JP7112218B2 - コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 - Google Patents
コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7112218B2 JP7112218B2 JP2018047744A JP2018047744A JP7112218B2 JP 7112218 B2 JP7112218 B2 JP 7112218B2 JP 2018047744 A JP2018047744 A JP 2018047744A JP 2018047744 A JP2018047744 A JP 2018047744A JP 7112218 B2 JP7112218 B2 JP 7112218B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- butanediol
- gene encoding
- gene
- coryneform bacterium
- enzyme
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
遺伝子組換え体を用いたバイオプロセスを利用して2,3-ブタンジオールを製造する場合、有機化学合成法ではできない利点として、特異的な酵素を用いれば(S,S)型,(R,R)型,及び(meso)型といった3種の2,3-ブタンジオールの立体異性体をそれぞれ選択的に作り分けることが理論的に可能な点が挙げられる。
これら異性体のうち、特にmeso型の2,3-ブタンジオールは、(S,S)型,(R,R)型よりも抗菌活性が強いなどの有用な性質を有することが知られている。
例えば、特許文献1には微生物の増殖速度の低下を抑制しつつ、副生物の生成を低減させ、2,3-ブタンジオールを効率よくかつ安全に製造するための微生物を提供するために、2,3-ブタンジオール生産能を有し、乳酸デヒドロゲナーゼ活性、アセテートキナーゼ活性及びホスホトランスアセチラーゼ活性のいずれか一方又は両方、並びにCoAトランスフェラーゼ活性が非改変株と比較して低減するように改変された微生物としてのコリネ型細菌が記載され、このコリネ型細菌を用いてmeso型の2,3-ブタンジオールと、(S,S)型又は(R,R)型の2,3-ブタンジオール混合物が発酵生産されたことが報告されている。
また、特許文献2は、大腸菌を用いた2,3-ブタンジオール及び/又はアセトインの生産方法の提供をするために、大腸菌に、アセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子及びアセト乳酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子が導入されているか、或いはさらにブタンジオール脱水素酵素をコードする遺伝子が導入されている、アセトイン及び/又は2,3-ブタンジオールを生産することができる遺伝子組換え大腸菌が記載され、この大腸菌の遺伝子組換え体を用いてmeso型の2,3-ブタンジオールを選択的に生産した報告例がある。
[項1]
アセト乳酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が宿主のコリネ型細菌に導入されたmeso型の2,3-ブタンジオールを生産することができるコリネ型細菌形質転換体。
[項2]
2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子がBacillus licheniformis由来のbudC又はそのオーソログである[項1]に記載のコリネ型細菌形質転換体。
[項3]
前記2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が(a)配列番号3の塩基配列を有する遺伝子、(b)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3の塩基配列に対して70%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子、(c)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3がコードするアミノ酸配列に対して同一性が70%以上のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子、(d)配列番号3に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子、のいずれかの遺伝子を含む、[項1]又は[項2]に記載のコリネ型細菌形質転換体。
[項4]
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子、及び乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の破壊、欠損、又は変異させてその機能を欠失、或いは弱化させた[項1]~[項3]のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体。
[項5]
宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム グルタミカムである[項1]~[項4]のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体。
[項6]
宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム グルタミカムR(FERM P-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である[項1]~[項5]のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体
[項7]
コリネバクテリウム グルタミカムBud33株(受託番号:NITE P-02655)コリネ型細菌形質転換体。
[項8]
[項1]~[項7]のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体及び前記形質転換体が糖類を含む反応液を用いて、実質的に増殖できない嫌気又は微好気条件において生産反応工程を行うことを含むmeso型の2,3-ブタンジオールの製造方法。
[項9]
前記糖類がグルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロース、及びマンニトールからなる群より選択される[項8]に記載のmeso型の2,3-ブタンジオールの製造方法。
(I)2,3-ブタンジオール生産能を有する形質転換体
本発明の2,3-ブタンジオール生産能を有する形質転換体は、アセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、アセト乳酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子、及び2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子が宿主のコリネ型細菌に導入された形質転換体である。遺伝子導入方法としては、プラスミドの導入でもよく、ゲノムへの組み込みでもよい。
宿主として用いられるコリネバクテリウム グルタミカムとは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー〔Bergey's Manual of Determinative Bacteriology、Vol. 8、599(1974)〕に定義されている一群の微生物である。
具体的には、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R(FERM P-18976)、ATCC13032、ATCC13869、ATCC13058、ATCC13059、ATCC13060、ATCC13232、ATCC13286、ATCC13287、ATCC13655、ATCC13745、ATCC13746、ATCC13761、ATCC14020、ATCC31831、MJ-233(FERM BP-1497)又はMJ-233AB-41(FERM BP-1498)等の菌株が挙げられる。中でも、R(FERM P-18976)株、ATCC13032株、及びATCC13869が好ましく、R(FERM P-18976)株がより好ましい。
なお、分子生物学的分類により、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、ブレビバクテリウム ディバリカタム(Brevibacterium divaricatum)、コリネバクテリウム リリウム(Corynebacterium lilium)等のコリネ型細菌もコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に菌名が統一されている〔Liebl, W. et al., Transfer of Brevibacterium divaricum DSM 20297T, "Brevibacterium flavum" DSM 20411, "Brevibacterium lactofermentum" DSM 20412 and DSM 1412, and Corynebacterium glutamicum and their distinction by rRNA gene restriction patterns. Int J Syst Bacteriol. 41:255-260 (1991)、駒形和男ら、コリネフォルム細菌の分類、発酵と工業、45:944-963 (1987)〕ため、本発明に含まれる。
また、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子、及び乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の破壊、欠損、又は変異させてその機能を欠失、或いは弱化させたコリネ型細菌は、meso型の2,3-ブタンジオールを効率よく高濃度で選択的に製造する点から、より好ましい宿主となる。
アセト乳酸シンターゼは、ピルビン酸からアセト乳酸の生成反応を触媒する酵素である。meso型ブタンジオールの生産性の観点から、好ましくはals遺伝子、より好ましくはバチラス属細菌のals遺伝子又はそのオーソログ、さらに好ましくはバチラス サブチリス(Bacillus subtilis)のals遺伝子又はそのオーソログが挙げられる。アセト乳酸シンターゼ活性は公知の方法、例えば、〔Stormer FC, The pH 6 acetolactate-forming enzyme from Aerobacter aerogenes. I. Kinetic studies. J. Biol. Chem. 243:3735-3739(1968)〕により測定できる。
アセト乳酸デカルボキシラーゼは、アセト乳酸からアセトインを生成する反応を触媒する酵素である。meso型ブタンジオールの生産性の観点から、好ましくはald遺伝子、より好ましくは、バチラス属細菌のald遺伝子又はそのオーソログ、さらに好ましくはバチラス サブチリス(Bacillus subtilis)のald遺伝子又はそのオーソログが挙げられる。アセト乳酸シンターゼ活性は公知の方法、例えば、〔Loken JP and Stormer FC, Acetolactate decarboxylase from Aerobacter aerogenes. Purification and properties. Eur. J. Biochem. 14:133-137(1970)〕により測定できる。
2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼは、アセトインから2,3-ブタンジオールを生成する反応を触媒する酵素である。2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子の由来は特に限定されないが、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチラス属細菌由来の遺伝子が挙げられる。2,3-ブタンジオールは立体異性体として(2R,3R)型、(2S,3S)型、meso型の3種類が存在するが、この中でmeso型2,3-ブタンジオールを特異的に生成する酵素として、例えばバチラス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のbudC遺伝子やラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)由来のbutA遺伝子が挙げられる。meso型の2,3-ブタンジオールを効率よく高濃度で選択的に製造する点から、budC遺伝子が好ましく、バチラス属細菌のbudC遺伝子又はそのオーソログがより好ましく、Bacillus licheniformisのbudC遺伝子又はそのオーソログがさらに好ましい。Bacillus licheniformisのbudC遺伝子の一実施形態として、配列番号3の塩基配列が挙げられる。
本発明において「オーソログ遺伝子」とは、異なる生物に存在する相同な機能を有するタンパクをコードする類縁遺伝子を意味する。
本発明の一実施形態において、バチラス属細菌のbudC遺伝子及びBacillus licheniformisのbudC遺伝子のオーソログにはbutA遺伝子は含まれない。
本発明における2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子は、meso型の2,3-ブタンジオールを効率よく高濃度で選択的に製造する点から、下記(a)~(d)遺伝子が挙げられる。
(a)配列番号3の塩基配列を有する遺伝子。
(b)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3の塩基配列に対して同一性が70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は97%以上の塩基配列を有する遺伝子。
(c)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3がコードするアミノ酸配列に対して同一性が70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は97%以上のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子。
(c')配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3がコードするアミノ酸配列に対して相同性(Similarity)が92%以上、95%以上、又は97%以上のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子。
(d)配列番号3に記載の塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子。
なお、ストリンジェントな条件としては、例えばDNAを固定したナイロン膜を、6×SSC(1×SSCは塩化ナトリウム8.76g、クエン酸ナトリウム4.41gを1リットルの水に溶かしたもの)、1%SDS、100μg/mlサケ精子DNA、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコールを含む溶液中で65℃にて20時間プローブとともに保温してハイブリダイゼーションを行う条件を挙げることができるが、これに限定されるわけではない。当業者であれば、このような緩衝液の塩濃度、温度等の条件に加えて、その他のプローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件を加味し、ハイブリダイゼーションの条件を設定することができる。
2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性は公知の方法、例えば、〔Calam E et al., Enantioselective Synthesis of Vicinal (R,R)-Diols by Saccharomyces cerevisiae Butanediol Dehydrogenase. Appl. Environ. Microbiol. 82:1706-1721(2016)〕により測定できる。
上記説明した本発明の形質転換体を、炭素源を含む反応液中で反応させることにより2,3-ブタンジオールを製造することができる
反応に先立ち、形質転換体を好気条件下で、温度約25~38℃で、約12~48時間培養して増殖させることが好ましい。
反応に先立つ形質転換体の好気的培養に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類及びその他の栄養物質等を含有する天然培地又は合成培地を用いることができる。
炭素源として、糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトースのような単糖;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖;澱粉のような多糖;糖蜜等)、マンニトール、ソルビトール、キシリトールグリセリンのような糖アルコール;酢酸、クエン酵 乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸のような有機酸;エタノール、プロパノールのようなアルコール;ノルマルパラフィンのような炭化水素等も用いることができる。
炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機塩は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の培地中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常約0.01~1(w/v%)とすればよい。
さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。培地のpHは約6~8が好ましい。
緩衝液としては、リン酸バッフアー、トリスバッファー、炭酸バッファー等が挙げられる。緩衝液の濃度は約10~150mMが好ましい。
形質転換体を実質的に増殖させないため、反応液に増殖因子としてのビオチンを含まないことが望ましい。
無機塩培地としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等の無機塩の1種又は2種以上を含む培地が挙げられる。中でも、硫酸マグネシウムを含む培地が好ましい。無機塩培地として、具体的にはBT培地〔Omumasaba, C.A. et al, Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。無機塩類の培地中の濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常、約0.01~1(w/v%)とすればよい。
反応液のpHは約6~8が好ましい。反応中は、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、pHコントローラー(例えば、エイブル株式会社製、型式:DT-1023)で、反応液のpHを中性付近、特に約7にコントロールしながら反応させることが好ましい。
反応温度、即ち反応中の形質転換体の生存温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば効率良く2,3-ブタンジオールを製造できる。
また、反応時間は約1~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。培養は、バッチ式、流加式、連続式のいずれでもよい。中でもバッチ式が好ましい。
反応は、還元条件、或いは微好気的条件で行ってもよい。いずれの条件においてもコリネバクテリウム グルタミカムは実質的に増殖しない反応で行われるため、一層効率的に2,3-ブタンジオールを生産させることができる。
還元条件は、反応液の酸化還元電位で規定される。反応液の酸化還元電位は、約-200mV~-500mVが好ましく、-250mV~-500mVがより好ましい。
反応液の還元状態は簡便にはレサズリン指示薬(還元状態であれば、青色から無色への脱色)で推定できるが、正確には酸化還元電位差計(例えば、BROADLEY JAMES社製、ORP Electrodes)を用いて測定できる。
還元条件にある反応液の調整方法は、公知の方法を制限なく使用できる。
例えば、反応液調製用の液体媒体として、蒸留水等の代わりに反応液用水溶液を使用してもよく反応液用水溶液の調整方法は、例えば硫酸還元微生物等の絶対嫌気性微生物用の培養液調整方法(Pfennig, N. et al,(1981):The dissimilatory sulfate-reducing bacteria, In The Prokaryotes, A Handbook on Habitats, Isolation and Identification of Bacteria Ed. By Starr, M. P. et al.,p.926-940, Berlin, Springer Verlag.)や「農芸化学実験書 第三巻、京都大学農学部 農芸化学教室編、1990年第26刷、産業図書株式会社出版」等が参考となり、所望する還元条件下の水溶液を得ることができる。
具体的には、蒸留水等を加熱処理や減圧処理して溶解ガスを除去することにより、還元条件の反応液用水溶液を得ることができる。この場合、約10mmHg以下、好ましくは約5mmHg以下、より好ましくは約3mmHg以下の減圧下で、約1~60分程度、好ましくは約5~40分程度、蒸留水等を処理することにより、溶解ガス、特に溶解酸素を除去して還元条件下の反応液用水溶液を作成することができる。
また、適当な還元剤(例えば、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオン、硫化ソーダ等)を添加して還元条件の反応液用水溶液を調整することもできる。
これらの方法を適宜組み合わせることも有効な還元条件の反応液用水溶液の調整方法である。
反応途中での還元条件を維持する場合は、反応系外からの酸素の混入を可能な限り防止することが望ましく、具体的には、反応系を窒素ガス等の不活性ガスや炭酸ガス等で封入する方法が挙げられる。酸素混入をより効果的に防止する方法としては、反応途中において本発明の好気性細菌の菌体内の代謝機能を効率よく機能させるために、反応系のpH維持調整液の添加や各種栄養素溶解液を適宜添加する必要が生じる場合もあるが、このような場合には添加溶液から酸素を予め除去しておくことが有効である。
反応途中で微好気条件を維持する場合は、通気量を0.5vvm(volume per volume per minute)等の低値或いはそれ以下とし、攪拌速度を500rpm等の低値或いはそれ以下の条件で反応させることができる。場合によっては、反応開始後、適当な時間で通気を遮断し、撹拌速度を100rpm或いはそれ以下の条件で嫌気度を向上させた状態と組み合わせて反応することもできる。
上記のようにして培養することにより、反応液中にmeso型2,3-ブタンジオールが生産される。反応液を回収することによりmeso型2,3-ブタンジオールを回収できるが、さらに、公知の方法でmeso型2,3-ブタンジオールを反応液から分離することもできる。そのような公知の方法として、蒸留法、膜透過法、有機溶媒抽出法等が挙げられる。
(1) 染色体DNAの調製
2,3-ブタンジオール生産関連酵素遺伝子を取得するため、下記菌株から染色体DNAを調製した。
バシラス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis JCM 2505)、バチルス サブティリス(Bacillus subtilis NBRC 14144)を菌株入手機関の情報に従って培養した後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて調製した。
(2) 2,3-ブタンジオール生産関連遺伝子発現プラスミドの構築
目的の酵素遺伝子を単離するために用いたプライマー配列を表1に示す。PCRは、Veritiサーマルサイクラー(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてPrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
得られたDNA断片を、tacプロモーターを含有するクローニングベクター(Ltac8sc、pCRB213 [Jojima T. et al., Promiscuous activity of (S,S)-butanediol dehydrogenase is responsible for glycerol production from 1,3-dihydroxyacetone in Corynebacterium glutamicum under oxygen-deprived conditions. Appl. Microbiol. Biotechnol. 2015 Feb;99(3):1427-1433]に導入した。
上述のbudC発現プラスミドとalsS-alsD発現プラスミドをコリネ型細菌R株のldh, ppc遺伝子破壊株であるCRZ2 [Inui M. et al., Metabolic engineering of Corynebacterium glutamicum for fuel ethanol production under oxygen-deprivation conditions. J Mol Microbiol Biotechnol. 2004;8(4):243-254]に同時に導入することにより、2,3-ブタンジオール生産株(Bud33)を構築した。CRZ2を構築する過程で得られたldh遺伝子破壊株も宿主として使用し、Bud24株を構築した。尚、得られた2,3-ブタンジオール生産株の概要は表3及び表4にまとめて示す。
<2,3-ブタンジオール生産遺伝子を導入したコリネバクテリウム グルタミカム副生経路破壊株の2,3-ブタンジオール生成実験>
コリネバクテリウム グルタミカムΔldh/ meso-2,3-ブタンジオール生産遺伝子導入株(Bud24株)を、カナマイシン50μg/ml、クロラムフェニコール5μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5g、K2HPO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、0.06%(w/v) FeSO4・7H2O + 0.042%(w/v) MnSO4・2H2O 1ml、0.02%(w/v) biotin solution 1ml、0.01%(w/v) thiamin solution 2ml、yeast extract 2g、vitamin assay casamino acid 7g、glucose 40g、寒天 15gを蒸留水1Lに懸濁]に塗布し、33℃、16時間静置培養した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムΔldh/meso-2,3-ブタンジオール生産遺伝子導入株をカナマイシン50μg/ml、クロラムフェニコール5μg/mlを含むA液体培地10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、33℃で16時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で増殖したコリネバクテリウム グルタミカムΔldh/meso-2,3-ブタンジオール生産遺伝子導入株をカナマイシン50μg/ml、クロラムフェニコール5μg/mlを含むA液体培地500mLの入った容量2Lの三角フラスコに植菌し、33℃で16時間、好気的に振盪培養を行った。
48時間反応させた結果、meso-2,3-ブタンジオールの収量は11.3g/Lであった(図1)。meso-2,3-ブタンジオールの生産量は48時間まではほぼ一定に増加しており、グルコースもほぼ一定の速度で消費された。meso-2,3-ブタンジオール以外の立体異性体((S,S)型,及び(R,R)型-2,3-ブタンジオール)は全く検出されなかった。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムΔldhΔppc/meso-2,3-ブタンジオール生産遺伝子導入株をカナマイシン50μg/ml、クロラムフェニコール5μg/mlを含むビオチンを含まないA液体培地10 mlの入った試験管に―白金耳植菌し、33℃で16時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で増殖したコリネバクテリウム グルタミカムΔldhΔppc/meso-2,3-ブタンジオール生産遺伝子導入株をカナマイシン50μg/ml、クロラムフェニコール5μg/mlを含むビオチンを含まないA液体培地500mlの入った容量2Lの三角フラスコに植菌し、33℃で16時間、好気的に振盪培養を行った。
<各種2,3-ブタンジオール デヒドロゲナーゼ活性を有する遺伝子を導入したコリネバクテリウム グルタミカム副生経路破壊株の2,3-ブタンジオール生成実験>
実施例2において作製したBud33株のうち、meso-2,3-ブタンジオール生産に関わる2,3-ブタンジオール デヒドロゲナーゼ活性を有する遺伝子のみを各種微生物由来のものに入れ替えた場合の2,3-ブタンジオール生成を比較した。培養条件や生成物の分析は全て実施例2と同じ条件で行った。その結果、Bacillus licheniformis由来budC遺伝子を導入したBud33株は、55時間で51.4g/L(生産速度は0.93g/L/h)のmeso-2,3-ブタンジオールのみを検出した。meso-2,3-ブタンジオール以外の立体異性体((S,S)型,及び(R,R)型-2,3-ブタンジオール)は全く検出されなかった。
これに対して、Bud33株のBacillus licheniformis由来budC遺伝子をLactococcus lactis 由来butA遺伝子(特許文献2)に置換した株は、55時間で16g/L(生産速度は0.34g/L)のmeso-2,3-ブタンジオールが検出された。また、Bud33株のBacillus licheniformis由来budC遺伝子をCorynebacterium glutamicum 由来butA遺伝子(Appl. Microbiol. Biotechnol. 2016 Dec;100(24):10573-10583)に置換した株は55時間で14g/L(生産速度は0.21g/L)のmeso-2,3-ブタンジオールが検出された。
Claims (8)
- アセト乳酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が宿主のコリネ型細菌に導入されたmeso型の2,3-ブタンジオールを生産することができるコリネ型細菌形質転換体であって、
前記形質転換体は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子、及び乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の破壊、欠損、又は変異によりその機能を欠失、或いは弱化させており、
前記2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子がBacillus licheniformis由来のbudCであり、
前記宿主であるコリネ型細菌は、コリネバクテリウム グルタミカムである、形質転換体。 - アセト乳酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が宿主のコリネ型細菌に導入されたmeso型の2,3-ブタンジオールを生産することができるコリネ型細菌形質転換体であって、
前記形質転換体は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子、及び乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の破壊、欠損、又は変異によりその機能を欠失、或いは弱化させており、
前記2,3-ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が(a)配列番号3の塩基配列を有する遺伝子、(b)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3の塩基配列に対して90%以上の同一性の塩基配列を有する遺伝子、(c)配列番号3の塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子であって、配列番号3がコードするアミノ酸配列に対して同一性が90%以上のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子、のいずれかの遺伝子を含み、
前記宿主であるコリネ型細菌は、コリネバクテリウム グルタミカムである、形質転換体。 - アセト乳酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)由来のals又はそのオーソログである、請求項1又は2に記載のコリネ型細菌形質転換体。
- アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、バチラス サブチリス(Bacillus subtilis)由来のald又はそのオーソログである、請求項1~3のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体。
- 宿主のコリネ型細菌がコリネバクテリウム グルタミカムR (FERM P-18976)、ATCC13032、又はATCC13869である請求項1~4のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体。
- コリネバクテリウム グルタミカムBud33株(受託番号:NITE P-02655)コリネ型細菌形質転換体。
- 請求項1~6のいずれかに記載のコリネ型細菌形質転換体及び糖類を含む反応液を用いて、実質的に増殖できない嫌気又は微好気条件において生産反応工程を行うことを含むmeso型の2,3-ブタンジオールの製造方法。
- 前記糖類がグルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロース、及びマンニトールからなる群より選択される請求項7に記載のmeso型の2,3-ブタンジオールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018047744A JP7112218B2 (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018047744A JP7112218B2 (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019154357A JP2019154357A (ja) | 2019-09-19 |
JP7112218B2 true JP7112218B2 (ja) | 2022-08-03 |
Family
ID=67992172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018047744A Active JP7112218B2 (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7112218B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015228804A (ja) | 2014-06-03 | 2015-12-21 | 三菱化学株式会社 | 2,3−ブタンジオール生産能を有する微生物およびそれを用いた2,3−ブタンジオールの製造方法、1,3−ブタジエンの製造方法 |
-
2018
- 2018-03-15 JP JP2018047744A patent/JP7112218B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015228804A (ja) | 2014-06-03 | 2015-12-21 | 三菱化学株式会社 | 2,3−ブタンジオール生産能を有する微生物およびそれを用いた2,3−ブタンジオールの製造方法、1,3−ブタジエンの製造方法 |
Non-Patent Citations (7)
Title |
---|
Appl Biochem Biotechnol,2015年,vol.176,p.2303-2313 |
Appl Biochem Biotechnol,2016年,vol.178,p.604-617 |
Appl Microbiol Biotechnol,2010年,vol.87,p.2001-2009 |
Appl Microbiol Biotechnol,2016年,vol.100,p.10573-10583 |
Biotechnol Biofuels,2016年,9:90,p.1-14 |
Green Chem,2017年,vol.19,p.5691-5702 |
Microb Cell Fact,2015年,vol.14, no.171,p.1-14 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019154357A (ja) | 2019-09-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7368268B2 (en) | Coryneform bacterium transformant and process for producing dicarboxylic acids using the same | |
KR102305413B1 (ko) | 고활성 변이형 효소를 고발현시킨 코리네형 세균 형질 전환체 및 이를 이용하는 4-히드록시 벤조산 또는 그 염의 제조 방법 | |
JP6327653B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる4−ヒドロキシ安息香酸又はその塩の製造方法 | |
CA2942990A1 (en) | The use of glycerol with limited feed of carbohydrates for fermentation | |
JP5887277B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法 | |
JP5940985B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるアニリンの製造方法 | |
JP7171759B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体およびそれを用いる2-フェニルエタノールの製造方法 | |
KR20150133091A (ko) | 유전적으로 조작된 박테리아 세포 및 그를 이용하여 숙신산을 생산하는 방법 | |
JP7112218B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いる2,3-ブタンジオールの製造方法 | |
JP4495788B2 (ja) | 温度感受性dtsR遺伝子 | |
JP6294309B2 (ja) | アニリン生産性の向上したコリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるアニリンの製造方法 | |
CN115044521A (zh) | L-赖氨酸生产能力得到提高的谷氨酸棒状杆菌突变株及利用其的l-赖氨酸的生产方法 | |
CN114134062A (zh) | L-赖氨酸生产能力得到提高的谷氨酸棒状杆菌突变株及利用其的l-赖氨酸的生产方法 | |
MXPA00010779A (es) | Proceso para la produccion por fermentacion de l-lisina empleando bacterias corineformes. | |
WO2016030373A1 (en) | Modified microorganism for improved production of fine chemicals on sucrose | |
JP2007295809A (ja) | コリネ型細菌形質転換体による高効率な有機化合物の製造方法 | |
WO2021049616A1 (ja) | 形質転換体及びそれを用いる1,3-ブタンジオールの製造方法 | |
JP5296166B2 (ja) | コリネ型細菌形質転換体による高効率な有機化合物の製造方法 | |
EP2829601A1 (en) | Bacterial cell having enhanced succinic acid production and a method for producing the succinic acid using the same | |
WO2019211937A1 (ja) | コリネ型細菌の形質転換体およびそれを用いる有用化合物の製造方法 | |
KR20150018227A (ko) | 외인성 푸마라아제 유전자를 포함하는 코리네박테리움 및 이를 이용한 c4 디카르복실산의 생산 방법 | |
JP2007135602A (ja) | L−グルタミン酸の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20180323 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180417 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220104 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220307 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20220405 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220530 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20220530 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20220531 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20220617 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20220621 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220719 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220722 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7112218 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |