JP7109488B2 - 熱交換器の流路構造、及び熱交換器 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1の熱交換器は、第1流体から第2流体に排熱を常時回収する構造となっているため、排熱を回収する必要がない場合にも排熱を回収してしまうことがあった。そのため、排熱を回収する必要がない場合に回収された排熱を放出するためのラジエータの容量を大きくする必要があった。
そこで、特許文献2では、中筒に連通孔を設けると共に、連通孔が形成されている箇所に網目構造を有するメッシュ部材を配置することにより、液体状態の第2流体が緩やかに導入し、異音の発生を低減している。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、熱交換抑制時の異音を低減することが可能な熱交換器の流路構造、及びその流路構造を備えた熱交換器を提供することを目的とする。
前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置され、前記内筒との間を第2流体が流通可能な外筒と、
前記内筒と前記外筒との間に配置され、前記第2流体の流路を内側流路と外側流路とに仕切る中筒と
を備え、
前記中筒は、径方向に連通する連通孔を有し、前記連通孔が前記中筒の軸方向に複数設けられており、
前記中筒は、前記中筒の軸方向両端部に設けられたスペーサーによって前記内筒に保持される熱交換器の流路構造である。
また、本発明の実施形態に係る熱交換器は、上記の熱交換器の流路構造を備える熱交換器である。
図1は、本発明の実施形態1に係る熱交換器の第1流体の流通方向に平行な断面図である。また、図2は、図1の熱交換器におけるa-a’線の断面図であり、図3は、図1の熱交換器におけるb-b’線の断面図である。
図1に示されるように、本発明の実施形態1に係る熱交換器100は、第1流体が流通可能であり、熱回収部材40を収容可能に構成された内筒10と、内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置され、内筒10との間を第2流体が流通可能な外筒20と、内筒10と外筒20との間に配置され、第2流体の流路を仕切る中筒30とを備えている。また、中筒30は、中筒30の軸方向両端部に設けられたスペーサー50によって内筒10に保持されている。
蒸気塊を安定して小さくする観点から、連通孔32は、以下の条件(1)~(4)の1つ以上を満たすように形成されていることが好ましい。
(1)連通孔32が中筒30の軸方向において3列以上設けられている。
(2)連通孔32が中筒30の周方向において6列以上設けられている。
(3)連通孔32が中筒30の軸方向の中央部に設けられている。
(4)連通孔32が中筒30の軸方向及び周方向の両方において略均等な間隔で設けられている。
上記の条件(1)~(4)の1つ以上を満たすことで、蒸気塊が安定して小さくなるため、ウォーターハンマーに起因する異音の低減効果が高くなる。
<内筒10について>
内筒10は、熱回収部材40の軸方向(第1流体の流通方向)外周面に配置された筒状の部材である。
内筒10の内周面は、熱回収部材40の軸方向外周面と直接的に接していても間接的に接していてもよいが、熱伝導性の観点から、熱回収部材40の軸方向外周面と直接的に接していることが好ましい。この場合、内筒10の内周面の断面形状は、熱回収部材40の外周面の断面形状と一致する。また、内筒10の軸方向は、熱回収部材40の軸方向と一致し、内筒10の中心軸は熱回収部材40の中心軸と一致することが好ましい。
内筒10の軸方向長さは、熱回収部材40の軸方向長さよりも長く設定されていることが好ましい。また、内筒10の軸方向において、内筒10の中央位置は、熱回収部材40の中央位置と一致することが好ましい。
内筒10の径(外径及び内径)は、軸方向にわたって一様であってよいが、少なくとも一部(例えば、軸方向両端部など)が縮径又は拡径していてもよい。
外筒20は、内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置された筒状の部材である。
外筒20の軸方向は、熱回収部材40及び内筒10の軸方向と一致し、外筒20の中心軸は熱回収部材40及び内筒10の中心軸と一致することが好ましい。
外筒20の軸方向長さは、熱回収部材40の軸方向長さよりも長く設定されていることが好ましい。また、外筒20の軸方向において、外筒20の中央位置は、熱回収部材40及び内筒10の中央位置と一致することが好ましい。
また、供給管21及び排出管22は、図1に示すように同じ方向に向けて延出されていても、異なる方向に向けて延出されていてもよい。
中筒30は、筒状部材である。中筒30の軸方向は、熱回収部材40の軸方向と一致し、中筒30の中心軸は熱回収部材40の中心軸と一致することが好ましい。
中筒30の軸方向長さは、熱回収部材40の軸方向長さよりも長く設定されていることが好ましい。また、中筒30の軸方向において、中筒30の中央位置は、熱回収部材40、内筒10及び外筒20の中央位置と一致することが好ましい。
内側流路31bが液体の第2流体で満たされているとき、熱回収部材40から内筒10に伝えられた第1流体の熱が、内側流路31bの第2流体を介して外側流路31aの第2流体に伝えられる。一方、内筒10の温度が高く、内側流路31b内で気体状態の第2流体(第2流体の蒸気(気泡))が発生したとき、内側流路31bの第2流体を介する外側流路31aの第2流体への熱伝導が抑制される。これは、液体の流体に比べて気体の流体の熱伝導率が低いためである。すなわち、内側流路31b内で気体状態の第2流体が発生するか否かにより、熱交換を効率的に行う状態と熱交換を抑制する状態とを切り替えることができる。この熱交換の状態は、外部からの制御を必要としない。したがって、中筒30を設けることにより、外部から制御することなく、第1流体と第2流体との間の熱交換の促進と抑制との切り替えを容易に行うことが可能になる。
なお、第2流体は、熱交換を抑制したい温度域に沸点を有する流体を使用すればよい。
スペーサー50は、中筒30と内筒10との間の空間を確保しつつ保持するための部材であり、中筒30と内筒10との間に設けられる。
スペーサー50は、内筒10の周方向全体にわたって延在していることが好ましい。スペーサー50は、内筒10の周方向全体にわたって連続的に延在する1つの部材により構成されていてもよいし、内筒10の周方向に互いに隣接又は離間して配置された複数の部材によって構成されていてもよい。
(1)スペーサー50を構成する材料の親密度をアルキメデス法により求める。
(2)スペーサー50の外形寸法(厚み及び縦横の長さ)から計算したスペーサー50のみかけ体積と、スペーサー50の重量から嵩密度とを求める。
(3)空隙率=(1-嵩密度/真密度)×100%との関係式を用いて空隙率を算出する。
熱回収部材40としては、熱を回収できるものであれば特に限定されない。例えば、熱回収部材40としてハニカム構造体を用いることができる。
ハニカム構造体は、一般的に柱状の構造体である。ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面形状は、特に限定されず、円、楕円又は四角若しくはその他の多角形とすることができる。
各セルの断面形状(セルが延びる方向に垂直な断面の形状)は、特に限定されず、円形、楕円形、扇形、三角形、四角形、五角角形以上の多角形等の任意の形状とすることができる。
また、各セルは、ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面において放射状に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、セルを流通する第1流体の熱をハニカム構造体の径方向外側に向けて効率良く伝達させることができる。
熱交換器100の製造方法としては、当該技術分野において公知の方法に準じて製造することができる。例えば、熱回収部材40としてハニカム構造体を用いる場合、熱交換器100は、以下のようにして製造することができる。
まず、セラミックス粉末を含む坏土を所望の形状に押し出し、ハニカム成形体を作製する。ハニカム構造体の材料としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、Si含浸SiC複合材料を主成分とするハニカム構造体を製造する場合、所定量のSiC粉末に、バインダーと、水又は有機溶媒とを加え、得られた混合物を混練し坏土とし、成形して所望形状のハニカム成形体を得ることができる。そして、得られたハニカム成形体を乾燥し、減圧の不活性ガス又は真空中で、ハニカム成形体中に金属Siを含浸焼成することによって、隔壁によって第1流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体を得ることができる。
次に、スペーサー50を介して中筒30を内筒10上に配置する。スペーサー50と内筒10、スペーサー50と中筒30との間は溶接などによって固定する。
次に、第2流体の供給管21及び排出管22を設けた外筒20の内部に、上記で作製した構造体を配置し、溶接などによって固定する。
図5は、本発明の実施形態2に係る熱交換器の第1流体の流通方向に平行な断面図である。また、図6は、図5の熱交換器におけるc-c’線の断面図である。なお、本発明の実施形態1に係る熱交換器100の説明の中で登場した符号と同一の符号を有する構成要素は、本発明の実施形態2に係る熱交換器200の構成要素と同一であるので、その説明を省略する。
まず、ハニカム構造体を内筒10に挿入して、焼き嵌めにより、ハニカム構造体に嵌合するように内筒10を配置する。なお、ハニカム構造体と内筒10との嵌合は、焼き嵌め以外に、圧入やろう付け、拡散接合などを用いてもよい。
次に、ハニカム構造体が収容された内筒10を中筒30に挿入し、溶接などによって固定する。
次に、第2流体の供給管21及び排出管22を設けた外筒20の内部に、上記で作製した構造体を配置し、溶接などによって固定する。
図7は、本発明の実施形態3に係る熱交換器の第1流体の流通方向に平行な断面図である。なお、本発明の実施形態1及び2に係る熱交換器100,200の説明の中で登場した符号と同一の符号を有する構成要素は、本発明の実施形態3に係る熱交換器300の構成要素と同一であるので、その説明を省略する。
実施例1では、図1に示すような熱交換器を作製した。
まず、SiC粉末を含む坏土を所望の形状に押し出した後、乾燥させ、所定の外形寸法に加工後、Si含浸焼成することによって、円柱状のハニカム構造体を製造した。
次に、ステンレスからなる内筒10の内部にハニカム構造体を挿入し、焼き嵌めにより、ハニカム構造体の外周面に嵌合するように内筒10を配置した。次に、メッシュ構造を有するスペーサー50を介して中筒30を内筒10上に配置し、溶接によって固定した。中筒30としては、図4(a)に示される複数の連通孔32を有する(中筒30の軸方向において6列、中筒30の周方向において10列の連通孔32が均一な間隔で設けられている)中筒30を用いた。その後、第2流体の供給管21及び排出管22を設けた外筒20の内部に、上記で作製した構造体を配置し、溶接などによって固定することにより、熱交換器を得た。
中筒30として、中筒30の軸方向の中央部に2列、中筒30の周方向において10列の連通孔32が均一な間隔で設けられた中筒30を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法及び条件で熱交換器を得た。
中筒30として、連通孔32が形成されていない中筒30を用いたこと以外は実施例1と同様の方法及び条件で熱交換器を得た。
(異音)
下記の方法で熱交換抑制時における異音の検証を行った。
第1流体として空気、第2流体として水を用いた。ハニカム構造体には、700℃の加熱した空気を20g/secの流量で供給し、内筒10と外筒20との間には、水を流量10L/分で供給した。そして、水温30~93℃までの異音の検証を行った。異音の大きさは、騒音計(リオン株式会社製NL-05)を用いて測定した。騒音計は、外筒20の軸方向の中央且つ外筒20の径方向外側に45mmの間隔を置いて配置した。その結果を図8に示す。
図8に示されるように、中筒30に複数の連通孔32を設けた実施例1及び2の熱交換器は、中筒30に複数の連通孔32を設けていない比較例1の熱交換器に比べて、異音が小さくなった。
下記の方法で熱交換試験を行った。
第1流体として空気、第2流体として水を用いた。内筒10には、400℃(Tg1)の空気を10g/sec(Mg)の流量で供給し、内筒10と外筒20との間には、供給管21から水を10L/分の流量で供給し、排出管22から熱交換後の水を回収した。上記の各条件にて、熱交換器に対して空気及び水の供給を開始してから5分間通過させた直後に、熱交換器の供給管21における水の温度(Tw1)及び排出管22における水の温度(Tw2)を測定し、熱回収効率を求めた。ここで、水によって回収される熱量Qは次式で表される。
Q(kW)=ΔTw×Cpw×Mw
式中、ΔTw=Tw2-Tw1、Cpw(水の比熱)=4182J/(kg・K)とした。
また、熱交換器による熱回収効率ηは次式で表される。
η(%)=Q/{(Tg1-Tw1)×Cpg×Mg}×100
式中、Cpg(空気の比熱)=1050J/(kg・K)とした。
熱回収効率の結果を図9に示す。
11a 部分A
11b 部分B
20 外筒
21 供給管
22 排出管
30 中筒
31a 外側流路
31b 内側流路
32 連通孔
40 熱回収部材
50 スペーサー
100、200、300 熱交換器
Claims (13)
- 第1流体が流通可能であり、熱回収部材を収容可能に構成された内筒と、
前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置され、前記内筒との間を第2流体が流通可能な外筒と、
前記内筒と前記外筒との間に配置され、前記第2流体の流路を内側流路と外側流路とに仕切る中筒と
を備え、
前記中筒は、径方向に連通する連通孔を有し、前記連通孔が前記中筒の軸方向に複数設けられており、
前記中筒は、前記中筒の軸方向両端部に設けられたスペーサーによって前記内筒に保持される熱交換器の流路構造。 - 前記中筒の軸方向一端に設けられた前記スペーサーが、前記中筒及び前記内筒の両方に固定され、前記中筒の軸方向他端に設けられた前記スペーサーが、前記内筒に対して固定され且つ前記中筒に対して可動可能に構成されている、請求項1に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記スペーサーが三次元構造を有する、請求項1又は2に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記三次元構造は、液体状態の前記第2流体の通過を許容しつつ、気体状態の前記第2流体の通過を阻害する、請求項3に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記内筒は、径方向外側が前記内側流路と接触する部分Aと径方向外側が前記外側流路と接触する部分Bとを有し、前記部分Aの前記内筒の厚さが前記部分Bの前記内筒の厚さよりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記中筒の軸方向両端部が、前記内筒の部分Bに接続されている、請求項5に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記連通孔が、前記中筒の軸方向において3列以上設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記連通孔が、前記中筒の周方向において6列以上設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記連通孔が、前記中筒の軸方向の中央部に設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造。
- 前記連通孔が、前記中筒の軸方向及び周方向の両方において略均等な間隔で設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器の流路構造を備える熱交換器。
- 前記熱交換器が、前記熱回収部材を更に備え、
前記熱回収部材が、第1端面から第2端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体である、請求項11に記載の熱交換器。 - 前記中筒の軸方向長さが、前記ハニカム構造体の軸方向長さよりも大きい、請求項12に記載の熱交換器。
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