JP7111566B2 - ペリクル枠及びペリクル - Google Patents

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本開示は、ペリクル枠及びペリクルに関する。
半導体製造において、半導体ウェハに配線パターンを形成する露光工程ではフォトマスクが用いられるが、このフォトマスクに異物(パーティクル等)が付着すると配線パターンの欠陥が生じる。
この対策として、即ち防塵するために、フォトマスクの表面を覆うような透明な薄い膜(ペリクル膜)が張設されたペリクルが用いられる。
また、ペリクル膜をフォトマスクから所定距離離して配置するために、ペリクル枠という長方形の枠体が用いられる。この枠体を構成する部材としては、例えば縦3mm×横(厚み)2mmの角柱のような細径の部材が用いられる。
さらに、ペリクル枠には、ペリクルの内部と外部とを連通する細径の貫通孔(即ち通気孔)が設けられており、この通気孔の外側の開口端には、塵等がペリクル内部に侵入することを防ぐために、フィルタが配置されている。
また、近年では、配線パターン等の微細化が進んでおり、それにともなって、露光光線の短波長化が進んでいる。例えば、主波長13.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を使用するEUV露光が検討されている。
このEUV露光では、ペリクルは大気下でフォトマスクに装着され、露光装置内では真空下で使用されるので、露光装置内などで真空引きが行われる。また、真空引きの後の工程では、大気解放等が行われる(特許文献1参照)。
特開2016-191902号公報
ところで、従来では、通気孔の開口端を直接に覆うようにフィルタが配置されているので、短時間で真空引き又は大気解放を行うことは容易ではないという問題があった。つまり、上述した真空引き等を行う場合には、通気孔に比べてフィルタの圧損は非常に大きいので、空気は通気孔に比べてフィルタを通過し難い。そのため、短時間で真空引き等を行うことは容易ではない。
この対策として、前記特許文献1には、通気孔に連通する部材をペリクル枠の内部や外部に張り出すように設け、その張り出し部分に、ペリクル膜と平行にフィルタを配置する技術が開示されている。
しかしながら、この従来技術では、ペリクルの内部空間が小さくなって、露光範囲が小さくなるという問題がある。或いは、ペリクルの外形寸法が大きくなって、ペリクルが大型化するという問題がある。しかも、ペリクル枠の構造が非常に複雑化するので、細径の枠体であるペリクル枠に、そのような構造を設けることは容易ではない。
また、この対策とは別に、ペリクル枠に多数の通気孔(即ち貫通孔)を設けることが考えられるが、ペリクル枠の厚みは通常2mm以下であるので、そのような厚みのペリクル枠に多数の通気孔を設けることは容易ではない。
本開示は、前記課題を解決するためになされたものであり、速やかに真空引きや大気解放を行うことができ、しかも、通気のための構成を容易に形成できるペリクル枠及びペリクルを提供することを目的とする。
(1)本開示の第1局面は、平面視で矩形形状であり、厚み方向の両側に設けられた第1面及び第2面と、第1面及び第2面に連接された内周面及び外周面と、を有するペリクル枠に関するものである。このペリクル枠は、第1面に開口し、内周面側と外周面側とを連通する凹部を備えている。
本第1局面のペリクル枠は、ペリクルを構成する枠体として用いられる。このペリクル枠には、第1面側にペリクル膜が張設される。また、通常、ペリクル枠には、ペリクル枠の内周面側と外周面側とを連通する通気孔が設けられるが、本第1局面では、凹部が内周面側と外周面側とを連通することにより、通気孔としての機能を有している。
従って、この凹部の大きさ(即ち内周面側と外周面側とを連通する流路の断面積:流れ方向と垂直の断面積)を必要な大きさに設定することにより、ペリクル枠の内周面側と外周面側との間にて、十分な通気を確保することができる。なお、流路の断面積が流れ方向に沿って同じ場合には、流路の開口端の面積(開口面積)によって、空気等の流れの状態を調節できる。
よって、例えばペリクル内を真空にする場合(即ち真空引きする場合)等には、短時間で真空引きを行うことができる。なお、ペリクルの外部からペリクルの内部に大気を導入する大気解放の場合も同様であり、短時間で大気開放を行うことができる。
また、本第1局面では、従来のように、ペリクルの内部空間が小さくならないので、露光範囲が小さくなることがない。或いは、ペリクルの外形寸法が大きくなって、ペリクルが大型化するという問題もない。
しかも、凹部は、ペリクル枠に対し例えば切り込みを入れることで形成することができるので、貫通孔に比べて、細径の枠体であるペリクル枠でも、容易に設けることができる。また、多数の凹部も、容易に形成することができる。しかも、凹部の大きさや個数を調節することにより、ペリクル枠の強度を十分に確保することができる。
(2)本開示の第2局面では、ペリクル枠の各辺部の長手方向における、凹部の第1面側に開口する第1開口端の長さLと、凹部の底面から第2面までの最短距離dとが、L/d≦3.0の関係を満たしていてもよい。
本第2局面では、後述する実験例から明らかなように、ペリクル枠が、L/d≦3.0の関係を満たしている場合には、ペリクル枠を製造する際の変形量(即ち弾性変形量)が小さく、よって、ペリクル枠は高い平面度を有している。
なお、ペリクル枠の辺部とは、外形が矩形形状のペリクル枠の各辺に対応する枠部分を示している(以下同様)。また、開口端とは、凹部のうち、ペリクル枠の表面に開口している部分(即ち最も表面の領域部分)を示している。なお、開口端の長さが位置によって異なっている場合(例えば開口端の形状が歪んでいる場合)には、開口端の長さとして最大の長さを採用できる(以下同様)。
(3)本開示の第3局面では、凹部の外周面側に開口する第2開口端の総面積Smmとペリクル枠によって囲まれる内部空間の体積Vmmとの比S/Vは、0.008mm-1以上0.020mm-1以下であってもよい。
本第3局面では、前記比S/V(開口面積比)が、0.008mm-1以上0.020mm-1以下の場合において、短時間で真空引きや大気解放を行うことができる。
なお、前記外周面側の第2開口端(即ち凹部のうち外周面側に開口する開口部分)の総面積Smmとは、凹部が複数ある場合に、各凹部の外周面に開口する各開口部分の面積(即ち開口面積)の合計(即ち全開口面積)である。なお、ここでは、凹部の流路の断面積は、流路方向において一定であるとしている。
(4)本開示の第4局面では、凹部の形状は、内周面側及び/又は外周面側から見た場合に、矩形、台形、多角形、円の一部、及び楕円の一部、の形状のうち1種であってもよい。
本第4局面は、好ましい凹部の形状を例示したものである。
(5)本開示の第5局面では、ペリクル枠の各辺部の長手方向において、凹部の第1面側の第1開口端の長手方向に沿った長さは、凹部の底部の長手方向に沿った長さよりも大であってもよい。
このように、凹部の第1面側の第1開口端の長手方向に沿った長さが、凹部の底部の長手方向に沿った長さよりも大である場合には、つまり、凹部の第1面側が底部よりも開いた形状の場合(例えば第2開口端の形状が第1面側が開いた台形の場合)には、ペリクル枠に外力が加わったときに、例えば第2開口端の形状が矩形形状の場合に比べて、破損し難いので好適である。
(6)本開示の第6局面では、凹部の底部における角部は、R面取りされたR部を有していてもよい。
このように、凹部の底部の角部にR部を有している場合には、ペリクル枠に外力が加わったときに、角部の部分から破損し難いので好適である。
(7)本開示の第7局面では、ペリクル枠は、導電性を有するセラミック焼結体からなっていてもよい。
このような構成の場合には、放電加工によって、容易にペリクル枠の加工を行うことができる。
(8)本開示の第8局面では、ペリクル枠は、ヤング率が300GPa以上、強度が500MPa以上であってもよい。
このような構成の場合には、ペリクル枠は、十分な剛性や強度を有するので、変形や破損が生じにくく、好適である。
ここで、強度とは、JIS R1601:2008で規定するL=30mmでの3点曲げ強度を示している。
(9)本開示の第9局面では、ペリクル枠は、熱伝導率が15W/mK以上のセラミック焼結体からなっていてもよい。
このような構成の場合には、ペリクル枠の伝熱性が高いので、ペリクル枠が、上述した露光の際の温度上昇によって変形することを、好適に抑制できる。
(10)本開示の第10局面では、ペリクル枠は、熱膨張率が10ppm/℃以下であるセラミック焼結体からなっていてもよい。
このような構成の場合には、ペリクル枠が、露光の際の温度上昇によって変形することを、好適に抑制できる。
なお、この熱膨張率は、常温(25℃)~600℃の温度範囲における線熱膨張率である。
(11)本開示の第11局面は、第1~第10局面のいずれかのペリクル枠と、ペリクル枠の第1面側に配置されたペリクル膜と、を備えたペリクルに関するものである。
このペリクルは、ペリクル枠の凹部の第1面側の第1開口端は、ペリクル膜によって覆われている。
本第11局面のペリクルは、上述したペリクル枠を用いることによる効果を奏する。
(12)本開示の第12局面では、ペリクル枠の凹部の外周面側の第2開口端は、フィルタによって覆われていてもよい。
このフィルタにより、塵等がペリクルの内部に侵入することを抑制できる。
<以下、本開示の構成について説明する>
ペリクル枠の材料としては、導電性又は非導電性の材料を採用できる。例えばペリクル枠を構成する材料として、セラミックスを主成分とする材料を採用できる。なお、主成分とは、最も多い成分量(例えば重量%)を示している。
例えば、導電性の材料としては、アルミナ・炭化チタン、アルミナ・炭化チタン・窒化チタン、ジルコニア・炭化チタン、超硬、サーメット等を採用できる。また、ジュラルミン等の金属(例えば合金)を採用できる。
ペリクル枠を構成する材料が、導電性の材料である場合には、放電加工(例えばワイヤー放電加工、細穴放電加工、型彫り放電加工など)によって、ペリクル枠の外形や凹部や有底孔等を容易に所望の形状に加工できる。
また、非導電性の材料としては、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等のセラミックスなどを採用できる。
ペリクル枠の寸法としては、枠部分の幅、厚さとも、例えば2.0mm~5.0mmの範囲を採用できる。開口部(中央貫通孔)の寸法としては、例えば縦120mm~150mm、横150mm~120mmの範囲を採用できる。
第1実施形態のペリクル枠を示す斜視図である。 第1実施形態のペリクル枠をXY平面に沿って破断した断面を示す断面図である。 第1実施形態のペリクル枠の凹部が設けられた第2辺部の一部を外周面側から見た正面図である。 図4Aは第1実施形態のペリクルの第4辺部の一部を外周面側から見た正面図、図4Bは図4Aの第4辺部の一部を第1面側から見た平面図、図4Cはサポートフレームに貼り付けられたペリクル膜を示す平面図である。 第1実施形態のペリクル枠の製造方法を示す工程図である。 第2実施形態のペリクル枠の凹部が設けられた第4辺部の一部を外周面側から見た正面図である。 図7Aは第3実施形態のペリクル枠の凹部が設けられた第4辺部の一部を外周面側から見た正面図、図7Bは第4実施形態のペリクル枠の凹部が設けられた第4辺部の一部を外周面側から見た正面図、図7Cは第5実施形態のペリクル枠の凹部が設けられた第4辺部の一部を外周面側から見た正面図である。 図8Aは実験例に用いる梁部材の研磨状態を示す説明図、図8Bは研磨によって梁部材が変形することを示す説明図である。
以下、本開示のペリクル枠及びペリクルの実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
まず、第1実施形態のペリクル枠の全体構成について説明する。
図1及び図2に示すように、ペリクル枠1は、自身の片面(図1の上方)にペリクル膜3(図4参照)が張設される部材である。このペリクル枠1は、セラミックを主成分とする材料(例えばアルミナを主成分とし、炭化チタンを含有する導電性セラミックス)から構成されている。つまり、ペリクル枠1は、例えばアルミナを主成分とする導電性を有するセラミック焼結体である。
なお、図1及び図2では、ペリクル枠1自体を示し、後述する図4では、ペリクル枠1にペリクル膜3とフィルタ5とを備えたペリクル7を示している。
また、以下では、ペリクル枠1の全ての面のうち、ペリクル枠1自身で囲まれた内側の面を内周面11、内側と反対側の外側の面を外周面13と呼ぶ。また、内周面11と外周面13とに連接された面のうち、ペリクル膜3が張設される側を上面(例えば第1面)15、反対の面をフォトマスク(図示せず)に貼り付けられる下面(例えば第2面)17と呼ぶ。
図1に示すように、直交するX軸、Y軸、Z軸の座標系において、ペリクル枠1は、Z方向から見た平面視で、矩形形状(即ち長方形)の枠体(即ち環状の部材)であり、中央には平面視で矩形形状の中央貫通孔19を有している。
つまり、ペリクル枠1は、同一平面上にて、平面視で、上下左右の四方に配置された長尺の枠部からなる。詳しくは、ペリクル枠1は、X軸に平行に配置された第1辺部21a及び第2辺部21bと、Y軸に平行に配置された第3辺部21c及び第4辺部21dとによって構成されている。この第1辺部21a及び第2辺部21bは、第3辺部21c及び第4辺部21dよりも寸法が短い。なお、第1~第4辺部21a~21dを辺部21と総称する。
このペリクル枠1の外形の寸法は、例えば、縦(Y方向)149mm×横(X方向)115mm×厚み(Z方向)1.8mmであり、ペリクル枠1の内径の寸法は、例えば、縦(Y方向)145mm×横(X方向)111mm×厚み(Z方向)1.8mmである。
よって、ペリクル枠1の内部空間NKの容積(体積)Vは、例えば28971mmである。なお、ここで、内部空間NKの体積Vとは、ペリクル枠1に後述する凹部25が設けられていないと仮定した場合において、ペリクル枠1(即ちその内周面11)で囲まれた空間の体積である。
また、ペリクル枠1の各辺部21は四角柱であり、その幅の寸法(Z方向から見た幅の寸法:枠幅)は、同一(例えば2mm)である。
なお、図示しないが、Z方向からペリクル枠1の外周及び内周の角部は、R加工されて、滑らかに湾曲している。
また、ペリクル枠1は、ヤング率が300GPa以上であり、強度(JIS R1601:2008にて規定される3点曲げ強度)が500MPa以上である。さらに、ペリクル枠1は、熱伝導率が15W/mK以上であり、常温(25℃)~600℃の温度範囲における熱膨張率が10ppm/℃以下である。なお、ペリクル枠1の第1面15及び第2面17おける平面度は10μm以下である。
さらに、ペリクル枠1には、図1に示すように、X方向における両枠部(即ち長辺の第3辺部21c及び第4辺部21d)の外周面13側において、それぞれ2箇所(合計4個所)に、有底孔23が形成されている。
この有底孔23は、例えばφ1.5mm、深さ1.2mmの有底の丸穴であり、底部は円錐形状に整えられている。なお、有底孔23は、ペリクル7の製造およびその後のフォトマスクに取り付ける際の位置決めや搬送の際の把持部等に用いられる。
[1-2.ペリクル枠の要部の構成]
次に、ペリクル枠1の要部の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、ペリクル枠1の長辺に対応した第3辺部21c及び第4辺部21dの第1面15には、それぞれ凹部25が多数形成されている。
この凹部25は、第1面15側に開口するとともに、内周面11側と前記外周面13側とを連通するものであり、ペリクル枠1の第1面15側にペリクル膜3が貼り付けられた場合に、ペリクル7の内部空間NKと外部の空間GKとを連通して通気が可能な構成である。
以下では、この凹部25について、第4辺部21dに設けられた凹部25を例に挙げて説明するが、第3辺部21cの凹部25も同様な形状であるので、その説明は省略する。
なお、本第1実施形態では、ペリクル枠1の第3辺部21c及び第4辺部21dに、凹部25が形成されているが、全ての辺部21うち、少なくとも1つの辺部21に、凹部25を設けてもよい。
図3に示すように、ペリクル枠1の凹部25は、第1面15側において、内周面11側から外周面13側に到るように、X方向に延びる溝状の切込みであり、第4辺部21dの長手方向(Y方向)に沿って多数形成されている。この凹部25のうち、第1面15側に開口する開口部分(即ち第1開口端29a)は、平面視で矩形形状であり、外周面13側に開口する開口部分(即ち第2開口端29b)も、外周面13側から見た場合に矩形形状である(図4参照)。従って、凹部25の内部の空間は直方体である。
詳しくは、図3に示すように、凹部25のY方向の寸法(即ち長さ:切込幅)L(ここではL1と記す)は例えば1.4mmであり、凹部25の間の糊代27の寸法L2(即ち第1面15において隣り合う凹部25の間の寸法)は例えば0.3mmであり、よって、ピッチL3(即ちL1+L2)は例えば1.7mmである。なお、凹部25は、有底孔23の部分を避けるようにして、例えば24個設けられている(図2参照)。
ペリクル枠1の厚みTは例えば1.8mmであるので、凹部25の深さ(切込深さ)tは、その厚みTよりも少ない例えば1.1mmに設定されている。なお、凹部25の底部26の面(底面)26aから第2面17までの寸法(最短距離)dは例えば0.7mmである。ここで、凹部25の深さtは、ペリクル枠1の強度確保するために、厚みTの30~75%の範囲に設定されている。
また、本第1実施形態では、凹部25の長さL1と、凹部25の底面26aから第2面17まで距離である深さ(即ち最短距離)dとが、L1/d≦3.0の関係を満たしている。
なお、凹部25の底部26における角部(即ち図3の底部26の左右の端部)は、R面取りされたR部26bとなっている。
[1-3.ペリクル]
次に、ペリクル7の構成について説明する。
図4に示すように、ペリクル7は、ペリクル枠1の第1面15側に貼り付けられたペリクル膜3と、凹部25の外周面13側の開口部分(即ち図4B下側の第2開口端)29bを覆うフィルタ5と、備えている。
なお、フィルタ5は、凹部25の外周面13側の開口部分29bを覆っていればよく、例えば、該開口部分29bに対して個別に配置されていてもよいし、または、複数の開口部分29bに亘って連続する形態で配置されていてもよい。
ペリクル膜3は、例えば厚さ47nmの透明なフィルムである。このペリクル膜3をペリクル枠1の第1面15に貼り付ける場合には、図4Cに示すように、枠状のサポートフレーム33が使用される。
つまり、ペリクル膜3の外周の縁部には、四角枠状のサポートフレーム33が貼り付けられ、このサポートフレーム33がペリクル枠1の第1面15に貼り付けられる。
なお、ペリクル膜3及びサポートフレーム33は、図4Bに斜線で示すように、凹部25の第1面15側の開口部分(即ち第1開口端)29aを覆うように、貼り付けられる。
また、前記フィルタ5は、フォトマスクヘ固定したペリクル7内への塵等の異物の流入を防止する周知のフィルタであり、異物の流入を防止可能な周知の材料で形成されている。
このフィルタ5としては、例えば粒径が0.15μm以上0.3μm以下の粒子に対して粒子捕集率が99.7%以上100%以下のフィルタを用いることが望ましい。
例えば、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)を用いることができる。ULPAフィルタは、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、且つ、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。
また、フィルタ5として、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)を用いてもよい。HEPAフィルタは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、且つ、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。
図4Aに示すように、フィルタ5は、外周面13側から見た場合、その形状は矩形形状である。そして、凹部25の矩形形状の第2開口端29bを全て覆うとともに、第2開口端29bの周囲に隙間が生じないように、第2開口端29bの周囲の全周を覆っている。
前記フィルタ5は、例えば接着剤によって、凹部25の第2開口端29bの周囲に貼り付けられている。なお、フィルタ5のうち、第2開口端29bの上端部分はサポートフレーム33に対して隙間が生じないように貼り付けられている。
そして、本第1実施形態では、全ての凹部25の第2開口端29bの各面積(即ち各開口面積)の合計(総面積Smm)と、ペリクル枠1の内周面11で囲まれた内部空間NKの体積(Vmm)との比(開口面積比:S/V)は、0.008mm-1以上0.020mm-1以下である。
なお、全ての凹部25の第2開口端29bの総面積Sは、後述する実験例等に示すように、凹部25の第2開口端29aの形状や寸法や個数によって異なる。
[1-4.ペリクル枠の製造方法]
次に、ペリクル枠1の製造方法について説明する。なお、各部の寸法は例示である。
(第1工程P1)
図5に示すように、まず、第1工程(素地の作製工程)P1では、ペリクル枠1の原料である粉体(即ち素地粉末)を作製した。
ここで粉体とは、ペリクル枠1を構成する焼結体の元になる物質であり、アルミナや導電性材料などの原料粉末に、焼結助剤などを適宜加え湿式混合した後、噴霧乾燥法によって50μm~100μmの顆粒に作製したものである。なお、原料粉末の粒径の測定は、レーザー回折・散乱法により行なったが、動的光散乱法や沈降法により行なってもよい。
詳しくは、この素地の作製工程では、平均粒径0.5μmのα-アルミナ粉末63体積%、平均粒径1.0μmの炭化チタン10体積%、平均粒径1.0μmの窒化チタン25体積%、残部をMgO:Y=1:1の焼結助剤からなる複合材料を調製した。
そして、この複合材料を湿式混合し、成形用有機バインダを加えた後、通常の噴霧乾燥法により、アルミナ・炭化チタン・窒化チタンの複合セラミックス素地粉末を作製した。
(第2工程P2)
次に、第2工程(成形工程)P2では、この粉体を成形し、ペリクル枠1の原形を形成した。
詳しくは、複合セラミックス素地粉末を、金型プレス法により、外形寸法を縦182mm×横147mm×厚さ6mm、枠幅5mm程度の枠形状に成形し、ペリクル枠1の原型(粉末成形体)を作製した。
ここでは、後述する焼成工程により、ペリクル枠1の外形は、20~30%程度縮むため、予め、焼成後のペリクル枠1より大きく成形する。なお、ペリクル枠1は、半導体露光装置における露光用マスクの大きさに合わせて種々の大きさが可能である。
(第3工程P3)
次に、第3工程(焼成工程)P3では、前記粉体の成形後、これを所定温度で焼成した。
詳しくは、粉末成形体を脱バインダし、不活性ガス中にて1700℃で3時間保持して焼成し、導電性を有する緻密なセラミックス焼結体を得た。
なお、焼成温度は、粉体の組成によるが、一般に1500℃以上である。焼成することにより、高いヤング率と強度とを持つ焼結体が得られる。
この焼結体の寸法(外形)は、縦151mm×横122mm×厚さ5mm、枠幅4mm程度であった。なお、0.3mm程度の歪みがあった。
(第4工程P4)
次に、第4工程(厚さ加工工程)P4では、焼結体に対して、その厚さを調節する厚さ加工(具体的には研削加工)を行った。
詳しくは、焼結体の上下面(厚さ方向の両面)を、平面研削盤にてほぼ同量研削し、厚さ1.9mmに加工した。なお、平面研削後の平面度は、20μm~40μmであった。
なお、ここでは、後述する精密平面加工(第9工程P9)の研削代(例えば0.05mm~0.10mm)を残して厚さを揃えた。
(第5工程P5)
次に、第5工程(内形・外形加工工程)P5では、厚さ加工後の焼結体に対して、内形・外形加工を行った。
詳しくは、ワイヤー放電加工により、焼結体の内形及び外形を、外形の寸法が縦149mm×横120mm、枠幅2mmとなるように加工した。つまり、保持治具(図示せず)で焼結体の外周面を把持し、焼結体の内周面と外周面とに対してワイヤー放電加工を行い、内形や外形を目的とする寸法に加工した。なお、この際に、稜部(コーナー部)のR加工を行ってもよい。
(第6工程P6)
次に、第6工程(穴開け加工工程)P6では、型彫り放電加工にて、焼結体の対向する長辺に、有底孔23をそれぞれ2個形成した。
詳しくは、焼結体に対して、ペリクル枠1の第3辺部21c及び第4辺部21dの外周面13の対応する部分に、例えば直径φ1.5mm×深さ1.2mmの有底孔23を形成した。
(第7工程P7)
次に、第7工程(切込加工工程)P6では、ワイヤー放電加工にて、焼結体に対して、ペリクル枠1の第3辺部21c及び第4辺部21dの各第1面15に、それぞれ溝の形状の複数の凹部25を形成した。
具体的には、凹部25の切込形状に沿ってワイヤーを移動させ、凹部25内に空間に応じた直方体形状の切込部を切り落とす。
なお、このワイヤー放電加工の際に、凹部25の底部26における角部を滑らかに加工して、R部26bを形成する。
なお、第3辺部21c及び第4辺部21dにおける凹部25の位置は同じであるので、長いワイヤーを用いて、第3辺部21cと第4辺部21dとにおいて対向する位置にある凹部25を同時に加工することができる。
また、ワイヤー放電加工以外に、型彫り放電加工によって、第3辺部21c及び/又は第4辺部21dの凹部25を一括して加工することもできる。或いは、機械加工によって、凹部25を形成することもできる。
(第8工程P8)
次に、第8工程(放電加工面の表面処理工程)P8では、上述した第5~第8工程P5~P7において放電加工を行った表面(即ち放電加工面)の表面処理を行った。
詳しくは、サンドブラスト処理により、放電加工によって生じた熱変質層を除去した。なお、サンドブラスト処理では、粒度#600(平均粒径約30μm)の炭化ケイ素砥粒を使用した。除去した層の厚みは、5μm程度であった。
(第9工程P9)
次に、第9工程(精密平面加工工程)P9では、サンドブラスト処理後の焼結体に対して、精密平面加工を行った。
この精密平面加工では、ダイアモンド砥石を用いて、焼結体の片面25μm~50μmずつ研磨加工を行い、厚さ1.8mm、平面度を10μm未満に加工した。
以上の処理により、アルミナを主成分とするペリクル枠1を得た。
このペリクル枠1のヤング率と強度とを計測したところ、ヤング率420GPa、強度690MPaであった。
なお、形成されたペリクル枠1の稜部に対して、ブラシ研磨加工を行い、R半径が0.03mm~0.05mmの面取り加工を行ってもよい。
そして、ペリクル枠1の中央貫通孔19の全面を覆うように、ペリクル膜3をサポートフレーム33を介してペリクル枠1の第1面15側に配置し、周知の接着剤を用いて、ペリクル膜3をサポートフレーム33を介してペリクル枠1の第1面15に貼り付けた。つまり、ペリクル膜3及びサポートフレーム33の外縁部分を、ペリクル枠1の第1面15に貼り付けた。
このとき、第1面15には、各凹部25の第1面15側の第1開口端29aが開口しているので、この凹部25の第1開口端29aは、ペリクル膜3によって覆われることになる。
その後、前記ペリクル枠1に対して、各凹部25の外周面13側の第2開口端29bを覆うように、周知の接着剤を用いて、それぞれフィルタ5を貼り付けた。つまり、フィルタ5の外縁部分を凹部25の第2開口端29bの周囲に貼り付けた。
このようにして、ペリクル7を製造することができた。
[1-5.効果]
(1)本第1実施形態のペリクル枠1には、第1面15側に開口し、内周面11側と外周面13側とを連通する複数の凹部25が設けられている。従って、この凹部25にて、ペリクル枠1の内周面11側と外周面13側との間にて、十分な通気を確保することができる。
よって、例えばペリクル7内を真空にする場合(即ち真空引きする場合)等には、短時間で真空引きを行うことができる。なお、ペリクル7の外部からペリクル7の内部に大気を導入する大気解放の場合も同様であり、短時間で大気開放を行うことができる。
また、本第1実施形態では、従来のように、ペリクル7の内部空間NKが小さくならないので、露光範囲が小さくなることがない。或いは、ペリクル7の外形寸法が大きくなって、ペリクル7が大型化するという問題もない。
しかも、凹部25は、ペリクル枠に対し切り込みを入れることで形成することができるので、貫通孔に比べて、細径の枠体であるペリクル枠1でも、容易に設けることができる。また、多数の凹部25も、容易に形成することができる。しかも、凹部25の大きさや個数を調節することにより、ペリクル枠1の強度を十分に確保することができる。
(2)本第1実施形態では、凹部25の第1開口端29aの長さL1と、凹部25の底面から第2面17までの最短距離dとが、L1/d≦3.0の関係を満たしている。
従って、後述する実験例から明らかなように、ペリクル枠1を製造する際の変形量(即ち弾性変形量)が小さいので、ペリクル枠1は高い平面度を有している。
(3)本第1実施形態では、全ての凹部25の第2開口端29bの総面積(Smm)とペリクル枠1の内部空間NKの体積(Vmm)との開口面積比(S/V)は、0.008mm-1以上0.02mm-1以下ある。
このような場合でも、短時間で真空引きや大気解放を行うことができる。
(4)本第1実施形態では、凹部25の底部26の角部にR部26bを有しているので、ペリクル枠1に外力が加わったときに、角部の部分から破損し難いので好適である。
(5)本第1実施形態では、ペリクル枠1は、導電性を有するセラミック焼結体からなるので、ペリクル枠1を、放電加工によって容易に加工することができる。
(6)本第1実施形態では、ペリクル枠1は、ヤング率が300GPa以上、強度が500MPa以上であるので、ペリクル枠1は、十分な剛性や強度を有する。
(7)本第1実施形態では、ペリクル枠1は、熱伝導率が15W/mK以上のセラミック焼結体からなるので、ペリクル枠1が、露光の際の温度上昇によって変形することを、好適に抑制できる。
(8)本第1実施形態では、ペリクル枠1は、熱膨張率が10ppm/℃以下であるセラミック焼結体からなるので、ペリクル枠1が、露光の際の温度上昇によって変形することを、好適に抑制できる。
[1-6.文言の対応関係]
第1実施形態の、第1面15、第2面17、内周面11、外周面13、ペリクル枠1、凹部25、辺部21、底面26a、底部26、R部26b、ペリクル膜3、ペリクル7、フィルタ5は、それぞれ、本開示の、第1面、第2面、内周面、外周面、ペリクル枠、凹部、辺部、底面、底部、R部、ペリクル膜、ペリクル、フィルタの一例に相当する。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図6に示すように、本第2実施形態のペリクル枠41は、第1実施形態とは、凹部43の形状が異なる。
つまり、本第2実施形態では、凹部43の外周面13側の形状は、等脚台形である。詳しくは、凹部43の第1面15側の第1開口端45aの長手方向(図6の左右方向)に沿った長さL4は、凹部43の底部47の長手方向に沿った長さL5よりも大である。
なお、例えば長さL4は3.0mm、長さL5は0.6mm、凹部43間の長さL6は1.0mmである。また、ペリクル枠41の厚みTが例えば1.8mmの場合には、凹部43の深さtは例えば1.3mmである。
また、本第2実施形態において、長辺である第3辺部21c及び第4辺部21dに、それぞれ36個の凹部43を設け、短辺である第1辺部21a及び第2辺部21bに、それぞれ26個の凹部43を設ける場合には、凹部43の外周面13側の各第2開口端45bの面積(各開口面積)の合計(全開口面積:総面積S)は、285.5mmである。
従って、内部空間NKの体積Vを28971mmとした場合には、開口面積比(S/V)は、0.0099mm-1である。
本第2実施形態は第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本第2実施形態は、第1面15側が広く開口する等脚台形であるので、例えば第1面15側の各第1開口端45aの面積(各開口面積)が第1実施形態と同じである場合には、外部から力が加わっても、第1実施形態よりも破損しにくいという利点がある。
[3.第3~第5実施形態]
次に、第3~第5実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図7Aに示すように、本第3実施形態のペリクル枠51は、第1実施形態とは、凹部53の形状が異なる。
つまり、本第3実施形態では、凹部53の外周面13側の形状は、四角形を上回る多角形(例えば8角形)である。なお、三角形でもよい。
本第3実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本第3実施形態では、折れ曲り部分の角度が90度より広い角度であるので、外部から力が加わっても、破損しにくいという利点がある。
図7Bに示すように、本第4実施形態のペリクル枠61は、第1実施形態とは、凹部63の形状が異なる。
つまり、本第4実施形態では、凹部63の外周面13側の形状は、円の一部(例えば半円)である。
本第4実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本第4実施形態では、凹部63は滑らかに湾曲しているので、外部から力が加わっても、破損しにくいという利点がある。
図7Cに示すように、本第5実施形態のペリクル枠71は、第1実施形態とは、凹部73の形状が異なる。
つまり、本第5実施形態では、凹部73の外周面13側の形状は、楕円の一部(例えば楕円の半分)である。
本第5実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、本第5実施形態では、凹部73は滑らかに湾曲しているので、外部から力が加わっても、破損しにくいという利点がある。
[4.実験例]
次に、演算等による実験例について説明する。
[4-1.実験例1]
本実験例1は、ペリクル枠の各部の寸法を規定して、開口面積比(S/V)の好ましい範囲を求めたものである。
(従来例)
まず、従来のペリクル枠において、2箇所に貫通孔である通気孔を設けた場合の開口面積比について説明する。
ここでは、ペリクル枠の外形寸法を、縦149mm×横115mm、ペリクル枠の内径寸法を、縦145mm×横111mmとし、ペリクル枠の高さ(厚み)Tを、1.8mm又は2mmとする。なお、ペリクル枠の幅を2mmとする。
よって、ペリクル枠を展開した場合の内辺の長さは、
(111+145)×2=512mm
そのうち、R部分を除いた直線部の長さは、
(105+140)×2=490mm
ペリクル枠の内容積Vは、
T=1.8mmの場合は、145×111×1.8=28971mm
T=2.0mmの場合は、145×111×2.0=32190mm
また、2つの通気孔の各直径はφ0.5mmであるので、全開口面積(総面積S)は
(0.25)×3.14×2=0.3925mm
従って、開口面積比(S/V)は、
T=1.8mmの場合は、1.35E-05mm-1
T=2.0mmの場合は、1.2E-05mm-1
(本開示例)
次に、本開示例のペリクル枠として、第1実施形態に記載の形状の凹部(即ち切込み)を有する場合の開口面積比について説明する。なお、開口面積(即ち切込面積)とは、凹部の外周面側に開口する第2開口端の面積である。
前記図3に示すように、ペリクル枠の厚みT、切込深さ(凹部の深さ)t、切込幅(凹部のY方向の寸法)L1、糊代L2とすると、下記式(1)~(3)の関係となる。
なお、下記の開口面積sは、切込み1個当たりの開口面積であり、最大切込個数Nmaxは、切込みの数の最大値であり、最大開口面積Smaxは、各開口面積sの合計の最大値(全開口面積S=総面積S)である。
s=t×L1 ・・(1)
Nmax=ペリクル枠の直線部の内周長さ÷(L1+L2)・・(2)
Smax=s×Nmax
=t×L1×ペリクル枠の直線部の内周長さ÷(L1+L2)・・(3)
ここで、糊代L2の最小値を0.2mm、切込幅L1の最大値を3×(T-t)とすると、Smaxは、下記式(4)のようになる。
なお、切込幅L1の最大値を3×(T-t)とする理由は、ペリクル枠を製造する際の変形量(即ち弾性変形量)を小さくし、ペリクル枠の高い平面度を保つためである。
Smax=s×Nmax=t×3(T-t)×490÷(3(T-t)+0.2)・・(4)
そして、下記表1及び表2に示すように、T=1.8mm、T=2.0mmとした場合に、前記式(4)等を用いて、最大開口面積Smax[mm]、開口面積比[mm-1]を求めた。なお、開口面積比は、最大開口面積Smaxを前記ペリクル枠の内容積Vで割ったものである。
ここでは、表1及び表2に示すように、t(切込深さ)[mm]、T-t(底部肉厚d)[mm]、切込幅Lmax[mm]、切込面積max/個[mm]、最大切込個数Nmax[個]を設定した。
なお、切込幅Lmaxとは最大切込個数Nmaxにおける切込幅L1であり、切込面積max/個とは最大切込個数Nmaxにおける切込み1個当たりの開口面積である。
Figure 0007111566000001
Figure 0007111566000002
なお、底部肉厚が0.5mm未満では、ペリクル枠を製造することはできなかった。
この表1及び表2から明らかなように、開口面積比は、0.008mm-1以上0.02mm-1以下の範囲であることが分かる。
[4-2.実験例2]
本実験例2は、切込幅Lと底部肉厚dとが、「L/d≦3.0の」の関係を満たすことが望ましいことを調べたものである。なお、ここでは、切込幅として、L1に代えてLを用いて説明する。
<板材における実験例>
図8Aに示すように、長さ115mm×厚み(T)2.5mm×幅(w)2.0mmの実験用の板材(梁部材)Q1の両端を、高さ40μmのスペーサQ2の上に載置し、砥石(ダイアモンド砥石)Q3で、回転しつつ往復動することにより、4分間、40μm研磨した。
なお、両スペーサQ2間の距離(スパン)Lは、110mmとした。
その結果、図8Bに示すように、研磨後の厚み方向の変形量(即ち弾性変形量)は、30μmであった。
<板材の変形量の理論値>
次に、上述した実験結果を踏まえた、板材の変形量の算出方法(理論値)について説明する。
切込みの開口部分の寸法を、長手方向における長さL、底部肉厚(即ち切込みの底面から第2面までの最短距離)d、枠体の幅wとすると、研磨時の変形量(即ち弾性変形量)δは、下記式(5)で近似される。
変形量δ≒加工時荷重×L×(1/w)×(1/d)・・(5)
また、式(5)の右辺は、「(加工時圧力×w)×L×(1/w)×(1/d)」と書き換えられるので、下記式(6)が得られる。なお、図8Aのような研削加工を行う場合には、研削速度を一定に管理するので、加工時加重は、加工時圧力×wである。
変形量δ≒(加工時圧力×w)×L×(1/w)×(1/d)・・(6)
そして、加工時圧力をPとすると、式(6)から式(7)が得られる。
変形量δ≒P×L/d・・(7)
このことから、変形量δは、「P×L/d」に比例し、幅wによらないことが分かる。
そして、前記板材における実験例では、スパンL=110mm、厚さd=2.5mm、幅w=2.0mmの時の反り量(変形量)δは30μmであるので、前記式(7)から、30≒P×110/2.5となる。従って、Pは、約30/(110/2.5)となる。
よって、前記式(7)から、下記式(8)が得られる。
変形量δ≒P×L/d=30/(110/2.5)×L/d・・(8)
この式を書き換えると下記式(9)が得られる。
変形量δ≒30×(L/110)×(2.5/d)・・(9)
従って、この式(9)に、下記表3に示すように、L及びdの値をそれぞれ設定することにより、変形量δ(μm)が得られる。なお、表3において、灰色の範囲が、変形量δが5μm未満となる範囲である。
Figure 0007111566000003
また、前記表3を「L/d」で規格化した。つまり、表3の各欄に対応したL及びdを用いて「L/d」を求め、その値を表4に対応する欄に記載した。なお、表4においても、灰色の範囲が、変形量δが5μm未満に対応する範囲である。
Figure 0007111566000004
この表4及び前記表3から明らかなように、「L/d≦3.0」の範囲であれば、変形量が5μm未満であり、凹部を形成して、通気性を向上させたとしても、高い平面度を保つことができ、好ましいことが分かる。
[4-3.実験例3]
本実験例3は、ペリクル枠の各部の寸法等を規定して、真空引きや大気解放に要する時間を求めたものである。
フィルタとしては、ULPA規格を満足するものを用いる。
このULPA規格とは、定格風量で粒径が、0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、且つ、初期圧力損失が、245Pa以下の性能を有するフィルタである。
試験方法としては、JIS B 9927 クリーンルーム用エアフィルタ性能試験方法の規定(試験風速=5.3[cm/sec])を基準とし、下記式(10)により、ペリクル枠の定格風量を求めることができる。なお、ここでは、全開口面積を単に開口面積Sとしている。
ペリクル枠の定格風量=風速(53[mm/sec])×開口面積(S[mm])
=53S[mm/sec] ・・(10)
また、1気圧(100000[Pa])の気圧差を、真空引きまたは大気解放する時間TAは、下記式(11)から求めることができる。
TA=(ペリクル枠の内容積÷定格風量)×(100000[Pa]÷許容圧力差)・・(11)
ここで、ペリクル膜が変形・破損しない許容圧力差を245[Pa]とすると、下記式(12)から時間TAを求めることができる。なお、前記許容圧力差は、便宜的に245[Pa]であるものとして計算を行うこととする。
TA={28971/(53*S)}*(100000/245)≒180000/S [sec]・・(12)
ここでは、ペリクル枠の内容積として、ペリクル枠の内径寸法を、縦145mm×横111mmとし、ペリクル枠の高さ(厚み)Tを、1.8mmとした場合を用いている。
さらに、下記の手順で、凹部の開口面積Sの最小値を求めることができる。
即ち、真空引きの時間TA=1時間(3600[sec])以内と仮定すると、180000/3600≒50[mm]以上の開口面積が必要となる。つまり、凹部の開口面積Sの最小値は、約50[mm]である。
また、開口面積比(S/V)の必要最小値は、下記式(13)から求めることができる。
開口面積比[mm-1]=50[mm]÷内容積V(28971[mm])=0.002[mm-1] ・・(13)
一方、凹部の開口面積Sの最大値(例えば各凹部の開口面積の合計の最大値)は、前記式(4)によって、503mmとなる。
従って、開口面積比(S/V)の最大値は、前記式(13)と同様な演算により、0.02mm-1となる。
従って、開口面積比(S/V)の範囲は、上述した条件では、0.002mm-1以上0.02mm-1以下と考えられる。
なお、第1フィルタとして、例えば特開2013-52320号公報に記載の濾材を用いる場合には、圧力損失は190[Pa]以下と小さく、真空引き時間を短縮できる。なお、カバー層<10[pa]、プレ捕集層<80[Pa]、主捕集層<100[Pa]である。
また、主捕集層<100[Pa]のみを用いれば、さらに圧損が半減し、真空引き時間の短時間化が可能である。
[5.その他の実施形態]
尚、本開示は、前記実施形態等に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
(1)例えば、ペリクル枠の枠体を構成する材料としては、例えば下記表5に記載の導電性セラミックスなどを採用できる。また、例えば下記表6に記載の非導電性セラミックスを採用できる。
Figure 0007111566000005
Figure 0007111566000006
また、導電性セラミックスの組成及びセラミックス以外の導電性材料の組成としては、下記表7の組成を採用できる。さらに、非導電性セラミックスの組成としては、下記表8の組成を採用できる。
Figure 0007111566000007
Figure 0007111566000008
なお、表5のNo.1~4と表7のNo.8~11は同じ材料である。表6のNo.5~7と表8のNo.12~14は同じ材料である。
(2)また、ペリクル枠を形成するセラミックス材料としては、例えば特開2016-122091号公報に開示されているような、窒化ケイ素、ジルコニア、アルミナと炭化チタンの複合セラミックス等、各種の材料を採用できる。
(3)なお、上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1、41、51、61、71…ペリクル枠
3…ペリクル膜
5…フィルタ
7…ペリクル
11…内周面
13…外周面
15…第1面
17…第2面
21…辺部
25、43、53、63、73…凹部
26…底部
26a…底面
26b…R部

Claims (11)

  1. 平面視で矩形形状であり、厚み方向の両側に設けられた第1面及び第2面と、前記第1面及び前記第2面に連接された内周面及び外周面と、を有するペリクル枠において、
    前記第1面に開口し、前記内周面側と前記外周面側とを連通する凹部を備え、
    前記凹部の前記外周面側に開口する第2開口端の総面積Smm と前記ペリクル枠によって囲まれる内部空間の体積Vmm との比S/Vは、0.008mm -1 以上0.020mm -1 以下である、
    ペリクル枠。
  2. 前記ペリクル枠を構成する各辺部の長手方向における、前記凹部の前記第1面に開口する第1開口端の長さLと、前記凹部の底面から前記第2面までの最短距離dとが、L/d≦3.0の関係を満たす、
    請求項1に記載のペリクル枠。
  3. 前記凹部の形状は、前記内周面側及び/又は前記外周面側から見た場合に、矩形、台形、多角形、円の一部、及び楕円の一部、の形状のうち1種である、
    請求項1又は2に記載のペリクル枠。
  4. 前記ペリクル枠を構成する各辺部の長手方向において、前記凹部の前記第1面側の第1開口端の前記長手方向に沿った長さは、前記凹部の底部の前記長手方向に沿った長さよりも大である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  5. 前記凹部の底部における角部は、R面取りされたR部を有する、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  6. 前記ペリクル枠は、導電性を有するセラミック焼結体からなる、
    請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  7. 前記ペリクル枠は、ヤング率が300GPa以上、強度が500MPa以上であるセラミック焼結体からなる、
    請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  8. 前記ペリクル枠は、熱伝導率が15W/mK以上のセラミック焼結体からなる、
    請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  9. 前記ペリクル枠は、熱膨張率が10ppm/℃以下であるセラミック焼結体からなる、
    請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠。
  10. 前記請求項1~のいずれか1項に記載のペリクル枠と、前記ペリクル枠の前記第1面側に配置されたペリクル膜と、を備えたペリクルであって、
    前記ペリクル枠の前記凹部の前記第1面側の第1開口端は、前記ペリクル膜によって覆われている、
    ペリクル。
  11. 前記ペリクル枠の前記凹部の前記外周面側の第2開口端は、フィルタによって覆われている、
    請求項10に記載のペリクル。
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