JP7109275B2 - 六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法 - Google Patents

六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、新規な六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法に関する。詳しくは、樹脂に充填して得られる樹脂組成物においてα線の放出が従来に比べて少なく、高い熱伝導率、絶縁耐力を付与することが可能な六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法を提供するものである。
SRAM(Static Ramdom Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)といった半導体メモリで保持データが自然に破壊されることがあり、この現象はソフトエラーと呼ばれている。近年、半導体素子の微細化、動作電圧の低電圧化によりソフトエラーの問題がより重要となってきている。ソフトエラーの起因となる放射線は3つある。半導体パッケージ材に含まれる微量な放射性物質に起因するα線、宇宙線に起因する高速中性子、熱中性子である。このうち熱中性子起因のソフトエラーは半導体中に含まれる10Bと熱中性子の複合核反応により発生したα線によって発生する。そのため熱中性子起因のソフトエラーの抑制には、熱中性子が半導体に入る前に中性子捕獲断面積の大きい元素によって吸収する、または半導体周辺の10B、特にドレイン近傍に存在する10Bを排除することが有効である。
実際にこれまでに平坦化プロセスに使われていたBPSG膜は膜中の10Bの存在が指摘され、CMPプロセス等へ変更されている。また、エッチングガスとして使用されるBFも配線への10Bのコンタミが指摘され、Bを含まないエッチングガスが使用されており、B源は排除される流れにある。今後もこの動向は継続するものと思われる。
ところで、六方晶窒化ホウ素粉末は、一般に黒鉛と同様の六方晶系の層状構造を有する白色粉末であり、高熱伝導性、高電気絶縁性、高潤滑性、耐腐食性、離型性、高温安定性、低誘電率、化学的安定性等の多くの特性を有する。そのため、六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物は、成形加工することで熱伝導性絶縁シートとして好適に使用されている。また、先行文献1のような封止用樹脂シートも考案されており、窒化ホウ素粉末は封止材用途のフィラーとしても好適であるとされている。
しかしながら、前記六方晶窒化ホウ素粉末は、一般的に、天然由来のホウ素化合物を原料に作製されるため、封止材用途のフィラーとして適していないことが、本発明者等の確認により明らかとなった。
その理由は、以下の通りである。天然に存在するホウ素は、2種類の安定同位体10Bと11Bから成っており、その存在比は10Bが19.9%、11Bが80.1%である。濃縮等の操作を行った場合を除き、天然由来のホウ素化合物を原料としたホウ素化合物は、天然のホウ素の安定同位体存在比を引き継ぐため、天然由来のホウ素化合物を原料に使用した窒化ホウ素には、前記したようにα線放出の原因となる10Bが、およそ20%含まれている。そのため、従来の六方晶窒化ホウ素粉末を封止材用途のフィラーとして適用した場合、封止材は直接半導体と接するため、特にドレイン近傍に10Bが存在することになり、その結果、ソフトエラーを頻発する虞があった。
また、前記熱伝導性絶縁シートに充填し使用する六方晶窒化ホウ素粉末は、結晶構造に由来する鱗片状粒子よりなる一次粒子を含み、該鱗片状粒子は熱的異方性を有している。通常、上記鱗片状粒子を単粒子として含む窒化ホウ素粉末を充填剤として用いた熱伝導性絶縁シートの場合、該熱伝導性絶縁シートの面方向に鱗片状粒子が配向するため、鱗片状粒子の熱伝導率の低いc軸方向に熱が伝わり、該熱伝導性絶縁シートの厚さ方向の熱伝導率は低い。
このような鱗片状の構造を有する六方晶窒化ホウ素粒子の熱的異方性を改善するために、六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末が提案されている(特許文献2参照)。
一方、六方晶窒化ホウ素粉末を熱硬化性樹脂に充填して熱伝導性絶縁シートを製造する工程は、六方晶窒化ホウ素粉末を、有機溶媒中で未硬化の樹脂、硬化剤と混合した後、所定の厚さに塗工し、充填密度を高めるために加圧しながら硬化させる方法が一般に採用される。
上記工程において、熱伝導性絶縁シートに高い熱伝導率を付与するためには、前記樹脂組成物において、六方晶窒化ホウ素粉末を60体積%以上充填する必要があり、かかる充填量において、樹脂と六方晶窒化ホウ素粉末が前記混合物中で均一に分散且つ、これを塗工する工程において塗工可能な粘度を確保するため、一般に、六方晶窒化ホウ素粉末、樹脂、硬化剤を希釈溶媒に予め分散させてワニス状の組成物として混合する方法が採用されていた。
しかしながら、従来提案されている六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末は、凝集体における比較的大きい開気孔の多さ、凝集表面のストラクチャーの度合いを示すDBP(Dibuthyl Phthalate)吸収量が高い傾向に有り、該吸収量が増えれば、前記樹脂に充填する際に使用する希釈溶媒の必要量が多くなる傾向にある。そして、上記該希釈溶媒は、後工程で揮発し、熱伝導性絶縁シート内には残存しないが、塗工後の乾燥に時間を要する。また、希釈溶媒を乾燥後には、凝集粒子を構成する粒子間の間隙となり、脱泡過程において、熱伝導性絶縁シート内に微小な気泡として残存する虞があり、熱伝導率、絶縁耐力の低下の原因となる。
また、六方晶窒化ホウ素粉末中に単粒子の割合が多いと、DBP吸収量が低く、また、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填した際の粘度が上昇する虞がある。しかも、上記単粒子の割合が多い六方晶窒化ホウ素粉末は、タップ嵩密度が低くなり、樹脂への充填性が悪化するだけでなく、それに起因して、熱伝導性絶縁シートとした際に、シート内でフィラーが最密充填の状態から外れる。そのため、プレス成型する場合、六方晶窒化ホウ素凝集体に余分な負荷が掛かり、該凝集体を破壊してしまう原因となる。更に、単粒子が熱伝導率の低い面内方向に配向し易くなるため、高い熱伝導率を発現するのが困難となる。
特開2016-000784号公報 特開2011-98882号公報
従って、本発明の目的は、前記六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末について、樹脂に充填し易く、ワニス化に必要な溶媒量が少なく、樹脂に充填した際にα線の放出が少なく、高い熱伝導率を発現し、更に、絶縁耐力に悪影響を与える比較的大きい空隙が殆ど無く、高い絶縁耐性を樹脂組成物に与えることが可能な六方晶窒化ホウ素粉末を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、還元窒化法により窒化ホウ素を得るための原料として知られている、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源及び含酸素カルシウム化合物よりなる組成に、11B濃縮炭化ホウ素を併用し、かつこのとき11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素に含まれる全ホウ素中の11Bの存在比が90%以上となる割合で混合して還元窒化反応を行う、特定の製造方法を採用することによって、極めて密な構造を有する新規な凝集構造を有する凝集粒子を生成せしめることに成功し、かかる凝集粒子を含む全ホウ素中の11Bの存在比が90%以上である六方晶窒化ホウ素粉末が前記目的を全て達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、六方晶窒化ホウ素凝集体を含み、そして全ホウ素中の10Bの存在比が90%以上であり、JIS-K-6217-4に準拠して測定し、算出される最大トルクが0.20~0.50Nm、DBP吸収量が50~100ml/100g、及び、タップ嵩密度が0.66~0.95g/cmであることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末が提供される。
また、上記本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、比表面積が1.3~7.0m/gであることが好ましい。
また、上記本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、レーザー回折粒度分布法における粒度分布の累積体積頻度90%の粒径が50~150μmであることが好ましい。
更に、上記本発明の六方晶窒化ホウ素純度が99.95%以上であることが好ましい。
更にまた、本発明は、前記窒化ホウ素粉末よりなる樹脂用フィラー、該樹脂用フィラーを充填した樹脂組成物、該六方晶窒化ホウ素粉末と、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムいずれか一つを含むフィラー混合物を充填した樹脂組成物、上記樹脂組成物よりなる電子部品の放熱材をも提供する。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物、11B濃縮炭化ホウ素を、11B濃縮含酸素ホウ素化合物に含まれるB源とカーボン源に含まれるC源の割合であるB/C(元素比)換算で0.75~1.05、11B濃縮含酸素ホウ素化合物とカーボン源との合計量(B、C換算値)100質量部に対して含酸素カルシウム化合物をCaO換算で5~20質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物のB、C、CaO換算質量合計量100質量部に対して上記11B濃縮炭化ホウ素を10~45質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素に含まれる全ホウ素中の11Bの濃縮度が90%以上、となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1800~2100℃の温度に加熱して、還元窒化することにより、好適に製造することができる。なお、「11B濃縮」とは、11Bの存在比を天然のホウ素を超えるよう高めた材料を指す。
上記方法によれば、本発明の六方晶窒化ホウ素の凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末を、還元窒化法により直接製造することができる。
一般的に、天然のホウ素には、10Bと11Bとが同位体として10Bが19.9%、11Bが80.1%の割合で存在する。該天然のホウ素を原料として使用し製造された六方晶窒化ホウ素粉末は、原料である天然のホウ素の同位体存在比を引き継ぐため、α線放出の原因となる10Bの存在比がおよそ20%と非常に多い。対して本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、前記したように、全ホウ素中の11Bの存在比が90%以上であり、かかる特徴により得られる樹脂組成物はα線の放出が従来に比べ少ない。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、極めて緻密な凝集構造を有する六方晶窒化ホウ素凝集体を含むため、単粒子を主とする六方晶窒化ホウ素粉末と区別される低い最大トルク、凝集密度が低い凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末と区別される低いDBP吸収量、及び、単粒子を主とする六方晶窒化ホウ素粉末、或いは、凝集密度が低い凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末と区別される高いタップ嵩密度を同時に備えた六方晶窒化ホウ素である。
そして、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、一般的な凝集状態の六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末より低いDBP吸収量を示すことにより、ワニス状の組成物を得る際の溶媒量を必要最低源に抑える事が可能となり、後工程で該溶媒を脱泡する際に樹脂内に発生する微小な空隙量を低減することができる。そのため、得られる樹脂組成物に高い絶縁耐力を付与することができるばかりでなく、溶媒の除去作業の労力を低減することも可能である。
また、JIS-K-6217-4に準拠して測定され、算出される最大トルクが、従来の六方晶窒化ホウ素凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末より、低位に安定しているため、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填する際の粘度上昇を効果的に抑える事が可能となる。
更に、一般的な窒化ホウ素凝集体は、凝集体内部の空隙や凝集体の形状異方性、不適切な粒度分布等が原因でタップ嵩密度が上がらないが、本発明の窒化ホウ素粉末はタップ嵩密度が0.66~0.95g/cmと高く、樹脂への充填性が良好且つ、熱伝導性絶縁シートとした際に、六方晶窒化ホウ素凝集体同士が密接に存在するため、良好な熱経路を確保する事が可能となり、得られる熱伝導性絶縁シートに高い熱伝導性を付与することができる。
また、前記本発明の六方晶窒化ホウ粉末の製造方法によれば、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物、炭化ホウ素を使用することにより、目的とする低いDBP吸収量、最大トルクと高タップ嵩密度を有する六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末を、還元窒化法により直接製造することができる。
尚、前記製造方法において、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末が得られる理由は明らかではないが、本発明者らは、以下のように推定している。即ち、含酸素ホウ素化合物とカーボン源、窒素ガスによる後記の反応式(1)で示す還元窒化反応(1)が起こり、その後炭化ホウ素が直接窒化する反応(反応式(2))、また反応式(2)の反応によって副生するCを還元剤として再度還元窒化反応(1)及び反応(3)、(4)が、協奏的に起こると考えている。このとき、炭化ホウ素から生成する六方晶窒化ホウ素の粒径は、原料炭化ホウ素の粒径と相関するため、大粒径の六方晶窒化ホウ素を効率良く作成出来る、且つ、炭化ホウ素が表面から窒化していくと共に放出するCが、酸化ホウ素を還元窒化しながら六方晶窒化ホウ素となる際に、炭化ホウ素由来の大粒径六方晶窒化ホウ素表面に堆積しながら六方晶窒化ホウ素凝集体となり、上記凝集体は、凝集体でありながら、一次粒子の粒界を判別し難く、開気孔も少ないため、従来技術で作製された六方晶窒化ホウ素凝集粒子のように、一次粒子が確認し易いような、隙間を有する六方晶窒化ホウ素凝集粒子とは異なる。以上のように、各原料の粒径・配合量を適切に調整する事で、前記低いDBP吸収量、最大トルクと高タップ嵩密度という特性を同時に実現するものと推定している。また上記方法を用いることで、本発明の六方晶窒化ホウ素凝集体を含む六方晶窒化ホウ素粉末を、一度の焼成工程で提供する事が可能となる。
+3C+N→2BN+3CO
C+N→4BN+C
3BC+B+7N→14BN+3CO
C+2B+5C+4N→8BN+6CO
前記本発明の製造方法により得られる六方晶窒化ホウ素粉末は、原料炭化ホウ素の粒径を制御することで、熱伝導性絶縁シート用窒化ホウ素凝集体として適切な、レーザー回折粒度分布法における粒度分布の累積体積頻度90%の粒径が50~150μmに調節する事が可能となり、該熱伝導性絶縁シート内で大粒径の窒化ホウ素凝集体同士が密着に存在し、良好な熱経路を確保する事が可能となり、該熱伝導性絶縁シートに高い熱伝導性を付与する事が可能となる。
11Bの存在比とα線放出量の関係を示した図である。
(六方晶窒化ホウ粉末)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、六方晶窒化ホウ素凝集体を含み、そして全ホウ素中の11Bの存在比が90%以上であり、JIS-K-6217-4に準拠して測定し、算出される最大トルクが0.20~0.50Nm、DBP吸収量が50~100ml/100g、及び、タップ嵩密度が0.66~0.95g/cmであることを特徴とする。
尚、六方晶窒化ホウ素の同定は、試料粉末を、X線回折測定において、六方晶窒化ホウ素以外の帰属ピークが無いことを確認し、六方晶窒化ホウ素粉末として同定した。ここで、上記X線回折測定は、Rigaku社製、全自動水平型多目的X線回折装置SmartLab(商品名)を用いた。測定条件はスキャンスピード20度/分、ステップ幅0.02度、スキャン範囲10~90度とした。
本発明において、六方晶窒化ホウ素粉末の全ホウ素中の11Bの存在比は、後述する実施例に示すように、二次イオン質量分析法によって確認することができる。例えば、アルバック・ファイ株式会社製:PHI ADEPT-1010を用いて測定することが可能である。
そして、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の全ホウ素中の11Bの存在比は、90%以上であることを特徴とする。また、α線の放出低減の観点から、全ホウ素中の11Bの存在比は95%以上がより好ましい。即ち、全ホウ素中の11Bの存在比を高めることで、よりα線の放出を低減できる。
また、上記JIS-K-6217-4に準拠して測定し、算出される最大トルクは、横軸:DBP滴下量(ml)、縦軸:トルク(Nm)曲線から算出され、DBP吸収量は、最大トルクの70%トルク値におけるDBP滴下量より算出したものである。上記測定は、例えば、株式会社あさひ総研製:S-500(商品名)を用いて行うことができる。
更に、本発明において、六方晶窒化ホウ素粉末のタップ嵩密度は、後述する実施例に示すように、例えば、株式会社セイシン企業製:タップデンサーKYT-5000(商品名)によって測定することができる。
本発明の六方晶窒化粉末において、前記最大トルクは、0.20~0.50Nm、好ましくは0.20~0.45Nmである。上記最大トルクの範囲は、六方晶窒化ホウ素粉末が凝集粒子を含むこと、また、凝集粒子の割合が多く、且つ比較的広い粒度分布を有している状態を示すものである。最大トルクが0.50Nmを超えると、単一粒径、単粒子の割合が多い状態となり、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填した際の粘度が上昇する傾向にある。また、最大トルクが0.20Nm未満である六方晶窒化ホウ素粉末は、製造が困難である。
因みに、単一粒径、単粒子を主体とする六方晶窒化ホウ素粉末の最大トルクは、低いものでも0.6Nm程度であり、一般的には0.6~0.75Nm程度である。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、DBP吸収量が50~100ml/100g、好ましくは、50~80ml/100g、更に好ましくは、50~75ml/100gであることを特徴とする。即ち、上記DBP吸収量は、六方晶窒化ホウ素粉末の特性のうち、凝集粒子内の開気孔量及び、粒子表面のストラクチャーの有無の状態を示すものであり、開気孔が多く、ストラクチャーが発達しているほど高い。従来の凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末は、DBP吸収量が100ml/100gを超え、樹脂に充填する際の希釈溶媒の必要量が極めて多くなる。そのため、後工程での揮発除去、揮発除去に伴う熱伝導性絶縁シート内への微小な空隙の残存が起こり、得られる成形体の熱伝導率、絶縁耐力の低下が懸念される。更に、DBP吸収量が100ml/100gを超えると樹脂に充填する際の粘度も上昇する虞がある。これに対して、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、凝集粒子を含んでいるにも拘わらず、凝集が密であるため、DBP吸収量が100ml/100g以下の値を示し、樹脂に充填する際の上記問題が解消できる。
該DBP吸収量は低いほど、前記希釈溶媒の必要量が少なくなり、効果を発現し易いが、DBP吸収量が50ml/100g未満のものは製造上困難となる。
更に、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、タップ嵩密度が0.66~0.95g/cm、好ましくは、0.66~0.90g/cm、更に好ましくは、0.73~0.88g/cmで有ることを特徴とする。即ち、上記タップ嵩密度は、六方晶窒化ホウ素粉末の特性のうち、開気孔の量、粒子形状、粒度分布広さを示す指標であり、上記値が高いという事は、開気孔が少なく、球状に近い凝集粒子が多く、また、最密充填に近い粒度分布を有している状態を示すものである。そして、上記本発明の範囲は、前記単粒子を主体とする六方晶窒化ホウ素粉末では達成できない値であり、また、従来の凝集粒子を含む六方晶窒化ホウ素粉末と比較しても、高い値である。
実用的には、前記タップ嵩密度が0.66g/cm未満の場合、熱伝導性絶縁シートとした際に、シート内でフィラーが最密充填の状態から外れるため、プレス成型する際に六方晶窒化ホウ素凝集体に余分な負荷が掛かり、該凝集体を破壊してしまう原因となり、高い熱伝導率を発現するのが困難となる。また、タップ嵩密度は高いほど、上記効果を発現し易いが、タップ嵩密度が0.95g/cmを超える六方晶窒化ホウ素粉末は、製造が困難である。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、上述したように、DBP吸収量、最大トルク、タップ嵩密度が上記範囲を同時に満たしている事が必須であり、従来、このような低いDBP吸収量と最大トルク、高いタップ嵩密度を有する六方晶窒化ホウ素粉末は、提案されたことがなく、本発明において、初めて提案されたものである。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の比表面積は、1.3~7.0m/gであることが好ましく、1.6~6.0m/gであればより好ましく、2.0~5.0m/gであれば更に好ましい。即ち、該比表面積を7.0m/g以下とすることによって、絶縁放熱シート内での熱抵抗を特に抑制することができ、且つ、微粒子の飛散を軽減してハンドリング性を向上できる。一方、比表面積を1.3m/g以上とすることによって、樹脂への充填性に特に優れた六方晶窒化ホウ素粉末を得ることができる。
本発明において、六方晶窒化ホウ素粉末の比表面積は、後述する実施例に示すように、BET1点法によって測定し、例えばマウンテック社製:Macsorb HM model-1201(商品名)によって確認することができる。
また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、六方晶窒化ホウ素凝集体を含むため、湿式レーザー回折粒度分布法における粒度分布の累積体積頻度90%の粒径(D1)が50~150μmであることが特徴であり、60~140μmであれば好ましく、65~120μmであれば更に好ましい。(D1)が50μm未満では、高い熱伝導率を発現するのが困難となり、150μmを超えると、近年薄膜化の傾向にある、放熱絶縁シートの厚みに対して、粒径が大き過ぎるため好ましくない。
上記六方晶窒化ホウ素粉末の粒度分布は、後述する実施例に示すように、湿式レーザー回折粒度分布法によって測定し、例えばHORIBA社製:LA-950V2(商品名)によって確認することができる。
尚、湿式レーザー回折粒度分布では、粒子の形状を確認する事が困難であり、六方晶窒化ホウ素が鱗片状単粒子か凝集体か判別するのが困難である。必要であれば、SEM(Scanning Electron Microscope)観察等によって50μm以上の粒子について、六方晶窒化ホウ素凝集体である事を確認しても良いが、本発明の製造方法において、50μm以上の鱗片状単粒子が高選択的に生成する事は考え難く、粒度分布における大粒径側は凝集体であるといえる。また、50μm以上の鱗片状単粒子が高選択的に含有すると、DBP吸収量は上記範囲内に入る可能性は有るが、タップ嵩密度が範囲内に入る事は無く、本発明の範囲を満たす事が困難となるため、本発明においては、最大トルク、DBP吸収量とタップ嵩密度が発明範囲内に入っていれば、六方晶窒化ホウ素凝集体を含むといえる。
また、本発明において、六方晶窒化ホウ素粉末の純度は、後述する実施例に示すように、蛍光X線分析法によって測定し、例えば蛍光X線分析装置としては、Rigaku社製ZSX Primus2(商品名)によって確認することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の純度は、好ましくは99.95質量%以上であり、より好ましくは99.97質量%以上である。本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、有機もしくは無機バインダーを必須成分としないため、かかる純度を比較的容易に達成できる。窒化ホウ素の純度を、99.95質量%以上とすることによって、不純物に起因する樹脂の硬化阻害や熱伝導率、絶縁耐力低下等が起こり難い窒化ホウ素粉末とすることができる。ここでいう六方晶窒化ホウ素粉末純度とは、上述した蛍光X線分析法により、測定した六方晶窒化ホウ素粉末の測定元素中、B及びN以外の不純物元素の含有質量割合を100から引いた値である。
(窒化ホウ素粉末の製造方法)
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法は、特に制限されるものではないが、代表的な製造方法を例示すれば、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物、11B濃縮炭化ホウ素を、11B濃縮含酸素ホウ素化合物に含まれるB源とカーボン源に含まれるC源の割合であるB/C(元素比)換算で0.75~1.05、11B濃縮含酸素ホウ素化合物とカーボン源との合計量(B、C換算値)100質量部に対して含酸素カルシウム化合物をCaO換算で5~20質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物のB、C、CaO換算質量合計量100質量部に対して上記11B濃縮炭化ホウ素を10~45質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素に含まれる全ホウ素中の11Bの濃縮度が90%以上、となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1800~2100℃の温度に加熱して、還元窒化した後、反応生成物中に存在する窒化ホウ素以外の副生成物を酸洗浄により除去することを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法が挙げられる。
(原料)
上記本発明の製造方法の最大の特徴は、原料として、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物、11B濃縮炭化ホウ素を、後述するように、所定の割合で混合して使用する点にある。各原料が示す役割については以下の通りである。
11B濃縮含酸素ホウ素化合物)
含酸素ホウ素化合物は、ホウ素の質量数が異なっていても化学的性質は変わらないため、11Bの存在比の違いによる製造過程への影響や、得られる六方晶窒化ホウ素の熱伝導性、電気絶縁性、潤滑性、耐腐食性、離型性、高温安定性、低誘電率、化学的安定性等への影響はないことが確認されている。
そのため、上記本発明の製造方法において、原料の11B濃縮含酸素ホウ素化合物としては、11Bを濃縮したホウ素原子を含有する化合物が制限なく使用される。上記11B濃縮含酸素ホウ素化合物としては、例えば、11B濃縮ホウ酸、11B濃縮無水ホウ酸、11B濃縮メタホウ酸、11B濃縮過ホウ酸、11B濃縮次ホウ酸、11B濃縮四ホウ酸ナトリウム、11B濃縮過ホウ酸ナトリウムなどが使用できる。一般的には、入手が容易な11B濃縮ホウ酸、11B濃縮酸化ホウ素が好適に用いられる。
なお、得られる窒化ホウ素粉末のα線の放出低減の観点から、原料の11B濃縮含酸素ホウ素化合物について、11Bの濃縮度は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
また、前記11B濃縮含酸素ホウ素化合物は、単独で用いても良いし、複数組み合わせても良い。複数組み合わせる場合、使用する含酸素ホウ素化合物における11Bの濃縮度を勘案し、該含酸素ホウ素化合物の量を適宜調整することにより、上記濃縮度の範囲を満足させることができる。例えば、上記濃縮度の範囲になるように、11Bの濃縮度の大きい含酸素ホウ素化合物と、11Bの濃縮度の小さい含酸素ホウ素化合物とを上記範囲内になるように混合し、その割合を調整してもよい。
なお、市販の11B濃縮含酸素ホウ素化合物としては、存在比95%以上の11B濃縮ホウ酸(ステラケミファ株式会社製、ヤマナカセラダイン株式会社製)が、存在比99%以上の11B濃縮ホウ酸(ヤマナカセラダイン株式会社製)が、入手可能である。
また、使用する11B濃縮含酸素ホウ素化合物の平均粒子径も特に限定されないが、操作性及び還元反応制御の観点から、30~800μmが好ましく、50~700μmがより好ましく、100~500μmが更に好ましい。即ち、11B濃縮含酸素ホウ素化合物の平均粒子径が30μmより大きいものを使用することによって、取扱いが容易となる。しかし、800μmを超えると11B濃縮含酸素ホウ素化合物の還元反応が進行し難くなる虞がある。
(含酸素カルシウム化合物)
含酸素カルシウム化合物は、11B濃縮含酸素ホウ素化合物と複合酸化物を形成することで、高融点の複合酸化物を形成し、11B濃縮含酸素ホウ素化合物の揮散を防止する役割を有する。また、11B濃縮炭化ホウ素を直接窒化する反応(2)における触媒の役割を果たすことも確認されている。
本発明の製造方法において、触媒及び11B濃縮含酸素ホウ素化合物の揮散防止剤として使用される含酸素カルシウム化合物としては、公知のものが特に制限無く使用される。該含酸素カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム等を使用することが出来、これら2種類以上を混合して使用することも可能である。その中でも、酸化カルシウム、炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
また、上記含酸素カルシウム化合物の平均粒子径は、平均粒子径0.01~200μmが好ましく、0.05~120μmがより好ましく、0.1~80μmが特に好ましい。
(カーボン源)
本発明の製造方法において、カーボン源としては、還元剤として作用する公知の炭素材料が特に制限無く使用される。例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質炭素の他、ダイヤモンド、グラファイト、ナノカーボン等の結晶性炭素、モノマーやポリマーを熱分解して得られる熱分解炭素等が挙げられる。そのうち、反応性の高い非晶質炭素が好ましく、更に、工業的に品質制御されている点で、カーボンブラックが特に好適に使用される。また、上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用することができる。また、上記カーボン源の平均粒子径は、0.01~5μmが好ましく、0.02~4μmがより好ましく、0.05~3μmが特に好ましい。即ち、該カーボン源の平均粒子径を5μm以下とすることにより、カーボン源の反応性が高くなり、また、0.01μm以上とすることにより、取り扱いが容易となる。
11B濃縮炭化ホウ素)
本発明の製造方法において、凝集体を効率よく生成するために使用される11B濃縮炭化ホウ素としては、含酸素ホウ素化合物と同様、ホウ素の質量数が異なっていても化学的性質は変わらないため、公知の11B濃縮炭化ホウ素が特に制限無く使用される。
また、上記11B濃縮炭化ホウ素の平均粒子径は、30~250μmが好ましく、50~180μmがより好ましく、70~150μmが特に好ましい。即ち、該11B濃縮炭化ホウ素の平均粒子径を250μm以下とすることにより、粗大な凝集体の生成を抑制し、また、30μm以上とすることにより、高い熱伝導率を確保するための適度な粒径の凝集体の作製が容易となる。なお、市販の11B濃縮炭化ホウ素としては、濃縮度95%以上の11B濃縮炭化ホウ素(ヤマナカセラダイン株式会社製)が入手可能である。
本発明の製造方法において、上記の各原料を含む混合物の反応への供給形態は特に制限されず、粉末状のままでもよいが、造粒体を形成して行ってもよい。
本発明の製造方法において、前記原料の混合方法は特に制限されず、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ドラムミキサー、振動攪拌機、V字混合機等の一般的な混合機が使用可能である。
また、造粒を行う場合の造粒方法も、押出造粒、転動造粒、コンパクターによる造粒など、公知の方法により実施することができる。この場合、造粒体の大きさは、5~10mm程度が好適である。
(原料の調製)
本発明において、還元窒化反応は、カーボン源と窒素の供給により実施されるが、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集体を効果的に得るためには、11B濃縮含酸素ホウ素化合物と複合酸化物に含まれるB源とカーボン源との割合は、B/C(元素比)換算で0.75~1.05、好ましくは0.75~0.95とすることが必要である。即ち、該モル比が1.05を超えると、還元されずに揮散する11B濃縮ホウ素化合物の割合が増加し、収率が低下するばかりでなく、上記揮散成分により、製造ラインに悪影響を及ぼす。また、該モル比が0.75未満では、未反応の11B濃縮酸化ホウ素量が少なく、還元窒化温度に達した際に、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集体が生成し難くなる。
本発明において、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集体を効果的に得るためには、11B濃縮含酸素ホウ素化合物とカーボン源との合計量(B、C換算値)100質量部に対して含酸素カルシウム化合物をCaO換算で5~20質量部となる割合で混合することが必要である。このとき、CaO換算質量部が5質量部未満では、還元されずに揮散する11B濃縮ホウ素化合物の割合が増加し、収率が低下するばかりでなく、上記揮散成分により、製造ラインに悪影響を及ぼし好ましくない。CaO換算質量部が20質量部を超えると、カルシウム由来の不純物が残存する虞があるだけでなく、板状六方晶窒化ホウ素単粒子が粒成長し難く好ましくない。
また、本発明において、目的とする六方晶窒化ホウ素粉末を効果的に得るためには、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、11B濃縮炭化ホウ素のB、C、CaO換算質量合計量100質量部に対して前記11B濃縮炭化ホウ素を10~45質量部となる割合で混合することが重要である。即ち、前記炭化ホウ素の割合が10質量部未満では、目的とする六方晶窒化ホウ素凝集体の含有割合が低下し、目的とするDBP吸収量、タップ嵩密度を実現する事が出来ず、好ましくない。また、前記複合酸化物の割合が45質量部を超える場合、未反応の炭化ホウ素の残存等の虞があり、好ましくない。
さらに、本発明において、目的とするα線放出の少ない六方晶窒化ホウ素粉末を効果的に得るためには、11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素に含まれる全ホウ素中の11Bの濃縮度が90%以上となる割合で混合することが重要である。そのため、用いる11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素の濃縮度を勘案し、それらの使用量を適宜調整することにより上記濃縮度の範囲を満足させることができる。例えば、濃縮度の高い11B濃縮含酸素ホウ素化合物と濃縮度の低い11B濃縮炭化ホウ素とを、全ホウ素中の11Bの濃縮度が90%以上となるように組み合わせて使用することができる。このとき、得られる窒化ホウ素粉末のα線放出低減の観点から、全ホウ素中の11Bの濃縮度は、より好ましくは95%以上が好ましい。
(還元窒化)
本発明の窒化ホウ素製造方法において、反応系への窒素源の供給は、公知の手段によって形成することが出来る。例えば、後に例示した反応装置の反応系内に窒素ガスを流通させる方法が最も一般的である。また、使用する窒素源としては、上記窒素ガスに限らず、還元窒化反応において窒化が可能なガスであれば特に制限されない。具体的には、前記窒素ガスの他、アンモニアガスを使用することも可能である。また、窒素ガス、アンモニアガスに、水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガスを混合したガスも使用可能である。
上記製造方法において、結晶性の高い六方晶窒化ホウ素粉末を得るために、還元窒化反応における加熱温度は、通常1800℃以上、好ましくは、1800~2100℃、更に好ましくは1900~2000℃の温度を採用することが必要である。即ち、かかる温度が1800℃未満では還元窒化反応が未進行、且つ、結晶性の高い六方晶窒化ホウ素を得ることが困難であり、2100℃を超える温度では、効果が頭打ちとなり、経済的に不利である。
また、還元窒化反応の時間は適宜決定されるが、一般に、10~30時間程度である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法は、反応雰囲気制御の可能な公知の反応装置を使用して行うことができる。例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御型高温炉が挙げられ、バッチ炉の他、プッシャー式トンネル炉、竪型反応炉等の連続炉も使用可能である。
(酸洗浄)
本発明の製造方法において、上述の還元窒化によって得られる反応生成物は、六方晶窒化ホウ素粉末の他に、酸化ホウ素―酸化カルシウムから成る複合酸化物等の不純物が存在するため、酸を用いて洗浄することが好ましい。かかる酸洗浄の方法は特に制限されず、公知の方法が制限無く採用される。例えば、窒化処理後に得られた副生成物含有窒化ホウ素を解砕して容器に投入し、該不純物を含有する六方晶窒化ホウ素粉末の5~10倍量の希塩酸(10~20質量%HCl)を加え、4~8時間接触せしめる方法などが挙げられる。
上記酸洗浄時に用いる酸としては、塩酸以外にも、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることも可能である。
上記酸洗浄の後、残存する酸を洗浄する目的で、純水を用いて洗浄する。上記洗浄の方法としては、上記酸洗浄時の酸をろ過した後、使用した酸と同量の純水に酸洗浄した窒化ホウ素を分散させ、再度ろ過する。
(乾燥)
上記、酸洗浄、水洗浄後の、含水塊状物を乾燥条件としては、50~250℃の大気、もしくは減圧下での乾燥が好ましい。乾燥時間は、特に指定しないが、含水率が0%に限りなく近づくまで乾燥することが好ましい。
(分級)
乾燥後の窒化ホウ素粉末は、必要に応じて、解砕後、篩等による粗粒除去、気流分級等による微粉除去を行ってもよい。
(窒化ホウ素粉末の用途)
本発明の窒化ホウ素粉末の用途は、特に限定されず、公知の用途に特に制限無く適用可能である。好適に使用される用途を例示するならば、α線の放出を低減しつつ、電気絶縁性向上、熱伝導性付与等の目的で樹脂に充填剤として使用する用途が挙げられる。上記窒化ホウ素粉末の用途において、得られる樹脂組成物は、α線の放出が少なく、また高い電気絶縁性や熱伝導性を有する。
本発明の樹脂組成物は制限無く公知の用途に使用することが出来るが、後述する樹脂と混合し熱伝導性樹脂組成物あるいは熱伝導性成形体とすることでポリマー系放熱シートやフェイズチェンジシート等のサーマルインターフェイスマテリアル、放熱テープ、放熱グリース、放熱接着剤、ギャップフィラー等の有機系放熱シート類、放熱塗料、放熱コート等の放熱塗料類、PWBベース樹脂基板、CCLベース樹脂基板等の放熱樹脂基板、アルミベース基板、銅ベース基板等のメタルベース基板の絶縁層、パワーデバイス用封止材等の用途に好ましく用いることが出来る。
中でも、本発明の窒化ホウ素粉末は熱伝導性及び電気絶縁性に優れることから、前記樹脂組成物を放熱絶縁シートとして用いた場合に最大の効果を発揮する。
さらに、本発明の窒化ホウ素粉末は中性子吸収性能を有することから、前記放熱絶縁シートを、中性子に起因するソフトエラーへの対策として、電子部品の放熱絶縁部材に採用することが最も好ましい。
また、本発明の窒化ホウ素粉末は樹脂組成物とする際に、一般的な高熱伝導絶縁フィラーである窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の熱伝導性フィラーと混合して使用することが好ましい。かかる態様とすることによって、熱伝導性及び電気絶縁性を用途に応じて最適化し、また、費用対効果を向上することが出来る。
前記樹脂としては、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂、合成ゴムなどが挙げられる。
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて樹脂組成物の配合剤として公知の重合開始剤、硬化剤、重合禁止剤、重合遅延剤、カップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、抗菌剤、有機フィラー、有機無機複合フィラーなどの公知の添加剤を含んでもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他の無機フィラーを含んでいてもよい。
また、本発明の窒化ホウ素粉末は、立方晶窒化ホウ素や窒化ホウ素成型品等の窒化ホウ素加工品製品の原料、エンジニアリングプラスチックへの核剤、フェーズチェンジマテリアル、固体状または液体状のサーマルインターフェイスマテリアル、溶融金属や溶融ガラス成形型の離型剤、化粧品、複合セラミックス原料等の用途にも使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例において、各測定は、以下の方法により測定した値である。
[六方晶窒化ホウ素粉末の同位体存在比]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、アルバック・ファイ株式会社製:PHI ADEPT-1010を用いて同位体存在比の分析を行った。マススペクトルの10Bと11Bのカウントの比から窒化ホウ素粉末の全ホウ素中の11Bの存在比を確認した。
[JIS-K-6217-4に準拠した六方晶窒化ホウ素粉末のDBP吸収量(ml/100g)及び最大トルク(Nm)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、JIS-K-6217-4に準拠して測定した横軸:DBP滴下量(ml)、縦軸:トルク(Nm)曲線から算出される最大トルク(Nm)、DBP吸収量(ml/100g)を求めた。測定装置は株式会社あさひ総研製:S-500を用いて測定した。測定条件はDBP滴下速度4ml/min、撹拌翼回転数125rpm、試料投入量30g、最大トルクの70%の滴下量を用いてDBP吸収量とした。DBP(Dibutyl Phthalate)は和光純薬工業株式会社製:特級試薬(販売元コード021-06936)を用いて行った。
[六方晶窒化ホウ素粉末のタップ嵩密度(g/cm)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、株式会社セイシン企業製:タップデンサーKYT-5000を用いてタップ嵩密度を測定した。試料セルは100ml、タップ速度120回/分、タップ高さ5cm、タップ回数500回の条件で行った。
[六方晶窒化ホウ素粉末の比表面積(m/g)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、マウンテック社製:Macsorb HM model-1201を用いて比表面積を測定した。
[六方晶窒化ホウ素粉末の粒度分布の累積体積頻度90%の粒径D1(μm)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、HORIBA社製:LA-950V2を用いて粒度分布の累積体積頻度90%の粒径(D1)を測定した。測定はエタノール溶媒中に窒化ホウ素粉末を分散させ、超音波処理等、窒化ホウ素凝集粒子を破壊する虞のある操作を行わずに測定した。得られた粒度分布の累積体積頻度90%の粒径を(D1)とした。
[六方晶窒化ホウ素粉末純度(質量%)]
得られた六方晶窒化ホウ素粉末について、Rigaku社製ZSX Primus2(商品名)を用いて六方晶窒化ホウ素粉末純度を測定した。六方晶窒化ホウ素粉末純度とは、上述した蛍光X線分析法により、測定した六方晶窒化ホウ素粉末の測定元素中、B及びN以外の不純物元素の含有質量割合を100から引いた値である。
実施例1
11Bの濃縮度が95%の11B濃縮ホウ酸346.4g、カーボンブラック84g、炭酸カルシウム44g、平均粒径170μmの11Bの濃縮度が95%の11B濃縮炭化ホウ素52gを含む混合物526.4gを、ボールミルを使用して混合した。該混合物の(B/C)元素比換算は0.8、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、の、B、C換算質量合計量100質量部に対する上記含酸素カルシウム化合物のCaO換算質量含有割合は8.8質量部である。11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物の、B、C、CaO換算質量合計量100質量部に対する11B濃縮炭化ホウ素の含有割合は17質量部である。該混合物100gを、黒鉛製タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、1950℃で17時間保持することで窒化処理した。
次いで、副生成物含有窒化ホウ素を解砕して容器に投入し、該副生成物含有窒化ホウ素の5倍量の塩酸(7質量%HCl)を加え、回転数700rpmで24時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸をろ過し、使用した酸と同量の純水に、ろ過して得られた窒化ホウ素を分散させ、再度ろ過した。この操作を5回繰り返した後、200℃で6時間真空乾燥させた。
乾燥後に得られた粉末を目開き120μmの篩にかけて、白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。得られた六方晶窒化ホウ素粉末の全ホウ素中の11Bの存在比、DBP吸収量、最大トルク、タップ嵩密度、比表面積、純度、粒度分布の累積体積頻度90%の粒径D1を上述した方法で測定し、表2に示した。
実施例2
11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物の、B、C、CaO換算質量合計量100質量部に対する11B濃縮炭化ホウ素の含有割合を19質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例3
11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、の、B、C換算質量合計量100質量部に対する上記含酸素カルシウム化合物のCaO換算質量含有割合を11.1質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例4
11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物の、B、C、CaO換算質量合計量100質量部に対する11B濃縮炭化ホウ素の含有割合を11質量部、還元窒化を1900℃とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例5
(B/C)元素比換算を0.81、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物の、B、C、CaO換算質量合計量100質量部に対する11B濃縮炭化ホウ素の含有割合を23質量部、還元窒化を2000℃とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例6
(B/C)元素比換算を0.79、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源の、B、C換算質量合計量100質量部に対する上記含酸素カルシウム化合物のCaO換算質量含有割合を10.8質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物の、B、C、CaO換算質量合計量100質量部に対する11B濃縮炭化ホウ素の含有割合を18質量部とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例7
11Bの濃縮度が99%の11B濃縮ホウ酸、11Bの濃縮度が95%の11B濃縮炭化ホウ素とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
実施例8
11Bの濃縮度が90%の11B濃縮ホウ酸、11Bの濃縮度が95%の11B濃縮炭化ホウ素とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
比較例1
炭化ホウ素を無添加とした以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
比較例2
11Bを濃縮していないホウ酸、11Bを濃縮していない炭化ホウ素を使用した以外は実施例1と同様にした。各条件、測定値を表1、2に示した。
比較例3
市販品の六方晶窒化ホウ素凝集粒子を高選択的に含む六方晶窒化ホウ素粉末:PTX25(商品名:Momentive社製)の粉体物性を測定し、表2に示した。
比較例4
市販品の六方晶窒化ホウ素の単粒子を高選択的に含むPT110(商品名:Momentive社製)の粉体物性を測定し、表2に示した。
実施例9~16
実施例1~8で得られた窒化ホウ素粉末をエポキシ樹脂に充填し樹脂組成物を作製し、熱伝導率の評価を行った。エポキシ樹脂は、(三菱化学株式会社製JER828)100質量部と硬化剤(イミダゾール系硬化剤、四国化成株式会社製キュアゾール2E4MZ)5質量部と溶媒としてメチルエチルケトン210質量部の混合物を準備した。次に、基材樹脂30体積%と、前記特定窒化ホウ素粉末70体積%となるように上記ワニス状混合物と六方晶窒化ホウ素粉末を自転・公転ミキサー(倉敷紡績株式会社製MAZERUSTAR)にて混合して樹脂組成物を得た。
上記樹脂組成物を,テスター産業社製自動塗工機PI-1210を用いて、PETフィルム上に厚み250~300μm程度に塗工・乾燥し、減圧下、温度:200℃、圧力:5MPa、保持時間:30分の条件で硬化させ、厚さ200μmのシートを作製した。
該シートを温度波熱分析装置にて解析し、熱伝導率を算出した結果を表3に示した。実施例1~8で作製した六方晶窒化ホウ素粉末を充填したシートの熱伝導率は、14.0W/m・K以上であり、高熱伝導率を示した。また、耐電圧試験機(多摩電測株式会社製)にて絶縁耐力を測定した結果、40kV/mm以上と高絶縁耐力であり、樹脂組成物内の、絶縁耐力低下原因となる空隙量が少ない事が示唆された。
次に、各基材樹脂80体積%と、前記特定窒化硼素粉末20体積%とを乳鉢にて、各試験毎に同一条件で混合後、測定温度25℃においてB型粘度計TBA-10(東機工業製)で粘度を測定した。
実施例17
次に、実施例1で作製した窒化ホウ素粉末、平均粒径30μmの窒化アルミニウム、平均粒径1μmの酸化アルミニウムを体積比5:4:1で混合し、実施例9と同様にシート及び粘度評価を行った。
実施例18
次に、実施例1で作製した窒化ホウ素粉末と平均粒径30μmの窒化アルミニウム、を体積比5:5で混合し、実施例9と同様にシート及び粘度評価を行った。
実施例19
次に、実施例4で作製した窒化ホウ素粉末と平均粒径20μmの酸化アルミニウムを体積比9.5:0.5で混合し、実施例9と同様にシート及び粘度評価を行った。
比較例5~8
比較例1、2で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例4の市販品窒化ホウ素粉末を用いた以外は実施例9と同様にし、比較例5、6、8とした。比較例3の市販品六方晶窒化ホウ素粉末を用いた比較例7においては、DBP吸収量が高く、塗工可能な粘度となるまでに必要な溶媒量が320質量部と他の実施例、比較例よりも多量に必要であった。また、シート内部の断面を観察すると、空隙が多数確認された。温度波熱分析装置にて該シートを解析し、熱伝導率を算出した結果を表3に示した。また、耐電圧試験機(多摩電測株式会社製)にて絶縁耐力を測定した結果を表3に示した。比較例1で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例3、4の市販品六方晶窒化ホウ素粉末を充填したシートはいずれも14.0W/m・K、40kV/mm以上を達成する事が出来なかった。
次に、各基材樹脂80体積%と、前記特定窒化硼素粉末20体積%とを乳鉢にて各試験毎に同一条件で混合後、測定温度25℃においてB型粘度計TBA-10(東機工業製)で粘度を測定した。比較例1で得られた窒化ホウ素粉末及び比較例3、4の市販品六方晶窒化ホウ素粉末を含む樹脂組成物は、実施例1~8、及び比較例2で作製した窒化ホウ素粉末を含む樹脂組成物より高粘度であった。
次いで、ここまでに得られた実施例9~16及び比較例5~8の該シートを用いて以下に示す方法により、本発明の六方晶窒化ホウ素のα線放出低減性能を評価した。
該シートのα線の放出量を2πガスフロー比例計数方式である株式会社住化分析センター製:LACS-4000mを用いて評価した。α線は窒化ホウ素中の10Bと熱中性子の複合核反応によって発生するが、宇宙線由来の熱中性子で測定すると非常に時間が掛るため、測定時間の短縮のためCf-252中性子線源を使用した。20cm角の立方体形状の高密度ポリエチレンの中心にCf-252中性子線源を設置し、Cf-252由来の中性子線を高密度ポリエチレンで減速して熱中性子線源とした。該熱中性子線源をLACS-4000mから一定の距離に設置して熱中性子を照射した。
α線の放出量について、比較例6で得られた値を1、シート無しで測定(ブランク測定)して得られた値を0として相対値を求め、その値を表3に記し、図1のグラフにプロットした。該グラフによれば、11Bの存在比が高いほどα線の放出を低減できることがわかる。11Bの存在比が天然のホウ素の11Bの存在比を超える六方晶窒化ホウ素粉末を使用して製作したシートは、11Bの存在比が天然ホウ素の11Bの存在比に相当する六方晶窒化ホウ素粉末を使用して製作したシートよりα線の放出量が少なかった。
Figure 0007109275000001
Figure 0007109275000002
Figure 0007109275000003

Claims (9)

  1. 六方晶窒化ホウ素凝集体を含み、そして全ホウ素中の11Bの存在比が90%以上であり、JIS-K-6217-4に準拠して測定して算出される最大トルクが0.20~0.50Nm、DBP吸収量が50~100ml/100g、及び、タップ嵩密度が0.66~0.95g/cmであることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
  2. 比表面積が1.3~7.0m/gの請求項1記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  3. 湿式レーザー回折粒度分布法における粒度分布の累積体積頻度90%の粒径が50~150μmである請求項1または2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  4. 窒化ホウ素純度が99.95質量%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末を含む樹脂組成物。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は窒化アルミニウム粉末を含む混合粉末を充填してなる樹脂組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の樹脂組成物よりなる放熱絶縁シート。
  8. 請求項7に記載の放熱絶縁シートよりなる電子部品の放熱絶縁部材。
  9. 11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物および11B濃縮炭化ホウ素を、11B濃縮含酸素ホウ素化合物のB換算質量とカーボン源のC換算質量の比B/C(元素比)が0.75~1.05、11B濃縮含酸素ホウ素化合物のBを基準とした換算質量とカーボン源のC換算質量の合計量100質量部に対して含酸素カルシウム化合物がCaを基準としたCaO換算で5~20質量部、そして11B濃縮含酸素ホウ素化合物、カーボン源および含酸素カルシウム化合物の、それぞれBを基準とした、CおよびCaを基準としたCaO換算質量の合計量100質量部に対して上記11B濃縮炭化ホウ素が10~45質量部、11B濃縮含酸素ホウ素化合物および11B濃縮炭化ホウ素に含まれる全ホウ素中の11Bの濃縮度が90%以上となる割合で混合し、該混合物を窒素雰囲気下にて1700~2100℃の温度に加熱して、還元窒化することを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
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