まず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る蓄電モジュールを含む蓄電装置の構成を説明する。図1は、蓄電モジュールを含む蓄電装置の概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、又は電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対して拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。以下では、蓄電モジュール4が積層する方向を単に「積層方向D(Z軸方向)」とする。また、積層方向Dに交差もしくは直交する方向を水平方向とする。水平方向は、例えば互いに直交するX軸方向とY軸方向とを有する。本実施形態では、「積層方向Dから見る」は、平面視に相当する。
モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では4つ)の導電構造体5とを含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て略矩形状を呈している。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ等である。以下の説明では、蓄電モジュール4としてニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電構造体5を介して電気的に接続されている。すなわち、隣り合う蓄電モジュール4の間には、導電構造体5が設けられている。図1では、導電構造体5は、積層方向D1の両端に位置する蓄電モジュール4の外側にも配置されている。積層方向Dの一端(本実施形態では上端)に位置する導電構造体5には、負極端子6が接続されている。積層方向Dの他端(本実施形態では下端)に位置する導電構造体5には、正極端子7が接続されている。負極端子6及び正極端子7のそれぞれは、例えばX軸方向に延在している。このような負極端子6及び正極端子7を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施できる。
なお、蓄電装置1においては、積層方向Dの一端及び他端に蓄電モジュール4が配置されてもよい。すなわち、蓄電装置1における蓄電モジュール4と導電構造体5との積層体の最外層(スタック最外層)は、蓄電モジュール4であってもよい。この場合、スタック最外層を構成する蓄電モジュール4には、負極端子6もしくは正極端子7が接続される。
導電構造体5は、蓄電装置1における放熱板としても機能し得る。導電構造体5は、例えば蓄電モジュール4において発生した熱を放出し得る。導電構造体5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えばY軸方向に沿って延在している。これらの流路5aを空気等の冷媒が通過することによって、蓄電モジュール4にて発生した熱を効率的に外部に放出できる。図1の例では、平面視にて、導電構造体5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さい。しかし、放熱性の向上の観点から、平面視にて、導電構造体5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じでもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、蓄電モジュール4を積層方向Dに拘束する部材であり、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とを有する。このため、蓄電モジュール4には、導電構造体5を介して拘束部材3の拘束力が印加される。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電構造体5の面積よりも一回り大きい面積を有する金属板であり、略矩形状を呈する。エンドプレート8におけるモジュール積層体2側の面には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電構造体5との間が絶縁されている。なお、蓄電装置1における積層方向Dの一端及び他端に蓄電モジュール4が配置される場合、蓄電モジュール4とエンドプレート8との間が、フィルムFによって絶縁される。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電構造体5は、エンドプレート8によって挟持され、且つ、モジュール積層体2としてユニット化される。また、ユニット化されたモジュール積層体2に対しては、積層方向Dに沿った拘束力が付加される。
次に、図2を参照しながら、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11、積層方向Dにおいて電極積層体11の外側に位置する導電板40、及び、電極積層体11と導電板40とを一体化する樹脂製の封止体12を備える。また、図示はしないが、蓄電モジュール4内には電解液が収容されている(詳細は後述)。
まず、蓄電モジュール4の電極積層体11の構成について説明する。電極積層体11は、積層方向Dに沿って積層された複数の電極を含む部材である。本実施形態では、電極積層体11は、積層方向Dに沿って交互に積層されるバイポーラ電極14及びセパレータ13を含む積層体Sと、積層方向Dにおいて積層体Sの一端に位置する負極終端電極18と、積層方向Dにおいて積層体Sの他端に位置する正極終端電極19とを有している。すなわち、積層方向Dにおける積層体Sの外側には一対の終端電極が位置する。図2において、積層体Sは、破線で示された領域内に位置するバイポーラ電極14及びセパレータ13を含む。なお、本実施形態では、複数の電極は、バイポーラ電極14、負極終端電極18及び正極終端電極19を含む。
積層体Sに含まれるバイポーラ電極14及びセパレータ13は、積層方向Dに沿って互いに積層されており、例えば平面視にて矩形状を呈している。セパレータ13は、隣り合うバイポーラ電極14の間に配置されている。バイポーラ電極14は、一方面15a(第1面)及び一方面15aの反対側の他方面15b(第2面)を含む集電体15と、一方面15aに設けられた正極16と、他方面15bに設けられた負極17とを有している。
集電体15は、水平方向に延在する板形状を呈する導電体であり、可撓性を示す。このため水平方向は、集電体15の延在方向とも言える。集電体15は、例えば、メッキ処理が施された鋼板である。鋼板としては、例えばJIS G 3141:2005にて規定される冷間圧延鋼板(SPCC等)が挙げられる。鋼板は、ステンレス鋼板でもよい。ステンレス鋼板としては、例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS316L等が挙げられる。集電体15の厚さは、例えば0.1μm以上1000μm以下である。
集電体15の鋼板に対するメッキ処理は、例えば集電体15の表面積を大きくするために実施される。すなわち、集電体15は、メッキが施されることによって粗面化されてもよい。本実施形態では、少なくとも集電体15の一方面15aに対してメッキ処理が実施される。メッキ処理は、例えば電解ニッケルメッキ処理である。このため、鋼板の表面の少なくとも一部には、表面保護層として機能するニッケルメッキ層(不図示)が形成される。ニッケルメッキ層の厚さは、例えば1μm以上10μm以下である。ニッケルメッキ層の表面は、複数の突起を有し得る。すなわち、集電体15の表面は粗面化され得る。表面の粗面化は、表面粗さの拡大に相当する。集電体15の表面が粗面化された場合、当該表面と封止体12(具体的には、後述する第1封止部21)との接合界面では、溶融状態の樹脂が複数の突起間に入り込む。これにより、アンカー効果が発揮されるので、集電体15と封止体12との間の結合強度を向上できる。上記突起の少なくとも一部は、例えば基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有する。この場合、隣り合う突起の間の断面形状がアンダーカット形状となるので、アンカー効果が良好に発揮される。
ニッケルメッキ層は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。例えば、ニッケルメッキ層は、下地ニッケルメッキ層と、本ニッケルメッキ層とを有してもよい。ニッケルメッキ層が下地ニッケルメッキ層を有する場合、ニッケルメッキ層にピンホール(メッキ欠陥)が設けられにくくなる。下地ニッケルメッキ層と、本ニッケルメッキ層とは、互いに異なる条件下における電解メッキの実施によって得られる。
バイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と向かい合っている。正極16は、集電体15の一方面15aに正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質は、例えば、水酸化ニッケルである。水酸化ニッケルには、コバルト酸化物等が被覆されてもよい。
バイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と向かい合っている。負極17は、集電体15の他方面15bに負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質は、例えば水素吸蔵合金である。なお、集電体15の周縁部15cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
負極終端電極18は、集電体15Aと、集電体15Aの他方面15bに設けられた負極17とを有している。集電体15Aは、例えば、バイポーラ電極14の集電体15と同様にメッキ処理が施された鋼板である。もしくは、集電体15Aは、ニッケル、もしくはステンレスよりなってもよい。すなわち、集電体15Aは、ニッケル箔、もしくはメッキ処理が施されたステンレス鋼板でもよい。集電体15Aが鋼板である場合、負極終端電極18の製造コストを低減できる。集電体15Aがニッケル箔である場合、負極終端電極18に錆が発生しにくくなる。集電体15Aの一方面15aは、電極積層体11の積層方向Dにおける一方の外表面を構成する面であり、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電構造体5と電気的に接続されている。集電体15Aの他方面15bは、電極積層体11における積層方向Dの内側(中央側)を向く面である。集電体15Aの他方面15bに設けられた負極17は、セパレータ13を介してバイポーラ電極14の正極16と対向している。なお、集電体15Aの表面には、メッキ処理が施されてもよい。集電体15Aにメッキが施される場合、集電体15Aは粗面化されてもよい。
正極終端電極19は、積層方向Dの他端に配置されており、集電体15Bと、集電体15Bの他方面15bに設けられた正極16とを有している。集電体15Bは、集電体15Aと同様に、メッキ処理が施された鋼板でもよいし、ニッケル箔でもよい。集電体15Bの一方面15aは、電極積層体11における積層方向Dの内側を向く面である。集電体15Bの他方面15bは、積層方向Dにおける電極積層体11の他方の外側面を構成する面であり、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電構造体5と電気的に接続されている。集電体15Bの他方面15bに設けられた正極16は、セパレータ13を介してバイポーラ電極14の負極17と対向している。なお、集電体15Bの表面には、メッキ処理が施されてもよい。集電体15Bにメッキが施される場合、集電体15Bは粗面化されてもよい。
セパレータ13は、正極16と負極17とを隔離するための部材であり、正極16と負極17との間に配置される。セパレータ13は、例えばシート形状を呈する。セパレータ13は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルムである。セパレータ13は、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等でもよい。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されてもよい。セパレータ13は、シート形状に限られず、袋状でもよい。
次に、積層方向Dにおいて電極積層体11の外側に位置する導電板40の構成について説明する。導電板40は、電極積層体11(特に、負極終端電極18)の劣化抑制のために設けられる板状部材であり、導電性及び可撓性を示す。導電板40の一方面40a及び他方面40bには、いずれも正極活物質及び負極活物質が塗工されていない。このため、一方面40a及び他方面40bの全面は、未塗工領域となっている。すなわち、導電板40は、活物質層が形成されていない未塗工箔である。一方面40aは、積層方向Dにおいて導電構造体5に対向する面である。他方面40bは、積層方向Dにおいて一方面40aの反対側に位置し、電極積層体11に対向する面である。本実施形態では、導電板40は、積層方向Dにおいて負極終端電極18の外側に位置する。このため、他方面40bは負極終端電極18に対向する。導電板40は、積層方向Dに沿って他の電極と共に積層されている。これにより、負極終端電極18は、積層方向Dに沿って導電板40とバイポーラ電極14との間に配置される。換言すれば、蓄電モジュール4においては、負極終端電極18のさらに外側に導電板40が設けられる。
本実施形態では、導電板40は、バイポーラ電極14の集電体15と異なり、ニッケルよりなる。例えば、導電板40は、ニッケル箔からなる。このため、導電板40は、バイポーラ電極14の集電体15よりも耐蝕性に優れる。導電板40は、導電構造体5に接触する中央部41と、平面視において中央部41を囲む矩形環状の周縁部42とを有する。中央部41と周縁部42とは、互いに連続している。導電構造体5を介して電極積層体11に付与される拘束部材3の拘束力によって、導電板40の中央部41は、電極積層体11の中心に向かって窪み、負極終端電極18に押し付けられている。これにより、中央部41が負極終端電極18に接触する接触部となり、導電板40は、蓄電モジュール4における負極端子として機能し得る。一方、周縁部42は、負極終端電極18に対して離間する部分である。周縁部42の一部42aは、封止体12に保持される部分であり、積層方向Dにおいて中央部41よりも電極積層体11の外側に位置する。周縁部42の他部42bは、上記一部42aと中央部41とをつなぐ部分であり、水平方向において封止体12よりも導電板40の中心側に位置している。導電板40の厚さは、例えば0.1μm以上1000μm以下である。
次に、封止体12の構成について説明する。封止体12は、電極積層体11を取り囲むように構成される樹脂部材である。封止体12は、集電体15,15A,15Bの周縁部15cと、導電板40の周縁部42の一部42aとを包囲するように設けられる。封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって形成されており、全体として矩形筒形状を呈する。絶縁性の樹脂は、例えば、耐アルカリ性を示す熱可塑性樹脂である。このような熱可塑性樹脂は、例えば、PP、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等である。封止体12は、集電体15,15A,15Bの周縁部15c及び導電板40の一部42aに結合された複数の第1封止部21(第1樹脂部)と、第1封止部21の周囲に配置された第2封止部22(第2樹脂部)とを有する。
第1封止部21は、電極積層体11に含まれる各電極の縁部に溶着する樹脂部材である。具体的には、第1封止部21は、バイポーラ電極14に含まれる集電体15の周縁部15cと、負極終端電極18に含まれる集電体15Aの周縁部15cと、正極終端電極19に含まれる集電体15Bの周縁部15cと、導電板40の周縁部42とのそれぞれに結合する。第1封止部21は、対応する周縁部15cもしくは周縁部42の全周にわたって連続的に設けられる。このため、第1封止部21は、積層方向Dから見て矩形枠形状を呈する。第1封止部21は、例えば積層方向Dに所定の厚さを有する樹脂フィルムである。第1封止部21は、樹脂シートを打ち抜き加工することによって形成されてもよいし、複数の樹脂シートを枠状に配置して形成されてもよいし、金型を用いた射出成形によって形成されてもよい。本実施形態では、第1封止部21は、樹脂シートを打ち抜き加工することによって形成される。第1封止部21の厚さは、例えば50μm以上250μm以下である。
平面視における第1封止部21の内側部分は、例えば超音波又は熱によって各周縁部15cもしくは周縁部42に溶着されている。本実施形態では、上記内側部分は、集電体15における周縁部15cの一方面15aと、集電体15Aにおける周縁部15cの一方面15aと、集電体15Bにおける周縁部15cの一方面15a及び他方面15bと、導電板40における周縁部42の一方面40aとに溶着されている。このため、正極終端電極19には、2つの第1封止部21が溶着されている。集電体15,15A,15Bと第1封止部21、及び、導電板40と第1封止部21とのそれぞれは、気密に結合されている。
平面視における第1封止部21の外側部分は、集電体15,15A,15B及び導電板40よりも水平方向において外側に位置している。当該外側部分の少なくとも一部は、第2封止部22に保持されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1封止部21同士は、互いに離間してもよく、互いに接してもよい。隣り合う第1封止部21同士が互いに接する場合、当該第1封止部21同士は液密及び気密に溶着されてもよい。
以下では、積層方向Dにおいて集電体15,15A,15Bもしくは導電板40と第1封止部21とが結合する領域を、結合領域Kとする。集電体15,15A,15B及び導電板40のそれぞれにおいて、少なくとも結合領域Kに含まれる表面は、粗面化されている。本実施形態では、集電体15,15Aの一方面15aにおける全体と、集電体15Bの全体と、導電板40の一方面40aの全体とのそれぞれが、粗面化されている。これにより、結合領域Kにおいてアンカー効果が発揮される。
第2封止部22は、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成する部材であり、各第1封止部21の外表面(少なくとも側面)を覆っている。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。加えて、第2封止部22は、積層方向Dにおいて電極積層体11を越え、導電板40に結合する第1封止部21まで延在している。第2封止部22は、積層方向Dを軸方向として延在する矩形の筒状(環状)を呈している。第2封止部22は、例えば射出成形時の熱によって第1封止部21の外表面に溶着されている。これにより、第2封止部22は、各第1封止部21を結合している。
第1封止部21及び第2封止部22は、電極積層体11内に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。具体的には、第2封止部22は、第1封止部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、電極積層体11と封止体12とによって内部空間Vが形成される。より具体的には、互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成される。この内部空間Vには、例えば水溶液系の電解液(具体例としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、もしくはこれらの混合液等のアルカリ性電解液)が収容されている。この電解液は、第1封止部21に設けられる連通孔(不図示)を介して、内部空間Vに収容される。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸され得る。上記連通孔は、電解液の注入後に例えば圧力調整弁等によって塞がれる。なお、「内部空間の体積」と言う場合は、セパレータ13の空隙を含む体積を意味する。
また、負極終端電極18と、封止体12と、導電板40とによって、密閉空間EV1が画成される。具体的には、負極終端電極18と、負極終端電極18に結合する第1封止部21と、導電板40とによって、密閉された密閉空間EV1が画成される。本実施形態では、密閉空間EV1の気密性を確保するため、導電板40の他方面40bは、負極終端電極18に結合する第1封止部21に溶着している。密閉空間EV1は、導電板40の中央部41が負極終端電極18側に窪んでいることから、狭く制限されている。負極終端電極18の一方面15aと、空気中の酸素及び水分等との接触を防止する観点から、密閉空間EV1には窒素ガス等が充填されてもよい。
密閉空間EV1は、導電板40の周囲を囲むように形成されている。積層方向Dに沿った断面から見て、密閉空間EV1は、第1封止部21側から中央部41側へ向かうにつれて高さ(積層方向Dの沿った寸法)が小さくなる略三角形状をなしている。また、蓄電モジュール4は、電解液が収容されていない他の密閉空間EV2を有している。密閉空間EV2は、負極終端電極18(負極終端電極18の集電体15)と、負極終端電極18に結合する第1封止部21と、バイポーラ電極14に結合する第1封止部21と、第2封止部22とによって形成されている。密閉空間EV2は、負極終端電極18の集電体15の縁を囲むように形成されている。積層方向Dに沿った断面から見て、密閉空間EV2は略矩形枠形状を呈する。
次に、本実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法の一例について説明する。まず、バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、及び導電板40に対して第1封止部21を成形する(第1工程)。第1工程では、まず、バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、及び導電板40を準備する。続いて、集電体15,15A,15Bの一方面15aと、導電板40の一方面40aとに、第1封止部21を溶着する。これにより、バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、及び導電板40のそれぞれに対して第1封止部21が結合する。さらに、集電体15Bの他方面15bにも第1封止部21を溶着する。
次に、電極積層体11を形成する(第2工程)。第2工程では、まず、第1封止部21が結合されたバイポーラ電極14、及びセパレータ13を積層方向Dに沿って交互に積層することによって積層体Sを形成する。続いて、積層方向Dにおける積層体Sの一端に負極終端電極18を配置すると共に、積層方向Dにおける積層体Sの他端に正極終端電極19を配置する。これにより、バイポーラ電極14、セパレータ13、負極終端電極18、及び正極終端電極19を有する電極積層体11を形成する。このとき、積層された第1封止部21が、電極積層体11に含まれる電極間に内部空間Vを形成すると共に当該内部空間Vを封止する。
次に、第1封止部21が結合された導電板40を、電極積層体11に重ねる(第3工程)。第3工程では、導電板40に結合された第1封止部21を、積層方向Dにおいて負極終端電極18の隣に配置する。
次に、各第1封止部21を結合する第2封止部22を形成する(第4工程)。第4工程では、例えば金型を用いて、各第1封止部21の外周面に対して樹脂を射出成形する。そして、当該樹脂を冷却等により硬化することによって、第2封止部22を形成する。これにより、第1封止部21及び第2封止部22を有する封止体12を形成する。このとき、導電板40が負極終端電極18に結合する第1封止部21に溶着してもよい。図示はしないが、第4工程後、各内部空間V内に電解液を注入する。以上の工程を経て、蓄電モジュール4が製造される。
以上に説明した本実施形態に係る蓄電モジュール4によって奏される作用効果について、以下にて説明する比較例を用いつつ説明する。比較例に係る蓄電モジュールは、導電板40を備えていない。加えて、比較例に係る蓄電モジュールの集電体15A,15Bとして、電解ニッケルメッキ処理が施された鋼板が採用されている。このため、比較例の集電体15A,15Bの表面には、ニッケルメッキ層が形成されている。
鋼板に対して電解ニッケルメッキ処理が実施される場合、まず、鋼板をメッキ液に浸漬させた後、酸にてメッキされた鋼板を洗浄する。このとき、鋼板において酸に接した部分では、鉄が酸に溶出する。また、鋼板の表面に鉄の酸化膜(酸化被膜)が形成されていた場合、酸は当該酸化被膜を除去し、酸化被膜から露出した鋼板から鉄が酸に溶出される。よって、例えばニッケルメッキ層にピンホールが存在していた場合、当該ピンホールにて露出する鋼板の表面(露出面)を介して、鋼板内の鉄が酸に溶出してしまう。これにより、積層方向Dにおいて上記ピンホールに重なる鋼板の厚さが、他の部分よりも薄くなってしまう。
また、メッキされた鋼板が酸にて洗浄された後、水にてメッキされた鋼板に付着する酸を除去する。このとき、鋼板の上記露出面は、ピンホールを介して水及び酸素に接触する。これにより、水及び酸素が鋼板を錆びさせてしまう。この錆が発生した箇所が蓄電モジュールにおける外周面の一部である場合、空気中の酸素及び水分によって、上記箇所の錆が進行してしまう。すると、集電体15A,15Bの少なくともいずれかに穴が空いてしまうことがある。この場合、当該穴を介した電解液の流出等が発生してしまい、比較例に係る蓄電モジュールの性能が著しく劣化してしまう。
これに対して本実施形態に係る蓄電モジュール4は、積層方向Dにおいて負極終端電極18の外側に位置すると共に負極終端電極18に電気的に接続される導電板40を備える。この導電板40は、蓄電モジュール4において外部に露出する最外集電体として機能し得る。ここで導電板40は、鋼板と比較して耐食性に優れるニッケルよりなる。このため、蓄電モジュール4の上記最外集電体には錆が発生しにくくなる。加えて、負極終端電極18は導電板40及び封止体12によって外部環境から保護される。よって、負極終端電極18の外表面にも錆が発生しにくくなり、負極終端電極18には穴が空きにくくなるので、蓄電モジュール4の性能劣化を抑制できる。したがって本実施形態によれば、蓄電モジュール4の長期信頼性を向上可能である。
本実施形態では、蓄電モジュール4に収容される電解液は、例えばアルカリ性水溶液等のアルカリ溶液を含む。鋼板にアルカリ溶液が接触した部分には、酸化被膜が形成される。よって、集電体15,15A,15Bにおいて電解液に接触する部分には、錆は発生しない傾向にある。このため、本実施形態では、錆による信頼性低下を防止する観点から、集電体15にニッケル箔を用いる必要がない。すなわち、本実施形態では、錆に関する問題を考慮することなく、コスト的に優位である鋼板が集電体15として用いられる。したがって本実施形態では、少なくともバイポーラ電極14に含まれる集電体15をニッケル箔としなくとも、錆に起因する長期信頼性の低下を抑制できる。
また、電極積層体11と封止体12とによって画成される内部空間Vにはアルカリ電解液が収容され、負極終端電極18と、負極終端電極18に結合する第1封止部21と、導電板40とによって、密閉空間EV1が形成される。加えて、負極終端電極18と、負極終端電極18に結合する第1封止部21と、積層方向Dにおいて負極終端電極18に隣り合うバイポーラ電極14に結合する第1封止部21と、第2封止部22とによって、密閉空間EV2が形成される。
蓄電モジュール4では、いわゆるアルカリクリープ現象により、電解液が負極終端電極18の集電体15上を伝わり、第1封止部21と負極終端電極18との間の隙間を通ることによって、集電体15の一方面15a側に滲み出ることがある。このアルカリクリープ現象は、電気化学的な要因と流体現象等により、蓄電装置の充電時、放電時、並びに無負荷時において生じ得る。アルカリクリープ現象は、負極電位、水分、及び電解液の通り道がそれぞれ存在することにより生じる。
蓄電モジュール4においてアルカリクリープ現象が発生した場合に想定される電解液の移動経路は、例えば、負極終端電極18と負極終端電極18に隣接するバイポーラ電極14に結合する第1封止部21との隙間、密閉空間EV2、負極終端電極18の集電体15と負極終端電極18に結合する第1封止部21との隙間、密閉空間EV1、並びに、導電板40に結合する第1封止部21と導電板40との隙間を含む。すなわち、上記密閉空間EV1,EV2の両方は、アルカリクリープ現象による電解液の移動経路上に設けられている。
本実施形態では、内部空間Vにアルカリ電解液が収容されている。このアルカリ電解液は、いわゆるアルカリクリープ現象により、負極終端電極18と第1封止部21との隙間を介して蓄電モジュール4の外部へ流出するおそれがある。これに対して、本実施形態に係る蓄電モジュール4は、上述した電解液の移動経路上に、電解液が収容されていない密閉空間EV1,EV2を有している。このように、電解液の移動経路上に密閉空間EV1,EV2が設けられることにより、電解液が滲み出す起点となる負極終端電極18と第1封止部21との隙間から、空気中の水分がモジュール内に入り込むことを良好に抑制できる。これにより、アルカリクリープ現象の加速条件となる外部の湿度の影響が抑制される。したがって、電解液が蓄電モジュール4の外部に滲み出ることが抑制されるので、蓄電モジュール4の信頼性が向上される。
なお本実施形態では、バイポーラ電極14の集電体15を鋼板とすることによって、全ての集電体15をニッケル箔にする場合よりも、蓄電モジュール4の製造コストを抑制できる。
本実施形態では、負極終端電極18は、ニッケル、もしくはステンレスよりなってもよい。この場合、負極終端電極18の集電体15Aもまた、鋼板と比較して耐食性に優れる。よって、蓄電モジュール4の性能劣化を良好に抑制できる。加えて、負極終端電極18は、メッキが施されることによって粗面化してもよい。この場合、封止体12の第1封止部21は、アンカー効果によって粗面化された集電体15Aに強固に密着する。これにより、蓄電モジュール4の耐圧を向上できる。さらに、第1封止部21と集電体15Aとが強固に密着することによって、アルカリクリープ現象が発生しにくくなる。これにより、電解液が蓄電モジュール4の外部に滲み出ることが良好に抑制されるので、蓄電モジュール4の信頼性が向上される。
以下では、図3~図6を参照しながら、上記実施形態の各変形例について説明する。以下の各変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。
図3は、第1変形例に係る蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図3に示される蓄電モジュール4Aは、積層方向Dにおいて正極終端電極19の外側に位置する導電板40Aを備える。一方、蓄電モジュール4Aは、上記実施形態に係る蓄電モジュール4と異なり、負極終端電極18に接する導電板40を備えない。また、蓄電モジュール4Aに含まれる正極終端電極19には、1つの第1封止部21が結合している。具体的には、正極終端電極19に含まれる集電体15の一方面15aにのみ、第1封止部21が結合している。
導電板40Aは、上記実施形態の導電板40と同様の構成を備える。すなわち、導電板40Aは、活物質層が形成されていない未塗工箔である。導電板40Aの一方面40aは、積層方向Dにおいて別の導電構造体5に対向しており、導電板40Aの他方面40bは、積層方向Dにおいて電極積層体11に対向している。中央部41と周縁部42とは、互いに連続している。導電板40Aは、平板形状を呈するニッケル箔であり、第1封止部21よりも内側に位置する中央部41と、第1封止部21に結合する周縁部42とを有する。導電板40Aの一方面40aの全体は、正極終端電極19に接触している。このため、中央部41及び周縁部42の両方は、正極終端電極19に接触している。正極終端電極19と、正極終端電極19に結合する第1封止部21と、導電板40Aと、導電板40Aに結合する第1封止部21とによって、密閉空間EV3が画成されている。
以上に説明した第1変形例の導電板40Aは、蓄電モジュール4Aにおいて外部に露出する最外集電体として機能し得る。ここでニッケル箔である導電板40Aには、鋼板よりも錆が発生しにくい。また、正極終端電極19と、導電板40Aと、封止体12とによって、密閉空間EV2が画成されている。これにより、正極終端電極19が導電板40Aによって外部環境から保護されるので、正極終端電極19の性能劣化を抑制できる。したがって第1変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて第1変形例では、正極終端電極19には、1つの第1封止部21のみが結合する。これにより、正極終端電極19に対する第1封止部21の製造方法と、バイポーラ電極14及び負極終端電極18に対する第1封止部21の製造方法とを同一にできる。したがって、製造時間の短縮及び製造装置の簡略化等を実現できる。
上記第1変形例では、正極終端電極19は、ニッケル、もしくはステンレスよりなってもよい。この場合、正極終端電極19の集電体15Bもまた、鋼板と比較して耐食性に優れる。よって、蓄電モジュール4Aの性能劣化を良好に抑制できる。加えて、正極終端電極19は、メッキが施されることによって粗面化してもよい。この場合、封止体12の第1封止部21は、アンカー効果によって粗面化された集電体15Bに強固に密着する。これにより、蓄電モジュール4の耐圧を向上できる。
図4は、第2変形例に係る蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図4に示される蓄電モジュール4Bは、導電板40,40Aの両方を備える。第2変形例の正極終端電極19には、上記第1変形例と同様に、1つの第1封止部21のみが結合する。このような第2変形例においては、蓄電モジュール4Bにおける両方の最外集電体が錆びにくくなっている。したがって、蓄電モジュール4Bの長期信頼性を良好に向上可能である。
図5は、第3変形例に係る蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図5に示される蓄電モジュール4Cは、上記実施形態等と同様に複数の電極を含む電極積層体11と、第2変形例と同様に一対の導電板とを備える。具体的には、蓄電モジュール4Cは、負極終端電極18に接する導電板40(他方の導電板)と、正極終端電極19に接する導電板40B(一方の導電板)とを備える。第1変形例及び第2変形例とは異なり、導電板40Bの一方面40aの一部が、正極終端電極19に接触している。また、蓄電モジュール4Cに含まれる正極終端電極19には、上記実施形態と同様に、2つの第1封止部21が結合している。このため、導電板40Bの中央部41は、別の導電構造体5を介して電極積層体11に付与される拘束部材3の拘束力によって、電極積層体11の中心に向かって窪み、正極終端電極19に押し付けられている。これにより、正極終端電極19と、正極終端電極19に結合する第1封止部21と、導電板40Bとによって密閉空間EV4が画成される。
図6(a)は、積層方向Dの一方側から見た蓄電モジュール及び一方の導電板を示す概略図であり、図6(b)は、積層方向Dの他方側から見た蓄電モジュール及び他方の導電板を示す概略図である。図6(a)には、窪む前の導電板40Bと、封止体12の第1枠状端部12aとが示されている。図6(b)には、窪む前の導電板40と、封止体12の第2枠状端部12bとが示されている。第1枠状端部12aは、導電板40Bに結合する第1封止部21と、積層方向Dにおける第2封止部22の一端とによって構成される。第2枠状端部12bは、導電板40に結合する第1封止部21と、積層方向Dにおける第2封止部22の他端とによって構成される。
図6(a)に示される導電板40Bの形状及び表面と、図6(b)に示される導電板40の形状及び表面とは、互いに略同一である。このため、導電板40,40Bを外部から観察しただけでは、蓄電モジュール4Cの正負の判別が困難である。一方、図6(a),(b)に示されるように、積層方向Dの一方側から見た蓄電モジュール4Cの正極終端電極19側に位置する封止体12の形状と、積層方向Dの他方側から見た蓄電モジュール4Cの負極終端電極18側に位置する封止体12の形状とが、互いに異なっている。すなわち、積層方向Dの一方側から見た第1枠状端部12aの形状と、積層方向Dの他方側から見た第2枠状端部12bの形状とは、互いに異なっている。第3変形例では、積層方向Dの一方側から見た第1枠状端部12aの内周側には、切欠部12cが設けられている。例えば、第1枠状端部12aに含まれる第1封止部21及び第2封止部22の少なくとも一部を除去することによって、切欠部12cが設けられる。一方、第2枠状端部12bの内周面側には、切欠部等は設けられていない。すなわち、蓄電モジュール4Cの負極終端電極18側に位置する封止体12には、切欠部等は設けられない。なお、切欠部12cの形状及び数は、特に限定されない。このため、第1枠状端部12aには複数の切欠部12cが形成されてもよい。
なお、第1枠状端部12aには切欠部12cが設けられてなくてもよい。例えば、切欠部12cの代わりに、突起等の構造が第1枠状端部12a及び第2枠状端部12bの少なくともいずれかに設けられてもよい。この場合、例えば蓄電装置を製造するとき、蓄電モジュール4Cの当該構造と、導電構造体5等との干渉が懸念される。このような干渉を防止する観点から、第1枠状端部12aには切欠部12cが設けられてもよい。
このような第3変形例においても、上記実施形態等と同様の作用効果が奏される。加えて、上記第2変形例と同様に、蓄電モジュール4Cにおける両方の最外集電体が錆びにくくなっている。したがって、蓄電モジュール4Cの長期信頼性を良好に向上可能である。
第3変形例では、第1枠状端部12aには切欠部12cが設けられている一方で、第2枠状端部12bには切欠部等は設けられていない。これにより、切欠部12cの有無によって、蓄電モジュール4の正極と負極とを容易に区別できる。このため、正極、負極を反転した状態にて蓄電モジュール4を充放電してしまうことを防止できる。加えて、積層方向Dにおいて負極終端電極18側に位置する第2枠状端部12bに切欠部を設けないことによって、上記アルカリクリープ現象による当該切欠部を介した電解液の漏出を抑制できる。
本発明に係る蓄電モジュールは、上記実施形態及び上記変形例に限定されず、他に様々な変形が可能である。上記実施形態及び上記変形例の内容は、適宜抽出して組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態、上記第1変形例、もしくは第2変形例に対して、上記第3変形例の封止体の態様を組み合わせてもよい。これにより、上記実施形態等においても、蓄電モジュールの正極と負極とを容易に区別できる。
上記実施形態及び上記変形例では、バイポーラ電極に含まれる集電体における一方面が粗面化されているが、これに限られない。例えば、当該一方面のうち結合領域に含まれる箇所のみが粗面化されてもよい。また、導電板の一方面のうち、結合領域に含まれる箇所のみが粗面化されてもよい。
上記実施形態及び上記変形例において、導電板はニッケルよりなるが、これに限られない。コスト及び耐蝕性の観点から、導電板は、ステンレスよりなってもよい。上記第2変形例及び上記第3変形例においては、一対の導電板の少なくとも一方が、ステンレスよりなってもよい。例えば、導電板は、メッキが施されることによって粗面化されたステンレス鋼板でもよい。この場合、ステンレス鋼板自体の耐蝕性の観点から、ステンレス鋼板は、SUS316もしくはSUS316Lでもよい。これにより、蓄電モジュールの製造コスト増加を抑制しつつ、上記実施形態及び上記変形例と同様の作用効果が奏される。加えて、封止体と粗面化された導電板とが強固に密着することによって、蓄電モジュールの耐圧強度を向上できる。なお、導電板に対するメッキ処理は、導電板の表面を保護するために実施され、例えばニッケルメッキ処理である。また、導電板がニッケルよりなっている場合であっても、導電板は、メッキが施されることによって粗面化されてもよい。
上記実施形態及び上記変形例では、集電体及び導電板のそれぞれは、平面視にて略矩形状を呈するが、これに限られない。集電体及び導電板のそれぞれは、平面視にて多角形状でもよいし、円形状でもよいし、楕円形状でもよい。同様に、エンドプレートと、セパレータと、封止体(具体的には、第1封止部及び第2封止部)とのそれぞれもまた、平面視にて略矩形枠形状を呈さなくてもよい。
上記実施形態及び上記変形例において、負極終端電極に含まれる導電板と、正極終端電極に含まれる導電板とは、互いに異なってもよい。例えば、負極終端電極に含まれる導電板はニッケルよりなり、正極終端電極に含まれる導電板はステンレスよりなってもよい。
上記実施形態及び上記変形例において、積層方向において隣り合う第1封止部が接している場合、第2封止部の形成前に、第1封止部同士を仮結合してもよい。例えば、隣り合う第1封止部同士が溶着されてもよい。この場合、第1封止部同士の間への第2封止部の侵入を抑制できる。