[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る飲料製造システム100について、図1~図7を参照して説明する。飲料製造システム100は、牛乳や果汁等に代表される飲料を製造する上で、飲料内の粒子の均一化、飲料内の溶存酸素の除去および飲料の殺菌などを行う。本実施形態においては、主に、脂肪球などの粒子を含む牛乳の製造について説明する。しかし、飲料製造システム100は他の飲料に適用されてもよい。
図1は、飲料製造システム100の機能ブロック図を示す。飲料製造システム100は、主に、飲料を均一化する均一化部110と、飲料内にバブルを生成する超微細気泡生成部120と、飲料内の溶存酸素を脱気する脱気部130とを備える。
また、飲料製造システム100は、飲料を均一化部110に導入する飲料導入部140と、均一化部110および超微細気泡生成部120に気体を導入する気体導入部150と、飲料を外部に取り出す取出部160と、各部に冷却水を供給する冷却部170と、超微細気泡生成部120の後述する貯留部123を加圧する加圧部180と、飲料を外部に排出する排出部190とを備える。
本実施形態において、飲料導入部140は、原乳を導入することができ、気体導入部150は二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを導入することができる。しかし、飲料導入部140は、他の飲料を導入できるようにしてもよく、気体導入部150は、酸素ガス、一酸化窒素ガス、オゾンガス等を導入できてもよく、各種の気体を切り替えて導入できるようにしてもよい。
また、取出部160の下流には、加熱殺菌装置(図示しない)が設けられている。したがって、飲料製造システム100の取出部160から取り出された飲料を、流通前に加熱殺菌することができる。例えば、加熱殺菌装置は、低温保持殺菌法(LTLT法:63℃-30分加熱殺菌する方法)や高温短時間殺菌法(HTST法:72℃~78℃-15秒間程度加熱殺菌する方法)、超高温瞬間殺菌法(UHT法:135℃~150℃-0.5~15秒間加熱殺菌する方法)等による加熱殺菌処理を行うことができる。
飲料製造システム100の各部は、飲料製造システム100を集中管理する制御部101により管理される。制御部101は、外部の制御装置等と連携して、飲料製造システム100を制御してもよい。また、飲料製造システム100の各部は、他の制御装置等により制御されてもよい。
[均一化部]
均一化部110は、いわゆる高圧式バルブ型ホモジナイザとして装置化された(例えば、特開2010-17623号公報を参照)均質化装置である。したがって、均一化部110は、導入された飲料に、いわゆるプランジャポンプにより高圧を作用させ、流路に設けられたホモバルブ(均質バルブ)の微細な間隙より飲料を噴出させる。
その際に、飲料内の粒子が、当該間隙で衝突、剪断されることにより粉砕されて微細化される。これにより、飲料内の粒子のうち粒径の比較的大きなものが微細化されて、分散および均一化する。すなわち、均一化部110は、飲料内の粒子を粉砕して微細化することにより均一化する。
本実施形態において、均一化部110には、飲料導入部140から飲料が導入されると共に、気体導入部150から気体が導入される。本実施形態において、飲料として牛乳(原乳)が導入され、気体として二酸化炭素ガスまたは窒素ガスが導入される。この飲料と気体が気液混合器(図示しない)を介して高圧印加部111に導入され、微細化部119を通過することで、飲料内の粒子または気泡が微細化される。
図2は、飲料製造システム100の均一化部110として機能する高圧式バルブ型ホモジナイザの高圧印加部111を示す概略側断面図である。高圧印加部111は、後述するように、プランジャ112をシリンダブロック113内で進退させることにより、飲料に高圧を作用させることができる。
高圧印加部111は、気体が混合された飲料を導入される導入路114と、導入路114に接続されたディスチャージバルブ115と、ディスチャージバルブ115の下流に設けられた加圧空間116と、加圧空間116内を進退可能で往復運動するプランジャ112と、加圧空間116の下流に設けられたサンクションバルブ117と、サンクションバルブ117に接続された導出路118とを備える。
本実施形態において、導入路114は紙背方向から飲料を導入する。また、導出路118は紙面方向に飲料を導出する。さらに、ディスチャージバルブ115およびサンクションバルブ117は導入路114から導出路118に向けた流れ(図2における下方から上方に向けた流れ)のみを許容する逆止弁として機能する。また、プランジャ112は、シリンダブロック113に設けられた加圧空間116内を往復運動(図2における矢印の方向)可能に駆動させる駆動機構(図示しない)に結合されている。駆動機構は、カムとモータ等から構成される。
導入路114からディスチャージバルブ115を介して加圧空間116に飲料が導入された状態で、プランジャ112が加圧空間116内を前進運動することにより加圧空間116が加圧される。加圧された飲料は、サンクションバルブ117を介して導出路118に、高圧を作用された状態で導出される。このとき、ディスチャージバルブ115は逆止弁の機能により加圧された飲料を導入路114に戻すことはない。
一方、プランジャ112が加圧空間116内から後退運動することにより、加圧空間116は減圧される。これにより、再び、ディスチャージバルブ115を介して飲料が導入路114から導入される。このとき、サンクションバルブ117は逆止弁の機能により導出された飲料を加圧空間116に戻すことはない。これにより、高圧印加部111は、高圧が作用した飲料を供給できる。本実施形態において、10MPa~70MPaの高圧が飲料に作用されている。
さらに、プランジャ112は、その先端面が前進時に加圧空間116の内面に当たるように設計され、さらに、プランジャ112の先端面には微細な突起が設けられている(図示しない)。そのようにすれば、プランジャ112先端面が収容空間の内面に当たるときに微細な空間が形成され、その空間内において粒子や気泡が微細化される。
図3は、飲料製造システム100の均一化部110として機能する高圧式バルブ型ホモジナイザの微細化部119を示す概略側断面図である。均一化部110において、高圧印加部111の導出路118から導出された飲料は、高圧が作用された状態で微細化部119に供給される(図3における矢印の方向)。
なお、複数の高圧印加部111を並列に接続し、プランジャ112の往復運動のタイミングを調整することで、微細化部119に供給する飲料の圧力を一定に保持することもできる。なお、微細化部は、バルブ型であるが、飲料内の粒子および気泡を微細化できれば、他の構成であってもよい。
微細化部119は、高圧を作用された状態で供給された飲料が均質バルブ119aを通過する。均質バルブ119は、微細な間隙119bが設けられており、この微細な間隙を通過する際に、粒子や気泡が衝突、剪断されて微細化して均一化する。この間隙を調整することにより、粒子や気泡を所望の粒径に調整することができる。一般に、均質バルブを通過した粒子および気泡は、1μm前後のサイズに微細化される。しかし、気泡は、数μm~数十μmのマイクロオーダーに微細化されてもよい。
本実施形態において、均一化部110は、高圧印加部111と微細化部119とを備える高圧式バルブ型ホモジナイザであるが、飲料内の粒子を微細化、均一化できれば、他の構成であってもよい。例えば、超音波式、撹拌式等の他の方式でもよく、バルブ型に限らずノズル型等の他の型式であってもよい。本実施形態にかかる均一化部110は、50MPa程度の圧力を飲料に作用させる。均一化部110は、一体的な1つの装置であってもよいし、分離されていくつかの別々の要素から構築されてもよい。
[超微細気泡生成部]
再び図1を参照するに、超微細気泡生成部120は、微細化された気泡を含有するバブル含有飲料を均一化部110から導入され、微細気泡をさらに粒径の小さい超微細気泡に変換し貯留する。
超微細気泡生成部120は、主に、飲料内にバブルを生成し、バブル含有飲料を製造するバブル生成部121と、バブル生成部121から供給されたバブル含有飲料内のバブルを圧壊するバブル圧壊部122と、バブル圧壊部122から供給されたバブル含有飲料を貯留する貯留部123とを備える。バブル生成部121と、バブル圧壊部122と、貯留部123とは、相互に接続されており、バブル含有飲料を循環させる第1の循環経路103(ループ)を形成している。
超微細気泡生成部120は、後述するように気体導入部150から飲料に気体を導入し、バブル生成部121において微細気泡を生成すると共に、貯留部123を介して均一化部110から供給されたバブル含有飲料の微細気泡をさらに微細化する。これにより、十分に微細化された微細気泡を含有するバブル含有飲料がバブル圧壊部122に供給される。バブル圧壊部122は、十分に微細化された気泡を含有するバブル含有飲料が供給されるため、さらに粒径の小さい超微細気泡を効率的に生成できる。
バブル生成部121は、飲料および気体を混合させる気液混合器124と、気液混合器124により気体が混合された気泡含有飲料を供給され、微細気泡含を生成するバブル生成器125と、気液混合器124から気泡含有飲料をバブル生成器125に供給するためのポンプ126とを備える(例えば、特開2015-186781号公報を参照)。
気液混合器124は、ポンプ126の上流側に設けられており、後述する貯留部123に接続され、また気体導入部150に逆止弁(図示しない)を介して接続されている。気液混合器124は、循環経路103に組み込まれ、均一化部110から一旦貯留部123に供給された飲料、または貯留部123に貯留されたバブル含有飲料を供給される。気液混合器124では、ポンプ126の吸引力を利用して飲料と同時に気体が吸引され、気体は気泡となって飲料に含有される。したがって、バブル生成部121では、ポンプ126から気泡を含有した飲料がバブル生成器125に供給される。
図4は、超微細気泡生成部120のバブル生成器125の概略断面図である。バブル生成器125は、気液混合器124から供給される気泡含有液を旋回させながら圧壊させる旋回圧壊部1251と、圧壊された微細気泡を含有するバブル含有液を一定時間滞留させる畜養部1252と、一定時間滞留された後のバブル含有液を高濃度に発泡させる発泡部1253と、高濃度に発泡したバブル含有液を減圧する減圧部1254とを備える。
旋回圧壊部1251は、配管1251aと、配管1251aに挿入して固定される軸状部材1251bと、軸状部材1251bに固定して取り付けられた第1および第2の鍔状部材1251c、1251dとを備える。配管1251aは、円柱状の収容空間を有し、軸状部材1251bは、円盤部材1251eを介して配管1251aの一方側に取り付けて固定され、収容空間内の中央を配管1251aの延在方向に延びる。
第1の鍔状部材1251cは、配管1251aの断面と略同一径の円盤形状に形成され、第2の鍔状部材1251dは、第1の鍔状部材1251cよりも小さい径の円盤形状に形成されている。第1の鍔状部材1251cおよび円盤部材1251eにはバブル含有液を通過させる貫通孔1251fが形成されている。
旋回圧壊部1251は、気液混合器124から気泡含有液を導入され(矢印f1)、内部で気泡含有液を旋回しながら加速および撹拌して(矢印f2およびf3)、畜養部1252に導出する(矢印f4)。このとき、第1の鍔状部材1251cの貫通孔1251fでは、バブルが剪断圧壊されるとともに、バブル含有液が上流側では加圧され、下流側では減圧される(矢印f3)。
これにより、バブル含有液のバブル濃度が向上する。また、第2の鍔状部材1251dの側周では、バブル含有液が旋回するとともに、撹拌されて気体と液体を混合する(矢印f2)。このように、旋回圧壊部1251は、従来よく知られるスタティックミキサー式のマイクロバブル発生装置として機能する。
畜養部1252は、旋回圧壊部1251の一部を挿入される管状部材から形成され、旋回圧壊部1251を通過することによりバブル濃度の向上したバブル含有液を導入されて(矢印f4)一定時間滞留させ、その後に発泡部1253にバブル含有液を導出する(矢印f5)。これにより、バブル含有液内のバブルの保有電荷量、ゼータ電位を均一とすることができる。したがって、畜養部1252では、バブル含有液のバブルの粒径を揃えることができる。
また、畜養部1252は、畜養加圧器(図示しない)に接続されており、畜養部1252内を所定の圧力に加圧することができる。これにより、余剰気体による加圧圧縮効果を活用して、畜養部1252内の圧力を一定圧力に高めることで、バブル濃度を向上させる機能を有する。なお、図2において、畜養部1252にドレイン配管1256を示すが、通常時は閉鎖され、装置の停止時に管内の残留液を排出したり、蒸気滅菌等に利用される。
発泡部1253は、3つの配管を備え、円柱状の通路部1253aと下流ほど径の広い切頭円錐状の通路部1253bとを形成される。各配管の境界には、中央にスリット孔1253cを設けられたスリット板1253dが設けられている。バブル含有液は、畜養部1252から発泡部1253に導入され(矢印f5)、上流側のスリット板1253dの中央に形成されたスリット孔1253cを通って(矢印f6)、さらに下流側のスリット板1253dの中央に形成されたスリット孔1253cを通って円柱状の通路部1253aを通過する。この2つのスリット孔1253cを通過することにより、バブル含有液は、上流側から2つ目の配管内の円柱状の通路部で乱流を生じながら(f7)再加圧される。
さらに、再加圧されたバブル含有液は、切頭円錐状の通路部1253bに流れ込み、切頭円錐状の通路部のテーパに沿って拡散するように流れることにより(矢印f8)、減圧されてバブル含有液の濃度が向上する。
減圧部1254は、管状部材から形成され、切頭円錐形状の拡散空間1254aと、円柱状の滞留空間1254bと、円柱状の導出空間1254cとを備える。バブル含有液は、拡散空間1254aにて拡散して流れ(矢印f9)、減圧されることにより発泡して高濃度化する。
また、バブル含有液は、滞留空間1254bにて一時滞留して、バブル含有液内のバブルの保有電荷量、ゼータ電位を均一とする。これにより、バブル含有液のバブルの粒径を揃えることができる。そして、導出空間1254cを経てバブル生成器125から導出される(矢印f10)。
バブル生成部121では、気液混合器124から供給された気泡含有液がバブル生成器125の旋回圧壊部1251、畜養部1252、発泡部1253および減圧部1254を経ることで、気泡含有液の気泡から第1のバブルが生成される。これにより、バブル生成部121は、第1のバブルを含有する第1のバブル含有液をバブル圧壊部122に供給することができる。
本実施の形態に係る飲料製造システム100のバブル生成部121は、旋回圧壊、畜養、発泡(加圧減圧)および減圧の機能を有し、低揚程能力のポンプであるエア式ベローズポンプや同式ダイヤフラムポンプでも微細均一化高濃度マイクロバブルを生成することが可能となり、しかも、マグネットポンプや軸流ポンプでも更なる濃度向上が可能となる。このため、これらの機能により、ポンプ126の種類を選ばないバブル発生装置が可能となる。
また、バブル生成器125の配管および管状部材は、ステンレスを材料に製造され、各継手部はフェルール構造を採用し、サニタリークランプ(図示なし)にて固定する。これにより、バブル生成器125は、組み立て容易でありながら、サニタリー性を確保し、かつ蒸気殺菌のような定置滅菌(SIP:Sterilization in Place)を可能としている。したがって、バブル含有液を構成する液体に飲料等を用いた場合であっても、衛生的に優れた機能を発揮する。
バブル生成部121は、バブル圧壊部122で圧壊される第1のバブルを生成できれば、他の構成であってもよい。例えば、従来よく知られる旋回流方式のバブル生成装置(特開2006-117365号公報を参照)、加圧剪断方式のバブル生成装置(特開2006-272232号公報を参照)等をバブル生成器125として利用することができる。しかし、均一な粒径を有するバブルをバブル圧壊部122に供給するためには、本実施の形態に係るバブル生成器125を用いることが望ましい。
図5は、超微細気泡生成部120のバブル圧壊部122の概略図を示し、(A)はバブル圧壊部122の側面図を示し、(B)はバブル圧壊部122の正面図を示す。バブル圧壊部122は、バブル生成部121のバブル生成器125に接続され、バブル生成部121で製造されたバブル含有飲料を通過させる通路122aと、通路122aの周囲を覆う外装体122bとを備え、通路122aと外装体122bとから中間空間122cを有する二層構造とされている。バブル圧壊部122は、通路122aが水平方向に延びるように配置されている。
外装体122bには、複数の超音波振動子122dが設けられており、各超音波振動子122dは、通路122aに向けて超音波を照射する。通路122aと外装体122bとの間の中間空間122cには伝搬液が充填され、超音波振動子122dから照射された超音波は、伝搬液を介して通路122aの内部に伝搬され、通路122aの内側を流れるバブル含有飲料のバブルを超音波圧壊する。
伝搬液は、冷却部170から供給される冷却水であり、外装体122bに設けられた伝搬液導入口122hから中間空間122cに導入され、伝搬液導出口122iから導出される。バブル圧壊部122は、超音波振動子の超音波照射により、通過するバブル含有飲料が加熱される。しかし、伝搬液がバブル圧壊部122を冷却する作用も有し、冷却液の流量により、バブル圧壊部を通過するバブル含有飲料の温度を調整できる。
通路122aは、PFA(ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂管やPVC(ポリ塩化ビニル)管等を材料としたパイプから形成されている。これにより、通路122aは、円形の断面を有し同一径で円柱状に延び、均一な流路を形成している。通路122aはバブル生成部121と貯留部123とに介在するように接続されており、バブル生成部121から供給されたバブル含有飲料は、通路122aの内側に充満した状態で貯留部123まで流される。
外装体122bは、ステンレスを材料とし、正六角形の断面を有する六角柱状に延びる側周部材122eと、側周部材122eを延在方向の両側から挟む円板状の一対の平面部材122fとからなる。両平面部材122fは、中央に通路122aをはめ込まれて、側周部材122eの六角形の中心軸上に通路122aが延びるように通路122aを固定している。これにより、通路122aの外側と外装体122bの側周部材122eには中間空間122cが形成され、通路122aの外周と、六角形の側周部材122eの各面は、それぞれ同様の中間空間を形成している。
外装体122bは、六角柱の各面に超音波振動子122dを取り付けられている。超音波振動子122dは、通路122aの延在方向に2段に分けて設けられており、バブル生成部121側を前段の超音波振動子群、貯留部123側を後段の超音波振動子群としている。各段の超音波振動子群は、通路122aの中心軸から放射状に設けられた6つの超音波振動子122dからなる。
対向する2つの超音波振動子122dが一対の発振子対となり、6つの超音波振動子122dは3対の発振子対となっている。各超音波振動子は、周波数および出力を制御部101により調整可能とされている。本実施形態において、12個の超音波振動子122dは、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
これら6つの超音波振動子122dは、それぞれが、通路122aの中央の一点に向けて超音波を照射している。したがって、各超音波振動子122dは、それぞれ異なる位置から径方向の異なる方向に向けて、かつ通路の中心に向かうように径方向の内側に向けて超音波を照射する。
これにより、通路122aを流れるバブル含有飲料が超音波により流れを阻害されることが抑止される。特に各一対の発振子対は、対向する位置から対向する方向に向けて超音波を発振している。これにより、通路122aの中央から超音波圧壊場が形成され、通路122aを通過するバブル含有飲料が圧壊されて、粒径の均一な超微細気泡が生成される。
バブル圧壊部122では、複数の方向から超音波が照射され、超音波の集中する場所に超音波圧壊場が形成される。したがって、本実施形態において、各超音波振動子群が、それぞれ、通路122a内に超音波圧壊場を形成する。前段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場で微細気泡の全てが圧壊されなかったとしても、後段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場が残りの微細気泡を圧壊するため、本実施形態に係るバブル圧壊部122では、確実に微細気泡を圧壊し、均一な超微細気泡を生成できる。本実施形態において、バブル圧壊部122は、超微細気泡として、いわゆるウルトラファインバブルを生成する。
本実施形態において、バブル圧壊部122の通路122aは、PFA(ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂管やPVC(ポリ塩化ビニル)管等を材料としたパイプから形成されているが、他の樹脂を材料としていてもよいし、衛生面で問題のない金属を材料としてもよい。また、バブル圧壊部122は、通路122aと外装体122bとからなる二層構造とされているが、超音波を照射してバブルを圧壊できれば他の構成であってもよい。例えば、飲料を通過させても衛生面で問題のないステンレスのような金属を材料に単層構造の筒状部材を形成し、当該筒状部材の周囲に直接超音波振動子を配置し、筒状部材の内部に飲料を通過させるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係るバブル圧壊部122は、超音波圧壊場を形成し、飲料内の微細気泡を圧壊して超微細気泡に変換する。超音波圧壊場は、連続的に超音波を照射されて形成されており、超音波圧壊場には紫外線が発生する。これにより、超音波圧壊場を通過する飲料は、紫外線による殺菌効果を得られる。
さらに、バブル圧壊部122では、超音波圧壊場を形成する超音波が飲料に照射されることにより、液中でキャビテーションにより無数の真空気泡が生じる。この真空気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、超高温高圧の反応場が形成される。この反応場では、真空気泡が破裂することにより細菌の細胞壁を破壊し、一般生菌やレジオネラ菌、大腸菌等を殺菌する殺菌効果を得られる。
図6は、超微細気泡生成部120の貯留部123の概略図を示し、(A)は貯留部123の平面図を示し、(B)は貯留部123の正面図を示し、(C)は貯留部123の側面図を示し、(D)は貯留部123の底面図を示す。
貯留部123は、図6に示すように、主に、円柱状のタンク容器123aと、タンク容器123aを覆う外装容器123bとからなる。タンク容器123aは、バブル含有飲料を貯留するための所定量の容積を有する貯留空間123cを形成する。また、タンク容器123aと外装容器123bとの間には、冷却部170から冷却水が供給される冷却空間123dが形成される。
貯留部123は、さらに、均一化部110に接続される原液導入口123eと、バブル圧壊部122に接続されるバブル含有飲料導入口123fと、循環経路103に接続される再帰導出口123gと、取出部160に接続されるバブル含有飲料導出口123hと、排出部190に接続される排出口123iと、加圧部180に接続される加圧口123jと、大気解放用の減圧口123kとを備え、これらがタンク容器123aに設けられている。
なお、再帰導出口123gは、切り替えバルブ(図示なし)を介して、循環経路103に接続するとともに、脱気部130にも接続されている。また、原液導入口123eは、切り替えバルブ(図示なし)を介して、均一化部110に接続されるとともに、脱気部130にも接続されている。制御部101は、切り替えバルブを制御することにより、飲料の流れを制御することができる。したがって、飲料は、循環経路103または循環経路105のいずれの経路で循環するかを切り替えることができる。
原液導入口123eは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123aの上面からタンク容器123a内まで連通し、飲料導入140から原液をタンク容器123aの頂面位置に供給する。これにより、貯留空間123cの頂部から原液が供給される。また、加圧口123jは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123aの上面からタンク容器123a内まで連通し、コンプレッサーのような加圧部180から高圧で気体を供給されて、タンク容器123aの貯留空間123c内が加圧される。
バブル含有飲料導入口123fは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123aの上面から、タンク容器123a内の底面部から1/2の高さ位置まで延在し、タンク容器123aの上側からバブル含有飲料を供給する。バブル含有飲料は、粒径の小さい気泡ほど下方に拡散する傾向がある。
したがって、本実施形態において、タンク容器123aの底部には、ナノオーダーの粒径を有する、いわゆるウルトラファインバブルの存在が支配的なNB領域が形成され、その上側には、ウルトラファインバブルとファインバブルが混在するMN領域が形成され、さらにその上側にはファインバブルの存在が支配的なMB領域が形成される。各領域は、液体の貯留量や装置の動作状況によりタンク容器123a内の位置が変動する。
バブル含有飲料導入口123fのパイプは、L字形状に折り曲げられており、水平方向にバブル含有飲料を吐出する。これにより、バブル含有飲料は、水平方向に吐出圧を受け、貯留空間123c内で撹拌される。しかし、バブル含有飲料は上下方向に吐出圧を受けることがないため、粒径の小さいバブルが貯留空間の下方で高濃度化することを妨げない。
再帰導出口123gは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123aの底部から、タンク容器123a内の底部から1/4の高さ位置まで延在し、タンク容器123aの底部から1/4の高さ位置のバブル含有飲料を循環経路103に導出し、バブル含有飲料をバブル生成部121に再帰させる。
再帰導出口123gのパイプは、L字形状に折り曲げられており、水平方向にバブル含有飲料を吸引する。これにより、バブル含有飲料は、水平方向に吸引圧を受け、貯留空間123c内で撹拌される。しかし、バブル含有飲料は上下方向に吸引圧を受けることがないため、粒径の小さいバブルが貯留空間の下方で高濃度化することを妨げない。
バブル含有飲料導出口123hは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123aの底部からタンク容器123aの下面まで連通し、バブル含有飲料をタンク容器123aの底から取り出す。バブル含有飲料導出口123hは、減圧バルブ(図示しない)を介して取出部160に接続されている。
これにより、貯留空間123c内で加圧されたバブル含有飲料が、減圧バルブを介して、減圧されながら取出部160に導出されるため、高濃度化されたバブル含有飲料を取り出すことができる。取出部160はバブル含有飲料導出部として機能する。また、減圧バルブは、従来よく知られる直動式減圧弁、パイロット作動形式減圧弁等の減圧弁を利用できる。
排出口123iは、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器123a内の底面からタンク容器123a外の下段まで延在し、バブル含有飲料をタンク容器123aの底から排出する。
さらに、貯留部123には、複数の水位センサが設けられており、制御部101が貯留部123内のバブル含有飲料の貯留量を管理することができる。さらに、貯留部123には、圧力を測定する圧力トランスミッター(図示しない)が設けられている。圧力トランスミッターは、タンク容器123aに設けられ、電気的に制御部101に接続され、貯留空間123cの圧力を測定することができる。
減圧口123kは、ベントフィルター(図示なし)を介して、大気に連通可能とされている。ベントフィルターは、電気的に制御部101に接続され、貯留空間123cからの通気路を確保しながら、貯留空間123c内の圧力調整を可能とする。
本実施形態において、タンク容器123aは、SUS316LやSUS304等のステンレス材料が使用される。しかし、タンク容器123aは、他のステンレスのような金属または、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂、石英等を材料としてもよい。
タンク容器123aは、樹脂材料の場合には上部を樹脂溶接や接着などで完全密閉構造とされ、金属材料や樹脂材料においてはフランジ構造が採用される場合もある。石英を材料とする場合には、PTFE、バイトン等のシール材を介して密閉構造とされる場合もある。
貯留部123が密閉構造となることにより、貯留空間123cは大気から隔離され、貯留空間123cを加圧部180により加圧することが可能になる。また、ベントフィルターにより、加圧された貯留空間123cの圧力調整も可能となる。貯留空間123cの圧力は、制御部101が、圧力トランスミッターにより貯留空間123c内の圧力を測定し、加圧部180とベントフィルターにより、所定の値に調整される。
本実施形態において、加圧部180は、0.6MPa程度まで貯留空間123cを加圧することができる。さらに、制御部101は、冷却部170から冷却空間123dに供給される冷却水の量を管理し、貯留空間123cに貯留されたバブル含有飲料の温度を調整できる。
本実施形態に係る超微細気泡生成部120は、バブル圧壊部122とバブル生成部121とから構成されるバブル含有飲料供給部と貯留部123とが分離されている。これにより、バブル含有飲料供給部は貯留部123の容量に影響を受けずに、粒径の均一なバブル含有飲料を一定量連続して供給し、バブル含有飲料は貯留部123において貯留されるので、貯留部123でバブルが凝集することが抑止される。
[脱気部]
図7は、脱気部130を構成する脱気装置の概略図であり、(A)はインデューサ型の脱気装置130Aの一部側断面概略図で、(B)は脱気装置130Aの変形例である他のインデューサ型の脱気装置130Bを示す一部側断面概略図である。脱気部130は、循環経路105に組み込まれており、貯留部123から飲料を導入され、当該飲料を脱気した後に、再び貯留部123に再帰させる。すなわち、脱気部130は、貯留部123に貯留された飲料を循環させる循環経路105内に組み込まれて接続されている。
脱気装置130Aは、略円筒状の空間を形成するケーシング131Aと、ケーシング131Aの空間内の中央を軸方向に伸びる回転軸部材132Aと、回転軸部材に設けられた分離羽根車133A、インデューサ134A、主羽根車135Aとを備える。ケーシング131Aは、ケーシング131A内に液体を流入させる流入路136Aと、ケーシング131Aから液体を流出させる流出路137Aと、ケーシング131Aから気体を排出する排出路138Aとを備える。回転軸部材132Aは、モータ139に接続されており、回転可能である。
脱気装置130Aは、循環経路105に組み込まれて接続されており、流入路136Aは貯留部123の再帰導出口123gに接続され、流出路137Aは貯留部123の原液導入口123eに接続されている。また、排出路138Aは、真空ポンプ(図示しない)に接続されている。また、分離羽根車133A、インデューサ134A、主羽根車135Aは、それぞれ、回転軸部材132Aに取り付けられた所定形状の羽根部材が所定枚数設けられることにより形成されており、回転軸部材132Aが回転することにより、液体と機体を遠心力により分離する羽根車として機能する。
貯留部123に貯留された飲料は、後述する脱気工程において、まず、回転軸部材132Aが回転した状態で、循環経路105を介して脱気装置130Aの流入路136Aに流入する。ここで流入路136Aは絞り構造となっており、流入する飲料を一度絞込んだ後に開放する。これにより、ケーシング131A内に流入した飲料は、減圧されて、飲料中に溶存する気体が減圧作用により析出し、気液混合体となってインデューサ134Aに導かれる。
インデューサ134Aに導かれた気液混合体は、回転軸部材132Aの回転によるインデューサ134Aの羽根車の機能で、液体成分がケーシング131A内の外周側に押し付けられ、一方で、気体成分がケーシング131A内の中央側(回転軸部材132A側)に集積されて、液体成分と気体成分に分離される。さらに、ケーシング131A内は、前記した真空ポンプにより減圧されているため、液体と気体との境界部では、液体中に残る気体が気泡として析出して分離される。
気体成分を分離された液体は、主羽根車135Aに導かれ主羽根車135Aの回転により、さらに外側方向の力を受け、ケーシング131Aの外側に設けられた流出路137Aに向けた流路を形成する。一方で、液体から分離された気体は、真空ポンプの吸引により排出路138Aに向けた流路を形成する。
このとき、一部の液体が真空ポンプの吸引力により真空ポンプ側に引き寄せられるが、分離羽根車133Aの羽根車の機能により、ケーシング131Aの外側に退避される。退避された液体は、ケーシング131Aの外側を通じてインデューサ134Aの方向に再び導かれる。
このように、脱気装置130Aでは、流入路136Aから流入した飲料が液体成分と気体成分に分離され、気体は排出路138Aから排出され、気体成分を分離された飲料が流出路137Aから取り出される。これにより、脱気装置130Aは、飲料を脱気することができる。
なお、図7(B)に示す脱気装置130Bは、脱気装置130Aの変形例である。脱気装置130Bは、脱気装置130Aと同様に、流入路136B、流出路137B、排出路138Bを設けられたケーシング131Bを備える。また、脱気装置130Bは、ケーシング131B内には、回転軸部材132Bと、回転軸部材132Bに設けられた羽根車133Bとを備える。
羽根車133Bは、形状等が脱気装置130Aの羽根車とは異なり、脱気装置130Aのように、羽根車が分離羽根車、インデューサ、主羽根車のように明確に分けられていない。しかし、羽根車133Bは、回転軸部材132の回転による羽根車133Bの遠心分離機能により液体と気体を分離することができる。これにより、脱気装置130Bは、脱気装置130Aと同様に、飲料を脱気することができる。
脱気部130は、脱気装置130Aまたは脱気装置130Bのように、ケーシング内で回転する回転軸部材に取り付けられた羽根車の遠心力によって気体と飲料とを分離することができる、いわゆるインデューサ型の気液分離装置(脱気装置)である(例えば、特表2004/058380号公報を参照)。このような羽根車式の脱気装置は、連続的に脱気が可能となるため、加熱や減圧による脱気装置のようなバッチ処理が不要となる。また、他の遠心分離式の装置のように圧力環境による問題も解決される。
したがって、本実施形態に係る超微細気泡生成部120のように、飲料の圧力調整が可能で連続的な処理が必要とされる装置と連携することに適している。しかし、脱気部130は、飲料に含まれる気体、特に溶存酸素を脱気できれば、他の加圧式装置、減圧式装置、遠心分離式装置のような他の装置であってもよい。脱気装置は、飲料液中に溶存する気体や気泡を脱気する脱気部として機能する。また、脱気部130は、脱泡部としても作用する。
第1の実施形態に係る飲料製造システム100において、飲料導入部140は、均一化部110を介して、貯留部123に接続されている。気体導入部150は、均一化部110およびバブル生成部121に接続されている。貯留部123は、循環経路103に組み込まれ、バブル生成部121に接続され、バブル生成部121は、バブル圧壊部122に接続され、バブル圧壊部122は、貯留部123に接続されている。すなわち、循環経路103は、飲料導入部140から導入された飲料が、貯留部123に導入され、バブル生成部121、およびバブル圧壊部122を介して再び貯留部123に再帰するように形成されている。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る飲料製造システム200について図8を用いて説明する。図8は、飲料製造システム200の機能ブロック図を示す。第2の実施形態に係る飲料製造システム200は、主に、飲料を均一化する均一化部210と、バブル含有飲料を製造するバブル生成部221と、バブル含有飲料のバブルを圧壊するバブル圧壊部222と、バブル含有飲料を貯留する貯留部223と、飲料を脱気する脱気部230とを備える。バブル生成部221、バブル圧壊部222および貯留部223は、超微細気泡生成部を構成する。
ここで、超微細気泡生成部は、第1の実施形態の超微細気泡生成部120のように、バブル生成部221、バブル圧壊部222、貯留部223等が一体的に装置化されたものであってもよいし、飲料に超微細気泡を生成可能であれば、バブル生成部221、バブル圧壊部222、貯留部223等が飲料製造システム200中に別々に設けられ装置化されていなくてもよい。
同様に、均一化部210は、飲料内の粒子を分散して均一化する機能を有すれば、一体的に装置化されていてもよいし、装置化されていなくてもよい。すなわち飲料製造システム200の各部は、所定の機能を有すれば、一体的に装置化されていてよいし、装置化されていなくてもよい。
また、飲料製造システム200は、飲料を貯留部223に導入する飲料導入部240と、気体をバブル生成部221に導入する気体導入部250と、飲料を貯留部223から外部に取り出す取出部260と、所定の各部に冷却水を供給する冷却部270と、貯留部223を加圧する加圧部280と、飲料を貯留部223から外部に排出する排出部290とを備える。
本実施形態において、飲料導入部240は、原乳を導入することができ、気体導入部250は二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを導入することができる。しかし、導入される飲料および気体は他のものであってもよい。また、各部は、飲料製造システム200を集中管理する制御部201により管理される。制御部201は、外部の制御装置と連携して、飲料の製造システムを制御してもよい。
第2の実施形態に係る飲料製造システム200は、第1の実施形態に係る飲料製造システム100と比較して、各部の構成は同様であるが、各部の接続関係が異なる。したがって、本実施形態における説明では、他の実施形態と同様の部分は説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
飲料製造システム200において、飲料導入部240は、均一化部210を介さず、貯留部223に接続され、気体導入部250は、均一化部210には接続されず、バブル生成部221にのみに接続されている。さらに、均一化部210は、バブル圧壊部222の後段に設けられている。
また、脱気部230は、独自の循環経路を設けられず、均一化部210と貯留部223の間に設けられ、貯留部223に貯留された飲料を循環させる循環経路203に組み込まれて接続されている。すなわち、循環経路203は、貯留部223に貯留された飲料が、バブル生成部221、バブル圧壊部222、均一化部210および脱気部230を介して再び貯留部223に再帰するように、形成されている。
第1および第2の実施形態において、飲料製造システムは、種々の構成を備えるが、少なくとも脱気部と超微細気泡生成部を備えていれば、飲料の溶存酸素を窒素置換することができる。また、超微細気泡生成部は、超音波圧壊に限らず、他の手段により超微細気泡を生成するものであってもよい。
本発明の実施形態に係る飲料製造システムで製造された飲料は、超微細気泡を含有している。超微細気泡は、数ヶ月という長期にわたって飲料内に残存する。したがって、これら実施形態に係る飲料製造システムにより製造された飲料は、飲料内に超微細気泡が残存し、細菌の増殖を抑制し、長期にわたって抗菌作用を得ることができる。
[第1の実施例]
次に、本発明の第1の実施例にかかる飲料製造方法S1について図9を参照して説明する。図9は、飲料製造方法S1のフロー図を示す。飲料製造方法S1では、飲料製造システム100を利用して飲料が製造される。
飲料製造方法S1は、飲料製造システム100に飲料を供給する飲料供給工程を含む。具体的には、飲料導入部140を介して飲料製造システム100に飲料の原液が供給される(S1-1)。飲料製造システム100に導入された飲料は、均一化部110を介して貯留部123に一旦貯留される。均一化部110では、飲料内の粒子が微細化されて均一化される。このとき、均一化部110では、飲料とともに気体導入部150から二酸化炭素ガスが気泡として導入されて、粒子とともに微細化され、二酸化炭素による微細気泡を含有するバブル含有飲料として貯留部123に供給されてもよい。
次に、飲料製造方法S1は飲料を脱気する第1の脱気工程を含む。具体的には、貯留部123に貯留された飲料が、脱気部130を組み込まれた循環経路105を循環され、脱気部130で脱気される(S1-2)。この工程では、主に、飲料から酸素を脱気し、飲料の溶存酸素濃度を低下させる。溶存酸素濃度は、循環経路を循環させる時間により調整することができる。
次に、飲料製造方法S1は、二酸化炭素ガスによる超微細気泡を生成する二酸化炭素バブル生成工程を含む。具体的には、貯留部123に貯留された飲料が、バブル生成部121およびバブル圧壊部122を組み込まれた循環経路103を循環され、超微細気泡が生成される(S1-3)。この工程では、バブル生成部121に飲料が供給されるとともに気体導入部150から二酸化炭素ガスが導入され、二酸化炭素ガスによる微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。このとき、第1の脱気工程で飲料の溶存酸素濃度が低下しており、二酸化炭素ガスは飲料に容易に溶解する。
さらに、二酸化炭素バブル生成工程では、当該バブル含有飲料は、バブル生成部121からバブル圧壊部122に供給される。バブル圧壊部122では、通過する飲料に超音波が照射され、二酸化炭素ガスによる微細気泡が超微細気泡に変換されることにより、超微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。そしてバブル圧壊部122を通過したバブル含有飲料は貯留部123に再帰する。
次に、飲料製造方法S1は、飲料を脱気する第2の脱気工程を含む。具体的には、貯留部123に貯留されたバブル含有飲料が、脱気部130を組み込まれた循環経路105を循環され、脱気部130で脱気される(S1-4)。この工程では、主に、飲料から二酸化炭素ガスを脱気し、飲料中の二酸化炭素濃度を低下させる。二酸化炭素濃度は、循環経路105を循環させる時間により調整することができる。
次に、飲料製造方法S1は、窒素ガスによる超微細気泡を生成する窒素バブル生成工程を含む。具体的には、脱気され、貯留部123に貯留された飲料が、バブル生成部121およびバブル圧壊部122を組み込まれた循環経路103を循環され、超微細気泡が生成される(S1-5)。
この工程では、バブル生成部121に飲料が供給されるとともに気体導入部150から窒素ガスが導入され、窒素ガスによる微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。このとき、第2の脱気工程で飲料の二酸化炭素濃度が低下しており、窒素ガスは飲料に容易に溶解する。
さらに、当該バブル含有飲料は、バブル生成部121からバブル圧壊部122に供給される。バブル圧壊部122では、通過する飲料に超音波が照射され、窒素ガスによる微細気泡が超微細気泡に変換されることにより、超微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。そしてバブル圧壊部122を通過したバブル含有飲料は貯留部123に再帰する。
次に、飲料製造方法S1は、バブル含有飲料を貯留する貯留工程を含む。具体的には、バブル圧壊部122を通過し、超微細気泡を含有するバブル含有飲料が貯留部123に貯留される(S1-6)。
次に、飲料製造方法S1は、飲料を加熱する加熱殺菌工程を含む。具体的には、貯留部123に貯留されたバブル含有飲料が取出部160から取り出され、従来よく知られる加熱殺菌法により殺菌される(S1-7)。殺菌された飲料は、容器に充填され、市場に流通する。なお、飲料の二酸化炭素成分は、脱気部130の作用と、窒素バブルによる超微細気泡への置換とによって、加熱殺菌工程の前に、飲料からほぼ完全に排除される。
次に、本発明の第2の実施例にかかる飲料製造方法S2について図10を参照して説明する。図10は、飲料製造方法S2のフロー図を示す。飲料製造方法S2では、飲料製造システム200を利用して飲料が製造される。
飲料製造方法S2は、飲料製造システム200に飲料を供給する飲料供給工程を含む。具体的には、飲料導入部240を介して飲料製造システム200に飲料の原液が供給される(S2-1)。飲料製造システム200に導入された飲料は、貯留部223に一旦貯留される。
次に、飲料製造方法S2は飲料を脱気する第1の脱気工程を含む。具体的には、貯留部223に貯留された飲料が、脱気部230を組み込まれた循環経路203を循環され、脱気部230で脱気される(S2-2)。この工程では、主に、飲料から酸素を脱気し、飲料の溶存酸素濃度を低下させる。溶存酸素濃度は、循環経路203を循環させる時間により調整することができる。なお、飲料供給工程を行いながら第1の脱気工程が行われてもよい。また、このとき、超微細気泡生成部は動作せず、飲料を通過させる通路としてのみ機能する。
次に、飲料製造方法S2は、二酸化炭素ガスによる超微細気泡を生成する二酸化炭素バブル生成工程を含む。具体的には、貯留部223に貯留された飲料が、バブル生成部221およびバブル圧壊部222を組み込まれた循環経路203を循環され、超微細気泡が生成される(S2-3)。この工程では、バブル生成部221に飲料が供給されるとともに気体導入部250から二酸化炭素ガスが導入され、二酸化炭素ガスによる微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。このとき、第1の脱気工程で飲料の溶存酸素濃度が低下しており、二酸化炭素ガスは飲料に容易に溶解する。
さらに、当該バブル含有飲料は、バブル生成部221からバブル圧壊部222に供給される。バブル圧壊部222では、通過する飲料に超音波が照射され、二酸化炭素ガスによる微細気泡が超微細気泡に変換されることにより、超微細気泡を含有するバブル飲料が製造される。そしてバブル圧壊部222を通過したバブル含有飲料は貯留部223に再帰する。なお、このとき、脱気部230は動作せず、飲料を通過させる通路としてのみ機能する。
次に、飲料製造方法S2は飲料を脱気する第2の脱気工程を含む。具体的には、貯留部223に貯留された飲料が、脱気部230を組み込まれた循環経路203を循環され、脱気部230で脱気される(S2-4)。この工程では、主に、飲料から二酸化炭素ガスを脱気し、飲料中の二酸化炭素濃度を低下させる。二酸化炭素濃度は、循環経路105を循環させる時間により調整することができる。また、このとき、超微細気泡生成部は動作せず、飲料を通過させる通路としてのみ機能する。
次に、飲料製造方法S2は、窒素ガスによる超微細気泡を生成する窒素バブル生成工程を含む。具体的には、脱気され、貯留部223に貯留された飲料が、バブル生成部221およびバブル圧壊部222を組み込まれた循環経路203を循環され、超微細気泡が生成される(S2-5)。
この工程では、バブル生成部221に飲料が供給されるとともに気体導入部250から窒素ガスが導入され、窒素ガスによる微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。このとき、第2の脱気工程で飲料の二酸化炭素濃度が低下しており、窒素ガスは飲料に容易に溶解する。
さらに、当該バブル含有飲料は、バブル生成部221からバブル圧壊部222に供給される。バブル圧壊部222では、通過する飲料に超音波が照射され、窒素ガスによる微細気泡が超微細気泡に変換されることにより、超微細気泡を含有するバブル含有飲料が製造される。そしてバブル圧壊部222を通過したバブル含有飲料は貯留部223に再帰する。なお、このとき、脱気部230は動作せず、飲料を通過させる通路としてのみ機能する。
次に、飲料製造方法S2は、バブル含有飲料を貯留する貯留工程を含む。具体的には、バブル圧壊部222を通過し、超微細気泡を含有するバブル含有飲料が貯留部223に貯留される(S2-6)。
次に、飲料製造方法S2は、飲料を加熱する加熱殺菌工程を含む。具体的には、貯留部223に貯留されたバブル含有飲料が取出部260から取り出され、従来よく知られる加熱殺菌法により殺菌される(S2-7)。殺菌された飲料は、容器に充填され、市場に流通する。なお、飲料の二酸化炭素成分は、脱気部230の作用と、窒素バブルによる超微細気泡への置換とによって、加熱殺菌工程の前に、飲料からほぼ完全に排除される。
飲料製造方法S2を行う飲料製造システム200では、循環経路には脱気部230の前段に均一化部210が設けられている。したがって、脱気部230で脱気を行う直前に、飲料に高圧を作用させて均一化を行うことができる。均一化部210では、飲料が高圧を作用され均質バルブの微細な間隙を通過して噴出する際に温度上昇をともなう。
これにより高温の飲料が脱気部230に供給され、均一化部210による均一化工程は加熱工程としても作用する。高温の飲料は、ヘンリーの法則に従い、溶存気体濃度が低下するため、脱気が容易になる。したがって、飲料製造方法S1に比較して、第1または第2の脱気工程における脱気性能が向上する。
飲料製造方法S1、S2では、加熱殺菌工程前の窒素バブル生成工程において窒素置換が行われる。これにより、飲料内の溶存酸素は安定的な窒素に置換されており、後工程において、飲料は、加熱殺菌されても焦げ臭のような風味を損なう反応を抑制される。
上記の実施例において、飲料製造方法S1、S2は、第1の脱気工程と窒素バブル生成工程の間に、二酸化炭素バブル生成工程と第2の脱気工程とを含む。しかし、飲料製造方法は、二酸化炭素バブル生成工程と第2の脱気工程とを含まず、第1の脱気工程の直後に窒素バブル生成工程が行われてもよい。なお、脱気工程とバブル生成工程とは、基本的に同時に行われない。
上記の実施例において、第1の脱気工程および第2の脱気工程は、脱気部130または脱気部230に飲料を通過させることにより脱気を行っている。しかし、脱気工程は、脱気部に飲料を通過させずに、他の手段により行われてもよい。
例えば、貯留部123に貯留された飲料を二酸化炭素ガス、窒素ガス等の所望の気体を供給して加圧することにより、貯留部123内では、ヘンリーの法則に従い、加圧前からの当所の気体と所望の気体の両方が飲料に溶存し、溶存する気体の濃度をいったん上昇する。その後、減圧を行い、飲料中の溶存気体の濃度を低下させる。これにより、当所の気体は、加圧前より溶存量が低下する。
その後、再び所望の気体を供給して加圧を行い、溶存気体濃度を上昇させてから減圧を行う工程を繰り返す。これにより、所望の気体が当初の気体に対して徐々に置換され、当所の気体が脱気された状態となる。加圧および減圧を繰り返す回数を増すことにより、当所の気体が十分に脱気された状態となる。したがって、脱気工程は、貯留部123に所望の供給を供給しながら加圧する加圧ステップと、貯留部123を減圧する減圧ステップとを繰り返すことを含んでもよい。
本実施形態に係る飲料製造システムおよび飲料製造方法において、二酸化炭素ガスによる超微細気泡が飲料に生成される。ここで、二酸化炭素ガスは、水との結合により殺菌効果を有することが知られており、二酸化炭素ガスによる微細気泡または超微細気泡を含有する飲料は加熱殺菌では滅菌が困難な耐熱性菌を殺菌する効果を得ることができる。
また、本実施形態に係る飲料製造システムおよび飲料製造方法において、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスによる超微細気泡が超音波照射により生成される。ここで、液体に超音波が照射されると、キャビテーションバブルと称される気泡が生じ、当該気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、衝撃波が生じて菌の細胞壁を破壊し、殺菌効果を得られることが知られている。これにより、飲料は加熱殺菌では滅菌が困難な耐熱性菌を殺菌する効果を得ることができる。
また、本実施形態に係る飲料製造システムおよび飲料製造方法において、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスによる超微細気泡が超音波照射により生成される。ここで、液体に超音波が照射されると、紫外線発光が生じることが知られており、紫外線による殺菌効果により、飲料は加熱殺菌では滅菌が困難な耐熱性菌を殺菌する効果を有する。
また、本実施形態に係る飲料製造システムおよび飲料製造方法において、飲料に高圧を作用させて均一化が行われる。ここで、圧力の急激な変動は殺菌効果を得られることが知られており、その殺菌効果により飲料は加熱殺菌では滅菌が困難な耐熱性菌を殺菌する効果を有する。
以上のように、本実施形態に係る飲料製造システムおよび飲料製造方法によれば、加熱殺菌以外の殺菌効果により、セレウス菌などに代表される耐熱性菌を滅菌することができ、飲料の保存期間を大幅に改善することができる。また、超音波照射または高圧作用により飲料の温度上昇がされ、別途、パスチャライゼーションと呼ばれている低温保持殺菌法(LTLT法:63℃-30分加熱殺菌する方法)や高温短時間殺菌法(HTST法:72℃~78℃-15秒間程度加熱殺菌する方法)、超高温瞬間殺菌法(UHT法:135℃~150℃-0.5~15秒間加熱殺菌する方法)による加熱殺菌工程を設けなくとも、超音波照射による殺菌や高圧印加による殺菌等の他の物理的殺菌作用が相まって、同等以上の殺菌効果を得ることもできる。
さらに、本発明の実施形態に係る飲料製造システムで製造された飲料は、超微細気泡を含有している。超微細気泡は、数ヶ月という長期にわたって飲料内に残存する。したがって、これら実施形態に係る飲料製造システムにより製造された飲料は、飲料内に超微細気泡が残存し、細菌の増殖を抑制し、長期にわたって抗菌作用を得ることができる。
[変形例]
次に、飲料製造システム100に適用される貯留部123の変形例である貯留部1230について図11および図12を用いて説明する。貯留部1230の説明においては、貯留部123と重複する内容については、一部記載を省略する。図11(A)は貯留部1230の平面図を示し、図11(B)は図11(A)のB-Bの断面図を示す。
図11(B)に示すように、貯留部1230は、主に、円柱状のタンク容器1231と、タンク容器1231を覆う外装容器1237とからなる。タンク容器1231は、バブル含有液を貯留するための所定量の容積を有する貯留空間1239を形成する。また、タンク容器1231と外装容器1237との間には、冷却空間1294が形成されており、冷却水導入口291を介して冷却部170から冷却水が供給され、冷却水導出口(図示なし)より冷却水が導出される。
タンク容器1231および外装容器1237は、ステンレスを材料に形成され、タンク容器1231は密閉構造にされている。これにより、バブル圧壊部122の超音波圧壊時に発生する微量ガスは、貯留部1230に流されてきても大気と接触することない。さらに、タンク容器1231が密閉構造とされているため、貯留部1230内の圧力制御が可能となる。
貯留部1230は、また、タンク容器1231に、側周面の外側から取り付けられる複数の超音波振動子1224を備える。本実施形態において、貯留部1230は、側周面に同一の角度で同一の高さ位置に配置された8つの超音波振動子1224を備える。各超音波振動子1224は、タンク容器1231の中央に向けて超音波を照射する。超音波振動子1224は、タンク容器1231に設けられており、直接タンク容器1231に貯留されたバブル含有液に超音波を照射する。
対向する2つの超音波振動子1224が一対の発振子対となり、8つの超音波振動子1224は4対の発振子対となり、タンク容器1231の中央に超音波圧壊場を形成する。各超音波振動子は、周波数および出力を制御部101により調整可能とされている。本実施の形態において、4つの超音波振動子1224は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
図11(A)および図11(B)に示すように、貯留部1230は、さらに、飲料導入部140に接続される飲料導入口1232と、バブル圧壊部122に接続されるバブル含有液導入口1233と、循環経路103に接続される再帰導出口1234と、取出部160に接続されるバブル含有液導出口1235と、排出部190に接続される排出口1236と、加圧部180に接続される加圧口1238とを備え、これらがタンク容器1231に設けられている。
なお、図11においては、定置洗浄(CIP:Cleaning In Place)に利用する洗浄液導入口1299を示すが、通常時は閉鎖され、装置の停止時にタンク内の洗浄に利用される。洗浄液導入口1299は、シャワーボール1299aを介してタンク容器1231に洗浄液を導入する。
飲料導入口1232は、円筒のパイプからなり、後述するバブル含有液導入口1233のパイプと同様に、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。これにより、原液を吐出する吐出口(図示なし)を貯留空間1239の側面に沿わせながら、水平方向に向けて原液を吐出し、当該側面に向けて原液が吐出される。飲料導入部140から供給される原液が貯留空間1239の側面に沿って吐出されることにより、バブル含有液は貯留空間1239の側面に沿って導入されることになり、飲料が泡立つことを抑制される。
また、加圧口1238は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器1231の上面からタンク容器1231内の頂面まで連通し、加圧部180から二酸化炭素ガス、窒素ガス等の所望の気体をタンク容器1231の貯留空間1239内に供給して、加圧する。貯留部1230は、加圧部180により加圧された状態で液体を貯留することができる。
バブル含有液導入口1233は、主に円筒のパイプ1233aからなり、タンク容器1231の上面から、タンク容器1231内の底面部より2/3の高さ位置まで延在し、バブル圧壊部122から第2のバブル含有液をタンク容器1231の上側から供給する。
図12に示すように、バブル含有液導入口1233のパイプ1233aは、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。これにより、バブル含有液を吐出する吐出口1233bを貯留空間1239の側面に沿わせながら、水平方向に向けてバブル含有液を吐出し、当該側面に向けてバブル含有液が吐出される。バブル含有液が貯留空間1239の側面に沿って吐出されることにより、バブル含有液は貯留空間1239の側面に沿って導入されることになり、泡立つことを抑制される。
再帰導出口1234は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器1231内の底部から1/3の高さ位置においてタンク容器1231の側部から水平方向に延在してタンク容器1231内に連通し、タンク容器1231の底部から1/3の高さ位置のバブル含有液を循環経路103に導出し、バブル含有液を気液混合器124に再帰させる。
再帰導出口1234のパイプは、水平方向にバブル含有液を吸引する。これにより、バブル含有液は、水平方向に吸引圧を受け、貯留空間1239内で撹拌される。しかし、バブル含有液は上下方向に吸引圧を受けることがないため、粒径の小さいバブルが貯留空間の下方で高濃度化することを妨げない。
バブル含有液導出口1235は、貯留部123と同様に、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器1231の底部からタンク容器1231外まで延在し、バブル含有液をタンク容器1231の底から取り出す。排出口1236は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器1231内の底面からタンク容器1231外まで延在し、タンク容器1231の底からバブル含有液を排出する。
貯留部1230が密閉構造となることにより、貯留空間1239は大気から隔離され、貯留空間1239を加圧部180により加圧することが可能になる。本実施の形態において、加圧部180は、0.6MPa程度まで貯留空間1239を加圧することができる。また、貯留部1230は、加圧部180を作動しない場合であっても、バブル生成部121から圧送されるバブル含有液により、大気圧から0.01MPа~0.05MPa程度加圧される。
貯留部1230は、タンク容器の上面に設けられた減圧口1298aをさらに備え、ベントフィルターを介して外部に連通して、貯留空間1239からの通気路を確保する。ベントフィルターと減圧口1298aとの間には、開閉バルブ(図示なし)が設けられており、制御部101が開閉バルブの開度を調整することにより貯留空間1239内の圧力調整を可能とする。貯留空間1239の圧力は、制御部101が、圧力トランスミッターにより貯留空間1239内の圧力を測定し、加圧部180とベントフィルターにより、所定の値に調整される。
さらに、貯留部1230は、タンク容器1231内に貯留された液体を撹拌する撹拌機Kを備える。撹拌機Kは、タンク容器1231の上方に設けられたモータK1と、モータK1に接続するシャフトK2と、シャフトK2に取り付けられた撹拌羽K3とを備える。モータK1は制御部101に接続しており、駆動するタイミングを制御される。
ここで、微細気泡または超微細気泡をバブル含有液は、微細気泡を含有しない液体に比較して泡立ちやすい特性を有し、その特性は、牛乳等のコロイド成分を有する液体で顕著となる。したがって、バブル含有液の導入および貯留において、バブル含有液は、貯留部1230に導入される際に、泡立ってしまうと、バブル濃度の低下、および安定的に取出し困難となる。
本変形例に係る貯留部1230では、バブル含有液導入口1233の吐出口1233bが貯留空間1239の側面に沿わせて形成され、バブル含有液導入口1233が水平方向にバブル含有液をタンク容器1231の側面に向けて吐出する。これにより、バブル含有液が貯留槽211の側周面に沿って貯留空間1239に導入されることにより、泡立つことを抑制して貯留することができる。
飲料製造システムは、種々の構成を備えるが、少なくとも均一化部と超微細気泡生成部を備えていればよい。また、超微細気泡生成部は、超音波圧壊に限らず、他の手段により超微細気泡を生成するものであってもよい。
上記した実施形態にかかる飲料製造システムでは、飲料が、バブル圧壊部または均一化部で加熱され、貯留部で冷却される。したがって、例えば、瞬間的に75℃程度の高温まで飲料を加熱し、0度付近まで急速冷却することもできる。よって、これら実施形態に係る飲料製造システムによれば、加熱と冷却の温度変化を利用して飲料を殺菌することもできる。
また、上記の実施形態において、飲料すなわち原乳内に二酸化炭素ガスが生成される。ここで二酸化炭素は、水と結合し、殺菌効果を有する炭酸水素イオンを生じる。これにより、飲料は超微細気泡の抗菌効果に加えて、二酸化炭素と水の結合による殺菌効果を得られる。なお、二酸化炭素成分は、脱気部の作用と、窒素バブルによる超微細気泡による置換とによって、外部に取り出される前に、液成分からほぼ完全に排除される。
本発明の実施の形態に係る飲料製造システムで製造された飲料は、超微細気泡を含有している。超微細気泡は、数ヶ月という長期にわたって飲料内に残存する。したがって、これら実施形態に係る飲料製造システムにより製造された飲料は、飲料内に超微細気泡が残存し、細菌の増殖を抑制し、長期にわたって抗菌作用を得ることができる。
以上、本発明の具体的な態様の例を、上記の実施形態により説明したが、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。