JP7106914B2 - 留置型医療機器、留置型医療機器セット及び標識部セット - Google Patents
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Description
この種の薬液注入ポートとして、例えば、下記の特許文献1、2が例示される。
特許文献2には、識別特徴部を有するアクセスポートが記載されている。特許文献2に記載の識別特徴部は、基部の下面(底面)に左右反転されて例えば「CT」等の文字を彫ることによって形成される。術者は、X線撮像等を行って識別特徴部を視認し、アクセスポートが被術者の身体内にある間に裏返しになっているまたは向きが誤っているかどうかなど、埋め込み後のポートに問題があるかどうかを判断することができる。
ところで、留置型医療機器は、機器が埋め込まれる被術者の負担軽減の観点から小型であることが望ましい。小型の機器にあっては、本体の識別の特徴を付与するための領域が小さくなり、識別の特徴も小さくなって識別し難くなるものと思われる。また、当然のことながら、アクセスポートの本体においては、医療機器としての目的が優先される。このため、識別のための特徴の付与を考慮して本体の構成を変更することは望ましくない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、医療機器の小型化を妨げることがなく、体内に埋め込まれた後に容易に識別できる標識部を有する留置型医療機器、留置型医療機器セット及び標識部セットに関する。
前記標識部は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示し、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる前記標識体を示す。
図1は、本実施形態の留置型医療機器1の斜視図である。図2は、図1に示した留置型医療機器1を図1中に示したx、y、z座標のx方向に見た右側面図である。図3は、留置型医療機器1を-z方向に見た上面図であり、図4は、留置型医療機器1を図3中に示した矢線I-Iの方向に見た縦断面図である。
本実施形態では、以下、留置型医療機器1を、薬液注入ポートとして構成した例を挙げて説明する。
なお、本実施形態では、本体100において、図1から図3に示した隔膜部20の側を「上」、下面21の側を「下」と記す。また、下面21(図2)から隔膜部20に向かう方向を「上方」と記し、反対に隔膜部20から下面21に向かう方向を「下方」と記す。また、上下方向を「縦」とも記し、縦と直交する方向を「横」とも記す。
ここで、標識体251の周囲とは、標識部250のうち、標識体251の外周縁によって標識体251と隔てられた隣接領域である。
<本体>
本体100は、全体に厚さ(z軸に沿う方向の長さ)を持った略円盤状の形状を有していて、本体100の径は、厚さが最大厚さの略1/2になる位置p1(図1、図2)において最大となる。また、本体100の径は、下面21から位置p1に向かって順次大きくなり、位置p1から隔膜部20に向かって順次小さくなる。換言すれば、本体100は、液溜まり部50の下面21に平行な横断面が蓋体12から基部14に向かって大きくなる部分(拡大部分)19を有している。
また、留置型医療機器1は、図示しないコネクタ部及び複数の剛性フレーム(上方フレーム60及び下方フレーム70)を備えている。図示しないコネクタ部はロックトップ32の内部に設けられた中空筒状の部位であり、液溜り部50から包含部10の外方に連通している。コネクタ部の先端はロックトップ32の内部に位置しており、この先端にカテーテルが接続される。フレーム60及び下方フレーム70は、包含部10より高い剛性を有しており、互いに組み合わされて環状の枠体を構成している。隔膜部20は、枠体の中に押し込められている弾性体によって形成され、開口部59を覆っている。
このため、第一実施形態では、留置型医療機器1を上方から見た場合、標識部250が本体100の上面に隠れることがなく、標識部250に記された標識体251を視認することができる。
なお、本実施形態では液溜り部50が基部14と一材となっている態様で説明したが、個別の部材であってもよい。このとき、液溜り部50は、樹脂材料で形成されてもよいし、その他の材料で形成されていてもよい。
また、液溜り部50は、下方フレーム70と一材になっている態様であってもよい。この態様である場合、液溜り部50は下方フレーム70と同一の金属製となる。この場合、液溜り部50を囲っている壁面に穿刺針が衝突しても、この壁面に穿刺針が刺さらないので、液溜り部50が破損し難くなる。
上記のように、本実施形態は、糸掛部を係合部23に使用している。このため、本実施形態において、糸掛部は、隔膜部20を取り囲む異なる四箇所以上に設けられていることが好ましい。このうち一箇所を係合部23として使用し、残りの三箇所以上を糸掛部として本体100を体内に水平を保ちながら縫い止めることに使用するためである。
係合部23は、上記したように、上孔部23a、下孔部23b及び貫通孔23cを含んでいる。このような係合部23は、本体100の表面に形成された凹部である上孔部23a、下孔部23bを含んでいる。後に詳述する標識部250は、上孔部23a、下孔部23bに挿入される挿入部を含んでいる(図5)。
本実施形態では、図1のように、三つある糸掛部のうちの少なくとも一つを標識部250との係合に使用するものであってもよいし、三つの糸掛部とは別に糸掛部と同様の構成を設けてこれを係合部23に使用するものであってもよい。係合部23に糸掛部を流用した場合、留置型医療機器1の既存の構成を使用して標識部250を係合させることができる。また、係合部23を三つの糸掛部とは別に設けた場合、本体100を三点で支持して液溜まり部50の水平性を保つことに有利である。
標識体251は、留置型医療機器1の機能、特性または識別番号などの情報を示す文字、マークまたは図形(以下、「文字等」という場合がある)の少なくとも一つであり、文字等それ自体の形態を為す領域を標識体251と呼称する。標識部250は、かかる標識体251を包含する領域である。
上記したように、本体100は、液溜まり部50を内包する基部14と、この基部14と共に包含部10を構成する蓋体12と、を含んでいる。そして、本体100は、液溜まり部50の下面21に平行な横断面が蓋体12から基部14に向かって大きくなる拡大部分19を有している。標識部250は、この拡大部分19の周面に係合される。
このようにすれば、留置型医療機器1を真上からX線写真で撮影した場合、標識部250がより上方にある本体100の部分に隠れることがなく、明瞭に撮影できる。また、拡大部分19は基部14において大きな領域を占めるので、係合部の設置位置の自由度を高くすることができる。
平板部252には、標識体251が形成されている。標識体251は、例えば、文字を表す切欠251aで形成されていて、切欠251aは平板部252を貫通している。また、平板部252は上記したX線の透過率の低い金属部材または非金属部材を含んでいる。このために、標識部250は、X線写真において黒い平板部252を背景に文字が白抜きで表示されるようになる。
なお、上記した「金属部材または非金属部材」は、平板部252が金属部材または非金属部材のみによって構成される他、他の部材を含むものであってもよいことを示す。他の部材としては、例えばペースト等が考えられる。このような場合、本実施形態では、ペーストに金属部材または非金属部材を混入し、板状に加工して平板部252とすることができる。
また、このような構成によれば、本実施形態は、標識部250を設けたことによって留置型医療機器1の上下方向の長さ(高さ)が長くなることをなくし、留置型医療機器1の大型化を防ぐことができる。
なお、本実施形態の標識体251は、「CT」の文字を表すことに限定されるものでなく、留置型医療機器1にかかる機能等(例えば耐圧)を示す情報にかかるものであればどのような文字や記号等であってもよい。
以上説明した留置型医療機器1は、例えば、支持部90を備えた標識部250を複数備え、複数の標識部250の少なくとも一部が、それぞれ異なる標識体を示し、少なくとも一つが係合部に係合されて用いられるものであってもよい。なお、このような留置型医療機器1及び複数の標識部250を、まとめて留置型医療機器セットと記す。
上記本実施形態の留置型医療器セットは、留置型医療機器1と、挿入部95を備えた複数の標識部250とを1セットとして構成される。複数の標識部250の少なくとも一部はそれぞれ異なる標識体251を有していて、術者は複数の標識部250から任意に選択した少なくとも一つを本体100に係合させる。このような留置型医療器セットによれば、例えば、留置型医療機器1を被術者に埋め込んだ時期や条件等、施術時に変化し得る情報を留置型医療機器1に付与することができる。
また、本実施形態は、留置型医療器セットに含まれる複数の標識部を留置型医療機器1とは別に標識部セットとすることができる。標識部セットは、薬液を貯留する液溜り部50を有する留置型医療機器1に形成された上孔部23a、下孔部23bを含む係合部23に係合される標識部250を複数含む標識部セットである。そして、標識部250は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、かつ標識部250は、X線の透過率が前記標識体とその周囲領域とで異なることによって該標識体を示す。具体的には、標識部250は、留置型医療機器1よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含み、この低透過率部材によって留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す。そして本実施形態の標識部セットにおいて、複数の標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示している。
例えば、留置型医療器セットに含まれる標識部250が「チタンリング」等の留置型医療機器1のタイプを示している場合、術者は、留置型医療機器1の耐圧を判定するのにチタンリングタイプの留置型医療機器1に関する知識が必要になる。本実施形態の標識部セットによれば、留置型医療器セットに含まれる標識部250に代えて高圧対応が可能であることを直接示す「CT」の標識体251を有する標識部250を使用し、留置型医療機器1の特性をより明確に示すことができる。
つまり、本実施形態の標識部セットは、術者が任意に標識部250を選択し、留置型医療機器1の後のケアに必要な情報を留置型医療機器1の埋め込み時に付与しておくことができる。
<変形例1>
図6は、変形例1の標識部を備えた留置型医療機器2の斜視図である。図7は、図6に示した留置型医療機器2の縦断面図である。変形例1の標識部は、挿入部が、貫通孔に挿通される糸状部材260である点で上記本実施形態と相違する。図6に示した変形例1では、標識部250に糸孔270が設けられており、上孔部23a、貫通孔23c、下孔部23b及び糸孔に糸状部材260が挿通される。糸状部材260の両端を繋ぐことによって標識部250が係合部23に係合される。
上記処理は、例えば、術者が糸掛部に糸状部材260を通して体内に本体100を縫い止める処理時に行うことができる。また、このような構成は、本体100を縫い止めるための縫合糸と標識部を係合させるための糸状部材260の両方を糸掛部に挿通させることができる。さらに、本体100を縫い止めるための縫合糸と標識部を係合させるための糸状部材を共用にすることができる。
さらに、変形例1は、糸状部材を縫合糸に限定するものではなく、縫合糸よりも太い糸を使用するものであってもよく、糸状部材260の太さを特に限定するものではない。
図8は、変形例2を説明するための図である。変形例2の係合部63は、上孔部63a、凸部63b、凹部63cを含んでいる。標識部250は、支持部90、嵌入部92と接続され、嵌入部92が凸部63bと係合する。支持部90、嵌入部92は、変形例2において挿入部96を構成する。
このような変形例2は、嵌入部92を凸部63bに嵌入させると、嵌入部92が凸部63b、凹部63cに挟み込まれ、前記した実施形態よりも嵌入部92を強固に係合部63に対して嵌入される。
ただし、このような変形例2は、凸部63bを設けるため縫合糸の貫通孔を形成することができないため、糸掛部を流用することができない。変形例2では、複数の糸掛部の形成位置の少なくとも一つに図7に示す係合部63を形成するものとした。
<1>薬液を貯留する貯留空間を有する留置型医療機器の本体と、前記本体に形成された係合部と、前記係合部に係合される標識部と、を有し、前記標識部は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器。
<2>前記標識体は、前記本体よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されている<1>に記載の留置型医療機器。
<3>前記係合部は、前記本体の表面に形成された凹部を含み、前記標識部は、前記凹部に挿入される挿入部を含む、<1>または<2>の留置型医療機器。
<4>前記凹部は前記貯留空間の周囲に複数形成された貫通孔の一部である、<3>の留置型医療機器。
<5>前記挿入部は、前記貫通孔に挿通される糸状部材である、<4>の留置型医療機器。
<6>前記係合部は、前記本体の表面に形成された凸部を含み、前記標識部は、前記凸部に対応する凹部を含む、<1>から<5>のいずれか一つの留置型医療機器。
<7>前記本体は、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含み、前記貯留空間の底面に平行な横断面が前記蓋体から前記基部に向かって大きくなる部分を有し、前記標識部は、前記部分の周面に係合される、<1>から<6>のいずれか一つの留置型医療機器。
<8>前記標識部は、前記貯留空間の底面と平行な標識面を有し、当該標識面が前記低透過率部材を含む、<1>から<7>のいずれか一つの留置型医療機器。
<9>前記本体は、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含み、前記基部と前記蓋体とによって構成される包含部に圧入される隔膜部をさらに有し、前記蓋体は、前記隔膜部が露出される上面視において略円形の露出領域を有し、前記標識部は、前記略円形の径方向の外向きに前記蓋体よりも延出する、<8>の留置型医療機器。
<10>上記<1>から<9>のいずれか一つの標識部を複数備え、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示し、少なくとも一つが前記係合部に係合されて用いられる、留置型医療機器セット。
<11>薬液を貯留する貯留空間を有する留置型医療機器に形成された凹部を含む係合部に係合される標識部を複数含む標識部セットであって、前記標識部は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示し、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる前記標識体を示す、標識部セット。
10・・・包含部
12・・・蓋体
14・・・基部
19・・・拡大部分
20・・・隔膜部
21・・・下面
22・・・サブ標識部
23・・・係合部
23a・・・上孔部
23b・・・下孔部
23c・・・貫通孔
32・・・ロックトップ
50・・・液溜り部
52・・・底面
59・・・開口部
60・・・上方フレーム
63・・・係合部
63a・・・上孔部
63b・・・凸部
63c・・・凹部
70・・・下方フレーム
90・・・支持部
91、92・・・嵌入部
95、96・・・挿入部
100・・・本体
250・・・標識部
251・・・標識体
251a・・・切欠
252・・・平板部
252a・・・標識面
260・・・糸状部材
270・・・糸孔
S・・・露出領域
p1・・・位置
Claims (7)
- 薬液を貯留する貯留空間を有する留置型医療機器の本体と、
前記本体に形成された係合部と、
前記係合部に係合される標識部と、を有し、
前記標識部は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器であって、
前記係合部は、前記貯留空間の周囲に複数形成された貫通孔の一部であり、
前記標識部は、前記係合部である前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記貯留空間の底面と平行で前記挿入部に支持される標識面と、を有し、
前記標識面には前記標識体が形成されており、
前記本体は、前記貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含み、前記基部と前記蓋体とによって構成される包含部に圧入される隔膜部をさらに有し、前記蓋体は、前記隔膜部が露出される上面視において略円形の露出領域を有し、前記標識体の全体が、前記略円形の径方向の外向きに前記本体よりも延出している、留置型医療機器。 - 前記標識体は、前記本体よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されている請求項1に記載の留置型医療機器。
- 前記挿入部は、前記貫通孔に挿通される糸状部材である、請求項2に記載の留置型医療機器。
- 前記係合部は、前記本体の表面に形成された凸部を含み、前記標識部は、前記凸部に対応する凹部を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の留置型医療機器。
- 前記本体は、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含み、前記貯留空間の底面に平行な横断面が前記蓋体から前記基部に向かって大きくなる部分を有し、前記標識部は、前記部分の周面に係合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の留置型医療機器。
- 前記標識体は、前記本体よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されており、
前記標識面が前記低透過率部材を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の留置型医療機器。 - 請求項1から6のいずれか一項の前記標識部を複数備え、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示し、少なくとも一つが前記係合部に係合されて用いられる、留置型医療機器セット。
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