JP7115204B2 - 駆動用電源生成回路 - Google Patents

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本発明は、直流電源を負荷に通電するためのスイッチング素子の駆動用電源を生成する回路に関する。
例えば車両に搭載されるバッテリを電源として、負荷に直流電源を通電するハイサイドのスイッチング素子,例えばMOSFETの駆動用電源を生成する回路では、昇圧回路を用いている。このような構成では、クランキングによりバッテリの電圧が低下すると、ゲートに過電圧がかかるため、保護用にツェナーダイオードを用いている。
特開2015-89268号公報
しかしながら、ツェナーダイオードは2W程度のものが必要となるため、実装面積を要すると共にコストアップの要因になるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、直流電源の電圧が低下した場合でも、ツェナーダイオードを用いることなくスイッチング素子に過電圧が印加されることを防止できる駆動用電源生成回路を提供することにある。
請求項1記載の駆動用電源生成回路は、直流電源を負荷に通電するためのスイッチング素子の駆動用電源を生成するため、直流電源を昇圧する昇圧回路と、一端が昇圧回路の出力端子に接続され、他端が直流電源からスイッチング素子に至る通電経路中の接続点に接続されるコンデンサとを備える。電圧低下回路は、昇圧回路より出力される電圧に基づく閾値電圧を比較対象電圧と比較するコンパレータを有し、比較対象電圧が閾値電圧未満に低下すると昇圧回路の出力電圧を低下させる。そして、前記比較対象電圧を、コンデンサの端が接続される接続点の電圧とする。
このように構成すれば、保護用のツェナーダイオードを用いずとも、直流電源の電圧が大きく低下した際に、スイッチング素子の導通制御端子に過大な電圧が印加されることを回避できる。また、コンパレータには、昇圧回路により昇圧された電圧がコンデンサを介して閾値電圧として与えられるので、閾値電圧は、昇圧電圧の変化に追従して変化する。したがって、電圧低下回路の応答性が良好となり、スイッチング素子の導通制御端子に、瞬間的に過大な電圧が印加されることも防止できる。
第1実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 駆動用電源生成回路及びその周辺回路を示す図 駆動用電源生成回路の動作を示すタイミングチャート 評価に用いた直流電源の電圧波形を示す図 直流電源の電圧が低下した場合の、従来構成の各電圧波形を示す図 図5の初動部分を拡大して示す図 直流電源の電圧が低下した場合の、本実施形態構成の各電圧波形を示す図 図7の初動部分を拡大して示す図 1段のチャージポンプ回路に本実施形態の電圧低下回路を適用し、コンデンサの下端をグランドに接続した構成を示す図 図9に示す構成について、図4の電源電圧波形を加えた場合の各電圧波形を示す図 図10に示す電圧波形の一部を拡大して示す図 第2実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 第3実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 第4実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 第5実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 第6実施形態であり、チャージポンプ回路の構成を中心に示す図 第7実施形態であり、ブートストラップ回路の構成を中心に示す図
(第1実施形態)
図2示すように、本実施形態の駆動用電源生成回路1は車両に搭載され、ASIC(Application Specific IC)で構成されている。駆動用電源生成回路1には、車両のバッテリ2を電源とし、リレースイッチ3及び電源回路4を介して、安定化された例えば12Vの電源PVSが供給されている。また、駆動用電源生成回路1はドライバ21を介して、ハーフブリッジ回路5を構成する2つのNチャネルMOSFET6H及び6Lのゲートに、出力端子HG及びLGを介してゲート信号を出力する。FET6H及び6Lの共通接続点は、駆動用電源生成回路1の端子MTに接続されている。
FET6Lのソースはグランドに接続され、FET6Hのドレインは、駆動用電源生成回路1の端子PREに接続されている。バッテリ2の正側端子は、2つのNチャネルMOSFET7a及び7bのソースを共通に接続してなるスイッチ回路8を介して端子PREに接続されている。駆動用電源生成回路1は、FET7a及び7bのソースに接続される端子RSと、それぞれのゲートに接続されている端子RO1及びRO2を介してスイッチ回路8のオンオフも制御する。また、バッテリ2の正側端子は、駆動用電源生成回路1の端子MPIGに接続されている。
駆動用電源生成回路1は、ハイサイドのFET6Hの駆動用電源を生成するため、昇圧回路に相当するチャージポンプ回路9を備えている。図1に示すように、チャージポンプ回路9は2段構成であり、各段はダイオード10,コンデンサ11及びツェナーダイオード12の直列回路と、出力端子がツェナーダイオード12のカソードに接続されているバッファ13とを備えている。初段のバッファ13(1)には、クロック信号CLKが直接入力される。2段目のバッファ13(2)には、クロック信号CLKがORゲート14及びNOTゲート15を介して入力される。ツェナーダイオード12のツェナー電圧は例えば8V程度であり、チャージポンプ回路9の昇圧出力電圧は28Vに設定されている。
ダイオード10(2)のカソードとグランドとの間には、ダイオード16H,抵抗素子17及び定電流源18の直列回路が接続されている。ダイオード16Hのカソードは、チャージポンプ回路9の出力端子CPとなっている。抵抗素子17及び定電流源18の共通接続点は、コンパレータ19の非反転入力端子に接続されており、コンパレータ19の反転入力端子は、駆動用電源生成回路1の端子PREに接続されている。端子PREは、コンデンサ20を介して出力端子CPに接続されている。コンパレータ19の出力端子は、ORゲート14の入力端子の他方に接続されている。
出力端子CPより出力される電圧は、ハイサイドのゲートドライバ21Hの駆動用電源として供給される。また、ダイオード10(1)のカソードには、ダイオード16Lのアノードが接続されており、ダイオード16Lのカソードはチャージポンプ回路9の出力端子CP1となっている。出力端子CP1より出力される電圧は、ローサイドのゲートドライバ21Lの駆動用電源として供給される。また、出力端子CP1とグランドとの間には、コンデンサ22が接続されている。以上において、ORゲート14,NOTゲート15,抵抗素子17,定電流源18及びコンパレータ19は、電圧低下回路23を構成している。
次に、本実施形態の作用について説明する。コンパレータ19の非反転入力端子には、定電流源18が定電流を引くことで、チャージポンプ回路8の昇圧電圧より抵抗素子17で生じた電圧降下分の電圧が閾値電圧として与えられている。ハーフブリッジ回路5の電源供給点である端子PREの電圧はバッテリ2の電圧+Bに略等しく、閾値電圧は+B未満となるように設定される。電圧+Bが正常であれば、コンパレータ19の出力信号はローレベルを示すので、チャージポンプ回路8の2段目のバッファ13(2)には、ORゲート14及びNOTゲート15を介して反転したクロック信号CLKが入力される。
図3に示すように、クランキング等によりバッテリ2の電圧が大きく低下すると端子PREの電圧も同様に低下するので、コンパレータ19の出力信号はハイレベルとなり、バッファ13(2)に対するクロック信号CLKの供給が停止される。図中のCM1,CM2は、それぞれ初段,2段目に供給されるクロック信号を示す。2段目の動作が停止することで、出力端子CPの電圧は漸減して行く。そして、端子PREの電圧よりも低下した時点で、コンパレータ19の出力信号が一瞬だけローレベルに変化して2段目の昇圧動作が行われ、出力端子CPの電圧は微増する。
図4に示すように、電圧+Bが12Vから6Vまで低下した場合について、従来構成の各電圧波形を図5及び図6に示し、本実施形態の構成の各電圧波形を図7及び図8に示す。FET6Hのゲート-ソース間耐圧は20Vである。従来構成は、コンデンサ20の下端が端子PREではなくグランドに接続されており、クランキングが発生しても昇圧動作を停止しない構成である。図5に示すように、出力端子CPの電圧が一定であるため、FET6Hのゲート-ソース間電圧が20Vを超えてしまう。これに対して、図7に示す本実施形態の構成では、クランキングの発生時におけるゲート-ソース間電圧は20Vを下回っている。
また、図9に示すように、1段のみのチャージポンプ回路について、本実施形態と同様に、コンパレータ19により昇圧動作を停止させる構成を適用し、コンデンサ20の下端をグランドに接続した場合の電圧波形を図9及び図10に示す。クランキングの発生期間の全体を示す図10についてみると、ゲート-ソース間電圧は20Vを下回っているように見える。しかし、クランキングの発生時の時間軸を拡大して示す図11では、端子PREの電圧が低下する際のスルーレイトに対して、ゲート電圧VRGが低下するスルーレイトが小さいため、ゲート-ソース間電圧が瞬間的に20Vを超えている。
これに対して、本実施形態の構成では、コンデンサ20の下端を端子PREに接続していることで、図8に示すように、端子PREの電圧低下に追従して出力端子CPの電圧が低下している。これにより、クランキングの発生開始時においても、ゲート-ソース間電圧が耐圧を上回ることを回避できている。
以上のように本実施形態によれば、駆動用電源生成回路1は、バッテリ2の直流電圧を負荷に通電するためのFET6の駆動用電源を生成するため、チャージポンプ回路9と、一端がチャージポンプ回路9の出力端子に接続され、他端がバッテリ2からFET6に至る通電経路中の接続点に接続されるコンデンサ20とを備える。電圧低下回路23は、チャージポンプ回路9より出力される電圧に基づく比較対象電圧を閾値電圧と比較するコンパレータ19を有し、比較対象電圧が閾値電圧未満に低下するとチャージポンプ回路9の出力電圧を低下させる。そして、前記比較対象電圧を、コンデンサ20の他端が接続される接続点,本実施形態では駆動用電源生成回路1の端子PREの電圧とする。
このように構成すれば、保護用のツェナーダイオードを用いずとも、バッテリ2の電圧が大きく低下した際に、FET6Hのゲートに過大な電圧が印加されることを回避できる。また、コンパレータ22には、チャージポンプ回路9の昇圧電圧がコンデンサ20を介して比較対象電圧として与えられるので、比較対象電圧は、昇圧電圧の変化に追従して変化する。したがって、電圧低下回路23の応答性が良好となり、FET6Hのゲートに瞬間的に過大な電圧が印加されることも防止できる。
また、電圧低下回路23は、チャージポンプ回路9の2段目の昇圧動作を停止させるので、低下したバッテリ2の電圧が上昇した際には、昇圧動作を応答性良く復帰させることができる。
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図12に示すように、第2実施形態のチャージポンプ回路9Aは、バッファ13(1)の入力端子をORゲート14の出力端子に接続したもので、クランキングの発生時に電圧低下回路23Aが初段の昇圧動作も同時に停止させるようにしている。尚、ローサイド側に対応するダイオード16L,ゲートドライバ21及びコンデンサ20の図示は省略している。以降の実施形態も同様である。このように構成される第2実施例による場合も、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
図13に示すように、第3実施形態のチャージポンプ回路24は、第2実施形態のチャージポンプ回路9Aより2段目を削除したものである。これにより、電圧低下回路23Bが構成されている。
(第4,第5実施形態)
第4,第5実施形態は、第3実施形態のバリエーションである。図14に示す第4実施形態のチャージポンプ回路24Aは、コンデンサ20の下端及びコンパレータ19の反転入力端子を駆動用電源生成回路1の端子RSに接続している。また。図15に示す第5実施形態のチャージポンプ回路24Bは、コンデンサ20の下端及びコンパレータ19の反転入力端子を駆動用電源生成回路1の端子MPIGに接続している。このように構成される第4,第5実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
図16に示す第6実施形態のチャージポンプ回路31では、第4実施形態のチャージポンプ回路24Aにおいて、ダイオード16Hのカソードと出力端子CPとの間にPチャネルMOSFET32を接続している。また、定電流源18に替えて抵抗素子33を接続し、端子RSとコンパレータ19の反転入力端子との間に電圧源34を接続している。そして、コンパレータ19の出力端子をFET32のゲートに接続している。これにより、チャージポンプ回路31の出力部に降圧型のシリーズレギュレータ35が構成されている。また、ORゲート14,NOTゲート15,抵抗素子17及び33,電圧源34及びコンパレータ19は、電圧低下回路36を構成している。
次に、第6実施形態の作用について説明する。バッテリ2の電圧+Bが正常であれば、コンパレータ19の出力端子はローレベルを維持するので、昇圧された電圧が端子CPに出力される。電圧+Bがクランキング等により低下するとコンパレータ19の出力端子がハイレベルに変化し、FET32がオフして昇圧電圧の出力が遮断される。このように構成される第6実施形態によれば、第4実施形態等と同様の効果が得られる。
(第7実施形態)
図17に示す第7実施形態は、昇圧回路としてブートストラップ回路41を用いた場合を示す。電源PVSとダイオード16Hのアノードとの間には、PチャネルMOSFET42が接続されている。また、抵抗素子17の上端は、ダイオード16Hのアノードに接続されている。出力端子CPと端子MTとの間には、昇圧用のコンデンサ43が接続されている。そして、コンパレータ19の出力信号によりFET42のゲートを制御する。抵抗素子17,定電流源18及びコンパレータ19は、電圧低下回路43を構成している。このように、ブートストラップ回路41を用いた構成においても、電圧+Bがクランキング等により低下した場合に、コンパレータ19によりFET42よる昇圧動作を停止させることができる。
(その他の実施形態)
チャージポンプ回路は3段以上の構成であっても良く、その場合、電圧低下回路は、3段目以降の昇圧動作を低下させても良い。
スイッチング素子はMOSFETに限ることなく、バイポーラトランジスタやIGBTなどでも良い。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1は駆動用電源生成回路、2はバッテリ、6はNチャネルMOSFET、9はチャージポンプ回路、19はコンパレータ、20はコンデンサ、24は電圧低下回路を示す。

Claims (4)

  1. 直流電源(2)を負荷に通電するためのスイッチング素子(6)の駆動用電源を生成するもので、
    前記直流電源を昇圧する昇圧回路(9,24,24A,24B,31,41)と、
    この昇圧回路より出力される電圧に基づく閾値電圧を比較対象電圧と比較するコンパレータ(19)を有し、前記比較対象電圧が前記閾値電圧未満に低下すると、前記昇圧回路の出力電圧を低下させる電圧低下回路(23,23A,23B,36,43)と、
    一端が前記昇圧回路の出力端子に接続され、他端が前記直流電源から前記スイッチング素子に至る通電経路中の接続点に接続されるコンデンサ(20)とを備え、
    前記比較対象電圧を、前記出力端子の電圧とする駆動用電源生成回路。
  2. 前記接続点を、前記スイッチング素子に前記直流電源が直接印加される電源供給端子とする請求項1記載の駆動用電源生成回路。
  3. 前記昇圧回路(9)は、2段以上のチャージポンプ回路で構成され、
    前記電圧低下回路(23)は、前記チャージポンプ回路の2段目以降の昇圧動作を停止させる請求項1又は2記載の駆動用電源生成回路。
  4. 前記昇圧回路は、出力部に降圧回路(35)を備え、
    前記電圧低下回路(36)は、前記降圧回路を動作させる請求項1又は2記載の駆動用電源生成回路。
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