JP7119322B2 - 表示装置判別システム、表示装置判別方法及びプログラム - Google Patents
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Description
一方、表示装置に画像を表示して、デザインの色の評価などを行なう場合、このデザインの画像における色の見え方が、画像を観察する観察者の多数間で同様である必要がある。
このため、観察者によって知覚される色の違いを、特許文献1におけるように、観察者間で同様となるように表示色を補正し、色の見え方を統一する必要がある。
しかしながら、上述したように、同様の色の評価が行えない装置を統一する場合、表示色を各観察者に対応して補正する機能を表示装置に付加することになり、表示装置の価格が上昇してしまう。
さらに、複数の観察者で表示装置に表示される表示色を観察してコミュニケーションを図ろうとした場合、各観察者間において知覚する色がそれぞれ異なるため、色の評価を行う場合における意志の疎通が十分にできない問題があった。また、複数の観察者の各々が同様の色と知覚してコミュニケーションを取る必要から、観察者のそれぞれの知覚に対応させた表示装置を、観察者毎に1台ずつ設ける必要があり、設備のコストが上昇するという問題もあった。
図1において、表示装置判別システム1は、評価対象の表示装置2が複数の観察者に対して同一の色を同様に観察される表示色として表示することができる分光特性を有しているか否か、すなわち複数の観察者が同様の表示色を観察可能な表示装置であるか否かの判別を行なう。この表示装置判別システム1は、物体色のデータ3を用いて、表示装置2の判別を行う。また、入力装置4は、キーボードやマウスであり、表示装置判別システム1を操作するために用いられる。
また、光源の分光放射輝度は、標準光源だけでなく、観察環境下での分光放射輝度などを用いても良い。
データ入力部11は、外部装置から入力される表示装置を判別するデータを記憶部18に書き込んで記憶する、あるいは操作者が入力装置4から入力する表示装置判別システム1に対する操作の指令などを入力する。
また、外部装置から物体色iの物体分光放射輝度Pi(λ)・O(λ)を入力する構成としても良い。この場合、物体分光放射輝度算出部12は、表示装置判別システムの構成として必要が無くなる。
そして、適合判定部17は、評価値Aと判別閾値とを比較し、判別閾値以下の評価値Aを有する表示装置を、複数の観察者が同一の表示色と知覚できる分光特性を有する表示装置として判別する。また、評価値Aを求める式として(6)式を用いているが、どのような統計量、例えば評価値Aに標準偏差を加えて算出しても良い。
次に、物体分光放射輝度算出部12は、物体色を観察する光源の分光放射エネルギO(λ)を、記憶部18から読み出す。
また、物体分光放射輝度算出部12は、物体色の分光反射率Pi(λ)を、記憶部18から読み出す。
物体分光放射輝度算出部12は、読み出した分光反射率Pi(λ)と分光放射エネルギO(λ)とを乗算し、物体色iの物体分光放射輝度Pi(λ)・O(λ)を算出する。
そして、物体分光放射輝度算出部12は、算出した物体色iの物体分光放射輝度Pi(λ)・O(λ)を物体三刺激値算出部13に出力する。
物体三刺激値算出部13は、物体分光放射輝度Pi(λ)・O(λ)が供給された場合、観察者nの錐体分光感度ln(λ)、mn(λ)及びsn(λ)の各々を、記憶部18から読み出す。
物体三刺激値算出部13は、物体分光放射輝度Pi(λ)・O(λ)と、錐体分光感度ln(λ)、mn(λ)及びsn(λ)の各々とを、(1)式に代入して、観察者の物体三刺激値Lni、Mni、Sniそれぞれを算出する。
表示装置等色分光放射輝度算出部14は、(2)式、(3)式及び(4)式を用いた数値計算により、物体色iと等色する表示装置における表示色の分光放射エネルギDni(λ)を算出する。
CIE三刺激値算出部15は、CIEが定めた等色関数x10(λ)、y10(λ)、z10(λ)を記憶部18から読み出す。そして、CIE三刺激値算出部15は、読み出した等色関数x10(λ)、y10(λ)、z10(λ)と、表示装置の分光放射エネルギDni(λ)とを(5)式に代入して、CIE三刺激値Xni、Yni、Zniそれぞれを求める。
CIE三刺激値算出部15は、観察者nにおける物体色iのCIE三刺激値Xni、Yni、Zniを、記憶部18に対して書き込んで記憶させる。
CIE三刺激値算出部15は、全ての観察者に対する物体色iのCIE三刺激値Xni、Yni、Zniの算出が終了したか否かの判定を行う。そして、CIE三刺激値算出部15は、全ての観察者に対するCIE三刺激値Xni、Yni、Zniの算出が終了した場合、処理をステップS8へ進める。一方、CIE三刺激値算出部15は、全ての観察者に対するCIE三刺激値Xni、Yni、Zniの算出が終了していない場合、処理をステップS3へ進める。
色差算出部16は、観察者の各々のCIE三刺激値Xni、Yni、Zniを記憶部18から読み出す。そして、色差算出部16は、観察者の各々のCIE三刺激値Xni、Yni、Zniを、それぞれCIEL*a*b*値に変換する。なお、色差算出部16は、記憶部18から観察する光源の分光放射エネルギO(λ)を読み出し、この読み出した分光放射エネルギO(λ)に対して分光反射率「1.0」を乗ずることによって、CIEL*a*b*値に変換する際に必要となる完全拡散反射体の三刺激値を算出する。
色差算出部16は、観察者の各々のCIEL*a*b*値に基づき、CIE2000色差式により、各観察者間における色差ΔE00iを算出し、記憶部18に書き込んで記憶させる。
色差算出部16は、全ての物体色iにおける全ての観察者間の色差ΔE00iの算出が終了したか否かの判定を行う。そして、色差算出部16は、全ての物体色iにおける全ての観察者間の色差ΔE00iの算出が終了した場合、処理をステップS11へ進める。一方、色差算出部16は、全ての物体色iにおける全ての観察者間の色差ΔE00iの算出が終了していない場合、処理をステップS2へ進める。
適合判定部17は、全ての物体色iにおける全ての観察者間の色差ΔE00iを読み出し、色差ΔE00iの平均値DE00aveと、色差ΔE00iの最大値DE00maxとを求める。
そして、適合判定部17は、求めた平均値DE00aveと最大値DE00maxとの各々を(6)式に代入して、評価値Aを算出する。
そして、適合判定部17は、算出した評価値Aが、予め設定されている判別閾値以下か否かの判定を行なう。
適合判定部17は、算出した評価値Aが、予め設定されている判別閾値を超えていると判定した場合、表示装置2が複数の観察者が同一の表示色と視認できる分光特性を有していない表示装置として判別する。
一方、適合判定部17は、算出した評価値Aが、予め設定されている判別閾値以下である場合、表示装置2が複数の観察者が同一の表示色と視認できる分光特性を有している表示装置と判別する。
そして、適合判定部17は、表示装置2が、複数の観察者により色の評価を行なう処理に適合した表示装置であるか否かの判別結果を、判別対象である表示装置2の表示画面に出力し、操作者に対して適合性の結果の通知を行う。
しかしながら、全ての物体色に対する観察者nの各々のCIE三刺激値を求めた後に、この処理を全ての物体色に対して行い、全ての物体色における全ての観察者の三刺激値が求められ後に、観察者毎に全ての観察者間における色差を求め、この色差に基づいて評価値Aを求める構成としても良い。これにより、全ての物体色iにおける全ての観察者間の色差を求めることにより評価値Aが求められる。
しかしながら、複数の観察者の錐体分光感度ln(λ)、mn(λ)及びsn(λ)を用いるのではなく、CIE1931の標準観測者の等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)と、CIE1964の等色関数x10(λ)、y10(λ)、z10(λ)との異なる2個の視野の等色関数を用いて、物体三刺激値Lni、Mni及びSniのそれぞれを求める構成としても良い。
また、CIE1931及びCIE1964の等色関数に換え、CIE170-2における2度視野の等色関数xF(λ)、yF(λ)及びzF(λ)と、10度視野の等色関数xF10(λ)、yF10(λ)及びzF10(λ)との異なる2個の視野の等色関数を用いて、物体三刺激値Lni、Mni及びSniのそれぞれを求める構成としても良い。
この図6に示す実験において、観察者A及び観察者Bの各々は、同一の物体色の色票を見つつ、表示装置の表示画面に表示される表示色が同様に見えるように調整する。
そして、観察者Aが調整した表示装置の表示画面の分光放射エネルギD_Aを測定する。同様に、観察者Bが調整した表示装置の表示画面の分光放射エネルギD_Bを測定する。
この求めた分光放射エネルギD_AとD_Bとに対し、CIEの規定する等色関数を乗算して、観察者A及び観察者Bに対応する三刺激値をそれぞれ求める。この観察者A及び観察者Bに対応する三刺激値に基づいて、物体色毎に色差ΔE00を求めた。
したがって、本実施形態によれば、時間を要する実測を含む実験と同様の結果を、表示装置判別システム1によるシミュレーションにより簡易に行うことができることが判る。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWW(World Wide Web)システムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
2…表示装置
3…物体色のデータ
4…入力装置
11…データ入力部
12…物体分光放射輝度算出部
13…物体三刺激値算出部
14…表示装置等色分光放射輝度算出部
15…CIE三刺激値算出部
16…色差算出部
17…適合判定部
18…記憶部
Claims (9)
- 物体の分光放射輝度である物体分光放射輝度と複数の異なる観察者の各々の等色関数とから、物体の色である物体色の三刺激値である物体三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応させて、異なる等色関数毎にそれぞれ算出する物体三刺激値算出部と、
前記観察者の各々の前記物体三刺激値の前記物体色と等色する表示装置における表示色の分光放射輝度である表示装置等色分光放射輝度を算出する表示装置等色分光放射輝度算出部と、
前記等色関数毎の前記観察者の各々の前記表示装置等色分光放射輝度から、CIE(国際照明委員会)が定めた等色関数によりそれぞれCIE三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応して求めるCIE三刺激値算出部と、
前記CIE三刺激値の各々に基づき、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色間の色差の各々を求める色差算出部と、
前記表示装置に表示される前記表示色が前記観察者の各々に対して同様に知覚されるか否かを評価する評価値を、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色の間の前記色差のそれぞれを用いて求め、前記評価値と閾値を比較することにより前記表示装置が前記観察者の各々に前記表示色を観察させる装置に適合するか否かを判定する適合判定部と
を備えることを特徴とする表示装置判別システム。 - 前記物体の分光反射率と光源の分光放射輝度とから前記物体分光放射輝度を算出する物
体分光放射輝度算出部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置判別システム。 - 前記表示装置等色分光放射輝度算出部が、前記表示装置等色分光放射輝度を算出する際、前記物体三刺激値に対して、誤差が最も小さくなる三刺激値となる前記表示色の分光放射輝度を表示装置等色分光放射輝度として算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置判別システム。 - 前記表示装置等色分光放射輝度算出部が、前記表示装置における原色の分光放射輝度に
所定の係数を乗じて前記表示色の分光放射輝度を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置判別システム。 - 前記表示装置等色分光放射輝度算出部が、前記表示装置のカラーマネージメントプロファイルから前記表示色の分光放射輝度を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置判別システム。 - 前記異なる等色関数が、異なる観察者の錐体分光感度である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示装置判別システム。 - 物体の分光放射輝度である物体分光放射輝度と複数の異なる観察者の各々の等色関数とから、物体の色である物体色の三刺激値である物体三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応させて、異なる等色関数毎にそれぞれ算出する物体三刺激値算出過程と、
表示装置等色分光放射輝度算出部が、前記観察者の各々の前記物体三刺激値の前記物体色と等色する表示装置における表示色の分光放射輝度である表示装置等色分光放射輝度を算出する表示装置等色分光放射輝度算出過程と、
CIE三刺激値算出部が、前記等色関数毎の前記観察者の各々の前記表示装置等色分光放射輝度から、CIE(国際照明委員会)が定めた等色関数によりそれぞれCIE三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応して求めるCIE三刺激値算出部と、
前記CIE三刺激値の各々に基づき、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色間の色差の各々を求める色差算出過程と、
適合判定部が、前記表示装置に表示される前記表示色が前記観察者の各々に対して同様に知覚されるか否かを評価する評価値を、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色の間の前記色差のそれぞれを用いて求め、前記評価値と閾値を比較することにより前記表示装置が前記観察者の各々に前記表示色を観察させる装置に適合するか否かを判定する適合判定過程と
を含むことを特徴とする表示装置判別方法。 - コンピュータを、
物体の分光放射輝度である物体分光放射輝度と複数の異なる観察者の各々の等色関数とから、物体の色である物体色の三刺激値である物体三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応させて、異なる等色関数毎にそれぞれ算出する物体三刺激値算出手段、
前記観察者の各々の前記物体三刺激値の前記物体色と等色する表示装置における表示色の分光放射輝度である表示装置等色分光放射輝度を算出する表示装置等色分光放射輝度算出手段、
前記等色関数毎の前記観察者の各々の前記表示装置等色分光放射輝度から、CIE(国際照明委員会)が定めた等色関数によりそれぞれCIE三刺激値を、前記観察者毎に複数の前記物体色の各々に対応して求めるCIE三刺激値算出手段、
前記CIE三刺激値の各々に基づき、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色間の色差の各々を求める色差算出手段、
前記表示装置に表示される前記表示色が前記観察者の各々に対して同様に知覚されるか否かを評価する評価値を、前記観察者の間における複数の前記物体色に対応する前記表示色の間の前記色差のそれぞれを用いて求め、前記評価値と閾値を比較することにより前記表示装置が前記観察者の各々に前記表示色を観察させる装置に適合するか否かを判定する適合判定手段
として動作させるためのプログラム。
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