JP7107592B2 - チェストピース、聴診器及びデジタル聴診デバイス - Google Patents

チェストピース、聴診器及びデジタル聴診デバイス Download PDF

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Description

本発明は、聴診に用いるチェストピースに係り、特に、ホーン効果を利用して聴診音を大きくできるチェストピースとそれを用いた聴診器及びデジタル聴診デバイスに関する。
[先行技術の説明]
一般的な聴診器の概略構成について図4を用いて説明する。図4は、一般的な聴診器の概略構成を示す説明図である。
図4に示すように、聴診器は、チェストピース31と、チューブ32と、耳管部33と、イヤーチップ34とを備えている。
チェストピース31は、患者の肌に接して呼吸音や心音等を収音する収音部であり、収音した音を出力する中空の金属管(シャフト部)35を備えている。
チューブ32は、チェストピース31で収音された音を金属管35を介して入力し、伝達する管であり、一端がチェストピース31の金属管35に接続し、他端がU字形状に分岐している。
耳管部33は、チューブ32のU字形状の他端にそれぞれ接続して音を伝達する。
イヤーチップ34は、耳管部33に接続し、医師の耳に装着される部分である。
チェストピース31としては、金属製の皿形状の収音部に、合成樹脂製の膜が張られたダイヤフラム型や、小さなベル形状(お椀形状)の収音部の縁にゴム等のリングが設けられたベル型等の形状があり、いずれの場合も、収音した音を、金属管35を介してチューブ32に出力する。
ダイヤフラム型やベル型のチェストピース31は、用途によって使い分けられる。
[関連技術]
尚、聴診器に関連する先行技術文献として、特開2006-230447号公報「聴診器」(特許文献1)、実用新案登録第3161479号公報「聴診器」(特許文献2)、実用新案登録第3200110号公報「ダイヤフラム型聴診器」(特許文献3)がある。
特許文献1には、チェストピースにおいて患者の皮膚に触れる部分は漆にして感染予防を図ることが記載されている。
また、特許文献2には、中心部分が深く外側に向かうにつれて徐々に浅くなるドーム型のチェストピースが記載されている。
特許文献3には、チェストピース本体の開口部にリングによってダイヤフラムを貼り付けたダイヤフラム型聴診器が記載されている。
特開2006-230447号公報 実用新案登録第3161479号公報 実用新案登録第3200110号公報
しかしながら、従来のチェストピースでは、収音部からチューブに音を伝達する金属管がほぼ均一径の円筒状となっており、内部が真っすぐなトンネル形状であるため、収音した音は金属管を通過する際に若干減衰してしまい、無駄なく効率的に伝達して大きな聴診音を得るものではないという問題点があった。
尚、特許文献1の図3には、チェストピースの金属管の断面形状が示されているが、チェストピースの管の内部を徐々に狭くして、更に出力側に向けて徐々に広くするものとはなっていない。
また、特許文献2,特許文献3にも、チェストピースの金属管の内部形状を、収音部に近い入力側から出口に向かって一旦徐々に狭くなるよう形成し、その先、出力側に向けて徐々に広くなるよう形成することについての記載はない。
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、収集した音を無駄なく効率的に伝達して増幅し、大きな聴診音を得ることができるチェストピース、聴診器及びデジタル聴診デバイスを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、聴診に用いられるチェストピースであって、中心に収音孔を備える収音部と、収音部に接続する中空の金属管とを有し、金属管は、一端が収音孔からの音を入力し、他端が当該音を出力するものであり、金属管の内径を入力側から出力側に向かって徐々に小さくして、途中から内径を徐々に大きくしたことを特徴としている。
また、本発明は、上記チェストピースにおいて、金属管の内径を徐々に大きくする出力側の長さを、内径を徐々に小さくする入力側の長さより短くしたことを特徴としている。
また、本発明は、上記チェストピースにおいて、金属管は、第1の金属管部と第2の金属管部とを備え、第1の金属管部は、収音部と第2の金属管部を連結するものであり、収音部の収音孔に接続し、収音部の背面に対して斜め方向に延びて第2の金属管部の一端に接続し、第2の金属管部は、第1の金属管部から出力される音を一端から入力し、他端に出力するものであり、一端側から他端側に向かって内径を徐々に小さくして、途中から内径を徐々に大きくしたことを特徴としている。
また、本発明は、上記チェストピースにおいて、金属管の出力側には、複数の取付溝を有することを特徴としている。
また、本発明は、聴診器において、上記いずれか記載のチェストピースを備えることを特徴としている。
また、本発明は、デジタル聴診デバイスにおいて、上記いずれか記載のチェストピースを備えることを特徴としている。
本発明によれば、聴診に用いられるチェストピースであって、中心に収音孔を備える収音部と、収音部に接続する中空の金属管とを有し、金属管は、一端が収音孔からの音を入力し、他端が当該音を出力するものであり、金属管の内径を入力側から出力側に向かって徐々に小さくして、途中から内径を徐々に大きくしたチェストピースとしているので、一旦内部の空間を狭くして音圧を高めた後で、空間を徐々に広げてホーン効果により増幅することができ、収音した音を効率的に伝達して、大きな聴診音を得ることができる効果がある。
また、本発明によれば、金属管の内径を徐々に大きくする出力側の長さを、内径を徐々に小さくする入力側の長さより短くした上記チェストピースとしているので、音圧を十分に高めてからホーン効果を得ることができ、効率的に聴診音を大きくできる効果がある。
また、本発明によれば、金属管の出力側には、複数の取付溝を有する上記チェストピースとしているので、複数種類のデジタル聴診デバイスに接続できる効果がある。
また、本発明によれば、上記いずれか記載のチェストピースを備える聴診器としているので、従来に比べて大きな聴診音を得ることができ、診断等に役立てることができる効果がある。
また、本発明によれば、上記いずれかのチェストピースを備えるデジタル聴診デバイスとしているので、従来に比べて大きな聴診音に基づいて多くの情報を得ることができ、診断等に役立てることができる効果がある。
本チェストピースの断面説明図である。 本チェストピースの側面説明図である。 本チェストピースの正面説明図である。 一般的な聴診器の概略構成を示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るチェストピース(本チェストピース)は、聴診に用いられ、中心に収音孔を備える収音部と、収音部に接続する中空の金属管とを備え、金属管は、一端が収音孔からの音を入力し、他端が当該音を出力するものであって、金属管の内径を入力側から出力側に向かって途中まで徐々に小さくして内部の空間を徐々に狭くし、途中から内径を徐々に大きくして内部の空間を広くするよう形成されたものであり、金属管の内部空間を途中まで徐々に狭くすることで音圧を高めると共に、途中から徐々に広くすることでホーン効果よって増幅することができ、収集した音を効率的に伝達して、大きな聴診音を得ることができるものである。
また、本発明の実施の形態に係る聴診器(本聴診器)及び本発明の実施の形態に係るデジタル聴診デバイス(本デジタル聴診デバイス)は、本チェストピースを備えたものである。
[本チェストピースの構成:図1~図3]
本チェストピースの構成について図1~図3を用いて説明する。図1は、本チェストピースの構成を示す断面説明図であり、図2は、本チェストピースの側面説明図であり、図3は、本チェストピースの正面説明図である。
本チェストピースは、収音された音の経路となる金属管部分の内部形状を工夫することで、効率よく音を伝達し、大きな聴診音を得られるようにしたものである。
図1~3に示すように、本チェストピースは、収音部1と、金属管2とを備えている。
[収音部1]
収音部1は、金属製で、円形の皿形状に形成され、中心に収音孔1aが設けられている。収音部1は、患者の皮膚に直接接触して、呼吸音等を収音し、収音孔1aから出力する。
収音部1の表面(正面)には、合成樹脂製のダイヤフラム3が張られている。但し、図1ではダイヤフラム3は省略している。
尚、ここでは、収音部1をダイヤフラム型として説明するが、ベル型等、他の形状であっても構わない。
[金属管2]
金属管2は、図1,図2に示すように、第1の金属管部2aと、第2の金属管部2bとを備えている。
第1の金属管部2aの一端(入力側端部)は、収音部1の収音孔1aに接続するよう取り付けられている。ここで、第1の金属管部2aは、音の流れを良くするために、収音部1の背面に対して約45°の角度で斜め方向に取り付けられている。
そして、第1の金属管部2aの他端(出力側端部)は、第2の金属管部2bの一端(入力側端部)に接続されている。
つまり、第1の金属管部2aは、収音部1と第2の金属管部2bとを接続(連結)するものである。
また、第1の金属管部2aは略円筒形状であり、外径寸法は約9.00mm、内径寸法は約5.00mmとしている。
第2の金属管部2bは、収音部1で収音された音を、聴診器のチューブやデジタル聴診デバイス等に出力する部分であり、本チェストピースではその内部形状が特徴となっている。
第2の金属管部2bは、外径寸法が約9.50mmの略円筒形状であり、図1,図2に示すように、第1の金属管部2aに対して約135°の角度で斜め方向に連結されて、第2の金属管部2aの入力側端部が第1の金属管部2aの出力側端部に接続している。つまり、第2の金属管部2bは、図1,図2に示すように、収音部1に対して略平行に設けられている。
これにより、本チェストピースは、金属管2が収音部1からあまり突出せず、かさばらず、チューブに無理なく接続されるように形成されている。
そして、図1に示すように、第2の金属管部2bの内径寸法は、入力側端部から出力側端部に向かって徐々に小さくなっており、途中から、逆に、出力側端部に向かって徐々に大きくなって、出力側端部で最大の口径となっている。
具体的には、第2の金属管部2bの入力側端部の内径は約5.50mmであり、そこから出力側端部に向かって徐々に内径寸法が小さくなって、出力側端部寄りの位置で、最小内径となる最小径部21となる。最小径部21の内径寸法は、約3.50mmとしている。
最小径部21の位置は、入力側端部から出力側端部に向かって、全長の約2/3程度のところとしている。つまり、第2の金属管部2bにおいて、内径寸法が徐々に小さくなる部分の長さは、入力側端部寄りで、全長の約2/3程度の長さである。
そして、最小径部21から出力側端部に向かっては、徐々に内径寸法が大きくなって、出力側端部における内径寸法は6.00mmとなっている。
第2の金属管部2bにおいて、内径寸法が徐々に大きくなる部分は、出力側端部寄りの部分で、全長の1/3程度の長さである。
また、ここでは第2の金属管部2bの内壁の断面形状を、直線的に変化させているが、曲線形状に変化させてもよい。例えば、内径を徐々に小さくする部分をベル形状に形成してもよいし、徐々に大きくする部分をラッパ形状に形成してもよい。
このように、第2の金属管部2bにおいて、入力側端部から出力側端部に向かって2/3程度のところまでは、徐々に内径寸法を小さくして内部空間を狭くしていくことで、壁面による減衰を低減し、内部を通過する音を集中させて音圧を高めていく。
そして、最小径部21から出力側端部に向かっては、徐々に内径寸法を大きくして内部空間を広げていくことで、ホーン効果が得られ、一旦集中させた音を増幅して出力する。
つまり、本チェストピースでは、収音された音が通過する経路を特殊な形状として、ロスを低減して効率的に音を伝達して出力し、大きな聴診音を得ることができるものである。
特に、本チェストピースでは、音圧を高めることによる効果を優先しており、第2の金属管部2bにおいて、入力側端部寄りの、内径を徐々に小さくする部分の長さを、出力側端部寄りの、内径を徐々に大きくする部分の長さより長くしているものである。
尚、ここでは、第1の金属管部2aの内径は一定としているが、第1の金属管部2aにおいて、入力側端部寄りで内径を徐々に小さくし、出力側端部寄りで内径を徐々に大きくするように形成してもよい。
更に、第1の金属管部2aと第2の金属管部2bの両方を上述した形状としてもよい。
また、第1の金属管部2aにおいて内径を徐々に小さくし、第2の金属管部2bにおいて内径を徐々に大きくするように形成してもよい。
更にまた、第1の金属管部2aにおいて内径をある程度まで徐々に小さくし、第2の金属管部2bにおいて内径を更に小さくしてから、出力側端部に向けて徐々に大きくするように形成してもよい。
[取付溝]
本チェストピースは、デジタル聴診デバイスに接続して用いることも可能である。
そのため、図1~図3に示すように、第2の金属管部2bの外側面には、デジタル聴診デバイスに接続される取付溝22a,22b,22cが形成されている。
デジタル聴診デバイスは、チェストピースから出力される呼吸音等をデジタル化して記憶し、種々の用途に利用できるようにした端末であり、本チェストピースは、複数種類のデジタル聴診デバイスに取り付けられるよう、3つの取付溝22a、22b、22cを備えている。
[本デジタル聴診デバイス]
本チェストピースが取り付けられたデジタル聴診デバイスが本デジタル聴診デバイスとなる。取り付け時には、デジタル聴診デバイスの入力部に、本チェストピースの金属管2を挿入して、取付溝22a,22b,22cのいずれかに勘合させる。
本デジタル聴診デバイスでは、本チェストピースの金属管2において音圧を高めた後ホーン効果で増幅された大きな聴診音が入力されるため、従来に比べて得られる情報量が増え、診断等に活用しやすくなるものである。
[本聴診器]
本聴診器は、本チェストピースが耳管に取り付けられた聴診器である。
本聴診器では、従来に比べて、本チェストピースから大きな聴診音が入力されるので、医師等は細部まで聞き取ることが可能となり、診断等に活用しやすくなるものである。
[実施の形態の効果]
本チェストピースによれば、中心に収音孔1aを備える収音部1と、収音部1に接続する中空の金属管2とを備え、金属管2は、一端が収音孔1aからの音を入力し、他端が当該音を出力するものであって、金属管2の内径を入力側から出力側に向かって途中まで徐々に小さくして内部の空間を徐々に狭くし、途中から内径を徐々に大きくして内部の空間を広くするよう形成されたものであり、音圧を高めてから、ホーン効果よって音を増幅することができ、収集した音を効率的に伝達して、大きな聴診音を得ることができる効果がある。
また、本チェストピースによれば、金属管2にデジタル聴診デバイスに取り付け可能とする複数の取付溝22a,22b,22cを備えているので、種々のデジタル聴診デバイスで聴診音を取り込むことができ、利便性を向上させることができる効果がある。
また、本デジタル聴診デバイス及び本デジタル聴診デバイスによれば、本チェストピースを備えているので、従来に比べて大きな聴診音を得ることができ、情報量が増え、細部まで聴きとることができ、診断等に役立つ効果がある。
本発明は、収集した音を無駄なく効率的に伝達して増幅し、大きな聴診音を得ることができるチェストピースとそれを用いた聴診器及びデジタル聴診デバイスに適している。
1…収音部、 1a…収音孔、 2,35…金属管、 2a…第1の金属管部、 2b…第2の金属管部、 3…ダイヤフラム、 21…最小径部、 22a,22b,22c…取付溝、 31…チェストピース、 32…チューブ、 33…耳管部、 34…イヤーチップ

Claims (6)

  1. 聴診に用いられるチェストピースであって、
    中心に収音孔を備える収音部と、
    前記収音部に接続する中空の金属管とを有し、
    前記金属管は、一端が前記収音孔からの音を入力し、他端が当該音を出力するものであり、
    前記金属管の内径を入力側から出力側に向かって徐々に小さくして、途中から前記内径を徐々に大きくしたことを特徴とするチェストピース。
  2. 金属管の内径を徐々に大きくする出力側の長さを、前記内径を徐々に小さくする入力側の長さより短くしたことを特徴とする請求項1記載のチェストピース。
  3. 金属管は、第1の金属管部と第2の金属管部とを備え、
    前記第1の金属管部は、収音部と前記第2の金属管部を連結するものであり、前記収音部の収音孔に接続し、前記収音部の背面に対して斜め方向に延びて前記第2の金属管部の一端に接続し、
    前記第2の金属管部は、前記第1の金属管部から出力される音を前記一端から入力し、他端に出力するものであり、前記一端側から前記他端側に向かって内径を徐々に小さくして、途中から前記内径を徐々に大きくしたことを特徴とする請求項1又は2記載のチェストピース。
  4. 金属管の出力側には、複数の取付溝を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のチェストピース。
  5. 請求項1乃至4のいずれか記載のチェストピースを備えることを特徴とする聴診器。
  6. 請求項1乃至4のいずれか記載のチェストピースを備えることを特徴とするデジタル聴診デバイス。
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