JP7119888B2 - Uoe鋼管用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.03~0.06%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.00~1.50%、
P:0.008%以下、
S:0.0006%以下、
Nb:0.005~0.080%、
V:0.005~0.050%、
Ti:0.005~0.030%、
Al:0.005~0.060%、
N:0.0020~0.0060%、
Ca:0.0005~0.0060%、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.75%、
Cr:0~0.50%、
Mo:0~0.50%、
B:0~0.0005%、
Mg:0~0.01%、
REM:0~0.05%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記鋼板の表面から板厚方向に1mmの深さ位置までの領域おける金属組織が、面積率で、
80%以上のフェライトを含み、
前記鋼板の表面から板厚方向に1/4厚さ位置における金属組織が、面積率で、
50~78%のフェライト、および
20~48%のパーライトを含み、
残部が2%以下の不可避的生成組織であり、
前記鋼板の表面、表面から板厚方向に0.4mmの深さ位置、および板厚中心部における硬さが、200HV10以下であり、
板厚が10~40mmであり、
引張強さが460~760MPaである、UOE鋼管用鋼板。
Cu:0.05~0.50%、
Ni:0.05~0.75%、
Cr:0.05~0.50%、および
Mo:0.02~0.50%、
から選択される1種以上を含有し、かつ、下記(i)式を満足する、上記(1)に記載のUOE鋼管用鋼板。
Cu+Ni+Cr+Mo<0.80 ・・・(i)
但し、(i)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
B:0.0002~0.0005%、
を含有する、上記(1)または(2)に記載のUOE鋼管用鋼板。
Mg:0.0005~0.01%、および
REM:0.0005~0.05%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載のUOE鋼管用鋼板。
(a)上記(1)~(4)のいずれかに記載の化学組成を有するスラブを、下記(ii)式を満たす加熱温度で加熱する工程と、
(b)加熱された前記スラブを、最終1パスがAr3点~Ar3点+40℃の温度域となる条件で圧延する工程と、
(c)Ar3点以上の温度域から冷却を開始して500~600℃の温度域で冷却を停止し、前記冷却時における平均冷却速度が10~25℃/sとなる条件で冷却する工程と、を有し、
前記(b)および(c)の工程における、Ar3点は下記(iii)式により定義される、UOE鋼管用鋼板の製造方法。
6770/{2.26-log(Nb・C)}-273≦T(℃)<6770/{2.26-log(Nb・C)}-73 ・・・(ii)
Ar3(℃)=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Mo+0.35(t-8) ・・・(iii)
但し、上記式中の記号は以下により定義され、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
T(℃):加熱温度
t(mm):圧延完了後の鋼板の板厚
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
一般に、Cは鋼の強度に大きな影響を及ぼす元素として知られる。C含有量が0.03%未満であると、ラインパイプなどの用途において所望する強度を得ることが難しい。このため、C含有量は0.03%以上とし、0.04%以上とするのが好ましい。しかしながら、C含有量が0.06%を超えると、連続鋳造時に鋳片の厚み中心部においてマクロ偏析が生じやすくなる。そして、上記マクロ偏析は、HIC割れの発生原因となる。このため、C含有量は0.06%以下とし、0.05%以下とするのが好ましい。
Siは、鋼の製造プロセスでは、一般に、脱酸元素として鋼中の酸素濃度を低減する効果がある。また、Siは鋼を強化し、強度を高める効果を有する。このため、Si含有量は0.05%以上とし、0.10%以上とするのが好ましい。しかしながら、Si含有量が0.30%を超えると、島状マルテンサイトが生成し、HAZ靱性を低下させる。このため、Si含有量は0.30%以下とする。
Mnは、一般に鋼材の強度に大きな影響を与える元素であり、Mn含有量が1.00%未満では十分な強度を得ることが難しい。このため、Mn含有量は1.00%以上とし、1.05%以上とするのが好ましい。しかしながら、Mn含有量が1.50%を超えると、中心偏析部で濃化し、耐HIC特性を劣化させる。このため、Mn含有量は1.50%以下とする。さらに、中心偏析部での耐HIC性能を確実に確保するためには、Mn含有量は1.40%以下とするのが好ましい。
Pは、鋼中に含有される不純物元素であり、可能な限り低減するのが望ましい。また、Pは凝固時の固液界面における分配係数が小さいため、極めて偏析しやすい。このように、Pは中心偏析部で濃化しやすく、耐HIC特性を劣化させる。このため、P含有量は0.008%以下とする。
Sも鋼中に含有される不純物元素であり、可能な限り低減するのが望ましい。また、Sは、Pと同様に、凝固時の固液界面における分配係数が小さく、極めて偏析しやすい。この点に加え、Sは、偏析部においてMnSを生成し、生成したMnSはHICの発生起点となる。このため、S含有量は0.0006%以下とし、0.0005%以下とするのが好ましい。
Nbは、鋼中で炭窒化物を形成し鋼の強度を高めるとともに、靱性の向上にも有効な元素である。特に、熱加工制御(「TMCP(Thermo Mechanical Control Process)」という。)において、固溶および析出を制御し、鋼板の金属組織(ミクロ組織)を制御するために用いられる。このため、Nb含有量は0.005%以上とし、0.020%以上とするのが好ましい。しかしながら、粗大なNb炭窒化物はHICの発生原因となる。このため、Nb含有量は0.080%以下とし、0.050%以下とするのが好ましい。
Vは、鋼中でフェライト中に固溶する、または炭窒化物を形成することで、鋼の強度を高める。このため、V含有量は0.005%以上とし、0.010%以上とするのが好ましい。しかしながら、V含有量が0.050%を超えると、溶接熱影響部での析出状況が変化するため、靱性に悪影響を与えることが懸念される。このため、V含有量は0.050%以下とし、0.040%以下とするのが好ましい。
Tiは鋼の強度を向上させる効果を有する。連続鋳造の鋳片の曲げ、矯正時において、NbN、またはAlNが、オーステナイト粒界に動的析出することで、鋳片表面割れが発生することがある。Tiは、鋼中のNをTiNとして固定し、NbN、またはAlNの析出量を減少させるため、鋳片表面割れを防止する効果も有する。このため、Ti含有量は0.005%以上とし、0.010%以上とするのが好ましい。
Alも、Siと同様に脱酸元素として鋼中の酸素濃度を低減するために有効である。Al含有量が0.005%未満となると、脱酸が不十分となることで、脱硫も不十分になる。また、Ca添加の歩留まりが悪化し、Caの添加効果も十分に得られなくなる。その結果、鋼中の硫化物およびSの偏析が生じやすくなり、耐HIC特性の低下をもたらす。このため、Al含有量は0.005%以上とし、0.015%以上とするのが好ましい。しかしながら、Alによる脱酸に伴い、生成するアルミナがHICの原因となる場合もある。このため、Al含有量は0.060%以下とし、0.045%以下とするのが好ましい。
Nは、鋼中でAlおよび/またはTi等と窒化物を形成する元素である。これらの窒化物は熱間加工の過程でピン留め粒子として結晶粒を微細化する効果を有し、鋼材の機械特性に影響を与えるとともに、ミクロ組織形成に影響を与える。このため、N含有量は0.0020%以上とする。しかしながら、N含有量が0.0060%を超えると、窒化物が連続鋳造時にオーステナイト粒界に動的析出することで、鋳片表面割れの原因となる。このため、N含有量は0.0060%以下とし、0.0045%以下とするのが好ましい。
CaはS濃度を低減させ、MnSの生成を防止するとともに、硫化物の形態を制御することができる。このため、Ca含有量は、0.0005%以上とし、0.0010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Caを、0.0060%を超えて含有させても、その効果は飽和し、製造コストの増加を招く。このため、Ca含有量は0.0060%以下とし、0.0040%以下とするのが好ましい。
Cuは鋼の焼入れ性を向上させ、鋼の強度を上昇させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cu含有量が0.50%を超えると、鋼の熱間加工性および被削性が低下する。このため、Cu含有量は0.50%以下とし、0.30%以下とするのが好ましい。なお、Cuは、連続鋳造時における表面割れ、いわゆるカッパー割れを誘発する場合がある。Cuを0.20%以上含有させる場合には、Cu含有量の1/3以上の含有量でNiを併せて含有させることが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Cu含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Niは固溶強化によって鋼の強度を向上させるとともに、靱性を改善する効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niを、0.75%を超えて、含有させてもその効果は飽和し、むしろ溶接性を悪化させるおそれがある。このため、Ni含有量は0.75%以下とし、0.40%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ni含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Crは少量の含有で強度上昇に大幅に寄与する。これは、式中の元素記号を各元素の含有量(質量%)として、例えば、炭素当量を表す式の一つである、「Ceq.=C+Mn/6+(Cr+Mo)/5+(Cu+Ni)/15)」における係数が大きいことからも明らかである。また、Crは鋼の靱性を高める効果も有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Crを、0.50%を超えて含有させると溶接割れが発生する等の問題が発生しやすくなる。このため、Cr含有量は0.50%以下とし、特に、溶接性を重視する場合には、Cr含有量は0.40%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Cr含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Moは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度向上に寄与する。また、ミクロ偏析が生じにくい元素であるため、中心偏析に起因するHICの発生を抑制する効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moは高価な元素であるため、過度に含有させると、製造コストの増加をもたらす。また、Mo含有量を0.50%超とすると、ベイナイトまたはマルテンサイトなどの硬化相が生成しやすくなり、却って耐HIC特性を悪化させる場合がある。このため、Mo含有量は0.50%以下とする。加えて、Moは耐HIC特性の低下に及ぼす影響が、他元素と比較して大きい。このため、耐HIC特性を重視する場合は、Mo含有量は0.30%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mo含有量は0.02%以上とするのが好ましい。
Cu+Ni+Cr+Mo<0.80 ・・・(i)
但し、上記(i)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
Bは鋼の焼入れ性を向上させ、強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、B含有量が0.0005%を超えると、強度の上昇が過剰になり、鋼および溶接部の靭性が損なわれることがある。このため、B含有量は0.0005%以下とする。一方、上記効果を得るためには、B含有量は0.0002%以上とするのが好ましい。
Mgは、鋼中の介在物の形態を制御し、鋼、および溶接部の靱性および耐食性を向上させる。加えて、Mgは低温靭性に有害な元素(C、N、およびO)を安定化させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.01%を超えると、鋼の清浄性が低下し、鋼および溶接部の靭性が低下する。このため、Mg含有量は0.01%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0005%以上とするのが好ましい。
REMも鋼中の介在物の形態を制御し、鋼および溶接部の靱性および耐食性を向上させる他、低温靭性に有害な元素(C、N、およびO)を安定化させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REM含有量が0.05%を超えると、鋼の清浄性が低下し、鋼および溶接部の靭性が低下する。このため、REM含有量は0.05%以下とする。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.0005%以上とするのが好ましい。
本発明に係る鋼板全体では、主として、フェライトおよびパーライトからなる金属組織とする。このような金属組織では、二層組織になりやすく、界面にCを排出し、偏析を助長する。この結果、HICが発生しやすくなる。
本発明に係る鋼板では表面付近においても、基本的にフェライトおよびパーライトの金属組織である。上述したように、本発明に係る鋼板を素材としたUOE鋼管では、鋼管内部を流れる天然ガス等の輸送圧が高い使用環境を想定している。このため、UOE鋼管の表面付近では応力がかかり、HICの割れが進展しやすい。
鋼板の表面から板厚方向に1/4厚さ位置における金属組織は、平均的な組織であり、耐震特性に影響を与えるが、フェライトおよびパーライトは、ともに低強度、低降伏比の組織である。これらの組織を一定量確保することで、硬さを低減させ、鋼の応力歪曲線(以下、「SS曲線」という。)の形状は耐震特性の良好なラウンド型となる。
本発明に係る鋼板では、鋼板の表面、表面から板厚方向に0.4mmの深さ位置、および板厚中心部における硬さが、200HV10以下とする。以下、各位置における硬さの限定理由を説明する。
鋼板の表面における硬さは200HV10以下とする。これは、上記位置における硬さが200HV10を超えると、UOE鋼管の耐SSC特性が低下するためである。また、鋼板の表面は、鋼管として使用される際、輸送ガスの圧力がかかる部位である。このため、鋼板の表面の硬さが200HV10超であると、腐食による亀裂の発生と伝播とが生じやすくなるからである。
鋼板の表面から0.4mmの深さ位置における硬さは200HV10以下とする。これは、上記位置における硬さが200HV10を超えると、耐SSC特性が低下するためである。また、上記位置は、表面と同様に輸送ガスの圧力がかかる部位である。このため、上記位置の硬さが200HV10超であると、腐食による亀裂の発生、および伝播がしやすくなるからである。
鋼板の板厚中心部における硬さは200HV10以下とする。これは、板厚中心部の硬さが200HV10を超えると、耐SSC特性が低下するためである。また、板厚中心部は、もともと中心部に介在物を含有している場合がある。このため、鋼板の板厚中心部の硬さが200HV10を超えると、鋼管として使用する際に、水素が介在物を起点として、鋼管の肉厚中心部に凝集し、HICが引き起こされる可能性があるからである。
本発明に係る鋼板の板厚は10~40mmの範囲とする。鋼管強度の大きさを鑑み、鋼板の板厚は、10mm以上とし、15mm以上とするのが好ましく、23mm以上とするのがより好ましい。また、本発明では、輸送ガス圧力の観点から、鋼板の板厚は40mm以下とする。なお、素材である鋼板からUOE鋼管に製造後も、同程度の厚さを維持することから、鋼管の肉厚も10~40mmの範囲となる。
所望するUOE鋼管の引張強さが、460~760MPaであることから、本発明に係る鋼板の引張強さは460~760MPaの範囲とする。鋼板の引張強さが460MPa未満であると、UOE鋼管での使用に際し、天然ガス等の輸送圧に耐えることができない。このため、鋼板の引張強さは460MPa以上とする。一方、鋼板の引張強さが760MPaを超えると、耐HIC特性が低下する。このため、鋼板の引張強さは、760MPa以下とし、600MPa以下であるのが好ましく、550MPa以下であるのがより好ましい。
さらに、本発明では、YS、耐震特性、耐HIC特性、および耐SSC特性が良好であるか否かを以下の指標に基づき判断する。具体的には、目標とする特性値として、YSが360MPa以上とする。また、SS曲線がラウンド型になっている場合を、耐震特性が良好であると判断する。耐HIC特性については割れ部の面積率が5.0%以下である場合、良好な耐HIC特性を有すると判断する。耐SSC特性についてはSSC試験後、割れが認められない場合を耐SSC特性が良好であると判断する。
本発明に係るUOE鋼管用鋼板は、以下の手順により製造される。
上記化学組成を有するスラブを連続鋳造法により鋳造する。製造されたスラブを、下記(ii)式を満たす加熱温度(以下、式中では「T(℃)」と表記する。)で加熱するのが好ましい。
6770/{2.26-log(Nb・C)}-273≦T(℃)<6770/{2.26-log(Nb・C)}-73 ・・・(ii)
但し、上記(ii)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
続いて、加熱されたスラブを、最終1パスがAr3点~Ar3点+40℃の温度域となる条件で圧延するのが好ましい。鋼中の組織を主として、フェライトとするには、未再結晶域であるAr3点直上の温度域で圧延することが重要であるからである。
Ar3(℃)=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Mo+0.35(t-8) ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の記号は以下により定義され、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
t(mm):圧延完了後の鋼板の板厚
最終パスの圧延後は、Ar3点以上の温度域から冷却を開始するのが好ましい。Ar3点より低い温度から冷却を開始すると、フェライトの析出量が過剰となり、偏析が生じ、耐HIC特性が低下するためである。
金属組織の組織観察を行った。具体的には、各鋼板から圧延方向に直行する方向(鋼管にしたときの周方向)に切断して、L断面のサンプルを切り出し、鏡面研磨後、ナイタールにより表面を腐食した後、倍率300倍の光学顕微鏡を用いて観察を行った。
硬さの測定は、JIS Z 2244(2009)に準拠し、試験力98.07N(10kgf)でのビッカース硬さ(HV10)なお、「鋼板の表面」の硬さについては、圧延面における硬さを測定した。また、「鋼板の表面から板厚方向に0.4mmの深さ位置」および「鋼板の板厚中心部」の硬さについては、各鋼板から圧延方向に直行する方向(鋼管にしたときの周方向)に切断して、L断面のサンプルを切り出し、鏡面研磨して試験片とした。硬さ測定は、各試験片について各5カ所測定し、その平均値を硬さとした。
強度特性を評価する引張試験では、鋼管にしたときを想定し、得られた鋼板を圧延方向に直行する方向(鋼管にしたときの周方向)に切断して試験片を採取した。続いて、採取した試験片を用い、ISO6892に準拠して引張試験を実施し、YSとTSについて測定を行った。YSは360MPa以上、TSは460~760MPaの試験片を良好な強度を有すると判断した。また、上記試験で得られたSS曲線がラウンド型になっている場合について耐震特性が良好であると判断し、ラウンド型ではない場合を耐震特性が良好ではないと判断した。
HIC試験は、NACE TM0284に準拠して、試験片を指定の大きさに切断後、表面研磨を実施し、試験溶液:Solution A、試験温度:25℃、H2S濃度:1bar、pH:2.7~4.0の条件のもと、試験片を96時間、浸漬した後、試験片の全面の超音波探傷を実施し、発生した割れ部の面積率(CAR%;Cracking Area Ratio)にて評価を実施した。このとき、同面積率が5.0%以下である場合、良好な耐HIC特性を有すると判断した。
SSC試験は、以下の条件で実施した。具体的には、鋼板(鋼管における母材に相当。)から1.5mm×30mm×115mmの寸法のSSC試験片を採取し、4点曲げによってYSの90%となる応力を付与し、720時間溶液中に浸漬する試験を実施した。
Claims (5)
- UOE鋼管に用いられる鋼板であって、
前記鋼板の化学組成が、質量%で、
C:0.03~0.06%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:1.00~1.50%、
P:0.008%以下、
S:0.0006%以下、
Nb:0.005~0.080%、
V:0.005~0.050%、
Ti:0.005~0.030%、
Al:0.005~0.060%、
N:0.0020~0.0060%、
Ca:0.0005~0.0060%、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.75%、
Cr:0~0.50%、
Mo:0~0.50%、
B:0~0.0005%、
Mg:0~0.01%、
REM:0~0.05%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記鋼板の表面から板厚方向に1mmの深さ位置までの領域おける金属組織が、面積率で、
80%以上のフェライトを含み、
前記鋼板の表面から板厚方向に1/4厚さ位置における金属組織が、面積率で、
50~78%のフェライト、および
20~48%のパーライトを含み、
残部が2%以下の不可避的生成組織であり、
前記鋼板の表面、表面から板厚方向に0.4mmの深さ位置、および板厚中心部における硬さが、200HV10以下であり、
板厚が10~40mmであり、
引張強さが460~760MPaである、UOE鋼管用鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.05~0.50%、
Ni:0.05~0.75%、
Cr:0.05~0.50%、および
Mo:0.02~0.50%、
から選択される1種以上を含有し、かつ、下記(i)式を満足する、請求項1に記載のUOE鋼管用鋼板。
Cu+Ni+Cr+Mo<0.80 ・・・(i)
但し、(i)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。 - 前記化学組成が、質量%で、
B:0.0002~0.0005%、
を含有する、請求項1または請求項2に記載のUOE鋼管用鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Mg:0.0005~0.01%、および
REM:0.0005~0.05%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1~3のいずれかに記載のUOE鋼管用鋼板。 - 請求項1~4のいずれかに記載のUOE鋼管用鋼板の製造方法であって、
(a)請求項1~4のいずれかに記載の化学組成を有するスラブを、下記(ii)式を満たす加熱温度で加熱する工程と、
(b)加熱された前記スラブを、最終1パスがAr3点~Ar3点+40℃の温度域となる条件で圧延する工程と、
(c)Ar3点以上の温度域から冷却を開始して500~600℃の温度域で冷却を停止し、前記冷却時における平均冷却速度が10~25℃/sとなる条件で冷却する工程と、を有し、
前記(b)および(c)の工程における、Ar3点は下記(iii)式により定義される、UOE鋼管用鋼板の製造方法。
6770/{2.26-log(Nb・C)}-273≦T(℃)<6770/{2.26-log(Nb・C)}-73 ・・・(ii)
Ar3(℃)=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Mo+0.35(t-8) ・・・(iii)
但し、上記式中の記号は以下により定義され、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
T(℃):加熱温度
t(mm):圧延完了後の鋼板の板厚
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