以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置100の概略的構成を示したブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置100は、分析部24と、駆動部26と、分析制御部27と、判定部28とを備えている。
分析部24は、ブランク測定によるブランクデータの生成や、各検査項目の標準試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定する標準測定による標準データの生成や、被検試料と試薬の混合液を測定する被検測定による被検データの生成を行う。駆動部26は、分析部24の各種構成ユニットを駆動する。分析制御部27は、駆動部26の制御を行う。判定部28は、分析部24で生成されたブランクデータに基づいて、所定のユニットが使用可能であるか否かの判定を行う。
また、自動分析装置100は、さらに、データ処理部30と、出力部40と、操作部50と、システム制御部60とを備えて構成されている。データ処理部30は、分析部24で生成された標準データや被検データ、ブランクデータを処理して、検量データや分析データを生成する。演算部31は、これらの処理をするにあたり必要な演算を行い、データ記憶部32には、これらの処理をするにあたって必要とされるデータや生成されるデータが適宜格納される。出力部40は、データ処理部30で生成された検量データや分析データを、印刷部41で印刷したり、表示部42で表示したりする。
操作部50は、使用者が指示や情報を入力する入力部である。具体的には、使用者は、この操作部50を操作して、各検査項目の分析パラメータとして試料の分注量、試薬の分注量、及び、光源の波長等を設定するための入力を行う。また、使用者は、操作部50を操作して、被検試料毎に検査に必要な各検査項目を設定するための入力等を行う。システム制御部60は、分析制御部27と、判定部28と、データ処理部30と、出力部40とを、統括して、この自動分析装置100の全体的な制御を行う。
図2は、図1に示す自動分析装置100における分析部24の具体的構成の一例を示す斜視図である。この図2に示すように、分析部24は、サンプルディスク5と、試薬庫1と、試薬庫2と、反応ディスク4と、第1試薬分注機構14と、第2試薬分注機構15と、試料分注機構16と、第1撹拌機構18と、第2撹拌機構19とを備えている。
サンプルディスク5は、複数の試料容器17を保持しており、この試料容器17には、標準試料や、血清等の被検試料が収容される。試薬庫1は、複数の試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを備えており、この試薬ラック1aは、試薬容器6に収容された第1試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器6は、標準試料や被検試料の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する、例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する。
試薬庫2は、複数の試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを備えており、この試薬ラック2aは、試薬容器7に収容された第2試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器7は、第1試薬と対をなす第2試薬を収容する。
反応ディスク4は、複数のホルダ3aを着脱可能に円周状に保持する。このホルダ3aは、複数の反応容器3を所定の間隔をあけて円弧状に保持する。本実施形態においては、反応容器3は、上下方向に着脱可能にホルダ3aに保持される。つまり、反応ディスク4は、複数の反応容器3を移動可能に保持する。
第1試薬分注機構14は、第1試薬分注プローブ14aと、第1試薬分注アーム8と、洗浄槽14bとを備えている。第1試薬分注プローブ14aは、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して、試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う。第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽14bは、第1試薬分注プローブ14aから1つの試薬の分注が終了する毎に、この第1試薬分注プローブ14aの洗浄を行う。
第2試薬分注機構15は、第2試薬分注プローブ15aと、第2試薬分注アーム9と、洗浄槽15bとを備えている。第2試薬分注プローブ15aは、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して、第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う。第2試薬分注アーム9は、第2試薬分注プローブ15aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽15bは、第2試薬分注プローブ15aから1つの試薬の分注が終了する毎に、この第2試薬分注プローブ15aの洗浄を行う。
試料分注機構16は、サンプル分注プローブ16aと、サンプル分注アーム10と、洗浄槽16bとを備えている。サンプル分注プローブ16aは、サンプルディスク5に保持された試料容器17に収容された試料を吸引して、反応容器3内へ吐出する分注を行う。サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽16bは、サンプル分注プローブ16aから1つの試料の分注が終了する毎に、このサンプル分注プローブ16aの洗浄を行う。
第1撹拌機構18は、第1撹拌子18aと、第1撹拌アーム20と、洗浄槽18bとを備えている。第1撹拌子18aは、反応容器3に分注された試料と第1試薬の混合液を撹拌する。第1撹拌アーム20は、第1撹拌子18aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽18bは、混合液の撹拌終了毎に、第1撹拌子18aの洗浄を行う。
第2撹拌機構19は、第2撹拌子19aと、第2撹拌アーム21と、洗浄槽19bとを備えている。第2撹拌子19aは、反応容器3に分注された試料と第1試薬と第2試薬の混合液を撹拌する。第2撹拌アーム21は、第2撹拌子19aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽19bは、混合液の撹拌終了毎に、第2撹拌子19aの洗浄を行う。
また、自動分析装置100は、さらに、洗浄機構12と測定部13とを備えて構成されている。洗浄機構12は、被検測定の終了した反応容器3の洗浄処理を行う。具体的には、洗浄機構12は、反応容器3の洗浄を行い、次の被検測定のためのブランク測定用のブランク水を分注し、その後の乾燥を行う。
測定部13は、水や混合液などの溶液を収容する反応容器3に照射した光のうち、反応容器3を透過した光を測定する。洗浄機構12は、測定部13で混合液の測定を終了した反応容器3の内部の洗浄し、乾燥する洗浄処理を行う。また、洗浄機構12は、ブランク測定のために、洗浄を行った反応容器3に純水等の水であるブランク液を吐出する。
また、測定部13は、ブランク液が分注された反応容器3を透過した光を検出するブランク測定により、ブランクデータを生成する。また、測定部13は、標準試料及び試薬が分注された反応容器3内の混合液を透過した光を検出する標準測定により、標準データを生成する。さらに、被検試料及び試薬が分注された反応容器3内の混合液を透過した光を検出する被検測定により、被検データを生成する。
図1及び図2に基づいて、自動分析装置100の構成をより詳細に説明すると、まず、駆動部26は、上述したように、分析部24における各種構成ユニットを駆動する。より詳しくは、サンプルディスク5と、試薬ラック1aと、試薬ラック2aとを、個別に回動駆動して、試料容器17と、試薬容器6と、試薬容器7とをそれぞれ移動する。また、駆動部26は、反応ディスク4を回転駆動して、反応容器3を移動する。さらに、駆動部26は、サンプル分注アーム10と、第1試薬分注アーム8と、第2試薬分注アーム9と、第1撹拌アーム20と、第2撹拌アーム21とを、個別に上下及び回動駆動して、サンプル分注プローブ16aと、第1試薬分注プローブ14aと、第2試薬分注プローブ15aと、第1撹拌子18aと、第2撹拌子19aとを、それぞれ移動する。
分析制御部27は、上述したように、駆動部26を制御して、分析部24の各種構成ユニットを動作させる。より詳しくは、分析制御部27は、検査を行うために、洗浄機構12で洗浄処理が行われた反応容器3に、操作部50から被検試料毎に入力された検査項目を順次割り当てる。そして、検査項目を割り当てた反応容器3に、その検査項目の分析パラメータとして設定される試料の分注量と試薬の分注量を合計した合計量のブランク液を、洗浄機構12に吐出させる。続いて、ブランク液を吐出させた反応容器3のブランク測定を測定部13に行わせて、ブランクデータを生成させる。
判定部28は、測定部13で生成されたブランクデータに基づいて、その反応容器3が、検査項目用として使用可能であるか否かを判定する。この場合、ブランクデータは、複数回収集されるので、この収集された複数のブランクデータに基づいて、反応容器3が検査に使用可能な状態であるか否かを判定する。
判定部28で反応容器3が使用可能であると判定された場合、分析制御部27は、その反応容器3に割り当てた検査項目用の試料と試薬を分注させる。一方、判定部28で反応容器3が使用不可能であると判定された場合、分析制御部27は、その反応容器3に割り当てた検査項目用の試料と試薬の分注を中止させる。この場合、さらに、判定部28により使用不可能であると判定された反応容器3の次に洗浄される反応容器3に、中止になった検査項目を割り当てる。
データ処理部30は、上述したように、演算部31とデータ記憶部32とを備えている。より詳しくは、演算部31は、分析部24の測定部13で生成された標準データや被検データを処理して、各検査項目の検量データや分析データを生成する。データ記憶部32は、取得した標準データや被検データを格納して保持するとともに、演算部31で生成された検量データや分析データを保存する。
演算部31は、測定部13で生成された標準データと、この標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを検査項目毎に生成する。そして、生成した検量データを出力部40に出力するとともに、データ記憶部32に保存する。
また、演算部31は、測定部13で生成された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出し、その検量データと被検データとから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを、出力部40に出力するとともに、データ記憶部32に保存する。
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31で生成された検量データを、検査項目毎に保持する。また、演算部31で生成された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
出力部40は、上述したように、印刷部41と表示部42とを備えて構成されている。印刷部41は、データ処理部30の演算部31で生成された検量データや分析データを印刷出力する。すなわち、印刷部41は、例えば、プリンタ等を備えており、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
表示部42は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネルなどのモニタを備えており、検量データや分析データを表示出力する。また、表示部42は分析パラメータ設定画面や、検査項目設定画面等を表示して、使用者に各種情報を入力させる。例えば、分析パラメータ設定画面では、使用者に、各検査項目の分析パラメータである、試料の分注量、第1試薬の分注量又は第1及び第2試薬の分注量などを入力させる。また、検査項目設定画面では、使用者に、分析パラメータ設定画面で設定された検査項目を被検試料毎に設定させる。
操作部50は、上述したように、使用者が指示や情報を入力するための装置であり、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネルなどの入力デバイスを備えている。そして、各検査項目の分析パラメータとしての試料の分注量、第1試薬の分注量、第1及び第2試薬の分注量等を設定するための入力を可能にする。また、検査が行われる各被検試料の情報や、この情報毎に検査対象となる検査項目を設定するための入力等を行う。
システム制御部60は、上述したように、自動分析装置100の全体的な制御を行う。より詳しくは、システム制御部60は、CPU(Central Processing Unit)及び記憶回路等を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータ、検査項目等の入力情報を、記憶回路に保存する。そして、保存した入力情報に基づいて、分析制御部27、判定部28、データ処理部30、及び、出力部40を、統括して、この自動分析装置100全体を制御する。
図3は、本実施形態に係る測定部13の構成の一例を示す図である。この図3に示すように、本実施形態に係る測定部13は、光を発する光源131と、光源131からの光を回折する回折格子132と、回折格子132で回折された各波長の光を検出する検出器133とを備えている。そして、測定部13は、光源131から光を照射し、この照射された光のうち、反応容器3に収容された水や混合液などの溶液を透過した光を検出器133で検出する。
例えば、光源131は、近紫外領域から近赤外領域に亘って高い出力安定性が得られるハロゲンランプなどにより構成されている。光源131から照射された光は、回転移動しながら測定位置Mを通過する反応容器3に照射される。光源131から反応容器3に入射した光は、反応容器3と収容された溶液とを透過し、回折格子132で回折される。
検出する検出器133は、回折格子132で回折された例えば340nm~800nmの近紫外領域から近赤外領域の複数の波長の光を検出し、例えば、フォトダイオードアレイ等により、電気信号に変換する。そして、検出器133は、例えば、アンプ等により、この電気信号を増幅し、アナログ・デジタル変換回路等により、増幅された電気信号をデジタル信号に変換する。なお、検査項目毎に検出すべき波長は異なることから、検出器133は、検査項目の分析パラメータとして設定された波長の光を検出する。
さらに、測定部13は、ブランク測定も行う。すなわち、回転移動しながら測定位置Mを通過する反応容器3に光を照射して、ブランク液が収容された反応容器3を通過した光を検出する、ブランク測定を行う。このブランク測定により、ブランクデータが生成される。生成されたブランクデータは、反応容器3の入射光の強度として扱われる。反応容器3には、このブランク測定で測定されたブランクデータで定まる強度の光が入射されるとして、被検測定が行われる。
また、測定部13は、判定部28でブランクデータに基づいて使用可能であると判定された後、回転移動しながら測定位置Mを通過する反応容器3に光を照射して、標準試料及び試薬が分注された反応容器3を透過した光を検出する標準測定を行う。この標準測定により、ブランクデータに基づく吸光度で表される標準データを生成する。
さらに、測定部13は、判定部28でブランクデータに基づいて使用可能であると判定された後、回転移動しながら測定位置Mを通過する反応容器3に光を照射して、被検試料及び試薬が分注された反応容器3を透過した光を検出する被検測定を行う。この被検測定により、ブランクデータに基づく吸光度で表される被検データを生成する。
このように、光源131から照射された光が反応容器3に収容された溶液を透過し、この透過した光を検出することにより、反応容器3内の溶液を光学的に測定することができる。
次に、上述した図1乃至図3を用いて説明した自動分析装置100の構成を前提としつつ、図4に基づいて、本実施形態に係る自動分析装置100の被検測定のための測定処理の開始直後に実行される光源131の検査処理の概要を説明する。本実施形態に係る自動分析装置100においては、測定処理の開始後に、被検測定に使用する反応容器3の洗浄を順次実行する。これは、通常の被検測定と同様の反応容器3の洗浄処理である。
次に、反応容器3へブランク液を注入して、上述したブランク測定を行い、ブランクデータを取得する。ブランク測定が終わると、反応容器3の乾燥が行われる。本実施形態に係る洗浄機構12においては、反応容器3の洗浄から、ブランク液の注入、反応容器3の乾燥まで行われる。つまり、本実施形態においては、洗浄機構12における反応容器3の一連の洗浄処理には乾燥までもが含まれている。
この洗浄機構12における洗浄処理の終了後、通常であれば、試料分注機構16で、複数の反応容器3に試料の分注が順次行われるが、本実施形態においては、最初に洗浄機構12による洗浄処理が完了した先頭の反応容器3については、この試料の分注は行わない。
そして、最初に洗浄処理が完了した先頭の反応容器3が、第1試薬分注機構14による第1試薬の分注のサイクルに到達した時点で、第1試薬分注プローブ14aを用いて、反応容器3に内部水を分注する。すなわち、第1試薬分注機構14では、第1試薬分注プローブ14aの内壁洗浄用に、プローブ内部から吐出される純水を内部水として保持しているため、この内部水を第1試薬の代わりに、先頭の反応容器3に分注する。
内部水を分注された先頭の反応容器3は、内部水に気泡が発生するのを回避するために、第1撹拌機構18や第2撹拌機構19による撹拌は行わない。そして、次の洗浄処理に入るまで、所定の時間間隔で、測定部13で、内部水を透過した光の強さを測定し、測定データを生成する。本実施形態においては、1つの反応容器3が次に洗浄処理のサイクルに入るまで、約10分の時間がある。そして、この10分間、先頭の反応容器3が測定位置Mを通過する度に、測定部13で内部水を透過した光の測定が行われ、測定データが生成される。
自動分析装置100では、この測定データを所定の時間間隔でチェックし、その変動幅が所定の閾値の範囲を超えていた場合、光源131が劣化していると判断して、使用者への警告等の必要なエラー処理を行う。これにより、自動分析装置100が被検測定を開始した直後から、光源131の検査処理を実行することができ、最初の10分の経過を待たずして、異常のある光源131を検出することができるようにしている。
なお、本実施形態においても、先頭から2番目以降の反応容器3は、通常の被検測定が行われる。すなわち、先頭から2番目以降の反応容器3には、試料分注機構16では試料が分注され、第1試薬分注機構14では第1試薬が分注されて、被検測定が行われ、被検データが生成される。
図5は、先頭の反応容器3に内部水を分注して、測定部13で透過する光の強さを測定した測定データの一例を示す図である。本実施形態においては、測定部13の検出器133で検出された光の強さは、例えば16ビットの数値で表現される。すなわち、検出器133で測定された光の強さが0Vから5Vの間の電気信号に変換され、さらに、アナログ・デジタル変換回路で、これが0から65536(=216)のデジタル値(ADC値)に変換される。
また、本実施形態に係る自動分析装置100のシステムサイクルが4.5秒で、4システムサイクルで反応容器3が反応ディスク4上を1周+1反応容器3だけ回ることとすると、18秒で、反応容器3は反応ディスク4上を1周+1反応容器3だけ移動することとなる。このため、18秒に1回の割合で、先頭の反応容器3も測定位置Mを通過するので、18秒に1回の割合で測定データを取得することができる。また、次の洗浄まで10分間の時間があるので、10分×60秒/18≒33回の測定データの測定をすることができる。この測定のタイミングは、通常の被検測定と同じタイミングである。図4では、第8回目まで測定データを取得した状態を示している。
図5の例では、第1回目の先頭の反応容器3の測定データは、45381であり、第2回目の先頭の反応容器3の測定データは、45383である。以後、18秒毎に、測定部13で先頭の反応容器3を透過した光の強さを測定するが、光源131が劣化していない場合、測定データの値はおよそ安定する。しかし、光源131が劣化している場合、この測定データの値が変動することとなる。
測定データの変動幅に基づいて光源131の性能を判定する基準には、種々のものが考えられるが、基本的には、測定データの単位時間あたりの変化量が所定の閾値を超えたか否かで、光源131が劣化しているか否かを判定する。すなわち、図6の測定データのグラフに例示するように、正常な光源131の場合、単位時間あたりの測定データの変化量ΔTはほとんどゼロであるのに対して、劣化している光源131の場合、単位時間あたりの測定データの変化量ΔTはある程度の大きさを有することとなる。光源131の劣化が進むと、この変化量ΔTが大きくなるので、この変化量ΔTに適当な閾値を設定することにより、光源131が測定に適さないほど劣化しているか否かを判定することができる。
例えば、最も古い測定データと、最も新しい測定データとの間で変化量を算出し、その変化量が所定の大きさを超えた場合に、光源131が劣化していると判定することができる。図5の例では、例えば、第1回目の測定データ(45381)と第8回目の測定データ(45378)との間で、単位時間あたりの変化量を算出する。
また、最も新しい複数の測定データを用いて、その変化量を算出し、その変化量が所定の大きさを超えた場合に、光源131が劣化していると判定してもよい。例えば、最も新しい4個の測定データを用いる場合、図5の例では、第5回目から第8回目の測定データを用いて、その単位時間あたりの変化量を算出する。
また、複数の測定データに基づき補間処理を行った補間データに基づいて、その変化量を算出し、その変化量が所定の大きさを超えた場合に、光源131が劣化していると判定してもよい。すなわち、測定データを直接用いて、光源131の性能を判定するのではなく、線形補間や最小二乗法による補間などの補間処理を行った補間データを用いて、光源131の性能を判定するようにしてもよい。例えば、最も新しい4個の測定データを用いる場合、図5の例では、第5回目から第8回目の測定データを用いて補間処理を行い、補間データを生成し、この補間データにおける単位時間あたりの変化量を算出する。
なお、これらいずれの手法でも、判定の精度を向上させるために、所定数の測定データが得られた後に、判定を行うようにすることも可能である。例えば、最も古い測定データと、最も新しい測定データとの間で変化量を算出する場合、最低でも8個の測定データが得られた後に、光源131が劣化しているか否かの判定を行うようにすることも可能である。
また、所定数の測定データが新たに得られた毎に、それまでに得られた測定データを用いて、単位時間あたりの変化量を算出し、判定を行うようにしてもよい。例えば、図5の例では、第11回目の測定データが得られた際に、第1回目から第11回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行い、第22回目の測定データが得られた際に、第1回目から第22回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行い、第33回目の測定データが得られた際に、第1回目から第33回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行うようにしてもよい。
また、所定数の測定データが新たに得られた毎に、その新たに得られた測定データを用いて、単位時間あたりの変化量を算出し、この判定を行うようにすることも可能である。例えば、図5の例では、第11回目の測定データが得られた際に、第1回目から第11回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行い、第22回目の測定データが得られた際に、第12回目から第22回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行い、第33回目の測定データを取得した際に、第23回目から第33回目の測定データに基づいて、光源131が劣化しているか否かの判定を行う。
ここで、単位時間あたりの変化量を基準とするのは、比較判定する測定データの測定時間が長ければ、その分、変化量が大きくなるのは当然だからである。例えば、18秒×11回=198秒というような基準となる時間と、18秒×22回=396秒というような基準となる時間では、その変化量に2倍の差があるのが当然である。このため、基準となる時間を単位時間として揃えて、この単位時間あたりにどの程度の変化量まで、光源131の光の強さの揺らぎを許容するのかという観点から、閾値の範囲を定める。
なお、本実施形態では、第1試薬分注機構14で内部水を先頭の反応容器3に分注することとしたが、第2試薬分注機構15で、第2試薬分注プローブ15aの内壁洗浄用の内部水を先頭の反応容器3に分注するようにしてもよい。また、第1試薬分注機構14や第2試薬分注機構15ではなく、試料分注機構16で、サンプル分注プローブ16aの内壁洗浄用の内部水を先頭の反応容器3に分注するようにしてもよい。但し、一般に、第1試薬分注機構14や第2試薬分注機構15と比べて、試料分注機構16のポンプは、分注精度は高いものの分注できる容量は小さい。これは、試料分注機構16で扱う検体の試料の量が微量であることから、小さい容量ではあるが高い精度で試料を分注する必要があるからである。このため、先頭の反応容器3に分注する内部水の量が少量で足りる場合には、試料分注機構16を用いて内部水を分注することも可能になるといえる。さらに、洗浄機構12で分注されるブランク液を、そのまま先頭の反応容器3に残して、水として用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、光源131の性能の検査を行う測定データとして、先頭の反応容器3に収容された内部水を透過した「光の強さ」を表すデータを用いたが、光源131の性能の検査を行う測定データとして、通常の被検データの生成と同様に、先頭の反応容器3に収容した水の「吸光度」を表す測定データを用いるようにしてもよい。この場合、吸光度を表す測定データの単位時間あたりの変化量に基づいて、光源の性能を判定することとなる。
次に、本実施形態に係る自動分析装置100で実行される測定処理を説明しつつ、この測定処理の開始直後に実行される光源131の検査処理の内容を説明する。図7は、被検データを生成するための測定処理の内容を説明するフローチャートを示す図であり、図8は、この測定処理を実行するデータ処理部30の内部構成の一例を示す図である。本実施形態においては、この測定処理は、データ処理部30で実行されることを前提として説明するが、その処理の一部又は全部をシステム制御部60や他の制御部で実行するようにしてもよい。すなわち、この測定処理は、自動分析装置100の制御部として実行されれば足りる。
図8に示すように、本実施形態に係るデータ処理部30は、上述した演算部31とデータ記憶部32とを備えている。図7の測定処理は、演算部31により実行され、この測定処理を実行するに当たり必要な種々のデータがデータ記憶部32に格納される。このため、具体的には、本実施形態においては、データ記憶部32は、ブランクデータ記憶部32aと、測定データ記憶部32bと、判定用パラメータ記憶部32cと、被検データ記憶部32dとを備えて構成されている。
図7に示すように、この測定処理が開始すると、まず、自動分析装置100は反応容器3の洗浄処理を開始する(ステップS10)。具体的には、自動分析装置100は、洗浄機構12を用いて、反応ディスク4上にある反応容器3の洗浄を順次行う処理を開始する。このステップS10における洗浄処理には、図4における、反応容器3の洗浄のみならず、反応容器3へのブランク液の注入、ブランクデータの測定、反応容器3の乾燥を含んでいる。ここで測定されたブランクデータは、ブランクデータ記憶部32aに格納される。
次に、自動分析装置100は、試薬の分注処理を開始する(ステップS12)。具体的には、自動分析装置100は、洗浄処理の終わった反応容器3を、反応ディスク4の回転動作により、第1試薬分注機構14まで移動させ、第1試薬を反応容器3へ順次分注する処理を開始する。また、第1試薬の分注が終わった反応容器3を、反応ディスク4の回転動作により、第2試薬分注機構15まで移動させ、第2試薬を反応容器3に順次分注する処理を開始する。但し、本実施形態においては、上述したように、先頭の反応容器3については、第1試薬分注機構14は、第1試薬を分注するのではなく、内部水を分注し、第2試薬分注機構15では分注を行わない。
なお、必要に応じて、適宜、自動分析装置100は、先頭の反応容器3以外の反応容器3については、第1撹拌機構18や第2撹拌機構19を用いて、第1試薬を分注した反応容器3や、第2試薬を分注した反応容器3の撹拌を行う。
次に、自動分析装置100は、被検測定を開始する(ステップS14)。具体的には、試料と試薬の分注や撹拌が終わった反応容器3については、反応ディスク4の回転動作に伴い測定部13における測定位置Mを、18秒に1回の割合で通過する。この測定位置Mを通過した際に、測定部13では、被検測定を行い、被検データを順次生成する。但し、本実施形態においては、上述したように、先頭の反応容器3については、被検データではなく、反応容器3に収容された水を透過した光の強さを表す測定データを生成する。
次に、自動分析装置100は、生成された測定データを測定データ記憶部32bに格納し、生成された被検データを被検データ記憶部32dに格納する(ステップS16)。すなわち、先頭の反応容器3から取得した測定データは、測定データ記憶部32bに格納され、2番目以降の反応容器3から取得した被検データは、被検データ記憶部32dに格納される。このため、測定データ記憶部32bには、図5に示したような測定データのリストが順次形成されていく。
次に、自動分析装置100は、測定データの変化量が所定の閾値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS18)。すなわち、上述したような種々の判定手法により、光源131の性能を検査する。
そして、ステップS18において、測定データの変化量が所定の閾値の範囲を超えていると判断した場合(ステップS18:No)には、自動分析装置100は、エラー処理を行う(ステップS20)。このエラー処理は、種々のものが考えられる。例えば、この測定処理をその時点で停止して、表示部42にエラーメッセージを表示して使用者に通知する。或いは、測定処理そのものは停止しないが、表示部42にエラーメッセージを表示して、使用者に判断を委ねるようにすることもできる。また、測定データの変化量について所定の閾値を2つ以上設け、例えば、最初の第1レベルでは、表示部42にエラーメッセージを表示するようにし、第1レベルより大きい次の第2レベルでは、自動分析装置100による測定処理を停止するようにしてもよい。この場合、最初の第1レベルの閾値、例えば50という単位時間あたりの変化量と、次の第2レベルの閾値、例えば100という単位時間あたりの変化量とを、判定用パラメータとして、判定用パラメータ記憶部32cに予め格納しておく。
一方、ステップS18において、測定データの変化量が所定の閾値を超えていないと判断した場合(ステップS18:Yes)、自動分析装置100は、先頭の反応容器3が洗浄サイクルに入るかどうかを判断する(ステップS22)。本実施形態においては、試薬が分注された反応容器3は、試薬が分注されてから約10分で洗浄サイクルに入る。このため、約10分経過して、すべての反応容器3が被検測定に入ると、先頭の反応容器3も、洗浄サイクルに入ることとなる。
先頭の反応容器3が洗浄サイクルに入らない場合(ステップS22:No)には、先頭の反応容器3については、反応容器3に収容された内部水を透過した光の強さを測定する測定データの生成を続ける(ステップS24)。そして、ステップS16に戻り、測定データの格納から順次繰り返す。なお、その間、2番目以降の反応容器3については、被検データを生成する被検測定を継続する。
一方、先頭の反応容器3が洗浄サイクルに入る場合(ステップS22:Yes)には、この先頭の反応容器3も、通常の被検測定に使用できるようにする(ステップS26)。すなわち、洗浄機構12にて、先頭の反応容器3に洗浄処理がなされ、それ以降、試薬や試料が分注される通常の反応容器3として使用される。このことは、先頭の反応容器3を用いて、反応容器3を透過した光の強さを表す測定データを約10分間観測したが、光源131に所定の閾値以上の変化量は検出されなかったことを意味し、光源131の性能に劣化は認められず、引き続き、被検測定を続けることができることとなる。このため、このステップS26以降は、先頭の反応容器3を含めて、通常の被検測定を継続する。
このように通常の被検測定を継続する場合、従来のように、ブランク測定により取得したブランクデータを用いた、光源131の性能の検査を行うこととなる。すなわち、先頭の反応容器3を含めたすべての反応容器3で、ブランク測定によりブランクデータが生成されるが、これを、各反応容器3の前回取得したブランクデータとそれぞれ比較することにより、光源131の性能の検査をすることができる。また、ステップS22で先頭の反応容器3が洗浄サイクルに入ると判定したということは、既に被検測定は2周目に入っているので、被検測定の1周目にすべての反応容器3のブランクデータを取得していることから、被検測定の2周目以降は、4.5秒毎に、同じ反応容器3の前回のブランクデータとの比較による光源131の性能を検査できることとなる。
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置100によれば、被検測定を行う測定処理が開始された場合、一番始めに洗浄や乾燥などを含む洗浄処理が終わった先頭の反応容器3については、試薬や試料を分注することなく、内部水を分注し、この先頭の反応容器3が次の洗浄サイクルに入るまでの間、所定の時間間隔で、測定部13により、先頭の反応容器3を透過した光を測定することにより、光源131の性能を継続的に判定することとした。すなわち、所定の時間間隔で、先頭の反応容器3に分注された水を透過した光の強さを表す測定データを取得し、この測定データの変化量が所定の範囲を超えた場合には、光源131に劣化等が生じていると判断して、エラー処理を行うこととした。このため、従来よりも、早いタイミングで、光源131の劣化等を検出することができるになる。すなわち、従来のように、約10分間隔で行われるブランク測定を用いて光源131の劣化等を検出する場合には、少なくとも2回のブランク測定が必要となることから、最短でも、被検測定が1周するのに要する時間が、光源131の劣化等を検出するための時間として必要となるが、本実施形態に係る自動分析装置100によれば、被検測定の測定処理開始後、2~3分程度で、光源131の劣化等を検出することができるようになる。
なお、上述した実施形態では、複数の反応容器3のうち、洗浄機構12により最初に洗浄、ブランク測定、及び、乾燥の洗浄処理が終了した先頭の反応容器3に内部水を分注して、反応容器3を透過した光を測定し、測定データを生成するようにしたが、この測定データの生成に用いる反応容器3は、必ずしも、先頭の反応容器3である必要はない。すなわち、複数の反応容器3のうち、先頭から2番目、或いは、3番目等の初期の段階で、洗浄機構12による洗浄処理が終了する反応容器3を用いて、測定データの生成を行うようにしてもよい。すなわち、被検測定1週分で行うすべての反応容器3に対する洗浄処理のうち、比較的早い初期の段階で洗浄処理が終了する反応容器3を、光源131の性能を検査するための反応容器3として用いることにより、光源131に何らかの劣化等があった場合でも、測定処理開始後の比較的早い初期の段階で、それを検出することができるようになる。
また、本実施形態においては、第1試薬分注機構14又は第2試薬分注機構15により、反応容器3に、光源131の性能を検査するランプチェック用の溶液として内部水を分注することとしたが、反応容器3に分注するランプチェック用の溶液は内部水に限られるものではない。すなわち、この自動分析装置100に供給されている水、或いは、この自動分析装置100が保持する水を、光源131の性能を検査する反応容器3に分注するようにすれば足りる。また、水のように完全透明な溶液だけでなく、光源波長に最適化された無色又は有色の専用の溶液を、ランプチェック用の溶液として、光源131の性能を検査する反応容器3に分注するようにしてもよい。内部水以外をランプチェック用の溶液として用いる場合には、当該溶液をボトルに充填して試薬庫内等に配置するようにすることで実現できる。
なお、本実施形態においては、第1試薬分注機構14が、反応容器3にランプチェック用の溶液を分注する分注機構を構成している。但し、上述したように、第2試薬分注機構15、又は、試料分注機構16により、分注機構を構成するようにしてもよいし、ブランク測定のために水を分注する洗浄機構12により、ランプチェック用の溶液を分注する分注機構を構成するようにしてもよいし、反応容器3に水を分注する他の機構により、ランプチェック用の溶液を分注する分注機構を構成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、測定部13が、光源131から照射された光のうち、反応容器3に分注された水を透過した光を測定する測定機構を構成しており、反応ディスク4が、反応容器3を保持して移動させる移動機構を構成している。
また、本実施形態においては、分析制御部27、データ処理部30、及び、システム制御部60が協働して、洗浄機構12、第1試薬分注機構14、測定部13、及び、反応ディスク4等を制御し、上述した測定処理を実行する制御部を構成している。但し、制御部を実現する形態は、これに限らず種々に変形可能であり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより構成することも、コンピュータプログラム等のソフトウェアにより構成することも可能であり、さらには、ハードウェアとソフトウェアの協働により構成することも可能である。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る自動分析装置100においては、上述した第1実施形態の自動分析装置100において、自動分析装置100を起動した直後に、つまり測定処理の開始前に、光源検査処理を実行するようにして、光源131の劣化等をより早いタイミングで検出できるようにしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図9は、図7の測定処理を開始する前に、自動分析装置100で実行される光源検査処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。本実施形態においては、この光源検査処理は、データ処理部30で実行されることを前提として説明するが、その処理の一部又は全部をシステム制御部60や他の制御部で実行するようにしてもよい。すなわち、この測定処理は、自動分析装置100の制御部として実行されれば足りる。
この図9に示すように、例えば、この自動分析装置100の電源が投入されると、自動分析装置100は、この光源検査処理を開始し、まず、自動分析装置自体の初期化動作を行う(ステップS30)。そして、自動分析装置100は、この初期化動作が完了して、待機中の状態になるのを待つ。
待機中に状態が移行した後に、自動分析装置100は、反応容器3の洗浄処理を行う(ステップS32)。どの反応容器3に洗浄処理を行うかは、任意である。すなわち、本実施形態においては、任意の1つの反応容器3に洗浄処理を行う。ここでは、洗浄処理をする際に、この反応容器3の乾燥をするようにしてもよい。
次に、自動分析装置100は、洗浄処理の完了した反応容器3に、ランプチェック用の溶液として水を分注する(ステップS34)。これは、例えば、洗浄機構12における水を反応容器3に分注するようにしてもよいし、第1試薬分注機構14又は第2試薬分注機構15に反応容器3を移動し、その内部水を分注するようにしてもよい。
次に、自動分析装置100は、水を分注した反応容器3を測定部13における測定位置Mへ移動する(ステップS36)。すなわち、反応ディスク4を回転移動することにより、水を分注した反応容器3を測定位置Mに移動する。
次に、自動分析装置100は、所定の時間間隔で、反応容器3に収容した水を透過した光の強さを表す測定データを取得して、測定データ記憶部32bに格納する(ステップS38)。続いて、自動分析装置100は、取得した測定データの変化量が所定の閾値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS40)。この判定の手法は種々のものがあるのは、上述した第1実施形態のステップS18と同様である。
そして、ステップS40において、測定データの変化量が所定の閾値の範囲を超えていると判断した場合(ステップS40:No)には、自動分析装置100は、エラー処理を行う(ステップS42)。このエラー処理には、種々のものが考えられるのも、上述した第1実施形態のステップS20と同様である。
一方、ステップS40において、測定データの変化量が所定の閾値の範囲を超えていないと判断した場合(ステップS40:Yes)には、自動分析装置100は、第1実施形態の図7で説明した測定処理が開始されたか否かを判断する(ステップS44)。すなわち、この光源検査処理が実行されている間に、使用者が図7の測定処理を起動することがあり得ることから、この測定処理が開始されてしまったか否かを判断する。そして、測定処理が開始されていた場合(ステップS40:Yes)には、自動分析装置100は、その制御を測定処理に移行する。この場合、水が分注された反応容器3が、そのまま、先頭の反応容器3となり、光源131の劣化等の検査が継続される。これにより、測定処理が開始した後の光源131の劣化等の検査に要する時間の短縮を図ることができる。
一方、ステップS44において、測定処理が開始されていないと判断した場合(ステップS44:No)には、自動分析装置100は、測定データの取得を開始してから所定の時間を経過したか、或いは、測定データを所定の回数だけ測定したか否かを判定する(ステップS46)。時間の経過に基づいて判断するか、測定回数に基づいて判断するかは、任意である。
ステップS46において、所定の時間経過していないと判断した場合、或いは、所定の回数だけ測定していないと判断した場合(ステップS46:No)には、上述したステップS38に戻り、所定の時間間隔で測定データを取得する動作を継続する。一方、ステップS46において、所定の時間経過したと判断した場合、或いは、測定データを所定の回数だけ測定したと判断した場合(ステップS46:Yes)には、この光源検査処理を終了する。
なお、ステップS38からステップS46の処理においては、水を分注した反応容器3は、測定部13における測定位置Mに静止させたままでもよいし、或いは、反応容器3が移動している状態で測定部13の測定位置Mで測定するために、反応ディスク4を継続的に回転移動させるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置100によれば、第1実施形態における測定処理を開始する前から、光源検査処理を実行するようにしたので、この光源検査処理の途中で測定処理が開始されたとしても、光源131の劣化等の検出を、より早いタイミングで行うことができる。また、この光源検査処理が完了するまで測定処理が開始されなかった場合には、既に光源検査処理が完了しているので、第1実施形態における測定処理では、被検測定の1週目から、先頭の反応容器3に水を分注することなく、被検測定のための試薬や試料を分注できるようになる。
なお、図9に示した光源検査処理は、図7に示した測定処理の終了後に実行するようにすることもできる。この場合、図7の測定処理を行っている間に、光源131の劣化等の問題が新たに生じなかったどうかを改めて確認することができる。また、測定処理が終了した後には、自動分析装置100は、状態保存のために、反応容器3に水満たし動作が行われるが、この満たされた水をランプチェック用の溶液として用いて、図9に示した光源検査処理を実行するようにしてもよい。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。