JP7105185B2 - インピーダンス整合装置及びインピーダンス整合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合させるインピーダンス整合装置及びインピーダンス整合方法に関する。
プラズマ処理装置等のインピーダンスが変動する負荷に対して高周波電源から電力を供給する場合、負荷に効率良く電力を供給するために、高周波電源の出力インピーダンスと、高周波電源から負荷側を見たインピーダンスとを整合させるインピーダンス整合装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のインピーダンス整合装置は、キャパシタとPIN(P-Intrinsic-N )ダイオードである半導体スイッチとの直列回路が複数並列に接続された可変キャパシタを含み、高周波電源と負荷との間に設けられている。特許文献1のインピーダンス整合装置は、制御器の制御信号で半導体スイッチを断続(オン/オフ)することにより、可変キャパシタのキャパシタンスを調整してインピーダンスを整合させるようになっている。
特開2012-142285号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、可変キャパシタのキャパシタンスの分解能は、実質的には可変キャパシタに含まれるキャパシタのキャパシタンスの最小値によって決まる。このため、インピーダンスを整合させるための可変キャパシタのキャパシタンスが、可変キャパシタで実現可能な離散的なキャパシタンスが切り換わる境界付近にある場合は、可変キャパシタに含まれる半導体スイッチのオン/オフの状態にばたつきが生じてインピーダンスの整合が安定しないという問題があった。
すなわち、整合動作の過程において、反射係数の絶対値が、整合したと見做す反射係数の絶対値の閾値以下(例えば、反射係数の絶対値が0.025以下)でない場合は、可変キャパシタのキャパシタンスを変更して、反射係数の絶対値を小さくしようとする。しかし、場合によっては、反射係数の絶対値が、閾値以下にならない場合が起こりうる。特に、可変キャパシタのキャパシタンスの分解能が粗い場合に起こりうる。また、整合したと見做す反射係数の絶対値の閾値が小さすぎる場合にも起こりうる。このような状態になると、殆ど整合しているにも関わらず、可変キャパシタのキャパシタンスを変更する動作が繰り返されるので、負荷のインピーダンスが安定しない。また、過度に可変キャパシタのキャパシタンスを変更する動作が繰り返されるので、スイッチングロスが発生してしまう。例えば、整合したと見做す反射係数の絶対値の閾値(例えば反射係数の絶対値が0.025の点)を挟んで、負荷のインピーダンスが行き来する状態が起こりうると考えられる。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体スイッチのばたつきを抑制して、負荷との整合状態を安定化させることが可能なインピーダンス整合装置及びインピーダンス整合方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るインピーダンス整合装置は、高周波電源と負荷との間に設けられ、前記高周波電源の出力端又は該出力端と同等の箇所から前記負荷側を見たインピーダンスに関する情報を時系列的に取得して、該高周波電源と負荷とのインピーダンスの整合を図るインピーダンス整合装置であって、キャパシタ及び半導体スイッチの直列回路が複数並列に接続された可変キャパシタと、取得した前記インピーダンスに関する情報を用いて前記負荷側のインピーダンス又は反射係数を算出する算出部と、該算出部が所定期間内に算出したインピーダンス又は反射係数と前記半導体スイッチのオン/オフの状態とを対応付けて記憶する記憶部と、前記所定期間内における前記算出部の算出結果を用いて、前記半導体スイッチがとるべきオン/オフの状態を決定する決定部と、該決定部が決定した状態に基づいて前記半導体スイッチをオン/オフする制御部と、前記決定部が決定した状態が変化した回数を計数する計数部と、該計数部が計数した回数が所定回数より多い場合、前記記憶部が記憶したインピーダンス又は反射係数のうち、所定インピーダンスにより近いインピーダンス又は0により近い反射係数を抽出する抽出部とを備え、前記制御部は、前記抽出部が抽出したインピーダンス又は反射係数に対応付けられたオン/オフの状態に一致するように前記半導体スイッチをオン/オフした後に、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止するようにしてある。
本開示の一態様に係るインピーダンス整合方法は、高周波電源と負荷との間に設けられる可変キャパシタによって、前記高周波電源と負荷とのインピーダンスの整合を図るインピーダンス整合方法であって、前記可変キャパシタは、キャパシタ及び半導体スイッチの直列回路が複数並列に接続されており、前記高周波電源の出力端又は該出力端と同等の箇所から前記負荷側を見たインピーダンスに関する情報を時系列的に取得し、取得した前記インピーダンスに関する情報を用いて前記負荷側のインピーダンス又は反射係数を算出し、所定期間内に算出したインピーダンス又は反射係数と前記半導体スイッチのオン/オフの状態とを対応付けて記憶し、前記所定期間内における算出結果を用いて、前記半導体スイッチがとるべきオン/オフの状態を決定し、決定した状態に基づいて前記半導体スイッチをオン/オフし、決定した状態が変化した回数を計数し、計数した回数が所定回数より多い場合、記憶したインピーダンス又は反射係数のうち、所定インピーダンスにより近いインピーダンス又は0により近い反射係数を抽出し、抽出したインピーダンス又は反射係数に対応付けられたオン/オフの状態に一致するように前記半導体スイッチをオン/オフした後に、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止する。
本態様にあっては、キャパシタ及び半導体スイッチの直列回路が複数並列に接続された可変キャパシタが高周波電源と負荷との間に設けられており、高周波電源の出力端又は該出力端と同等の箇所から負荷側を見たインピーダンス又は反射係数に関する情報を外部から時系列的に取得し、取得した情報を用いて現在の負荷側のインピーダンス又は反射係数を算出する。なお、高周波電源の出力端と同等の箇所とは、例えば、インピーダンス整合装置の入力端である。所定期間内に算出したインピーダンス又は反射係数は、半導体スイッチのオン/オフ状態に対応付けて記憶する。負荷側のインピーダンスを算出した場合は、調整後の負荷側のインピーダンスが高周波電源の出力インピーダンスに近づくように可変キャパシタのキャパシタンスを調整すべく、各半導体スイッチがとるべきオン/オフ状態を決定する。一方、反射係数を算出した場合は、調整後の反射係数が0に近づくように可変キャパシタのキャパシタンスを調整すべく、各半導体スイッチがとるべきオン/オフ状態を決定する。
このような算出、記憶及び決定を時系列的に所定期間だけ実行するまでの間に、半導体スイッチのオン/オフ状態が変化した回数が所定回数より多くなった場合、記憶したインピーダンス又は反射係数のうち、所定インピーダンスとの差分の絶対値がより小さいインピーダンス又は絶対値がより小さい反射係数を抽出する。そして、抽出したインピーダンス又は反射係数に対応付けられたオン/オフ状態に合わせて半導体スイッチをオン/オフした後に、オン/オフの動作を停止する。これにより、半導体スイッチのオン/オフ状態がばたつく場合は、負荷側のインピーダンスが高周波電源のインピーダンスに近づくように、又は負荷側の反射係数が0に近づくように、半導体スイッチのオン/オフ状態が保持される。
本発明の一態様に係るインピーダンス整合装置は、前記算出部は、反射係数を算出するようにしてあり、前記制御部は、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止した場合、前記算出部が算出した反射係数の絶対値が、前記抽出部が抽出した反射係数の絶対値より大きい所定の反射係数以上であるときに、前記オン/オフの禁止を解除するようにしてある。
本態様にあっては、調整後の負荷側の反射係数が0に近づくように半導体スイッチを調整した結果、半導体スイッチのオン/オフ状態がばたついてオン/オフを禁止した場合に、負荷側の反射係数の絶対値を時系列的に算出し続ける、そして、新たに算出した反射係数の絶対値が、オン/オフを禁止中の半導体スイッチのオン/オフ状態に対応付けられた反射係数の絶対値より大きい所定の反射係数以上になったときに、半導体スイッチのオン/オフの禁止を解除する。これにより、半導体スイッチのオン/オフの禁止と解除とでヒステリシス特性を持たせることになり、半導体スイッチのばたつきの断続的な繰り返しが抑制される。
本発明の一態様に係るインピーダンス整合装置は、前記算出部は、インピーダンスを算出するようにしてあり、前記制御部は、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止した場合、前記算出部が算出したインピーダンスと前記所定インピーダンスとの差分の絶対値が、前記抽出部が抽出したインピーダンスと前記所定インピーダンスとの差分の絶対値より大きい所定の差分以上であるときに、前記オン/オフの禁止を解除するようにしてある。
本態様にあっては、調整後の負荷側のインピーダンスが所定インピーダンスに近づくように半導体スイッチを調整した結果、半導体スイッチのオン/オフ状態がばたついてオン/オフを禁止した場合に、負荷側のインピーダンスを時系列的に算出し続ける、そして、新たに算出したインピーダンスと所定インピーダンスとの差分の絶対値が、オン/オフを禁止中の半導体スイッチのオン/オフ状態に対応付けられたインピーダンスと所定インピーダンスとの差分の絶対値より大きい所定の差分以上になったときに、半導体スイッチのオン/オフの禁止を解除する。これにより、半導体スイッチのオン/オフの禁止と解除とでヒステリシス特性を持たせることになり、半導体スイッチのばたつきの断続的な繰り返しが抑制される。
本発明の一態様に係るインピーダンス整合装置は、前記計数部は、前記可変キャパシタに含まれる前記半導体スイッチの夫々について前記回数を計数し、最も計数値が大きい回数を計数結果とするようにしてある。
本態様にあっては、各半導体スイッチの所定期間内のオン/オフの回数を個別に計数し、最も計数値が大きい回数が所定回数より多い場合に半導体スイッチのオン/オフを禁止する。このため、半導体スイッチのオン/オフ状態のばたつきの有無を確実に判定することができる。
本発明の一態様に係るインピーダンス整合装置は、前記計数部は、前記制御部が前記半導体スイッチをオン/オフすることによって決定される前記可変キャパシタのキャパシタンスの変化量が所定の閾値より大きい場合に、前記回数を計数するようにしてある。
本態様にあっては、半導体スイッチが所定期間内にオン/オフすることによって変化する可変キャパシタのキャパシタンスの変化量が所定の閾値より大きい場合に、半導体スイッチのオン/オフを禁止する。このため、可変キャパシタのキャパシタンスのばたつきの有無を確実に判定することができる。
本発明によれば、半導体スイッチのばたつきを抑制して、負荷との整合状態を安定化させることが可能となる。
実施形態1に係るインピーダンス整合装置の構成例を示すブロック図である。 駆動回路の構成例を示す回路図である。 実施形態1に係るインピーダンス整合装置の動作を示すタイミングチャートである。 整合動作中及び整合動作停止中の反射係数の変動の一例を示す模式図である。 整合動作の再開前後における反射係数の変化の一例を示す模式図である。 負荷側のインピーダンスを算出して平均化するFPGAの処理手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係るインピーダンス整合装置でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係るインピーダンス整合装置でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。 時間T10内の整合動作を繰り返すためのCPUの処理手順を示すフローチャートである。 実施形態2に係るインピーダンス整合装置でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。 実施形態2に係るインピーダンス整合装置でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインピーダンス整合装置100の構成例を示すブロック図である。インピーダンス整合装置100は、高周波電力を出力する高周波電源5及び高周波電力を消費する負荷7の間に設けられている。高周波電源5及びインピーダンス整合装置100の間には、高周波電力を通過させると共に高周波電圧等のパラメータを検出する高周波検出部6が接続されている。即ち、高周波検出部6は、高周波電源5の出力端と、インピーダンス整合装置100の入力端との間に介在してある。高周波検出部6がインピーダンス整合装置100に含まれていてもよい。
高周波電源5は、例えば2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz等の工業用のRF帯(Radio Frequency)の高周波電力を出力する交流電源であり、出力インピーダンスは、例えば50Ω等の規定の値に設定されている。高周波電源5は、インバータ回路(図示せず)を含み、該インバータ回路をスイッチング制御することにより、高周波の交流電力を生成する。
高周波検出部6は、高周波電源5の出力端又は当該出力端と同等の箇所であるインピーダンス整合装置1の入力端から負荷7側を見た(以下、単に負荷7側を見た、又は負荷7側のと言う)インピーダンスを算出するためのパラメータ又は負荷7側を見た反射係数を算出するためのパラメータ(インピーダンスに関する情報に相当)を検出する。負荷7側を見たインピーダンスは、負荷7のインピーダンスと、インピーダンス整合装置100との合成インピーダンスである。具体的には、高周波検出部6は、自身の位置における高周波電圧と、高周波電流と、高周波電圧と高周波電流との位相差とをパラメータとして検出する。又は、高周波検出部6は、負荷7に向かう高周波の進行波電力(又は進行波電圧)と負荷7から反射されて戻ってくる反射波電力(又は反射波電圧)とをパラメータとして検出する。これらの検出されたパラメータを用いて、後述する前置算出部2が周知の方法によって負荷7側のインピーダンス又は反射係数を算出する。
負荷7は、高周波電源5から供給される高周波電力を用いて各種処理を行うものであり、例えば、プラズマ処理装置及び非接触電力伝送装置が挙げられる。プラズマ処理装置では、プラズマエッチング、プラズマCVD等の製造プロセスの進行に伴い、プラズマの状態が時々刻々と変化する。これにより、負荷7のインピーダンスが変動する。
インピーダンス整合装置100は、キャパシタンスが可変の可変キャパシタ1と、高周波検出部6から上記パラメータを取得して、負荷7側のインピーダンス又は反射係数を算出する前置算出部2と、該前置算出部2が算出したインピーダンス又は反射係数を用いて、可変キャパシタ1のキャパシタンスを制御する制御部3とを備える。制御部3は記憶部30を有する。インピーダンス整合装置100は、更に、可変キャパシタ1が有する後述の半導体スイッチをオン/オフに設定するスイッチ状態設定部4を備え、制御部3がスイッチ状態設定部4を介して可変キャパシタ1のキャパシタンスを制御するようになっている。
インピーダンス整合装置100では、高周波検出部6へ延伸する伝送路101と、インダクタL1側の一端が負荷7に接続されたキャパシタC1及びインダクタL1の直列回路とが縦続接続されている。可変キャパシタ1は、実質的に2端子の回路であり、一端が伝送路101に、他端が接地電位に接続されている。即ち、可変キャパシタ1とキャパシタC1及びインダクタL1の直列回路とは、L型の整合回路を構成する。キャパシタC1を他の可変キャパシタ1と置き換えてもよい。
ここでは、上記の整合回路がL型である場合について説明したが、逆L型であってもよいし、T型又はπ型であってもよい。更に、キャパシタC1及びインダクタL1の直列回路は、インピーダンス整合装置100の外側(即ち、インピーダンス整合装置100及び負荷7の間)に接続されていてもよい。以下では、高周波検出部6から伝送路101に高周波電力が入力される部位を入力部と言う。また、インダクタL1から負荷7に高周波電力が出力される部位を出力部と言う。
可変キャパシタ1は、一端同士が伝送路101に接続されたキャパシタ11,12,・・18と、各アノードがキャパシタ11,12,・・18夫々の他端に接続されたPINダイオードである半導体スイッチ21,22,・・28と、駆動回路31,32,・・38とを有する。半導体スイッチ21,22,・・28の他端であるカソードは、接地電位に接続されている。駆動回路31,32,・・38夫々の出力端子Out(後述の図2参照)は、キャパシタ11,12,・・18と半導体スイッチ21,22,・・28との接続点に各別に接続されている。キャパシタ11,12,・・18の数、半導体スイッチ21,22,・・28の数及び駆動回路31,32,・・38の数は8つに限定されない。
図2は、駆動回路31の構成例を示す回路図である。他の駆動回路32,33,・・38についても同様である。駆動回路31は、ドレインがプラス電源V+に接続されたNチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor :以下トランジスタと言う)QHと、ソースがマイナス電源V-に接続されたNチャネル型のトランジスタQLとを有する。トランジスタQHのソース及びトランジスタQHのドレインの間には、抵抗器R及びスピードアップコンデンサSCの並列回路が接続されている。トランジスタQH及びQLは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )等の他のスイッチング素子であってもよい。
駆動回路31は、更に、トランジスタQLのドレイン及び接地電位の間に接続されたキャパシタFCと、トランジスタQLのドレイン及び出力端子Outの間に接続されたインダクタFLとを含むL型のフィルタFを有する。トランジスタQHのゲート及びトランジスタQLのゲートには、スイッチ状態設定部4からハイレベル及びロウレベルの相補的な駆動信号が印加される。ハイレベルの駆動信号の電圧は、例えばプラス電源V+の電圧と同等であればよい。ロウレベルの駆動信号の電圧は、例えばマイナス電源V-の電圧と同等であればよい。
トランジスタQLのゲートにロウレベル(Lowレベル)の駆動信号が印加され、トランジスタQHのゲートにハイレベル(Highレベル)の駆動信号が印加された場合、トランジスタQLがオフとなり、トランジスタQHがオンとなる。これにより、プラス電源V+からトランジスタQH、抵抗器R及びスピードアップコンデンサSC、並びにフィルタFに含まれるインダクタFLを介して半導体スイッチ21に順方向電流が流れ、半導体スイッチ21がオン状態となる。この結果、キャパシタ11のキャパシタンスが、可変キャパシタ1全体のキャパシタンスに含まれることとなる。
一方、トランジスタQHのゲートにロウレベルの駆動信号が印加され、トランジスタQLのゲートにハイレベルの駆動信号が印加された場合、トランジスタQHがオフとなり、トランジスタQLがオンとなる。これにより、マイナス電源V-からトランジスタQL及びインダクタFLを介して半導体スイッチ21のアノードに逆方向の電圧が印加され、半導体スイッチ21がオフ状態となる。この結果、キャパシタ11のキャパシタンスが、可変キャパシタ1全体のキャパシタンスに含まれなくなる。以上のようにして、可変キャパシタ1のキャパシタンスが調整される。
図1に戻って、本実施形態1では、キャパシタ11,12,・・18の一部又は全部のキャパシタンスが、段階的に大きくなるようにしてある。より具体的には、キャパシタ11のキャパシタンスをCminとした場合、キャパシタ11,12,・・18のキャパシタンスが、Cmin×2i-1 (i=1,2,・・8)で表されるようにすることが好ましい。このようにすることにより、可変キャパシタ1のキャパシタンスを、Cmin刻みで28 通りの大きさに設定することができる。
前置算出部2は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array )を含んでなり、高周波検出部6から、負荷7側のインピーダンスを算出するためのパラメータ又は負荷7側の反射係数を算出するためのパラメータを取得する。前置算出部2は、取得したこれらのパラメータを用いて、負荷7側のインピーダンス又は反射係数を算出して平均化し、平均化したインピーダンス又は反射係数を制御部3に向けて出力する。
制御部3は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って各部の動作を制御すると共に、入出力、演算、時間の計測等の処理を行う。CPUによる各処理の手順を定めたコンピュータプログラムを、不図示の手段を用いて予めRAM(Random Access Memory )にロードし、ロードされたコンピュータプログラムをCPUで実行するようにしてもよいし、制御部3をマイクロコンピュータ又は専用のハードウェア回路で構成してもよい。
制御部3は、前置算出部2で算出された負荷7側のインピーダンス又は反射係数を取り込む。負荷7側のインピーダンスを取り込んだ場合、制御部3は、負荷7側のインピーダンスを高周波電源5の出力インピーダンスに整合させるべく、可変キャパシタ1のキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定することができる(第1の形態)。一方、負荷7側の反射係数を取り込んだ場合、制御部3は、入力部における反射係数を0に近づけるべく、可変キャパシタ1のキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定することができる(第2の形態)。反射係数の大きさが、許容範囲内になれば整合したと見做す。このような制御により、高周波電源5から負荷7に効率よく電力が供給される。
なお、制御部3は、前置算出部2で算出された負荷7側のインピーダンスを取り込んで負荷7側の反射係数を更に算出し、算出した反射係数を用いて可変キャパシタ1のキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定することもできる(第3の形態)。以下では、この第3の形態の例を中心にして、制御部3が負荷7側の反射係数を用いてキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定するものとして説明する。決定されたキャパシタ11,12,・・18の組み合わせは、半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態に対応している。
スイッチ状態設定部4は、制御部3が決定したキャパシタ11,12,・・18の組み合わせ、即ち半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態に応じて、制御部3から半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が設定される。スイッチ状態設定部4に半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が設定された場合、対応する駆動回路31,32,・・38夫々に対して、上述の相補的な駆動信号が印加される。これにより、可変キャパシタ1の半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が新たに制御される。そして、可変キャパシタ1のキャパシタンスは、制御部3が算出したキャパシタンスに調整される。
次に、負荷7側のインピーダンスを高周波電源5の出力インピーダンスに整合させる場合について、インピーダンス整合装置100全体の動作の流れを説明する。図3は、実施形態1に係るインピーダンス整合装置100の動作を示すタイミングチャートである。図3に示す4つのタイミングチャートは、何れも同一の時間軸(t)を横軸にしてあり、上段から順に、半導体スイッチ21,22,・・28の設定、負荷7側のインピーダンスの算出・平均化、インピーダンス更新フラグのセット/クリア、及びインピーダンスの整合演算夫々を行うタイミングを模式的に示す。以下では、B1,B2,・・B7夫々が、半導体スイッチ21,22,・・28のビット番号を表すものとする。
本実施形態1に係るインピーダンス整合装置100では、図3の全体に示すシーケンスが、例えば1msに1回ずつ周期的に出現するが、シーケンスの周期が1msに限定されるものではない。この1msの間に、可変キャパシタ1のキャパシタンスが1回算出され、算出されたキャパシタンスに基づいて、半導体スイッチ21,22,・・28の各ビットがオン又はオフに設定される。図3に示すタイミングチャートに対応する動作のうち、インピーダンスの算出・平均化及びインピーダンス更新フラグのセット/クリアは、前置算出部2に含まれるFPGA(以下、単にFPGAと言う)が実行し、その他2つのタイミングチャートに対応する動作は、制御部3が有するCPU(以下、単にCPUと言う)が実行する。
時刻t0からt1にわたって行われる半導体スイッチ21,22,・・28の設定は、時刻t0の1ms前に始まる1つ前の周期で決定されたオン/オフ状態に合わせてCPUが時間T1の間に実行するものである。ここでは、最上位ビットである半導体スイッチ28からビット番号の降順に半導体スイッチ21,22,・・28が設定されるが、最下位ビットである半導体スイッチ21からビット番号の昇順に設定されてもよい。CPUが半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを並列的に制御可能である場合は、全ての半導体スイッチ21,22,・・28の設定を同時に行ってもよい。CPUは、FPGAに対してマスク信号を与えており、時刻t1の直前に実行した半導体スイッチ21(B1に対応)の設定が完了したときにマスク信号をオフにする。
一方のFPGAは、CPUから与えられるマスク信号をセンスしており、マスク信号がオフになったときから、負荷7側のインピーダンスの算出・平均化を開始するまでの間に時間T2だけインターバルを設ける。時間T2の長さは、例えば30μsである。このインターバルは、時刻t7の直後に実行された半導体スイッチ21の設定によって、負荷7側のインピーダンスが安定化するまで待機する時間である。
時刻t2で上記のインターバルが終了した場合、FPGAは、時間T3の間に高周波検出部6から負荷7側のインピーダンスを算出するためのパラメータを複数回にわたって取得し、取得する毎に負荷7側のインピーダンスを算出して平均化する。時間T3の長さは、例えば15μsである。時刻t3で最初の算出・平均化が終了した場合、FPGAは、CPUが時刻t0より前にクリアしたインピーダンスの更新フラグを1にセットする。以後、時刻t3及びt4夫々から始まる時間T3の間に、FPGAは負荷7側のインピーダンスの算出・平均化を繰り返す。この算出・平均化は、CPUによってマスク信号がオンされるまで繰り返される。
他方のCPUは、FPGAによってセットされるインピーダンスの更新フラグをセンスしており、更新フラグが0にクリアされている間は、整合演算を行わない。時刻t5でインピーダンス更新フラグが1にセットされているのをセンスした場合、CPUは、インピーダンスの整合演算を行い、整合演算が終了した時刻t6にインピーダンス更新フラグを0にクリアすると共に、FPGAに与えるマスク信号をオンにする。
ここでの整合演算とは、FPGAから平均化された負荷7側のインピーダンスを取り込み、負荷7側のインピーダンスを高周波電源5の出力インピーダンスに整合させるべく、可変キャパシタ1のキャパシタンスを算出して、キャパシタンス要素31,32,・・38がとるべきオン/オフ状態を決定する処理である。この整合演算で決定されたオン/オフ状態は、次の起動周期における上記時間T1の間に半導体スイッチ21,22,・・28に設定される。このような整合演算から半導体スイッチ21,22,・・28の設定までの動作を、以下では整合動作と言う。
上述の整合演算によって算出される可変キャパシタ1のキャパシタンスが、可変キャパシタ1で実現可能な離散的なキャパシタンスが切り換わる境界付近にある場合は、可変キャパシタ1に含まれる半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態にばたつきが生じて整合動作が安定しないことがある。そこで、本実施形態1では、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態にばたつきが生じていた期間中の負荷7側を見た反射係数の絶対値(以下、単に反射係数と言う場合がある)の最小値を抽出し、抽出した最小の反射係数が達成されていたときの半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を再現して保持することとする。なお、抽出する反射係数の絶対値は、最小値に限定されず、0により近い値又は0に比較的近い値を抽出してもよい。
図4は、整合動作中及び整合動作停止中の反射係数の変動の一例を示す模式図である。図の横軸は時間を表し、縦軸は反射係数を表す。図中の時間T10は、反射係数のばたつきを監視する期間の最大長を示す。時間T10は、例えば100msである。CPUは、時間T10内の整合動作中に反射係数のばたつきが生じた時の半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を反射係数に対応付けて記憶部30に記憶すると共に、ばたつきの回数を計数する。
時間T10内で反射係数のばたつきの回数が所定回数より多くなった場合、CPUは、整合動作を停止して記憶した反射係数の最小値を抽出する。100msの時間T10内で整合動作を1ms毎に実行する場合、所定回数は、例えば90回である。図4に示す例では、整合動作中に反射係数が概ね0.028から0.077までの間でばたついているから、最小の反射係数である0.028が抽出される(丸印参照)。時間T10内での反射係数のばたつきの回数が所定回数より多くない場合、CPUは、ばたつきの回数の計数値をクリアして、時間T10内での整合動作を繰り返す。
次いで、CPUは、抽出した最小の反射係数に対応する半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を再現すべく、0.028の反射係数に対応付けて記憶部30に記憶されている半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を読み出し、読み出した状態をスイッチ状態設定部4に設定する。これにより、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態は、反射係数が0.028であった時の状態と同じに設定される。その後、CPUは整合動作を停止する。整合動作の停止中は、可変キャパシタ1のキャパシタンスは変化しない。可変キャパシタ1のキャパシタンスが一定であるにも関わらず、整合動作の停止中に反射係数が変動しているのは、負荷7のインピーダンスが多少変動しているためである。
反射係数のばたつきの回数としては、例えば、半導体スイッチ21,22,・・28の夫々について、オン/オフ状態が変化した回数を計数し、最も計数値が大きい回数をばたつきの回数としてもよい。ばたつきの回数を計数する他の方法としては、例えば、整合演算によって算出した可変キャパシタ1のキャパシタンスの前回からの変化量が所定の閾値より大きい場合に、ばたつきの回数を計数してもよい。所定の閾値としては、例えば、可変キャパシタ1のキャパシタンスの分解能を決定付けるキャパシタ11のキャパシタンスの大きさであってもよい。
整合動作の停止中に負荷7のインピーダンスの変動量が比較的大きくなった場合は、整合動作を再開することが好ましい。このため、整合動作の停止中であっても、負荷7側を見た反射係数の算出が継続される。この間に算出された反射係数が、前回の整合動作中の反射係数の最小値より大きい所定の反射係数以上となったときに、整合動作が再開される。
図5は、スミスチャートに反射係数Γを投影させて図示した説明図である。なお、図5では、スミスチャートで用いられる等抵抗円及び等リアクタンス円等の図示を省略し、反射係数Γの絶対値を表す円だけを図示している。そのため、図5の中心位置の反射係数Γの絶対値は0であり、外側の反射係数Γの絶対値は1となる。また、ここでは、反射係数ΓがΓr+jΓiで表される複素数であるとする。そのため、図の横軸はΓの実部であるΓrに対応する実軸であり、縦軸はΓの虚部であるΓiに対応する虚軸である。図中の実線の円で囲まれた領域は、反射係数の絶対値がΓset以下の領域である。また、破線の円で囲まれた領域は、反射係数の絶対値がΓth1以下の領域である。そして、一点鎖線の円で囲まれた領域は、反射係数の絶対値がΓth3以下の領域である。図4に示す例では、Γset、Γth1及びΓth3の夫々は、0.025、0.03及び0.05である。
まず、通常の整合動作について説明する。Γsetは、整合したと見做す閾値であり、整合動作中に反射係数Γの絶対値が閾値Γset以下になれば、整合したと見做して整合動作を停止させる(図5のΓa1参照)。その後、負荷インピーダンスの変動によって反射係数Γの絶対値が閾値Γth1以上になったときに(図5のΓa2参照)、整合動作を再開させる。すなわち、整合動作を停止させるための閾値Γsetよりも整合動作を再開させるための閾値Γth1の方が大きいので、ヒステリシス特性を有している。これにより、可変キャパシタ1のキャパシタンスの過度な変更による不安定さを抑制している。
次に、整合動作中に反射係数Γの絶対値が閾値Γset以下にならず可変キャパシタ1のキャパシタンスを変更する動作が繰り返される状態が発生した場合について説明する。図4で説明したように、時間T10内の最小の反射係数の絶対値が抽出された後、抽出した反射係数の絶対値のときの可変キャパシタ1の状態を再現する(図5のΓb1参照)。その後、負荷インピーダンスの変動によって反射係数Γの絶対値が閾値Γth3以上になったときに(図5のΓb2参照)、整合動作を再開させる。このような制御を行うことによって、反射係数Γの絶対値が閾値Γset以下にならず、過度に可変キャパシタ1のキャパシタンスを変更する動作が繰り返されるのを防止することができる。本明細書では、上記のように、整合動作中に反射係数Γの絶対値がΓset以下にならず可変キャパシタ1のキャパシタンスを変更する動作が繰り返される状態が発生した場合の制御を「不安定動作防止制御」と呼ぶ。
以下では、上述した前置算出部2及び制御部3の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図6は、負荷7側のインピーダンスを算出して平均化するFPGAの処理手順を示すフローチャートである。図7及び図8は、実施形態1に係るインピーダンス整合装置100でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。また、図9は、時間T10内の整合動作を繰り返すためのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図6の処理は、例えば1msより十分短い間隔をおいて開始され、FPGAによって実行される。図7の処理は、例えば1ms毎に起動され、不図示のROMに予め格納されているコンピュータプログラムに従ってCPUにより実行される。図9の処理は、時間T10を計時するタイマt10がタイムアップする毎に起動され、CPUによって実行される。タイマt10は、制御部3が有する不図示の汎用タイマであり、初期化によって計時が開始される。
図6及び図7では、インピーダンス更新フラグを単に更新フラグと記載し、マスク信号を単にマスクと記載する。更新フラグの初期値は0であり、マスク信号の初期値はオンである。図7及び図8では、半導体スイッチを単にスイッチと記載する。図6における初回フラグは、インピーダンスを算出及び平均化する処理の初回であることを示すフラグである。図7及び図8における整合フラグは、CPUが整合演算を周期的に繰り返す整合動作中であることを示すフラグであり、初期値は1である。変化回数は、オン/オフ状態が変化した回数を計数するためのカウンタであり、初期値は0である。
図6の処理が開始された場合、FPGAは、マスク信号がオンであるか否かを判定し(S11)、オンである場合(S11:YES)、マスク信号がオフとなるまで待機する。マスク信号がオフとなってマスクが外された場合(S11:NO)、FPGAは、初回フラグを1にセットし(S12)、不図示のタイマによる計時を開始する(S13)。その後、FPGAは、タイマの計時により時間T2が経過したか否かを判定し(S14)、経過していない場合(S14:NO)、時間T2が経過するまで待機する。この時間T2は上述のインターバルであり、例えば30μsの長さである。
時間T2のインターバルが経過した場合(S14:YES)、FPGAは、タイマによる計時を開始しておき(S15)、高周波検出部6からインピーダンスに関する情報、即ち負荷7側のインピーダンスを算出するためのパラメータを取得する(S16)。次いで、FPGAは、取得したパラメータを用いて負荷7側のインピーダンスを算出し(S17)、算出したインピーダンスを逐次平均化する(S18)。インピーダンスの1回の算出は、例えば100ns以下の時間内に終了する。その後、FPGAは、タイマの計時により時間T3が経過したか否かを判定し(S19)、経過していない場合(S19:NO)、ステップS16に処理を移す。この時間T3は、例えば15μsの長さである。
時間T3が経過した場合(S19:YES)、FPGAは、平均化した負荷7側のインピーダンス(より具体的には、インピーダンスを示すデータ)をCPUに向けて出力する(S20)。その後、FPGAは、初回フラグが1にセットされているか否かを判定し(S21)、1にセットされている場合(S21:YES)、即ち、最初にインピーダンスの算出及び平均化を終えた場合、FPGAは、インピーダンス更新フラグを1にセットする(S22)と共に、初回フラグを0にクリアする(S23)。
ステップS23の処理を終えた場合、又はステップS21で初回フラグが1にセットされていなかった場合(S21:NO)、FPGAは、マスク信号がオンであるか否かを判定し(S24)、依然としてオンではない場合(S24:NO)、負荷7側のインピーダンスの算出及び平均化を繰り返すために、ステップS15に処理を移す。一方、マスク信号がオンとなって再びマスクされた場合(S24:YES)、FPGAは、図6の処理を終了する。
なお、ステップS16で反射係数を算出するためのパラメータを取得し、ステップS17で負荷7側を見た反射係数を算出し、ステップS18で反射係数を平均化し、ステップS20で平均化した反射係数を出力するようにしてもよい。
図7の処理が起動された場合、CPUは、半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態を記憶部30から読み出してスイッチ状態設定部4に設定する(S31)。これにより、可変キャパシタ1のキャパシタンスが、後述するステップS41で前回算出したキャパシタンスとなるように、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が設定される。次いで、CPUは、マスク信号をオフにし(S32)、インピーダンス更新フラグが1にセットされているか否かを判定し(S33)、1にセットされていない場合(S33:NO)、1にセットされるまで待機する。
インピーダンス更新フラグが1にセットされている場合(S33:YES)、CPUは、前置算出部2から平均化されたインピーダンスを取り込み(S34)、負荷7側を見た反射係数を算出する(S35)。即ち、前置算出部2とステップS34,S35の処理とが算出部に相当する。なお、図6のステップS20で反射係数が出力される場合は、ステップS34で反射係数を取り込んでステップS35の処理に代えるものとする。この場合は、前述の第2の形態に対応しており、前置算出部2が算出部に相当する。
次いで、CPUは、整合フラグが1にセットされているか否かを判定し(S36)、1にセットされている場合(S36:YES)、ステップS35で算出した反射係数の絶対値がΓsetより大きいか否かを判定する(S37)。反射係数の絶対値がΓsetより大きい場合(S37:YES)、CPUは、反射係数に対応付けて、ステップS31で読み出した半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を記憶部30に記憶する(S38)。
その後、CPUは、記憶部30に記憶した最新のオン/オフ状態が、1つ前に記憶したオン/オフ状態から変化したか否かを判定し(S39)、変化した場合(S39:YES)、記憶部30に記憶した変化回数を1だけインクリメントする(S40)。記憶部30に記憶したオン/オフ状態が変化しない場合(S39:NO)、又はステップS40の処理を終えた場合、CPUは、変化回数が所定回数(例えば90回)より大きいか否かを判定する(S41)。
変化回数が所定回数より多くない場合(S41:NO)、CPUは、負荷7側のインピーダンスを高周波電源5の出力インピーダンスに整合させるべく、可変キャパシタ1のキャパシタンスを算出する(S42)。次いで、CPUは、可変キャパシタ1のキャパシタンスが算出したキャパシタンスとなるように、半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態を決定し、決定したオン/オフ状態を、次回のステップS31の処理のために記憶部30に記憶する(S43)。
その後、CPUは、インピーダンスの更新フラグを0にクリアし(S44)、マスク信号をオンにして(S45)図7の処理を終了する。
ステップS37で反射係数の絶対値がΓset以下である場合(S37:NO)、図8に移って、CPUは、反射係数の閾値をΓth1とし(S46)、インピーダンス整合フラグを0にクリアする(S47)と共に、タイマt10を停止する(S48)これにより、整合動作が停止する。その後、CPUは、図7のステップS44に処理を移す。
上述の変化回数が所定回数より多い場合、CPUは「不安定動作防止制御」を行う。なお、ここでは、変化回数が所定回数以下のときに、反射係数の絶対値が閾値Γset以下にならない場合について説明する。ステップS41で変化回数が所定回数より多い場合(S41:YES)、図8に移って、CPUは、記憶部30に記憶した反射係数のうち、絶対値が最小の反射係数、即ち最も0に近い反射係数を抽出する(S49)。次いで、CPUは、抽出した反射係数に対応する半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を、スイッチ状態設定部4によって実際の半導体スイッチ21,22,・・28に設定する(S50)。CPUは、更に、反射係数の閾値をΓth3とし(S51)、ステップS47に処理を移す。
ステップS36で整合フラグが1にセットされていない場合(S36:NO)、図8に移って、CPUは、ステップS35で算出した反射係数の絶対値が、ステップS46又はS51で設定した反射係数の閾値以上であるか否かを判定し(S52)、閾値以上ではない場合(S52:NO)、図7のステップS44に処理を移す。
一方、反射係数の絶対値が反射係数の閾値以上である場合(S52:YES)、CPUは、整合フラグを1にセットし(S53)、ステップS39で計数するオン/オフ状態の変化回数を0にクリアした(S54)後に、タイマt10による計時を開始させて(S55)、図7のステップS44に処理を移す。
上述の図7に示すステップS31では、半導体スイッチ21,22,・・28の各ビットが変化するか否かに関わらず、全てのビットについて半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを新たに設定したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体スイッチ21,22,・・28のうち、オンからオフに又はオフからオンに変化するビットを抽出し、抽出したビットのみについて半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを切り換えてもよい。
また、図7のステップS31では、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が変化しない整合動作の停止中にも半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを新たに設定したが、整合フラグが1にセットされていない場合に、ステップS31の処理を実行しないようにしてもよい。
次に、図9の処理が起動された場合、CPUは、タイマt10による計時を再開させる(S61)と共に、記憶部30に記憶するオン/オフ状態の変化回数を0にクリアして(S62)、図9の処理を終了する。図9の処理の終了後は、これに引き続く時間T10の間だけ、整合動作が継続される。
以上のように本実施形態1によれば、キャパシタ11及び半導体スイッチ21の直列回路と、キャパシタ12及び半導体スイッチ22の直列回路と、・・キャパシタ18及び半導体スイッチ28の直列回路とが並列に接続された可変キャパシタ1が高周波電源5と負荷7との間に設けられている。そして、高周波電源5の出力端又はインピーダンス整合装置の入力端から負荷7側を見たインピーダンスに関するパラメータを高周波検出部6から取得し(ステップS16)、取得したパラメータを用いて、現在の負荷7側のインピーダンス又は反射係数を算出する(ステップS17)。負荷7側のインピーダンスを算出した場合は、更に負荷7側の反射係数を算出する(ステップS35)。所定の時間T10内に算出した反射係数は、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態に対応付けて記憶部30に記憶する。そして、調整後の反射係数が0に近づくように可変キャパシタ1のキャパシタンスを調整すべく、半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態を決定する(ステップS43)。
このような算出、記憶及び決定を時系列的に時間T10だけ実行するまでの間に、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が変化した回数が所定回数(90回)より多くなった場合、記憶部30に記憶した反射係数のうち、絶対値が最も小さい反射係数を抽出する。そして、抽出した反射係数に対応付けられたオン/オフ状態に合わせて半導体スイッチ21,22,・・28をオン/オフした後に、オン/オフの動作を停止する。これにより、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態がばたつく場合は、負荷7側の反射係数が最小となるように、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が保持される。従って、半導体スイッチ21,22,・・28のばたつきを抑制して、負荷7との整合状態を安定化させることが可能となる。
また、実施形態1によれば、調整後の負荷7側の反射係数が0に近づくように半導体スイッチ21,22,・・28を調整した結果、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態がばたついてオン/オフを禁止した場合に、負荷7側の反射係数の絶対値を時系列的に算出し続ける、そして、新たに算出した反射係数の絶対値が、オン/オフを禁止中の半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態に対応付けられた反射係数の絶対値より大きい所定の反射係数Γth1又はΓth3以上になったときに、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフの禁止を解除する。従って、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフの禁止と解除とでヒステリシス特性を持たせることになり、半導体スイッチ21,22,・・28のばたつきの断続的な繰り返しを抑制することができる。
更に、実施形態1によれば、半導体スイッチ21,22,・・28の時間T10内のオン/オフの回数を個別に計数し、最も計数値が大きい回数が所定回数(90回)より多い場合に半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを禁止する。従って、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態のばたつきの有無を確実に判定することができる。
更に、実施形態1によれば、半導体スイッチ21,22,・・28が時間T10内にオン/オフすることによって変化する可変キャパシタ1のキャパシタンスの変化量が所定の閾値(例えばCmin)より大きい場合に、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフを禁止してもよい。これにより、可変キャパシタ1のキャパシタンスのばたつきの有無を確実に判定することができる。
(実施形態2)
実施形態1は、制御部3が負荷7側の反射係数を用いてキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定する形態であるのに対し、実施形態2は、制御部3が負荷7側のインピーダンスを用いてキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定する形態である。実施形態2に係るインピーダンス整合装置100の構成は、実施形態1の場合と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。実施形態1と実施形態2とでは、CPUの処理手順の一部に違いがある。FPGAの処理手順については、実施形態1の図6に示すものと同様である。
本実施形態2では、制御部3が、前置算出部2で算出された負荷7側のインピーダンスを取り込み、負荷7側のインピーダンスを高周波電源5の出力インピーダンスに整合させるべく、可変キャパシタ1のキャパシタ11,12,・・18の組み合わせを決定する。即ち、実施形態2は、前述の第1の形態に対応する。
実施形態1の図3で説明した整合演算によって算出される可変キャパシタ1のキャパシタンスが、可変キャパシタ1で実現可能な離散的なキャパシタンスが切り換わる境界付近にある場合は、可変キャパシタ1に含まれる半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態にばたつきが生じて整合動作が安定しないことがある。そこで、本実施形態2では、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態にばたつきが生じていた期間中の負荷7側を見たインピーダンスのうち、高周波電源5のインピーダンスに最も近い(即ち、高周波電源5のインピーダンスとの差分の絶対値が最小の)インピーダンスを抽出し、抽出したインピーダンスが達成されていたときの半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を再現して保持することとする。なお、抽出するインピーダンスは、高周波電源5のインピーダンスに最も近いインピーダンスに限定されず、高周波電源5のインピーダンスにより近いインピーダンス又は高周波電源5のインピーダンスに比較的近いインピーダンスを抽出してもよい。
実施形態1の図4で説明した場合と同様に、CPUは、時間T10内の整合動作中にインピーダンスのばたつきが生じた時の半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態をインピーダンスに対応付けて記憶部30に記憶すると共に、ばたつきの回数を計数する。時間T10内でインピーダンスのばたつきの回数が所定回数(例えば90回)より多くなった場合、CPUは、記憶したインピーダンスのうち、高周波電源5のインピーダンスに最も近いインピーダンスを抽出する。時間T10内でのインピーダンスのばたつきの回数が所定回数より多くない場合、CPUは、ばたつきの回数の計数値をクリアして、時間T10内での整合動作を繰り返す。
次いで、CPUは、抽出したインピーダンスに対応する半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を再現すべく、抽出したインピーダンスに対応付けて記憶部30に記憶されている半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を読み出し、読み出した状態をスイッチ状態設定部4に設定する。これにより、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態は、負荷7側のインピーダンスが高周波電源5のインピーダンスに最も近かった時の状態と同じに設定される。その後、CPUは整合動作を停止する。
整合動作の停止中に負荷7のインピーダンスの変動量が比較的大きくなった場合は、整合動作を再開することが好ましい。このため、整合動作の停止中であっても、負荷7側を見たインピーダンスの算出が継続される。この間に算出されたインピーダンスと高周波電源5のインピーダンスとの差分の絶対値(以下、単に差分と言う)が、前回の整合動作後に抽出されたインピーダンスと高周波電源5のインピーダンスとの差分より大きい所定の差分以上となったときに、整合動作が再開される。
以下では、上述した制御部3の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図10及び図11は、実施形態2に係るインピーダンス整合装置100でインピーダンスの整合動作を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、例えば1ms毎に起動され、制御部3のCPUにより実行される。図10及び図11のステップS71からS95までの処理は、ステップS77,S78,S86,S89~S92の処理を除いて、実施形態1の図7及び図8のステップS31からS55までの処理と同一である。但し、図7のステップS35で実行される反射計数の算出は、図10の処理に含まれない。よって、ステップS77,S78,S86,S89~S92の処理を中心に説明する。図11中のインピーダンスの閾値については、Zset>Zth1>Zth3の大小関係にあるものとする。
図10の処理が起動された場合、CPUは、半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態を記憶部30から読み出してスイッチ状態設定部4に設定する(S71)。これにより、可変キャパシタ1のキャパシタンスが、後述するステップS81で前回算出したキャパシタンスとなるように、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が設定される。次いで、CPUは、ステップS72及びS73の処理を実行し、前置算出部2から平均化されたインピーダンスを取り込んだ(S74)後に、整合フラグが1にセットされているか否かを判定する(S76)。
整合フラグが1にセットされている場合(S76:YES)、CPUは、ステップS74で取り込んだインピーダンスと50Ωとの差分がZsetより大きいか否かを判定する(S77)。インピーダンスの差分がZsetより大きい場合(S77:YES)、CPUは、インピーダンスに対応付けて、ステップS71で読み出した半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を記憶部30に記憶する(S78)。次いで、CPUは、ステップS79及びS80の処理を実行した後に、オン/オフ状態の変化回数が所定回数(例えば90回)より大きいか否かを判定する(S81)。変化回数が所定回数より多くない場合(S81:NO)、CPUは、ステップS82からS85までの処理を実行して図10の処理を終了する。
ステップS77でインピーダンスの差分がZset以下である場合(S77:NO)、図11に移って、CPUは、インピーダンスの閾値をZth1とし(S86)、ステップS87及びS88の処理を実行する。これにより、整合動作が停止する。その後、CPUは、図10のステップS84に処理を移す。
上述の変化回数が所定回数より多い場合、CPUは「不安定動作防止制御」を行う。なお、ここでは、変化回数が所定回数以下のときに、取り込んだインピーダンスと50Ωとの差分が閾値Zset以下にならない場合について説明する。ステップS81で変化回数が所定回数より多い場合(S81:YES)、図11に移って、CPUは、記憶部30に記憶したインピーダンスのうち、高周波電源5のインピーダンス(以下、50Ωとする)との差分が最小のインピーダンス、即ち高周波電源5のインピーダンスに最も近いインピーダンスを抽出する(S89)。次いで、CPUは、抽出したインピーダンスに対応する半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態を、スイッチ状態設定部4によって実際の半導体スイッチ21,22,・・28に設定する(S90)。CPUは、更に、インピーダンスの閾値をZth3とし(S91)、ステップS87に処理を移す。
ステップS76で整合フラグが1にセットされていない場合(S76:NO)、図11に移って、CPUは、ステップS74で取り込んだインピーダンスと50Ωとの差分が、ステップS86又はS91で設定したインピーダンスの閾値以上であるか否かを判定し(S92)、閾値以上ではない場合(S92:NO)、図10のステップS84に処理を移す。一方、上記の差分がインピーダンスの閾値以上である場合(S92:YES)、CPUは、ステップS93、S94及びS95の処理を実行して、図10のステップS84に処理を移す。
以上のように本実施形態2によれば、所定の時間T10内に算出したインピーダンスは、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態に対応付けて記憶部30に記憶する。そして、調整後の負荷7側のインピーダンスが高周波電源5の出力インピーダンスに近づくように可変キャパシタ1のキャパシタンスを調整すべく、各半導体スイッチ21,22,・・28がとるべきオン/オフ状態を決定する(ステップS83)。
このような算出、記憶及び決定を時系列的に時間T10だけ実行するまでの間に、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が変化した回数が所定回数(90回)より多くなった場合、記憶部30に記憶したインピーダンスのうち、高周波電源5のインピーダンスとの差分の絶対値が最も小さいインピーダンスを抽出する。そして、抽出したインピーダンスに対応付けられたオン/オフ状態に合わせて半導体スイッチ21,22,・・28をオン/オフした後に、オン/オフの動作を停止する。これにより、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態がばたつく場合は、負荷7側のインピーダンスが最も高周波電源5のインピーダンスに近づくように、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態が保持される。従って、半導体スイッチ21,22,・・28のばたつきを抑制して、負荷7との整合状態を安定化させることが可能となる。
また、実施形態2によれば、調整後の負荷7側のインピーダンスが高周波電源5のインピーダンスに近づくように半導体スイッチ21,22,・・28を調整した結果、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフ状態がばたついてオン/オフを禁止した場合に、負荷7側のインピーダンスを時系列的に算出し続ける、そして、新たに算出したインピーダンスと高周波電源5のインピーダンスとの差分の絶対値が、オン/オフを禁止中の半導体スイッチのオン/オフ状態に対応付けられたインピーダンスと高周波電源5のインピーダンスとの差分の絶対値より大きい所定の差分Zth1又はZth3以上になったときに、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフの禁止を解除する。従って、半導体スイッチ21,22,・・28のオン/オフの禁止と解除とでヒステリシス特性を持たせることになり、半導体スイッチ21,22,・・28のばたつきの断続的な繰り返しを抑制することができる。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
100 インピーダンス整合装置
101 伝送路
1 可変キャパシタ
C1 キャパシタ
L1 インダクタ
11、12、13、14、15、16、17、18 キャパシタ
21、22、23、24、25、26、27、28 半導体スイッチ
31、32、33、34、35、36、37、38 駆動回路
QH、QL トランジスタ
R 抵抗器
SC スピードアップコンデンサ
F フィルタ
FC キャパシタ
FL インダクタ
2 前置算出部
3 制御部
30 記憶部
4 スイッチ状態設定部
5 高周波電源
6 高周波検出部
7 負荷

Claims (6)

  1. 高周波電源と負荷との間に設けられ、前記高周波電源の出力端又は該出力端と同等の箇所から前記負荷側を見たインピーダンスに関する情報を時系列的に取得して、該高周波電源と負荷とのインピーダンスの整合を図るインピーダンス整合装置であって、
    キャパシタ及び半導体スイッチの直列回路が複数並列に接続された可変キャパシタと、
    取得した前記インピーダンスに関する情報を用いて前記負荷側のインピーダンス又は反射係数を算出する算出部と、
    該算出部が所定期間内に算出したインピーダンス又は反射係数と前記半導体スイッチのオン/オフの状態とを対応付けて記憶する記憶部と、
    前記所定期間内における前記算出部の算出結果を用いて、前記半導体スイッチがとるべきオン/オフの状態を決定する決定部と、
    該決定部が決定した状態に基づいて前記半導体スイッチをオン/オフする制御部と、
    前記決定部が決定した状態が変化した回数を計数する計数部と、
    該計数部が計数した回数が所定回数より多い場合、前記記憶部が記憶したインピーダンス又は反射係数のうち、所定インピーダンスにより近いインピーダンス又は0により近い反射係数を抽出する抽出部と
    を備え、
    前記制御部は、前記抽出部が抽出したインピーダンス又は反射係数に対応付けられたオン/オフの状態に一致するように前記半導体スイッチをオン/オフした後に、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止するようにしてあるインピーダンス整合装置。
  2. 前記算出部は、反射係数を算出するようにしてあり、
    前記制御部は、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止した場合、前記算出部が算出した反射係数の絶対値が、前記抽出部が抽出した反射係数の絶対値より大きい所定の反射係数以上であるときに、前記オン/オフの禁止を解除するようにしてある
    請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
  3. 前記算出部は、インピーダンスを算出するようにしてあり、
    前記制御部は、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止した場合、前記算出部が算出したインピーダンスと前記所定インピーダンスとの差分の絶対値が、前記抽出部が抽出したインピーダンスと前記所定インピーダンスとの差分の絶対値より大きい所定の差分以上であるときに、前記オン/オフの禁止を解除するようにしてある
    請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
  4. 前記計数部は、前記可変キャパシタに含まれる前記半導体スイッチの夫々について前記回数を計数し、最も計数値が大きい回数を計数結果とするようにしてある請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインピーダンス整合装置。
  5. 前記計数部は、前記制御部が前記半導体スイッチをオン/オフすることによって決定される前記可変キャパシタのキャパシタンスの変化量が所定の閾値より大きい場合に、前記回数を計数するようにしてある請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインピーダンス整合装置。
  6. 高周波電源と負荷との間に設けられる可変キャパシタによって、前記高周波電源と負荷とのインピーダンスの整合を図るインピーダンス整合方法であって、
    前記可変キャパシタは、キャパシタ及び半導体スイッチの直列回路が複数並列に接続されており、
    前記高周波電源の出力端又は該出力端と同等の箇所から前記負荷側を見たインピーダンスに関する情報を時系列的に取得し、
    取得した前記インピーダンスに関する情報を用いて前記負荷側のインピーダンス又は反射係数を算出し、
    所定期間内に算出したインピーダンス又は反射係数と前記半導体スイッチのオン/オフの状態とを対応付けて記憶し、
    前記所定期間内における算出結果を用いて、前記半導体スイッチがとるべきオン/オフの状態を決定し、
    決定した状態に基づいて前記半導体スイッチをオン/オフし、
    決定した状態が変化した回数を計数し、
    計数した回数が所定回数より多い場合、記憶したインピーダンス又は反射係数のうち、所定インピーダンスにより近いインピーダンス又は0により近い反射係数を抽出し、
    抽出したインピーダンス又は反射係数に対応付けられたオン/オフの状態に一致するように前記半導体スイッチをオン/オフした後に、前記半導体スイッチのオン/オフを禁止するインピーダンス整合方法。
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