JP7105142B2 - シロアリ毒餌剤とその製造方法 - Google Patents
シロアリ毒餌剤とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7105142B2 JP7105142B2 JP2018156330A JP2018156330A JP7105142B2 JP 7105142 B2 JP7105142 B2 JP 7105142B2 JP 2018156330 A JP2018156330 A JP 2018156330A JP 2018156330 A JP2018156330 A JP 2018156330A JP 7105142 B2 JP7105142 B2 JP 7105142B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- termite
- poison bait
- termites
- active ingredient
- eating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Catching Or Destruction (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Description
実用化されているシロアリ駆除法としては、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物等の殺虫活性成分を含有する製剤を、シロアリで被害を受けた箇所やシロアリが家屋に侵入する箇所等に散布する方法がある(例えば、特許文献1等)。しかしながら、この方法ではシロアリの巣ごと壊滅させることは難しい。一方、シロアリの巣ごと壊滅させるシロアリ駆除法として、殺虫活性成分を混入した毒餌剤(ベイト剤)をシロアリに摂食させて、シロアリ駆除を行うベイト工法が採用されている(例えば、特許文献2等)。このベイト工法は、限定的に薬剤を使用するので環境を汚染しないという長所がある反面、シロアリの巣を壊滅するのに数ヶ月という長期間を要するという欠点があった。
そこで本発明は、シロアリ喫食性に優れたシロアリ毒餌剤とその製造方法を提供することを目的としている。
1.ベンゾイルフェニルウレア化合物を有効成分として含有する、シロアリ毒餌用の印刷塗工植物繊維体。
2.1.に記載の印刷塗工植物繊維体からなることを特徴とする、シロアリ毒餌剤。
3.ベンゾイルフェニルウレア化合物と、20℃における蒸気圧が20kPa以下の有機溶剤とを混合し、ベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を得る第1工程と、前記ベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を、植物繊維に印刷塗工する第2工程を含むことを特徴とする、2.記載のシロアリ毒餌剤の製造方法。
しかも、本発明のシロアリ毒餌剤の製造方法においてベンゾイルフェニルウレア化合物を特定の有機溶剤に溶解した溶液は、特定の有機溶剤が蒸散しにくく、ベンゾイルフェニルウレア化合物の濃縮が長期間抑制されるという特徴を有するものであり、この点も、ベンゾイルフェニルウレア化合物を均一に植物繊維に塗付するために大きく貢献するものである。
本発明におけるシロアリ毒餌剤の有効成分は、ベンゾイルフェニルウレア化合物である。本発明において、このベンゾイルフェニルウレア化合物とは、下記化学構造を有する化合物群を意味する。
第1工程は、ベンゾイルフェニルウレア化合物と、20℃における蒸気圧が20kPa以下の有機溶剤とを混合し、ベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を得る工程である。溶液を得るための撹拌方法は限定されない。必要に応じて、使用する有機溶剤の沸点以下の温度まで加温してもよいが、室温において結晶が析出することのない安定な溶液であることが好ましい。有機溶剤の使用量は、ベンゾイルフェニルウレア化合物1重量部に対して、1重量部以上1000重量部以下の範囲であればよく、5重量部以上500重量部以下の範囲が好ましく、5重量部以上200重量部以下の範囲がより好ましい。
第2工程は、第1工程により得られたベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を、植物繊維に印刷塗工する工程である。この第2工程により得られた印刷塗工植物繊維体は、印刷塗工時またはその後において、第1工程において使用された有機溶剤は蒸散してしまう。そのため、本発明の印刷塗工植物繊維体は、20℃における蒸気圧が20kPa以下の有機溶剤を含有せず、ベンゾイルフェニルウレア化合物のみを含有する状態となる。
本発明の印刷塗工植物繊維体は、そのまま若しくは多孔状構造体等の担体構造体として、シロアリ毒餌剤とすることができる。
本発明のシロアリ毒餌剤の使用量は、シロアリを防除しようとする設置場所の面積1m2あたりのベンゾイルフェニルウレア化合物量で、通常0.001~20gが好ましい。
なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
処方例および試験例の調製に際し、使用した有効成分と有機溶剤の詳細は以下のとおりである。
ヘキサフルムロン:林純薬工業社製
ビストリフルロン:AdipoGen社製
フィプロニル:東京化成工業社製
クロルフェナピル:林純薬工業社製
酢酸n-ブチル:蒸気圧(20℃)1.2kPa:和光純薬工業社製
酢酸エチル:蒸気圧(20℃)10.0kPa:和光純薬工業社製
アセトン :蒸気圧(20℃)24.7kPa:和光純薬工業社製
有効成分による、シロアリ喫食性の違いについて確認試験を行った。
(1)試験検体の調製
実施例1
ヘキサフルムロン1重量部および酢酸n-ブチルを使用して全体量を100重量部とし、各成分を混合しマグネチックスターラーにて組成が均一となるように撹拌して試験検体(ヘキサフルムロンの酢酸n-ブチル溶液)を調製した。
実施例2~4、比較例1~4は、下記表1に示した配合で、実施例1と同様にしてそれぞれの試験検体を得た。
試験検体(実施例1~4、比較例1~4)600mgを、晒クラフト紙100mm×100mm(厚さ0.07mm)に印刷塗工して風乾した。それぞれを20mm×20mmにカットし、下記シロアリ喫食性確認試験1に使用した。
なお、本実施例における印刷塗工は、実機による印刷塗工と同様の均一塗工が得られる、簡易印刷の手法を採用した。具体的には、ペンキローラーを利用し、塗りムラなく均一に塗工し風乾した。
直径90mmのプラスチック製シャーレーの中央に、有効成分を塗工した20mm×20mmの紙片を置き、ヤマトシロアリ150頭を放ち、1週間後の喫食率を確認した。喫食率は、試験前後の喫食重量を確認し、減少率を喫食率とした。試験は3回行い、喫食率はその平均値を使用した。
上記試験検体の組成とそれぞれの喫食率を表1に示した。
詳しくは、ベンゾイルフェニルウレア化合物の1つであるヘキサフルムロンとビストリフルロンを印刷塗工した植物繊維体(実施例1~4)は、シロアリ喫食率が52~67%、すなわち試験検体の半分以上が喫食されるという、極めて優れた喫食性を示すことが明らかとなった。
一方、実施例1、2の有効成分をベンゾイルフェニルウレア化合物とは異なる、フィプロニルやクロルフェナピルを印刷塗工した植物繊維体(比較例1~4)は、シロアリは全く喫食しないことが確認された。フィプロニルとクロルフェナピルは、ヘキサフルムロン等のベンゾイルフェニルウレア化合物と同様に、シロアリ毒餌剤の有効成分として公知である。表1に示すフィプロニルとクロルフェナピルの喫食率が著しく低い理由については不明であるが、室温で液体のヘキサフルムロンに対し、室温で固体のフィプロニル(融点:203℃)やクロルフェナピル(融点:100℃)は、印刷塗工後に再結晶化していることも想定でき、その他、蒸気圧や臭気等の物性の相違により、シロアリが喫食を忌避した可能性が考えられる。
有効成分の塗付方法の違いによる、シロアリ喫食性の違いについて確認試験を行った。
(1)試験検体の調製
比較例5
「シロアリ喫食性確認試験1」の実施例1と同様の、比較例5の試験検体を得た。比較例6は、有効成分としてビストリフルロンを使用して、上記実施例1と同様にして試験検体を得た。
試験検体(比較例5、6)600mgを、晒クラフト紙100mm×100mm(厚さ0.07mm)にポンプスプレーにより噴霧塗付して風乾した。それぞれを20mm×20mmにカットし、下記シロアリ喫食性確認試験2に使用した。実施例1、3は、「シロアリ喫食性確認試験1」で調製した植物繊維体を使用した。
上記「シロアリ喫食性確認試験1」と同じ方法により、シロアリ喫食性確認試験を3回行い、喫食率はその平均値を使用した。
上記試験検体の組成とそれぞれの喫食率を表2、3に示した。
詳しくは、ヘキサフルムロン、ビストリフルロンともに、酢酸n-ブチルに溶解し印刷塗工した植物繊維体(実施例1、3)は、噴霧塗付した植物繊維体(比較例5、6)に比べて、約1.5倍以上の喫食率の向上が確認された。
これは、噴霧塗付に比べ印刷塗工することにより、有効成分であるヘキサフルムロンやビストリフルロンを均一に植物繊維(紙)に塗付できたことに起因する結果であると考えられる。
(1)試験検体の調製
実施例5
ヘキサフルムロン5重量部および酢酸n-ブチルを使用して全体量を100重量部とし、各成分を混合し撹拌機にて組成が均一となるように撹拌して試験検体(ヘキサフルムロンの酢酸n-ブチル溶液)を調製した。
比較例7
ヘキサフルムロン5重量部およびアセトンを使用して全体量を100重量部とし、各成分を混合し撹拌機にて組成が均一となるように撹拌して試験検体(ヘキサフルムロンのアセトン溶液)を調製した。
実施例5と比較例7の試験検体をそれぞれ、グラビア印刷機の溶液タンク40cm×40cm×高さ15cm(開放)に16L投入し、時間経過によるヘキサフルムロンの濃縮程度を確認した。濃縮程度の確認は、それぞれ経過時間ごとにサンプリングした溶液中のヘキサフルムロン量をHPLCにて定量し、溶液中のヘキサフルムロン濃度を調べることで対初期濃縮率を求めた。
本発明は、20℃における蒸気圧が20kPa以下の有機溶剤を使用することにより、印刷機による印刷塗工前後における有機溶剤の蒸散を最低限に抑制することができるため、植物繊維にベンゾイルフェニルウレア化合物を均一に印刷塗工することができ、それによりシロアリ喫食性を向上させる効果が得られるものである。
Claims (3)
- ベンゾイルフェニルウレア化合物を有効成分として含有する、前記ベンゾイルフェニルウレア化合物が均一に植物繊維体に塗付されたシロアリ毒餌用の印刷塗工植物繊維体(ただし、印刷塗工部は、電磁波により硬化する樹脂を含有しない。)。
- 請求項1に記載の印刷塗工植物繊維体からなることを特徴とする、シロアリ毒餌剤。
- ベンゾイルフェニルウレア化合物と、20℃における蒸気圧が20kPa以下の有機溶剤とを混合し、ベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を得る第1工程と、前記ベンゾイルフェニルウレア化合物溶液を、植物繊維に印刷塗工する第2工程を含むことを特徴とする、請求項2記載のシロアリ毒餌剤の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017162202 | 2017-08-25 | ||
JP2017162202 | 2017-08-25 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019038800A JP2019038800A (ja) | 2019-03-14 |
JP7105142B2 true JP7105142B2 (ja) | 2022-07-22 |
Family
ID=65726811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018156330A Active JP7105142B2 (ja) | 2017-08-25 | 2018-08-23 | シロアリ毒餌剤とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7105142B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003252710A (ja) | 2002-02-27 | 2003-09-10 | Shinto Fine Co Ltd | シロアリ用食毒剤 |
JP2004123669A (ja) | 2002-10-07 | 2004-04-22 | Yuukou Yakuhin Kogyo Kk | シロアリ駆除用毒餌剤 |
JP2009209087A (ja) | 2008-03-04 | 2009-09-17 | Sumika Enviro-Science Co Ltd | シロアリ防除装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58101802U (ja) * | 1981-12-29 | 1983-07-11 | ア−ス製薬株式会社 | 防虫材 |
JPH02174703A (ja) * | 1989-11-10 | 1990-07-06 | Earth Chem Corp Ltd | 徐放性害虫用殺虫・忌避材 |
-
2018
- 2018-08-23 JP JP2018156330A patent/JP7105142B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003252710A (ja) | 2002-02-27 | 2003-09-10 | Shinto Fine Co Ltd | シロアリ用食毒剤 |
JP2004123669A (ja) | 2002-10-07 | 2004-04-22 | Yuukou Yakuhin Kogyo Kk | シロアリ駆除用毒餌剤 |
JP2009209087A (ja) | 2008-03-04 | 2009-09-17 | Sumika Enviro-Science Co Ltd | シロアリ防除装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019038800A (ja) | 2019-03-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2750735B2 (ja) | イエシロアリ及び/又はヤマトシロアリの捕虫検知及び防除方法並びにこの方法で使用する道標べ組成物 | |
JP2008534684A (ja) | 安定な農薬濃縮物及び最終用途乳剤 | |
JP4599692B2 (ja) | 殺虫エアゾール組成物及び害虫駆除方法 | |
JP7105142B2 (ja) | シロアリ毒餌剤とその製造方法 | |
JP2849826B2 (ja) | 害虫防除用組成物 | |
CN112292034B (zh) | 杀虫剂组合物 | |
AU2016227020B2 (en) | Water-based insecticidal composition to be vaporized and diffused by being heated, and method for vaporizing and diffusing said composition by heating | |
JP7152613B2 (ja) | ゴキブリ類駆除用エアゾール、及びゴキブリ類駆除方法 | |
JP2001002503A (ja) | 防虫パテ及びシーリング材 | |
JP4677672B2 (ja) | 殺虫組成物 | |
JPH0436206A (ja) | 白アリ防除剤 | |
JPH0551442B2 (ja) | ||
JPH10226602A (ja) | 殺虫線香及びその製造方法並びにその噴霧処理組成物 | |
JP2000186007A (ja) | 殺虫組成物及び殺虫性エアゾール剤 | |
EP2154972B1 (en) | Sustained release insecticidal compositions | |
JP2004307431A (ja) | 忌避剤 | |
JP2024055965A (ja) | アリ行動阻害剤 | |
JP5669303B2 (ja) | 木質建材の防虫方法 | |
JP5688557B2 (ja) | 木質建材の防虫方法 | |
JPS63174908A (ja) | 白アリ防除剤及びこれを用いた木材の防虫方法 | |
JPH0847903A (ja) | 木材保存処理用組成物 | |
KR101123728B1 (ko) | 유해 해충알을 박멸하기 위한 방충제 조성물 | |
JP2004210740A (ja) | 殺虫・忌避剤 | |
JPH06114808A (ja) | 木質フレキシブルボード | |
JPH0822809B2 (ja) | 防蟻剤及び木材防虫剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210423 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220322 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20220516 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20220527 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220527 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220614 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220711 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7105142 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |