本開示の詳細な説明
本開示は、CNP変異体を用いて骨関節炎、骨関節炎の1つまたは複数の症候、および骨関節炎が関連する症候または成分を有する他の障害を処置する方法に関する。
A.定義
特に明記されない限り、明細書および特許請求の範囲を含む本出願において用いられる以下の用語は、以下で与えられる定義を有する。
用語「約」または「おおよそ」は、当技術分野の当業者によって判定された特定の値についての許容可能な誤差を意味する。これは、部分的に、値がどのように測定または判定されたかによって決まる。特定の態様において、用語「約」または「おおよそ」は、1、2、3、または、4標準偏差以内であることを意味する。特定の態様において、用語「約」または「おおよそ」は、所定の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内であることを意味する。用語「約」または「おおよそ」は、一連の2つ以上の数値における第1の数値に先行する場合はいつでも、その一連の数値のそれぞれに当てはまることが理解される。
標準的な化学用語の定義が、Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry, 3rd Edition, Vols. A and B (Plenum Press, New York 1992)を含む参考資料中に見出され得る。本開示の実行には、特に明記されない限り、当技術分野における範囲内の、合成有機化学、質量分析、分取分析クロマトグラフィ、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬学の特定の従来方法が使用されてよい。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993);A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., 4th Edition, 2004);Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania:Mack Publishing Company, 1990)参照。
前掲されるか以下にあるかに拘らず、本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、ペプチド結合またはペプチド結合イソスターを介して連結された、アミノ酸残基、その関連の、天然に存在する構造変異体および天然に存在しない合成類似体で構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動化ポリペプチド合成装置を用いて合成することができる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、産物の最小の長さに限定されない。
ポリペプチド配列を表現するのに、従来の表記が本明細書において用いられる:ポリペプチド配列の左端は、アミノ末端である;ポリペプチド配列の右端は、カルボキシル末端である。
「保存的置換」は、ポリペプチド中のアミノ酸の、機能的に、構造的に、または化学的に類似した天然のアミノ酸または非天然のアミノ酸との置換を指す。一態様において、以下の群はそれぞれ、互いとの置換が保存的である天然のアミノ酸を含有する:
(1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
別の態様において、以下の群はそれぞれ、互いとの置換が保存的である天然のアミノ酸を含有する:
(1)グリシン(G)、アラニン(A);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、アラニン(A);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);および
(7)セリン(S)、トレオニン(T)、システイン(C)。
更なる態様において、アミノ酸は、以下に記載されるようにグループ化されてもよい。
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)骨格の配向性に影響する残基:Gly、Pro;および
(6)芳香性:Trp、Tyr、Phe、His。
一態様において、本方法に有用な、本明細書中に記載されるCNP変異体は、CNP変異体をコードするポリヌクレオチドを用いて、組換え手段を介して生成される。そのようなポリヌクレオチドによって発現されるCNP変異体は、CNP変異体をコードするポリヌクレオチドの発現に適した条件下で、培地中で宿主細胞を増殖させることと、発現産物を宿主細胞または培地から単離することとを含む方法によって生成され得る。実際の発現産物は、翻訳後の任意のプロセシングに応じて、コードされたタンパク質産物から僅かに変化し得る。
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド単位で構成されるポリマーを指す。ポリヌクレオチドとして、天然に存在する生体ポリマー(分子型に関してであり、必ずしも生体ポリマー配列に関してではない)、例えばデオキシリボ核酸(「DNA」)およびリボ核酸(「RNA」)、ならびに核酸類似体が挙げられる。「cDNA」は、mRNAに相補的な、またはこれと同一の、一本鎖の形態または二本鎖の形態のDNAを指す。
「発現制御配列」は、これに機能的に連結されたヌクレオチド配列の発現を調節するヌクレオチド配列を指す。「機能的に連結された」は、一方の部分の活性(例えば、転写を調節する能力)が、他方の部分への作用(例えば、配列の転写)をもたらす、2つの部分間の機能的関係を指す。発現制御配列として、例えば、限定されないが、プロモーター(例えば、誘導可能プロモーターまたは構成プロモーター)、3’UTR、エンハンサ、転写ターミネータ、開始コドン(すなわちATG)、イントロンについてのスプライシングシグナル、および終止コドンの配列が挙げられ得る。
「組換えポリヌクレオチド」は、天然では結合されない配列を有するポリヌクレオチドを指す。増幅され、またはアセンブルされた組換えポリヌクレオチドが、適切なベクター中に含まれてよく、そしてベクターが、適切な宿主細胞を形質転換するのに用いられ得る。組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と呼ばれる。遺伝子はその後、例えば「組換えポリペプチド」を生成するために、組換え宿主細胞中で発現される。組換えポリヌクレオチドは、同様に、非コーディング機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位等)を果たし得る。
本明細書において用いられる「キメラ」は、少なくとも2つの異種起源のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列(すなわち、異なるソースに由来するか、または、天然に存在する配列として互いに関連しない)を含むポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指し、これらは、当技術分野において一般的に公知の技術、例えば、組換え発現または化学架橋を用いて、直接的に、または間接的に取り付けられ、または連結される。一態様において、異種起源の配列は、CNP変異体に直接的に、または間接的に連結されるタンパク質またはペプチドを含んでよく、CNP変異体から切断可能であるタンパク質またはペプチドを含む。関連する態様において、CNP変異体は、本明細書中に記載されるようなキメラである。
特定の態様において、キメラとして、切断可能なキャリアタンパク質またはペプチドタグを含むCNP融合タンパク質が挙げられる。用語「切断可能なキャリアタンパク質」または「切断可能なペプチドタグ」は、異種起源のポリペプチド配列に直接的に、またはリンカーを介して間接的に融合され得、そして異種起源のポリペプチドまたはタンパク質から切断可能なペプチドまたはポリペプチドを切断または分離する剤を用いて、異種起源の配列から取外し可能であるペプチド配列またはポリペプチド配列を指す。一部の態様において、切断可能なキャリアタンパク質またはペプチドタグは、融合タンパク質または異種起源のポリペプチドの生成、精製、および/または検出を向上させる。例示的な切断可能なキャリアタンパク質およびペプチドタグとして、以下に限定されないが、ヒト転写因子TAF12(TAF12)、ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)、マルトース結合タンパク質(MBP)、β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、キチン-結合ドメイン(CBD)、BMP-2突然変異(BMPM)、SUMO、CAT、TrpE、ブドウ球菌プロテインA、連鎖球菌タンパク質、デンプン結合タンパク質、エンドグルカナーゼAのセルロース結合ドメイン、エキソグルカナーゼCexのセルロース結合ドメイン、ビオチン結合ドメイン、recA、FLAG(登録商標)、c-Myc、ポリ(His)、ポリ(Arg)、ポリ(Asp)、ポリ(Gln)、ポリ(Phe)、ポリ(Cys)、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体エピトープ、およびそれらのフラグメントが挙げられる。
「可動域」が意味するのは、関節の完全な移動可能性、典型的には屈曲および/または伸展の範囲である。可動域は典型的に、ゴニオメータを用いて測定されて、弧度で示される。当業者に公知の任意の測定方法が、対象の関節の可動域を測定するのに用いられ得る。関節の可動域を測定する1つの実例となる方法が、例えば、Norkin, C.C. and White D.J., Measurement of joint motion: a guide to goniometry (F.A. Davis Company, 2nd ed. Philadelphia) (1995)によって提供される。
「関節硬直」が意味するのは、関節を動かす困難さの感覚、または関節の可動域の明らかな損失である。
「切断剤」は、例えば、異種起源のポリペプチドまたはタンパク質から切断可能なペプチドまたはポリペプチドを切断または分離するのに有用な剤である。切断剤として、以下に限定されないが、パラジウム、臭化シアン(CNBr)、ギ酸、ヒドロキシルアミン、クロストリパイン、トロンビン、キモトリプシン、トリプシン、トリプシン様プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)、Kex2プロテアーゼ、Omp Tプロテアーゼ、因子Xaプロテアーゼ、サブチリシン、proTEV、SUMOプロテアーゼ、V8プロテアーゼ、HIVプロテアーゼ、ライノウィルスプロテアーゼ、フリリシンプロテアーゼ、IgAプロテアーゼ、ヒトPaceプロテアーゼ、コラゲナーゼ、Niaプロテアーゼ、ポリオウィルス2Aproプロテアーゼ、ポリオウィルス3Cプロテアーゼ、ゲネナーゼ、フーリン、エラスターゼ、プロテイナーゼK、ペプシン、レンニン(キモシン)、微生物アスパラギン酸プロテアーゼ、パパイン、カルパイン、キモパパイン、フィシン(フィカイン)、ブロメライン(ブロメラーゼ)、カテプシンB、カスパーゼ、サーモリシン、エンドプロテアーゼArg-C、エンドプロテアーゼGlu-C、エンドプロテアーゼLys-C、カリクレイン、およびプラスミンが挙げられる。
2つ以上のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の文脈における用語「同一の」およびパーセント「同一性」は、対応が最大となるように比較かつアラインされた場合に、同じである、または特定のパーセンテージのヌクレオチドもしくはアミノ酸残基が同じである、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。
2つの核酸またはポリペプチドの文脈におけるフレーズ「実質的に相同の」または「実質的に同一の」は概して、包括的にアラインされた場合に、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性が少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%である2つ以上の配列またはサブ配列を指す。
比較用の配列の包括的アラインメントが、EMBOSS Needleプログラム(例えば、ウェブインターフェイスを介してEMBL-EBIによって実行される)を用いて、デフォルトパラメータ(タンパク質について:マトリックス=BLOSUM62、ギャップオープン=10、ギャップイクステンド=0.5、アウトプットフォーマット=ペア、エンドギャップペナルティ=フォールス、エンドギャップオープン=10、エンドギャップイクステンド=0.5;ヌクレオチドについて、マトリックス=DNAフル、ギャップオープン=10、ギャップイクステンド=0.5、アウトプットフォーマット=ペア、エンドギャップペナルティ=フォールス、エンドギャップオープン=10、エンドギャップイクステンド=0.5)を用いて行われる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に相同または同一であるという更なる指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。ゆえに、ポリペプチドは典型的に、例えば、2つのポリペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合には、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるという別の指標は、本明細書中に記載されるように、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
「実質的に純粋な」または「単離された」は、対象種が、存在する主たる種である(すなわち、モルベースで、組成物中の任意の他の個々の高分子種よりも豊富である)こと、そして実質的に精製された画分が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベース)を対象種が構成する組成物であることを意味する。種々の態様において、対象となる種は、モルベースまたは重量ベースで、組成物中に存在する高分子種の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%を構成する。混入(contaminant)高分子種が従来の検出方法によって組成物中に検出され得ないならば、対象種は「本質的な均一性」となるまで精製されている。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、安定化剤(例えばBSA)、および元素イオン種は、この定義の目的で考慮される高分子種ではない。一態様において、本開示の化合物は、実質的に純粋であり、または単離されている。別の態様において、本開示の化合物は、その生産に用いられる高分子出発材料に対して、実質的に純粋であり、または単離されている。さらに別の態様において、本開示の薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、キャリア、または希釈剤と、そして任意で別の生物学的に活性な剤と混合された、実質的に純粋な、または単離されたCNP変異体を含む。
「野生型」(wt)は、種におけるポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはタンパク質の天然の形態(配列を含む)を指す用語である。野生型形態は、遺伝的突然変異から生じるポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはタンパク質の突然変異形態から区別される。
一態様において、第2のポリペプチドの「類似体」または「変異体」または「誘導体」である第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドとの配列同一性が少なくとも約50%、60%、または70%であるが、配列同一性が100%未満であるポリペプチドである。そのような類似体、変異体、または誘導体は、限定されないが、ホモアルギニン、オルニチン、ペニシラミン、およびノルバリンを含む、天然に存在しないアミノ酸残基、ならびに天然に存在するアミノ酸残基で構成されてよい。そのような類似体、変異体、または誘導体は、1つまたは複数のD-アミノ酸残基で構成されてもよく、そしてまた、ペプチド模倣体またはペプチド結合イソスター、例えば2つ以上のアミノ酸残基間またはペプチド模倣残基間の非ペプチド結合を含有してもよい。別の態様において、第1のポリペプチドが、第2のポリペプチドの公知の切断産物でないならば、または第2のポリペプチドの公知の前駆体でないならば、たとえ第1のポリペプチドが、第2のポリペプチドに対する配列同一性が100%であり、または野生型配列を有するとしても、第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドの「類似体」、「変異体」、または「誘導体」である。
一態様において、本明細書において用いられる用語「に由来する」は、野生型の、または天然に存在するポリペプチド配列またはペプチド配列に基づき、かつ1つまたは複数の欠失、付加、および/または天然のアミノ酸、天然でないアミノ酸、もしくはペプチド模倣体との置換を有し得るポリペプチドまたはペプチド配列を指す。一態様において、派生的な配列は、野生型の、または天然に存在する配列に対して、少なくとも約40%、50%、60%、または70%、かつ100%未満の配列同一性を共有する。別の態様において、誘導体は、ポリペプチドのフラグメントであってよく、フラグメントは、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、または40のアミノ酸長に対して、野生型ポリペプチドと実質的に同一(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一)である。さらに別の態様において、ポリペプチドが、野生型ポリペプチドに存在しない部分(例えば、PEG等のポリマー)に直接的に、または間接的に取り付けられているならば、たとえ双方のポリペプチドが、アミノ酸配列において100%の同一性を共有するとしても、ポリペプチドは野生型ポリペプチド「に由来する」。
ナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)ポリペプチドは、単鎖126アミノ酸プレ-プロポリペプチドであり、そして以下で記載されるように、プロセシング後に最終的に野生型CNP-22(wtCNP-22)が生じる。NPPCからのシグナルペプチドの除去によりプロCNPが生じ、そしてさらにエンドプロテアーゼフーリンによって切断されて、活性53アミノ酸ペプチド(CNP-53)が生じて、これがここでも分泌かつ切断されて、成熟した22アミノ酸ペプチド(CNPまたはCNP-22)が生成される。一態様において、「CNP変異体」は、同じ数のアミノ酸残基に対して、野生型NPPCと少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一である。
用語「有効量」は、対象の健康状態、病理、または疾患に所望の結果をもたらすのに十分な、または診断目的に十分な投薬量を意味する。所望の結果は、投薬量のレシピエントにおける主観的または客観的な向上を含み得る。「治療的有効量」は、健康に対して意図される有益な効果をもたらすのに有効な剤の量を指す。任意の特定の患者にとっての投薬量の特定の用量レベルおよび頻度は、変化してよく、そして、使用される具体的な化合物の活性;その化合物の生体利用性、代謝安定性、排泄速度、および作用の長さ;化合物の投与のモードおよび時間;患者の年齢、体重、健康状態、性別、および食事;ならびに特定の症状の重篤度を含む種々の要因によって決まると考えられることが理解されよう。
「処置」は、予防的処置または治療的処置または診断的処置を指す。特定の態様において、「処置」は、治療目的、予防目的、または診断目的での、化合物または組成物の、対象への投与を指す。
「予防的」処置は、病理を進行させるリスクを低下させる目的で、疾患の徴候を示さない対象、または疾患の初期の徴候しか示さない対象に施される処置である。本開示の化合物または組成物は、病理を進行させる見込みを減少させるための、または進行したならば、病理の重篤度を最小にするための予防的処置として、与えられてよい。
「治療的」処置は、病理の徴候または症候を示す対象に、この徴候または症候を減弱させ、または除外する目的で施される処置である。徴候または症候は、生化学的であっても、細胞性であっても、組織学的であっても、機能的であっても、身体的であっても、主観的であっても、または客観的であってもよい。本開示の化合物は、治療的処置として、または診断のために与えられてもよい。
「診断」は、病状の存在、程度、および/または性質を同定することを意味する。診断方法は、その特異性および選択性の点で異なる。特定の診断方法は、症状の決定的診断を下し得ないが、当該方法が診断を補助する陽性指標を提供するならば、十分である。診断処置は、対象の診断を補助するために、本開示の化合物を投与することとなる。
「軟骨関連バイオマーカー」または「軟骨関連マーカー」は、増殖因子、酵素、タンパク質、核酸、または他の検出可能な生物学的物質もしくは生物学的部分を指し、これらのレベルは、例えば、軟骨代謝、軟骨形成、および/または軟骨成長に関連して増減する。そのようなバイオマーカーは、本明細書中に記載されるCNP変異体の投与の前、その間、かつ/またはその後に測定されてよい。例示的な軟骨関連バイオマーカーとして、以下に限定されないが、CNP、cGMP、コラーゲンII型のプロペプチドおよびそのフラグメント、コラーゲンII型およびそのフラグメント、コラーゲンI型のプロペプチドおよびそのフラグメント、コラーゲンI型およびそのフラグメント、増殖細胞核抗原(PCNA)、コンドロイチン硫酸アグリカン、シンデカン-3、ならびにアネキシンVIが挙げられる。軟骨関連バイオマーカーは、以下に限定されないが、組織、血液、血清、血漿、髄液、滑液、および尿を含むいずれかの適切な生体サンプル中で測定され得る。一部の態様において、バイオマーカーは、有効性/薬力学的インビボ試験を経験した動物由来の、そして/またはエクスビボ試験の馴化培地由来の血液、血漿、または血清中で測定される。
特定の態様において、少なくとも1つの軟骨関連バイオマーカーのレベルが測定され、そして対象に投与されるCNP変異体の投与の量または頻度が、測定されたバイオマーカーのレベルに従って調整され得る。一部の態様において、バイオマーカーのレベルは、「標的レベル未満」、または「標的レベル超」である。バイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体を受け入れた対象において治療的効果が観察されるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲である。特定の態様において、骨関節炎を患う対象についてのバイオマーカーの標的レベルは、正常な、非罹患対象において観察されるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲である。種々の態様において、治療的効果を示すために、バイオマーカーの標的レベルは、正常な対象において観察されるバイオマーカーのレベルまたはレベルの範囲に等しい必要はないが、例えば、非罹患対象において観察されるバイオマーカーの「正常な」レベルまたはレベルの範囲の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%以内であってよい。
例えば、バイオマーカーのレベルが、軟骨の形成または成長に関連して増大するならば、治療的効果を示すバイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体を投与されなかった、骨関節炎に苦しむ患者におけるバイオマーカーのレベルよりも高くなり得、そして任意で、当該障害に苦しんでいない対象におけるバイオマーカーの「正常な」レベルよりも低くなり得、約「正常な」レベルとなり得、または「正常な」レベルを超え得る。一態様において、バイオマーカーのレベルが標的レベル未満であるならば、これは不十分な治療的効果を示し、投与されるCNP変異体の投与の量または頻度の増大が必要とされてよい。関連する態様において、バイオマーカーが標的レベルを上回るならば、これは、必要とするよりも多くのCNP変異体が投与されたことを示し、投与されるCNP変異体の投与の量または頻度の減少が必要とされてよい。
別の例として、バイオマーカーのレベルが、軟骨の形成または成長に関連して減少するならば、治療的効果を示すバイオマーカーの標的レベルは、CNP変異体を投与されなかった、骨関節炎に苦しむ患者におけるバイオマーカーのレベルよりも低くなり得、そして任意で、当該障害に苦しんでいない対象におけるバイオマーカーの「正常な」レベルよりも高くなり得、約「正常な」レベルとなり得、または「正常な」レベルを下回り得る。そのような場合、CNP変異体の投与の量および頻度の、先の調整の逆が当てはめられてよい。
「薬学的組成物」は、ヒトおよび哺乳類を含む対象動物での薬学的用途に適した組成物を指す。薬学的組成物は、治療的有効量のCNP変異体、任意で別の生物学的に活性な剤、および任意で薬学的に許容される賦形剤、キャリア、または希釈剤を含む。一態様において、薬学的組成物は、活性成分を含む組成物、およびキャリアを構成する不活性成分、ならびに当該成分の任意の2つ以上の組合せ、複合体形成、もしくは凝集に直接的に、もしくは間接的に起因し、または当該成分の1つもしくは複数の分離に起因し、または当該成分の1つもしくは複数の他のタイプの反応もしくは相互作用に起因する任意の産物を包含する。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物と、薬学的に許容される賦形剤、キャリア、または希釈剤とを混合することによって製造される任意の組成物を包含する。
「薬学的に許容されるキャリア」は、標準的な薬学的キャリア、バッファー等、例えばリン酸緩衝生理食塩水溶液、5%デキストロース水溶液、およびエマルジョン(例えば、油/水エマルジョンまたは水/油エマルジョン)のいずれかを指す。賦形剤の非限定的な例として、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、滑走剤、甘味剤、香味剤、および着色剤が挙げられる。適切な薬学的キャリア、賦形剤、および希釈剤が、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Ed. (Mack Publishing Co., Easton, 1995)に記載されている。好ましい薬学的キャリアは、活性剤の意図される投与モードによって決まる。典型的な投与モードとして、経腸(例えば経口)または非経口(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、もしくは腹膜内注射;または局所投与、経皮投与、もしくは経粘膜投与)が挙げられる。
「薬学的に許容される塩」は、薬学的用途用の化合物中に配合され得る塩であり、以下に限定されないが、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等)、およびアンモニアまたは有機アミンの塩を含む。
「薬学的に許容される」または「薬理的に許容される」が意味するのは、生物学的に、またはそれ以外でも、望ましくないものではない材料である。すなわち、材料は、いかなる望ましくない生物学的作用も引き起こすこともなければ、それが含有される組成物の成分のいずれかと、または個体の体または体内に存在する任意の成分と有害に相互作用することもなく、個体に投与され得る。
用語「単位剤型」は、ヒト対象および動物対象についての単位投薬量として適した、物理的に不連続な単位を指し、各単位は、所望の効果をもたらすのに十分な量と算出された本開示の化合物の所定の量を、任意で、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、キャリア、またはビヒクルを伴って、含有する。本開示の新規の単位剤型についての規格は、使用される特定の化合物、および達成されるべき効果、ならびに宿主における各化合物と関連する薬力学によって決まる。
「生理学的条件」は、動物(例えばヒト)の体内の条件を指す。生理学的条件として、以下に限定されないが、体温、ならびに生理学的イオン強度、pH、および酵素の水性環境が挙げられる。
本明細書において用いられる用語「対象」は、ヒトおよびヒト以外の哺乳類、ならびに非哺乳類を包含し、その程度は、そのようなヒト以外の種に投与された場合に、本明細書において開示される組成物が有用である範囲に及ぶ。哺乳類の例として、以下に限定されないが、哺乳綱:ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー、ならびに他の類人猿およびサル種;畜産動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家畜動物、例えばウサギ、イヌ、およびネコ;齧歯類、例えばラット、マウス、およびモルモットを含むラボ動物等の任意のメンバーが挙げられる。非哺乳類の例として、以下に限定されないが、脊椎動物、例えば鳥類および魚類が挙げられる。当該用語は、特定の年齢または性別を意味しない。
用語「ポリエチレングリコール」、「PEG」、「ポリエチレンオキシド」、および「PEO」は、特に明記されない限り、本明細書において互換的に用いられる。アミノ基を介して、数nを伴う「PEOn」ポリマーに結合されたCNP変異体は、一般に、式:CH3-[-O-CH2CH2-]n-C(=O)-NHRを有し、式中、nは、エチレンオキシド単位の数であり、Rは、残りのペプチドを表す。「PEOn」ポリマーは、任意で、カルボニル炭素と繰り返しのエチレンオキシド単位との間にアルキレン基、(CH2)mを有してよく、式中、mは、1から5の整数である。そのような「PEOn」(例えば、PEO12またはPEO24)ポリマーは、単分散性であり、すなわち、特定の分子量の単一の不連続なポリマーである。同様に、アミノ基を介して、数nKを伴う「PEGnK」ポリマーに結合されたCNP変異体は、一般に、式:CH3-[-O-CH2CH2-]p-C(=O)-NHRを有し、式中、pは、1よりも大きな整数である。「PEGnK」ポリマーもまた、任意で、カルボニル炭素と繰り返しのエチレンオキシド単位との間にアルキレン基、(CH2)mを有してよく、式中、mは、1から5の整数である。しかしながら、そのような「PEGnK」(例えば、PEG1K、PEG2K、PEG5K、またはPEG20K)ポリマーは、多分散性であり、すなわち、分子量の分布を有するポリマーの混合物を含有し、数nKは、ポリマー数平均分子量(Mn)をキロダルトンで表す。例えば、CNP変異体に結合する「PEG2K」は、ポリマー数平均分子量がおおよそ2kDaである多分散性PEGポリマーを表す。
ポリマー(例えばPEG)の質量範囲が(例えばkDaの単位で)与えられる場合、当該範囲は、特に明示的に示されない限り、多分散性混合物中の複数のポリマーの分子量の範囲ではなく、ポリマー数平均分子量の範囲を指す。
用語「ハロゲン」、「ハライド」、または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素を指す。
用語「アルキル」は、直鎖または分枝状の飽和一価炭化水素ラジカルを指し、アルキルは、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい。特定の態様において、アルキルは、1から20(C1~20)、1から15(C1~15)、1から12(C1~12)、1から10(C1~10)、もしくは1から6(C1~6)個の炭素原子を有する直鎖飽和一価炭化水素ラジカル、または3から20(C3~20)、3から15(C3~15)、3から12(C3~12)、3から10(C3~10)、もしくは3から6(C3~6)個の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素ラジカルである。本明細書において用いられる直鎖C1~6アルキル基および分枝状C3~6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例として、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む全ての異性体形態を含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルを含む全ての異性体形態を含む)、ペンチル(全ての異性体形態を含む)、およびヘキシル(全ての異性体形態を含む)が挙げられる。例えば、C1~6アルキルは、1から6個の炭素原子の直鎖飽和一価炭化水素ラジカルまたは3から6個の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素ラジカルを指す。
用語「アルコキシ」は、-O-アルキル基を指す。特定の態様において、アルコキシ基は、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい。
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハライド原子で置換されているアルキル基を指す。特定の態様において、ハロアルキル基は、1、2、3、4、5、または6個のハライド原子で置換されている。特定の態様において、ハロアルキル基は、本明細書中に記載される1つまたは複数の付加的な置換基Qで置換されていてもよい。
用語「シクロアルキル」は、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい、環状飽和架橋一価炭化水素ラジカルおよび/または非架橋一価炭化水素ラジカルを指す。特定の態様において、シクロアルキルは、3から20(C3~20)、3から15(C3~15)、3から12(C3~12)、3から10(C3~10)、もしくは3から7(C3~7)個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例として、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル、およびアダマンチルが挙げられる。
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、少なくとも1つの非芳香族環を含有する単環式非芳香族環系または多環式環系を指し、非芳香族環原子の1つまたは複数は、O、S、またはNより独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの非芳香族環原子は、炭素原子である。特定の態様において、ヘテロシクリル基または複素環基は、3から20、3から15、3から10、3から8、4から7、または5から6個の環原子を有する。特定の態様において、ヘテロシクリルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、これらとして縮合環系または架橋環系が挙げられ得、そして窒素原子または硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は、四級化されていてもよく、一部の環は、部分的に、または完全に飽和されていても、芳香族であってもよい。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子または炭素原子にて主構造に取り付けられていてよく、これにより安定した化合物が生じる。複素環基の例として、以下に限定されないが、アクリジニル、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイソキサジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、β-カルボリニル、カルバゾリル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジベンゾフラニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチアニル、フラノニル、フラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリジニル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナトロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリドピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラゾリル、チアジアゾロピリミジニル、チアジアゾリル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、および1,3,5-トリチアニルが挙げられる。特定の態様において、複素環基は、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい。
用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含有する単環式芳香族基または多環式一価芳香族基を指す。特定の態様において、アリールは、6から20(C6~20)、6から15(C6~15)、または6から10個(C6~10)の環原子を有する。アリール基の例として、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられる。アリールはまた、二環式または三環式の炭素環を指し、環の少なくとも1つは、芳香族であり、その他は飽和していてもよいし、部分的に不飽和であってもよいし、芳香族、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、およびテトラヒドロナフチル(テトラリニル)であってもよい。特定の態様において、アリール基は、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい。
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族環を含有する単環式芳香族基または多環式芳香族基を指し、少なくとも1つの芳香族環は、O、S、およびNより独立して選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有する。ヘテロアリール基の各環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、および/または1から4個のN原子を含有してよい。但し、各環中のヘテロ原子の総数が、4個以下であり、かつ各環が、少なくとも1個の炭素原子を含有する場合に限る。ヘテロアリールは、任意のヘテロ原子または炭素原子にて主構造に取り付けられてよく、これにより安定した化合物が生じる。特定の態様において、ヘテロアリールは、5から20、5から15、または5から10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例として、以下に限定さないが、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、およびトリアジニルが挙げられる。二環式ヘテロアリール基の例として、以下に限定されないが、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリル、およびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。三環式ヘテロアリール基の例として、以下に限定されないが、カルバゾリル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、およびキサンテニルが挙げられる。特定の態様において、ヘテロアリール基は、本明細書中に記載される1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよい。
用語「置換されていてもよい」は、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールを含む基が、1つまたは複数の置換基Q(一態様において、1、2、3、または4個の置換基Q)で置換されていてよいことを意味することが意図され、各Qは、シアノ、ハロ、オキソ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、C3~7シクロアルキル、ヘテロシクリル、C6~14アリール、ヘテロアリール、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NRfRg、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)NRfRg、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NReC(O)Rf、-NReC(O)ORf、-NReC(O)NRfRg、-NReC(=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rf、-NReS(O)2Rf、-NReS(O)NRfRg、-NReS(O)2NRfRg、-SRe、-S(O)Re、-S(O)2Re、および-S(O)2NRfRgからなる群より独立して選択され、式中、Re、Rf、Rg、およびRhは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C3~7シクロアルキル、ヘテロシクリル、C6~14アリール、またはヘテロアリールであり;またはRfおよびRgは、これらが取り付けられるN原子と共に、ヘテロシクリルを形成する。
B.CNP変異体
治療薬としてのCNP22の使用は、血漿中での短い半減期によって制限される(J. Clin. Endocrinol. Metab., 78: 1428-35 (1994))。ヒト血漿中でのCNP22の濃度は典型的に、5ピコモル未満である。CNP22は、ヒトにおいて、NEPおよびNPR-Cによって分解されて、循環系から一掃される(Growth Hormone & IGF Res., 16: S6-S14)。全身投与されるCNP22を用いる全てのヒト試験および動物試験において、対象中でCNP22濃度を増大させるのに、持続注入が用いられてきた。半減期がより長く、かつ官能性のレベルが少なくとも同程度であるCNPペプチドが、CNPベースの治療戦略に有益であると考えられる。CNP変異体はまた、関連する交付済み特許:米国特許第8,377,884号;米国特許第8,198,242号;および米国特許第8,598,121号に開示されている。列挙された特許はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
本開示は、NEPおよび/またはNPR-Cに対する親和性が低く、かつNEPによる切断に対する感受性および/またはNPR-Cによるクリアランスが低いが、官能性が野生型CNP22よりも実質的に同程度であり、または良好であるCNP変異体を提供する。NEPによる切断および/またはNPR-Cによるクリアランスに対するCNP変異体の感受性の低下により、変異体の血漿半減期または血清半減期が増大することによって、変異体が標的組織および標的部位に分配されて、所望の薬理効果を達成する機会が増大すると考えられる。特定の態様において、本明細書中に記載されるCNP変異体は、インビトロまたはインビボでの、NEPによる切断および/またはNPR-Cによるクリアランスに対する感受性が、wtCNP22と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍低くなり、かつインビボでの血漿半減期または血清半減期が、wtCNP22と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍増大した一方で、wtCNP22の官能性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%を保持し、またはwtCNP22よりも官能性が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍大きかった。CNP官能性は、例えば、インビトロ試験またはインビボ試験において、軟骨の形成または成長と関連した1つまたは複数のバイオマーカー(例えばcGMP)のレベルに関して評価することができる。また、CNP官能性は、エクスビボ試験またはインビボ試験等において関節炎の軟骨変性の防止を判定することによって評価することができる。
NEPの天然の基質は小さく、ナトリウム利尿ペプチド(約2.2から約3.2kDa)は、NEPの天然の基質の中で最も大きい。X線結晶解析に従えば、NEP活性部位は、中心の空洞の内側に深く埋められており、基質分子のサイズを約3kDa以下に効果的に制限している(Oefner et al., J. Mol. Biol., 296: 341-349 (2000))。NPR-Bシグナル伝達研究に基づけば、CNP-22の変異体、例えばCNP-17(CNP22の環状ドメイン、Cys6~Cys22のみを保持している)、およびCNP-53(N末端にて31個のアミノ酸伸長を有するCNP-22)は依然として、2.2kDaのwtCNP-22と同様に、NPR-Bに結合してこれを活性化することができる。したがって、本開示は、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端にて、天然ポリマー(例えばペプチド)および/または合成ポリマー(例えばPEG)に結合されるCNP変異体を包含し、これは、NEP耐性の増大を示すが、NPR-Bシグナル伝達受容体に結合して、これを活性化する能力を保持する。
一態様において、本開示は、一般式:
によって表されるCNP変異体を包含し、式中:
(x)および(z)は、それぞれ独立して、天然のポリマー(例えば、少なくとも1つのアミノ酸を含有するペプチド配列)および/または本明細書中に記載される合成ポリマー(例えばPEG)であり、CNP変異体の総質量は、本明細書中に一般に記載される範囲によって特徴付けられ、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲である。一態様において、Cys6からCys22の残基は、環状部分を形成する。一態様において、(x)および/または(z)は、NPPCポリペプチドまたは非CNPポリペプチド(例えば、ANP、BNP、IgG等)に由来するアミノ酸伸長を含み、当該伸長は、1から40、1から35、1から31、5から35、5から31、または5から15個のアミノ酸を含有する。別の態様において、CNP変異体は、別の天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド模倣体、および/またはペプチド結合イソスターによる1つまたは複数の改変および/または置換を、CNP22の以下の位置の1つまたは複数にて含む:CNP22:Gly1、Lys4、Gly5、Cys6、Phe7、Gly8、Leu9、Lys10、Leu11、Ile14、Gly15、Ser16、Met17、Gly19、Leu20、およびGly21。
別の態様において、総質量が、本明細書中に一般に記載される、例えば、約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられ、NEP分解に対する耐性が増大するように設計されているCNP変異体が、一般式:
によって表され、式中:
(x)は、合成もしくは天然のポリマー基、またはそれらの組合せであり、合成ポリマー基の非限定的な例として、PEG(またはPEO)があり、天然のポリマー基の非限定的な例として、1から35個のアミノ酸を含有し、かつNPPCまたはその、置換および/もしくは欠失を有する変異体、ANP、BNP、または他の非CNP(ポリ)ペプチド、例えば、血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、オステオクリン、または線維芽細胞増殖因子2(FGF2)に由来するアミノ酸配列があり;
(z)は、不在であってもよいし、合成もしくは天然のポリマー基、またはそれらの組合せであってもよく、合成ポリマー基の非限定的な例として、PEGがあり、天然ポリマー基の非限定的な例として、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、CNP、ANP、またはBNP)、または非ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、血清アルブミンまたはIgG)に由来するアミノ酸配列があり;かつ
(b)および(h)は、独立して、その位置にて野生型Lysであってもよいし、保存的アミノ酸置換基、あるいは以下に限定されないが、Arg、Gly、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、Glu、またはSerを含む、任意の天然もしくは非天然のアミノ酸、または側鎖上に反応性第一級アミンを有していないペプチド模倣体で置換されていてもよい。一態様において、(b)はArgである。別の態様において、NEP耐性の向上のために、(b)はGlyでない。
さらに別の態様において、(h)はArgでない。
NPPCまたはその変異体に由来するアミノ酸配列の非限定的な例として、以下が挙げられる:
非CNPポリペプチド、例えば、ANP、BNP、血清アルブミン、およびIgGに由来するアミノ酸配列の非限定的な例として、以下が挙げられる:
一態様において、本明細書中に記載される、(x)基および/または(z)基を有するCNP変異体のいずれかのN末端(x)基および/またはC末端(z)基は、独立して、もしあれば、少数の、酸性の天然または非天然のアミノ酸(例えば、AspまたはGlu)を含有するアミノ酸配列を含む。別の態様において、(x)および/または(z)は、CNP22のpI(pI8.9)と同程度のアルカリ性pIを保つために、塩基性の天然または非天然のアミノ酸(例えば、Lys、Arg、またはHis)が富化されている。一態様において、CNP変異体のpIは、約8から約10.5の範囲にあり、CNP変異体が、関節炎の関節の軟骨細胞を包囲する細胞外マトリックスを通ってより容易に拡散することができるように設計されている。より厳密な態様において、CNP変異体のpIは、約8.5から約10.5、または約8.5から約10、または約9から約10である。
さらに別の態様において、(x)および/または(z)は、極性のある天然または非天然のアミノ酸が富化されており、水性溶解度が増大するように設計されている。さらに別の態様において、(x)および/または(z)は、もしあれば、少数の、疎水性の天然または非天然のアミノ酸(例えば、Ala、Val、Leu、Ile、またはMet)を含有する。
更なる態様において、CNP変異体のN末端は、少なくとも1つのグリシン残基で終わり、血清半減期が増大するように設計されている。関連する態様において、ピログルタミン形成を防止するために、普通であればグルタミンで終わるCNP変異体のN末端は、グリシン残基で終わる。一態様において、(x)基は、N末端が少なくとも1つのグリシン残基で終わるアミノ酸伸長を含有する。別の態様において、(x)および/または(z)は、2つの隣接する塩基性の天然または非天然のアミノ酸(例えば、Lys-LysまたはArg-Arg)を含有せず、プロテアーゼフーリンによる切断に対する感受性を減少させるように設計されている。一態様において、(x)は、CNP22のGly1に対応する位置の直ぐ前に、2つの隣接する塩基性アミノ酸を含有しない。
さらに別の態様において、CNP変異体の(x)基および/または(z)基は、NPPCに由来する(例えばCNP53に由来する)アミノ酸配列を含む。一態様において、(x)は、ANPまたはBNPのN末端尾部に由来するアミノ酸配列を含む。別の態様において、(z)は、ANPまたはBNPのC末端尾部に由来するアミノ酸配列を含む。更なる態様において、(x)および/または(z)は、非ナトリウム利尿ポリペプチド、例えば、IgG、ヒト血清アルブミン(HSA)、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、FGF-2、および骨標的タンパク質(例えば、オステオクリン、オステオポンチン、オステオカルシン、およびシアロタンパク質)に由来するアミノ酸配列を含む。
CNP22またはその変異体が、N末端(x)基および/またはC末端(z)基を有してよい、本明細書中に記載される任意の態様において、(x)および/または(z)は、独立して、骨形成タンパク質(BMP)の機能ドメインに由来するアミノ酸配列を含有してよい。BMPの機能ドメインに由来するN末端および/またはC末端のアミノ酸伸長が、CNP変異体の総質量を、本明細書中に一般に記載される範囲、例えば、約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲に特徴づけられるように増大させることによって、CNP変異体のNEP耐性、そしてそれ故に血清半減期を増大させることができる。また、特定のBMPが、骨および軟骨の形成を誘導する成長因子およびサイトカインであるので、BMPの機能ドメインに由来するフラグメントが、CNP22またはその変異体の環状ドメインによるNPR-Bのグアニリルシクラーゼ機能の活性化と異なる機構によって、軟骨細胞、軟骨、または骨の成長を促進することができる。骨の形成および発達、軟骨の形成および発達、ならびに/または骨芽細胞の分化を促進するBMPの非限定的な例として、BMP1、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7、およびBMP8aが挙げられる。一態様において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、独立して、BMP1、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7、またはBMP8aのC末端部分における最後の140個のアミノ酸に由来するアミノ酸配列に結合される。
一態様において、CNP変異体は、CNP22またはCNP17のN末端および/またはC末端にて、以下に限定されないが、
を含むアミノ酸伸長を含有する。
別の態様において、CNP変異体は、CNP22の位置4にて、K4R置換を有する。CNP(K4R)変異体の非限定的な例として、以下が挙げられる:
更なる態様において、CNP変異体は、アミノ酸の付加、欠失、および/または置換を有するCNP22またはその変異体、ならびに、CNPペプチドのN末端に対する、CNP以外のポリペプチドもしくはタンパク質に由来するペプチドフラグメント、または非CNPポリペプチドもしくはタンパク質全体を含むキメラであり、CNP22またはその変異体は、1つまたは複数のアミノ酸残基のN末端アミノ酸伸長を有してもよい。特定の態様において、CNPキメラは、1つまたは複数のアミノ酸残基のN末端アミノ酸伸長を有するCNP22またはその変異体を含む。特定の態様において、CNPキメラは、CNP22またはその変異体の第1の位置(CNP22の場合、Gly)の直ぐ前に、リジン-リジン(KK)残基またはGANKK残基を含有する。他の態様において、CNPキメラは、リジン-リジンと異なる1または2個の残基を、CNP22またはその変異体の第1の位置の直ぐ前に含有する。CNP22またはその変異体の第1の位置に直ぐ先行し得る残基の非限定的な例として、KP、PK、PR、PQ、QK、QQ、RR、SS、GANKP、GANPK、GANPR、GANPQ、GANQK、GANQQ、GANRR、およびGANSSが挙げられる。
別の態様において、CNP変異体は、CNP22およびN末端ペプチドフラグメントを含むキメラであり、以下に限定されないが、
を含む。
さらに別の態様において、CNP変異体は、N末端ペプチドフラグメント、およびアルギニンがCNP22のLys4に置換されているCNP22(「CNP22(K4R)」)を含むキメラであり、以下に限定されないが、
を含む。
IgGおよびCNP22またはその変異体を含むキメラは、とりわけ、NEP分解に対する耐性の増大および血清アルブミンへの結合の減少のために設計されている。HSAの表面フラグメントを含むCNPキメラは、とりわけ、免疫原性の減少、および血清アルブミンへの結合の減少のために設計されている。N末端にてカチオン、ヒスチジンリッチ、非リジン、非アルギニン配列を含有するHRGP-CNP22およびHRGP-CNP22(K4R)キメラは、とりわけ、プロテアーゼに対する安定性の増大のために設計されている。オステオクリンフラグメントを含有するキメラは、プロテアーゼ(例えばフーリン)切断直後に、骨成長板にてオステオクリンフラグメントを放出するように設計されており、そこでフラグメントは、クリアランス受容体NPR-Cを阻害すると考えられる。FGF2ヘパリン結合フラグメントを含むキメラに関して、フラグメントへのヘパリン結合は、キメラを分解から保護することによって、より長い血清半減期を実現するように設計されている。フィブロネクチン、フィブリノゲン、または亜鉛フィンガーフラグメントを含有するキメラが、いくつかある特徴の中で特に、血清アルブミンへの結合の減少のために設計されている。
理論によって拘束されることを意図するものではないが、wtCNP22と比較して、NEP分解に対する耐性が増大し、かつ官能性(例えば、NPR-Bへの結合およびcGMPシグナル伝達の刺激)が同程度であり、または向上した、分子量が約2.6または2.8kDaから約6または7kDaのCNP変異体は、血漿タンパク質、例えば血清アルブミンに強固に結合しないならば、より効果的であり得る。血漿タンパク質(例えば血清アルブミン)に強固に結合しないCNP変異体は、軟骨を通って拡散して、関節炎の関節の軟骨細胞に到着して、cGMPシグナル伝達のためにNPR-Bに結合してこれを活性化するのに、より効果的であり得る。一態様において、血漿タンパク質(例えば血清アルブミン)への結合の減少のために設計されているCNP変異体は、CNP22またはその変異体およびIgG由来のペプチドフラグメントを含むキメラである。別の態様において、血漿タンパク質への結合の減少のために設計されているCNP変異体は、CNP22またはCNP22(K4R)およびポリペプチド(例えば、IgG、HSA、フィブロネクチン、フィブリノゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド等)由来のフラグメントを含むキメラである。さらに別の態様において、血漿タンパク質への結合の減少のために設計されているCNP変異体は、親水性または水溶性のポリマーに結合されたCNP22またはその変異体を含む。一態様において、親水性または水溶性のポリマーは、PEG(またはPEO)である。別の態様において、親水性または水溶性のポリマー(例えばPEG)は、生理学的条件下で、ポリマーに負の電荷を与える1つまたは複数の官能基、例えば、カルボキシル基、硫酸基、もしくはリン酸基、またはそれらの組合せにより官能化される。
更なる態様において、本開示のCNP変異体として、ヒトCNP-17(hCNP-17)からヒトCNP-53(hCNP-53)に及び、かつhCNP-53に由来する野生型アミノ酸配列を有する切断型(truncated)CNPペプチドが挙げられる。そのような切断型CNPペプチドとして、以下が挙げられる:
特定の態様において、CNP変異体は、CNP-17、CNP-22、またはCNP-53を含まない。
別の態様において、hCNP-17からhCNP-53に及ぶ切断型CNPペプチドは、特定の切断型CNPペプチドのアミノ酸位置の任意の1つまたは複数にて、本明細書中に記載される、アミノ酸の付加、欠失、および/または天然もしくは非天然のアミノ酸もしくはペプチド模倣体(例えばペプチド結合イソスター)との置換を含有してよい。さらに別の態様において、野生型配列、またはアミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有する切断型CNPペプチドは、N末端、C末端、および/または内部の部位にて、本明細書中に記載される部分のいずれかに結合されてよく、これらとして、以下に限定されないが、滑膜標的部分または軟骨標的部分(例えば、ビスホスホネート、骨標的ペプチド配列または軟骨標的ペプチド配列(例えば、ポリAsp、ポリGlu)、骨タンパク質(例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質)の骨標的ドメインに由来するペプチド配列)、骨形成タンパク質(例えば、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7、BMP8a)の機能ドメインに由来するペプチド配列、ナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、NPPC、ANP、BNP)に由来するペプチド配列、非ナトリウム利尿起源のポリペプチド(例えば、血清アルブミン、IgG、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、フィブロネクチン、フィブリノゲン、亜鉛フィンガー含有ポリペプチド、FGF-2、オステオクリン)に由来するペプチド配列、腎クリアランスを減少させる部分(例えば、負に帯電したPEG部分)、親水性ポリマー(例えばPEG)、炭水化物(例えば、関節炎の関節内の細胞の表面上の受容体によって認識される炭水化物)、疎水性の酸(例えば、C5~C12カルボン酸、天然の脂肪酸)、リン脂質、およびそれらの組合せが挙げられる。一態様において、野生型配列、またはアミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有し、かつ任意で、N末端、C末端、および/または内部の部位にて1つまたは複数の部分に結合されている切断型CNPペプチドは、総質量が、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6kDaまたは2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられる。
更なる態様において、CNP変異体は、CNP37の誘導体であり、これは、
である。CNP37変異体は、CNP37の37の位置の任意の1つまたは複数にて、アミノ酸の付加、欠失、および/または天然もしくは非天然のアミノ酸もしくはペプチド模倣体(例えばペプチド結合イソスター)との置換を含有してよい。CNP22のナンバリングに基づいて、CNP37においてなされ得る置換の非限定的な例として、K4R、G5S、GSR、G8S、K10R、G15S、S16Q、M17N、G19R、およびそれらの組合せが挙げられる。一態様において、CNP37誘導体は、Met17の、天然(例えばアスパラギン)または非天然のアミノ酸またはペプチド模倣体への置換を含有し、部分的にメチオニンの硫黄原子の酸化を回避するように設計されている。別の態様において、CNP37変異体は、Lys8、Lys10、Lys14、および/またはLys15(CNP37のN末端からのナンバリングに基づく)の、非塩基性の天然または非天然のアミノ酸またはペプチド模倣体への置換を含有し、部分的にアルブミン結合を減少させるように設計されている。
アミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換に加えて、またはそれらの代わりに、CNP37誘導体は、N末端、C末端、および/または内部の部位にて、以下に限定されないが、骨標的部分または軟骨標的部分(例えば骨標的ペプチドドメイン)、腎クリアランスを減少させる部分(例えば、負に帯電したPEG部分)、親水性ポリマー(例えばPEG)、1つまたは複数のアミノ酸を含むアミノ酸配列(例えば、オステオクリン「NPR-Cインヒビター」フラグメント)、炭水化物(例えば、骨成長板の細胞の表面上の受容体によって認識される炭水化物)、疎水性の酸(例えば、C5~C12カルボン酸および天然の脂肪酸)、およびそれらの組合せを含む、本明細書中に記載される部分のいずれかに結合されてよい。
一態様において、CNP変異体は、フーリン切断部位(下線が引かれている)にて突然変異/置換を有して、フーリンプロテアーゼに対するインビボ耐性を向上させるように設計されており、かつ/またはN末端にてグリシン(下線が引かれている)を含有して、血漿安定性を向上させて、ピログルタミン形成を防止するように設計されている改変CNP37ペプチドである。そのようなCNP37変異体として、以下に限定されないが、
が挙げられる。
更なる態様において、本開示のCNP変異体として、本明細書中に記載される融合タンパク質プロセスによって生成され得るCNPペプチドおよびその変異体が挙げられる。化学切断もしくはタンパク質分解切断またはタンパク質自己切断を用いて、本明細書中に記載される融合タンパク質プロセスによって生成され得るCNP変異体の非限定的な例として、以下が挙げられる:
融合タンパク質の化学切断またはタンパク質分解切断の意図された部位が、標的CNP変異体自体のアミノ酸配列内に存在していない限り、他のCNP変異体(hCNP-17からhCNP-53に及び、かつ野生型配列またはアミノ酸の付加、欠失および/もしくは置換を有する、切断型CNPペプチドを含む)も、本明細書中に記載される融合タンパク質プロセスによって生成され得る。非限定的な例として、本明細書中に記載される融合タンパク質プロセスは、ギ酸切断を用いて切断型wtCNP34を生成するために使用され得る。
付加的な態様において、アスパラギン(Asn/N)残基および/またはグルタミン(Gln/Q)残基を有する、本明細書中に記載されるCNPペプチドおよびCNP変異体のいずれかについて、これらが野生型配列を有するか非天然のアミノ酸配列を有するかに拘らず、任意のAsn残基および/または任意のGln残基が独立して、AsnからGln等の保存的置換を含む、任意の他の天然または非天然のアミノ酸で置換されていてよい。そのような置換は部分的に、アスパラギンおよび/またはグルタミンの、可能性があるいかなる脱アミドも最小にし、または回避するように設計されている。任意のAsn残基および/または任意のGln残基が独立して、任意の他の天然または非天然のアミノ酸で置換されていてよい(AsnからGln等の保存的置換を含む)、CNPペプチドおよびCNP変異体の非限定的な例として、wtCNP34、wtCNP37、Gly-wtCNP37、Pro-wtCNP37、Pro-Gly-wtCNP37、GHKSEVAHRFK-wtCNP27(SEQ ID NO:48)、Pro-GHKSEVAHRFK-wtCNP27(SEQ ID NO:50)、PEO12-GANRR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:101)、およびPEO24-GANRR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:102)が挙げられる。特定の態様において、本明細書中に記載されるCNPペプチドおよびCNP変異体のアスパラギン残基は、グルタミン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸で置換されていない。特定の態様において、本明細書中に記載されるCNPペプチドおよびCNP変異体のグルタミン残基は、アスパラギン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸で置換されていない。
非限定的な例として、Pro-Gly-wtCNP37
のアスパラギン残基7および/または15は独立して、アスパラギン残基の、アスパラギン酸またはイソアスパラギン酸への可能性があるいかなる脱アミドも回避するために、グルタミンを含む任意の他の天然または非天然のアミノ酸で置換されていてよい。特定の態様において、Pro-Gly-wtCNP37のアスパラギン残基7および/または15は、グルタミン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸で置換されていない。
しかしながら、本開示は、脱アミドまたは脱アミド様反応(例えば異性化)に感受性の任意の1つまたは複数の、最大全ての残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、変換される残基あたり任意の程度、最大100%の変換まで、他の残基に変換されていてよいCNP変異体を包含することが理解される。特定の態様において、本開示は:(1)任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン(Asn/N)残基が、脱アミドを介して、アスパラギン酸もしくはアスパルテートに、かつ/またはイソアスパラギン酸もしくはイソアスパルテートに変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり;(2)任意の1つまたは複数、最大全てのグルタミン(Gln/Q)残基が、脱アミドを介して、グルタミン酸もしくはグルタメートに、かつ/またはイソグルタミン酸もしくはイソグルタメートに変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり;(3)任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン酸またはアスパルテート(Asp/D)残基が、脱アミド様反応(異性化とも呼ばれる)を介して、イソアスパラギン酸またはイソアスパルテートに変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり;(4)任意の1つまたは複数、最大全てのグルタミン酸またはグルタメート(Glu/E)残基が、脱アミド様反応(異性化とも呼ばれる)を介して、イソグルタミン酸またはイソグルタメートに変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり;あるいは(5)上記のものが組み合わされている、CNP変異体を包含する。
非限定的な例として、本開示は、Pro-Gly-wtCNP37
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、および/またはグルタミン酸残基が、先に記載されるように、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/もしくはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
更なる例として、本開示は、Pro-Gly-wtCNP37
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギンおよび/またはアスパラギン酸残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
別の例として、本開示は、Gly-wtCNP37
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、および/またはグルタミン酸残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/もしくはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
さらに別の例として、本開示は、wtCNP37
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、および/またはグルタミン酸残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)グルタミン酸/グルタメートおよび/もしくはイソグルタミン酸/イソグルタメート、(3)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(4)イソグルタミン酸/イソグルタメートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
更なる例として、本開示は、HSA-wtCNP27キメラ、
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン、アスパラギン酸、および/またはグルタミン酸残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(3)イソグルタミン酸/イソグルタメートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
更なる例として、本開示は、Pro-HSA-wtCNP27キメラ、
の任意の1つまたは複数、最大全てのアスパラギン、アスパラギン酸、および/またはグルタミン酸残基が、脱アミドまたは脱アミド様反応を介して、(1)アスパラギン酸/アスパルテートおよび/もしくはイソアスパラギン酸/イソアスパルテート、(2)イソアスパラギン酸/イソアスパルテート、ならびに/または(3)イソグルタミン酸/イソグルタメートにそれぞれ変換されていてよく、変換は、変換される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
また、本開示は、任意の1つまたは複数、最大全てのメチオニン(Met/M)残基が、任意の化学的に実行可能な酸化型(例えば、スルホキシドおよび/またはスルホン)に酸化されていてよく、転化は、酸化される残基あたり最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、CNP変異体を包含する。
別の態様において、CNP変異体は、N末端および/またはC末端にて、細胞膜または細胞バリアの全体にわたって変異体の転座を促進する部分に結合されるCNP22またはその変異体を含む。一態様において、CNP変異体は、N末端および/またはC末端にて、細胞膜または細胞バリアの全体にわたって変異体の輸送を促進する(活性ペプチドトランスポータを介することを含む)ペプチド配列に結合される。
更なる態様において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、化学部分、例えば、天然ポリマーおよび/または合成ポリマーに結合されて、改変CNPペプチドの総質量が、本明細書中に一般に記載される範囲、例えば、約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲に増大する。一態様において、化学部分は、生体適合性の、親水性または水溶性の天然ポリマー(例えば、ペプチド、炭水化物)または合成ポリマー(例えば、PEG(またはPEO))である。
特定の態様において、CNP22またはその変異体のN末端および/またはC末端は、PEG(またはPEO)ポリマーに結合されて、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられる総質量となる。CNP22またはその変異体のペグ化が、とりわけ、腎クリアランスを減少させ、かつプロテアーゼ耐性を増大させることによって、免疫原性を減少させて半減期を向上させるように設計されている。PEG部分が、CNP22、または、以下に限定されないが、CNP-17(CNP22のCys6~Cys22環化部分)、CNP37、ならびにN末端および/もしくはC末端のアミノ酸伸長、アミノ酸置換、および/もしくはアミノ酸欠失を有するCNP17、CNP22、もしくはCNP37の変異体を含む、本明細書中に記載される任意の変異体のN末端および/またはC末端に取り付けられていてよい。一態様において、CNP17、CNP22、もしくはCNP37、またはそれらの変異体のLys4残基および/またはLys10残基は、天然または非天然のアミノ酸(例えば、Arg、Gly、Ser、Gln、Glu、またはCit)または側鎖上に反応性第一級アミンを含有しないペプチド模倣体で置換されて、これらのリジン残基の、可能性があるいかなるペグ化も排除している。一態様において、CNPペプチドのLys4残基および/またはLys10残基は、Argで置換されている。別の態様において、Lys10残基は、Argで置換されていない。
更なる態様において、N末端にPEG(またはPEO)部分およびアミノ酸伸長を有するCNP変異体(CNP22およびその変異体を含む)は、CNP22のGly1に対応する位置の直ぐ前の位置にアルギニンを含有する。そのようなペグ化CNP変異体は、NEP分解に対する耐性の増大、血清アルブミンへの結合の減少、およびCNP機能活性の増強(例えば、cGMPシグナル伝達の活性化)のために設計されている。ペグ化CNP変異体の非限定的な例として、PEO24-GANRR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:102)、PEO12-GANRR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:101)、PEO24-GANRR-CNP22(SEQ ID NO:103)、PEO12-GANRR-CNP22(SEQ ID NO:104)、PEO24-GANPR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:105)、PEO12-GANPR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:106)、PEO24-GANPR-CNP22(SEQ ID NO:107)、PEO12-GANPR-CNP22(SEQ ID NO:108)、PEO24-GANQQ-CNP22(SEQ ID NO:109)、PEO12-GANQQ-CNP22(SEQ ID NO:110)、PEO24-ER-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:111)、PEO12-ER-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:112)、PEO24-ER-CNP22(SEQ ID NO:113)、PEO12-ER-CNP22(SEQ ID NO:114)、PEO24-R-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:115)、PEO12-R-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:116)、PEO24-R-CNP22(SEQ ID NO:117)、およびPEO12-R-CNP22(SEQ ID NO:118)が挙げられ、PEO24は、単分散性の1.2kDaのPEGポリマーであり、PEO12は、単分散性の0.6kDaのPEGポリマーである。一態様において、PEG(またはPEO)ポリマーは、CNP変異体のN末端に結合されている。
本開示は、タイプ(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー;ランダムコポリマー、交互コポリマー、またはブロックコポリマー;直鎖または分枝状;単分散性または多分散性)、結合(例えば、加水分解性の結合または安定した結合、例えば、アミド、イミン、アミナール、アルキレン、またはエステル結合)、結合部位(例えば、N末端および/またはC末端であり、好ましくは、CNPの環化領域(CNP22の残基6~22に対応する)中のいかなる残基でもない)、および長さ(例えば、約0.2、0.4、または0.6kDaから約2、3、4、または5kDa)が異なり得る親水性ポリマーまたは水溶性ポリマー(例えばPEG)の使用を意図する。親水性ポリマーまたは水溶性ポリマーは、当技術分野において公知のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)系もしくはアルデヒド系の化学物質、または他の化学物質によって、CNPペプチドに結合されていてよい。そのようなCNP変異体は、例えば、wtCNP22(2.2kDa)、wtCNP22の環化領域(残基6~22)のみを保持するCNP17、CNP22もしくはCNP17のN末端および/もしくはC末端にてアミノ酸伸長を有するCNP変異体、またはアミノ酸の置換、付加、および/もしくは欠失を有する変異体、例えば、GANRR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:119)、GANPR-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:78)、R-CNP22(SEQ ID NO:71)、R-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:79)、ER-CNP22(SEQ ID NO:72)、およびER-CNP22(K4R)(SEQ ID NO:80)を用いて生じさせることができる。一態様において、総質量が、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられるPEG-CNP変異体は、N末端および/もしくはC末端に、NHSもしくはアルデヒド系の化学物質を介して結合した単分散性の直鎖PEG(またはPEO)部分、またはN末端および/もしくはC末端に、NHS系の化学物質を介して結合した2腕もしくは3腕の分枝状PEG部分を含有する。本開示はまた、腎クリアランスの減少のために設計されている、負に帯電したPEG-CNP変異体を包含し、以下に限定されないが、カルボキシル化された化合物、硫酸化された化合物、およびリン酸化された化合物を含む(Caliceti, Adv. Drug Deliv. Rev., 55: 1261-77 (2003);Perlman, J. Clin. Endo. Metab., 88: 3227-35 (2003);Pitkin, Antimicrob. Ag. Chemo., 29: 440-444 (1986);Vehaskari, Kidney Intl, 22: 127-135 (1982))。一態様において、PEG(またはPEO)部分は、カルボキシル基、硫酸基、および/またはリン酸基を含有する。
別の態様において、本明細書中に記載されるCNP変異体のN末端、C末端、および/または内部の部位に結合されるPEG(またはPEO)部分は、生理学的条件下で正に帯電する1つまたは複数の官能基を含有する。そのようなPEG部分は、とりわけ、軟骨組織へのそのようなペグ化CNP変異体の分布を向上させるように設計されている。一態様において、そのようなPEG部分は、1つまたは複数の一級アミノ基、二級アミノ基、もしく三級アミノ基、四級アンモニウム基、および/または他のアミン含有(例えば尿素)基を含有する。
一態様において、本開示は、式(CH2CH2O)nのPEG(またはPEO)に、NHS系またはアルデヒド系の化学物質を介して結合されたCNP22またはその変異体を包含し、式中、nは、約6から約100の整数であり、PEGポリマーは、約0.3kDaから約5kDaである。別の態様において、nは、約12から約50の整数であり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約2.5kDaである。さらに別の態様において、nは、約12から約24であり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約1.2kDaである。さらに別の態様において、PEGポリマーの末端ヒドロキシル基は、非反応性基でキャッピングされている。特定の態様において、エンドキャッピング基は、アルキル基、例えば、メチル等の低級アルキル基である。
更なる態様において、本開示は、中立エンドペプチターゼ(NEP)を含むペプチダーゼによる切断に対する感受性を減少させた、1つまたは複数のペプチド結合またはペプチド結合イソスターを有するCNP変異体を提供する。NEPは、大きな疎水性残基のアミノ末端にて基質ペプチド結合を切断する、膜結合亜鉛依存性エンドペプチターゼである。ゆえに、NEPの切断部位にあたるペプチド結合の、非天然ペプチドまたは非ペプチド結合への改変は、NEP切断の効率を排除し得、または低下させ得る。
ANPおよびCNPについて、最初に環化領域内のCys6-Phe7結合にて、その後構造の残りの全体を通じて他の場所にて、NEP切断が起こることが報告されている。BNPについて、切断は、最初にペプチドN末端にて、その後環状構造内で起こることが報告されている。CNP上の第一のNEP切断部位は、Cys6-Phe7結合であることが報告されているが、wtCNP22がインビトロで2.5分間NEP消化に曝された場合に、全ての考えられる部位が予想外に加水分解され、Cys6-Phe7ペプチド結合およびGly8-Leu9ペプチド結合が、僅かであるが最も不安定であった。
NEPの基質特異性は主に、2つの基質-結合亜部位、S1’およびS2’によって判定される(Oefner et al., J. Mol. Biol. 296:341-349 (2000))。S1’部位は、N末端ペプチド結合が加水分解に曝される大きな疎水性P1’残基(例えば、Phe、Leu、Ile、およびMet)を受け入れる。S2’部位は一般に、P2’(例えば、GlyまたはSer)と呼ばれる、より小さな残基を好む。CNPの場合、Phe7が、NEP S1’部位にとって好ましいP1’残基であることが報告されている一方、Gly8が、S2’部位にとって好ましいP2’残基である。これらの2つの亜部位は、特定の総側鎖サイズしか一緒に収容することができないので、CNPのP1’-P2’残基の総サイズの任意の増大が、NEP結合を潜在的に破壊することができる。例えば、P1’Phe7芳香環の3-位置でのクロリド原子の付加(すなわち、3-Cl-Phe7)により、例えばS1’亜部位にて、CNPとNEP切断部位間の相互作用を潜在的に改変する(例えば、不安定にする)ことができる。より小さなP2’残基Gly8への三級ブチル基の付加(すなわち、tBu-Gly8)により、CNPとS2’亜部位間の相互作用を潜在的に破壊することができる。
したがって、一態様において、本開示のCNP変異体として、P1’-P2’残基、例えばPhe7-Gly8のサイズが増大して、活性部位での基質認識に干渉することによって、NEP切断に対する感受性が減少しているCNPが挙げられる。天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、および/またはペプチド模倣体部分が、以下に限定されないが、Phe7、Leu9、Leu11、Ile14、Met17、およびLeu20を含む1つもしくは複数の大きなP1’疎水性残基に、かつ/または、以下に限定されないが、Cys6、Gly8、Gly15、Ser16、およびGly19を含む1つもしくは複数のより小さなP2’残基に、置換されている。
本開示は、少なくとも1つの改変アミノ酸および/または少なくとも1つの改変ペプチド結合を含むCNP変異体を包含し、少なくとも1つの残基が、NEPによる基質認識および/または切断に関わり、改変アミノ酸および改変ペプチド結合は、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、ペプチド模倣体、および/またはペプチド結合イソスターであってよい。一態様において、Cys6とPhe7間のCNP上のNEP切断部位は、改変されている。関連する態様において、Cys6とPhe7間のペプチド結合(--C(=O)--NH--)は、以下のペプチド結合イソスターの1つで置換されている:
--CH2--NH--、
--C(=O)--N(R)--(式中、アミド基は、以下のR基のいずれかでアルキル化されている:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチル)、
--C(=O)--NH--CH2--、
--CH2--S--、
--CH2--S(O)n--(式中、nは、1または2である)、
--CH2--CH2--、
--CH=CH--、
--C(=O)--CH2--、
--CH(CN)--NH--、
--CH(OH)--CH2--、
--O--C(=O)--NH--、または
--NHC(=O)NH--。
別の態様において、CNP変異体は、式:
によって表され、式中:
(x)および(z)は、独立して、不在であってもよいし、合成骨標的化合物、例えば、ビスホスホネート;関節標的または軟骨標的に有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGlu;骨タンパク質、例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、およびシアロタンパク質の骨標的ドメインに由来するアミノ酸配列(Wang et al., Adv. Drug Delivery Rev., 57: 1049-76 (2005));腎クリアランスを減少させるポリマー分子および非ポリマー分子、例えば、負に帯電したPEG;ならびに、CNP変異体の総質量を、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲に増大させることによってNEP分解に対するCNP変異体の耐性を増大させる、天然のポリマー(例えば、アミノ酸、脂肪酸、および/または炭水化物を含有するもの)および合成ポリマー(例えばPEG)からなる群より選択されてもよく;
(b)および(c)は、野生型Cys6およびPhe7であっても、別の天然のアミノ酸または非天然のアミノ酸であってもよいし、NEP切断に対する耐性を増大させるために本明細書中に記載されるペプチド結合イソスターを含有してもよく;そして
(d)は、野生型Gly8であってもよいし、NEPへの結合を減少させるために、より大きな天然のアミノ酸もしくは非天然のアミノ酸(例えばt-Bu-Gly)、またはペプチド模倣体であってもよい。
一態様において、そのようなCNP変異体は、(b)、(c)、および/または(d)にて少なくとも1つの改変アミノ酸を含有する。
Gly8-Leu9、Lys10-Leu11、Arg13-Ile14、Ser16-Met17、およびGly19-Leu20結合を含む、CNP内の他のペプチド結合は、たとえCNP22またはその変異体が、Cys6-Phe7にて、NEP耐性を示すペプチド結合またはペプチド結合イソスターを有するとしても、切断され得る。したがって、本開示は、Cys6-Phe7結合に加えて、1つまたは複数の他のNEP切断部位にてペプチド結合イソスターを有するCNP変異体を包含し、ペプチド結合イソスターとして、本明細書中に記載されるものを含む。
別の態様において、本開示は、Cys6および/またはCys22にて、以下に限定されないが、ホモシステイン、ペニシラミン、2-メルカプトプロピオン酸、および3-メルカプトプロピオン酸を含むシステイン類似体を有するCNP変異体を包含する。一態様において、そのようなCNP変異体は、野生型Cys6または類似体とCys22または類似体間のジスルフィド結合によって形成される環状ドメインを有する。さらに別の態様において、CNP22またはその変異体の1つまたは複数の残基、最大全ての残基が、D-アミノ酸で置換されている。L-アミノ酸の、D-アミノ酸との置換は本質的に、側鎖をその元の位置から約120度移動させることによって、NEPへのCNPペプチドの結合を潜在的に破壊する。特定の態様において、Phe7のL-Pheは、そのD-エナンチオ異性体、D-Pheで置換されている。
さらに別の態様において、ベータ-アミノ酸、例えば、3-アミノ-2-フェニルプロピオン酸(または2-フェニル-ベータ-アラニン)が、野生型アルファ-アミノ酸Phe7を置換している。ベータ-アミノ酸の使用により、ペプチド骨格長は1メチレン単位で実際上増大する。プロテアーゼ耐性は、基質構造の変化、またはアミノ酸側鎖間距離の増大に起因し得る。
非天然のアルファ-アミノ酸、ベータ-アミノ酸、またはペプチド結合イソスターを有するCNP22の変異体の非限定的な例として、以下が挙げられる:
更なる態様において、CNP変異体は、総質量が、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられ、NEP分解に対する耐性の増大のために設計されており、そして以下の式によって表され:
式中:
(x)および(z)は、独立して、不在であってもよいし、合成骨標的化合物、例えば、ビスホスホネート;骨標的または軟骨標的に有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGlu;骨タンパク質、例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、およびシアロタンパク質の骨標的ドメインに由来するアミノ酸配列;腎クリアランスを減少させるポリマー部分および非ポリマー部分、例えば、負に帯電したPEG;例えば、アミノ酸、疎水性の酸、および/または炭水化物を含有するポリマー;ならびに合成親水性ポリマー、例えばPEGからなる群より選択されてもよく;
(a)は、その位置にて野生型Lysであってもよいし、保存的アミノ酸置換基、あるいは以下に限定されないが、Arg、Gly、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、Ser、またはGluを含む、天然もしくは非天然のアミノ酸、または側鎖上に反応性第一級アミンを有していないペプチド模倣体で置換されていてもよく、一態様において、(a)はArgであり;
(b)は、Cys、およびCys6とPhe7間のペプチド結合イソスター、例えばCys-CH
2--NHからなる群より選択され;
(c)は、L-Phe;D-Phe;3-アミノ-2-フェニルプロピオン酸;PheのN-アルキル化誘導体(N-アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである);およびPhe類似体(Phe類似体のベンゼン環の1つまたは複数のオルソ位置、メタ位置、および/もしくはパラ位置は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、直鎖状もしくは分枝状のC
1~6アルキル、直鎖状もしくは分枝状のC
1~6アルコキシ、直鎖状もしくは分枝状のハロ-C
1~6アルキル、C
3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、C
6~14アリール、およびヘテロアリール(例として、以下に限定されないが、チロシン、3-クロロフェニルアラニン、2,3-クロロ-フェニルアラニン、3-クロロ-5-フルオロ-フェニルアラニン、2-クロロ-6-フルオロ-3-メチル-フェニルアラニンを含む)からなる群より選択される1つもしくは複数の置換基で置換され、または、Phe類似体のベンゼン環は、別のアリール基(非限定的な例として、1-および2-ナフチルアラニンを含む)で、もしくはヘテロアリール基(非限定的な例として、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、およびフリルアラニンを含む)で置換されていてよい)からなる群より選択され;
(d)は、Gly、tert-ブチル-Gly(tBu-Gly)、Thr、Ser、Val、およびAsnからなる群より選択され;
(e)は、Leu、Ser、Thr、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択され;
(f)は、その位置にて野生型Lysであってもよいし、保存的アミノ酸置換基、あるいは以下に限定されないが、Arg、Gly、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、Ser、またはGluを含む、天然もしくは非天然のアミノ酸、または側鎖上に反応性第一級アミンを有していないペプチド模倣体で置換されていてもよく、一態様において、(f)はArgでなく;
(g)は、Leuおよびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択され;
(h)は、Ile、tBu-Gly、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Ileからなる群より選択され;
(i)は、Met、Val、Asn、ベータ-Cl-Ala、2-アミノ酪酸(Abu)、および2-アミノ-イソ酪酸(Aib)からなる群より選択され;そして
(j)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert-ブチル-Ala(tBu-Ala)、Ser、Thr、Arg、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択される。
別の態様において、CNP変異体は、総質量が、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられ、NEP切断に対する耐性の増大のために設計されており、そして以下の式によって表され:
式中:
(x)および(z)は、独立して、不在であってもよいし、合成骨標的化合物、例えばビスホスホネート;骨標的または軟骨標的に有用なアミノ酸配列、例えば、ポリAspおよびポリGlu;骨タンパク質およびその誘導体の骨標的ドメイン、例えば、オステオポンチン、オステオカルシン、シアロタンパク質等の融合タンパク質またはペプチド配列に由来するアミノ酸配列;以下に限定されないが、親水性ポリマーまたは水溶性ポリマー、例えば、帯電したPEG分子を含む、腎クリアランスを減少させる部分;ならびに、例えば、PEG、アミノ酸、炭水化物、および/または疎水性の酸を含む部分からなる群より選択されてもよく;
(a)は、その位置にて野生型Lysであってもよいし、保存的アミノ酸置換基、あるいは以下に限定されないが、Arg、Gly、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、Ser、またはGluを含む、天然もしくは非天然のアミノ酸、または側鎖上に反応性第一級アミンを有していないペプチド模倣体で置換されていてもよく、一態様において、(a)はArgであり;
(b)は、Cys、およびCys6とPhe7間のペプチド結合イソスター、例えばCys-CH
2--NHからなる群より選択され;
(c)は、L-Phe;D-Phe;3-アミノ-2-フェニルプロピオン酸;PheのN-アルキル化誘導体(N-アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである);およびPhe類似体(Phe類似体のベンゼン環の1つまたは複数のオルソ位置、メタ位置、および/もしくはパラ位置は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、直鎖状もしくは分枝状のC
1~6アルキル、直鎖状もしくは分枝状のC
1~6アルコキシ、直鎖状もしくは分枝状のハロ-C
1~6アルキル、C
3~10シクロアルキル、C
6~14アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール(例として、以下に限定されないが、チロシン、3-クロロフェニルアラニン、2,3-クロロ-フェニルアラニン、3-クロロ-5-フルオロ-フェニルアラニン、2-クロロ-6-フルオロ-3-メチル-フェニルアラニンを含む)からなる群より選択される1つもしくは複数の置換基で置換され、または、Phe類似体のベンゼン環は、別のアリール基(非限定的な例として、1-および2-ナフチルアラニンを含む)で、もしくはヘテロアリール基(非限定的な例として、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、およびフリルアラニンを含む)で置換されていてよい)からなる群より選択され;
(d)は、Gly、tert-ブチル-Gly、Thr、Ser、Val、およびAsnからなる群より選択され;
(e)は、Leu、Ser、Thr、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択され;
(f)は、Lys、Arg、Gly、6-ヒドロキシ-ノルロイシン、シトルリン(Cit)、Gln、およびSerからなる群より選択され;
(g)は、Leu、Asnおよびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択され;
(h)は、Ile、tert-ブチル-Gly(tBu-Gly)、Asn、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Ileからなる群より選択され;
(i)は、Gly、Arg、Ser、およびAsnからなる群より選択され;
(j)は、Met、Val、Asn、ベータ-Cl-Ala、2-アミノ酪酸(Abu)、および2-アミノ-イソ酪酸(Aib)からなる群より選択され;そして
(k)は、Leu、ノルロイシン(Nle)、ホモロイシン(Hleu)、Val、tert-ブチル-Ala(tBu-Ala)、Arg、Thr、Ser、およびペプチド結合イソスター、例えばN-Me-Leuからなる群より選択される。
CNP変異体の、関節関連障害(例えば骨関節炎)の標的部位への送達を向上させるために、CNP変異体は、(例えば、N末端および/またはC末端にて)骨標的部分または軟骨標的部分に取り付けられてよい。骨標的部分または軟骨標的部分の非限定的な例として、ビスホスホネート;ヒドロキシアパタイト;グルコサミン;コラーゲン(例えばX型コラーゲン);ポリAsp;ポリGlu;および骨タンパク質、例えば、オステオクリン、オステオポンチン、オステオカルシン、およびシアロタンパク質の骨標的ドメインに由来するアミノ酸配列が挙げられる。
NEP切断にあまり感受性でないことに加えて、CNP変異体は潜在的に、NPR-Cクリアランス受容体に対する親和性が低い一方で、CNP官能性を保持している。NEP媒介分解の他に、CNP22の半減期は、クリアランス受容体、NPR-Cによって影響され、これは、NPR-Bの細胞外ペプチド結合ドメインとの58%の配列相同性を共有する。CNP22は、NPR-Bにだけでなく(7~30のpM親和性)、NPR-C(11~140pM)にも強固に結合する(Bennett, B. D. et al., J. Biol. Chem., 266: 23060-67 (1991);Koller, K. J. & Goeddel, D. V., Circulation, 86: 1081-88 (1992);Suga, S. et al., Endocrinology, 130: 229-39 (1992))。NPR-B結晶構造はまだ報告されていないが、NPR-CとNPR-Aの結晶構造間の配列相同性および類似性(He, X.-L. et al., Science, 293(5535): 1657-62 (2001);Ogawa, H. et al., J. Biol. Chem., 279(27): 28625-31 (2004);He, X.-L., J. Mol. Biol., 361(4): 698-714 (2006))は、NPR-Bがおそらく、全体的な構造的折畳みが類似するとみなされることを示唆している。
したがって、NPR-B相同モデルを、以下の関連する系の構造ベースの配列アラインメントおよび結晶構造に基づいて構築した:NPR-Cに結合したCNP、NPR-Aに結合したANP、およびNPR-Cに結合したANP(He, X.-L. et al., Science, 293(5535): 1657-62 (2001);Ogawa, H. et al., J. Biol. Chem., 279(27): 28625-31 (2004);He, X.-L., J. Mol. Biol., 361(4): 698-714 (2006))。受容体が、結合したペプチド構造を決定すると思われ、そしてNPR-Bが、一次構造および機能特性に関してNPR-Aに最も近いという観察に基づいて、NPR-B/CNP相同性モデルを、モデルとしてのNPR-A/ANP結晶構造で構築した。CNP変異体の公開されているシグナル伝達データ(米国特許第5,434,133号および米国特許出願公開第2004/0138134A1号)、およびNPR-Cにもはや結合しない機能的ANP変異体の公開されているシグナル伝達データ(Cunningham, EMBO 13(11) 2508-15, 1994)を用いて、NPR-B/CNPモデルを洗練して解釈した。
本開示は、NPR-B/CNP複合体の相同性ベースの構造モデルに基づいて、NPR-B選択性の向上のために設計されたCNP変異体を包含する。種々の受容体に結合されたナトリウム利尿ペプチドの実験的コンピュータ構造データを、公開されている機能データと組み合わせることで、NPR-Bに結合し続けるが、NPR-Cクリアランス受容体への親和性を潜在的に減少させることができるCNP変異体が生成された。例えば、NPR-Cは、ペプチド結合部位におけるループ構造内に特有の挿入を有しており、そのループ残基を、NPR-AおよびNPR-Bにおけるそれぞれのループ残基と比較して、CNP Gly8(またはANP Gly9)のようなペプチド残基のより近くに置いている。以前の研究は、ANP中のG9T突然変異が、NPR-Cに対する親和性を減少させることによって、NPR-A選択性を向上させるのに寄与していることを示した(Cunningham, EMBO J., 13(11): 2508-15 (1994))。したがって、対応するGly8残基を、より大きな残基(Ser、Val、Thr、またはAsn)と置換して、NPR-Bへの結合に影響を及ぼすことなく、NPR-CへのCNP結合を破壊したCNP変異体が作成された。さらに、1つまたは複数の突然変異を、Gly15からGly21を包含するCNPのC末端に導入した。これは、受容体/ペプチド複合体の詳細な構造分析に基づいて、受容体特異的残基と相互作用すると予測される。例えば、CNP22におけるG19R突然変異は、NPR-Bシグナル伝達活性を大きく損失しない。しかしながら、この突然変異は、隣接残基の構造を変更することなく、NPR-C/CNPの有効な結晶構造にモデル化され得ない。これらの観察は、G19R突然変異が、特定の受容体、例えばNPR-CへのCNPの結合を選択的に破壊し得ることを示唆している。
一態様において、CNP変異体は、位置1、5、8、15、19、および21の1つまたは複数のGly部位にて置換を有して、立体配座自由度を減少させることによって、受容体特異性を増大させている。NPR-CおよびNPR-Aに結合したANPの結晶構造の比較分析(Ogawa, H. et al., J. Biol. Chem., 279: 28625-31 (2004);He, X.-L., J. Mol. Biol., 361: 698-714 (2006))は、ANPの立体配座自由度が、受容体選択性の決定に重要な役割を果たし得ることを示している。
一態様において、NPR-Cに対する親和性が潜在的に減少しているCNP機能変異体は、以下のアミノ酸置換の1つまたは複数を有する:G1R、G1E、GSR、G5Q、G5S、F7Y、G8T、G8S、G8V、G8N、L9S、L9T、K10Cit、K10Q、K10S、I14N、G15R、G15S、G15N、G15Cit、S16Q、M17V、M17N、G19S、G19R、G19N、L20V、L20R、L20T、L20S、G21S、G21T、およびG21R。一態様において、CNP変異体は、位置1、5、7、8、9、10、14、15、16、17、19、20、および/または21にて多点置換を有し、そして任意で、変異体のペプチド配列中の他の位置のいずれかにて改変を有してもよい。
更なる態様において、本明細書中に記載されるCNP変異体は、部分に結合されて、最大総質量は、N末端、C末端、および/または内部の部位にて、本明細書中に一般に記載される、例えば約2.6または2.8kDaから約6または7kDaの範囲によって特徴付けられて、関節/軟骨標的を促進し、NPR-Cおよび腎クリアランスを減少させ、NEP分解に対する耐性を増大させ、かつ/またはCNP官能性を向上させ得る。一態様において、CNP変異体は、環状領域(CNP22のCys6からCys22に対応する)内の部位のポリマー部分に結合されない。CNP変異体に結合され得るポリマー部分または非ポリマー部分の非限定的な例として、合成骨標的化合物、例えばビスホスホネート;骨/軟骨標的ペプチド配列、例えばポリAspおよびポリGlu;骨タンパク質、例えばオステオポンチン、オステオカルシン、およびシアロタンパク質の骨標的ドメインに由来するペプチド配列;骨形成タンパク質、例えば、BMP2、BMP3、BMP5、BMP7、およびBMP8aの機能ドメインに由来するペプチド配列;ナトリウム利尿起源、例えば、NPPC、ANP、およびBNPのポリペプチドに由来するペプチド配列;他の天然のポリマー部分または非ポリマー部分、例えば、炭水化物、脂肪酸、およびリン脂質;生体適合性の合成親水性ポリマー、例えばPEG(またはPEO);疎水性ポリマー部分または非ポリマー部分、例えばヘプタン酸およびペンタン酸;ならびにそれらの組合せが挙げられる。
本明細書中に記載されるCNP変異体は、例えば、cGMP産生およびシグナル伝達の刺激に関して、機能活性がCNP22と実質的に同程度であり得、またはCNP22よりも良好であり得る。一態様において、CNP変異体は、wtCNP22の同じ濃度(例えば1μM)下で産生されるcGMPレベルの少なくとも約50%の産生を、インビトロまたはインビボで刺激する。特定の態様において、CNP変異体は、野生型CNP22のインビトロまたはインビボのcGMP刺激活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%を保持する。別の態様において、CNP変異体は、CNP22と比較して、cGMP刺激活性が向上している。特定の態様において、CNP変異体は、wtCNP22(例えば1μM)の同じ濃度下で産生されるcGMPレベルの少なくとも約110%、120%、130%、140%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、またはそれ以上の産生を、インビトロまたはインビボで刺激する。
C.CNP変異体の合成および精製
一部の態様において、本明細書において有用なCNP変異体は、特定の態様において、当技術分野において公知の特定の技術を用いて、組換え発現によって生成される。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, N.Y. (1989));DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II, D. N. Glover, Ed. (1985);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)参照。
特定の態様において、CNP変異体は、培地中で、切断可能なペプチドまたはタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドに連結されたCNP変異体ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、ポリヌクレオチドによってコードされる融合ポリペプチドの発現をもたらす条件下で培養することを含む組換えプロセスによって生成され、融合ポリペプチドは、切断可能なペプチドまたはタンパク質に、直接的に連結され、またはリンカーを介して間接的に結合されたCNP変異体ポリペプチドを含む。一部の態様において、宿主細胞は、切断可能なペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結されたCNP変異体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換されている。特定の態様において、融合ポリペプチドは、可溶性のタンパク質として、または包含体として発現される。発現された融合ポリペプチドは、宿主細胞または培地から単離され得、単離された融合ポリペプチドは、切断剤と接触して、CNP変異体を放出し得る。
CNP変異体を生成する方法は、参照により本明細書に組み入れられている米国特許第8,198,242号、米国特許第8,377,884号、および米国特許第8,598,121号に記載されている。
D.化学的に改変したCNP変異体
CNP変異体の化学的改変は潜在的に、改変されたCNPペプチドに、有利な特性、例えば安定性および半減期の増大、ならびに免疫原性の減少をもたらし得る(治療用タンパク質の化学的改変の一般的な考察について、Pharmazie, 57(1): 5-29 (2002)参照)。ペグ化、グリコシル化、および他の化学誘導体化の手順に加えて、例えば、リン酸化、アミド化、カルボキシル化、アセチル化、メチル化による改変、ならびに酸付加塩、アミド、エステル、およびN-アシル誘導体の作成もまた潜在的に、免疫原性領域および/またはタンパク質分解感度の高い領域を覆い隠し(mask)得る(Science, 303: 480-482 (2004))。
化学的改変の例として、限定されないが、安定性およびプロテアーゼ耐性を向上させ、かつ免疫原性を減少させるための、Bednarsakiのポリマー付加方法およびAltus Corporationの架橋方法が挙げられる。Bednarsakiは、ポリマー付加がタンパク質の温度安定性を向上させ得ることを示し(J. Am. Chem. Soc., 114(1): 378-380 (1992))、Altus Corporationは、グルタルアルデヒド架橋が酵素安定性を向上させ得ることを見出した。
ポリペプチドの化学的改変は、非特異的に実行されてもよいし(誘導体化された種の混合物となる)、部位特異的に実行されてもよいし(例えば、部位指向性の突然変異誘発および化学的改変の組合せを用いた、野生型巨大分子反応性指向性の誘導体化および/または部位選択性の改変に基づく)、代わりに、発現されたタンパク質のライゲーション方法(Curr. Opin. Biotechnol., 13(4): 297-303 (2002))を用いて実行されてもよい。
ペグ化CNP変異体
一態様において、安定性の増大のために、CNP変異体(アミノ酸の付加、置換、および/または欠失を有するものを含む)は、親水性の天然ポリマーまたは合成ポリマーに結合される。一態様において、親水性ポリマーは水溶性であるので、これに結合されるCNPペプチドは、水性(例えば生理学的)環境中で析出しない。さらに、親水性ポリマーは、生体適合性である、すなわち、損傷も、毒性も、免疫学的反応もインビボで引き起こさない。親水性ポリマーは、分枝状であっても分枝状でなくてもよい。一態様において、親水性ポリマーは分枝状でない。
CNP変異体の、親水性ポリマーへの種々の結合部位が考えられ、以下に限定されないが:(1)N末端のみ;(2)C末端のみ;(3)内部の部位(例えばLys4)のみ;(4)N末端およびC末端の双方;(5)N-末端および内部の部位;ならびに(6)C末端および内部の部位を含む。一態様において、CNP変異体は、親水性ポリマーにN末端のみにて結合されている。別の態様において、結合は、内部の部位(例えばLys4)のみにてなされる。さらに別の態様において、結合は、N-末端および内部の部位(例えばLys4)にてなされる。さらに別の態様において、より良好な官能性のために、CNP変異体は、親水性ポリマーに、環状ドメイン(CNP-22のCys6からCys22に対応する)内の部位(例えばLys10)にて結合されない。親水性ポリマーへの結合がCNP変異体上の反応性の一級アミノ基との結合形成に基づくならば、内部の部位(例えば、Lys4および/またはLys10)での結合は、Lys4および/またはLys10の、側鎖上に反応性の一級アミノ基を含有しない天然もしくは非天然のアミノ酸またはペプチド模倣体、例えば、Gly、Ser、Arg、Asn、Gln、Asp、Glu、またはシトルリン(Cit)との置換によって妨げられ得る。特定の態様において、Lys4および/またはLys10は、Argと置換されている。別の態様において、Lys10はArgと置換されていない。
親水性ポリマーの非限定的な例として、カルボン酸を有するモノマー(例えば、メタクリル酸(MA)およびアクリル酸(AA))から形成されるポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシル基を有するモノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、および3-トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA))から形成されるポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、モノ-C1~C10アルコキシ-PEG(例えばモノメトキシ-PEG)、トレシルモノメトキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、PEGプロピオンアルデヒド、ビス-スクシンイミジルカーボネートPEG、2-メタクリロイルオキシエチル-ホスホリルコリン(MPC)およびN-ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、ヒドロキシ官能ポリ(N-ビニルピロリドン)(PVP)、SIS-PEG(SISは、ポリスチレン-ポリイソブチレン-ポリスチレンブロックコポリマーである)、ポリスチレン-PEG、ポリイソブチレン-PEG、PCL-PEG(PCLは、ポリカプロラクトンである)、PLA-PEG(PLAは、ポリ乳酸である)、PMMA-PEG(PMMAは、ポリ(メタクリル酸メチル)である)、PDMS-PEG(PDMSは、ポリジメチルオキサノンである)、PVDF-PEG(PVDFは、ポリフッ化ビニリデンである)、PLURONIC(商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド-コ-ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(L-リジン-g-エチレングリコール)(PLL-g-PEG)、ポリ(L-リジン-g-ヒアルロン酸)(PLL-g-HA)、ポリ(L-リジン-g-ホスホリルコリン)(PLL-g-PC)、ポリ(L-リジン-g-ビニルピロリドン)(PLL-g-PVP)、ポリ(エチルイミン-g-エチレングリコール)(PEI-g-PEG)、ポリ(エチルイミン-g-ヒアルロン酸)(PEI-g-HA)、ポリ(エチルイミン-g-ホスホリルコリン)(PEI-g-PC)、ポリ(エチルイミン-g-ビニルピロリドン)(PEI-g-PVP)、PLL-co-HA、PLL-co-PC、PLL-co-PVP、PEI-co-PEG、PEI-co-HA、PEI-co-PC、PEI-co-PVP、セルロースおよびその誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸およびその誘導体(例えばヒアルロン酸ナトリウム)、エラスチン、キトサン、アクリルサルフェート、アクリルスルホネート、アクリルスルファメート、メタクリルサルフェート、メタクリルスルホネート、メタクリルスルファメート、それらのポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せのポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
特定の態様において、親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)とも呼ばれるポリ(エチレングリコール)(PEG)である。本明細書において用いられる用語「PEG」または「PEO」は、PEGの分枝状および非分枝状の全ての形態を包含し、これらは、限定されないが、モノ(C1~C10)アルコキシ-PEGおよびアリールオキシ-PEGを含むポリペプチドを誘導体化するのに用いられ得る。
一態様において、PEG-CNP結合型は、式(CH2CH2O)nのPEG(またはPEO)ポリマーを含み、式中、nは、約6から約100の整数であり、PEGポリマーは、約0.3kDaから約5kDaである。別の態様において、nは、約12から約50の整数であり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約2.5kDaである。さらに別の態様において、nは、約12から約24であり、PEGポリマーは、約0.6kDaから約1.2kDaである。更なる態様において、PEGポリマーの末端ヒドロキシル基は、非反応性基でキャッピングされている。特定の態様において、エンドキャッピング基は、アルキル基、例えばメチル等の低級アルキル基であるので、PEGポリマーはアルコキシ基で終わる。一態様において、PEGポリマーは、分枝状でない。別の態様において、CNP-22またはその変異体は、N末端のみにてPEGポリマーに結合されている。
PEGおよびPEOとして潜在的に、分子量の分布を有する分子、すなわち、調製される方法に応じて、潜在的に多分散性である分子が挙げられる。ポリマー調製のサイズ/質量分布は、その重量平均分子量(Mw)およびその数平均分子量(Mn)によって統計学的に特徴付けられ得、その比率は多分散指数(Mw/Mn)と呼ばれる。MwおよびMnは、質量分光法によって測定され得る。1.5kDaよりも大きいPEG部分に結合したPEG-CNP変異体は、親PEG分子の多分散性に起因して、広範な分子量を示し得る。例えば、mPEG2K(Sunbright ME-020HS, NOF Co.)の場合、PEG分子の分子質量は、約1.5kDaから約3kDaの範囲にわたって分布し、多分散指数は1.036である。それに反して、Pierce Biotechnology(Rockford, Illinois)のMS(PEG)n試薬(n=4、8、12、または24、例えば、「PEO12」または「PEO24」として表される)を用いると、CNP-22またはその変異体に結合したPEGは、単分散性であり、鎖長は不連続であり、分子量が定義される。
PEG部分を含むポリペプチドを生成する方法は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,824,784号参照)。ペグ化CNPペプチドを調製する方法は一般に、(a)PEGをCNPペプチドに(例えばN末端にて)取り付けるのに適した条件下で、CNP-22またはその変異体をペグ化試薬と反応させる工程と、(b)反応産物を得る工程とを含む。CNPペプチドをペグ化することで、NPR-Bへの結合は、PEG部分のサイズおよびペグ化の位置に応じて大きく変わり得るので、様々な種類のPEGおよびペグ化反応条件が探究され得る。CNPペプチドのペグ化に用いられ得る化学作用として、メトキシPEG(O-[(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)-メチル]-O’-メチルポリエチレングリコール)のNHS-エステルを用いた、ペプチドの反応性第一級アミンのアシル化が挙げられる。メトキシ-PEG-NHSまたはメトキシ-PEG-SPAとのアシル化により、アミド結合が生じて、元の第一級アミンのいかなる電荷も除外される。符号「PEO12」または「PEO24」で指定されるPEG-CNP変異体、ならびに符号「PEG1K」、「PEG2K」、「PEG5K」、または「PEG20K」で指定されるPEG-CNP変異体は、ペプチド上の一級アミノ基の、NHSエステルで活性化された、メトキシエンドキャッピングされたPEG試薬との反応を介して、ペグ化されている。PEG-CNP変異体はまた、他の方法によって、例えば、ペプチド上の一級アミノ基およびPEGアルデヒド、例えば、PEG-プロピオンアルデヒド、またはモノ-C1~C10アルコキシもしくはそのアリールオキシ誘導体が関与する還元アミノ化を介して調製されてもよい(米国特許第5,252,714号参照)。
リボソームタンパク質の合成とは異なり、合成ペプチドの合成は、C末端からN末端に進む。したがって、Boc-PEG(tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)を含有する)は、PEGをペプチドのC末端に取り付ける一方法である(R. B. Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85(14): 2149-2154 (1963))。これ以外にも、Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)化学物質が使用され得る(E. Atherton and R.C. Sheppard, Solid Phase Peptide Synthesis: a Practical Approach, IRL Press (Oxford, England (1989))。
PEG-CNP変異体を調製する方法は、ポリマー-タンパク質結合型の、実質的に同質の混合物を提供する。精製後の不連続なPEG-CNP調製物は、生物学的特性のインビトロ試験およびインビボ試験にとって十分に純粋である。ペグ化の性質および程度は、例えば、PAGEおよびHPLC分析を用いて判定され得る。特定の態様において、CNP変異体の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、N末端にてモノペグ化されている。CNPの生物学的特性に対するペグ化の有益な効果を最適化するために、PEG部分のポリマー長、構造(例えば、分枝状または直鎖状)および/または官能化(例えば、負に帯電した基の付加)が変えられてよい。ペグ化CNP変異体は、NEP耐性、薬物動態、および生物活性(例えば、NPR-Bに結合して、cGMPの生成を刺激する能力)について試験される。NEP耐性の向上、およびCNP-22のcGMP刺激活性の少なくとも約50%を示すペグ化CNP変異体はさらに、例えば、ラット軟骨肉腫細胞ベースの軟骨形成不全モデルにおいてインビトロで、そしてマウス軟骨形成不全動物モデルにおいてインビボで試験され得る。
E.CNP変異体を用いる方法、CNP変異体の薬学的組成物、および投与経路
CNP変異体を用いる方法
以下の実施例に記載されるように、ここで報告される実験は、本明細書中に開示されるCNP変異体が、骨関節炎の処置に有用であるという証拠を提供する。したがって、本発明の態様は、骨関節炎と診断された対象にCNP変異体を投与することを含む。結果として、対象における軟骨変性の割合は、低下し得、そして場合によっては、逆転され得る(すなわち、軟骨は、再生するように誘導され得る)。したがって、骨関節炎と関連した種々の症候およびバイオマーカーは、向上し得る。実施例は、Gly-CNP-37およびPro-Gly-CNP-37の有用性を示すが、本明細書において開示される他の変異体もまた有効性について試験されて、同じように用いられ得る。特に、Gly-CNP-37およびPro-Gly-CNP-37は、軟骨成長、運動能、および運動技術の劇的な向上、ならびに軟骨変性の顕著な減少の兆候を示す。
骨関節炎は、先に記載されるように、患者からの徴候および症候の報告に基づいて、同様に特定の関節における軟骨損傷を判定するための医用画像に基づいて、診断され得る。撮像の方法として、放射線写真撮影法、磁気共鳴画像法(MRI)、光干渉断層撮影法(OCT)、および超音波(US)が挙げられる(Gold et al., Bone J. 51:278-88, 2012)。撮像により、多くの場合、関節の狭小化、関節領域における骨増殖体および軟骨下嚢胞、関節軟骨の薄化、退行性の軟骨下骨髄変化、ならびに骨融合が検出され得る。種々の態様において、本明細書において考えられるCNP変異体の投与は、関節領域における軟骨変性、軟骨成長、患者の運動能、関節狭小化、骨増殖体、および軟骨下嚢胞、関節軟骨の薄化、退行性の軟骨下骨髄変化、ならびに骨融合だけでなく、当技術分野において公知の他のものを含む、本明細書中に記載される骨関節炎の1つまたは複数の症候を向上させる。
特定の例において、骨関節炎は、原発性骨関節炎と続発性骨関節炎に分けられた(Stacy et al., Primary Osteoarthritis Imaging, 2012)。一次性関節炎は、多くの場合より年老いた個体において、そして以前に無傷の関節において、明らかな開始因子なく起こる特発性現象を指す。続発性骨関節炎は、一部の素因的状態に起因する滑膜関節の変性疾患、通常、罹患関節の関節軟骨および/または軟骨下骨に悪影響が及んだ外傷を指し得る。続発性骨関節炎は、比較的若い個体に起こり得る。原発性骨関節炎および続発性骨関節炎の双方の処置が、本明細書において意図される。
関節炎の重篤度は、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC)(Kirkley et al., N Engl J Med 359:1097-1107, 2008)、Short Form-36(SF-36)Physical Component Summary(Ware et al., Med Care 30:473-483, 1992)、およびArthritis Self-Efficacy Scale(ASES)(Lorig et al., Arthritis Rheum 32:37-44, 1989)でスコア化され得る。X線撮影法の重篤度は、改変Kellgren-Lawrence分類(Kellgren et al., Ann Rheum Dis 1957; 16:494-502;Blackburn et al., J Rheumatol; 21:675-679, 1994)によって評価され得る。
骨関節炎は、以下に限定されないが、膝、肩、肘、指、手、手首、股、足首、首、脊柱、および/または背下部を含む関節中の軟骨に影響を及ぼし得る。関節炎が背中のものであるならば、骨関節炎の症候として、関節の痛み、関節の硬直、関節の腫れ、可動域の減少、ならびに腕および脚の虚弱または麻痺が挙げられる。現在、骨関節炎の新規の有効な処置の、満たされていないニーズがある。軟骨細胞のマトリックス生産ならびに成長および分化を促進することによって、本明細書中に記載されるCNP変異体は、FGF-2の望ましくない影響に対処するために、および骨関節炎を含む関節炎に苦しむ対象においてマトリックス合成を増大させることによって骨関節炎を含む関節炎を処置するために、有用であることが示される。
種々の態様において、軟骨の損傷または成長は、軟骨細胞の死/損失、プロテオグリカン(PG)の損失、およびコラーゲンの損失またはフィブリル化によって分析される。処置後の軟骨の損傷および向上はまた、本明細書中に記載される少なくとも1つの軟骨特異的バイオマーカーのレベルを測定することによって評価され得る。運動能の向上は、本明細書中に記載され、かつ当技術分野において公知の任意の運動能尺度および評価尺度によってモニタされ得る。
骨関節炎の処置として、多くの場合、抗炎症薬、例えばアスピリン、ナプロキセンまたはイブプロフェンを含むNSAIDS、アセトアミノフェン、グルココルチコイド、ステロイド、およびヒアルロン酸を用いる痛み管理が挙げられる。関節炎の中程度から重度の形態はまた、罹患関節を置換し、または痛みを引き起こすこととなり得る一部の軟骨を除去する外科手術により処置され得る(Kirkey et al., N Engl J Med 359:1097-1107, 2008)。本明細書中のCNP変異体は、本明細書中に記載され、または処置医師に公知の、骨関節炎を処置するのに一般的に用いられる別の処置と共に施されてよい。
CNP変異体の薬学的組成物
付加的な態様において、本開示は、CNP変異体、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、キャリアおよび/または希釈剤を含む薬学的組成物の使用を意図する。特定の態様において、組成物はさらに、1つまたは複数の他の生物学的に活性な剤(例えば、プロテアーゼ、受容体チロシンキナーゼ、および/またはクリアランス受容体NPR-Cのインヒビター)を含む。
一部の態様において、組成物は、所望のCNP変異体を、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の純度で含む。特定の態様において、組成物は、高分子混入物、例えば他の哺乳類(例えばヒト)タンパク質および他のCNP変異体を、約10%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.5%未満含有する。
賦形剤、キャリア、および希釈剤の非限定的な例として、ビヒクル、液体、バッファー、等張剤、添加物、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバント等が挙げられる。組成物は、液体(例えば、水、エタノール);種々のバッファー内容物(例えば、トリス-HCl、リン酸、酢酸バッファー、クエン酸バッファー)、pHおよびイオン強度の希釈剤;洗剤および可溶化剤(例えば、Polysorbate 20、Polysorbate 80);抗酸化剤(例えば、メチオニン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム);防腐剤(例えば、Thimerosol、ベンジルアルコール、m-クレゾール);ならびに増量物質(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース)を含有してよい。薬学的組成物の配合における賦形剤、希釈剤、およびキャリアの使用は、当技術分野において公知である;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, pages 1435-1712, Mack Publishing Co.(Easton, Pennsylvania (1990))参照。この文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
例えば、キャリアとして、限定されないが、活性成分と反応しない希釈剤、ビヒクルおよびアジュバント、同様にインプラントキャリア、および不活性の、毒性のない固体または液体の充填剤、および封入材料が挙げられる。キャリアの非限定的な例として、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、およびエマルジョン(例えば油/水エマルジョン)が挙げられる。キャリアは、例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、およびそれらの混合物を含有する溶媒であっても分散培地であってもよい。
一部の態様において、組成物は、液体製剤である。特定の態様において、製剤は、CNP変異体を、約0.1mg/mlから約20mg/ml、約0.5mg/mlから約20mg/ml、約1mg/mlから約20mg/ml、約0.1mg/mlから約10mg/ml、約0.5mg/mlから約10mg/ml、または約1mg/mlから約10mg/mlの濃度範囲で含む。
更なる態様において、組成物は、CNP含有溶液またはCNP含有懸濁液のpHを所望の範囲内に維持するためのバッファー溶液または緩衝剤を含む。バッファー溶液の非限定的な例として、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、およびHank緩衝生理食塩水が挙げられる。緩衝剤として、限定されないが、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウムが挙げられる。緩衝剤の混合物が用いられてもよい。特定の態様において、緩衝剤は、酢酸/アセテートまたはクエン酸/シトレートである。組成物中の適した緩衝剤の量は、部分的に、用いられる特定のバッファー、および溶液または懸濁液の所望のpHによって決まる。例えば、アセテートは、pH6よりもpH5にてより有効なpHバッファーであるので、アセテートは、pH6よりもpH5の溶液により少ない量で用いられ得る。一部の態様において、緩衝剤は、濃度が約10mM±5mMである。特定の態様において、組成物のpHは、約pH3から約pH7.5、約pH3.5から約pH7、約pH3.5から約pH6.5、約pH4から約pH6、もしくは約pH4から約pH5、または約pH5.0±1.0である。
他の態様において、組成物は、溶液または懸濁液を注射用に等張性にし、かつより適合するようにする等張性調整剤を含有する。等張剤の非限定的な例として、NaCl、デキストロース、グルコース、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、およびエタノールが挙げられる。特定の態様において、等張剤は、NaClである。特定の態様において、NaClは、約160±20mM、約140mM±20mM、約120±20mM、約100mM±20mM、約80mM±20mM、または約60mM±20mMの濃度である。
種々の態様において、組成物は、防腐剤を含む。防腐剤として、以下に限定されないが、m-クレゾールおよびベンジルアルコールが挙げられる。特定の態様において、防腐剤は、約0.4%±0.2%、約1%±0.5%、約1.5%±0.5%、または約2.0%±0.5%の濃度である。
種々の態様において、組成物は、(例えば、CNP変異体の、ガラスまたはプラスチックへの吸着を軽減する)抗吸着剤を含有する。抗吸着剤として、限定されないが、ベンジルアルコール、Polysorbate 20、およびPolysorbate 80が挙げられる。特定の態様において、抗吸着剤は、約0.001%から約0.5%、約0.01%から約0.5%、約0.1%から約1%、約0.5%から約1%、約0.5%から約1.5%、約0.5%から約2%、または約1%から約2%の濃度である。
種々の態様において、組成物は、安定化剤を含む。安定化剤の非限定的な例として、グリセリン、グリセロール、チオグリセロール、メチオニン、ならびにアスコルビン酸およびその塩が挙げられる。一部の態様において、安定化剤がチオグリセロールまたはアスコルビン酸もしくはその塩である場合、安定化剤は、約0.1%から約1%の濃度である。他の態様において、安定化剤がメチオニンである場合、安定化剤は、約0.01%から約0.5%、または約0.01%から約0.2%の濃度である。さらに他の態様において、安定化剤がグリセリンである場合、安定化剤は、約5%から約100%(正味)の濃度である。
種々の態様において、組成物は、抗酸化剤を含有する。例示的な抗酸化剤として、限定されないが、メチオニンおよびアスコルビン酸が挙げられる。特定の態様において、抗酸化剤の、CNP変異体に対するモル比は、約0.1:1から約15:1、約1:1から約15:1、約0.5:1から約10:1、約1:1から約10:1、または約3:1から約10:1である。
薬学的に許容される塩が、組成物に用いられてよく、限定されないが、無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩)、有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩)、およびアミン(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン)の塩を含む。薬学的に許容される塩の詳細な考察が、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Company(Easton, Pennsylvania (1990))に見出される。
薬学的組成物は、種々の形態、例えばタブレット、カプセル、顆粒、粉末、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、および経皮パッチで投与されてよい。組成物の剤型は、組成物の所望の投与モードに合わせて調整されてよい。経口投与用に、組成物は、例えば、タブレットまたはカプセル(軟質ゲルカプセルを含む)の形態をとってもよいし、例えば、水性溶液もしくは非水性溶液、懸濁液、またはシロップであってもよい。経口投与用のタブレットおよびカプセルは、1つまたは複数の一般的に用いられる賦形剤、希釈剤、およびキャリア、例えばマンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、デンプン、コーンスターチ、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、炭酸マグネシウム、および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム)を含んでよい。所望される場合、香料、着色剤、および/または甘味剤が、固体製剤および液体製剤に加えられてよい。経口製剤用の他の任意の成分として、限定されないが、防腐剤、懸濁化剤、および増粘剤が挙げられる。経口製剤は、胃の酸性環境からCNP変異体を保護する腸溶コーティングを有してもよい。固体剤型および液体剤型を調製する方法が公知であり、または当業者にとって明らかであろう(例えば、先で参照したRemington’s Pharmaceutical Sciences参照)。
非経口投与用の製剤が、例えば、液体溶液もしくは懸濁液として、注射前の液体培地中での可溶化もしくは懸濁に適した固体形態として、またはエマルジョンとして、調製されてよい。例えば、注射可能な滅菌溶液および懸濁液が、当技術分野において公知の技術に従って、適切な希釈剤、キャリア、溶媒(例えば、緩衝水溶液、Ringer溶液、生理食塩水)、分散剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤等を用いて配合され得る。また、滅菌固定油、脂肪酸エステル、ポリオール、および/または他の不活性成分が用いられてもよい。更なる例として、非経口投与用の製剤として、水性滅菌注射可能溶液が挙げられ、これは、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および、製剤を、意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質;ならびに、懸濁化剤および増粘剤を含有してよい、水性滅菌懸濁液および非水性滅菌懸濁液を含有してよい。
例示的なCNP製剤が、米国特許第8,198,242号および米国特許第8,598,121号に記載されている。pHが約4から約6の範囲にあるCNP製剤の使用が意図される。
種々の態様において、CNP変異体は、骨関節炎または骨関節炎の症候に罹患した対象への投与用に、薬学的キャリア中に配合されてよい。一部の態様において、CNP変異体の液体製剤は、成分の任意の組合せに従って配合され、その量または濃度は、以下に記載される:
1グリセリンは、CNP変異体の、水による加水分解、脱アミド、異性化、または切断を最小にし、または防止するのに用いられる。凍結乾燥剤について、4~6%または6~20%のマンニトールまたはスクロースが、NaClに置換されてよい。
CNP変異体を含む組成物は、凍結乾燥剤であってもよい。特定の態様において、凍結乾燥剤は、バッファーおよびバルク剤、そして任意で抗酸化剤を含む。例示的なバッファーとして、限定されないが、酢酸バッファーおよびクエン酸バッファーが挙げられる。例示的なバルク剤として、限定されないが、マンニトール、スクロース、デキストラン、ラクトース、トレハロース、およびポビドン(PVP K24)が挙げられる。特定の態様において、マンニトールは、約3%から約10%、約4%から約8%、または約4%から約6%の量である。特定の態様において、スクロースは、約6%から約20%、約6%から約15%、または約8%から約12%の量である。
種々の態様において、CNP変異体の凍結乾燥剤は、以下に記載される成分、およびそれらの量または濃度の任意の組合せに従って配合された製剤から調製される:
1グリセリンは、CNP変異体の、水による加水分解、脱アミド、異性化、または切断を最小にし、または防止するのに用いられる。
種々の態様において、CNP変異体を含む製剤は、pHが約3~7、約3~6、約3.5~6.5、約4~6、約4~5、または約4.5~5.5である。一部の態様において、pH4~5.5について、適切な緩衝剤は、酢酸/アセテート(例えば酢酸ナトリウム)であり、pH5.5~6について、適切な緩衝剤は、クエン酸/シトレートである。クエン酸/シトレート(例えばクエン酸ナトリウム)は、pH3~6またはpH4~6の範囲においても適切な緩衝剤でもある。特定の態様において、緩衝剤は、製剤中の濃度が約2~50mM、約2~40mM、約2~30mM、約5~30mM、約2~20mM、約5~20mM、または約5~15mMである。
CNP変異体の脱アミドを最小にし、または回避するために、変異体は、薬学的に許容される有機共溶媒、例えばグリセリン、エタノール、およびプロピレングリコール中に配合されてよい。脱アミドは加水分解によって起こるので、有機共溶媒を水の代わりにして、CNP変異体の、水との接触が最小にされる。有機水性溶媒系中の1つまたは複数の有機溶媒の濃度は、例えば、約10%から約99%、または、水が用いられないならば、約100%であってよい。
また、CNP変異体の脱アミドを最小にし、または回避するために、凍結乾燥によって製剤から水が除去されてよい。一部の態様において、凍結乾燥剤は、以下の成分:バッファー:酢酸ナトリウムおよび酢酸、またはクエン酸ナトリウムおよびクエン酸;等張剤/増量剤:マンニトール(例えば、3~10%、2~8%、または4~6%);スクロース(例えば、6~20%、5~15%、または8~12%);抗酸化剤:メチオニンおよび/またはアスコルビン酸の任意の組合せを含有し、各抗酸化剤の、CNP変異体に対するモル比は、約0.1:1から約1:1、約0.5:1から約5:1、約1:1から約15:1、約1:1から約10:1、または約3:1から約10:1である。
また、脱アミドは、CNP組成物(例えば、液体製剤または凍結乾燥剤)をより低い温度、例えば約5℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、または-100℃にて保存することによって、最小にされ得、または回避され得る。
CNP変異体中の酸化性残基(例えばメチオニン)の酸化を最小にし、または回避するために、変異体は、1つまたは複数の抗酸化剤と共に配合されてよい。例示的な抗酸化剤として、以下に限定されないが、メチオニン、アスコルビン酸、およびチオグリセロールが挙げられる。また、例えばメチオニン残基の酸化は、(液体製剤ならば)液体培地から窒素もしくはアルゴンで酸素をパージすることによって、かつ/またはコンテナもしくは包装から窒素もしくはアルゴンで酸素をパージすることによって、最小にされ得、または防止され得る。
一部の態様において、吸着(例えば、CNP変異体の、プラスチックまたはガラスへの吸着)を最小にし、または防止するために、Polysorbate 20、Polysorbate 80、もしくはベンジルアルコール、またはそれらの組合せが、CNP製剤に加えられる。特定の態様において、各抗吸着剤は、約0.001%から約0.5%、約0.01%から約0.5%、約0.1%から約1%、約0.5%から約1%、約0.5%から約1.5%、約0.5%から約2%、または約1%から約2%の濃度である。製剤中の抗吸着剤の例示的な範囲として、限定されないが、約0.001%から約0.5%のPolysorbate 20、約0.001%から約0.5%のPolysorbate 80、および/または約0.5%から約1.5%のベンジルアルコールが挙げられる。
特定の態様において、液体CNP製剤は、以下を含み、または凍結乾燥CNP製剤は、以下を含む製剤から調製される:(1)約30mM±5または10mMの濃度の緩衝剤を有し、pHが約4±0.5または1である酢酸/アセテート(例えば酢酸ナトリウム)バッファー、および(2)約1%±0.5%の濃度にてベンジルアルコール(例えば、防腐剤および/または抗吸着剤として)、そして任意で(3)約10%±5%の濃度にてスクロース。
本開示はまた、例えば、液体(例えば注射可能な滅菌)製剤または固体(例えば凍結乾燥された)製剤を含むボトル、バイアル、アンプル、管、カートリッジ、および/またはシリンジを含有するキットを提供する。キットはまた、限定されないが、注射用に、または濃縮物をより低い濃度に希釈するために、凍結乾燥剤をシリンジ内で再構成することを含む、固体(例えば凍結乾燥された)製剤を投与(例えば、注射による)用の溶液または懸濁液に再構成するための、薬学的に許容されるビヒクルまたはキャリア(例えば、溶媒、溶液、および/またはバッファー)を含有することもできる。さらに、即席注射溶液および懸濁液が、例えば、CNP含有組成物を含む滅菌粉末、顆粒、またはタブレットから調製され得る。キットはまた、分配装置、例えばエーロゾルまたは注射分配装置、ペンインジェクタ、オートインジェクタ、無針インジェクタ、シリンジ、および/または針を備えてもよい。
非限定的な例として、キットは、シングルチャンバまたはデュアルチャンバを有するシリンジを備えてよい。シングルチャンバシリンジについて、シングルチャンバは、注射用の溶液もしくは懸濁液に再構成され得る、注射用に準備された液体CNP製剤、固体(例えば凍結乾燥された)CNP製剤、または比較的少ない量の適切な溶媒系(例えばグリセリン)中のCNP変異体の液体製剤を含有してよい。デュアルチャンバシリンジについて、一方のチャンバが、薬学的に許容されるビヒクルまたはキャリア(例えば、溶媒系、溶液、またはバッファー)を含有してよく、他方のチャンバが、注射のために、第1のチャンバのビヒクルまたはキャリアを用いて溶液または懸濁液に再構成され得る、CNP変異体の固体(例えば凍結乾燥された)CNP製剤、または比較的少ない量の適切な溶媒系(例えばグリセリン)中の液体製剤を含有してよい。
更なる例として、キットは、1つまたは複数のペンインジェクタ装置またはオートインジェクタ装置、およびデュアルチャンバカートリッジを備えてよい。カートリッジの一方のチャンバが、薬学的に許容されるビヒクルまたはキャリア(例えば、溶媒系、溶液、またはバッファー)を含有してよく、他方のチャンバが、注射のために、第1のチャンバのビヒクルまたはキャリアを用いて溶液または懸濁液に再構成され得る、CNP変異体の固体(例えば凍結乾燥された)CNP製剤、または比較的少ない量の適切な溶媒系(例えばグリセリン)中の液体製剤を含有してよい。カートリッジは、所望の期間(例えば、1日、2日、3日、1週、2週、3週、4週等)にわたる投薬に十分な量のCNP変異体を含むことができる。ペンインジェクタまたはオートインジェクタは、所望の量のCNP製剤をカートリッジから投与するように調整され得る。
また、CNP変異体を含む薬学的組成物は、所望の期間、例えば1週、2週、3週、1ヵ月、2ヵ月、または3ヵ月にわたって投薬量の比較的一定のレベルを維持するための徐放系、放出制御系、または持続的放出系として製剤化されてよい。徐放製剤、放出制御製剤、および持続的放出製剤は、当技術分野において公知なように、例えば、生物分解性ポリマー系{これは、例えば、親水性ポリマー[例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-グリコリド)]を含んでよい}を用いて調製されてよく、そして、例えば、マイクロパーティクル、マイクロスフェア、またはリポソームの形態をとってよい。
投薬量および投薬の頻度
本明細書において用いられる用語、活性剤(例えばCNP変異体)の「治療的有効量」は、患者に治療的利点をもたらす量を指す。量は、個体毎に変わってよく、患者の全体的な健康状態を含むいくつかの要因によって決定され得る。CNP変異体の治療的有効量が、公開されている材料および手順を用いて、当業者によって容易に確認され得る。例えば、治療に用いられるCNP変異体の量は、軟骨変性の逆転、または軟骨成長の増大の許容可能な速度を与えるべきである。
特定の個体についての投薬頻度は、処置されることになる障害、ならびに治療に対する個体の状態および反応を含む種々の要因に応じて変わり得る。特定の態様において、CNP変異体を含有する薬学的組成物は、対象に、1日あたり約1回、2日あたり1回、3日あたり1回、1週あたり1回、1週あたり2回、1週あたり3回、2週毎に1回、または毎月投与される。
本明細書における使用が意図されるCNP変異体は、骨関節炎、および骨関節炎関連症候がある他の症状を処置し、改善し、または予防するのに治療的に有効な用量で、患者に投与されてよい。CNP変異体の安全性および治療的有効性は、細胞培養または実験動物において標準的な薬理学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%が致死する用量)およびED50(集団の50%で治療的に有効な用量)を判定することによって、判定され得る。毒性の作用と治療的効果との用量比が治療指数であり、これは、LD50/ED50比として表され得る。大きな治療指数を示す活性剤が通常好ましい。
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータが、ヒトに用いられる投薬量の範囲を定めるのに用いられ得る。投薬量は通常、毒性がほとんどないかごく僅かな、ED50を含む循環濃度の範囲内に収まる。投薬量は、この範囲内で、使用される剤型および利用される投与経路に応じて変わってよい。治療的に有効な用量は、細胞培養アッセイおよび動物実験から決定され得る。
特定の態様において、本明細書中に記載されるCNP変異体は、約5または10nmol/kgから約300nmol/kg、または約20nmol/kgから約200nmol/kgの範囲の用量にて投与される。一部の態様において、CNP変異体は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、750、1000、1250、1500、1750、もしくは2000nmol/kgの用量にて、または処置医師によって適切であると考えられた他の用量にて投与される。他の態様において、CNP変異体は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、もしくは1000μg/kg、または約1、1.25、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、もしくは10mg/kgの用量にて、あるいは処置医師によって適切であると考えられた他の用量にて投与される。本明細書中に記載されるCNP変異体の用量は、限定されないが、毎日、1週あたり2または3回、毎週、2週毎、3週毎、毎月等を含む、本明細書中に記載される投薬頻度/投与頻度に従って投与されてよい。
特定の対象についてのCNP変異体の投薬/投与の頻度は、処置されることになる障害、ならびに治療に対する対象の状態および反応を含む種々の要因に応じて変わってよい。CNP変異体は、投薬あたり単回投与で投与されても複数回投与で投与されてもよい。特定の態様において、CNP変異体は、単回投与で、または複数回投与で、毎日、隔日、3日毎、1週あたり2回、1週あたり3回、毎週、隔週、3週毎、毎月、6週毎、2ヵ月毎、3ヵ月毎、または処置医師によって適切であると考えられるように投与される。
一部の態様において、CNP変異体は、成長(例えば軟骨形成)の期間に続く、回復期間も見越して投与される。例えば、CNP変異体は、静脈内に、皮下に、関節内に、または別のモードによって、しばらくの間、毎日または1週あたり複数回投与されてから、処置なしの期間が続いてよく、そしてサイクルが繰り返される。一部の態様において、処置の初期の期間(例えば、毎日、または1週あたり複数回のCNP変異体が投与される)は、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間である。関連する態様において、処置なしの期間は、3日間、1週間、2週間、3週間、または4週間続く。特定の態様において、CNP変異体の投薬レジメンは、3日間、毎日に続いて3日オフ;または1週間、毎日もしくは1週あたり複数回に続いて3日もしくは1週オフ;または2週間、毎日もしくは1週あたり複数回に続いて1週もしくは2週オフ;または3週間、毎日もしくは1週あたり複数回に続いて1週、2週、もしくは3週オフ;または4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、もしくは12週間、毎日もしくは1週あたり複数回に続いて1週、2週、3週、もしくは4週オフである。
投与モード
CNP変異体、またはこれを含む薬学的組成物は、種々の経路で、例えば、皮下、関節内、静脈内、動脈内、腹膜内、筋肉内、皮内、または髄腔内注射によって、対象に投与されてよい。一態様において、CNP変異体は、単回の皮下、関節内、静脈内、動脈内、腹膜内、筋肉内、皮内、または髄腔内注射によって、1日1回、隔日に1回、3日毎に1回、または1週につき1回投与される。
CNP変異体はまた、疾患の部位での、またはその近くへの直接注射によって投与されてもよい。さらに、CNP変異体は、標的作用部位(例えば、異常な、または変質した関節領域または軟骨領域)でのデポーの埋込みによって投与されてよい。これ以外にも、CNP変異体は、舌の下に舌下的に(例えば舌下錠)、肺中への吸入(例えば、インヘラまたはエーロゾルスプレー)によって、鼻腔中への送達(例えば鼻腔内スプレー)によって、眼中への送達(例えば点眼)によって、または経皮的送達によって(例えば、皮膚へのパッチによって)投与されてよい。CNP変異体は、マイクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム(電荷をもたない、または電荷をもった(例えばカチオン))、ポリマーマイクロパーティクル(例えば、ポリアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-グリコリド))、マイクロエマルジョン等の形態で、経口投与されてもよい。
投与の更なる方法は、浸透圧ポンプ(例えばAlzetポンプ)またはミニポンプ(例えばAlzetミニ浸透圧ポンプ)によるものであり、これらにより、所定の期間にわたるCNP変異体または薬学的組成物の制御された、連続的かつ/または徐放性の送達が可能となる。浸透圧ポンプまたはミニポンプは、皮下に、または標的部位(例えば、肢の長骨、骨端等)の近くに埋め込まれてよい。
CNP変異体またはその組成物が他のモードによっても投与され得ることは、当業者にとって明らかであろう。CNP変異体またはその組成物の投与の最も有効なモードの決定は、当業者の技術範囲内である。
CNP変異体は、例えば、経口(口腔内および舌下を含む)、直腸、経鼻、局所的、肺、膣、もしくは非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、関節内、および静脈内を含む)投与に適した薬学的製剤として、または吸入もしくは通気による投与に適した形態で投与されてよい。意図される投与モードに応じて、薬学的製剤は、固体、半固体、または液体の剤型、例えばタブレット、坐薬、ピル、カプセル、粉末、液体、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏、ローション等の形態であってよい。製剤は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤型で提供されてよい。製剤は、有効量のCNP変異体、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、キャリア、および/または希釈剤、そして任意で1つもしくは複数の他の生物学的に活性な剤を含む。
併用療法
一態様において、CNP変異体は、骨関節炎を処置し、改善し、または予防するのに有用な1つまたは複数の他の活性剤と併用されてよい。他の活性剤は、CNP変異体の効果を増強することができ、かつ/またはCNP変異体の効果以外の他の薬理効果を生じることができる。本明細書中に記載されるCNP変異体と併用され得る活性剤の非限定的な例として、他のナトリウム利尿ペプチド(例えばBNP)、ならびにペプチダーゼおよびプロテアーゼ(例えばNEPおよびフーリン)、NPR-Cおよびチロシンキナーゼ(例えばFGFR-3)のインヒビター(例えばアンタゴニスト)がある。NEPインヒビターの例として、限定されないが、チオルファンおよびカンドキサトリルが挙げられる。NPR-Cインヒビターの共使用はまた、NPR-Cによる変異体のクリアランスの阻害を介して、CNP変異体の半減期を長くし得る。
CNP変異体は、抗炎症薬または鎮痛剤、例えば抗炎症剤、NSAID、コルチコステロイド、およびヒアルロン酸と組み合わされて投与されてよい。
併用療法において適切な治療的結果を達成するために、当業者であれば一般に、対象にCNP組成物および他の治療薬を、所望の治療的結果(例えば、軟骨の修復、または軟骨変性の減少)をもたらすのに有効な組合せ量で投与するであろう。このプロセスは、CNP組成物および他の治療剤を同時に投与することを含んでよい。同時の投与は、CNP変異体および他の治療剤の双方を含む単一の組成物または薬理学的タンパク質製剤を投与することによって達成され得る。これ以外にも、他の治療剤は、CNP変異体の薬理学的製剤(例えば、タブレット、注射、または飲料)とほぼ同時に、別々に服用されてよい。CNP変異体はまた、摂取に適した食品、例えばブラウニー、パンケーキ、またはケーキ中に配合されてもよい。
他の選択肢において、CNP変異体の投与は、分から時間に及ぶインターバルだけ、他の治療剤の投与に先行してもよいし、その後に続いてもよい。他の治療剤およびCNP組成物が別々に投与される態様において、当業者であれば、一般に、CNP変異体および他の治療剤が、互いの適切な時間以内に投与されて、CNP変異体および他の治療剤の双方が、患者に対する有益な効果を相乗的に、または相加的に生じ得ることを確実にするであろう。例えば、当業者であれば、他の治療剤の約0.5~6時間(前または後)以内に、CNP組成物を投与し得る。一態様において、CNP組成物は、他の治療剤の約1時間(前または後)以内に投与される。
患者集団の同定およびモニタリング
CNP治療に適した対象を同定するプロトコルが確立され得る。例えば、関節吸引/滑液分析、X線、および/またはMRI技術を用いて、適した患者が同定され得る。所定の患者がCNP治療に反応するかを判定するプロトコルもまた確立され得る。例えば、骨関節炎の処置について、成長の指標、例えば軟骨成長測定値および運動能評価が測定され得る。
一CNPシグナル伝達マーカーは、cGMP(グアノシン3’,5’環状モノホスフェート)である。CNPが、その同族の受容体NPR-Bに結合して、これを活性化した後に、この細胞内シグナル伝達分子のレベルが増大する。cGMPのレベルの上昇が、CNP曝露後の細胞培養抽出物(インビトロ)、CNP曝露後の骨外植片試験(エクスビボ)由来の馴化培地から、そして皮下、静脈内、または当技術分野において公知の他の投与経路を介したCNP投与後の数分以内の血漿(インビボ)中で、測定され得る。
また、軟骨特異的分析物(または軟骨関連マーカー)が、CNP有効性を評価するのに測定されてもよい。例えば、切断されたコラーゲンII型のフラグメントが、軟骨代謝の軟骨特異的マーカーである。コラーゲンII型は、軟骨の主要な有機構成成分であり、コラーゲンII型のフラグメント(切断されたコラーゲン)は、軟骨代謝の後に、循環系中に放出されてから、尿中に分泌される。軟骨代謝が、新しい骨形成に先行する。
軟骨の形成および成長または変性についての他の潜在的バイオマーカーとして、コンドロイチン硫酸アグリカン(軟骨代謝の軟骨特異的マーカー)、コラーゲンII型のプロペプチド(軟骨形成の軟骨特異的マーカー)、増殖細胞核抗原(PCNA)、コンドロイチン硫酸アグリカン、シンデカン-3、およびアネキシンVIが挙げられる。軟骨関連バイオマーカーは、例えば、有効性/薬力学的インビボ試験由来の、そしてエクスビボ試験の馴化培地由来の血清中で、市販のキットを用いて測定され得る。
一態様において、少なくとも1つの軟骨関連バイオマーカーのレベルが、インビボで軟骨の形成および成長に対するCNP変異体の効果をモニタするためにCNP変異体が投与された対象において、アッセイまたは測定される。例えば、少なくとも1つの骨関連バイオマーカーまたは軟骨関連バイオマーカーのレベルの増大は、CNP変異体の投与が、骨成長に対して正の効果を有しており、骨格の形成異常、およびCNP活性の低下と関連した他の骨関連疾患もしくは軟骨関連疾患または障害の処置に有用であることを示し得る。例示的な軟骨関連バイオマーカーとして、以下に限定されないが、CNP(例えばCNPの内因性レベル)、cGMP、コラーゲンII型のプロペプチドおよびそのフラグメント、コラーゲンII型およびそのフラグメント、コラーゲンI型のプロペプチドおよびそのフラグメント、コラーゲンI型およびそのフラグメント、増殖細胞核抗原(PCNA)、コンドロイチン硫酸アグリカン、シンデカン-3、ならびにアネキシンVIが挙げられる。
種々の態様において、バイオマーカーは、CNP変異体が投与されることとなる、投与されている、または投与された対象から生体サンプルを得ることによって測定される。バイオマーカーは、以下に限定されないが、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、および酵素活性アッセイを含む、当技術分野において公知の技術を用いて測定され得る。生体サンプルは、血液、血清、尿、または他の生体液であってよい。
本開示の付加的な局面および詳細が、以下の実施例から明らかとなろう。これらは、限定ではなく例証となることが意図される。
F.実施例
実施例1
ラット骨関節炎モデル
275~300グラムのラットにおける片側の内側半月板破裂により、進行性軟骨変性が迅速に生じる(軟骨細胞およびプロテオグリカンの損失、フィブリル化、骨増殖体の形成、および軟骨細胞のクローニングによって特徴付けられる)。このモデルは、関節腔が開くと半月板が大腿骨に向けられる(reflected toward)ように、内側側副靭帯の、半月板への付着部の直ぐ下での離断によって実行される。半月板を、その最も狭い点にて(小骨から離れて)、脛骨表面に損傷を与えないように気を付けて、そして結果として生じる横断面が、別個の、自由に移動可能な前方半月板の半分および後方半月板の半分を生成することを確認して、カットする。
進行性の軟骨変性の変化が、術後3~6週まで起こり、脛骨の軟骨変性は、脛骨の外側1/3で部分的に重度であり得、中央および内側1/3で、変性の変化の重篤度はより小さい。骨増殖体は、サイズが最終的に非常に大きくなり(内側脛骨)、そして次第に増大する。モデルは進行性であり、実質的に全てのラットで、12ヵ月以内に総軟骨が損失する(象牙質化した骨になる)。病変は適度に一貫している。ラットに術後直ちに重量負荷を戻すと、歩行分析により、手術をされた膝の負荷力の、あったとしても僅かな変化が示唆される。ゾーン分析が、中間そして内側1/3における処置の効果を明らかにし得るが、軟骨変性の急速な進行のために、保護効果は、脛骨の軟骨の外側1/3において必ずしも明らかでない。大幅な軟骨下骨変化および骨端骨変化が、最も大きな病変重篤度の領域に対して下位の内側の脛骨で生ずる。これらは、軟骨下骨への破損が小さい、石灰化した軟骨層の好塩基性の増大から、骨の周囲が硬化した、骨端における骨吸収の領域への関節軟骨の明白な崩壊まで、大きさおよび型が変動する。したがって、このモデルは、剤の軟骨保護効果だけでなく、骨保存活性も評価する機会を提供する。モデルは比較的短い期間のものであり、動物は、外科手術に対する反応が非常に一貫している。
このラットモデルを用いて、CNP変異体の、骨関節炎における軟骨損傷の遅延または修復に対する効果を判定した。そこにはCNPが、関節損傷または外傷に応じて送達されている。このモデルにおいて、破裂が半月板に導入されて、関節損傷が引き起こされ、これが軟骨変性および骨関節炎をもたらす(Janusz et al., Osteoarthritis Cartilage, 10:785-791, 2002)。雄Lewisラットに、0日目に片側の内側半月板切除術を受けさせ;対照ビヒクルまたはCNP変異体Gly-CNP-37の投与を、7日目に始め;そして動物を、罹患関節の組織病理学的分析のために、29日目に安楽死させた。Gly-CNP-37(対照ビヒクル中0.71または2.2mg/mLにて提供した)または対照ビヒクルのみを3週間、1週あたり3回(M、W、F)、関節内(IA)注射により投与した。歩行分析、および膝における軟骨細胞死/軟骨変性の組織病理学的調査によって、治療的有効性を評価した。
外科手術
詳細には、外科手術動物をイソフルランで麻酔して、右の膝および下脚領域を、外科手術用に用意した。半月板破裂のために、膝の内側面を横切って皮膚切開して、内側の側副靭帯を、鈍的切開によって曝した後に、離断した。完全な破裂および閉じた創傷をシミュレートするために、内側半月板の全層をカットした。術後90分で、動物を1%CMC(2mL/kg、50mg/ml)中アセトアミノフェン(100mg/kg、PO)の用量で処置した。後続の用量を、術後24時間で(必要に応じて)与えた。
組織病理学
組織病理学的分析のために、手術をした関節を、安楽死させたラットから回収した。5%ギ酸脱灰剤中での4~6日後、手術をした関節を、正面でおおよそ等しい2つの半分にカットして、パラフィンに包埋する。切片を、それぞれ手術をした右膝からおおよそ160μmにてカットして、トルイジンブルーで着色した。Gly-CNP-37の、骨関節炎の進行に対する効果を評価するために、以下のパラメータを、処置した各関節について測定またはスコア化し、そしてビヒクル処置対照関節と比較した:軟骨変性、病変の深さ、病変の幅、石灰化した軟骨層および軟骨下骨への損傷、内側脛骨の軟骨下骨/骨端小柱骨の肥厚/硬化、骨増殖体の厚さ、コラーゲンの損傷、成長板の厚さ、ならびに内側側副靭帯/滑膜の修復。
一部のパラメータ(注目する場合)について、脛骨プラトーにわたる領域差を、各切片を3つのゾーン(1-外側、2-中間、3-内側)に分けることによって、考慮する。
データは、Studentのt検定またはMann-WhitneyのU検定(ノンパラメトリック)を用いて分析した。適しているならば、データは、一元配置の分散分析(1-方向ANOVA)またはKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリック)を、適切な多重比較事後検定と共に用いて、全群にわたってさらに分析してもよい。統計的検定は、データの正規性および分散の均一性に関するある仮説を設定して、検定がこの仮説に反するならば、更なる分析を必要としてよい。全ての検定についての有意性は、p<0.05に設定した。
内側脛骨および大腿骨の一般的な軟骨変性
一般的な軟骨変性を、各関節について、軟骨細胞の死/損失、プロテオグリカン(PG)の損失、およびコラーゲンの損失またはフィブリル化の評価によって判定して、表1に示すようにスコア化した。
各ゾーンについてデータを表すことに加えて、軟骨変性についての3つのゾーンの総計を算出した。低い用量(35.5μg/用量)または高い用量(110μg/用量)にてGly-CNP-37で処置したラットは、未処置の対照ラットと比較して、脛骨における軟骨変性の有意な減少を示した(図1)。
内側脛骨の病変の深さおよび幅
病変のいずれかの型の深さ(病変深さ)およびタイドマークまでの深さ(総深さ)を、脛骨プラトーの3つのゾーンのそれぞれにおける、最も大きな病変重篤度の領域において、接眼ミクロメータによって測定した。これらの測定値から、病変深さを総深さで割ることによって、深さ比を各関節について算出した。タイドマークまでの総深さは、ゾーンの中間点にて測定した場合に、同化物(anabolics)の比較用の3つのゾーンのそれぞれにおける軟骨厚さの平均測定値となり得る。図2は、深さ比が、ビヒクル処置対照と比較して、Gly-CNP-37処置群で向上したことを示す。いずれかの変性(細胞の損失、プロテオグリカンの損失、またはコラーゲンの損傷)に影響を受けた、接眼ミクロメータによって測定した軟骨の幅もまた、CNP処置群において向上した(図3)。この測定は、表面にわたって隣接する軟骨変性(外側1/3)による骨増殖体の起点から、接線方向の層および基礎となる軟骨が組織学的に正常に見える点にまで延びる。
大幅な軟骨変性は、接眼ミクロメータで測定して、軟骨厚さの50%超に延びる軟骨細胞およびプロテオグリカンの損失として定義される。典型的には、このモデルにおいて、コラーゲンの損傷は軽度(25%までの深さと定義する)またはそれ以上である。しかしながら、軟骨細胞およびプロテオグリカンの損失は著しく、軟骨深さの少なくとも50%またはそれ以上にまで延び、永続的な構造変化が生じた領域であることを示す。大幅な軟骨変性を示す、手術をした関節の幅を、Gly-CNP-37処置動物およびビヒクル処置対照において測定して、大幅な変性を減少させるCNP変異体の能力を評価した。図4に示すように、ビヒクル処置対照は、変性幅の減少をほとんど示さなかった一方、Gly-CNP-37処置動物は、大幅な脛骨軟骨変性の、50%を超える向上を示した。
石灰化した軟骨層および軟骨下骨の損傷
石灰化した軟骨層および軟骨下骨への損傷を、表2における基準を用いてスコア化した。
(表2)軟骨層および軟骨下骨の損傷の組織病理学的スコア化基準
Gly-CNP-37によるより高い用量(110μg/用量)での処置は、石灰化した軟骨および軟骨下骨の損傷を、ビヒクル処置動物のおおよそ2.4のスコアから、Gly-CNP-37処置動物の1.3にまで減少させた。また、Gly-CNP-37によるより低い用量(35.5μg/用量)での処置は、石灰化した軟骨および軟骨下骨の損傷を、より高い用量ほどではないにせよ、減少させた。
脛骨の肥厚、骨増殖体の厚さ、および総関節スコア
内側の脛骨軟骨下骨/骨端小柱骨の肥厚/硬化を、表3に示す基準に基づいて、外側脛骨および/または正常な左内側脛骨との比較を用いて、スコア化した。
結果は、本試験によって設定した有意性を示さなかったが、Gly-CNP-37による双方の用量での処置は、ビヒクル処置対照と比較して、内側の脛骨軟骨下骨/骨端小柱骨の肥厚/硬化の観察可能な減少を示した。
骨増殖体の厚さ(滑膜に向けて延びる最も遠い点までのタイドマーク)を、接眼ミクロメータで測定した。スコアを、表4における基準に従って、各切片(典型的には脛骨上に見出される)における最も大きな骨増殖体につけた。
Gly-CNP-37による高い用量(110μg/用量)での処置が、脛骨増殖体測定値をおおよそ24%減少させ(p<0.05)、そして脛骨増殖体スコアをおおよそ34%減少させた(p<0.05)。骨増殖体は、OA関節において起こる骨の成長である。骨増殖体スコアデータは、CNP変異体が、骨増殖体、すなわち骨の成長を減少させることができることを実証する。この観察は、骨成長を促進するCNPおよびCNP変異体の公知の役割を考えると、驚くべきかつ予想外なことである。
「総関節スコア」を、脛骨および大腿骨の軟骨変性の3つのゾーンスコアのそれぞれと骨増殖体スコア(大腿骨ありの総関節スコア)とを合計することによって、ならびに脛骨軟骨変性のみの3つのゾーンスコアのそれぞれと骨増殖体スコア(大腿骨なしの総関節スコア)とを合計することによって、各関節について算出した。図5に示すように、110μg/用量でのGly-CNP-37は、大腿骨なしの総関節スコアを有意に減少させた。また、Gly-CNP-37による、より低い35.5μg/用量での処置は、より高い用量と比較して、それほどではないにせよ、大腿骨なしの総関節スコアの向上を示した。大腿骨についてのスコアを含めた場合(図6)、結果は、Gly-CNP-37が、双方の用量にて総関節スコアを、有意なレベルにではないが減少させることを示している。
コラーゲンの損傷、成長板の厚さ、および靭帯/滑膜の修復
内側の脛骨プラトー(最も酷く罹患した切片の半分2つ)にわたるコラーゲンの損傷を、接眼ミクロメータ、および以下のパラメータを用いて、以下の総幅を測定することによって評価した:任意の損傷(表面から全層の損失に及ぶフィブリル化);重度の損傷(コラーゲンの、タイドマークまでの総損失またはほぼ総損失、厚さの>90%);顕著な損傷(軟骨厚さの61~90%を通って延びる);中程度の損傷(軟骨厚さの31~60%を通って延びる);軽度の損傷(軟骨厚さの11~30%を通って延びる);および軽微な損傷(非常に表面の、上部10%のみに影響を及ぼす)。
Gly-CNP-37による、より低い用量およびより高い用量の双方での処置により、未処置の対照と比較して、重度の変性、顕著な変性、および中程度の変性を有する領域は、より少なかった。
成長板の厚さを、全ての膝において、内側および外側の骨端軟骨のおおよその中間点(切片の非接線方向の領域を仮定する)にて内側の側部および外側の側部(2つの測定値/関節)で、接眼ミクロメータを用いて測定した。Gly-CNP-37の、110μgの用量での投与は、内側の成長板の厚さを有意に減少させた。35.5μgの用量でのGly-CNP-37は、統計分析による有意な減少ではないが、内側の厚さの減少を示した(図7)。また、層別解析でも確認した。そこでは、外側の厚さを内側の厚さから減算して、2つの間の差異を判定した。図8は、この分析を用いて、より高い用量でのGly-CNP-37が成長板の厚さを有意に減少させた一方、より低い用量が、より高い用量と同程度にではないが、成長板の厚さを減少させたことを示している。
また、内側の側副靭帯/滑膜修復を、接眼ミクロメータを用いて、切片の非接線方向の領域における内側の滑膜/側副靭帯の修復の厚さを測定することによって分析した。これらの測定は、処置群間でいかなる差異も示さなかった。
歩行分析
歩行分析は、インクを足の腹側表面に塗布して、紙の全体にわたる移動中の体重負荷(フットプリント)を記録することによって実行した。ラットの後足にインクをつけてから、ラットを紙上に置いて、全長を歩けるようにした。歩行を、表5における基準(記載は、罹患した/冒された脚に言及する)を用いて視覚的にスコア化した。
Gly-CNP-37処置動物は、高い用量または低い用量のいずれにおいても、試験のおおよそ15日目から28日目まで、運動能および歩行の向上を示した(図9)。また、歩行スコアの曲線下面積(AUC)も算出した。図10は、より低い用量でのGly-CNP-37が、歩行スコアを、より高いCNP用量よりも大きく減少させており、歩行スコアが、未処置の対照と比較して、双方の処置集団についてより低かったことを示している。
実施例1に示される結果は、外傷直後のGly-CNP-37等のCNP変異体による骨関節炎の処置が、冒された対象の、軟骨変性および運動能を含む骨関節炎の症候に対して有益な効果を有することを示している。
実施例2
追加的なラット試験を、実施例1のラットモデルおよび実験方法論を用いて実行して、第2のCNP変異体、Pro-Gly-CNP-37の、骨関節炎の処置における使用を調査し、かつこれをGly-CNP-37と比較した。
表6に要約するように、ラットの群を、ビヒクル、Pro-Gly-CNP-37、またはGly-CNP-37で処置した。投与経路は、関節内(IA)または皮下(SC)であった。投与スケジュールは、関節内投与を3週間(TIWx3W)、1週あたり3回(M、W、およびF)、または皮下投与をおおよそ3週間(QDx3W)、1日1回であった。ラットは、試験0日目に外科手術を経験した;群1~5は、群6~7のおおよそ1週前に、外科手術を経験した(すなわち、少しずつずらして試験を行った)。IA注射を固定用量として行った一方で、SC注射を、一番最近に記録した体重に基づいて、重量あたりの所定の用量にて行った。全てのラットについて、体重を、投与前に測定した。300グラムのラットについて、低い、中間の、そして高いレベル用の毎週のIA投与レジメンは、それぞれ15、50、および150μg/kg/日におおよそ等しかった。ラットを、最終投与後の25日目に安楽死させて、関節を、組織病理学的分析およびスコア化用に回収した。
血漿の薬物動態学および薬力学
CNP変異体の薬物動態学(PK)特性および薬力学(PD)特性を評価した。PK/PD分析のために、時間を定めた採血を、以下の3匹のラット/群/時点に実行した:IA群について、投薬後15、30、60、および120分、ならびにSC群について、投薬後5、15、30、60、および120分。採血後、洗浄滑液(synovial lavage fluid:SLF、約50μL/膝)を、各ラットの左膝(正常)および右膝(手術をした)から収集した。
組織病理学および免疫組織化学
膝を、組織病理学および免疫組織化学(IHC)の分析用に保存した。主要エンドポイントは、増殖細胞核抗原(PCNA)用のIHCを含む、膝における軟骨細胞死および軟骨変性の組織病理学的調査であった。実施例1において先に記載したように種々の組織病理学的特徴を測定して、スコア化した。特に、スコア化基準については表1~表5を参照。
任意の変性(細胞の損失、プロテオグリカンの損失、またはコラーゲンの損傷)によって影響される脛骨軟骨の総幅を、接眼ミクロメータによって測定した。図11に示すように、中間の用量および高い用量にてIAにて与えたPro-Gly-CNP-37は、総軟骨変性幅を有意にそれぞれおおよそ26%および32%減少させた。ゆえに、IAでの35.5μgおよび105μgの用量は、脛骨軟骨変性幅について、統計的有意性に達した。
軟骨厚さの50%超を通って延びる軟骨細胞およびプロテオグリカン損失によって定義される、大幅な軟骨変性に対するCNP変異体の効果を、接眼ミクロメータによって、脛骨プラトーで測定した。大幅な軟骨変性における用量反応性の減少を、関節内経路によって送達されるPro-Gly-CNP-37について観察した(図12)。35.5μgのIA用量による幅の32%の減少が見られ、そして105μgのIA用量による36%の減少が見られた。統計学的に有意な減少が、150μg/kgのPro-Gly-CNP-37を3週間毎日皮下に与えたものについて観察された(幅の42%の減少)。
骨増殖体の厚さ(滑膜に向けて延びる最も遠い点までのタイドマーク)を、接眼ミクロメータで測定した。内側の脛骨の骨増殖体スコアにおける用量反応性の動向を、IA経路を介して投与したPro-Gly-CNP-37について観察し(図13)、35.5μgのIAでは15%の減少が見られ、そして105μgのIAでは14%の減少が見られた。また、26%の統計学的に有意な減少(t検定でp<0.05)を、皮下投与したPro-Gly-CNP-37について観察した。骨増殖体スコアの減少は、CNP変異体が、OA関節における骨(骨増殖体)の異常な成長を減少させることができることを実証している。ここでも、CNPおよびCNP変異体が、長骨成長を促進することが示されたので、この観察は驚くべきであり、かつ予想外である。
成長板の厚さを各群について測定した。内側および外側の成長板の厚さが、Pro-Gly-CNP-37の35.5μgのIAおよび105μgのIAの双方でIA処置した動物において、有意に大きかった(図14)。さらにまた、内側および外側の成長板の厚さが、ビヒクルに対してPro-Gly-CNP-37でSC処置した動物において、より大きかった。
総関節スコア(大腿骨なし)を、脛骨の軟骨変性の3つのゾーンスコアのそれぞれおよび骨増殖体スコアを合計することによって算出した。図15において見られるように、関節スコア重篤度の有意な減少が、35.5および105μgのPro-Gly-CNP-37のIA投与について、そしてまた105μgのGly-CNP-37について観察された。総関節スコア(マイナス大腿骨)の有意な減少が、SCにて与えたPro-Gly-CNP-37についても観察された。
図16は、滑膜炎スコアを示す。滑膜炎(主に、内側に濃縮された単核細胞浸潤)を、表7における基準を用いてスコア化した。
滑膜炎スコア化重篤度の有意な増大は、全ての用量群の全体で観察されなかった。エンドトキシンは、Gly-CNP-37(0.78EU/mL)を除いて、全ての製剤において定量限界未満(<0.5EU/mL)であった。
図17は、様々な群についての-4日目から25日目の体重(グラム)の平均変化を示す。体重増加の有意な減少が、IAで35.5および105μg/用量の双方にて与えた、そしてSCで150μg/kg/日用量にて与えたPro-Gly-CNP-37について観察された。
図18は、群の歩行分析スコアを示す。歩行スコアは、8日目のビヒクルと比較して、皮下で送達されるPro-Gly-CNP-37について、有意に減少した(48%)。
図19および表8は、Pro-Gly-CNP-37で処置した動物(群2、群3、および群4(IA投与)ならびに群7(SC投与))についての血漿の薬物動態を示す。個々の血漿サンプルを、Pro-Gly-SNP-37レベルについて分析して、平均濃度対時間プロフィールを、血管外投与の非コンパートメントモデルを用いて、Phoenix WinNonlinソフトウェアで分析した。図19において、各群についてのデータをプロットして、対応する群数のラベルを(各線上に)付した。Pro-Gly-CNP-37は、IA注射およびSC注射の双方の後に、全身の循環系において迅速に現れた。IA注射についての曝露(群2、群3、および群4)は、概して用量に比例し、t1/2およびCLの著しい変化はなかった。曝露は、調査した最も低いIA用量と同程度であったが、1日1回のSC注射(群7)は、3回/週与えた2つの最も高い用量のIA注射に対する有効性と同程度の反応をもたらすようであった。
データは、Pro-Gly-CNP-37(35.5および105μg)またはGly-CNP-37(105μg)による関節内処置が、ラットにおける内側半月板の破裂起因性骨関節炎の組織病理病変に対して、著しい、有益な効果を有したことを示している。
150μg/kg/日のPro-Gly-CNP-37による1日1回の皮下処置により、関節内処置と同程度であるかこれよりも良好な有効性がもたらされた。全体として、本試験は、軟骨保護効果の証拠を示している。
実施例3
後期段階の骨関節炎のモデルを、以前から進行していた骨関節炎(すなわち、原発性骨関節炎)におけるPro-Gly-CNP-37の有効性を評価するのに用いた。実施例1および実施例2において先に記載したように、半月板を分離することによって、ラットの後脚に骨関節炎を誘導した。しかしながら、実施例1および実施例2と対照的に、病変病理を、Pro-Gly-CNP-37によるIA処置またはSC処置の3週間前に進行させることによって、既存のOA(すなわち原発性骨関節炎)をシミュレートした。全体的な試験設計を、表9において概説する。詳細には、雄Lewisラットは、試験0日目に片側内側半月板を破裂させる外科手術を受けた;対照ビヒクルまたはPro-Gly-CNP-37の投与を、試験21日目に始めた;そして動物を、試験22日目(群1~4)または試験40日目(群5~11)の最後の投与後に、予定の時点にて安楽死させた。評価した主要エンドポイントは、膝における軟骨細胞死/軟骨変性の組織病理学的調査を含んだ。
全ての動物は、予定の試験終了時点まで生き残っていた。試験終了後、ラットを安楽死させて、膝を収集して、固定して、組織病理学的分析用に切片化して、表1~表5および表7のようにスコア化した。試験結果についての要約を、表10に示す。
Pro-Gly-CNP-37(35.5または105μg)投与IA、TIWx3Wによる処置、およびPro-Gly-CNP-37(150μg/kg)投与SC、QDx3Wによる処置は、後期段階のラット半月板破裂誘導骨関節炎において、膝組織病理学の評価によって判定して、僅かから著しい、有益な効果を示した。Pro-Gly-CNP-37によるIA処置の結果は、用量反応的であった。
病変重篤度は、SC処置ラットにおいて減少した滑膜炎を除いて、IA対照と比較して、SC対照において僅かに増大したが、関節炎パラメータは、ビヒクル対照群の全体にわたって、概して同程度であった。体重増加は、術後40日のSCビヒクル対照において、IA対照と比較して、有意に増大した。
(表10)臨床データおよび組織病理学データの要約
CD=軟骨変性、IA=関節内、SC=皮下、TIWx3W=3週間、1週あたり3回、QDx3W=約3週(20日)間、毎日1回。
(SE)=括弧内に示した標準誤差。
*p<0.05 ANOVA/K-W検定(Dunnett/Dunnの事後) 対 各IAビヒクルまたはSCビヒクル(40日目)対照。
†p<0.05 Studentのt検定/M-W検定 対 IAビヒクル(40日目)。
‡p<0.05 Studentのt検定/M-W検定 対 SCビヒクル(40日目)。
35.5μgのPro-Gly-CNP-37でIA処置したラットは、IAビヒクル対照と比較して、ゾーン-2脛骨軟骨変性スコアを有意に(31%)減少させた。脛骨軟骨変性の合計スコアおよび大幅な脛骨軟骨変性幅は、有意でないがそれぞれ20%および30%減少した。ゾーン-3の内側脛骨の軟骨変性スコアおよびゾーン-1の大腿骨の軟骨変性スコアは、存在する場合には病変が一般に軽微または軽度であったが、有意に増大した。
105μgのPro-Gly-CNP-37でIA処置したラットは、IAビヒクル対照と比較して、体重増加を有意に減少させた。105μgのPro-Gly-CNP-37によるIA処置は、IAビヒクル対照と比較して、ゾーン-2の内側脛骨の軟骨変性(44%の減少)、ゾーン-3の内側脛骨の軟骨変性(93%)、内側脛骨の合計の軟骨変性(31%)、および総脛骨軟骨変性幅(28%)を有意に減少させた。大幅な脛骨軟骨変性幅は、処置によって、有意でないが(38%)減少した。
150μg/kgのPro-Gly-CNP-37でSC処置したラットは、SCビヒクル対照と比較して、体重増加を有意に減少させた。150μg/kgのPro-Gly-CNP-37による(SC)処置は、SCビヒクル対照と比較して、総脛骨軟骨変性幅を有意に減少させた(22%の減少)。大幅な脛骨軟骨変性幅は、処置によって、有意でないが減少した(16%)。内側および外側の成長板の厚さは、処置によって有意に増大し、内側と外側の厚さの差異の有意な減少に寄与した。
図20において示すように、105μgでのPro-Gly-CNP-37 IA処置、および150μg/kgでのSC処置は、脛骨の平均軟骨変性の減少をもたらした。しかしながら、大幅な脛骨軟骨変性は、IA処置用量および最も高いSC用量の双方によって、減少した(図21)。さらに、Pro-Gly-CNP-37投与IAは、内側脛骨の軟骨変性スコア(図22)および内側脛骨の軟骨変性深さ比(図23)の、統計学的に有意な減少をもたらした。
実施例1および実施例2において先に記載したように、総関節スコアは、組織病理学的な分析およびスコア化によって、各関節(大腿骨あり、そしてなし)について算出した。Pro-Gly-CNP-37投与IAは、大腿骨あり関節スコアの7%(35.5μg)および19%(105μg)の減少を、そして大腿骨なしで算出した場合に、11%(35.5μg)および21%(105μg)の減少をもたらした(図24(大腿骨あり)および図25(大腿骨なし))。Pro-Gly-CNP-37投与SCは、最も高い用量レベル(150μg/kg)にて、7%(大腿骨あり)および10%(大腿骨なし)のより穏やかな減少があった(図24および図25)。
図26に見られるように、Pro-Gly-CNP-37処置は、全ての用量および投与経路にて、骨増殖体スコアに対して穏やかな効果を有した。実施例2に記載される初期段階の骨関節炎試験と同様に、Pro-Gly-CNP-37処置は、処置動物における体重変化の減少をもたらした(図27)。
本発明は、本発明の真の範囲を逸脱しない範囲で、他の具体的な形態に体現されてよい。「本発明」へのいずれの言及も、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、本発明の例示的な態様に言及することが意図され、本発明の全ての態様に言及すると解釈されるべきでない。記載された態様は、あらゆる点で、制限ではなく例証としてのみ考慮されるべきである;多数の変形および変更が、当業者に明らかとなろう。