、厚板部y2上に設定したプレス位置Pと板厚変化部y3との間の距離Xと、プレス位置Pに形成する曲げ角αを変えて、プレス位置Pにキンクが発生するか否かを試験して得た結果である。図7に示したグラフの横軸は、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xであり、縦軸は、プレス位置Pに形成した曲げ角αである。この試験結果から、板材Yを曲げ加工する場合の板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xに対するキンクの発生条件が得られる。例えば、図7に示したグラフから、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xが15mmである場合、曲げ角αを0.3度以上に設定すると板材Yのプレス位置Pにキンクが発生することが分かる。
図8は、成形試験結果の別の例を示す図である。この成形試験結果は、薄板部y1の厚さt1と厚板部y2の厚さt2の比率を変えた板材Yを複数用意して、板材Yごとに、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xを一定の距離(例えばX=20mm)から変えずに、プレス位置Pに形成する曲げ角αを変えて、プレス位置Pにキンクが発生するか否かを試験して得た結果である。図8に示したグラフの横軸は、薄板部y1と厚板部y2の板厚比t1/t2であり、縦軸は、プレス位置Pに形成した曲げ角αである。この試験結果から、板材Yを曲げ加工する場合の薄板部y1と厚板部y2の板厚比t1/t2に対するキンクの発生条件が得られる。
上述した成形試験及びその結果は、例示したものにすぎない。例えば、記憶装置8には、板材Yに対して、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xや板厚比t1/t2とは異なるパラメータを変化させて得られる試験結果が記憶されてもよい。また、記憶装置8には、板材Yとは異なる材質の板材について行った成形試験結果が記憶されてもよいし、ワークWに対して行った試験結果が記憶されてもよい。
上限値決定部91は、記憶装置8に記憶された成形試験結果に基づき、各プレス位置Pの目標曲げ角αの上限値を決定する。例えば、作業者は、計算装置9にて、プレス位置Pごとに、目標曲げ角αの上限値の決定のために必要な所定のパラメータ(例えば、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xや板厚比t1/t2など)を入力する。そして、計算装置9の上限値決定部91は、記憶装置8に記憶された成形試験結果と、入力されたパラメータとに基づき、各プレス位置Pの目標曲げ角αの上限値を決定する。記憶装置8に記憶された成形試験結果は、板厚変化部y3とプレス位置Pの間の距離Xや板厚比t1/t2などのパラメータから目標曲げ角αの上限値を導出する関数でもよく、上限値決定部91は、この関数に基づき、入力されたパラメータから、目標曲げ角αの上限値を導出してもよい。あるいは、上限値決定部91は、記憶装置8に記憶された成形試験結果の中から、入力されたパラメータの条件に最も近しい条件の成形試験結果を抽出し、その試験結果から目標曲げ角αの上限値を決定してもよい。
図5に戻って、各プレス位置Pにおける目標曲げ角αの上限値を決定した後、ワークWの形状を、目標とする曲面に倣った多角形面に近似するための手法を決定する(ステップS3)。そして、選択した近似手法を用いて計算装置9で近似計算を行ない、目標曲面に近似した多角形面を求める。即ち、各プレス位置Pでの目標曲げ角αが決定する(ステップS4)。なお、「多角形面」とは、パンチ4の延びる方向に延びる複数の平面部が各プレス位置Pで連結されて構成された、パンチ4の延びる方向から見て多角形の少なくとも一部を呈する面を意味する。
以下、ステップS3で選択される第1~第3の近似手法について説明する。
第1~第3のいずれの近似手法も、ワークWの複数のプレス位置Pが目標となる曲面に対してパンチ4に遠い側に位置するように、ワークWの形状を、当該目標とする曲面に倣った多角形面に近似する。言い換えれば、多角形面におけるパンチ4の延びる方向から見た多角形の頂点が、目標となる曲面に対してパンチ4に遠い側にあるように、ワークWの形状を、当該目標とする曲面に倣った多角形面に近似する。
(第1の近似手法)
図9は、第1の近似手法の一例を説明するための図である。図9では、パンチ4の延びる方向から見た、目標とする曲面Dと近似した多角形面Dの各断面形状が示される。本実施形態では、目標曲面Dの断面形状は、中心Oから等距離の半径Rの円弧である。近似した多角形の頂点P,…,P,Pi+1,…,Pn-1が、ワークWのプレス位置Pに相当する。P,Pは、ワーク送り方向における多角形面Dの両側端部に相当し、実際にはパンチ4にプレスされないが、便宜上、P,Pもプレス位置Pと呼ぶこととする。中心Oから各プレス位置P(i=0~n)までの距離OPは、rで示す。
この近似手法では、多角形面Dと線分OPと線分OPとにより囲まれた面積Eと、円弧Pと線分OPと線分OPとにより囲まれた面積Eとの差分の面積Eを最小にする曲げ角αを決定する。具体的には、下記の式(1)で表される評価関数fを設定し、当該評価関数fが、後述する制約条件を満たしつつ最小になるよう繰り返し計算を行うことで、目標曲面Dに多角形面Dを近似する。
Figure 0007121559000001
なお、評価関数fは、面積Eを表す式のうち、変数(i=0,…,n-1)に応じて変化する部分である。即ち、評価関数fが最小となるとき、面積E(=E-E)も最小となる。
第1の制約条件は、ワーク送り方向における多角形面Dの両側端部を目標曲面Dの両側端部に合致させるという制約であり、下記の式(2)で表される。
Figure 0007121559000002
第2の制約条件は、多角形面Dを目標曲面Dに対してパンチ4に遠い側に位置付ける(言い換えれば、図9の目標曲面Dより下側に多角形面Dを位置づける)という条件であり、下記の式(3)~(5)で表される。
Figure 0007121559000003
第3の制約条件は、線分Pi-1と線分Pi+1のなす角である目標曲げ角αをステップS2で決定した上限値を超えないように設定するという条件であり、下記の式(6)で表される。
Figure 0007121559000004
近似計算部92は、以上の第1~第3の制約条件を満たしつつ、評価関数fが最小となるθ、r、α(i=1~n-1)を求める。
(第2の近似手法)
第2の近似手法では、第1~第3の制約条件を満たしつつ、ワークWの形状を曲面に倣った多角形面に近似する点では、第1の近似手法と同様である。但し、第2の近似手法は、第1の近似手法とは評価関数が異なる。
第2の近似手法では、面積Eと面積Eの差分面積Eではなく、各プレス位置Pから中心Oまでの距離の総和を最小にする曲げ角αを決定する。具体的には、下記の式(7)で表される評価関数fを設定し、当該評価関数fが、上述した第1~第3の制約条件を満たしつつ最小になるよう繰り返し計算を行うことで、目標曲面Dに多角形面Dを近似する。
Figure 0007121559000005
近似計算部92は、第1~第3の制約条件を満たしつつ、評価関数fが最小となるθ、r、α(i=1~n-1)を求める。
(第3の近似手法)
第3の近似手法は、第2の制約条件を設定しない点で第1の近似手法と異なる。即ち、第3の近似手法では、図10に示すように、多角形面Dの各面の一部が目標曲面Dの内側にある場合も含まれるよう、目標曲面Dに多角形面Dを近似する。
近似計算部92は、上述した第1及び第3の制約条件を満たしつつ評価関数fが最小となるθ、r、α(i=1~n-1)を求める。
ステップS3で第1~第3の近似手法の中からいずれかの近似手法を選択するかは、例えば、曲げ加工対象であるワークWの構成やその用途に応じて決定してもよい。例えば、剛性が高く、自重たわみの影響が少ないワークW(例えばSUS材など)を曲げ加工して、当該ワークWのパンチ4で押された側の面に、複数の骨組みを接合するような場合には、第1の近似手法を選択してもよい。第1の近似手法では、多角形面Dを目標曲面Dに対してパンチ4に遠い側に位置付けるため、ワークWのパンチ4で押された側の面に骨組みを接合し易くなるためである。
図5に戻って、ステップS4で曲げ角αを決定した後、曲げ加工装置2にワークWをセットし、各プレス位置Pに決定した曲げ角αが形成されるようワークWを曲げ成形する(ステップS5)。具体的には、プレス位置Pがパンチ4の下方にくるようワークWをピッチ送りすることと、ステップS4で決定された目標曲げ角αが形成されるようパンチ4をワークWのプレス位置Pにプレスすることとを繰り返す。
以上説明したように、本実施形態に係る曲げ加工方法及び曲げ加工システムでは、各プレス位置Pの目標曲げ角に対して、キンクが発生しないように上限値を決定し、当該上限値を超えないよう目標曲げ角が決定されるため、板状のワークWのプレス位置Pでのキンクの発生を抑制することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、曲げ加工装置2のパンチ4が、当該パンチ4の長手方向に並ぶ複数の分割型41に分割されていたが、曲げ加工装置2のパンチ4は、長手方向に分割していなくてもよく、一体的に形成されていてもよい。また、上記実施形態では、図12に示したワークWが曲げ加工の対象となっていたが、本発明に係る曲げ加工方法で曲げ加工されるワークはこれに限定されない。但し、本発明に係る曲げ加工方法は、図12に示したように、板厚変化部を有していたり、開口が形成されていたりするようなプレス位置に制約を受けるワークに特に有用である。
また、上記実施形態では、目標曲面がパンチ4が延びる方向から見て円弧状である例を示したが、目標とする曲面はこれ以外の形状であってもよい。例えば、目標曲面は、パンチ4が延びる方向から見て楕円形の一部を描くような曲面であってもよいし、二次関数の曲線、三次関数の曲線を描くような曲面であってもよい。
また、上記実施形態では、上限値決定部91が、記憶装置8に記憶された成形試験結果に基づき、各プレス位置Pの目標曲げ角αの上限値を決定したが、成形試験結果を利用して作業者が各プレス位置Pの目標曲げ角αの上限値を決定してもよい。
また、上記実施形態では、目標曲げ角αの上限値を決定した後、多角形面に近似するための手法の決定を行ったが、本発明に係る曲げ加工方法は、これに限定されない。例えば、予め所定の近似手法(例えば第1の近似手法)で近似することを決定していてもよく、この場合、図5のステップS3はなくてもよい。
1 :曲げ加工システム
2 :曲げ加工装置
4 :パンチ
8 :記憶装置
9 :計算装置
10 :曲げ加工装置
91 :上限値決定部
92 :近似計算部
:目標曲面
:多角形面
P :プレス位置
W :ワーク
α :目標曲げ角

Claims (6)

  1. 板状のワークをピッチ送りすることと、ワーク送り方向に対し直交する方向に延びるパンチを前記ワークに対してプレスすることとを繰り返して、目標とする曲面に近づくよう前記ワークを曲げ加工する曲げ加工方法であって、
    前記ワークに対して前記パンチがプレスされる複数のプレス位置を決定する工程と、
    板材の板厚が変化する板材変化部の位置、板材がプレスされる板材プレス位置、前記板材プレス位置の曲げ角、及びキンクの発生有無の対応関係情報を取得する工程と、
    各前記プレス位置、前記ワークの板厚、及び前記対応関係情報に基づき、各前記プレス位置の目標曲げ角に対して、上限値を決定する工程と、
    前記複数のプレス位置において前記目標曲げ角が前記上限値を超えないように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似することによって、前記複数のプレス位置について前記目標曲げ角を決定する工程と、を含む、曲げ加工方法。
  2. 板状のワークをピッチ送りすることと、ワーク送り方向に対し直交する方向に延びるパンチを前記ワークに対してプレスすることとを繰り返して、目標とする曲面に近づくよう前記ワークを曲げ加工する曲げ加工方法であって、
    前記ワークに対して前記パンチがプレスされる複数のプレス位置を決定する工程と、
    各前記複数のプレス位置においてキンクが発生しないように、各前記複数のプレス位置の目標曲げ角に対して、上限値を決定する工程と、
    各前記プレス位置における前記目標曲げ角の前記上限値を制約条件として、各前記プレス位置での曲率半径を含むパラメータを用いて前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似して、各前記複数のプレス位置について前記目標曲げ角を決定する工程と、を含む、曲げ加工方法。
  3. 前記対応関係情報は、前記ワークとは材質及び/又は板厚が異なる前記板材を曲げ加工した際のキンクの発生条件を示すデータに基づき得られる、請求項1に記載の曲げ加工方法。
  4. 前記目標曲げ角を決定する工程では、前記曲面に倣った前記多角形面における多角形の頂点が、前記曲面に対して前記パンチに遠い側に位置するように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った前記多角形面に近似する、請求項1から3の何れかに記載の曲げ加工方法。
  5. ピッチ送りされる板状のワークに対して、目標とする曲面に近づくように曲げ加工する曲げ加工システムであって、
    ワーク送り方向に対して直交する方向に延びるパンチを有し、前記ワークにおける複数のプレス位置の夫々に前記パンチをプレスすることにより、各前記複数のプレス位置に曲げ角を形成する曲げ加工装置と、
    過去に行った板材の曲げ加工によって得られた、板材の板厚が変化する板材変化部の位置、板材がプレスされる板材プレス位置、前記板材プレス位置の曲げ角、及びキンクの発生有無の対応関係情報を記憶する記憶装置と、
    各前記プレス位置、前記ワークの板厚、及び前記対応関係情報に基づき、前記プレス位置の目標曲げ角に対して、上限値を決定する上限値決定部と、
    前記プレス位置において前記目標曲げ角が前記上限値を超えないように、前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似する近似計算を行う近似計算部と、を備える、曲げ加工システム。
  6. ピッチ送りされる板状のワークに対して、目標とする曲面に近づくように曲げ加工する曲げ加工システムであって、
    ワーク送り方向に対して直交する方向に延びるパンチを有し、前記ワークにおける複数のプレス位置の夫々に前記パンチをプレスすることにより、各前記複数のプレス位置に曲げ角を形成する曲げ加工装置と、
    過去に行った板材の曲げ加工によって得られたキンクの発生条件を示すデータを記憶する記憶装置と、
    前記データに基づき、各前記複数のプレス位置の目標曲げ角に対して、上限値を決定する上限値決定部と、
    各前記プレス位置における前記目標曲げ角の前記上限値を制約条件として、各前記プレス位置での曲率半径を含むパラメータを用いて前記ワークの形状を前記曲面に倣った多角形面に近似する近似計算を行う近似計算部と、を備える、曲げ加工システム。
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