JP7104867B1 - 捺染用水性インクジェットインク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】コットン及びポリエステルの布帛等に印刷しても、より優れた白色度、裏抜け防止性、密着性、更に高度な耐洗濯性を発揮できる、適切な粘度、表面張力及び固化性を有する捺染用水性インクジェットインク組成物を得ること。【解決手段】下記のA~Eを含有する捺染用水性インクジェットインク組成物。A.顔料B1.沸点が280℃以上の溶剤B2.沸点が200℃以下の溶剤として、捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~6.0質量%のグリコールエーテル、及び、2価アルコールここで、上記溶剤B1と、上記溶剤B2の質量比B1/B2は、0.3~3.0C.ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂D.界面活性剤E.捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~5.0質量%含有するブロックイソシアネート架橋剤【選択図】なし

Description

本発明は、捺染用水性インクジェットインク組成物に関する。
特許文献1に記載のように、前処理された基材に印刷するための、白色顔料、カチオン性化合物と反応性を有する水分散性ウレタン樹脂、架橋剤、水100gへの溶解量が1~60gのグリコールエーテルを含む水溶性有機溶剤及び水を含む捺染用白色インクジェットインク組成物は公知である。
特許文献2に記載のように、2種類の結着剤のエマルジョンを含有させた水性白色インクにより、布地に印刷を行うことは公知である。
特許文献3に記載のように、特定のインク組成物がアルカリ性であり、固定化組成物が酸性であるインクセットであって、染料により染色された基体上に印刷を行うためのものであり、該染料の移動を抑制したり、洗濯堅牢度に優れたりする効果を発揮できることは公知である。
特許文献4に記載のように、特定のウレタン樹脂、界面活性剤及び特定の有機溶媒を含有するインク組成物で布帛に印刷を行うことにより、耐洗濯性や耐摩擦性に優れることは公知である。
特開2019-35057号公報 特開2017-179263号公報 特開2020-506264号公報 国際公開2020/080122号公報
特許文献1によれば、コットンに対する捺染用インク組成物としての一定の効果を発揮するものの、ポリエステルに対しても効果を発揮できるかどうかまでは不明であった。
特許文献2~4によれば、布生地への印刷にある程度の洗濯堅牢性を有する印刷を行えるがコットンやポリエステル両方に対して、同様の効果を得ることまでは考慮していない。
そこで、本発明は、ポリエステルの布帛等に印刷しても、より優れた画像濃度、更に高度な耐洗濯性を発揮できる、適切な吐出性を有する捺染用水性インクジェットインク組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、下記の捺染用水性インクジェットインク組成物とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、以下の本発明とするに至った。
1.下記のA~Eを含有する捺染用水性インクジェットインク組成物。
A.顔料
B1.沸点が280℃以上の溶剤
B2.沸点が200℃以下の溶剤として、捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~6.0質量%のグリコールエーテル、及び、2価アルコール
ここで、上記溶剤B1と、上記溶剤B2の質量比B1/B2は、0.3~3.0
C.ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂
D.界面活性剤
E.捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~5.0質量%含有するブロックイソシアネート架橋剤
2.前記溶剤B1としてグリセリンを含有し、前記溶剤B2の2価のアルコールとしてプロピレングリコール、及び/又は、前記溶剤B2のグリコールエーテルとしてジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する1に記載の捺染用水性インクジェットインク組成物。
3.ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂がポリエステル系ポリウレタン樹脂である1又は2に記載の捺染用水性インクジェットインク組成物。
4.前処理液と、1~3のいずれかの捺染用水性インクジェットインク組成物とを有するインクセット。
5.前処理液と、1~3のいずれかに記載の捺染用水性インクジェットインク組成物が互いに液体状態で接するインクジェット印刷方法。
本発明によれば、適切な吐出性を備え、十分な画像濃度を有し、洗濯堅牢度に優れた捺染を行える捺染用水性インクジェットインク組成物を得ることができる。
本発明は、以下の事項を基礎とする発明であり、この捺染用水性インクジェットインク組成物は、繊維製品への捺染に使用される。
本発明は、以下のとおりである。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
また、本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物を、単に「インク組成物」と記載するときもある。
<インク組成物>
[A.顔料]
本発明中のインク組成物は、各色相の顔料を含有させて各色のインク組成物とする。
このような顔料としては、捺染用のインク組成物で従来から使用されている顔料を特に制限なく使用できる。
有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、顔料の具体例としては以下のものが挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.PigmentYellow1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられ、好ましくは、C.I.PigmentYellow14、17、150、155、180、213等が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.PigmentRed5 、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.PigmentViolet19等が挙げられ、好ましくは、C.I.PigmentRed122、202、PigmentViolet19等が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.PigmentBlue1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等で、好ましくは、C.I.PigmentBlue15:3、15:4等が挙げられる。
ブラックインク組成物として使用するためのブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black7)等が挙げられる。
ホワイトインク組成物として使用するためのホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、好ましくは、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理された酸化チタンが挙げられる。
インク組成物における顔料の含有量は、インク組成物の総質量に対して1.0~20.0質量%であることが好ましい。顔料の含有量が1.0質量%未満では、得られる画像の品質が低下する傾向がある。一方、20.0質量%を超えると、インク組成物の粘度特性に悪影響を与える傾向がある。
また、顔料の粒子の表面は樹脂で被覆されていても良く、被覆されていなくても良い。更に樹脂で被覆されたときの樹脂はアルカリ可溶性でもよく、そうでなくても良い。
(顔料分散剤)
本発明中のインク組成物は、必要に応じて顔料分散剤を含有していてもよい。
顔料分散剤は、顔料の分散性、本発明のインク組成物の保存安定性を向上させるために使用するもので、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。このような顔料分散剤としては、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、脂肪酸アミン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤等が挙げられる。これら顔料分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。
高分子分散剤の酸価は、分散性の向上のために100mgKOH/g以上が好ましく、150mgKOH/g以上がより好ましく、200mgKOH/g以上が更に好ましい。
中でも、酸変性ポリアクリレート系分散剤が好ましく、スチレンとアルキルアクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体がより好ましく、スチレンとラウリルアクリレートとアクリル酸の共重合体が更に好ましい。
上記顔料分散剤は、使用する全顔料の量を100質量部としたときに、1~200質量部含有することが好ましい。顔料分散剤の含有量が1質量部未満では、顔料分散、本発明のインク組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、200質量部を超えて含有させることもできるが効果に差がでない場合もある。顔料分散剤の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は60質量部である。
[B1.沸点が280℃以上の溶剤]
沸点が280℃以上の溶剤としては、グリセリン、トリエチレングリコール、安息香酸ベンジル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。そして、中でも、グリセリンを選択することが好ましい。
インク組成物全量中の沸点が280℃以上の溶剤のインク組成物全量中の含有量としては、インク組成物に相溶することが前提として、2.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、4.0質量%以上が更に好ましく、5.0質量%以上が最も好ましい。また、20.0質量%以下が好ましく、17.0質量%以下がより好ましく、14.0質量%以下が更に好ましい。
[B2.沸点が200℃以下の特定の溶剤]
本発明は、沸点が200℃以下の溶剤の中でも、捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~6.0質量%のグリコールエーテル、及び、2価アルコールを使用する。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールt-ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールの(モノ又はジ)アルキルエーテルが挙げられる。
また、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等のジアルキレングリコールの(モノ又はジ)アルキルエーテルが挙げられる。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール等が挙げられる。
沸点が200℃以下のグリコールエーテル及び2価アルコールの合計の、インク組成物全量中の含有量としては、それぞれの溶剤がインク組成物に相溶することが前提として、8.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、11.0質量%以上が更に好ましい。また20.0質量%以下が好ましく、18.0質量%以下がより好ましく、16.0質量%以下が更に好ましい。
その中で、沸点が200℃以下のグリコールエーテルの、インク組成物全量中の含有量としては、0.1~6.0質量%である。そして、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましく、2.0質量%以上が最も好ましい。また5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましい。沸点が200℃以下のグリコールエーテルを含有しないか、含有量が0.1質量%未満であると洗濯堅牢度が悪化する。また6.0質量%を超えると吐出安定性に劣ることになる。
また、沸点が200℃以下の2価アルコールの、インク組成物全量中の含有量としては、1.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上が更に好ましく、7.0質量%以上が最も好ましい。また20.0質量%以下が好ましく、17.0質量%以下がより好ましく、14.0質量%以下が更に好ましく、11.0質量%以下が最も好ましい。この沸点が200℃以下のグリコールエーテル及び2価アルコールを含有させることにより、洗濯堅牢度を向上させることができる。
更に、上記溶剤B1と、上記溶剤B2の質量比B1/B2は0.3~3.0であり、中でも0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上が更に好ましい。また2.5以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.3以下が更に好ましい。この質量比B1/B2が0.3より小さいとインクジェットインク組成物としての吐出性に劣り、逆に3.0より大きい場合には洗濯堅牢度が低下する。
(その他の溶媒)
本発明においては、本発明による効果を毀損しない範囲において、下記のその他の溶媒を含有させても良いが、含有させなくても良い。
沸点が200℃を超え280℃未満のグリコールエーテル及び2価アルコールとしては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル等のグリコールエーテルが挙げられる。
また、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール等が挙げられる。
沸点が280℃未満のグリコールエーテル、及び、2価アルコール以外の溶剤としては、1価アルコール、グリコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等から選択して挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記1価アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノニルアルコール、n-デカノール、又はこれらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
グリコールのアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
エーテル類としては、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
窒素含有化合物類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチル-エタノールアミン、N-メチル-ジエタノールアミン、n-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
[C.ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂]
本発明において使用できるポリウレタン樹脂系水分散性樹脂として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエ-テル系ポリウレタン樹脂、ポリエ-テルエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。中でもポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ここで使用されるポリウレタン樹脂としては、アニオン性ポリウレタン樹脂が好ましく、ポリイソシアネート化合物と、ポリエステル系、ポリラクトン系、ポリカーボネート系及びポリエーテル/ポリカーボネート系のうち1種以上であるポリオール化合物及びポリアミン化合物との反応物であり、中でもアニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
さらに、本発明の用途には、100%モジュラス(DIN53504に基づき測定)が0.5~10.0MPaであることが好ましい。
そして、具体的なポリエステル系ポリウレタン樹脂として、「スーパーフレックス210」(アニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂)、「スーパーフレックス300」(アニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂)、「スーパーフレックス500M」(ノニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂)(以上、第一工業製薬社)、「インプラニールDLP1380」(アニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂)、「インプラニールDLN-W50」(ポリウレタン樹脂)、「インプラニールDLU」(ポリウレタン樹脂)、「インプラニールDLP-R」(スルホン酸基含有ポリエステル系ポリウレタン樹脂、「バイボンドPU407」(アニオン性ポリエステル系ポリウレタン樹脂)(以上、住化コベストロウレタン社)等が挙げられる。
(その他の樹脂)
本発明による効果を毀損しない範囲において、本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物には、上記ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂ではないその他の樹脂を含有できる。
例えば、インク組成物を得るために、予め、上記顔料を含有する樹脂ワニスとする際に、アルカリ性水性溶剤に可溶なアルカリ可溶性樹脂を使用することができる。そのようなアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基(-P(=O)(OH))等のアニオン性基の1種又は2種以上を含有する樹脂が好ましい。
更に前記アルカリ可溶性樹脂は、主に顔料との吸着性を向上させるための疎水性部分として、例えば、長鎖アルキル基、脂環族、芳香族の環状炭化水素基等の疎水性基を有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂を配合することにより、印刷部分のインク組成物が滲むことを防止できる。
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、水性媒体への溶解性を高める観点から、100mgKOH/g以上が好ましく、140mgKOH/g以上がより好ましい。また、前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましい。なお、前記酸価は、アルカリ可溶性樹脂を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性を向上させる観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、印刷物の風合いを向上させる観点から、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂の場合、下記のWoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・+Wx/Tgx
[式中、Tg1~Tgxはアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1~Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、Woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である。]
前記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系共重合体樹脂以外の場合、熱分析により求めた実測ガラス転移温度である。熱分析の方法としては、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じ、一例として、パーキンエルマー社製Pyris1 DSCを用いて、昇温速度20℃/分、窒素ガス流速20ミリリットル/分の条件下でガラス転移温度を測定することができる。
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、印刷物の耐水性を向上させる観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、水性媒体への溶解性を高める観点から、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、縮重合反応によって得られるポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。この様なアルカリ可溶性樹脂を合成するための材料については、例えば、特開2000-94825号公報に開示されており、該公報に記載されている材料を使用して得られるアクリル系共重合樹脂、マレイン酸系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が利用可能である。更には、これら以外のその他の材料を用いて得られた樹脂も利用可能である。前記アルカリ可溶性樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記顔料分散剤であって、かつアルカリ可溶性である樹脂を使用することもできる。
本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物にアルカリ可溶性樹脂を含有させる場合の、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物全体に対して、アルカリ可溶性樹脂の固形分として0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。特に白色ではないカラーインクの場合、アルカリ可溶性樹脂を0.4質量%以上含有させることにより、捺染物の滲みをさらに防止できる。
前記アクリル系共重合樹脂としては、例えば、アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体の混合物を通常のラジカル発生剤(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等)の存在下、溶媒中で重合して得られるものが使用できる。
前記アニオン性基含有単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性基を有する単量体が挙げられ、これらの中でも、カルボキシル基を有する単量体が特に好ましい。
前記カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、無水フマル酸、マレイン酸ハーフエステル等が挙げられる。また、前記スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スルホエチルメタクリレート等が挙げられる。また、前記ホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、ホスホノエチルメタクリレート等が挙げられる。
前記アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、顔料との吸着性を向上させる観点から、疎水性基含有単量体を含むことが好ましい。
この疎水性基含有単量体としては、例えば、長鎖アルキル基を有する単量体として、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸の炭素数が8以上のアルキルエステル類(例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等)、炭素数が8以上のアルキルビニルエーテル類(例えば、ドデシルビニルエーテル等)、炭素数が8以上の脂肪酸のビニルエステル類(例えば、ビニル2-エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート等);脂環族炭化水素基を有する単量体として、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等;芳香族炭化水素基を有する単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等が挙げられる。前記疎水性基含有単量は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記アニオン性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、水性媒体中でアルカリ可溶性樹脂の凝集を抑制する観点から、親水性基含有単量体を含むことができる。
この親水性基含有単量体としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する単量体として、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸とのエステル化物や、(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性不飽和カルボン酸へのエチレンオキシド付加物及び/又はプロピレンオキシド付加
物等;塩基性基含有単量体として、例えば、1-ビニル-2-ピロリドン、1-ビニル-3-ピロリドン等のビニルピロリドン類、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等のビニルピリジン類、1-ビニルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール等のビニルイミダゾール類、3-ビニルピペリジン、N-メチル-3-ビニルピペリジン等のビニルビペリジン類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸第3ブチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシ(メタ)アクリルアミド、N-エトキシ(メタ)アクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の含窒素誘導体類等;水酸基を有する単量体として、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類等;エポキシ基を有する単量体として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記親水性基含有単量体は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記疎水性基含有単量体、及び親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数が8未満のアルキルエステル類等が挙げられる。前記疎水性基含有単量体、及び親水性基含有単量体以外の共重合可能な他の単量体は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記アルカリ可溶性樹脂は、当該樹脂を適度に架橋して、顔料の凝集を抑制させる観点から、2官能以上の架橋剤を使用してもよい。
前記2官能以上の架橋剤は、アルカリ可溶性樹脂が有する官能基と反応するために、分子内に2つ以上の反応性官能基を有するものであればよい。当該反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、アジリジン基等が挙げられる。前記2官能以上の架橋剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[D.界面活性剤]
含有する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤及び/又は両性界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びア
セチレン系界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上があげられる。
シリコーン系界面活性剤としては、シルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A(以上、日信化学工業社)であり、好ましくはポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
更に、BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-330、BYK-333、BYK-347、BYK-377、BYK-3455であり、更に、BYK-3456(以上、ビックケミー・ジャパン社)等のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、F-410、F-444、F-553(以上、DIC社製)、FS-65、FS-34、FS-35、FS-31、FS-30(以上、デュポン社製)などがあげられる。
アセチレン系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG-50、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465(以上、EVONIK社)、ダイノール607、ダイノール609、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020、オルフィンPD-001、オルフィンPD-002W、オルフィンPD-004、オルフィンPD-005、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4200、オルフィンEXP.4123、オルフィンEXP.4300(以上、日信化学工業社)等の商品名で市販されているものから選ばれる1種又は2種以上があげられる。中でも、ポリオキシエチレン付加のアセチレングリコールエーテルのものが好ましい。
両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン系界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド系界面活性剤等が挙げられる。
更に具体的には、アンヒトール20AB、アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール55AB、アンヒトール86B、アンヒトール20Y-B、アンヒトール20N(以上、花王社)等が挙げられる。
このような界面活性剤の中で、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及び両性界面活性剤をいずれも含有させることが好ましい。
インク組成物中の界面活性剤の含有量の合計は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。また2.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下が更に好ましい。
[E.架橋剤]
本発明のインク組成物に架橋剤を含有させることにより、洗濯堅牢度を向上させることができる。中でも、優れた固化性及び洗濯堅牢度の点からみて、ブロックイソシアネート架橋剤を捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~5.0質量%含有する。
ブロックイソシアネート架橋剤は、ポリイソシアネート化合物における活性なイソシアネート基をフェノールなどのブロック剤とあらかじめ反応させて不活性化したものである。ブロックイソシアネートはその状態では架橋反応を行うことができず、化学的に安定であるが、熱処理などによってイソシアネート基に結合したブロック基を解離させて活性なイソシアネート基が形成されると、架橋反応が可能な状態となる。
ブロックイソシアネート架橋剤のポリイソシアネート部分を構成する化合物としては、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物が好ましく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、トリイソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリスビウレット変性体等のヘキサメチレンジイソシアネートの変性物がより好ましい。
そのようなポリイソシアネート部分を構成する化合物としては、1分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物が挙げられ、例えばジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物、ペンタイソシアネート化合物、ヘキサイソシアネート化合物など種々のポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。本発明におけるブロックイソシアネートを構成するポリイソシアネート化合物は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。インク組成物の硬化を更に円滑に進める観点から、本発明におけるブロックイソシアネートを構成するポリイソシアネート化合物はトリイソシアネート化合物を含有することが好ましい。
ブロックイソシアネート架橋剤に係るブロック剤は特に限定されない。前述のフェノールのほか、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、2-ヒドロキシピリジン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、カルバゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾール等を用いてもよい。本発明におけるブロックイソシアネート化合物を構成するブロック剤は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。また、ブロック剤とポリイソシアネート化合物との組み合わせも特に限定されず、その組み合わせが複数あって本発明におけるブロックイソシアネート架橋剤が複数種類の化合物から構成されていてもよい。
ブロックイソシアネート架橋剤は熱分解型であることが好ましい。熱分解型である場合には、ブロック剤の種類やブロックされるポリイソシアネート化合物の種類などにより、ブロック剤の脱離反応、すなわち脱ブロック反応が顕著となる温度(以下「脱ブロック温度」とする。)を調節することができる。この脱ブロック温度の具体的な温度は特に限定されないが、その温度が例えば70~130℃である場合には、その脱ブロック温度を有するブロックイソシアネート化合物を含む捺染用水性インクジェットインク組成物は、架橋前における架橋点密度が低い又は実質的にゼロである。しかしながら、架橋反応を進行させて架橋構造を形成することにより、架橋密度を高くすることができる。
本発明のインク組成物全量に対する、架橋剤の含有割合は、0.1~5.0質量%である。中でも、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。また4.5質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましい。0.1質量%未満であると洗濯堅牢度が低下する可能性があり、5.0質量%を超えると吐出性が低下する可能性がある。
(他の架橋剤)
本発明による効果を毀損しない範囲において、その他の架橋剤を併用できる。そのような架橋剤として、例えば、オキサゾリン基含有水溶性アクリル樹脂等を採用できる。
(その他の成分)
本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物は、その他の成分として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、保存性向上剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤等の各種添加剤を含有してもよい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等である。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等である。
(消泡剤)
消泡剤は、シリコーン系消泡剤、プルロニック(登録商標)系消泡剤等である。
(インク組成物の調製方法)
<インク組成物の調製方法>
インク組成物を調製(製造)する方法としては、特に限定されず、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、混合すればよい。例えば、(1)必要に応じて前記塩基性化合物の存在下にアルカリ可溶性樹脂を水に溶解した水性樹脂ワニス、顔料、さらに必要に応じて顔料分散剤等を混合した後、各種分散機、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等を利用して顔料分散液(インクベース)を調製し、さらに残りの材料を添加して、インク組成物を調製する方法や、(2)上記の方法で顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させた樹脂被覆顔料を得、次いで得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速撹拌装置等)を用いて水に再分散し、さらに残りの材料を添加して、インク組成物を調製する方法等が挙げられる。
前記インク組成物は、製造後の初期粘度が2.0~25.0mPa・s、好ましくは5.0~20.0mPa・sの範囲である。粘度は、例えば、E型粘度計(商品名「RE100L型粘度計」、東機産業社製)により測定できる。
<前処理液>
本発明における前処理液は、本発明中の捺染用水性インクジェットインク組成物からなる印刷層が、被印刷物上に確実に定着するために、印刷層の形成前に、予め被印刷物状に前処理層を形成させるためのものである。
前処理液は、酸成分及び/又はその塩、pH調整剤としての塩基性物質を含有する水溶液であることを基本とする。
(酸)
酸としては、有機酸、無機酸、及びそれらのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を使用できる。以下場合により、これらの酸とその塩をまとめて「酸化合物」という場合がある。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、乳酸等のカルボン酸が好ましく、中でも1気圧下で沸点120℃以下のギ酸、酢酸等の有機酸が好ましい。この沸点120℃以下の有機酸としては、ギ酸(1気圧下で沸点100.8℃)、及び/又は酢酸(1気圧下で沸点118℃)を使用できる。更に、ギ酸や酢酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩やカルシウム塩、アンモニウム塩等の塩も使用できる。
このような酸化合物の前処理液中の含有量は、2.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上が更に好ましい。また10.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、7.0質量%以下が更に好ましい。
酸化合物の含有量が過少であると、その上に印刷したインク組成物の発色が不十分となる可能性がある。また、過剰に含有させると酸性が強くなり過ぎたり、印刷後に遊離の有機酸が蒸発して印字や画像中の遊離の酸が消滅するまでに時間を要する可能性がある。また特に有機酸の沸点が120℃以下であると、印刷後に遊離の有機酸が蒸発して印字や画像中の遊離の酸が消滅するまでの時間を短縮できる効果を期待できる。
(界面活性剤)
前処理液に界面活性剤を含有しても良く、含有しなくても良い。含有できる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。中でもアセチレン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有量は、例えば、前処理液全体に対して、0~1.0質量%、好ましくは0.01~1.0質量%、より好ましくは0.1~0.7質量%である。
ノニオン系界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びアセチレン系界面活性剤から選ばれる。そしてこれらの界面活性剤としては、上記のインク組成物に配合できる界面活性剤を独立して使用できる。
(溶媒)
本発明中の前処理液は溶媒として、水のみ、又は水と水溶性有機溶媒の混合溶媒を採用できる。
この水溶性有機溶媒としては、例えば、上記に記載のインク組成物に使用できる、モノアルコール類、3価アルコール、2価アルコール、4価以上の多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。そして、上記インク組成物にて使用する水溶性有機溶媒と同じであっても良く、異なっていても良い。
上記水溶性有機溶媒の含有量としては、極力少なくすることが好ましく、配合しないこともできる。
溶媒を配合する際の含有量は、前処理液中0~10.0質量%が好ましく、更に好ましくは0~5.0質量%である。10.0質量%を超えるときには乾燥不良や耐ブロッキング性が低下する。
(pH調整剤)
本発明中の前処理液には、pH調整剤を含有しても良く、含有しなくても良い。
pH調整剤としては下記の塩基性の水溶性多価金属塩でも良く、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を採用できる。中でも有機の塩基性物質が好ましく、更にアンモニアが好ましい。
pH調整剤を配合する際の含有量は、前処理液中0~10.0質量%が好ましく、0~5.0質量%がより好ましく、0~3.0質量%が更に好ましく、0~1.0が最も好ましい。
上記pH調整剤である塩基性の水溶性多価金属塩としては、20℃における水100mLに対する溶解度が1g/100mL以上、好ましくは2g/100mL以上、より好ましくは20g/100mL以上である、多価金属の有機酸又は無機酸の塩(但し、その有機酸は沸点が120℃を超えるものである。
水溶性多価金属塩は、多価金属を含む複塩であってもよく、水和物であってもよい。
多価金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、銅、鉄、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上があげられる。
水溶性多価金属塩を構成するための有機酸としては、例えば、RCOOH(式中、Rは、炭素数1~30の有機基)で表される脂肪酸の1種又は2種以上があげられる。このような有機酸として、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、安息香酸、アスコルビン酸等があげられる。
無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩化水素(塩酸)、臭化水素、ヨウ化水素、塩素酸、臭素酸、炭酸、リン酸等から選ばれる1種又は2種以上があげられる。
有機酸の多価金属塩である水溶性多価金属塩としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸マグネシウム、ギ酸亜鉛、ギ酸カルシウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸銅(II)、ギ酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸亜鉛、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウム、乳酸鉄(II)、乳酸銅、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、クエン酸亜鉛、クエン酸銅、及びこれらの水和物から選ばれる1種又は2種以上があげられる。
また、無機酸の多価金属塩である水溶性多価金属塩としては、例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化鉄、塩化銅(II)、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン(II)、臭化亜鉛、臭化カルシウム、臭化ストロンチウム、臭化鉄(II)、臭化銅(II)、臭化マグネシウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、硝酸アルミニウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸鉄(III)、硝酸銅(II)、硝酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムカリウム、リン酸二水素カルシウム、炭酸水素カルシウム、及びこれらの水和物から選ばれる1種又は2種以上があげられる。
(その他の成分)
更に捺染用水性インクジェットインク組成物と同様に、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、保存性向上剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、保湿剤等を含有できる。
(前処理液の調製方法)
本発明における前処理液を調製する方法は特に限定されない。上記の各成分を順番に、あるいは同時に添加して、混合撹拌すればよい。
[インクセット]
本発明のインクセットは上記の前処理液と、上記のインク組成物の任意の組み合わせからなる。インクセット中の、前処理液とインク組成物の組み合わせには特に制限はなく、インク組成物の色等に関しても、色の種類や量等を任意に決定できる。
[被印刷物]
本発明のインク組成物により処理される被印刷物は、捺染用インク組成物により印刷され捺染されることが周知の各種紙類、繊維製品である。繊維製品としては、布帛、布地や衣類等が挙げられる。
繊維製品の繊維の種類は特に限定されず、ポリエステル、セルロース、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂及び天然繊維からなる群より選択される繊維、又はこれらの混紡繊維が挙げられる。ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする繊維が挙げられる。セルロース繊維としては、綿、木綿、麻、レーヨン、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維等が挙げられる。ポリアミド繊維としては、ナイロン繊維等が挙げられる。その他、天然繊維としては、絹、羊毛等が挙げられる。
本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物による印刷方法
本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物による印刷方法は、前処理液とインク組成物が互いに液体状態で接するようにインクジェット印刷を行う方法を挙げることができる。この液体状態で接するようにとは、被印刷物表面に前処理液を塗布した後に、その塗布面の前処理液が乾燥していない状態、つまり液体状態で存在している間に、インクジェット印刷装置により捺染用水性インクジェットインク組成物で印刷を行う、ウェットオンウェットでの印刷を行うことである。
そして、基材への吐出(画像の印字)は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用プリンターの低粘度対応のプリンタヘッドに供給し、基材に対して塗膜の膜厚が、例えば、1~60μmとなるように該インク組成物をプリンタヘッドから吐出することにより行うことができる。本発明のインク組成物を印字するインクジェット記録方式用プリンター装置としては、従来から使用されているインクジェット記録方式用プリンター装置を利用できる。
本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物を印字、硬化する方法として、具体的には、被印刷物表面に着弾した本発明のインク組成物の塗膜を加熱し硬化させる方法が挙げられる。
加熱硬化に使用する装置としては、加熱硬化型インク組成物を硬化させるための公知の装置を採用できる。熱源としては、赤外線、電熱線、アイロン等の直接基材に接触して加熱をする装置や、赤外線ランプや電熱線からの放射による、基材に非接触の加熱源を使用する装置を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。また、表中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。
下記表1には捺染用水性インクジェットインク組成物の配合例を記載し、表2には実施例及び比較例の評価結果を記載した。
[前処理液の調製]
(前処理液A)
水94.8部にギ酸を5.0部、サーフィノール440(アセチレンジオール系界面活性剤、HLB=8、EVONIK社)0.2部を加えて撹拌し、前処理液Aを得た。
(前処理液B)
水94.8部にギ酸カルシウムを5.0部、サーフィノール440(アセチレンジオール系界面活性剤、HLB=8、EVONIK社)0.2部を加えて撹拌し、前処理液Bを得た。
[インク組成物の調製]
(水性アクリル樹脂ワニス)
重量平均分子量30,000、酸価220mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム3.5部と水71.5部との混合溶液に溶解させて、固形分25%のアルカリ可溶性樹脂溶液である水性アクリル樹脂ワニスを得た。
(顔料)
酸化チタン(商品名「タイペークCR-90」、アルミナシリカ処理、平均一次粒子径0.25μm、吸油量21ml/100g、石原産業社)
青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
黄色顔料(C.I.ピグメントイエロー14)
赤色顔料(C.I.ピグメントレッド122)
黒色顔料(C.I.ピグメントブラック7)
(水性白色インクベースの調製)
上記水性アクリル樹脂ワニス36部に水19部を加え混合し、更に酸化チタン45部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性白色インクベースを得た。
(水性青色インクベースの調製)
上記水性アクリル樹脂ワニス16部に水64部を加え混合し、更に青色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性青色インクベースを得た。
(水性黄色インクベースの調製)
上記水性アクリル樹脂ワニス16部に水64部を加え混合し、更に黄色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性黄色インクベースを得た。
(水性赤色インクベースの調製)
上記水性アクリル樹脂ワニス16部に水64部を加え混合し、更に赤色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性赤色インクベースを得た。
(水性黒色インクベースの調製)
上記水性アクリル樹脂ワニス16部に水64部を加え混合し、更に黒色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性黒色インクベースを得た。
(インク組成物)
下記表1にて使用したインク組成物の成分は以下のとおり
水性アクリル樹脂ワニス(上記各色インクベースの調製にて使用した水性アクリル樹脂ワニスと同じワニス(固形分25%))
Impranil DLP-R:スルホン酸変性ポリエステルポリウレタン樹脂エマルジョン、固形分含量50%、100%モジュラス0.9MPa、住化コベストロウレタン社
Impranil DLN-W50:アニオン性ポリエステルポリウレタン樹脂エマルジョン、固形分含量50%、100%モジュラス1.7MPa、住化コベストロウレタン社
Impranil DLU:アニオン性ポリエーテル/ポリカーボネートポリウレタン樹脂エマルジョン、固形分含量60%、100%モジュラス2.0MPa、住化コベストロウレタン社
モビニール966A:スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、固形分45%、ジャパンコーティングレジン社
Bayhydul BL2867:水酸基含有ブロックイソシアネート系架橋剤、固形分含量38%、コベストロ社
エポクロスWS-700:カルボキシル基含有オキサゾリン系架橋剤、固形分含量25%、日本触媒社
カルボジライドV-02:ポリカルボジイミド樹脂、固形分含量40%、日清紡ケミカル社
E1010:Olfine-E1010:ポリオキシエチレン(10)アセチレニック・グリコールエーテル、日信化学社
(白インク組成物の印刷)
ポリエステル100%及び綿100%の黒色布帛に、前処理液A又はBを800g/mとなるように塗布し、印刷媒体を得た。この前記印刷媒体に対して、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターと、インク組成物1~12、17~25のインクジェット捺染用インク組成物を用いてベタ画像を印字し、その後コンベアオーブンを用いて110℃の温度で12分間加熱して各白色インク組成物による実施例1~13及び比較例1~9の捺染物を得た。
(色インク組成物の印刷)
ポリエステル100%及び綿100%の黒色布帛に、前処理液Aを800g/mとなるように塗布し、印刷媒体を得た。この前期印刷媒体に対して、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターと、インク組成物1のインクジェット捺染用白インク組成物を用いて印字したベタ画像上に、インク組成物13~16のインクジェット捺染用カラーインク組成物のベタ画像を印字し、その後コンベアオーブンを用いて110℃の温度で12分間加熱して、各カラーインク組成物による実施例14~17の捺染物を得た。
また、ポリエステル100%(ポリエステル白)及び綿100%(コットン白)の白色布帛に、前処理液Aを800g/mとなるように塗布し、印刷媒体を得た。この前記印刷媒体に対して、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターと、インク組成物13~20のインクジェット捺染用カラーインク組成物を用いてベタ画像を印字し、その後コンベアオーブンを用いて110℃の温度で12分間加熱して、各カラーインク組成物による実施例18~25の捺染物を得た。
[評価方法]
(インクジェット吐出性の評価)
上記プリンターと実施例1~17及び比較例1~9の捺染用水性インクジェットインク組成物を使用して連続印刷を行い、吐出安定性を以下の基準で評価した。
◎:連続1時間以上の実印刷動作で、全ノズルで吐出不良が見られない。
〇:連続1時間以上の実印刷動作で、吐出不良となるノズルが存在する。
△:連続15分以上かつ1時間未満の実印刷動作で、吐出不可能となるノズルが存在する。
×:連続1時間未満の実印刷動作で、全てのノズルが吐出不可能となる。
(白色インク捺染物の画像濃度)
実施例1~13及び比較例1~9の捺染物の明度(L*)を、分光測色計(製品名X-Rite eXact(エックスライト社))を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:L*が90以上
○:L*が80以上90未満
△:L*が60以上80未満
×:L*が60未満
(カラーインク捺染物の画像濃度)
実施例14~17の捺染物の光学濃度(OD)を、分光測色計(製品名X-Rite eXact(エックスライト社))を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:ODが1.0以上
○:ODが0.8以上1.0未満
△:ODが0.6以上0.8未満
×:ODが0.6未満
(洗濯堅牢度)
実施例1~17及び比較例1~9のポリエステルとコットンそれぞれの捺染物を、家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯→脱水→乾燥)を10回実施した。各捺染物の洗濯前と洗濯後における明度(L*)又は光学濃度(OD)の変化率を分光測色計(製品名 X-Rite eXact(エックスライト社))を用いて測定し、洗濯前の明度(L*)又は光学濃度(OD)の初期値からの変化率を測定し、以下の基準で評価した。
◎:洗濯後において画像濃度が初期値の90%以上を保つもの
○:洗濯後において画像濃度が初期値の80%以上90%未満のもの
△:洗濯後において画像濃度が初期値の70%以上80%未満のもの
×:洗濯後において画像濃度が初期値の70%未満のもの
(滲み)
実施例18~25の捺染物について、印字部と非印字部の境界部分について目視にて確認し、以下の基準で評価した。
〇:滲みが見られない
△:若干滲みが見られる
×:滲みが大きく、画像を形成できない
Figure 0007104867000001

Figure 0007104867000002

Figure 0007104867000003
Figure 0007104867000004
Figure 0007104867000005

Figure 0007104867000006

Figure 0007104867000007

Figure 0007104867000008
本発明に沿った白色インク組成物及び色インク組成物を使用した、実施例1~17によれば、本発明の捺染用水性インクジェットインク組成物を、適切な前処理液と共に使用することで、吐出性、及びポリエステルとコットンに捺染したときの画像濃度と洗濯堅牢度に優れていた。
特に実施例1と実施例2は前処理液が異なる他は同じ実施例である。ギ酸を用いても、ギ酸カルシウムを用いても同様の効果を発揮できた。
これに対して、水分散性樹脂としてスチレン-アクリル系樹脂エマルジョンを採用した比較例1によれば、ポリエステルとコットンに対して、特に洗濯堅牢度が不十分であった。ブロックイソシアネート架橋剤を使用しない比較例2によれば、特にコットンに対する洗濯堅牢度が不十分であった。そしてブロックイソシアネート架橋剤を過剰に含有する(15質量%×38質量%=5.7質量%)比較例3によると吐出性が悪化した。また架橋剤としてブロックイソシアネートでないものを採用した比較例4及び5によると、ポリエステルとコットンに対して、特に洗濯堅牢度が不十分であった。
そして溶剤B2として2価アルコールを含有せずB1/B2の値が大きすぎる比較例6によると、ポリエステルとコットンに対して、特に洗濯堅牢度が不十分であった。B1/B2の値が小さすぎる比較例7によれば、吐出性が不十分であった。溶剤B2としてグリコールエーテルを含有しなかった比較例8によれば、ポリエステルとコットンに対して、特に洗濯堅牢度が不十分であった。溶剤B2中のグリコールエーテルの含有量が多すぎた比較例9によれば、吐出性が不十分であった。
なお、実施例18~25として、インク組成物13~20を使用した例を示す。いずれも吐出性は優れていた。しかし、水性アクリル樹脂ワニスを含有しない実施例18~21よりも、水性アクリル樹脂ワニスを含有した実施例22~25によれば、ポリエステル白とコットン白に対して滲みが見られず優れていた。

Claims (5)

  1. 下記のA~Eを含有する捺染用水性インクジェットインク組成物。
    A.顔料
    B1.沸点が280℃以上の溶剤
    B2.沸点が200℃以下の溶剤として、捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~6.0質量%のグリコールエーテル、及び、2価アルコール
    ここで、上記溶剤B1と、上記溶剤B2の質量比B1/B2は、0.3~3.0
    C.ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂
    D.界面活性剤
    E.捺染用水性インクジェットインク組成物全量に対して0.1~5.0質量%含有するブロックイソシアネート架橋剤
  2. 前記溶剤B1としてグリセリンを含有し、前記溶剤B2の2価のアルコールとしてプロピレングリコール、及び/又は、前記溶剤B2のグリコールエーテルとしてジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する請求項1に記載の捺染用水性インクジェットインク組成物。
  3. ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂がポリエステル系ポリウレタン樹脂である請求項1又は2に記載の捺染用水性インクジェットインク組成物。
  4. 前処理液と、請求項1~3のいずれか1項の捺染用水性インクジェットインク組成物とを有するインクセット。
  5. 前処理液と、請求項1~3のいずれか1項に記載の捺染用水性インクジェットインク組成物が互いに液体状態で接するインクジェット印刷方法。
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