JP7115714B2 - 粉粒体移送用のバケット、及び、粉粒体の移送方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の粉粒体移送用のバケット(以下、単に「バケット」とも言う)について、図1~8に示すバケット1を、本発明の好ましい実施形態の一例として、その詳細を説明する。
図1~8に示す通り、バケット1は、底板11、対向する2つの側板12(12A、12B)、背板13、及び、必要に応じて更に設置される天板14とで構成され、背板13に対向する正面側が土を掬い込む開口面となる箱体からなる。そして、この箱体の底板11と、底板11の奥側に連接する背板13の少なくともいずれか一方、或いは、それらの両方の一部又は全部が、所定の態様で多数の篩い孔152が形成されている篩い面15(15A、15B)とされている。
バケット1の製造方法は、本発明独自の「篩い面設計工程」を経ることを必須とする。この他の工程については、従来方法と同様にしてバケットの製造を行なうことができる。「篩い面設計工程」は、バケットが静止している時及び水平方向に所定速度以下で移動している時には、バケットで移送後に篩い孔から落下させることを想定する粉粒体が固結してなる塊状物が、篩い孔を閉塞させた状態を保持することができるように、篩い面の形状を決定する工程である。
本発明の好ましい実施形態として、バケット1が、回旋可能なアームの先端に取り付けられている、パワーショベル10(図9A、9B)を挙げることができる。このパワーショベル10は、バケット1の天板14の上面に設置されているハット形状のブラケット17に、パワーショベル10の本体2から延設されるアーム21が回転可能に取付けられることにより構成されている。
本発明の粉粒体の移送方法(以下、単に「粉粒体の移送方法」とも言う)は、バケット1を備えるパワーショベル10により、好ましく行なうことができる。又、その処理対象となる粉粒体は特定のものに限定はされないが、フェロニッケル製錬プロセスから排出されるFe-Niスラグ等の粉粒体が堆積されてなる堆積物から粉粒体を取り出して、所定の搬出位置にまで移送する手段として特に好ましく実施することができる。
粉粒体の移送方法の好ましい処理対象の一つであるFe-Niスラグは、フェロニッケル製錬プロセスにおいてスラグ熔体を水砕することにより製造され、MgO、SiO2を利用した鉄鋼・合金鉄製造の溶剤や肥料原料として、又、ケーソン中詰め等の港湾土木用材や地盤改良材、更には、路盤用アスファルト細骨材、コンクリート細骨材としても利用されている。Fe-Niスラグの具体例として下記表1及び2に記載する3種の品種(品種1~3)を挙げることができる。これらのFe-Niスラグは、表1~3の性状であるため、通常、風で飛散しないように遮蔽された屋外で、10m程度或いはより高い斜面を形成させるように堆積保管されている。
上記のFe-Niスラグ等の粉粒体を、堆積物から掬い取って所定の粉粒体集積位置にまで本発明の粉粒体の移送方法によって移送する場合、先ず、図9Aに示されるように、バケット1を備えるパワーショベル10を粉粒体の堆積物からなる山の中腹3付近に配置する。そして、同堆積物から、適量の粉粒体を掬い取る。
次に、パワーショベル10のアーム21を所定速度以下で回旋することによりバケット1を、堆積物からなる山の裾野4付近の粉粒体集積位置5に向けて水平移動させる。この移動にかかる所定速度は、予め、粉粒体がバケット内の篩い孔の周辺で形成したアーチを維持できる速度として、例えば、上記の篩い面設計工程における試験等により予め検証されていて所定の速度とする。バケット1は篩い面がアーチを維持しやすいように設計されているので、この速度を従来とは異なり、十分に大きな速度とすることができる。
最後に、粉粒体集積位置の上方域にまで移動させたバケットについて、その移動速度を上記の所定速度を超える速度とするか、或いは、バケットに振動を加えることにより、上記の粉粒体のアーチを破砕して、篩い孔から粉粒体6を、所定の粉粒体集積位置に落下させる。尚、この工程の後、バケット内に残存した不要物は、そのまま、パワーショベル10を不要物の堆積場所に移送して排出することができる。
11 底板
12(12A、12B) 側板
13 背板
14 天板
15(15A、15B) 篩い面
151 篩い面表面
152 篩い孔
16 掘削部
17 ブラケット
2 パワーショベルの本体
21 アーム
10 パワーショベル
3 堆積物からなる山の中腹
4 堆積物からなる山の裾野
5 粉粒体集積位置
6 粉粒体
Claims (4)
- 粉粒体移送用のバケットの製造方法であって、
前記バケットは、正面側が開口面である箱体からなり、
前記箱体の底板及び/又は背板の一部又は全部が、多数の篩い孔が千鳥状又はマトリクス状に配列されている篩い面とされていて、
下記の移送試験を行ない、その試験結果に応じて、移送時の粉粒体の落下割合が、5重量%未満となる前記篩い面構成材料試料を選択することによって、前記篩い面の形状を決定する、篩い面設計工程を含んでなる、
バケットの製造方法。
(移送試験):前記バケットが静止している時及び水平方向に所定速度以下で移動している時には、前記バケットで移送後に前記篩い孔から落下させることを想定する粉粒体が固結してなる塊状物が、前記篩い孔を閉塞させた状態を保持することができる篩い面構成材料を選択することを目的として、前記篩い面の篩い孔の開口径や開口形状が異なる複数の篩い面構成材料試料を用いて複数種のバケットを構成し、各バケットに移送対象とする粉粒体を積載した状態で、各バケットを実作業の想定移送速度で水平移動させたときの各バケット毎の粉粒体の落下割合を測定する試験。 - 粉粒体が堆積されてなる堆積物から粉粒体を取り出して移送する、粉粒体の移送方法であって、
前記堆積物から前記粉粒体を掬い取って、バケットの底板に載置する掬い取り工程と、
前記バケットを所定速度以下で略水平に移動させて、粉粒体集積位置の上方に移送する移送工程と、
前記粉粒体集積位置の上方域において、前記バケットの移動速度を、前記所定速度を超える速度とするか、或いは、前記バケットを振動させることにより、前記粉粒体を、篩い孔から前記粉粒体集積位置に落下させる落下工程とを、備えてなり、
前記バケットは、正面側が開口面である箱体により構成されていて、前記箱体の底板及び/又は背板の一部又は全部が、多数の篩い孔が千鳥状又はマトリクス状に配列されている篩い面とされていて、
メッシュ短目方向の中心間距離が22mm、メッシュ長目方向の中心間距離が50.8mmである、エキスパンドメタルが、前記箱体の内側面の前記篩い孔の周縁部の表面の粗さが、前記箱体の外側面の前記篩い孔の周縁部の表面の粗さよりも大きくなるように配置されて構成されていることによって、前記移送工程において前記篩い孔から落下する粉粒体を、重量割合で全体の5%未満とする、
粉粒体の移送方法。 - 前記バケットが、パワーショベルの回旋可能なアームの先端に取り付けられている、
請求項2に記載の粉粒体の移送方法。 - 前記粉粒体がフェロニッケルスラグである、
請求項2又は3に記載の粉粒体の移送方法。
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