JP2019203074A - インシュレーションゴムとこれを用いたモータケースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このうちモータケースは、固体推進薬を内部に収容する圧力容器であり、固体推進薬の燃焼時にその内面が燃焼ガスに曝される。この燃焼ガスの温度は、例えば3000℃を超える。そのため、かかる高温の燃焼ガスからモータケースを保護するために、従来からインシュレーションゴムが用いられている。
前記ベースゴムは、EPDMであり、
前記繊維フィラーは、アラミド繊維、炭素繊維、及びガス抜き繊維を含み、
前記粉末フィラーは、炭化ケイ素を含む、インシュレーションゴムが提供される。
ガス抜き繊維は、ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解してベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成する機能を有する。ガス抜き繊維の添加により、特に高流量側での炭化層密度が上がり、アブレーション速度が低下することが、後述する実施例で確認された。
平面積層法は、ゴムロールから扇型形状に裁断するため、材料の歩留まりが非常に悪い。また、積層作業の自動化が困難なため、製造コストが大きくなる。
この場合、ドーム面6は、軸線Z−Zに対し線対称な外面(例えば球面)を有する。また、帯状テープ3は、軸線Z−Zに直交する方向に積層され、帯状テープ3の積層面は、軸線Z−Zに平行に位置する。
このテープラップ積層法により、軸線Z−Zを中心に軸4を回転させることで、帯状テープ3を自動で積層することができ、製造コストを低減することができる。
なお、上述したテープラップ積層法は、例えば、非特許文献1に開示されている。
また、モータケースの内面に帯状テープ3を自動積層する技術も、例えば、スペースシャトル用固体ロケットブースターで既に採用されている。
各図において、破線の両矢印は、列理方向を示す。インシュレーションゴムはロール方向にゴムシート7が引き伸ばされることから、配合されている繊維(例えばアラミド繊維)がロール方向に主に配向される。このロール方向を「列理方向」と呼ぶ。
列理方向の相違による効果は、後述する。
表1は、本発明によるインシュレーションゴム1の材料配合表であり、図3はその模式的断面図である。以下、本発明によるインシュレーションゴム1を「発明ゴム1」と呼ぶ。
図3において、aはEPDM、bはアラミド繊維、cは炭素繊維、dはガス抜き繊維、eは炭化ケイ素(SiC)である。
これにより、アブレーション量(炭化層Cの炭化層表層Aからの深さ)が低減され、モータケースに施工するインシュレーションゴム1の厚さを減らせ、代わりに、推進薬量を増やせるので、固体ロケットの性能を高めることができる。
本発明は、ベースゴムに繊維フィラーと粉末フィラーを混合したインシュレーションゴム1であり、ベースゴムは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)である。
EPDMをNBR(ニトリルゴム)及びNR(天然ゴム)と比較した結果、EPDMの熱拡散率(約0.189m2/s)が最も高い。従って、アブレーション速度を小さくしてアブレーション性能を向上するには、NBR及びNRよりもEPDMが適していることがわかる。
EPDMの炭化開始温度(熱分解温度)は約450℃、炭化終了温度は約500℃である。
本発明のインシュレーションゴム1は、繊維フィラーとして、アラミド繊維b、炭素繊維c、及びガス抜き繊維dを含む。
従来のカーボンブラックを炭素繊維cに代えると、アブレーション速度が低減することが確認されている。
難燃剤の分解開始温度は、約337℃であるが、難燃剤は微細な粉末であるため熱分解してもインシュレーションゴム内にガス流路は形成されない。難燃剤は、例えば塩素系難燃剤である。
また、難燃剤以外の基本材料は熱分解温度が高く、約350℃までは有意な減量は起きない。
ガス抜き繊維dの候補として、レーヨン、ビニロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン。ナイロン6、ポリエステル、を試験した。
その結果、350℃までの減量率は、レーヨン(約42%)とビニロン(約40%)が高く、ガス抜き繊維dとして適していることが確認された。
アブレーション速度は、インシュレーションゴム1の厚さ変化量を燃焼時間で割った値であり、この値が小さいほどアブレーション性能が高いことを意味する。
また、この試験で炭化層密度を計測した結果、高流量側での炭化層密度が約0.41〜0.61g/cm3まで高くなっており、ガス抜き繊維dの添加により炭化層密度が増しアブレーション速度が低下したと考えることができる。
ガス抜き繊維は嵩が高くゴムへの混合がし難いため、2〜5部が好ましく、2部が最適である。5部を超えると量産が困難である。
本発明のインシュレーションゴム1は、粉末フィラーとして炭化ケイ素eを含む。炭化ケイ素eは、平均粒径が1.2〜20μmの粉末であることが好ましい。
上述した炭素繊維cの熱拡散率は非常に高いが、繊維状であるため余り多くの量をゴムに混合することができない。これに対し、炭化ケイ素eは粉末であるため、ベースゴムの100部に対し10〜30部を混合することができる。
このうち、燃焼ガス温度が3000℃を超えるため、シリカ(SiO2)のように融点が低いセラミックは溶解してガス流によって流れ出すため、逆に炭化層Cを壊してしまう。
この図から、列理方向、列理直角方向ともに、本発明のインシュレーションゴム1は、従来例と比較してアブレーション性能が大幅に向上することがわかる。
その結果、SiCと炭素繊維の部数を10部から30部まで増やすにつれて、炭化層密度が約0.31〜0.38g/cm3まで上昇し、アブレーション速度が低下することが確認された。
その結果、平均粒径が1.2〜20μmの粉末である場合、どの条件でも同様に炭化層密度が約0.45〜0.51g/cm3までの上昇が認められた。なお平均粒径が大きい方が、わずかに炭化層密度が高くなった。
図6は、難燃剤の有無によるアブレーション速度の試験結果である。この図において、横軸はガス流量密度、縦軸はアブレーション速度である。
この結果から、難燃剤は全流量密度域で炭化層密度を約0.41〜0.52g/cm3まで引き上げる効果があり、ガス抜き繊維と難燃剤の両方を添加することでアブレーション速度が高流量側(400〜800kg/s・m2)で低減できることが分かった。
また図中の数字は、発明ゴム1の炭化層密度(g/cm3)である。
この図に示すように、従来例では、高密度の炭化層Cが生成されないため、流量密度が400kg/s・m2を超えると、炭化層Cがガス流によって破壊されて下層のバージン層Bが露出する。これが連続的に繰り返されることにより、バージン層Bの炭化が著しく進行することがわかる。
テープラップ積層により、燃焼ガス流量密度500〜700kg/s・m2の高流量密度領域で特に優れたアブレーション性能(性能向上率約24%)を示す。
すなわち高熱伝導剤の配合材料と、主にベースゴムであるEPDMの熱分解ガスを放出するためのガス抜き経路を作る配合材料を添加することのにより、約2倍の炭化層密度を実現した。
さらに、テープラップ積層の採用により、層間からのガス抜き経路の確保と厚さ方向への繊維配向による入熱速度の上昇により、炭化層密度を従来材料の平面積層の約3倍に向上することができた。
この図から、炭化層の消失は、極く表面のみ(約0.2mm)しか認められず、炭化層の消失は非常に少ないと考えられる。また、表面近傍の炭化層密度は0.7g/cm3を超えている。
図9から、発明ゴム1を用いてテープラップ積層することで、炭化層密度が最大0.876g/cm3まで上昇することが試験により確認された。
ガス抜き繊維dは、ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解してベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成する機能を有する。そのためガス抜き繊維dの添加により、特に高流量側での炭化層密度が上がり、アブレーション速度が低下することが、実施例で確認された。
a EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)、
b アラミド繊維、c 炭素繊維、
d ガス抜き繊維(レーヨン繊維又はビニロン繊維)、
e 炭化ケイ素(SiC)、
1 インシュレーションゴム(発明ゴム)、2 扇型ゴムシート、
3 帯状テープ、4 軸、5 マンドレル、6 ドーム面、7 ゴムシート
Claims (9)
- ベースゴムに繊維フィラーと粉末フィラーを混合したインシュレーションゴムであって、
前記ベースゴムは、EPDMであり、
前記繊維フィラーは、アラミド繊維、炭素繊維、及びガス抜き繊維を含み、
前記粉末フィラーは、炭化ケイ素を含む、インシュレーションゴム。 - 前記ベースゴムの100部に対する前記炭化ケイ素の重量部は10〜30部である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
- 前記炭化ケイ素は、平均粒径が1.2〜20μmの粉末である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
- 前記ガス抜き繊維は、前記ベースゴムの熱分解温度より低温で熱分解して前記ベースゴムの熱分解ガス放出経路を形成するレーヨン繊維又はビニロン繊維であり、
前記ベースゴムの100部に対する前記ガス抜き繊維の重量部は2〜5部である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。 - 前記粉末フィラーは、前記ベースゴムの100部に対し20〜40部の難燃剤を含む、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
- 前記ベースゴムの100部に対する前記アラミド繊維の重量部は10〜30部であり、前記炭素繊維の重量部は20〜40部である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
- 燃焼熱により生成される炭化層の密度が、0.4〜0.9g/cm3である、請求項1に記載のインシュレーションゴム。
- 請求項1に記載のインシュレーションゴムを幅と厚さが一定な帯状テープに形成し、前記帯状テープをマンドレルのドーム面にテープラップ積層する、モータケースの製造方法。
- 前記ドーム面は、軸線に対し線対称な外面を有し、
前記帯状テープは、前記軸線に直交する方向に積層され、前記帯状テープの積層面は、前記軸線に平行に位置する、請求項8に記載のモータケースの製造方法。
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KR20220087161A (ko) * | 2020-12-17 | 2022-06-24 | 동보체인공업주식회사 | 고절연성 가황 고무 조성물, 이를 이용한 신발 부품 및 이의 제조방법 |
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US20140255635A1 (en) * | 2013-03-06 | 2014-09-11 | Alliant Techsystems Inc. | Insulation materials comprising fibers having a partially cured polymer coating thereon, articles including such insulation materials, and methods of forming such materials and articles |
JP2018517817A (ja) * | 2015-06-18 | 2018-07-05 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 熱伝導性エラストマー複合体 |
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KR102575263B1 (ko) | 2020-12-17 | 2023-09-06 | 동보체인공업주식회사 | 고절연성 가황 고무 조성물, 이를 이용한 신발 부품 및 이의 제조방법 |
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