JP7114112B2 - 肺癌の予後バイオマーカー - Google Patents

肺癌の予後バイオマーカー Download PDF

Info

Publication number
JP7114112B2
JP7114112B2 JP2020532429A JP2020532429A JP7114112B2 JP 7114112 B2 JP7114112 B2 JP 7114112B2 JP 2020532429 A JP2020532429 A JP 2020532429A JP 2020532429 A JP2020532429 A JP 2020532429A JP 7114112 B2 JP7114112 B2 JP 7114112B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lung cancer
patients
kynureninase
survival
expression
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020532429A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020022361A1 (ja
Inventor
弘行 鈴木
努 森
哲史 武藤
匠 山浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fukushima Medical University
Original Assignee
Fukushima Medical University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fukushima Medical University filed Critical Fukushima Medical University
Publication of JPWO2020022361A1 publication Critical patent/JPWO2020022361A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7114112B2 publication Critical patent/JP7114112B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/34Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving hydrolase
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

本発明は、肺癌の患者の予後を予測するためのバイオマーカーに関する。
肺癌の治療では、最適な治療法を選択するために、主に肺癌の種類(組織型)や癌の進行度(ステージ)等に基づいて、治療方針が決定されている。
肺癌の種類(組織型)については、癌細胞・組織の形態から、非小細胞肺癌と小細胞肺癌の2つに大別されている。非小細胞肺癌については、さらに、扁平上皮癌と非扁平上皮癌に分けることができる。日本では、肺癌全体のうち、非扁平上皮癌である腺癌が約50~60%であり、扁平上皮癌が約20~30%、小細胞肺癌が約15%となっている。
非小細胞肺癌の患者に対しては、治療法の選択として、手術による癌の切除が優先的に行われている。一方、小細胞肺癌の患者に対しては、転移しやすい癌であることから、薬物療法と放射線療法が優先的に行われている。
癌の進行度(ステージ)については、癌の大きさと周囲の組織への浸潤がどの程度あるか(T因子)、リンパ節転移がどの程度あるか(N因子)、他の臓器等への転移がどの程度あるか(M因子)の3つの因子について評価し、これらを組み合わせた評価によりステージが診断される。肺癌では、ステージは、ステージ0、ステージI(IA,IB)、ステージII(IIA,IIB)、ステージIII(IIIA,IIIB,IIIC)、ステージIV(IVA,IVB)に分類されている。
非小細胞肺癌の患者に対しては、前記のとおり手術による癌の切除が優先的に行われるが、手術後に薬物療法や放射線療法を行うかどうかについては、ステージに応じて治療方針が決定される。癌を完全に切除した場合でも、再発率を下げるため、ステージに応じて手術後に薬物療法を行うことが勧められている。しかしながら、薬物療法や放射線療法は、正常細胞にもダメージを与えてしまう。ステージがごく初期の患者に対しては、手術後の薬物療法による再発予防効果は示されておらず、行わないことが多い。
また、ステージがIII期やIV期の場合には、癌が広がっており手術では取り除くことが困難であること等から、手術は行わずに、放射線療法と薬物療法を行うことが多い。
肺癌の治療方針の決定にあたっては、遺伝子検査を行う方法も開発されている。例えば、非小細胞肺癌には、EGFR(上皮成長因子受容体)の遺伝子の一部が変異していることにより、EGFRのチロシンキナーゼ活性が亢進し、癌細胞の増殖が促進されている癌があることから、EGFRの遺伝子変異を検出することにより、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による非小細胞肺癌の薬物療法が有効であると判定することが可能となっている。
また、非小細胞肺癌には、ALK遺伝子と他の遺伝子が融合したALK融合遺伝子が生じることにより、ALKのチロシンキナーゼ活性が亢進し、癌細胞の増殖が促進されているものがあることから、この融合遺伝子の存在を検出することにより、ALKチロシンキナーゼ阻害剤による非小細胞肺癌の薬物療法が有効であると判定することが可能となっている。
さらに、特許文献1には、非小細胞肺癌患者由来の肺癌組織から取得したRNAをもとにしてマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行った結果が記載されており、AIF1、PAFAH1B3、KYNU、及びSAA1の遺伝子は、癌の切除手術後3年以内に再発した患者において発現量が高く、FAM13A1、COL9A2及びDLK1の遺伝子は、無再発群で発現量が高かったことが記載されている。これら7遺伝子を用いてGeneChipデータを基にweighted voting法を用いて再発・無再発を予測したところ、10例中9例において予測結果が実際の予後と一致し、未知のサンプルに対して90%の精度で予測することができたことが記載されている(特許文献1)。しかしながら、この予測は、実際には無再発であった症例につき、その3分の1を再発と予測しており、これによれば、結果的には不要な抗がん剤の投与や放射線療法などの治療が継続されることとなる。また、特許文献1に記載されたこの予測は、腺癌の患者のみを対象とするものであり、扁平上皮癌や大細胞癌などの患者を対象とするものではなく、また、再発の有無を予測するものであり、その後の生存率を予測するものでもない。
国際公開第2007/004692号
したがって、本発明は、GeneChipデータを基にしたweighted voting法などの手法を用いなくても、また、複数の遺伝子の発現量を組み合わせて用いなくても、肺癌の種類にかかわらず、肺癌の患者の生存率等の予後を正確に予測し、肺癌の治療方針を正確に決定することができる方法を見出すことを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討したところ、腺癌か扁平上皮癌かなど、肺癌の種類にかかわらず、肺癌の患者に由来する癌組織におけるキヌレニナーゼの発現と、肺癌患者の予後との間に相関があり、これを測定することによって、肺癌の種類を事前に特定しなくても、また、他の遺伝子の発現に関する情報と組み合わせなくとも、肺癌の患者の予後、特に、肺癌の患者の生存率を正確に予測することができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下を包含するものである。
[1]キヌレニナーゼタンパク質若しくはそのペプチド断片、又はキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物若しくはその核酸断片からなる、肺癌の患者の予後を予測するためのバイオマーカー。
[2]キヌレニナーゼタンパク質が、以下の(a)~(c)からなる群から選ばれるタンパク質である、[1]に記載のバイオマーカー。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
[3]キヌレニナーゼ遺伝子が、[2]に記載のタンパク質をコードする、[1]又は[2]に記載のバイオマーカー。
[4]肺癌の患者の予後が、肺癌の患者の生存率である、[1]~[3]のいずれか1に記載のバイオマーカー。
[5]肺癌が、非小細胞肺癌である、[1]~[4]のいずれか1に記載のバイオマーカー。
[6]肺癌がステージIである、[1]~[5]のいずれか1に記載のバイオマーカー。
[7]肺癌の患者の予後を予測するための、[1]~[6]のいずれか1に記載のバイオマーカーの使用。
[8]肺癌の患者の予後を予測するための方法であって、前記患者に由来する癌組織における、[1]~[6]のいずれか1に記載のバイオマーカーの発現を測定する工程を含む、方法。
[9][1]~[6]のいずれか1に記載のバイオマーカーの発現を測定するための試薬を含む、肺癌の患者の予後を予測するためのキット。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018-138907号の開示内容を包含する。
本発明によれば、GeneChipデータを基にしたweighted voting法などの手法を用いなくても、また、複数の遺伝子の発現量を組み合わせて用いなくても、さらに、扁平上皮癌か腺癌かなどの肺癌の種類を事前に特定しなくても、肺癌の種類にかかわらず、簡便に肺癌の患者の予後を正確に予測することができ、例えば、その後に薬物療法や放射線療法などの治療を行わなかった場合の患者のその後の生存可能性の確率を正確に予測することができ、その後の当該治療の要否などの治療方針を正確に決定することができる。また、本発明においては、肺癌の患者に由来する癌組織におけるキヌレニナーゼの発現が低い場合には、肺癌が再発をする場合であっても、その後の肺癌の患者の生存可能性は比較的高いことが見出された。そのため、本発明の方法において、患者に由来する癌組織におけるキヌレニナーゼの発現が低いことを指標とする場合には、その肺癌が再発するかどうかに関わらずその後の高い生存可能性を予測することができるため、肺癌の患者の術後のメンタルケアのための方法としても有益である。
免疫組織化学の結果の例を示す図面に代わる顕微鏡撮影画像である。図1(A)は、レベル0と評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(B)は、レベル1のAと評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(C)は、レベル1のBと評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(D)は、レベル2と評価された顕微鏡撮影画像を示す。 非小細胞肺癌の患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図2(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図2(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者のうちステージIであった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図3(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図3(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者のうちステージIの非扁平上皮癌であった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図4(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図4(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者のうちステージIの扁平上皮癌であった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図5(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図5(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図6(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図6(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者のうちステージIであった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図7(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図7(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。 非小細胞肺癌の患者のうちステージIの非扁平上皮癌(腺癌又は大細胞癌)の患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す図面である。図8(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図8(B)は、全生存率(OS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
(肺癌の患者の予後を予測するためのバイオマーカー)
本発明は、肺癌の患者の予後を予測するためのバイオマーカーを提供する。本発明に係るバイオマーカーは、キヌレニナーゼタンパク質若しくはそのペプチド断片、又はキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物若しくはその核酸断片からなる。
肺癌の患者としては、非小細胞肺癌の患者と小細胞肺癌の患者が挙げられるが、非小細胞肺癌の患者を対象とした場合には、より高い精度の判定を期待することができる。非小細胞肺癌は、扁平上皮癌と、主に腺癌を含む非扁平上皮癌の総称である。本発明のバイオマーカーは、腺癌や扁平上皮癌などの肺癌の種類によらず用いることができるため、肺癌の種類を事前に特定しなくても、用いることができる。
本発明において対象とする肺癌は、ステージ0、ステージI、ステージII、ステージIII及びステージIVのいずれのステージの肺癌でもよい。ステージIの肺癌の患者については、通常は肺癌の切除手術後に薬物療法が行われないことも多く、その予後を予測する利点は大きい。
肺癌の病期(ステージ)の決定は、国際対がん連合(UICC)のTNM分類(UICC第7版; Sobin LH, Gospodarowicz MK, Wittekind C, International Union against Cancer. TNM classification of malignant tumours, 7th edn. Wiley-Blackwell (2010))に基づいて行うことができる。本明細書においては、上記の国際対がん連合(UICC)のTNM分類を、UICC-TNM分類と称する。UICC-TNM分類では、壁深達度(T分類)、リンパ節転移(N分類)及び遠隔転移(M分類)の3つの因子により、がん病変の進行度を分類する。UICC-TNM分類に基づく病期の決定は当業者の通常の知識に従って行うことができる。ステージIの肺癌は、T分類の因子がT1a、T1b、又はT2a(腫瘍の最大径が5cm以下)であり、N分類の因子がN0(所属リンパ節転移なし)であり、M分類の因子がM0(遠隔転移なし)であると評価された肺癌である。
肺癌の患者は、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、最も好ましくはヒトである。
本明細書において、「予後」としては、例えば、癌患者において、癌の切除手術後に予測される経過(例えば、生死)が挙げられる。「予後の予測」は、生存期間の予測であってもよく、所定の時期(例えば、手術)から一定期間後(例えば、1、3、5、10、15若しくは20年後又はそれ以上の時点)の生存率の予測であってもよい。また、「予後の予測」は、肺癌の切除手術後の所定期間以内に癌が再発するリスクの判定であってもよい。予後の予測は、予後の判定、評価、又は診断ということもできる。
本発明の方法において発現を測定するキヌレニナーゼは、トリプトファンを代謝する経路の一つであるキヌレニン経路で働く加水分解酵素である。キヌレニナーゼは、ピリドキサールリン酸(PLP;ビタミンB)を補酵素として使用し、L-キヌレニンをアントラニル酸とL-アラニンに分解する酵素であることが知られている。キヌレニナーゼは、kynureninase又はKYNUと略称されることがある。キヌレニン経路の中間代謝物には、免疫系や神経系へ作用するものがあることが知られている。
本発明においては、肺癌の患者に由来するキヌレニナーゼタンパク質又はその遺伝子転写産物がバイオマーカーとなり得る。例えば、前記患者がヒトであれば、ヒトキヌレニナーゼ遺伝子に由来するヒトキヌレニナーゼタンパク質及びヒトキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物が本発明のバイオマーカーとなり得る。
キヌレニナーゼタンパク質としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒト由来のキヌレニナーゼ(ヒトキヌレニナーゼ)タンパク質が挙げられる。また、キヌレニナーゼタンパク質には、配列番号1で示されるキヌレニナーゼタンパク質と機能的に同等の活性を有するキヌレニナーゼバリアントや他生物種のキヌレニナーゼオルソログも包含される。具体的には、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、あるいは配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上のアミノ酸同一性を有するキヌレニナーゼタンパク質が包含される。
本明細書において「複数個」としては、例えば、2~20個、2~15個、2~10個、2~7個、2~5個、2~4個又は2~3個が挙げられる。また、アミノ酸の置換は、保存的アミノ酸置換が望ましい。「保存的アミノ酸置換」とは、電荷、側鎖、極性、芳香族性等の性質の類似するアミノ酸間の置換をいう。性質の類似するアミノ酸は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン)、無極性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン)、分枝鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン)等に分類することができる。
本明細書において「アミノ酸同一性」は、2つのアミノ酸配列を整列(アラインメント)し、必要に応じてギャップを導入して、両者のアミノ酸一致度が最も高くなるようにしたときに、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるキヌレニナーゼタンパク質の全アミノ酸残基に対する2つのアミノ酸配列間で同一アミノ酸残基の割合(%)を求めることにより、得ることができる。アミノ酸同一性は、BLASTやFASTAによるタンパク質の検索システムを用いて算出することができる。
「キヌレニナーゼ遺伝子」は、前記キヌレニナーゼタンパク質をコードする遺伝子である。キヌレニナーゼ遺伝子の具体例として、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒトキヌレニナーゼタンパク質をコードするヒトキヌレニナーゼ遺伝子が挙げられる。より具体的には、キヌレニナーゼ遺伝子としては、配列番号2で示される塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。
また、キヌレニナーゼ遺伝子には、配列番号2で示されるキヌレニナーゼ遺伝子がコードするキヌレニナーゼタンパク質と機能的に同等の活性を有するキヌレニナーゼバリアントや他生物種のキヌレニナーゼオルソログをコードするキヌレニナーゼ遺伝子も包含される。具体的には、配列番号2で示される塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列、あるいは配列番号2で示される塩基配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の塩基同一性を有するキヌレニナーゼ遺伝子が包含される。さらに、配列番号2で示される塩基配列に対して相補的な塩基配列の一部からなる核酸断片と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつキヌレニナーゼタンパク質と機能的に同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が包含される。
本明細書において「塩基同一性」は、2つの塩基配列を整列(アラインメント)し、必要に応じてギャップを導入して、両者の塩基一致度が最も高くなるようにしたときに、配列番号2で示される塩基配列からなるキヌレニナーゼ遺伝子の全塩基に対する2つの塩基配列間で同一塩基の割合(%)を求めることにより、得ることができる。
本明細書において「高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」ことは、低塩濃度及び/又は高温の条件下でハイブリダイゼーションと洗浄をすることにより行うことができる。例えば、6×SSC、5×Denhardt試薬、0.5% SDS、100μg/mL変性断片化サケ精子DNA中で65℃~68℃にてプローブと共にインキュベートし、その後、2×SSC、0.1%SDSの洗浄液中で室温から開始して、洗浄液中の塩濃度を0.1×SSCまで下げ、かつ温度を68℃まで上げて、バックグラウンドシグナルが検出されなくなるまで洗浄することが例示される。高ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件については、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載されており、参考にすることができる。
このようなキヌレニナーゼ遺伝子の塩基配列情報は、公共のデータベース(GenBank、EMBL、DDBJ)より検索可能である。例えば、配列番号2で示されるキヌレニナーゼ遺伝子の既知塩基配列情報に基づいて、塩基同一性の高い遺伝子をデータベースから検索し、入手することができる。
「キヌレニナーゼ遺伝子の転写産物」としては、キヌレニナーゼ mRNAが挙げられる。mRNAは、mRNA前駆体(pre-mRNA)及び成熟mRNA(mature mRNA)を問わない。通常、mRNA前駆体は、核内において直ちにスプライシングされて、成熟mRNA成熟体となることから、実質的に本発明のバイオマーカーとなるキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物は、キヌレニナーゼ成熟mRNAである。
本明細書における「ペプチド断片」としては、タンパク質を構成するアミノ酸配列の一部からなるペプチド断片であって、その断片を構成するアミノ酸配列から当該タンパク質の断片であることを同定することができるものが挙げられる。キヌレニナーゼタンパク質の場合、通常は、その全長アミノ酸配列のうちの20個以上200個以下、30個以上150個以下、40個以上100個以下、又は50個以上80個以下の連続するアミノ酸残基からなるペプチドであればよい。
本明細書において「核酸断片」としては、mRNAを構成する塩基配列の一部からなる核酸断片であって、その断片を構成する塩基配列から当該mRNAの断片であることを同定することができるものが挙げられる。キヌレニナーゼ mRNAの場合、通常は、その全長塩基配列のうちの40個以上600個以下、50個以上450個以下、60個以上300個以下、又は70個以上200個以下の連続する塩基からなる核酸であればよい。
(予後を予測するための方法)
本発明は、肺癌の患者の予後を予測するための、上述の本発明に係るバイオマーカーの使用を提供する。本発明はまた、肺癌の患者の予後を予測するための方法を提供する。本方法は、肺癌の患者に由来する癌組織における、上述の本発明に係るバイオマーカーの発現を測定する工程を含む。本方法は、前記工程で得られた測定結果に基づいて、肺癌の患者の予後を予測する予測工程を含んでもよい。測定工程は、例えば、インビトロで行うことができる。
本発明において使用する肺癌の患者に由来する癌組織は、特に限定されないが、例えば、生検又は切除手術によって肺癌の患者から得ることができる。癌組織は、癌細胞からなるものであってもよい。当該癌組織は、そのままバイオマーカーの測定に用いてもよいが、測定のために適宜前処理してもよい。例えば、免疫組織化学染色法でバイオマーカーを検出する場合は、患者由来の試料からパラフィン包埋切片を調製してもよい。また、例えば、ウエスタンブロット法又はRT-PCR法によってバイオマーカーを検出する場合は、患者由来の試料からタンパク質抽出液又はmRNA抽出液を調製してもよい。
本方法で測定すべきバイオマーカーは、キヌレニナーゼタンパク質若しくはそのペプチド断片又はキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物若しくはその核酸断片のいずれであってもよい。発現の測定は、発現の有無、又は発現量若しくは発現濃度の大小等を測定することを包含する。本明細書において、「測定」という用語には、検出、定性、定量及び半定量のいずれもが包含される。
測定すべきバイオマーカーがキヌレニナーゼタンパク質又はそのペプチド断片の場合、その測定方法は、公知のタンパク質定量方法であればよく、特に限定はしないが、例えば、免疫学的検出法が挙げられる。
「免疫学的検出法」は、抗原である標的分子と特異的に結合する抗体又は抗体断片を用いて、標的分子の量を測定する方法である。
抗体は、哺乳動物及び鳥を含めたいずれの動物由来とすることができる。例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ロバ、ヒツジ、ラクダ、ウマ、ニワトリ又はヒト等が挙げられる。
免疫学的検出法で使用する抗体は、特に限定されないが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を使用してよい。
本明細書において「モノクローナル抗体」とは、単一免疫グロブリンのクローン群をいう。モノクローナル抗体を構成する各免疫グロブリンは、共通するフレームワーク領域及び共通する相補性決定領域を含み、同一抗原の同一エピトープを認識し、それに結合することができる。モノクローナル抗体は、単一細胞由来のハイブリドーマから得ることができる。
本明細書において「ポリクローナル抗体」とは、同一抗原の異なるエピトープを認識し結合する複数種の免疫グロブリン群をいう。ポリクローナル抗体は、標的分子を抗原として動物に免疫後、その動物の血清から得ることができる。
抗体がポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の場合、免疫グロブリン分子には、IgG、IgM、IgA、IgE、及びIgDの各クラスが知られているが、本発明の抗体は、いずれのクラスであってもよい。好ましくはIgGである。
キヌレニナーゼタンパク質を認識し結合するポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法は、キヌレニナーゼタンパク質又はその断片を抗原として当該分野で公知の抗体作製方法に準じて行えばよい。抗体はまた、例えばSigma-Aldrich社等の製造業者から得てもよい。
本明細書において「抗体断片」とは、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の部分断片であって、該抗体が有する抗原特異的結合活性と実質的に同等の活性を有するポリペプチド鎖又はその複合体をいう。例えば、抗原結合部位を少なくとも1つ包含する抗体部分、すなわち、少なくとも1組のVLとVHを有するポリペプチド鎖、又はその複合体が該当する。具体例としては、免疫グロブリンを様々なペプチダーゼで切断することによって生じる多数の十分に特徴付けられた抗体断片等が挙げられる。より具体的な例としては、Fab、F(ab')2、Fab'等が挙げられる。これらの抗体断片は、いずれも抗原結合部位を包含しており、抗原である標的分子と特異的に結合する能力を有している。
本発明においては、キヌレニナーゼタンパク質に特異的に結合する抗体としては、ヒトキヌレニナーゼの場合には、例えば、エピトープがヒトキヌレニナーゼの1番目~216番目のアミノ酸配列からなる領域から選ばれる1又は複数のアミノ酸である抗体を挙げることができる。
免疫学的検出法としては、例えば、免疫組織化学染色法、酵素免疫測定法(ELISA法、EIA法を含む)、ウエスタンブロット法、放射免疫測定(RIA)法、免疫沈降法、又はフローサイトメトリー法が挙げられる。
「免疫組織化学染色法」は、公知の方法を採用することができる。例えば、患者由来の試料をホルマリン固定後、パラフィンに包埋して組織片に薄切し、スライドガラスに貼り付けたものを切片試料として使用してよい。切片試料は、場合により熱処理して抗原を賦活化し、その後、Dako EnVision+ System(Agilent社)などの市販の検出システムを用いて切片試料について免疫組織化学染色を行ってよい。
また、測定すべきバイオマーカーがキヌレニナーゼ遺伝子転写産物又はその核酸断片の場合、その測定方法は、公知の核酸定量方法であればよく、特に限定はしないが、例えば、プライマーを用いる核酸増幅法又はプローブを用いるハイブリダイゼーション法、RNAシークエンシングが挙げられる。
「核酸増幅法」は、フォワード/リバースプライマーセット用いて、標的核酸の特定の領域を核酸ポリメラーゼによって増幅させる方法をいう。核酸増幅法としては、例えば、RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法などのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が挙げられる。
「ハイブリダイゼーション法」は、検出すべき標的核酸の塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸断片をプローブとして用い、その核酸と該プローブ間の塩基対合を利用して、標的核酸若しくはその断片を検出、定量する方法である。ハイブリダイゼーション法には、検出手段の異なるいくつかの方法が知られているが、例えば、ノザンハイブリダイゼーション法(ノザンブロットハイブリダイゼーション法)、in situハイブリダイゼーション法、又はマイクロアレイ法が挙げられる。
プライマー及びプローブ等の核酸鎖は、公知のバイオマーカー配列情報を基に当業者に公知の方法により適宜設計し、化学合成などの公知の作製方法により得ることができる。
上述の各測定法は、いずれも当該分野に公知の技術である。したがって、具体的な測定方法については、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012(前述)に記載の方法を参考にすることができる。
本発明の肺癌の患者の予後を予測するための方法は、前記測定工程で得られた測定結果に基づいて、肺癌の患者の予後を予測する工程を含んでよい。本工程は、前記測定工程で得られた測定結果から、前記肺癌の癌組織がバイオマーカーについて陽性であるか又は陰性であるかを判定することを包含し得る。
免疫組織化学染色法を用いる場合、例えば、腫瘍細胞総数に対して染色された腫瘍細胞数が一定割合を超える場合、陽性と判定し、腫瘍細胞総数に対して染色された腫瘍細胞数が前記一定割合以下の場合、陰性と判定してもよい。当該一定割合としては、例えば、1~60%の範囲、3~50%の範囲、5~40%の範囲又は10~30%の範囲から選ばれる値が挙げられる。
あるいは、肺癌の患者から得た肺癌の組織において測定したバイオマーカーの量を、対照試料(対照細胞又は組織)において測定した対照量と比較して、陽性又は陰性を判定してもよい。対照試料は、健常個体(例えば健常人)、又は良性の肺癌の患者に由来するものであってもよい。ここで「健常個体」とは、被験個体と同じ生物種の、がんに罹患していない健康な個体をいう。
本発明者らは、後述の実施例で述べるとおり、肺癌の患者に由来する癌組織におけるキヌレニナーゼの発現と、肺癌患者の予後との間に相関があることを見出した。したがって、肺癌の患者から得た肺癌組織において測定したバイオマーカーの量が、健常個体に由来する対照試料において測定した対照量と比べて高い(例えば、統計学的に有意に高い)場合、当該肺癌組織はバイオマーカーについて陽性であると判定し得る。また、肺癌の患者から得た肺癌組織において測定したバイオマーカーの量が、健常個体に由来する対照試料において測定した対照量と比べて同じ又は低い(例えば、統計学的に有意に低い)場合、当該肺癌組織はバイオマーカーについて陰性であると判定し得る。
あるいは、肺癌の患者から得た肺癌組織において測定したバイオマーカーの量が、肺癌の患者に由来する対照試料において測定した対照量と比べて同じ又は高い(例えば、統計学的に有意に高い)場合、当該肺癌組織はバイオマーカーについて陽性であると判定し得る。また、肺癌の患者から得た肺癌組織において測定したバイオマーカーの量が、肺癌の患者に由来する対照試料において測定した対照量と比べて低い(例えば、統計学的に有意に低い)場合、当該肺癌組織はバイオマーカーについて陰性であると判定し得る。
本明細書において「統計学的に有意」としては、得られた値の危険率(有意水準)が小さい場合、具体的には、p<0.05(5%未満)、p<0.01(1%未満)又はp<0.001(0.1%未満)の場合が挙げられる。統計学的検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法、ログランク検定法、単変量Cox回帰分析を用いることができる。
また、あらかじめ対照試料においてバイオマーカーの量を測定しておき、該測定値に基づいてカットオフ値(閾値)を定めておいてもよい。該カットオフ値を基準としカットオフ値を超えた場合に、陽性であると判断することができる。カットオフ値は、例えば、ROC(receiver operating characteristic curve:受信者動作特性曲線)解析により定めることができる。
本発明者らは、後述の実施例で述べるとおり、キヌレニナーゼの発現が肺癌の患者の予後と相関することを見出した。したがって、肺癌組織がバイオマーカーについて陰性である場合、肺癌の患者の予後は悪いと予測し得る。一方、肺癌組織がバイオマーカーについて陽性である場合、肺癌の患者の予後は良いと予測し得る。
「予後が悪い」こととしては、具体的には、臨床転帰が不良である(例えば、肺癌の切除手術後の再発率が高い、疾患(がん)特異的生存率が低い、又は全生存率が低い)ことが挙げられる。予後が悪い場合、肺癌の切除手術後の5年生存率は90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満又は60%未満であり得る。本発明では生存率は、累積生存率を意味する。本発明では生存率は、疾患(がん)特異的生存率又は全生存率であってもよい。
「予後が良い」こととしては、臨床転帰が良好であることが挙げられる。予後が良い場合、肺癌の切除手術後の5年生存率は90%以上又は95%以上であり得る。
本発明によれば、肺癌の患者の予後を予測することができ、その結果に基づき、治療方針(例えば、抗がん剤の種類、投与量、投与間隔など)を決定し、又は肺癌の再発及び転移の検査の間隔を決定することができる。
本発明により、肺癌の患者の予後が悪いと予測された場合、肺癌の再発を防止し、又は予後を改善し、又は生存率を改善するために、患者に抗がん剤を投与してもよい。抗がん剤は、単独で又は組みあわせて使用できる。抗がん剤は、注射、静脈内投与、経口投与などの経路で投与され得る。
(キット)
本発明はまた、上述の本発明に係るバイオマーカーを測定するための試薬を含む、肺癌の患者の予後を予測するためのキットも提供する。
バイオマーカーを測定するための試薬としては、例えば、上述のような抗体若しくは抗体断片、又はプローブ若しくはプライマーが挙げられる。キットは、公知の免疫組織化学染色、ELISA、ウエスタンブロット、又はRT-PCR用の試薬等、例えば、標識試薬、緩衝液、発色基質、二次抗体、ブロッキング剤、並びに試験に必要な器具及びコントロール等をさらに含んでもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(非小細胞肺癌患者)
2012年1月から2014年3月の間に福島県立医科大学附属病院で癌の切除手術を受けた非小細胞肺癌の患者92名を以下の分析の対象とした。
非小細胞肺癌の患者92名のうち、24名が扁平上皮癌の患者であり、68名が非扁平上皮癌(腺癌又は大細胞癌)の患者であった。また、非小細胞肺癌の患者92名のうち、71名がステージIの患者であり、13名がステージIIの患者であり、8名がステージIIIの患者であった。
各患者についてのステージ(病期)の評価には、International Staging System for Lung Tumors, 7th edition(Union for International Cancer Control, 2009)を用いた。
(免疫組織化学の手法)
非小細胞肺癌の患者から採取した癌組織のパラフィン包埋標本を用いて、免疫組織化学によるキヌレニナーゼの発現の検出を行った。まず、ミクロトームを用いて、癌組織のパラフィン包埋標本から、4μmの薄さの切片を作成した。切片は、キシレンを用いて脱パラフィンするとともに、段階的に濃度を変えたアルコールを用いて脱水した。切片に対しては、さらに、マイクロ波を使用した抗原賦活化の後、100%メタノールに溶解した0.3%過酸化水素溶液を用いて内在ペルオキシターゼを失活させた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に5%乾燥スキムミルクを加えた溶液中に切片を浸して、30分間室温でインキュベートすることによりブロッキングを行った後、キヌレニナーゼに対するモノクローナル抗体(Novus Biologicals社製 NBP2-45579;ヒトキヌレニナーゼの1番目~216番目のアミノ酸配列からなる領域に対する抗体)を1次抗体として、切片と1晩4℃でインキュベートすることにより、1次抗体反応を行った。そして、ビオチニル化された抗マウスIgG 二次抗体(Agilent社製 E0413)を用いて、アビジン-ビオチン複合体法(Vector Laboratories社製 PK-6100)により、1次抗体を検出した。切片は、各工程においてPBSによる洗浄を数回行い、ヘマトキシリンで対比染色し、段階的に濃度を変えたアルコールを用いて脱水した。各切片について、Nanozoomer(登録商標、浜松ホトニクス社製)を用いて顕微鏡撮影を行った。
(免疫組織化学の結果の評価)
免疫組織化学によるキヌレニナーゼの発現の検出結果については、次の3つのレベルに分けて評価を行った。
レベル2: 癌細胞のうち、細胞質における強い陽性発現が認められる癌細胞の割合が30%以上である。
レベル1:
(1のA) 癌細胞のうち、細胞質における強い陽性発現が認められる癌細胞の割合が10%以上30%未満であるか、
(1のB) 癌細胞のうち、細胞質における弱~中程度の陽性発現が認められる癌細胞の割合が10%以上である。
レベル0: 癌細胞のうち、細胞質における弱~強程度の陽性発現が認められる癌細胞の割合が10%未満である。
免疫組織化学の結果の例を示す顕微鏡撮影画像を図1に示す。図1(A)は、レベル0と評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(B)は、レベル1のAと評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(C)は、レベル1のBと評価された顕微鏡撮影画像を示し、図1(D)は、レベル2と評価された顕微鏡撮影画像を示す。
免疫組織化学の結果、非小細胞肺癌の患者92名のうち、17名(約18%)がレベル2と評価され、30名(約33%)がレベル1と評価され、45名(約49%)がレベル0と評価された。
(統計分析)
キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学での評価結果と、対象となった非小細胞肺癌の患者の手術後最長5年間の生存率との関係について分析を行うため、Kaplan-Meier法に従って生存曲線を作成した。また、無再発生存率(RFS: Recurrence-Free Survival)と全生存率(OS: Overall Survival)についてログ・ランク検定(log-rank test)及び単変量Cox回帰分析(univariate Cox regression analysis)を行った。これらの統計分析は、GraphPad Prism 7 ソフトウェア(GraphPad Software社製)を使用して行った。
生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を図2~8に示す。
図2は、非小細胞肺癌の患者全てについて、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図2(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図2(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図2中の生存曲線において、縦軸は生存率を示し、横軸は、癌の切除手術からの経過期間を示す。また、図2中、Pは、ログ・ランク検定によるP値を示し、HRは、単変量Cox回帰分析によるハザード比を示し、括弧内の数値はハザード比についての95%信頼区間を示す。これらについては、図3~8についても同じである。
図2(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、手術後34ヶ月経過まで、無再発生存率(RFS)が高い結果となった。
また、図2(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、全生存率(OS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0288)。
図2の結果から、キヌレニナーゼの発現と、非小細胞肺癌の患者の生存率との間に有意な相関があることが明らかとなった。また、図2(A)においては、陰性の場合の無再発生存率の経時的な低下の程度に比して、図2(B)においては、陰性の場合の全生存率の経時的な低下の程度は、緩やかであった。このように、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発をする場合であっても、生存率が高いことが認められた。このことから、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発をした場合であっても生存率が高いと予測することができることが明らかとなった。
図3は、非小細胞肺癌の患者のうちステージIであった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図3(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図3(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図3(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、追跡可能な全期間において、無再発生存率(RFS)が高い結果となった。
また、図3(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、全生存率(OS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0377)。さらに、陰性と評価された患者については、追跡可能な全期間において、全生存率(OS)が100%であった。
このように、非小細胞肺癌の患者のうちステージIであった患者について、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発率が低く術後の生存率が高いと予測することができ、陽性である場合に、肺癌の再発率が高く術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
図4は、非小細胞肺癌の患者のうちステージIの非扁平上皮癌(であった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図4(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図4(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図4(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、手術後8ヶ月以降の追跡可能な期間において、無再発生存率(RFS)が高い結果となった。
また、図4(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、追跡可能な全期間において、全生存率(OS)が高い結果となった。さらに、陰性と評価された患者については、追跡可能な全期間において、全生存率(OS)が100%であった。
図4(A)及び図4(B)に示されるように、非扁平上皮癌の患者のうちステージIであった患者について、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発率が低く術後の生存率が高いことを予測することができ、再発をした場合であっても、術後の生存率が高いことを予測することができることが明らかとなった。また、キヌレニナーゼの発現が陽性である場合に、肺癌の再発率が高く、術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
図5は、非小細胞肺癌の患者のうちステージIの扁平上皮癌であった患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価がレベル0である患者を陰性、レベル1又は2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図5(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図5(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図5(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、追跡可能な全期間において、無再発生存率(RFS)が高い結果となった。
また、図4(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、追跡可能な全期間において、全生存率(OS)が高い結果となった。さらに、陰性と評価された患者については、追跡可能な全期間において、無再発生存率(RFS)と全生存率(OS)が100%であった。
このように、ステージIの扁平上皮癌である患者について、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発率が低く、かつ術後の生存率も高いと予測することができ、陽性である場合に、肺癌の再発率が高く、術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
図6は、非小細胞肺癌の患者全てについて、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図6(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図6(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図6(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、追跡可能な全期間において、無再発生存率(RFS)が高い結果となった。
また、図6(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、手術後14ヶ月以降の追跡可能な期間において、全生存率(OS)が高い結果となった。
また、図6(A)における陰性の場合の無再発生存率の経時的な低下の程度に比して、図6(B)における陰性の場合の全生存率の経時的な低下の程度は、緩やかであった。このように、非小細胞肺癌の癌の種類を区別しないで予測する場合であっても、非小細胞肺癌の患者については、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合には、肺癌の再発率が低く術後の生存率が高いと予測することができ、肺癌の再発をした場合であっても生存率が高いと予測することができることが明らかとなった。また、キヌレニナーゼの発現が陽性である場合には、肺癌の再発率が高く術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
図7は、非小細胞肺癌の患者のうちステージIである患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図7(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図7(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図7(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、無再発生存率(RFS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0455)。
また、図7(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、全生存率(OS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0161)。さらに、陰性と評価された患者については、追跡可能な全期間において、全生存率(OS)が100%であった。
このように、非扁平上皮癌か扁平上皮癌かを区別せずに非小細胞肺癌の患者のうちステージIである患者を対象とした場合において、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発率が低く、かつ術後の生存率も高いと予測することができ、また、肺癌の再発をした場合であっても生存率が高いと予測することができることが明らかとなった。また、陽性である場合に、肺癌の再発率が高く、術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
図8は、非扁平上皮癌の患者のうちステージIの患者について、キヌレニナーゼの発現に関する免疫組織化学の評価結果がレベル0又は1である患者を陰性、レベル2である患者を陽性とした場合における、生存率曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図8(A)は、無再発生存率(RFS)についての生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示し、図8(B)は、全生存率(OS)について生存曲線とログ・ランク検定及び単変量Cox回帰分析の結果を示す。
図8(A)に示されるように、無再発生存率(RFS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、無再発生存率(RFS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0012)。
また、図8(B)に示されるように、全生存率(OS)については、キヌレニナーゼの発現に関して陰性と評価された患者は、陽性と評価された患者よりも、全生存率(OS)が統計学的に有意に高い結果となった(P=0.0372)。
このように、非扁平上皮癌のステージIである患者を対象とした場合において、キヌレニナーゼの発現が陰性である場合に、肺癌の再発率が低く、かつ術後の生存率も高いと予測することができることが明らかとなった。また、キヌレニナーゼの発現が陽性である場合に、肺癌の再発率が高く、術後の生存率が低いと予測することができることが明らかとなった。
本発明は、臨床検査や臨床検査用試薬などの産業分野において有用である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (8)

  1. キヌレニナーゼタンパク質若しくはそのペプチド断片、又はキヌレニナーゼ遺伝子の転写産物若しくはその核酸断片からなる、ステージIの肺癌の患者の予後を予測するためのバイオマーカー。
  2. キヌレニナーゼタンパク質が、以下の(a)~(c)からなる群から選ばれるタンパク質である、請求項1に記載のバイオマーカー。
    (a)配列番号で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (c)配列番号で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
  3. キヌレニナーゼ遺伝子が、請求項2に記載のタンパク質をコードする、請求項1又は2に記載のバイオマーカー。
  4. 前記肺癌の患者の予後が、肺癌の患者の生存率である、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
  5. 肺癌が、非小細胞肺癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載のバイオマーカー。
  6. ステージIの肺癌の患者の予後を予測するための、請求項1~のいずれか1項に記載のバイオマーカーの使用。
  7. ステージIの肺癌の患者の予後を予測するための方法であって、前記患者に由来する癌組織における、請求項1~のいずれか1項に記載のバイオマーカーの発現を測定する工程を含む、方法。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載のバイオマーカーの発現を測定するための試薬を含む、ステージIの肺癌の患者の予後を予測するためのキット。
JP2020532429A 2018-07-24 2019-07-24 肺癌の予後バイオマーカー Active JP7114112B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018138907 2018-07-24
JP2018138907 2018-07-24
PCT/JP2019/028945 WO2020022361A1 (ja) 2018-07-24 2019-07-24 肺癌の予後バイオマーカー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020022361A1 JPWO2020022361A1 (ja) 2021-08-05
JP7114112B2 true JP7114112B2 (ja) 2022-08-08

Family

ID=69180458

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020532429A Active JP7114112B2 (ja) 2018-07-24 2019-07-24 肺癌の予後バイオマーカー

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7114112B2 (ja)
WO (1) WO2020022361A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023074135A1 (ja) * 2021-11-01 2023-05-04 国立研究開発法人国立がん研究センター 肺がんの予後の判定を補助する方法及び試薬キット

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008521412A (ja) 2004-11-30 2008-06-26 ベリデックス・エルエルシー 肺癌予後判定手段
JP2008237022A (ja) 2005-06-30 2008-10-09 Osaka Prefecture 非小細胞肺がんの予防・治療剤および診断薬
JP2009502115A (ja) 2005-07-27 2009-01-29 オンコセラピー・サイエンス株式会社 小細胞肺癌の診断方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008521412A (ja) 2004-11-30 2008-06-26 ベリデックス・エルエルシー 肺癌予後判定手段
JP2008237022A (ja) 2005-06-30 2008-10-09 Osaka Prefecture 非小細胞肺がんの予防・治療剤および診断薬
JP2009502115A (ja) 2005-07-27 2009-01-29 オンコセラピー・サイエンス株式会社 小細胞肺癌の診断方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BOTLING, J. et al.,Biomarker Discovery in Non-Small Cell Lung Cancer: Integrating Gene Expression Profiling, Meta-analy,Clinical Cancer Research,2012年10月02日,Vol.19/No.1,pp.194-204
FAHRMANN, J.F. et al.,Elevated kynureninase protein expression is associated with KEAP1 mutant non-small cell lung cancer,Cancer Research,2016年07月,Vol.76/No.14 supplement,Abstract LB-311,https://cancerres.aacrjournals.org/content/76/14_Supplement/LB-311
NAMANI, A. et al.,NRF2-regulated metabolic gene signature as a prognostic biomarker in non-small cell lung cancer,Oncotarget,2017年07月18日,Vol.8/No.41,pp.69847-69862

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020022361A1 (ja) 2020-01-30
JPWO2020022361A1 (ja) 2021-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220154292A1 (en) Methods of diagnosing, determining the progression of, and treating a prostate cancer
MX2012000921A (es) Marcadores para cancer endometrial.
US20130137584A1 (en) Novel diagnostic and therapeutic targets associated with or regulated by n-cadherin expression and/or epithelial to mesenchymal transition (emt) in prostate cancer and other malignancies
US10538817B2 (en) Method for diagnosing and treating ovarian cancer
JP2013543117A (ja) Brafv600eに特異的に結合する抗体を使用する癌の診断のための手段及び方法
EP2906953B1 (en) Novel biomarkers for sub-typing pancreatic ductal adenocarcinoma
US20120171225A1 (en) Diagnostic Method for Predicting the Risk of Cancer Recurrence Based on Histone Macroh2A Isoforms
JP7114112B2 (ja) 肺癌の予後バイオマーカー
JPWO2017159771A1 (ja) 肝細胞増殖因子(hgf)のpdマーカー
AU2019339508A1 (en) Method of selection for treatment of subjects at risk of invasive breast cancer
JP2010107306A (ja) 食道癌の予後予測方法
KR101890392B1 (ko) Wnt3a를 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
JP7065539B2 (ja) 大腸がんの予後バイオマーカー
WO2014185466A1 (ja) 膵がんの予後評価方法
JP6833226B2 (ja) 大腸がんの予後バイオマーカー
KR102416614B1 (ko) 방사선 저항성 지표 단백질 및 이의 검출방법
KR101890390B1 (ko) Pyy를 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
KR101890387B1 (ko) Foxa2를 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
KR101890388B1 (ko) Lef1을 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
KR101890389B1 (ko) Vav3를 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
KR101890391B1 (ko) Nkx3―2를 포함하는 난소암의 진단을 위한 마커 및 조성물
KR102416607B1 (ko) 방사선 저항성 지표 단백질 및 이의 검출방법
WO2017007031A1 (ja) 子宮体がんのリンパ節転移能の評価方法
CN118028466A (zh) Slc6a6基因在作为肿瘤标志物和肿瘤治疗靶点中的应用
JP2004085305A (ja) 癌の診断方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7114112

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150