以下、図面を参照して蓄電モジュールの一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図2,3に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体(積層体)11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12と、を備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極(電極)18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。
バイポーラ電極14は、第1面15a及び第1面15aの反対側の第2面15bを含む電極板15、第1面15aに設けられた正極16、第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、その第2面15bが電極積層体11の内側(積層方向Dについての中心側)になるように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、その第1面15aが電極積層体11の内側になるように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aは、電極積層体11の外側に臨む面である。負極終端電極18の第1面15aには、後述する金属板50を介して、導電板5が電気的に接続されている。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、蓄電モジュール4に隣接する別の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、縁部15cに溶着された複数の第1封止部21と、側面11aに沿って第1封止部21を外側から包囲するように第1封止部21に接合された単一の第2封止部22と、を有している。
第1封止部21は、積層方向Dから見て、矩形環状をなし、縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。第1封止部21は、電極板15の第1面15aに溶着されて気密に接合されている。第1封止部21は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1封止部21は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。電極板15の端面は、第1封止部21から露出している。第1封止部21の内側の一部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板15から外側に張り出している。第1封止部21は、当該外側の一部において第2封止部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1封止部21同士は、互いに離間している。第1封止部21は、負極終端電極18の第1面15aに溶着された第1樹脂部21Aを含む。ここでは、第1封止部21のうちの1つが第1樹脂部21Aである。
第2封止部22は、電極積層体11及び第1封止部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2封止部22は、積層方向Dを軸方向として延在する筒状(環状)を呈している。第2封止部22は、例えば、射出成型時の熱によって第1封止部21の外表面に溶着(接合)されている。
第2封止部22は、第1封止部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。すなわち、第1封止部21及び第2封止部22は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止するためのものである。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
ここで、蓄電モジュール4は、金属板50と第2樹脂部51とを備える。金属板50は、積層方向Dにおける電極積層体11の一端(負極終端電極18側の端部)に設けられている。金属板50は、負極終端電極18の第1面15aに対向する第3面50aと、第3面50aの反対側の第4面50bと、を含む。金属板50の第4面50bは、導電板5に接触している。金属板50は、積層方向Dに沿って電極と共に積層されている。これにより、負極終端電極18は、積層方向Dに沿って金属板50とバイポーラ電極14との間に配置されることになる。換言すれば、蓄電モジュール4においては、負極終端電極18のさらに外側に金属板50が設けられることになる。
金属板50は、第1樹脂部21Aに溶着されると共に負極終端電極18の第1面15aに接触している。より具体的には、金属板50は、第1樹脂部21A及び第1面15a上に配置されて第1樹脂部21Aに溶着された矩形環状の被溶着部52と、被溶着部52の内側において被溶着部52よりも負極終端電極18の第1面15a側に位置して(窪んで)第1面15aに接触された矩形状の被接触部53と、を含む。被溶着部52と被接触部53とは互いに連続している。金属板50と負極終端電極18との間(第3面50aと第1面15aとの間)には、第1樹脂部21Aの厚さ(積層方向Dに沿った長さ)に相当する余剰空間VAが形成され得るが、金属板50が被接触部53において負極終端電極18側に窪んでいることから、この余剰空間VAが狭く制限されている。なお、金属板50は、任意の金属により構成することができるが、一例として電極板15と同一のものとすることができる。すなわち、一例として金属板50は電極板15である。この場合、金属板50は、活物質層が形成されていない金属箔(未塗工箔)である。
第2樹脂部51は、積層方向Dからみて第1樹脂部21Aと略同一の形状を呈している。すなわち、第2樹脂部51は、矩形環状であり、また、所定の厚さを有するフィルムである。第2樹脂部51は、金属板50の第4面50bの周縁部から第1樹脂部21Aにわたって延在して配置されている。第2樹脂部51は、第4面50b及び第1樹脂部21Aに溶着されている。第2封止部22は、複数の第1封止部21及びこの第2樹脂部51を外側から包囲するように第1封止部21及び第2樹脂部51に接合されている。第2封止部22は、積層方向Dからみて金属板50及び第2樹脂部51に重複する重複部22Aを含むと共に、重複部22Aにおいて第2樹脂部51に溶着されている。
第1封止部21(第1樹脂部21A)、第2封止部22、及び、第2樹脂部51は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
なお、第1面15a、第3面50a、及び、第4面50bには、第1樹脂部21A又は第2樹脂部51に溶着される領域が形成される。具体的には、積層方向Dからみたとき、第1面15aにおける第1樹脂部21Aに重複する領域A1、及び、第3面50aにおける第1樹脂部21Aに重複する領域A2は、第1樹脂部21Aに溶着される領域である。また、積層方向Dからみて、第4面50bにおける第2樹脂部51に重複する領域A3は、第2樹脂部51に溶着される領域である。領域A1〜A3は、矩形環状である。少なくともこれらの領域A1〜A3は、粗面化されている。ここでは、第1面15a、第3面50a、及び、第4面50bの全体が粗面化されている。
第1面15a、第3面50a、及び、第4面50bは、例えば、電解メッキ処理で複数の突起が形成されることにより粗面化されている。これにより、第1面15a、第3面50a、及び、第4面50bにおける第1樹脂部21A又は第2樹脂部51との接合界面では、溶融状態の第1樹脂部21A又は第2樹脂部51が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、互いの結合力を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、互いに隣接する突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。
ここで、蓄電モジュール4は、撥水材60をさらに有している。撥水材60は、第1面15a、第2面15b、第3面50a、及び、第4面50bにおいて溶着に供されていない領域に設けることができる。ここでは、撥水材60は、負極終端電極18の第2面15bの第1封止部21に対向する領域A4、第3面50aの第1樹脂部21Aに溶着される領域A2から第3面50aの内側に延びる領域A5、及び、第4面50bの第2樹脂部51が溶着される領域A3から第4面50bの内側に延びる領域A6に設けられている。ただし、撥水材60は、これらの領域A4〜A6のうちの少なくとも1つに設けられていればよい。領域A4は、負極終端電極18に隣接するバイポーラ電極14に溶着された第1封止部21に対向している。領域A5は、余剰空間VAに臨む領域である。領域A6は、蓄電モジュール4の外側に臨む領域である。
撥水材60は、一例として膜状に形成されている。撥水材60は、フッ素系の樹脂材料(例えば、株式会社ハーベス製「OS−90HF」)、フッ素ゴム、フッ素系・メチル系の官能基を有したポリマー等を塗布することにより形成され得る。
また、蓄電モジュール4は、吸液部材31をさらに有している。吸液部材31は、金属板50の第4面50b上に設けられている。吸液部材31は、例えば不織布によってシート状に形成されている。この不織布を構成する材料としては、ポリオレフィンなどが例示される。不織布には、吸水性を向上するために、プラズマ処理が施されていてもよい。吸液部材31の厚さ(積層方向Dに沿っての長さ)は、例えば数百μm程度である。吸液部材31は、例えば積層方向Dから見て矩形環状をなしており、導電板5を包囲している。
引き続いて、蓄電装置1の製造方法の一例について説明する。この方法では、まず、上記の蓄電モジュール4を製造する。蓄電モジュール4の製造方法は、一次成形工程と、積層工程と、二次成形工程と、注入工程と、を備える。一次成形工程では、所定数のバイポーラ電極14と負極終端電極18及び正極終端電極19を用意し、それぞれの電極板15の縁部15cの第1面15aに第1封止部21を溶着する。また、金属板50を用意し、その第4面50bに第2樹脂部51を溶着する。
積層工程では、第1封止部21が電極板15の縁部15c同士の間に配置されるようにセパレータ13を介してバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19を積層することにより、電極積層体11を形成する。また、第1樹脂部21A上に第2樹脂部51が配置されるように、金属板50を電極積層体11の一端に配置する。二次成形工程では、射出成形の金型(不図示)内に電極積層体11及び金属板50を配置した後、金型内に溶融樹脂を射出することにより、第1封止部21及び第2樹脂部51を包囲するように第2封止部22を形成する。これにより、電極積層体11の側面11aに封止体12が形成される。注入工程では、二次成形工程の後、バイポーラ電極14,14間の内部空間Vに電解液を注入する。これにより、蓄電モジュール4が得られる。
続いて、蓄電モジュール4の作用・効果について説明する。図4は、比較例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。図4に示される例では、金属板50が設けられていない。このため、例えば、内圧の上昇に伴って負極終端電極18の電極板15に荷重が付加されると、当該電極板15に溶着された第1樹脂部21Aが変形するおそれがある。この場合、第1樹脂部21Aと電極板15との間に隙間が生じ、当該隙間を介して電解液Lの漏液が生じるおそれがある。
蓄電モジュールでは、いわゆるアルカリクリープ現象により、電解液Lが負極終端電極18の電極板15上を伝わり、第1樹脂部21Aと電極板15との間の隙間を通って電極板15の第1面15a側に滲み出ることがある。図4には、アルカリクリープ現象における電解液Lの移動経路が矢印Aで示されている。このアルカリクリープ現象は、電気化学的な要因と流体現象等により、蓄電装置の充電時及び放電時並びに無負荷時において生じ得る。アルカリクリープ現象は、負極電位、水分、及び電解液Lの通り道がそれぞれ存在することにより生じる。
これに対して、蓄電モジュール4においては、電極積層体11の電極の間には、第1封止部21によって電解液を収容する内部空間Vが形成されている。また、電極積層体11の一端には、複数の電極のうち、電極板15の第2面15bが電極積層体11の内側になるように負極終端電極18が配置されている。負極終端電極18における電極積層体11の外側に臨む第1面15aには、第1封止部21としての第1樹脂部21Aが溶着されている。一方、電極積層体11の一端には、金属板50が設けられている。これにより、負極終端電極18は、電極のうちのバイポーラ電極14とこの金属板50と間に配置されることになる。すなわち、負極終端電極18のさらに外側に金属板50が設けられることになる。そして、金属板50は、負極終端電極18の第1面15aに対向する第3面50aの周縁部において、負極終端電極18の第1面15aに溶着された第1樹脂部21Aに溶着されている。
このような構成とすることにより、次のような効果が得られる。すなわち、第1の効果として、第1樹脂部21Aと比較して剛性の高い金属板50が負極終端電極18の第1面15a上の第1樹脂部21Aに溶着されることにより、第1樹脂部21aと負極終端電極18の第1面15aとが引きはがされるように第1樹脂部21Aが変形することが抑制される。また、第2の効果として、負極終端電極18の外側にさらに金属板50が設けられることにより、内部空間Vへの外部からの水分の侵入が抑制される。さらに、第3の効果として、負極終端電極18から外部に通じる経路上において、負極終端電極18の第1面15aと第1樹脂部21Aとの溶着箇所、及び、金属板50の第3面50aと第1樹脂部21Aの溶着箇所の少なくとも2段階のシールが形成される。
第1の効果によって、第1樹脂部21Aと負極終端電極18の第1面15aとの間において、アルカリクリープによる電解液の漏液の経路となり得る隙間が生じることが抑制される。また、第2の効果によって、アルカリクリープの加速条件となる外部の湿度の影響が抑制される。さらに、第3の効果によって、多段階のシールにより漏液速度が低減される。この蓄電モジュール4によれば、これらの効果が複合的に得られる結果、アルカリクリープによる漏液が確実に抑制され、信頼性が向上される。
また、蓄電モジュール4は、金属板50の第4面50bの周縁部から第1樹脂部21Aにわたって延在して配置され、第4面50b及び第1樹脂部21Aに溶着された第2樹脂部51をさらに備えている。そして、第4面50bの第2樹脂部51が溶着される領域A3は、粗面化されている。このため、負極終端電極18から外部に通じる経路上において、金属板50の第4面50bと第2樹脂部51の溶着箇所(領域A3)としてシールがさらに形成される。この結果、さらに多段階(3段階)のシールにより漏液速度が確実に低減され、アルカリクリープによる漏液がより確実に抑制される。
また、蓄電モジュール4は、複数の第1封止部21及び第2樹脂部51を外側から包囲するように第1封止部21及び第2樹脂部51に接合された第2封止部22をさらに備える。第2封止部22は、積層方向Dからみて金属板50及び第2樹脂部51に重複する重複部22Aを含むと共に、重複部22Aにおいて第2樹脂部51に溶着されている。このため、第2封止部22によって内部空間Vが確実に封止される。また、第2封止部22の重複部22Aによって第2樹脂部51の変形が抑制される結果、第2樹脂部51と第4面50bとの間に隙間が生じることが抑制される。これにより、アルカリクリープによる漏液がより確実に抑制される。
また、蓄電モジュール4においては、金属板50は、第1樹脂部21Aに溶着された環状の被溶着部52と、被溶着部52の内側において被溶着部52よりも負極終端電極18の第1面15a側に位置して第1面15aに接触された被接触部53と、を含む。このため、金属板50と負極終端電極18との間に形成される余剰空間VAが制限される。これにより、当該余剰空間VAの湿度の影響が抑制される。
また、蓄電モジュール4においては、金属板50は電極板15である。このため、電極板15と別途に金属板50を用意する必要がない。これにより、低コストにて上記の構成を実現可能である。
また、蓄電モジュール4においては、負極終端電極18の第2面15bの第1封止部21に対向する領域A4、及び、第3面50aの第1樹脂部21Aに溶着される領域A2から第3面50aの内側に延びる領域A5には、撥水材60が設けられている。領域A4に撥水材60を設けることにより、内部空間Vからの電解液の漏液を抑制できる。また、領域A5に撥水材60を設けることにより、余剰空間VAから外部への漏液、及び、外部から余剰空間VAへの水分の侵入が抑制される。
さらに、蓄電モジュール4においては、第4面50bの第2樹脂部51が溶着される領域A3から第4面50bの内側に延びる領域A6には、撥水材60が設けられている。これにより、外部から余剰空間VAへの水分の侵入が確実に抑制される。
以上の実施形態は、本発明に係る蓄電モジュールの一実施形態について説明したものである。したがって、本発明に係る蓄電モジュールは、上述した蓄電モジュール4に限定されず、任意に変更することができる。
例えば、蓄電モジュール4においては、撥水材60に代えてシール材を設けることができる。すなわち、領域A4,A5,A6の少なくとも1つには、シール材を設けることができる。シール材は、例えば、液状シール剤の硬化物である。この場合、シール材の形成が容易である。なお、液状シール剤は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂材料、ブローンアスファルトを主成分とする接着剤(アスファルトピッチ)等である。アスファルトピッチは、例えば、ブローンアスファルトとポリブテンをトルエンで溶いたものである。具体的には、シール材は、領域A4,A5,A6の少なくとも1つに対して液状シール剤を塗布し、当該液状シール材を硬化させることによって形成され得る。撥水材60に代えてシール材を設けた場合にも、撥水材60に係る上記効果と同様の効果を奏することができる。
さらには、蓄電モジュール4においては、撥水材60とシール材との両方を設けることができる。すなわち、領域A4,A5,A6のうちの一部に撥水材60を設けると共に、残部にシール材を設けてもよい。このように、蓄電モジュール4においては、各領域に求められる特性や、各領域の状態に応じて、撥水材60とシール材とを使い分けることができる。