JP7119807B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
以下の実施形態では、吸収性物品としてテープ型の紙おむつ(以下、単に「テープ型おむつ」という。)を例示する。
テープ型おむつについて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、テープ型おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向に沿った方向から視ることを平面視とする。
まず、図1及び図2を参照して、テープ型おむつ1の基本構成を説明する。その後に、テープ型おむつ1の詳細な構成を述べる。なお、下記の説明では「テープ型おむつ」を単に「おむつ」と略称する。
おむつ1は、幅方向の中心線CL1を基準として対称に構成されている。また、おむつ1は長手方向Lに沿って前身頃1A、股下部1B及び後身頃1Cの三つの領域に大別される。
おむつ1には、前身頃1A、股下部1B及び後身頃1Cに亘って長手方向に延びる吸収体10が内蔵されている。この吸収体10は、股下部1Bにおいて長手方向全域に配置され、前身頃1A及び後身頃1Cにおいて長手方向端部を除く大部分に配置される。
吸収体10は、水分を吸収して保持するマット状の部材である。この吸収体10では、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)に吸水性樹脂(「SAP〈Super Absorbent Polymer〉」とも称される)を混合したマットが親水性の不織布やティシュなどのラップシートで被包(ラップ)されている。
上記した吸収体10に対して肌面側及び非肌面側には、以下に述べる種々のシート11,12,13,14がおむつ1の長手方向全域に設けられ、本体部100が構成される。つまり、本体部100は、吸収体10とシート11,12,13,14との積層体である。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層される。バックシート12の非肌面側には、カバーシート14が積層される。また、センターシート11の側方(幅方向外側)には、サイドシート13が配置される。
また、サイドシート13は、幅方向側方への液漏れを防ぐため、疎水性を有する。このサイドシート13は、おむつ1において最も肌面側に配置される。このことから、サイドシートは、センターシートと同様に「トップシート」とも称される。
なお、カバーシート14は、単層構造に限らず、インナカバーシートやアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
そのほか、おむつ1には、装着状態における着用者への追従性を高めるため、立体ギャザー21、レッグギャザー22やウエストギャザー23(ギャザー)などのギャザーが設けられている。これらのギャザー21,22,23では、糸ゴム31,32,33(弾性部材)の貼り付けられたサイドシート13やバックシート12などが皺寄せられる。なお、糸ゴム31,32,33に替えて又は加えて、天然ゴムあるいは伸縮フィルムといった弾性部材を用いてもよい。
レッグギャザー22は、着用者の脚部に対するおむつ1の隙間を抑えるため、装着状態において着用者の脚部周縁となる箇所に設けられる。このレッグギャザー22では、股下部1B及びその周辺においてバックシート12の幅方向外側の端縁で、長手方向に沿って糸ゴム32が設けられている。
ウエストギャザー23は、幅方向に伸縮し、着用者の胴回りのフィット性を調節するため、後身頃1Cの長手方向端部にのみ設けられる。このウエストギャザー23では、後身頃1Cの長手方向の端縁で、幅方向に沿って糸ゴム33が設けられている。
このおむつ1には、後身頃1Cで幅方向外側に延出するように取り付けられた一対の止着部6,6、いわゆるファスニングテープ6,6が設けられ、前身頃1Aの最も非肌面側(外表面)にパッチ4が設けられている。ここでは、矩形のパッチ4が用いられる。ファスニングテープ6,6が引っ張られてパッチ4に止め着けられ、固定されることで、おむつ1が着用者に装着される。なお、以下において「ファスニングテープ」を「テープ」と略称する。
これらのパッチ4及びテープ6によって、止め着け機能を実現するファスニング機構が構成される。なお、図1及び図2では、本体部100における後身頃1Cの幅方向両側に一つずつ設けられた一対のテープ6,6を例示する。ただし、幅方向Wの端部に設けられるテープ6の数は特に限定されず、少なくとも幅方向両側に一つずつのテープ6が設けられていればよい。
テープ6は、基材シート61と係止部材62とを有する。
基材シート61の幅方向内側の基部61A(一箇所のみ符号を付す)は、例えば、ヒートシールや超音波シールによってサイドシート13及び/又はカバーシート14に熱融着されていてもよいし、ホットメルトなどの接着剤によってサイドシート13及び/又はカバーシート14に接着されていてもよい。また、図1に示すように、基部61Aがサイドシート13とカバーシート14との間に挟装され、シート13,14に熱融着又は接着されていてもよい。つまり、基部61Aをサイドシート13とカバーシート14との間に挟装する態様では、基部61Aに対して、サイドシート13のうち幅方向外側の端部が肌面側に積層され、カバーシート14のうち幅方向外側の端部が非肌面側に積層される。
また、基材シート61において、基部61Aを除く延出部61B(一箇所のみ符号を付す)は、シート13,14よりも幅方向外側に延在する状態に設けられている。
パッチ4は、本体部100における前身頃1Aの外表面においてテープ6の止め着けを容易にするために設けられる。つまり、パッチ4は、本体部100の非肌面側に外装(積層)される。
係止部材62がフック材の場合、パッチ4としては、フィルム層と、その外面全体に設けられたループ材とを有するフィルムタイプのものを好適に用いることができる。ループ材には、係止部材62のフック材が着脱自在に係合可能である。この場合におけるループ材としては、糸で編まれた網状体であってループを有するものがフィルム層上に取り付けられている形態の他、熱可塑性樹脂の不織布が間欠的な超音波シールによりフィルム層上に取り付けられ、不織布の繊維がループをなす形態等が挙げられる。また、パッチ4として、熱可塑性樹脂の不織布にエンボス加工を施したものでフィルム層が無いフィルムレスタイプのものを用いることもできる。フィルム層やループ材を構成する材料としては不織布が好ましく、基材シート61を構成する材料として例示した合成樹脂等を用いた不織布がより好ましい。
・機能1:係止部材62を取り付けるための適正な位置を示す機能
・機能2:係止部材62の繰り返しの止め着けを安定させる機能
・機能3:カバーシート14に止め着け不能な係止部材62の止め着け先を確保する機能
上記の機能1は、パッチ4の延在範囲に係止部材62が止め着けられることにより、適正な位置へのテープ6の止め着けに寄与し、着用者へのおむつ1の適正な装着に資する。
上記の機能2は、フック材の係止部材62が繰り返し止め着けられた際に毛羽立ちし難い強度(物性)をパッチ4にもたせることにより、係止部材62の繰り返しの止め着けが安定する。仮に、カバーシート(不織布)にフック材の係止部材が繰り返し止め着けられる場合には、不織布の毛羽立ちや止め着け安定性の低下を招くおそれがある。これに対し、パッチ4に係止部材62を止め着けることにより、毛羽立ちの抑制や止め着け安定性の確保に資する。
上記の機能3は、係止部材62がカバーシート14に止め着けられない場合に、係止部材62の止め着け先を確保することができる。
図2に示すように、本体部100には、前身頃1A及び後身頃1Cのそれぞれに外観可能な一対のデザイン部5A,5Bが付されている。デザイン部5A,5Bは、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、単に「図柄」という。)を有し、デザイン部5A,5Bとそれ以外の部分とを目視により区別可能な領域である。このようなデザイン部5A,5Bは、例えば、バックシート12又はカバーシート14の非肌面側に印刷加工を施すことで設けられる。あるいは、バックシート12とカバーシート14との間にデザイン部5が別設される。図2には、バックシート12に設けられたデザイン部5A,5Bを示す。
前身頃1A及び後身頃1Cにおいてデザイン部5A,5Bが配置される領域は特に限定されない。例えば、図2には、前身頃1A及び後身頃1Cのそれぞれにおいて、本体部100の長手方向端部から長手方向寸法の1/3又は1/4程度の位置までの範囲で長手方向の境界が規定され、吸収体10の幅方向寸法と略等しい範囲で幅方向の境界が規定されたデザイン部5A,5Bを示す。
デザイン部5A,5Bは互いに同一の図柄であってもよいし、互いに異なる図柄であってもよい。また、デザイン部5A,5Bは互いに少なくとも一部が同一の図柄であってもよい。なお、以下において「デザイン部5A,5B」を単に「デザイン部5」と記載することがある。
本実施形態のデザイン部5A,5Bは、外観が互いに同一又は類似する。ここでいう「外観が互いに同一又は類似するデザイン部5A,5B」には、下記に例を列挙する態様1~4の少なくとも何れかが含まれる。
・態様1:色彩又は模様が同一又は類似するデザイン部5A,5B
・態様2:模様の配置が同一又は類似するデザイン部5A,5B
・態様3:幅方向寸法が同一又は略同一のデザイン部5A,5B
・態様4:長手方向寸法が同一又は略同一のデザイン部5A,5B
例えば、デザイン部5A,5Bは、長手方向に線対称又は略線対称な外観をなしている。
前身頃1A及び後身頃1Cのそれぞれに外観可能な一対のデザイン部5A,5Bの付された本体部100において、パッチ4は前デザイン部5に外装(非肌面側に配置)される。図2に示すように、パッチ4は前デザイン部5Aとの重複部4A(主部)を有し、重複部4Aにテープ6が止め着けられて固定される。なお、前デザイン部5Aの幅方向寸法よりもパッチ4の幅方向寸法が大きい場合には、パッチ4は、重複部4Aの幅方向外側に、デザイン部5と重複しない非重複部4B,4Bを有することがある。
このような態様のおむつ1では、前デザイン部5Aとパッチ4との視覚的な混同を引き起こすことがあり、デザイン部5A,5Bのどちら側にパッチ4が配置されているか視認が困難になること、つまり、使用者にとってパッチ4の位置の判別が困難になることがある。パッチ4の位置が判別できないと、使用者は、テープ6を適正位置に迅速に固定し、適度なフィット感で着用者におむつ1を装着することが難しい。また、使用者は、パッチ4の位置によりおむつ1の前後を認識することがあるため、パッチ4の位置が判別できないと、着用者に対するおむつ1の前後を錯誤するおそれがある。
特に、デザイン部5の視認性や見栄えを向上させるため、光透過性を有するパッチ4(透明又は半透明の材料を用いたパッチ4)、前デザイン部5Aが有する色彩と同系の色彩を有するパッチ4、前デザイン部5Aと同一の図柄のパッチ4や、前デザイン部5Aと少なくとも一部が同一の図柄を有するパッチ4といった一体的に前デザイン部5Aの外観を構成する重複部4Aの設けられたパッチ4をデザイン部5に外装する場合には、パッチ4の位置の判別はさらに困難になる傾向がある。
なお、パッチ4の「光透過性」とは、パッチ4が外装された位置のデザイン部5に光を透過させると共に、そのデザイン部5が反射する反射光を視認可能な程度に透過させる機能である。
特に、仮想線VL1,VL2での折り加工は、展開状態におけるおむつ1の肌面側を確認しながら行われるため、肌面側から平面視したときに本体部100が実質的に同じ色彩を有する場合には、折り加工を施す適切な位置を判別しにくい。
また、折り畳み状態のおむつ1(図3(c)参照)を使用する際に、使用者は、まず、仮想線VL3,VL4による折り畳みを長手方向Lに展開する(図3(b)参照)。そして、使用者は、仮想線VL1,VL2による折り返しを展開し、その後、おむつ1を着用者に装着する。
このように、使用者はおむつ1を肌面側から平面視しながら展開し、着用者に対する装着作業を進める。図3(c)に示す折畳状態のおむつ1を見た使用者は、パッチ4の位置によりおむつ1の前後を判別できる場合もあるが、本態様のおむつ1ではデザイン部5とパッチ4との視覚的な混同を引き起こしやすいため、パッチ4の視認が困難である。つまり、使用者は、パッチ4の位置により、おむつ1の前後を判別できないことがある。また、展開状態のおむつ1は、長手方向の中心線CL2(基準線,図3参照)を基準として全体形状が線対称又は略略線対称である、あるいは、デザイン部5A,5Bの外観が互いに同一または類似するため、展開状態のおむつ1を肌面側から平面視するだけでは、おむつ1の前後の判別が難しい。
そこで、図2に示すように、幅方向Wに伸縮する糸ゴム33を後身頃1Cにのみ配置している。
糸ゴム33により、バックシート12の後身頃1C部分のみが幅方向Wに皺寄せられたウエストギャザー23が形成されるため、使用者はウエストギャザー23の触覚により、おむつ1の前後位置を判別できる。
したがって、使用者は、前身頃1Aに配置されたパッチ4の位置と後身頃1Cに配置されたウエストギャザー23の位置とから、おむつ1の前後を判別できる。その結果、着用者に対するおむつ1の位置決めが容易になる。また、おむつ1を装着する際にテープ6のパッチ4への止め着け、すなわち、パッチ4に対するテープ6の位置決めが容易になる。
なお、パッチ4は、中心線CL1を基準として非対称に配置されてもよい。このように配置されたパッチ4であっても、一対の識別部4C,4Cにより、使用者はパッチ4の位置を判別することができる。また、以下において「識別部4C,4C」を単に「識別部4C」と記載することがある。
したがって、使用者は着用者に対するおむつ1の位置決めを迅速に行うことができる。
そのほか、折畳状態のおむつ1を非肌面側から見たときには、識別部4C,4Cが視認不能であることから、折畳状態のおむつ1を非肌面側から見たときのデザイン部5A,5Bによる装飾性を確保可能である。
「識別部4C」とは、識別部4Cとその他の部分とを目視により区別可能な領域である。具体的には、識別部4Cは、おむつ1を展開した状態(図2参照)において非肌面側から平面視したときに、パッチ4における他の部位のほか、前デザイン部5A及び本体部100と異なる色彩を有する。
ここで、「パッチ4における他の部位」とは、パッチ4における識別部4C,4C以外の部位をいい、例えば、重複部4Aや非重複部4Bが挙げられる。つまり、展開状態のおむつ1を非肌面側から平面視したとき、パッチ4における他の部位の色彩には、重複部4Aの色彩及び非重複部4Bの色彩が含まれる。なお「前デザイン部5Aの色彩」とは、前デザイン部5Aを平面視したときに、最も広面積を占める色彩のことをいう。
また、「本体部100の色彩」とは、非肌面側から本体部100を平面視したときに主に視認できる色彩(以下、「非肌面側の地色」と記載することがある。)である。具体的には、図2に示す展開したおむつ1を非肌面側から平面視したときに、本体部100において最も広面積を占める色彩を、非肌面側の地色という。ここでは、全域に亘って実質的に同じ白色(第一色彩)の本体部100を例に挙げる。すなわち、本体部100の地色として白色を例示する。ただし、非肌面側に2色以上の色彩を有する本体部100では、この本体部100において最も広面積を占める色が地色となる。
例えば、展開状態のおむつ1を非肌面側から平面視したときに識別部4Cの全てが前デザイン部5Aと重複する場合には、識別部4Cは、重複部4Aの色彩及び前デザイン部5Aの色彩と異なる色彩を有する。前デザイン部5Aと識別部4Cとが一部重複する場合には、識別部4Cは、重複部4Aの色彩、前デザイン部5Aの色彩、及び、非肌面側の地色と異なる色彩を有する。前デザイン部5Aと識別部4Cとが重複しない場合には、識別部4Cは、非重複部4Bの色彩及び本体部100の非肌面側の地色と異なる色彩を有する。
「異なる色彩」とは、明るさ、色相又は彩度のうち、少なくともいずれか一つが異なることを意味する。例えば、単に色相が異なるものばかりでなく、同じ色相であっても、彩度又は明度が異なるものは「異なる色彩」である。
前デザイン部5Aに外装されるパッチ4において、重複部4Aの全光線透過率は65~99%であることが好ましい。重複部4Aの全光線透過率が上記範囲のパッチ4は、少なくとも重複部4Aが透明又は半透明となる。このような態様では、前デザイン部5Aとパッチ4との視覚的な混同を引き起こしやすく、パッチ4の位置の判別がより困難になる傾向がある。しかし、パッチ4が幅方向Wの両端部に識別部4C,4Cを有することで、使用者はパッチ4の位置を容易に判別できる。
また、重複部4Aの全光線透過率が上記範囲のパッチ4を用いると、前デザイン部5Aにパッチ4を外装しても、前デザイン部5Aの外観がパッチ4の存在に影響されにくく、前デザイン部5Aの視認性や見栄えに優れる。その結果、使用者のおむつ1に対する購買意欲を高めることができる。
ここで、「全光線透過率」とは、JIS K 7361-1(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法-第一部:シングルビーム法)に準拠した測定法により測定された値である。重複部4Aの全光線透過率は、パッチ4を構成する材料の選択(例えば、不織布を使用する場合にはその繊維径〔dtex(デシテックス)〕やその目付量、填料〔酸化チタン等〕の配合量)や、パッチ4の厚み寸法等により調整できる。
ここで、繊維径は、パッチ4の重複部4Aを、幅方向に略5等分し、略5等分された重複部4Aからそれぞれ1cm角の試験片をサンプリングし、顕微鏡で繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から算出できる。また、目付量は、パッチ4の重複部4Aから、縦20cm×横20cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積当たりの重量に換算して算出できる。
また、図2に示すように、パッチ4の幅方向寸法は、前デザイン部5Aの幅方向寸法よりも大きく、識別部4C,4Cは前デザイン部5Aから幅方向外側に離隔している。言い換えると、パッチ4は、重複部4Aの幅方向外側に前デザイン部5Aと重複しない非重複部4Bを有する。つまり、この態様のパッチ4は、重複部4A、非重複部4B及び識別部4Cを有する。
非重複部4Bの幅方向寸法は特に限定されないが、識別部4C,4Cと重複部4Aとを適度に離間させ、識別部4C,4Cの視認性を向上させる観点からは、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下である。このような態様のパッチ4によれば、使用者は、保管状態のおむつ1(図3(c)参照)において、仮想線VL3,VL4による本体部100の折り返しを展開したとき(図3(b)参照)に、肌面側からの平面視により識別部4C,4Cを視認できる。また、使用者は、非肌面側の地色との色差や非重複部4Bとの色差により識別部4C,4Cを視認しやすいため、パッチ4の位置を容易に把握できる。したがって、使用者は、着用者に対するおむつ1の前後を判別し、おむつ1の位置決めを迅速に行うことができる。
なお、ここでいう「識別部4Cの色彩」とは、識別部4Cを平面視したときに、最も広面積を占める色彩のことをいう。
また、図4に示すように、パッチ4は幅方向の両端部に一対のフラップ4D,4Dを有する。フラップ4D,4Dはパッチ4の両端部に形成された自由端である。なお、以下において「フラップ4D,4D」を単に「フラップ4D」と記載することがある。
図4では、フラップ4Dは、パッチ4において識別部4Cと共に、端部に設けられている。幅方向Wの両端部にフラップ4Dを有するパッチ4によれば、使用者は触覚でもパッチ4の位置を判別することが可能になる。
フラップ4Dの幅方向寸法W4Dは特に限定されない。フラップ4Dの幅方向寸法W4Dが小さすぎると触覚による判別が困難になる傾向がある。一方、フラップ4Dの幅方向寸法W4Dが大きすぎると、おむつ1を仮想線VL1,VL2にて折り畳む際にフラップ4Dが装置に挟まる等の不具合を引き起こす原因になることがある。上記観点から、フラップ4Dの幅方向寸法W4Dは、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下である。なお、フラップ4Dの長手方向寸法は、パッチ4の長手方向寸法と略同じである。
また、パッチ4は模様を有していてもよい。非肌面側からの平面視において、パッチ4の模様が前デザイン部5Aや本体部100の有する模様と異なる場合には、模様によりパッチ4の位置を判別することができる。このような模様は、印刷加工やエンボス加工により形成できる。模様は、パッチ4の全体に形成してもよいし、一部に形成してもよい。例えば、識別部4C,4Cにのみ模様を形成すこともできる。パッチ4の位置の判別を容易にする観点からは、パッチ4の全体に模様を施すことが好ましい。
基材シート61及び/又は係止部材62(テープ6の少なくとも一部)は、一対の識別部4C,4Cと同系の色彩(第二同系色彩)を有することが好ましい。基材シート61及び/又は係止部材62と、識別部4Cとを同系の色彩とすることで、使用者は、色彩の似ている部材同士を止め着けることを視覚的に容易に判別できる。したがって、使用者は、識別部4C,4Cの間に存在するパッチ4にテープ6を迅速に固定し、適度なフィット感で着用者におむつ1を装着できる。
なお、基材シート61や係止部材62は単色であってもよいし、2色以上を有していてもよい。基材シート61や係止部材62が2色以上の色彩を有する場合には、平面視したときに最も広面積を占める色彩が、識別部4Cと同系の色彩であればよい。
基材シート61と本体部100とが実質的に同じ色彩を有する場合、使用者は、折り畳み状態のおむつ1(図3(c)参照)から、仮想線VL3,VL4による本体部100の折り返しを展開したとき(図3(b)参照)に、肌面側から平面視したときにテープ6の位置を判別しづらいことがある。このような態様であっても、上記構成を有するおむつ1によれば、パッチ4の位置とウエストギャザー23の位置とから、おむつ1の前後を判別できるため、使用者は着用者に対するおむつ1の位置決めを迅速に行うことができる。
上記のように第二同系色彩の基材シート61によっても、おむつ1の前後を判別できるため、使用者は着用者に対するおむつ1の位置決めを迅速に行うことができる。
なお、白色と異なる色彩(いわば着色した色彩)の係止部材62は色の調整が困難であり、製造コストが高まるおそれがある。これに対し、本体部100の白色と同系色彩の係止部材62は色の調整が容易であるうえに、係止部材62と比較して色の調整が容易な基材シート61に着色することから、製造コストの上昇が抑制可能である。
そのほか、テープ6が全域に亘って白色(第一色彩)であってもよい。この場合には、上述したようにテープ6の色彩でおむつ1の前後を判別することはできないものの、識別部4Cの色彩によっておむつ1の前後判別する手段が確保されたうえで、テープ6の着色コストを抑えることができる。
また、パッチ4やデザイン部5等の具体的寸法は以下のとおりである。
パッチ4の幅方向寸法は、通常100mm以上、好ましくは150mm以上であり、通常250mm以下、好ましくは200mm以下である。また、パッチ4の長手方向寸法は、通常20mm以上、好ましくは30mm以上であり、通常60mm以下、好ましくは50mm以下である。なお、図2には、幅方向寸法が180mmであり、長手方向寸法が40mmのパッチ4を示す。
本実施形態のおむつ1は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を奏する。
(1)本発明によれば、新規な吸収性物品が提供される。
(2)前身頃1A及び後身頃1Cのそれぞれに設けられたデザイン部5A,5Bによりパッチ4の位置の判別が困難な態様の吸収性物品1であっても、パッチ4の幅方向における両端部に識別部4C,4Cを設けることで、使用者はパッチ4の位置を確実に判別できる。また、ウエストギャザー23を後身頃1Cにのみ配置することで、使用者は、ウエストギャザー23の位置とパッチ4の位置とから吸収性物品1の前後関係を判別できる。したがって、本発明によれば、パッチ4の位置、及び着用者に対する吸収性物品1の前後の判別が容易であり、ファスニングテープ6をパッチ4に固定する際の位置決めがしやすい吸収性物品1が提供される。
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
また、ウエストギャザー23を構成する糸ゴム33の配置箇所は、後身頃1Cに替えて前身頃1Aであってもよい。例えば、糸ゴム33とパッチ4とが前身頃1Aに配置されると、糸ゴム33とともにパッチ4が幅方向Wに伸縮し、テープ6の止め着けが難しくなることがある。そのため、パッチ4を前身頃1Aに配置する場合には、糸ゴム33は後身頃1Cに配置することが好ましい。この場合、後身頃1Cには、糸ゴム33とともにテープ6が配置される。糸ゴム33とともにテープ6が後身頃1Cに配置される場合には、おむつ1の装着時にテープ6を幅方向Wに引っ張る際に糸ゴム33が伸縮するため、着用者に対するおむつ1のフィット感の調整がしやすい。
1A 前身頃
1B 股下部
1C 後身頃
10 吸収体
11 センターシート
12 バックシート
13 サイドシート
14 カバーシート
21 立体ギャザー
22 レッグギャザー
23 ウエストギャザー
31,32,33 糸ゴム(弾性部材)
4 パッチ
4A 重複部
4B 非重複部
4C 識別部
4D フラップ
5 デザイン部
6 止着部(ファスニングテープ,テープ)
61 基材シート
61A 基部
61B 延出部
62 係止部材
100 本体部
Claims (6)
- 吸収体を有し、前身頃,股下部及び後身頃に亘って設けられ、幅方向に延びる基準線を基準に全体形状が線対称又は略線対称であり、全域に亘って実質的に同じ第一色彩の本体部と、
前記前身頃及び前記後身頃の一方において、前記本体部に対して幅方向の端部から外側に延出する止着部と、
前記前身頃及び前記後身頃の他方において、幅方向に延在し、前記本体部に積層され、最も非肌面側に配置され、前記止着部が固定されるパッチと、
前記一方で非肌面側から外観可能に設けられた第一デザイン部と前記他方で非肌面側から外観可能に設けられた第二デザイン部とを有し、前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部の外観が互いに同一又は類似するデザイン部と、を備え、
前記本体部が、前記一方のみ又は前記他方のみに設けられるとともに幅方向に伸縮するギャザーを有し、
前記吸収体の幅方向の両端部において長手方向へ仮想的に延びる一対の折曲線で三つ折りにされた折畳状態から前記一対の折曲線での折り畳みが展開された平面状の展開状態に展開されて装着され、前記展開状態において肌面側を向く内面のうち前記一対の折曲線よりも幅方向外側の第一面が前記一対の折曲線よりも幅方向内側の第二面に対して前記折畳状態で対面して重ね合わせられ、製品出荷時において前記折畳状態をなす吸収性物品であって、
前記パッチが、
前記第二デザイン部に対して非肌面側に配置され、透明もしくは半透明である、又は、前記第二デザイン部と一体的に当該第二デザイン部の外観を構成する主部と、
当該パッチにおいて延在方向の両端部に位置し、前記本体部及び前記主部とは異なる第二色彩である一対の識別部とを有し、
前記一対の識別部は、前記展開状態において前記一対の折曲線よりも幅方向外側に配置された
吸収性物品。 - 前記主部の全光線透過率が65~99%であり、
前記パッチのほうが前記第二デザイン部よりも幅方向寸法が大きく、
前記一対の識別部が、前記パッチの自由端をなす
請求項1に記載の吸収性物品。 - 前身頃,股下部及び後身頃に亘って設けられ、幅方向に延びる基準線を基準に全体形状が線対称又は略線対称であり、全域に亘って実質的に同じ第一色彩の本体部と、
前記前身頃及び前記後身頃の一方において、前記本体部に対して幅方向の端部から外側に延出する止着部と、
前記前身頃及び前記後身頃の他方において、幅方向に延在し、前記本体部に積層され、最も非肌面側に配置され、前記止着部が固定されるパッチと、
前記一方で非肌面側から外観可能に設けられた第一デザイン部と前記他方で非肌面側から外観可能に設けられた第二デザイン部とを有し、前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部の外観が互いに同一又は類似するデザイン部と、を備え、
前記本体部が、前記一方のみ又は前記他方のみにおいて前記デザイン部に重複して設けられるとともに幅方向に伸縮するギャザーを有する
吸収性物品。 - 前記パッチが、
前記第二デザイン部に対して非肌面側に配置され、透明もしくは半透明である、又は、前記第二デザイン部と一体的に当該第二デザイン部の外観を構成する主部と、
当該パッチにおいて延在方向の両端部に位置し、前記本体部及び前記主部とは異なる第二色彩である一対の識別部とを有し、
前記主部の全光線透過率が65~99%であり、
前記パッチのほうが前記第二デザイン部よりも幅方向寸法が大きく、
前記一対の識別部が、前記パッチの自由端をなす
請求項3に記載の吸収性物品。 - 前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部の外観が互いに同一又は類似する前記デザイン部には、色彩又は模様が同一又は類似する前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部、前記模様の配置が同一又は類似する前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部、幅方向寸法が同一又は略同一の前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部、長手方向寸法が同一又は略同一の前記第一デザイン部及び前記第二デザイン部の少なくとも何れかが含まれる
請求項1若しくは請求項2、又は、請求項3若しくは請求項4に記載の吸収性物品。 - 前記止着部が、
前記パッチに固定される係止部材と、
前記係止部材が積層され、前記係止部材と前記本体部とを幅方向に結ぶ基材シートとを有し、
前記基材シートが、前記第一色彩と異なる色彩であるとともに前記一対の識別部と同系の第二同系色彩である
請求項1、2及び請求項1若しくは請求項2を引用する請求項5の何れか一項、又は、請求項4若しくは請求項4を引用する請求項5に記載の吸収性物品。
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