図面を参照して実施例のインタロックコネクタ付きカバー2を説明する。以下、説明を簡単にするために、インタロックコネクタ付きカバー2を単純にカバー2と称する。
まず、カバー2の機能を説明する。カバー2は、電力変換器の筐体のサービスホールを覆う。図1(A)に、カバー2を電力変換器90の筐体91から外した状態の断面図を示す。図1(B)に、カバー2を筐体91に取り付けた状態の断面図を示す。電力変換器90は、電気自動に搭載される。電力変換器90は、電源の直流電力を走行用のモータの駆動電力に変換するデバイスである。電力変換器90が扱う電力は数十キロワットであり、筐体91に収容される電気部品には、100ボルト以上の電圧が印加されることがある。筐体91は、内部の部品の保守点検用にサービスホール92(貫通孔)を備えている。カバー2は、サービスホール92を覆う部品である。
カバー2が外れた状態で筐体91の内部の部品に通電されないように、カバー2は、カバー本体3の裏面3aにインタロックコネクタ4を備えている。インタロックコネクタ4の先端には導通端子99が備えられている。筐体91の内部には、インタロックコネクタ4の先端が挿通されるインタロック係合孔93が設けられている。インタロック係合孔93の内部には、2個のインタロック端子94a、94bが互いに対向するように露出している。2個のインタロック端子94a、94bのそれぞれは、インタロック回路95につながっている。
図1(B)に示すように、カバー2がサービスホール92に正確に取り付けられると、インタロックコネクタ4の先端が筐体91のインタロック係合孔93に嵌入される。インタロックコネクタ4の先端の導通端子99がインタロック端子94a、94bの間に挟まれ、インタロック端子94a、94bが導通する。インタロック端子94a、94bの導通を検知したインタロック回路95は、筐体91の内部の部品への通電と遮断を切り替えるリレーを閉じる。すなわち、インタロック端子94a、94bの導通を検知したインタロック回路95は、筐体91の内部の部品への通電を許可する。インタロックコネクタ4を備えることによって、カバー2が外れた状態で筐体91の内部の部品に通電されることが避けられる。
カバー2の詳細な構造を説明する。図2に、カバー2の斜視図を示す。インタロックコネクタ4は、カバー本体3の裏面3aに設けられている。インタロックコネクタ4は、カバー本体3の裏面3aに固定されている台座20と、台座20に係止されるコネクタ本体10で構成される。なお、図2以降では、インタロックコネクタ4の先端に取り付けられている導通端子99(図1参照)は図示を省略してある。
図3に、コネクタ本体10を台座20から外した状態のカバー2の斜視図を示す。図4に、コネクタ本体10と台座20の一部を断面で示した斜視図を示す。符号10aは、図中の座標系のXZ面に平行な平面でカットしたコネクタ本体を示している。図4の台座20は、台座本体29をXZ面に平行な平面でカットしたものを示している。台座本体29の内部には弾性支持部23が備えられているが、弾性支持部23はカットせずに描いてある。
図3、図4を参照しつつ、まず、台座20について説明する。台座20は、コネクタ本体10を支持する部位である。台座20は、樹脂で作られている。カバー本体3も樹脂で作られており、台座20とカバー本体3は、樹脂の射出成形で一体に作られる。
台座本体29には、一対の溝21が設けられている。一対の溝21は、図中の座標系のX方向に沿って延びている。図中の座標系のX方向がコネクタ本体10の台座20への挿通方向に相当する。一対の溝21は、図中の座標系のY方向で対向するように、X方向に平行に延びている。
コネクタ本体10は、X方向に沿って台座20に挿通される。説明の便宜上、台座20の-X方向側を手前側と称し、+X方向側を奥側と称することにする。台座20の奥側の壁24は、一対の溝21の端を閉じている。
一対の溝の間に弾性支持部23が配置されている。図4に示されているように、弾性支持部23は、台座本体29にて符号26が示す箇所、すなわち台座20の奥側で台座本体29に連結されている。弾性支持部23は、台座本体29に連結されている箇所(連結箇所26)から手前側に延びており、手前側から奥側へと折り返している。弾性支持部23は、奥側で台座本体29に連結されている連結箇所26から手前側に延びている下部23aと、下部23aの台座手前側で奥側に折り返している上部23bを有している。そして、上部23bの端(弾性支持部23の上部の奥側の端)に、上方へ突出する係止ツメ22が設けられている。
弾性支持部23は、台座本体29と同じ樹脂で作られており、上記の形状から、上部23bの奥側の端は図中の座標系のZ方向に弾性変形が可能になっている。すなわち、係止ツメ22は、Z方向に移動可能に弾性支持部23に支持されている。詳しくは後述するが、係止ツメ22が、コネクタ本体10の側壁14の下部を係止する。
弾性支持部23は、係止ツメ22のY方向の両側に突起25を備えている。突起25の役割については後述する。
コネクタ本体10について説明する。コネクタ本体10は、台座20の一対の溝21のそれぞれに挿通される一対のリブ11と、X方向を向いている第1側面12の側の側壁14を備えている。
先に述べたように、X方向を向いている一方の第1側面12が台座20の奥側を向く姿勢でコネクタ本体10が台座20へ押し込まれたとき、側壁14の下部が係止ツメ22に係止される。弾性支持部23の上記の構造により、側壁14を係止した係止ツメ22は外れ難い。このことを、図5を参照して説明する。
図5は、インタロックコネクタ4を、図中の座標系のXZ面と平行な平面でカットした断面図である。図5では、係止ツメ22がコネクタ本体10の側壁14の下部を係止している。弾性支持部23は、その上部23bが、コネクタ本体10の挿通方向の手前側から奥側に向けて徐々にコネクタ本体10に近づくように延びている。コネクタ本体10に離脱方向の力が加わる状況を想定する。図5の矢印Aが、コネクタ本体10に加わる力を模式的に表している。図5から理解されるように、コネクタ本体10に離脱方向の力が加わると、側壁14が係止ツメ22を-X方向に押す。係止ツメ22に加わる力は、弾性支持部23に対して係止ツメ22を側壁14に押し付ける方向に作用する。図5の矢印Bが、弾性支持部23に加わる力を模式的に表している。コネクタ本体10に離脱方向の力が加わると、係止ツメ22が一層強く側壁14に押し付けられるため、コネクタ本体10が台座20から外れ難くなる。
図4に戻ってコネクタ本体10の構造の説明を続ける。コネクタ本体10のX方向を向く別の側面(第2側面13)の側には、下部に切欠15が設けられている。切欠15は、コネクタ本体10を誤って逆向きに台座20へ挿入したときにコネクタ本体10が係止ツメ22に係止されないようにするために設けられている。
コネクタ本体10は、第1側面12が台座20の奥側を向く姿勢で台座20に挿入される。図6に、コネクタ本体10を逆向きに台座20へ挿入したときの断面図を示す。別言すれは、図6は、コネクタ本体10のX方向を向く第2側面13が挿通方向の奥側を向く姿勢でコネクタ本体10が台座20に挿通された状態を示している。
このとき、図6に示すように、係止ツメ22は切欠15の中に位置するので、コネクタ本体10は係止されない。別言すれば、コネクタ本体10は、X方向を向いている第2側面13が奥側を向く姿勢で台座20に挿通され、第2側面13が奥側へ押し込まれたときに係止ツメ22に対応する部位に切欠15を備えている。
切欠15を備えることで、コネクタ本体10は台座20に係止されない。インタロックコネクタを組み立てる作業者は、コネクタ本体10が係止されないことで、コネクタ本体10の向きが誤っていることに気づくことができる。切欠15によって、コネクタ本体10の誤挿入が防止される。
図4に戻ってコネクタ本体10の構造の説明を続ける。一対のリブ11の第1側面12の側の端には台座20の突起25に斜めに当接する斜面11aが設けられている。一対のリブ11の第2側面13の側の端は、X方向を法線方向とする垂直端面11bになっている。また、台座20の一対の溝21は、入り口ではZ方向の幅が狭いが、入り口の幅と比較して、奥側の幅が広くなっており、コネクタ本体10は挿通途中でY軸周りに回転する余裕がある。
上記の構造により、コネクタ本体10の第2側面13が奥側を向く姿勢でコネクタ本体10が台座20に挿通されたとき、第2側面13が台座20の奥側の壁24に達する前に垂直端面11bが突起25に当接し、それ以上コネクタ本体10が押し込めなくなる。この構造により、作業者は、コネクタ本体10が逆向きで挿入されていることにすぐに気がつくことができる。
上記したように、インタロックコネクタ付きカバー2は、次の利点を有する。(1)一旦台座20に係止されたコネクタ本体10は外れ難い。(2)コネクタ本体10を逆向きで挿通されたことを作業者に容易に気づかせることができる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。図中の座標系のX方向、Y方向、Z方向がそれぞれ第1方向、第2方向、第3方向に対応する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。