JP7104475B2 - インシュレーションゴムとこれを用いたモータケースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体ロケットに係り、さらに詳しくは、インシュレーションゴムとこれを用いたモータケースの製造方法に関する。
固体ロケットは、固体推進薬、点火装置、モータケース、排気ノズルなどで構成される。
このうちモータケースは、固体推進薬を内部に収容する圧力容器であり、固体推進薬の燃焼時にその内面が燃焼ガスに曝される。この燃焼ガスの温度は、例えば3000℃を超える。そのため、かかる高温の燃焼ガスからモータケースを保護するために、従来からインシュレーションゴムが用いられている。
かかるインシュレーションゴムは、例えば、特許文献1,2に開示されている。
また、本発明と関連する「テープラップ積層」は、例えば、非特許文献1に開示されている。
特表2002-535812号公報 特表2003-509279号公報
"DESIGN AND DEVELOPMENT OF A SUPPORTED THERMAL PROTECTION (PTS) FOR VEGA SOLIDROCKET MOTERS",40th AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference and Exhibit, Fort Lauderdale, Florida, 11-14 July 2004, AIAA2004-4216
特許文献1,2に開示されたインシュレーションゴムは、ベースゴム(EPDM:エチレン-プロピレン-ジエンモノマー)に、繊維フィラー(アラミド繊維、炭素繊維、セルロース繊維、など)と粉末フィラー(シリカ、酸化亜鉛、など)を混合したものである。
しかし、従来のインシュレーションゴムは、高温の燃焼ガス流に曝された際に生成される炭化層の消失速度が速く、その分厚くする必要があった。そのため、従来のインシュレーションゴムの性能向上が強く求められていた。
本発明は上述した要望を満たすために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、従来のインシュレーションゴムと比較して、高温の燃焼ガス流に曝された際に生成される炭化層の消失速度を低減し、アブレーション性能を高めることができる、インシュレーションゴムとこれを用いたモータケースの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、ベースゴムに繊維フィラーと粉末フィラーを混合したインシュレーションゴムであって、
前記ベースゴムは、EPDMであり、
前記繊維フィラーは、アラミド繊維、炭素繊維、及びガス抜き繊維を含み、
前記ガス抜き繊維は、前記ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解して前記ベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成するレーヨン繊維又はビニロン繊維であり、
前記ベースゴムの100部に対する前記ガス抜き繊維の重量部は2~5部であり、
前記粉末フィラーは、炭化ケイ素を含む、インシュレーションゴムが提供される。
また本発明によれば、上記のインシュレーションゴムを幅と厚さが一定な帯状テープに形成し、前記帯状テープをマンドレルのドーム面にテープラップ積層する、モータケースの製造方法が提供される
上記本発明のインシュレーションゴムは、炭素繊維の他に炭化ケイ素を含む。炭素繊維の熱拡散率は非常に高いが、繊維状であるため余り多くの量をゴムに混合することができない。また固体推進薬の燃焼ガス温度が3000℃を超えるため、シリカのように融点が低いセラミックは溶解してガス流によって流れ出すため、逆に炭化層を壊してしまう。これに対し、炭化ケイ素は、粉末であり、融点が高く(約2830℃)、熱拡散率も高い(約78m/s)ので、インシュレーションゴムの熱拡散率を高めることで炭化層の密度が上昇し、アブレーション性能の向上に寄与することが、後述する実施例で確認された。
また、本発明のインシュレーションゴムは、繊維フィラーとしてガス抜き繊維を含む。インシュレーションゴムは、燃焼ガス流に曝されると熱分解ガスを発生し、このガスにより炭化層の破壊が起きたり、熱分解ガスが炭化層を持ち上げることにより炭化層が脆く(パイ状に)生成される。ガス抜き繊維以外の主配合材料では難燃剤以外は熱分解温度が高く、ベースゴムの熱分解温度より低温(例えば350℃まで)では有意な減量は起きない。
ガス抜き繊維は、ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解してベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成する機能を有する。ガス抜き繊維の添加により、特に高流量側での炭化層密度が上がり、アブレーション速度が低下することが、後述する実施例で確認された。
また、本発明の方法では、上記のインシュレーションゴムを幅と厚さが一定な帯状テープに形成し、帯状テープをマンドレルのドーム面にテープラップ積層する。この方法により、燃焼ガス流の全流量密度範囲で炭化層密度を顕著に高め、炭化層の消失を大幅に低減できることが、後述する実施例で確認された。
従って、本発明により、従来のインシュレーションゴムと比較して、高温の燃焼ガス流に曝された際に生成される炭化層の消失速度を遅くし、アブレーション性能を高めることができる。
インシュレーションゴムを用いたモータケースの製造方法の説明図である。 インシュレーションゴムからなるゴムシートの積層方法と燃焼ガス流との関係を示す図である。 本発明によるインシュレーションゴムの模式的断面図である。 レーヨン繊維の有無によるアブレーション試験結果である。 表2に示した従来例と本発明のインシュレーションゴムとのアブレーション性能の比較図である。 難燃剤の有無によるアブレーション速度の試験結果である。 従来例と発明ゴムの炭化層の上下面位置を示す図である。 従来例のインシュレーションゴムによる積層方法とアブレーション速度及び炭化層密度との関係を示す図である。 発明ゴムのテープラップ積層時の厚さ方向の炭化層密度の変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、インシュレーションゴムを用いたモータケースの製造方法の説明図である。この図において、(A)は平面積層法、(B)はテープラップ積層法を示している。
図1(A)の平面積層法では、広幅(例えば1m幅)のインシュレーションゴム(以下、生ゴム)のロールから扇型ゴムシート2を裁断し、これを金属製マンドレル5(中子)のドーム面6に手作業で馴染ませながら積層する。
平面積層法は、ゴムロールから扇型形状に裁断するため、材料の歩留まりが非常に悪い。また、積層作業の自動化が困難なため、製造コストが大きくなる。
図1(B)のテープラップ積層法では、インシュレーションゴムを幅と厚さがほぼ一定な帯状テープ3に形成し、帯状テープ3をマンドレル5のドーム面6に積層する。帯状なので歩留まりをほぼ100%にすることができる。
この場合、ドーム面6は、軸線Z-Zに対し線対称な外面(例えば球面)を有する。また、帯状テープ3は、軸線Z-Zに直交する方向に積層され、帯状テープ3の積層面は、軸線Z-Zに平行に位置する。
このテープラップ積層法により、軸線Z-Zを中心に軸4を回転させることで、帯状テープ3を自動で積層することができ、製造コストを低減することができる。
なお、上述したテープラップ積層法は、例えば、非特許文献1に開示されている。
上述した積層法によりマンドレル5のドーム面6に扇型ゴムシート2又は帯状テープ3を積層した後、オートクレーブ等を用いて加熱することで、ゴム同士が接着硬化してインシュレーションゴムが完成する。モータケースは、インシュレーションゴムの外面を成形した後、その外面にフィラメントワインディング等でモータケースを形成し、マンドレル5を取り外すことにより完成する。
また、モータケースの内面に帯状テープ3を自動積層する技術も、例えば、スペースシャトル用固体ロケットブースターで既に採用されている。
図2は、インシュレーションゴムからなるゴムシート7の積層方法と燃焼ガス流との関係を示す図である。この図において、(A)は列理方向の平面積層、(B)は列理直角方向の平面積層、(C)はテープラップ積層を示している。
各図において、破線の両矢印は、列理方向を示す。インシュレーションゴムはロール方向にゴムシート7が引き伸ばされることから、配合されている繊維(例えばアラミド繊維)がロール方向に主に配向される。このロール方向を「列理方向」と呼ぶ。
列理方向の相違による効果は、後述する。
(インシュレーションゴム1の材料配合)
表1は、本発明によるインシュレーションゴム1の材料配合表であり、図3はその模式的断面図である。以下、本発明によるインシュレーションゴム1を「発明ゴム1」と呼ぶ。
図3において、aはEPDM、bはアラミド繊維、cは炭素繊維、dはガス抜き繊維、eは炭化ケイ素(SiC)である。
Figure 0007104475000001
また、表2は代表的な従来例の基本配合表である。
Figure 0007104475000002
図3において、インシュレーションゴム1の表面(図で上面)が3000℃を超える高温ガス流に曝されるとき、炭化層表層Aは3000℃以上、炭化層Cは約600~3000℃、中間層M(炭化初期層)は約300~600℃、バージン層Bは約300℃以下である。
表1と表2の比較からわかるように、本発明では、熱伝導率が高い材料(炭化ケイ素)を添加して炭化層Cを高密度にして燃焼ガス流で炭化層Cが消失し難くすることにより、下層にある炭化前のバージン層Bを熱から保護する。
これにより、アブレーション量(炭化層Cの炭化層表層Aからの深さ)が低減され、モータケースに施工するインシュレーションゴム1の厚さを減らせ、代わりに、推進薬量を増やせるので、固体ロケットの性能を高めることができる。
また、本発明では、マトリクスゴムであるEPDMよりも低い温度で熱分解して、マトリクスゴムの熱分解ガスを外に逃がすガス抜き経路を作り出すために、ガス抜き繊維d(レーヨン繊維又はビニロン繊維)を添加している。
以下、表1の材料配合について、実施例と共に詳述する。
(ベースゴム)
本発明は、ベースゴムに繊維フィラーと粉末フィラーを混合したインシュレーションゴム1であり、ベースゴムは、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンモノマー)である。
EPDMをNBR(ニトリルゴム)及びNR(天然ゴム)と比較した結果、EPDMの熱拡散率(約0.189m/s)が最も高い。従って、アブレーション速度を小さくしてアブレーション性能を向上するには、NBR及びNRよりもEPDMが適していることがわかる。
EPDMの炭化開始温度(熱分解温度)は約450℃、炭化終了温度は約500℃である。
(繊維フィラー)
本発明のインシュレーションゴム1は、繊維フィラーとして、アラミド繊維b、炭素繊維c、及びガス抜き繊維dを含む。
アラミド繊維bは、残炭化率の高いパルプ状有機繊維であり、炭化層Cと未炭化層(中間層M、バージン層B)をつなぐ役割を果たしていることが知られている。従って、アラミド繊維bは必須である。アラミド繊維bの炭化開始温度(熱分解温度)は、EPDMより高いことが好ましく、例えば約500℃、炭化終了温度は約600℃である。
炭素繊維cは、高熱伝導率の繊維であり、炭化層Cの高密度化及び炭化層Cを補強する機能を有する。炭素繊維cの昇華温度は約3600℃である。炭素繊維cは、高熱伝導率を有するピッチ系炭素繊維が好ましい。
従来のカーボンブラックを炭素繊維cに代えると、アブレーション速度が低減することが確認されている。
ガス抜き繊維dは、本発明の例では、レーヨン繊維又はビニロン繊維である。
インシュレーションゴム1の炭化に至るまでに発生する熱分解ガスにより炭化層Cの破壊が起きたり、熱分解ガスが炭化層Cを持ち上げることにより炭化層Cが脆く(パイ状に)生成される。
難燃剤の分解開始温度は、約337℃であるが、難燃剤は微細な粉末であるため熱分解してもインシュレーションゴム内にガス流路は形成されない。難燃剤は、例えば塩素系難燃剤である。
また、難燃剤以外の基本材料は熱分解温度が高く、約350℃までは有意な減量は起きない。
本発明では、ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解して熱分解ガス放出経路を形成する機能を有するレーヨン繊維又はビニロン繊維をガス抜き繊維dとして混入した。
ガス抜き繊維dの候補として、レーヨン、ビニロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン。ナイロン6、ポリエステル、を試験した。
その結果、350℃までの減量率は、レーヨン(約42%)とビニロン(約40%)が高く、ガス抜き繊維dとして適していることが確認された。
図4は、レーヨン繊維の有無によるアブレーション試験結果である。この図において、横軸は高温ガスのガス流量密度、縦軸はアブレーション速度である。
アブレーション速度は、インシュレーションゴム1の厚さ変化量を燃焼時間で割った値であり、この値が小さいほどアブレーション性能が高いことを意味する。
この図から、ガス抜き繊維d(この例ではレーヨン繊維)の添加により、高流量側(400~800kg/s・m)におけるアブレーション速度が大幅に低下していることがわかる。
また、この試験で炭化層密度を計測した結果、高流量側での炭化層密度が約0.41~0.61g/cmまで高くなっており、ガス抜き繊維dの添加により炭化層密度が増しアブレーション速度が低下したと考えることができる。
ベースゴムの100部に対するガス抜き繊維の重量部は2~5部であるのがよい。
ガス抜き繊維は嵩が高くゴムへの混合がし難いため、2~5部が好ましく、2部が最適である。5部を超えると量産が困難である。
(粉末フィラー)
本発明のインシュレーションゴム1は、粉末フィラーとして炭化ケイ素eを含む。炭化ケイ素eは、平均粒径が1.2~20μmの粉末であることが好ましい。
上述した炭素繊維cの熱拡散率は非常に高いが、繊維状であるため余り多くの量をゴムに混合することができない。これに対し、炭化ケイ素eは粉末であるため、ベースゴムの100部に対し10~30部を混合することができる。
粉末フィラーとして使用可能なセラミックは、例えば、SiC,Al,BN,ZrO,MgO,SiO,BCなどである。
このうち、燃焼ガス温度が3000℃を超えるため、シリカ(SiO)のように融点が低いセラミックは溶解してガス流によって流れ出すため、逆に炭化層Cを壊してしまう。
上述したセラミックを用いて試験した結果、SiC(炭化ケイ素)が最も熱拡散率が高く、かつ著しく優れたアブレーション性能を示した。
図5は、表2に示した従来例と本発明のインシュレーションゴム1とのアブレーション性能の比較図である。この図において、横軸はガス流量密度、縦軸はアブレーション速度である。
この図から、列理方向、列理直角方向ともに、本発明のインシュレーションゴム1は、従来例と比較してアブレーション性能が大幅に向上することがわかる。
さらに、ベースゴムの100部に対するSiCと炭素繊維の部数を10部、20部、30部に変えたときの炭化層密度とアブレーション速度の変化を試験した。
その結果、SiCと炭素繊維の部数を10部から30部まで増やすにつれて、炭化層密度が約0.31~0.38g/cmまで上昇し、アブレーション速度が低下することが確認された。
また、平均粒径が1.2μm、5.5μm、20μmの3種のSiCについて、炭化層密度とアブレーション速度への影響を試験した。
その結果、平均粒径が1.2~20μmの粉末である場合、どの条件でも同様に炭化層密度が約0.45~0.51g/cmまでの上昇が認められた。なお平均粒径が大きい方が、わずかに炭化層密度が高くなった。
粉末フィラーは、ベースゴムの100部に対し20~40部の難燃剤を含む、ことが好ましい。
図6は、難燃剤の有無によるアブレーション速度の試験結果である。この図において、横軸はガス流量密度、縦軸はアブレーション速度である。
この結果から、難燃剤は全流量密度域で炭化層密度を約0.41~0.52g/cmまで引き上げる効果があり、ガス抜き繊維と難燃剤の両方を添加することでアブレーション速度が高流量側(400~800kg/s・m)で低減できることが分かった。
図7は、従来例と発明ゴム1の炭化層Cの上下面位置を示す図である。この図において、横軸はガス流量密度、縦軸は炭化層位置である。
また図中の数字は、発明ゴム1の炭化層密度(g/cm)である。
この図に示すように、従来例では、高密度の炭化層Cが生成されないため、流量密度が400kg/s・mを超えると、炭化層Cがガス流によって破壊されて下層のバージン層Bが露出する。これが連続的に繰り返されることにより、バージン層Bの炭化が著しく進行することがわかる。
一方、発明ゴム1の場合は高密度(約0.46~0.58g/cm)で強固な炭化層Cが生成されるため、燃焼ガス流で炭化層Cが壊れ難く、炭化層Cが下層のバージン層Bを保護することで、バージン層Bの炭化が進行し難い結果となった。
この図から、従来例と発明ゴム1の上下面位置の差は顕著であり、本発明により、炭化層Cを高密度で強固にすることにより、アブレーション性能を顕著に向上できることが確認された。
図8は、従来例のインシュレーションゴムによる積層方法とアブレーション速度及び炭化層密度との関係を示す図である。この図において、横軸はガス流量密度、縦軸はアブレーション速度である。
テープラップ積層により、燃焼ガス流量密度500~700kg/s・mの高流量密度領域で特に優れたアブレーション性能(性能向上率約24%)を示す。
従来例のインシュレーションゴムを用いた場合でも、テープラップ積層により炭化層密度が従来の0.25g/cmから0.40g/cmに上がる。そのため、ガス流速の高い高流量側(500~700kg/s・m)でも炭化層Cの消失が起き難く、未炭化層(バージン層B)への入熱量を抑制し、炭化が進まなかったと考えられる。
テープラップ積層では明らかに炭化層Cが硬くなっている。従来の積層では炭化層直下で発生するベースゴム等の熱分解ガスが炭化層Cを脆弱に生成させる要因となっているが、テープラップ積層の場合はゴムシート7の層間から熱分解ガスが放出されるため、強固な炭化層Cが生成される。
表3に、従来例と発明ゴム1の全流量密度範囲での炭化層平均密度を示す。なお表中の密度は平均値である。
Figure 0007104475000003
従来の積層法である平面積層でも、従来材料と比較して2倍近くの炭化層密度(0.391g/cm)が得られ、さらに、テープラップ積層することで、約3倍の炭化層密度(0.635g/cm)となる。
すなわち高熱伝導剤の配合材料と、主にベースゴムであるEPDMの熱分解ガスを放出するためのガス抜き経路を作る配合材料を添加することのにより、約2倍の炭化層密度を実現した。
さらに、テープラップ積層の採用により、層間からのガス抜き経路の確保と厚さ方向への繊維配向による入熱速度の上昇により、炭化層密度を従来材料の平面積層の約3倍に向上することができた。
図9は、発明ゴム1のテープラップ積層時の厚さ方向の炭化層密度の変化を示す図である。なおこの図は、流量密度が750kg/s.mの場合である。
この図から、炭化層の消失は、極く表面のみ(約0.2mm)しか認められず、炭化層の消失は非常に少ないと考えられる。また、表面近傍の炭化層密度は0.7g/cmを超えている。
テープラップ積層も繊維の列理直角方向が厚さ方向になるため、固体推進薬の燃焼時の燃焼熱の入熱速度が増大していると考えられる。層間からの熱分解ガス放出だけではなく、入熱速度の増加が炭化層密度をより引き上げたと考えられる。
図9から、発明ゴム1を用いてテープラップ積層することで、炭化層密度が最大0.876g/cmまで上昇することが試験により確認された。
上述したように本発明のインシュレーションゴムは、炭素繊維cの他に炭化ケイ素を含む。炭素繊維cの熱拡散率は非常に高いが、繊維状であるため余り多くの量をゴムに混合することができない。また固体推進薬の燃焼ガス温度が3000℃を超えるため、シリカのように融点が低いセラミックは溶解してガス流によって流れ出すため、逆に炭化層を壊してしまう。これに対し、炭化ケイ素eは、粉末であり、融点が高く(約2830℃)、熱拡散率も高い(約78m/s)ので、インシュレーションゴムの熱拡散率を高めることで炭化層の密度が上昇し、アブレーション性能の向上に寄与することが、実施例で確認された。
また本発明のインシュレーションゴム1は、繊維フィラーとしてガス抜き繊維dを含む。インシュレーションゴムは、燃焼ガス流に曝されると熱分解ガスを発生し、このガスにより炭化層の破壊が起きたり、熱分解ガスが炭化層を持ち上げることにより炭化層が脆く(パイ状に)生成される。ガス抜き繊維以外の主配合材料では難燃剤以外は熱分解温度が高く、ベースゴムの熱分解温度より低温(例えば350℃まで)では有意な減量は起きない。
ガス抜き繊維dは、ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解してベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成する機能を有する。そのためガス抜き繊維dの添加により、特に高流量側での炭化層密度が上がり、アブレーション速度が低下することが、実施例で確認された。
さらに、本発明の方法では、上述したインシュレーションゴム1を幅と厚さが一定な帯状テープ3に形成し、帯状テープ3をマンドレル5のドーム面6にテープラップ積層する。この方法により、燃焼ガス流の全流量密度範囲で炭化層密度を従来例も0.25g/cmから0.4~0.9g/cmまで高め、炭化層Cの消失を大幅に低減できることが、実施例で確認された。
従って、本発明により、従来のインシュレーションゴムと比較して、燃焼ガス流に曝された際の消失速度を遅くし、アブレーション性能を高めることができる。
なお本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
A 炭化層表層、B バージン層、C 炭化層、M 中間層(未炭化層)、
a EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンモノマー)、
b アラミド繊維、c 炭素繊維、
d ガス抜き繊維(レーヨン繊維又はビニロン繊維)、
e 炭化ケイ素(SiC)、
1 インシュレーションゴム(発明ゴム)、2 扇型ゴムシート、
3 帯状テープ、4 軸、5 マンドレル、6 ドーム面、7 ゴムシート

Claims (8)

  1. ベースゴムに繊維フィラーと粉末フィラーを混合したインシュレーションゴムであって、
    前記ベースゴムは、EPDMであり、
    前記繊維フィラーは、アラミド繊維、炭素繊維、及びガス抜き繊維を含み、
    前記ガス抜き繊維は、前記ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解して前記ベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成するレーヨン繊維又はビニロン繊維であり、
    前記ベースゴムの100部に対する前記ガス抜き繊維の重量部は2~5部であり、
    前記粉末フィラーは、炭化ケイ素を含む、インシュレーションゴム。
  2. 前記ベースゴムの100部に対する前記炭化ケイ素の重量部は10~30部である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
  3. 前記炭化ケイ素は、平均粒径が1.2~20μmの粉末である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
  4. 前記粉末フィラーは、前記ベースゴムの100部に対し20~40部の難燃剤を含む、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
  5. 前記ベースゴムの100部に対する前記アラミド繊維の重量部は10~30部であり、前記炭素繊維の重量部は20~40部である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
  6. 燃焼熱により生成される炭化層の密度が、0.4~0.9g/cmである、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
  7. 請求項1に記載のインシュレーションゴムを幅と厚さが一定な帯状テープに形成し、前記帯状テープをマンドレルのドーム面にテープラップ積層する、モータケースの製造方法。
  8. 前記ドーム面は、軸線に対し線対称な外面を有し、
    前記帯状テープは、前記軸線に直交する方向に積層され、前記帯状テープの積層面は、前記軸線に平行に位置する、請求項に記載のモータケースの製造方法。
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