以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
実施の形態1.
<空気調和機の構成>
図1に示されるように、実施の形態1に係る空気調和機100は、冷媒が循環する冷媒回路を備える。該冷媒回路は、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1膨張弁4、第2減圧部としての第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7を含む。冷媒は、非共沸混合冷媒であり、例えばHFC(ハイドロフルオロカーボン)系冷媒またはHC(ハイドロカーボン)系冷媒である。HFC系冷媒としては、例えばR407Cである。
冷媒回路は、第1熱交換器2が凝縮器、第2熱交換器3が蒸発器として作用し、第1熱交換器2と第2熱交換器3との間に配置された第1膨張弁4が冷媒を絞り膨張させる第1状態と、第2熱交換器3が凝縮器、第1熱交換器2が蒸発器として作用し、第2熱交換器3と第1熱交換器2との間に配置された第2膨張弁5が冷媒を絞り膨張させる第2状態とを切替可能に設けられている。なお、図1では、上記第1状態での冷媒の流れが実線矢印で示され、上記第2状態での冷媒の流れが点線矢印で示されている。
圧縮機1は、高圧冷媒を吐出する吐出口1Aと、低圧冷媒を吸入する吸入口1Bとを有している。
第1熱交換器2および第2熱交換器3は、例えば上記冷媒回路を循環する冷媒と気体との間で熱交換を行うように設けられている。第1熱交換器2を流れる上記冷媒は、第1ファン13により供給される気体と熱交換する。第2熱交換器3を流れる上記冷媒は、第2ファン14により供給される気体と熱交換する。第1熱交換器2は例えば室内に配置される。第2熱交換器3は例えば室外に配置される。この場合、上記第1状態は暖房運転時に実現され、上記第2状態は冷房運転時に実現される。
なお、第1熱交換器2および第1ファン13は、例えば図示しない室内機に収容されている。圧縮機1、第2熱交換器3、第2ファン14、第1膨張弁4、第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7は、例えば図示しない室外機に収容されている。上記冷媒回路は、例えば室内機と室外機との間を接続する第1延長配管11および第2延長配管12をさらに含んでいる。第1延長配管11は、上記第1状態において第1熱交換器2よりも吐出口1A側(上流側)、具体的には第1四方弁6の第3開口部P3と第1熱交換器2との間に配置されている。第2延長配管12は、上記第1状態において第1熱交換器2よりも吸入口1B側(下流側)、具体的には第1熱交換器2と第2四方弁7の第7開口部P7との間に配置されている。
上記第1状態において、第1減圧部での冷媒の圧力低下量は第2減圧部での冷媒の圧力低下量よりも大きい。上記第2状態において、第1減圧部での冷媒の圧力低下量は第2減圧部での冷媒の圧力低下量よりも小さい。好ましくは、第1減圧部および第2減圧部は、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている。第1減圧部および第2減圧部は、例えばパルス数に応じて開度を変更可能に設けられている電子膨張弁である。第1減圧部としての第1膨張弁4は、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させない。つまり、第1膨張弁4は、上記第2状態では全開とされる。第2減圧部としての第2膨張弁5は、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させない。つまり、第2膨張弁5は、上記第1状態では全開とされる。
第1四方弁6は、第1開口部P1、第2開口部P2、第3開口部P3、および第4開口部P4を有している。第1四方弁6には、第1開口部P1と第3開口部P3または第4開口部P4とを接続する第1流路と、第2開口部P2と第4開口部P4または第3開口部P3とを接続する第2流路とが配置される。
第2四方弁7は、第5開口部P5、第6開口部P6、第7開口部P7、および第8開口部P8を有している。第2四方弁7には、第5開口部P5と第7開口部P7または第8開口部P8とを接続する第3流路と、第6開口部P6と第8開口部P8または第7開口部P7とを接続する第4流路とが配置される。
第1四方弁6は、第1流路の静圧と第2流路の静圧との差によって弁体が弁座に押し当てられることにより、第1流路と第2流路との水密性が保たれるように構成されている。第2四方弁7は、第3流路の静圧と第4流路の静圧との差によって弁体が弁座に押し当てられることにより、第3流路と第4流路との水密性が保たれるように構成されている。
第1四方弁6の第1開口部P1は圧縮機1の吐出口1Aに接続されている。第2四方弁7の第6開口部P6は圧縮機1の吸入口1Bに接続されている。第1四方弁6の第2開口部P2は第2四方弁7の第5開口部P5に接続されている。第1四方弁6の第3開口部P3は第2四方弁7の第7開口部P7に接続されている。第1四方弁6の第4開口部P4は第2四方弁7の第8開口部P8に接続されている。
第2開口部P2と第5開口部P5との間には、第1膨張弁4、第2熱交換器3、および第2膨張弁5が接続されている。第3開口部P3と第7開口部P7との間には、第1延長配管11、第1熱交換器2、および第2延長配管12が接続されている。
これにより、上記第1状態(暖房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1四方弁6の第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第1熱交換器2、第2四方弁7の第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第1四方弁6の第2開口部P2から第4開口部P4に至る第2流路、第2四方弁7の第8開口部P8から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
上記第2状態(冷房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1四方弁6の第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第2四方弁7の第8開口部P8から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第1四方弁6の第2開口部P2から第3開口部P3に至る第2流路、第1熱交換器2、第2四方弁7の第7開口部P7から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1四方弁6の第3開口部P3、第1熱交換器2、および第2四方弁7の第7開口部P7を順に流れる。つまり、第1熱交換器2を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第2四方弁7の第5開口部P5、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5および第1四方弁6の第2開口部P2を順に流れる。つまり、第1膨張弁4、第2熱交換器3、および第2膨張弁5を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
第1流路および第3流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1膨張弁4との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2膨張弁5との間に接続される。これにより、上記空気調和機100において、第1流路および第3流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている。
第2流路および第4流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1膨張弁4と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2膨張弁5と吸入口1Bとの間に接続される。これにより、上記空気調和機100において、第2流路および第4流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている。すなわち、第1流路および第3流路に流れる冷媒は、第2流路および第4流路に流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。
<第1四方弁および第2四方弁の構成例>
第1四方弁6および第2四方弁7は、上述した構成を備えている限りにおいて、任意の構成を備えていればよい。図12は、第1四方弁6および第2四方弁7の一例を示す断面図である。以下では、図12を参照して第2四方弁7の概略について説明する。なお、第1四方弁6も、第2四方弁7と同様に構成され得る。
第2四方弁7は、第5開口部P5、第6開口部P6,第7開口部P7および第8開口部P8が配置された本体120を有している。本体120内には、弁室121が配置されている。弁室121内には、弁座122、弁体123、および弁体123と連結されたピストン124が配置されている。弁座122は、第6開口部P6と連なる貫通孔と、第6開口部P6と連なる貫通孔を挟むように配置された第7開口部P7および第8開口部P8の各貫通孔とが設けられた面を有している。弁体123は、弁座122の上記面と摺動される摺動面と、該摺動面に対して凹んでいる凹部とを有している。ピストン124は、弁体123が接続されたピストン軸と、ピストン軸の一端および他端に接続されたクラウン部125,126とを有している。ピストン124は、本体120の内部をピストン軸の延在方向に沿って移動可能に設けられている。クラウン部125が後述する端部129に接触してピストン124がその移動可能域の一方端に配置されているときに、弁体123が第6開口部P6と第7開口部P7との間を接続するように配置される。クラウン部126が後述する端部131に接触してピストン124がその移動可能域の他方端に配置されているときに、弁体123が第6開口部P6と第8開口部P8との間を接続するように配置される。
ピストン軸には、弁体123が第6開口部P6と第8開口部P8との間を接続するように配置されているときに、第5開口部P5と第7開口部P7との間に配置される部分に貫通孔124Aが設けられている。ピストン軸には、弁体123が第6開口部P6と第7開口部P7との間を接続するように配置されているときに、第5開口部P5と第8開口部P8との間に配置される部分に貫通孔124Bが設けられている。弁室121は、弁座122および弁体123によって、第5開口部P5と第7開口部P7または第8開口部P8と連なる第1空間S1と、第6開口部P6と第7開口部P7または第8開口部P8と連なる第2空間S2とに仕切られている。第1空間S1は弁室121内において弁体123の外側に配置される。第2空間S2は、弁室121内において弁体123の内側に配置される。上記第3流路は上記第1空間S1内に形成される。上記第4流路は上記第2空間S2内に形成される。
第2四方弁7の内部には、ピストン124のクラウン部125によって弁室121と仕切られているシリンダ室127と、クラウン部126によって弁室121内と仕切られているシリンダ室128とが、さらに配置されている。シリンダ室127は、クラウン部125と本体120の一端に配置された端部129との間に配置されており、導管130を介して第7開口部P7と接続されている。シリンダ室128は、クラウン部126と本体120の他端に配置された端部131との間に配置されており、導管132を介して第8開口部P8と接続されている。
このような第2四方弁7では、第7開口部P7を流れる冷媒の静圧が第8開口部P8を流れる冷媒の静圧よりも低い場合、シリンダ室127内の冷媒の静圧がシリンダ室128の冷媒の静圧よりも低くなる。その結果、ピストン124の上記軸方向における位置が図12に示される状態に保持される。さらに、上記の場合、第6開口部P6と第7開口部P7との間を接続するように弁体123の上記凹部内に配置される上記第4流路を流れる冷媒の静圧が、第5開口部P5と第8開口部P8との間を接続するように弁体123の外側に配置される上記第3流路を流れる冷媒の静圧よりも低くなる。その結果、当該静圧差によって弁体123が弁座122に押圧されることにより、第3流路と第4流路との間の水密性が保たれる。このように、第2四方弁7は、第3流路の静圧と第4流路の静圧との差によって弁体123が弁座122に押し当てられることにより、第3流路と第4流路との水密性が保たれるように構成されている。
なお、第1四方弁6および第2四方弁7は、シリンダ室127およびシリンダ室128が接続される開口部を切り替えるための図示しない電磁切替装置をさらに備えていてもよい。
<作用効果>
空気調和機100は、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1膨張弁4、第2減圧部としての第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7を含み、冷媒が循環する冷媒回路を備える。上記冷媒回路は、第1熱交換器2が凝縮器、第2熱交換器3が蒸発器として作用し、第1熱交換器2と第2熱交換器3との間に配置された第1膨張弁4が冷媒を絞り膨張させる第1状態と、第2熱交換器3が凝縮器、第1熱交換器2が蒸発器として作用し、第2熱交換器3と第1熱交換器2との間に配置された第2膨張弁5が冷媒を絞り膨張させる第2状態とを切替可能に設けられている。圧縮機1は、吐出口1Aおよび吸入口1Bを有している。第1四方弁6は、吐出口1Aと接続された第1開口部P1、第2開口部P2、第3開口部P3、および第4開口部P4を有している。第1四方弁6には、第1開口部P1と第3開口部P3または第4開口部P4とを接続する第1流路と、第2開口部P2と第4開口部P4または第3開口部P3とを接続する第2流路とが配置されている。第2四方弁7は、第5開口部P5、第6開口部P6、第7開口部P7、および第8開口部P8を有している。第2四方弁7には、第5開口部P5と第7開口部P7または第8開口部P8とを接続する第3流路と、第6開口部P6と第8開口部P8または第7開口部P7とを接続する第4流路とが配置されている。第1流路および第3流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1膨張弁4との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2膨張弁5との間に接続される。第2流路および第4流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1膨張弁4と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2膨張弁5と吸入口1Bとの間に接続される。
上記空気調和機100では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2および第2熱交換器3の少なくともいずれかでの冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされる。
より具体的には、上記空気調和機100では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第1熱交換器2、第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第2開口部P2から第4開口部P4に至る第2流路、第8開口部P8から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する第1状態が実現される。さらに、上記空気調和機100では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第8開口部P8から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第2開口部P2から第3開口部P3に至る第2流路、第1熱交換器2、第7開口部P7から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する第2状態が実現される。
冷媒が非共沸混合冷媒である場合、図13に示されるP-h線図上において、気液2相状態での等温線は、右下下がりとなる温度勾配を示す。つまり、非共沸混合冷媒が熱交換器において熱交換に伴い変化するときには、非共沸混合冷媒の温度が変化する。凝縮器では非共沸混合冷媒の状態は点Bから点Cへと変化するため、非共沸混合冷媒の圧力が一定とされれば非共沸混合冷媒の温度は凝縮器の入口側から出口側に向かうにつれて低下する。蒸発器では非共沸混合冷媒の状態は点Dから点Aへと変化するため、非共沸混合冷媒の圧力が一定とされれば非共沸混合冷媒の温度は蒸発器の入口側から出口側に向かうにつれて上昇する。そのため、凝縮器および蒸発器の各々において非共沸混合冷媒が風向に対し並行流とされた場合には、凝縮器および蒸発器の各々における冷媒の出口付近で冷媒と空気との温度差が小さくなり、熱交換効率を向上することは困難である。
これに対し、上記空気調和機100では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向および第2熱交換器3の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第1熱交換器2の冷媒の流通方向および第2熱交換器3の冷媒の流通方向が、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、風向に対し対向流とされている。
その結果、空気調和機100では、第1熱交換器2および第2熱交換器3での非共沸混合冷媒と空気との間の熱交換効率が、第1熱交換器2の冷媒の流通方向および第2熱交換器3の少なくともいずれかで冷媒の流通方向が風向に対し並行流とされている場合と比べて、向上されている。
また、上記空気調和機100は、1つの四方弁および4つの逆止弁により熱源側冷媒の流通方向が利用側冷媒の流通方向に対して対向流とされる上記空気調和機と比べて、小型化され得る。
また、逆止弁は、一般的に弁体が垂直方向に沿って移動可能に配置され、弁体が冷媒によって下方から上方で押し上げられたときに冷媒を流通させるように設けられている。そのため、仮に圧縮機1がインバータ圧縮機である場合、空調負荷がその能力に対して比較的小さく冷媒の流量が減少すると、冷媒が弁体を押し上げる力と弁体に作用する重力およびバネなどにより付与される力が釣り合う場合がある。この場合、弁体が振動等することによって弁体の一部が削れる等の不具合が生じ、逆止弁による閉止性能が損なわれる可能性がある。その結果、4つの逆止弁からなる熱源側冷媒流路切替部の流路切替性能が損なわれる可能性がある。これに対し、第1四方弁6および第2四方弁7では、上記のような逆止弁に起因した問題は発生しない。
さらに、上記空気調和機100では、上述のように、上記第1四方弁6の第1流路を流れる冷媒は、第1四方弁6の第2流路を流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。さらに、上記第2四方弁7の第3流路を流れる冷媒は、第2四方弁7の第4流路を流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。そのため、第1四方弁6には、第1流路の静圧と第2流路の静圧との差によって弁体123が弁座122に押し当てられることにより、第1流路と第2流路との水密性が保たれるように構成されている四方弁を用いることができる。同様に、第2四方弁7には、第3流路の静圧と第4流路の静圧との差によって弁体123が弁座122に押し当てられることにより、第3流路と第4流路との水密性が保たれるように構成されている四方弁を用いることができる。このような構成を有する四方弁は、弁体と弁座との間の水密性を確保するために弁体に電磁的な力または機械的な力を付与するための駆動部を備える四方弁と比べて、製造コストが低い。上記空気調和機100では、第1四方弁6および第2四方弁7として比較的製造コストの低い四方弁が用いられても、それぞれの流路間での水密性が確保され得る。
第1膨張弁4での冷媒の圧力低下量は、上記第1状態において第2膨張弁5での冷媒の圧力低下量よりも大きく、上記第2状態において第2膨張弁5での冷媒の圧力低下量よりも小さい。このような第1膨張弁4および第2膨張弁5によれば、上記第1状態および上記第2状態において、凝縮器から流出した冷媒を絞り膨張させて、蒸発器に流入前の冷媒の圧力を蒸発圧力まで低下させることができる。
さらに、このような第1膨張弁4および第2膨張弁5が第2四方弁7の第5開口部P5と第1四方弁6の第2開口部P2との間に配置されていることにより、第1四方弁6の第1流路と第2流路との間の静圧差、および第2四方弁7の第3流路と第4流路との間の静圧差が、上記第1状態および上記第2状態においても形成され得る。
実施の形態2.
図2に示されるように、実施の形態2に係る空気調和機101は、実施の形態1に係る空気調和機100と基本的に同様の構成を備えるが、上記冷媒回路が第3減圧部としての第3減圧器8をさらに含む点で異なる。
第3減圧器8は、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させない。第3減圧器8は、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第3減圧器8は、例えばキャピラリーチューブ81と、キャピラリーチューブ81と並列に接続された配管82と、キャピラリーチューブ81および配管82を並列に接続し、かつキャピラリーチューブ81および配管82のいずれか一方のみに冷媒を流通させる切替弁83とを有している。切替弁83は、例えば3方弁である。なお、第3減圧部は、電子膨張弁であってもよい。
第3減圧器8は、切替弁83によって、上記第1状態では冷媒がキャピラリーチューブ81を流通し配管82を流通しない状態とされ、上記第2状態では冷媒が配管82を流通しキャピラリーチューブ81を流通しない状態とされる。上記第1状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量は、上記第2状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量よりも大きい。上記第1状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量は、上記第1状態での第1膨張弁4での冷媒の圧力低下量よりも小さい。
第3減圧器8は、上記第1状態において、吐出口1Aと第1膨張弁4との間に配置されている。第3減圧器8は、第1四方弁6の第3開口部P3と第2四方弁7の第7開口部P7との間に配置されている。言い換えると、第3減圧器8は、第1四方弁6の第1流路と第2四方弁7の第3流路との間に配置されている。第3減圧器8は、第1熱交換器2よりも吸入口1B側(下流側)であって、第2延長配管12よりも第1熱交換器2側(上流側)に配置されている。第3減圧器8は、例えば第1熱交換器2とともに、図示しない室内機に収容されている。
第1延長配管11の内径は、例えば第2延長配管12の内径よりも小さい。
上記第1状態において、第3減圧器8から流出した冷媒は、第2延長配管12を通って第2四方弁7の第3流路に流通した後、第1膨張弁4に流入する。上記第1状態にあるときに、冷媒は、第2四方弁7よりも上流側および下流側において、第3減圧器8および第1膨張弁4によって2段階で絞り膨張される。
第3減圧器8による絞り量は、上記第1状態にあるときに、第1熱交換器2を流出した液相の冷媒を気液2相冷媒とし、かつ該気液2相冷媒の圧力(静圧)が第1四方弁6の第2流路を流れる冷媒の圧力(静圧)よりも高くなるように、設定されている。好ましくは、第3減圧器8による絞り量は、上記第1状態にあるときに、第2四方弁7の第3流路を流れる冷媒の圧力(静圧)が、第3流路でのエンタルピーにおいて気液2相状態の最高圧力となるように、設けられている。なお、第1膨張弁4による絞り量は、上記冷媒回路での冷媒の蒸発温度に応じて設定されている。
このような空気調和機101は、空気調和機100と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機100と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気調和機101は第3減圧器8を備えているため、上記第1状態において第1熱交換器2から第1膨張弁4に流れる冷媒は第3減圧器8によって気液2相状態とされた後に第2延長配管12に流入する。そのため、例えば第2延長配管12の長さが比較的長く、上記第1状態において第2延長配管12内に冷媒が滞留するような場合にも、第2延長配管12内には気液2相冷媒が滞留することになる。気液2相冷媒の密度は、液相冷媒の密度よりも大幅に低い。そのため、空気調和機101において第2延長配管12内に滞留している気液2相冷媒の重量は、空気調和機100において第2延長配管12内に滞留する液相冷媒の重量と比べて、十分に小さくされる。
なお、空気調和機100および101では、上記第2状態において第2膨張弁5によって絞り膨張された気液2相冷媒が第1延長配管11を経て蒸発器としての第1熱交換器に流入する。そのため、空気調和機100および101の上記第2状態では、第1延長配管11および第2延長配管12のいずれにも液相冷媒は流通しない。
つまり、空気調和機101では、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1延長配管11および第2延長配管12内に液相冷媒が滞留することが抑制されている。その結果、空気調和機101は、空気調和機100と比べて、上記冷媒回路に封入される冷媒量を大幅に減らすことができ、その製造コストが低減される。
また、第1延長配管11の内径は例えば第2延長配管12の内径よりも小さくされ得る。上述のように、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向および第2熱交換器3の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。つまり、第1延長配管11および第2延長配管12の冷媒の流通方向も一定とされている。そのため、第3減圧器8よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている第1延長配管11を流れる冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第3減圧器8よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている第2延長配管12を流れる冷媒よりも高圧である。その結果、第1延長配管11での高圧冷媒の圧力損失が空気調和機101の性能に及ぼす影響は、第2延長配管12での低圧冷媒の圧力損失が空気調和機101の性能に及ぼす影響と比べて、小さい。空気調和機101では、第1延長配管11の内径が第2延長配管12の内径よりも小さくされることで、それに伴う性能低下を抑制しながらも、第1延長配管11の製造コストを低減できる。
実施の形態3.
図3に示されるように、実施の形態3に係る空気調和機102は、実施の形態1に係る空気調和機100と同様に、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1減圧器4A、第2減圧部としての第2減圧器5A、第1四方弁6および第2四方弁7を含む冷媒回路を備える。
第1減圧器4Aは、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させない。第1減圧器4Aは、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第1減圧器4Aは、例えば逆止弁41とキャピラリーチューブ42とが直列に接続された冷媒流路と、該冷媒流路と並列に接続された逆止弁43とを有している。逆止弁41,43の各々は図3中においてそれぞれの内部に示された矢印の方向にのみ冷媒を流すように設けられている。逆止弁41は、第2四方弁7の第5開口部P5から第1四方弁6の第4開口部P4に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。逆止弁43は、第1四方弁6の第4開口部P4から第2四方弁7の第5開口部P5に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。
第2減圧器5Aは、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させない。第2減圧器5Aは、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第2減圧器5Aは、例えば逆止弁51とキャピラリーチューブ52とが直列に接続された冷媒流路と、該冷媒流路と並列に接続された逆止弁53とを有している。逆止弁51,53の各々は図3中においてそれぞれの内部に示された矢印の方向にのみ冷媒を流すように設けられている。逆止弁51は、第2四方弁7の第8開口部P8から第1四方弁6の第2開口部P2に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。逆止弁53は、第1四方弁6の第2開口部P2から第2四方弁7の第8開口部P8に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。
第1四方弁6の第1開口部P1は圧縮機1の吐出口1Aに接続されている。第2四方弁7の第6開口部P6は圧縮機1の吸入口1Bに接続されている。第1四方弁6の第2開口部P2は第2四方弁7の第8開口部P8に接続されている。第1四方弁6の第3開口部P3は第2四方弁7の第7開口部P7に接続されている。第1四方弁6の第4開口部P4は第2四方弁7の第5開口部P5に接続されている。
第2開口部P2と第8開口部P8との間には、第2減圧器5Aが接続されている。第3開口部P3と第7開口部P7との間には、第1延長配管11、第1熱交換器2および第2延長配管12が接続されている。第4開口部P4と第5開口部P5との間には、第2熱交換器3および第1減圧器4Aが接続されている。
これにより、上記第1状態(暖房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第1熱交換器2、第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42および逆止弁41、第2熱交換器3、第4開口部P4から第2開口部P2に至る第2流路、第2減圧器5Aの逆止弁53、第8開口部P8から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
上記第2状態(冷房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第2熱交換器3、第1減圧器4Aの逆止弁43、第5開口部P5から第8開口部P8に至る第3流路、第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52および逆止弁51、第2開口部P2から第3開口部P3に至る第2流路、第1熱交換器2、第7開口部P7から第6開口部P6に至る第4流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
また、冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1四方弁6の第3開口部P3、第1熱交換器2、および第2四方弁7の第7開口部P7を順に流れる。つまり、第1熱交換器2を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
第1流路および第3流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52との間に接続される。これにより、上記空気調和機102において、第1流路および第3流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている。
第2流路および第4流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52と吸入口1Bとの間に接続される。これにより、上記空気調和機102において、第2流路および第4流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている。すなわち、第1流路および第3流路に流れる冷媒は、第2流路および第4流路に流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。
このような空気調和機102は、空気調和機100と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機100と同様の効果を奏することができる。
また、上記空気調和機102では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、風向に対し対向流とされている。その結果、第1熱交換器2での非共沸混合冷媒と空気との間の熱交換効率が、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が風向に対し並行流とされている場合と比べて、向上されている。このような第1熱交換器2は室内熱交換器に好適である。また、第2熱交換器3は室外熱交換器とすることができる。例えば、空気調和機102がいわゆるルームエアコン等として構成されている場合、室内機の大きさは寸法の規定または設置場所による制約を受ける。そのため、室内熱交換器の性能向上は、室内熱交換器の大型化ではなく、冷房時および暖房時において上記対向流化により実現されるのが好ましい。一方、室外機は現状よりも大型化が可能である。そのため、室外熱交換器の性能向上は、冷房時または暖房時において上記対向流と比べて効率が良くない上記並行流とされていても、室外熱交換器の大型化により実現することができる。
実施の形態4.
図4に示されるように、実施の形態4に係る空気調和機103は、実施の形態3に係る空気調和機102と基本的に同様の構成を備えるが、上記冷媒回路が第3減圧部としての第3減圧器8をさらに含む点で異なる。第3減圧器8は、図2に示される実施の形態2に係る空気調和機101の第3減圧器8と同様の構成を備えている。
このような空気調和機103は、空気調和機102と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機102と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気調和機103は第3減圧器8を備えているため、上記第1状態において第1熱交換器2から第1減圧器4Aに流れる冷媒は第3減圧器8によって気液2相状態とされた後に第2延長配管12に流入する。そのため、例えば第2延長配管12の長さが比較的長く、上記第1状態において第2延長配管12内に冷媒が滞留するような場合にも、第2延長配管12内には気液2相冷媒が滞留することになる。気液2相冷媒の密度は、液相冷媒の密度よりも大幅に低い。そのため、空気調和機103において第2延長配管12内に滞留している気液2相冷媒の重量は、空気調和機102において第2延長配管12内に滞留する液相冷媒の重量と比べて、十分に小さくされる。
なお、空気調和機102および103では、上記第2状態において第2減圧器5Aによって絞り膨張された気液2相冷媒が第1延長配管11を経て蒸発器としての第1熱交換器に流入する。そのため、空気調和機102および103の上記第2状態では、第1延長配管11および第2延長配管12のいずれにも液相冷媒は流通しない。
つまり、空気調和機103では、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1延長配管11および第2延長配管12内に液相冷媒が滞留することが抑制されている。その結果、空気調和機103は、空気調和機102と比べて、上記冷媒回路に封入される冷媒量を大幅に減らすことができ、その製造コストが低減される。なお、第3減圧器8は、電子膨張弁であってもよい。
また、第1延長配管11の内径は例えば第2延長配管12の内径よりも小さくされ得る。上述のように、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。つまり、第1延長配管11および第2延長配管12の冷媒の流通方向も一定とされている。そのため、第3減圧器8よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている第1延長配管11を流れる冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第3減圧器8よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている第2延長配管12を流れる冷媒よりも高圧である。その結果、第1延長配管11での高圧冷媒の圧力損失が空気調和機103の性能に及ぼす影響は、第2延長配管12での低圧冷媒の圧力損失が空気調和機103の性能に及ぼす影響と比べて、小さい。空気調和機103では、第1延長配管11の内径が第2延長配管12の内径よりも小さくされることで、それに伴う性能低下を抑制しながらも、第1延長配管11の製造コストを低減できる。
実施の形態5.
図5に示されるように、実施の形態5に係る空気調和機104は、実施の形態1に係る空気調和機100と同様に、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1膨張弁4、第2減圧部としての第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7を含む冷媒回路を備える。
圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1膨張弁4、第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7は、図1に示される圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1膨張弁4、第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7と基本的に同様の構成を備えている。
なお、第1熱交換器2、第1ファン13、第1膨張弁4、および第2膨張弁5は、例えば図示しない室内機に収容されている。圧縮機1、第2熱交換器3、第2ファン14、第1四方弁6および第2四方弁7は、例えば図示しない室外機に収容されている。上記冷媒回路は、例えば室内機と室外機との間を接続する第1延長配管11および第2延長配管12をさらに含んでいる。第1延長配管11は、圧縮機1の吐出口1Aと第1熱交換器2との間、具体的には第2四方弁7の第5開口部P5と第2膨張弁5との間に配置されている。第2延長配管12は、第1熱交換器2と第2熱交換器3との間、具体的には第1膨張弁4と第2四方弁7の第6開口部P6との間に配置されている。第1延長配管11の内径は、例えば第2延長配管12の内径よりも小さい。
第1四方弁6の第1開口部P1は圧縮機1の吐出口1Aに接続されている。第1四方弁6の第2開口部P2は圧縮機1の吸入口1Bに接続されている。第1四方弁6の第3開口部P3は第2四方弁7の第7開口部P7に接続されている。第1四方弁6の第4開口部P4は第2四方弁7の第8開口部P8に接続されている。第2四方弁7の第5開口部P5は第2四方弁7の第6開口部P6に接続されている。
第4開口部P4と第8開口部P8との間には、第2熱交換器3が接続されている。第5開口部P5と第6開口部P6との間には、第2膨張弁5、第1熱交換器2、および第1膨張弁4が接続されている。
これにより、上記第1状態(暖房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第2膨張弁5、第1熱交換器2、第1膨張弁4、第6開口部P6から第8開口部P8に至る第4流路、第2熱交換器3、第4開口部P4から第2開口部P2に至る第2流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
上記第2状態(冷房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第2熱交換器3、第8開口部P8から第5開口部P5に至る第3流路、第2膨張弁5、第1熱交換器2、第1膨張弁4、第6開口部P6から第7開口部P7に至る第4流路、第3開口部P3から第2開口部P2に至る第2流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
また、冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第2四方弁7の第5開口部P5、第2膨張弁5、第1熱交換器2、第1膨張弁4、および第2四方弁7の第6開口部P6を順に流れる。つまり、第1熱交換器2を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
第1流路および第3流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1膨張弁4との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2膨張弁5との間に接続される。これにより、上記空気調和機100において、第1流路および第3流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている。
第2流路および第4流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1膨張弁4と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2膨張弁5と吸入口1Bとの間に接続される。これにより、上記空気調和機104において、第2流路および第4流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている。すなわち、第1流路および第3流路に流れる冷媒は、第2流路および第4流路に流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。
このような空気調和機104は、空気調和機100と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機100と同様の効果を奏することができる。
また、上記空気調和機104では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、風向に対し対向流とされている。その結果、第1熱交換器2での非共沸混合冷媒と空気との間の熱交換効率が、第1熱交換器2の冷媒の流通方向が風向に対し並行流とされている場合と比べて、向上されている。
また、第1延長配管11の内径は例えば第2延長配管12の内径よりも小さくされ得る。上述のように、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第1熱交換器2の冷媒の流通方向および第2熱交換器3の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。つまり、第1延長配管11および第2延長配管12の冷媒の流通方向も一定とされている。そのため、第1膨張弁4および第2膨張弁5よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている第1延長配管11を流れる冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1膨張弁4および第2膨張弁5よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている第2延長配管12を流れる冷媒よりも高圧である。その結果、第1延長配管11での高圧冷媒の圧力損失が空気調和機104の性能に及ぼす影響は、第2延長配管12での低圧冷媒の圧力損失が空気調和機104の性能に及ぼす影響と比べて、小さい。空気調和機104では、第1延長配管11の内径が第2延長配管12の内径よりも小さくされることで、それに伴う性能低下を抑制しながらも、第1延長配管11の製造コストを低減できる。
実施の形態6.
図6に示されるように、実施の形態6に係る空気調和機105は、実施の形態5に係る空気調和機104と基本的に同様の構成を備えるが、上記冷媒回路が第3減圧部としての第3減圧器8をさらに含む点で異なる。第3減圧器8は、図2に示される実施の形態2に係る空気調和機101の第3減圧器8と基本的に同様の構成を備えている。
第3減圧器8は、第2熱交換器3と第2四方弁7の第8開口部P8との間に配置されている。
第3減圧器8は、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させない。第3減圧器8は、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第3減圧器8は、例えばキャピラリーチューブ81と、キャピラリーチューブ81と並列に接続された配管82と、キャピラリーチューブ81および配管82を並列に接続し、かつキャピラリーチューブ81および配管82のいずれか一方のみに冷媒を流通させる切替弁83とを有している。切替弁83は、例えば3方弁である。なお、第3減圧部は、電子膨張弁であってもよい。
第3減圧器8は、切替弁83によって、上記第2状態では冷媒がキャピラリーチューブ81を流通し配管82を流通しない状態とされ、上記第1状態では冷媒が配管82を流通しキャピラリーチューブ81を流通しない状態とされる。上記第2状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量は、上記第1状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量よりも大きい。上記第2状態での第3減圧器8での冷媒の圧力低下量は、上記第2状態での第2膨張弁5での冷媒の圧力低下量よりも小さい。
このような空気調和機105は、空気調和機104と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機104と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気調和機105は第3減圧器8を備えているため、上記第2状態において第2熱交換器3から第2膨張弁5に流れる冷媒は第3減圧器8によって気液2相状態とされた後に第1延長配管11に流入する。そのため、例えば第1延長配管11の長さが比較的長く、上記第2状態において第1延長配管11内に冷媒が滞留するような場合にも、第1延長配管11内には気液2相冷媒が滞留することになる。気液2相冷媒の密度は、液相冷媒の密度よりも大幅に低い。そのため、空気調和機105において上記第2状態にあるときに第1延長配管11内に滞留している気液2相冷媒の重量は、空気調和機104において上記第2状態にあるときに第1延長配管11内に滞留する液相冷媒の重量と比べて、十分に小さくされる。
なお、空気調和機104および105では、上記第1状態において第1膨張弁4によって絞り膨張された気液2相冷媒が第2延長配管12を経て蒸発器としての第2熱交換器3に流入する。そのため、空気調和機104および105の上記第1状態では、第1延長配管11および第2延長配管12のいずれにも液相冷媒は流通しない。
つまり、空気調和機105では、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1延長配管11および第2延長配管12内に液相冷媒が滞留することが抑制されている。その結果、空気調和機105は、空気調和機104と比べて、上記冷媒回路に封入される冷媒量を大幅に減らすことができ、その製造コストが低減される。
実施の形態7.
図7に示されるように、実施の形態7に係る空気調和機106は、実施の形態1に係る空気調和機100と同様に、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1膨張弁4、第2減圧部としての第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7を含む冷媒回路を備える。
圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1膨張弁4、第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7は、図1に示される圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1膨張弁4、第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7と基本的に同様の構成を備えている。
第1四方弁6の第1開口部P1は、圧縮機1の吐出口1Aに接続されている。第1四方弁6の第2開口部P2は、圧縮機1の吸入口1Bに接続されている。第1四方弁6の第3開口部P3は第2四方弁7の第7開口部P7に接続されている。第1四方弁6の第4開口部P4は第2四方弁7の第8開口部P8に接続されている。
第3開口部P3と第7開口部P7との間には、第1熱交換器2が接続されている。第5開口部P5と第6開口部P6との間には、第1膨張弁4、第2熱交換器3、および第2膨張弁5が接続されている。
これにより、上記第1状態(暖房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第1熱交換器2、第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第6開口部P6から第8開口部P8に至る第4流路、第4開口部P4から第2開口部P2に至る第2流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
上記第2状態(冷房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第8開口部P8から第5開口部P5に至る第3流路、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、第6開口部P6から第7開口部P7に至る第4流路、第1熱交換器2、第3開口部P3から第2開口部P2に至る第2流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第2四方弁7の第5開口部P5、第1膨張弁4、第2熱交換器3、第2膨張弁5、および第2四方弁7の第6開口部P6を順に流れる。つまり、第2熱交換器3を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
第1流路および第3流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1膨張弁4との間に接続される。第1流路および第3流路は、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2膨張弁5との間、より具体的には吐出口1Aと第1膨張弁4との間に接続される。これにより、上記空気調和機106において、第1流路および第3流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている。
第2流路および第4流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1膨張弁4と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2膨張弁5と吸入口1Bとの間に接続される。これにより、上記空気調和機106において、第2流路および第4流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている。すなわち、第1流路および第3流路に流れる冷媒は、第2流路および第4流路に流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。
上記空気調和機106では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、風向に対し対向流とされている。その結果、第2熱交換器3での非共沸混合冷媒と空気との間の熱交換効率が、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が風向に対し並行流とされている場合と比べて、向上されている。
上記空気調和機106は、その他の点については、空気調和機100と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機100と同様の効果を奏することができる。
実施の形態8.
図8に示されるように、実施の形態8に係る空気調和機107は、実施の形態7に係る空気調和機106と基本的に同様の構成を備えるが、上記冷媒回路が第3減圧部としての第3減圧器8をさらに含む点で異なる。第3減圧器8は、図2に示される実施の形態2に係る空気調和機101の第3減圧器8と同様の構成を備えている。
このような空気調和機107は、空気調和機106と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機106と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気調和機107は第3減圧器8を備えているため、上記第1状態において第1熱交換器2から第1膨張弁4に流れる冷媒は第3減圧器8によって気液2相状態とされた後に第2延長配管12に流入する。そのため、例えば第2延長配管12の長さが比較的長く、上記第1状態において第2延長配管12内に冷媒が滞留するような場合にも、第2延長配管12内には気液2相冷媒が滞留することになる。気液2相冷媒の密度は、液相冷媒の密度よりも大幅に低い。そのため、空気調和機107において第2延長配管12内に滞留している気液2相冷媒の重量は、空気調和機106において第2延長配管12内に滞留する液相冷媒の重量と比べて、十分に小さくされる。
なお、空気調和機106および107では、上記第2状態において第2膨張弁5によって絞り膨張された気液2相冷媒が第2延長配管12を経て蒸発器としての第1熱交換器2に流入する。そのため、空気調和機106および107の上記第2状態では、第1延長配管11および第2延長配管12のいずれにも液相冷媒は流通しない。
つまり、空気調和機107では、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1延長配管11および第2延長配管12内に液相冷媒が滞留することが抑制されている。その結果、空気調和機107は、空気調和機106と比べて、上記冷媒回路に封入される冷媒量を大幅に減らすことができ、その製造コストが低減される。なお、第3減圧器8は、電子膨張弁であってもよい。
実施の形態9.
図9に示されるように、実施の形態9に係る空気調和機108は、実施の形態1に係る空気調和機100と同様に、圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1減圧器4A、第2減圧部としての第2減圧器5A、第1四方弁6および第2四方弁7を含む冷媒回路を備える。空気調和機108の上記冷媒回路は、第3四方弁9をさらに含む。
圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1四方弁6および第2四方弁7は、図1に示される圧縮機1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1四方弁6および第2四方弁7と基本的に同様の構成を備えている。第1減圧器4Aおよび第2減圧器5Aは、図3に示される第1減圧器4Aおよび第2減圧器5Aと基本的に同様の構成を備えている。
第3四方弁9は、第9開口部P9、第10開口部P10、第11開口部P11、および第12開口部P12を有している。第3四方弁9には、第9開口部P9と第11開口部P11または第12開口部P12とを接続する第5流路と、第10開口部P10と第11開口部P11または第12開口部P12とを接続する第6流路とが配置される。
第3四方弁9は、例えば第1四方弁6および第2四方弁7と同様の構成を備えている。図12に示されるように、第3四方弁9は、第5流路の静圧と第6流路の静圧との差によって弁体123が弁座122に押し当てられることにより、第5流路と第6流路との水密性が保たれるように構成されている。
第1四方弁6の第1開口部P1は圧縮機1の吐出口1Aに接続されている。第1四方弁6の第2開口部P2は第2四方弁7の第6開口部P6に接続されている。第1四方弁6の第3開口部P3は第3四方弁9の第9開口部P9に接続されている。第1四方弁6の第4開口部P4は第2四方弁7の第5開口部P5に接続されている。第2四方弁7の第7開口部P7は第3四方弁9の第11開口部P11に接続されている。第2四方弁7の第8開口部P8は第3四方弁9の第12開口部P12に接続されている。第3四方弁9の第10開口部P10は圧縮機1の吸入口1Bに接続されている。
第3開口部P3と第9開口部P9との間には、第1熱交換器2および第2減圧器5Aが接続されている。第4開口部P4と第5開口部P5との間には、第1減圧器4Aが接続されている。第8開口部P8と第12開口部P12との間には、第2熱交換器3が接続されている。
第1減圧器4Aは、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させない。第1減圧器4Aは、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第1減圧器4Aは、例えば逆止弁41とキャピラリーチューブ42とが直列に接続された冷媒流路と、該冷媒流路と並列に接続された逆止弁43とを有している。逆止弁41,43の各々は図3中においてそれぞれの内部に示された矢印の方向にのみ冷媒を流すように設けられている。逆止弁41は、第2四方弁7の第5開口部P5から第1四方弁6の第4開口部P4に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。逆止弁43は、第1四方弁6の第4開口部P4から第2四方弁7の第5開口部P5に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。
第2減圧器5Aは、上記第2状態では冷媒を絞り膨張させ、上記第1状態では冷媒を絞り膨張させない。第2減圧器5Aは、冷媒を絞り膨張させる状態と、冷媒を絞り膨張させない状態とを切替可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよい。第2減圧器5Aは、例えば逆止弁51とキャピラリーチューブ52とが直列に接続された冷媒流路と、該冷媒流路と並列に接続された逆止弁53とを有している。逆止弁51,53の各々は図3中においてそれぞれの内部に示された矢印の方向にのみ冷媒を流すように設けられている。逆止弁51は、第3四方弁9の第9開口部P9から第1四方弁6の第3開口部P3に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。逆止弁53は、第1四方弁6の第3開口部P3から第3四方弁9の第9開口部P9に流れる方向にのみ、冷媒を流すように設けられている。
これにより、上記第1状態(暖房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1四方弁6の第1開口部P1から第3開口部P3に至る第1流路、第1熱交換器2、第2減圧器5Aの逆止弁53、第3四方弁9の第9開口部P9から第11開口部P11に至る第5流路、第2四方弁7の第7開口部P7から第5開口部P5に至る第3流路、第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42および逆止弁41、第4開口部P4から第2開口部P2に至る第2流路、第6開口部P6から第8開口部P8に至る第4流路、第2熱交換器3、第3四方弁9の第12開口部P12から第10開口部P10に至る第6流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
上記第2状態(冷房)では、冷媒が、圧縮機1の吐出口1A、第1開口部P1から第4開口部P4に至る第1流路、第1減圧器4Aの逆止弁43、第5開口部P5から第8開口部P8に至る第3流路、第2熱交換器3、第12開口部P12から第9開口部P9に至る第5流路、第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52および逆止弁51、第1熱交換器2、第3開口部P3から第2開口部P2に至る第2流路、第6開口部P6から第7開口部P7に至る第4流路、第11開口部P11から第10開口部P10に至る第6流路、および圧縮機1の吸入口1Bを順に循環する。
また、冷媒は、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第2四方弁7の第8開口部P8、第2熱交換器3、および第3四方弁9の第12開口部P12を順に流れる。つまり、第2熱交換器3を流れる冷媒の方向は、上記第1状態および上記第2状態によらず、一定である。
第5流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1減圧部との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2減圧部との間に接続される。つまり、第1流路、第3流路および第5流路は、第1状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42との間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては吐出口1Aと第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52との間に接続される。これにより、上記空気調和機108において、第1流路、第3流路および第5流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吐出口1A側(上流側)に配置されている。
第6流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1減圧部と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2減圧部と吸入口1Bとの間に接続される。つまり、第2流路、第4流路および第6流路は、第1状態にある冷媒回路においては第1減圧器4Aのキャピラリーチューブ42と吸入口1Bとの間に接続され、第2状態にある冷媒回路においては第2減圧器5Aのキャピラリーチューブ52と吸入口1Bとの間に接続される。これにより、上記空気調和機108において、第2流路、第4流路および第6流路は、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても、高圧冷媒が絞り膨張される膨張部よりも吸入口1B側(下流側)に配置されている。すなわち、第1流路、第3流路および第5流路に流れる冷媒は、第2流路、第4流路および第6流路に流れる冷媒と比べて、上記第1状態および第2状態のいずれにおいても高圧である。
このような上記空気調和機108では、第1四方弁6および第2四方弁7によって、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、風向に対し対向流とされている。その結果、第2熱交換器3での非共沸混合冷媒と空気との間の熱交換効率が、第2熱交換器3の冷媒の流通方向が風向に対し並行流とされている場合と比べて、向上されている。
上記空気調和機108は、1つの四方弁および4つの逆止弁により熱源側冷媒の流通方向が利用側冷媒の流通方向に対して対向流とされる上記空気調和機と比べて、小型化され得る。
上記空気調和機108では、第1四方弁6、第2四方弁7および第3四方弁9が図12に示される構成を備えている場合にも、第1四方弁6における第1流路と第2流路との間の水密性、第2四方弁7における第3流路と第4流路との間の水密性、および第3四方弁9における第5流路と第6流路との間の水密性が確保され得る。
実施の形態10.
図10に示されるように、実施の形態10に係る空気調和機109は、実施の形態9に係る空気調和機108と基本的に同様の構成を備えるが、上記冷媒回路が第3減圧部としての第3減圧器8をさらに含む点で異なる。第3減圧器8は、図2に示される実施の形態2に係る空気調和機101の第3減圧器8と同様の構成を備えている。
このような空気調和機109は、空気調和機108と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機108と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気調和機109は第3減圧器8を備えているため、上記第1状態において第1熱交換器2から第1減圧器4Aに流れる冷媒は第3減圧器8によって気液2相状態とされた後に第2延長配管12に流入する。そのため、例えば第2延長配管12の長さが比較的長く、上記第1状態において第2延長配管12内に冷媒が滞留するような場合にも、第2延長配管12内には気液2相冷媒が滞留することになる。気液2相冷媒の密度は、液相冷媒の密度よりも大幅に低い。そのため、空気調和機109において第2延長配管12内に滞留している気液2相冷媒の重量は、空気調和機108において第2延長配管12内に滞留する液相冷媒の重量と比べて、十分に小さくされる。
なお、空気調和機108および109では、上記第2状態において第2減圧器5Aによって絞り膨張された気液2相冷媒が第2延長配管12を経て蒸発器としての第1熱交換器2に流入する。そのため、空気調和機108および109の上記第2状態では、第1延長配管11および第2延長配管12のいずれにも液相冷媒は流通しない。
つまり、空気調和機109では、上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても、第1延長配管11および第2延長配管12内に液相冷媒が滞留することが抑制されている。その結果、空気調和機109は、空気調和機108と比べて、上記冷媒回路に封入される冷媒量を大幅に減らすことができ、その製造コストが低減される。なお、第3減圧部は、電子膨張弁であってもよい。
実施の形態11.
図11に示されるように、実施の形態11に係る空気調和機110は、実施の形態1に係る空気調和機100と同様に、圧縮機1、第1熱交換器2A、第2熱交換器3、第1減圧部としての第1膨張弁4、第2減圧部としての第2膨張弁5、第1四方弁6および第2四方弁7を含む冷媒回路10を備える。空気調和機110は、上記冷媒回路10に加えて、2次冷媒が循環する2次冷媒回路20をさらに備えている点で、空気調和機100と異なる。なお、図11では、2次冷媒の流れが矢印で示されている。
2次冷媒回路20は、第1熱交換器2A、ポンプ21、第3熱交換器22を含む。2次冷媒は、例えばブラインまたは水である。
第1熱交換器2Aは、冷媒回路10を循環する冷媒と、2次冷媒回路20を循環する2次冷媒とが熱交換可能に設けられている。ポンプ21は、2次冷媒回路20内で2次冷媒を循環させる。ポンプ21は、一方向にのみ2次冷媒を吐出可能に設けられていればよく、2次冷媒の吐出方向を変更可能に設けられていなくてもよい。ポンプ21によって形成される2次冷媒の流通方向は、第1熱交換器2Aにおける冷媒の流通方向に対して対向流とされる。第3熱交換器22は、上記2次冷媒回路を循環する2次冷媒と気体との間で熱交換を行うように設けられている。第3熱交換器22を流れる上記2次冷媒は、第3ファン23により供給される気体と熱交換する。
第3熱交換器22は例えば室内機に収容されている。上記冷媒回路10、および上記2次冷媒回路20において第1熱交換器2Aおよびポンプ21は、例えば室外機に収容されている。上記2次冷媒回路20は、例えば室内機と室外機との間を接続する第3延長配管24および第4延長配管25をさらに含んでいる。第3延長配管24は例えば第1熱交換器2Aよりも下流側に配置されており、第4延長配管25は例えば第1熱交換器2Aよりも上流側に配置されている。
空気調和機110の冷媒回路10は空気調和機100の冷媒回路10と基本的に同様の構成を備えているため、空気調和機110は空気調和機100と同様の効果を奏することができる。
また、冷媒回路10では第1熱交換器2Aを流れる冷媒の流通方向が上記第1状態および上記第2状態のいずれにおいても一定とされている。そのため、第1熱交換器2Aにおいて2次冷媒の流通方向を冷媒の流通方向に対し対向流とすること、および第3熱交換器22において2次冷媒の流通方向を第3ファン23によって形成される風向に対し対向流とすることは、例えば一方向にのみ2次冷媒を吐出可能なポンプ21によって、容易に実現できる。
2次冷媒が水またはブラインである場合、2次冷媒回路20内の該2次冷媒は空気調和機110として一般的に使用される温度領域および圧力領域内において蒸発または凝縮を伴う相変化を起こさない。そのため、冷媒の流通方向が2次冷媒の流通方向に対し対向流とされているときの第1熱交換器2Aでの冷媒と2次冷媒との間の熱交換効率は、冷媒の流通方向が2次冷媒の流通方向に対し並行流とされているときの第1熱交換器2Aでの冷媒と2次冷媒との間の熱交換効率と比べて、冷媒の状態に依らず常に高い。
このように、空気調和機110では、上記冷媒回路10を備えることにより、2次冷媒回路20が2次冷媒の流通方向を切り替え可能なポンプと比べて安価なポンプ21を含む場合にも、第1熱交換器2Aにおける冷媒と2次冷媒との熱交換効率が高められている。
さらに、空気調和機110では、上記冷媒回路10の全体が室外機に収容されており、上記冷媒回路10が延長配管を含んでいない。そのため、空気調和機110の冷媒回路10に封入された冷媒量は、空気調和機100の上記冷媒回路10に封入された冷媒量よりも削減され得る。そのため、空気調和機110は、空気調和機100と比べて、地球温暖化への寄与がさらに小さくされている。
なお、空気調和機110の上記冷媒回路10は、実施の形態1に係る空気調和機100の冷媒回路10と同様の構成を備えているが、これに限られるものでは無く、実施の形態3,5,7に係る空気調和機102,104,106の各冷媒回路と同様の構成を備えていてもよい。空気調和機110の冷媒回路10が空気調和機106の冷媒回路10と同様の構成を備えている場合には、第1状態における第1熱交換器2Aでの冷媒の流通方向は、第2状態における第1熱交換器2Aでの冷媒の流通方向とは逆方向となる。この場合、ポンプ21が2次冷媒の吐出方向を切り替え可能に設けられていることで、第1状態および第2状態のいずれにおいても第1熱交換器2Aにおける冷媒の流通方向は2次冷媒の流通方向に対し対向流とされ得る。よって、このような空気調和機110も、上記空気調和機110と同様の効果を奏することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。