<実施形態>
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る電動駐車ブレーキ装置(以下、「本装置」とも称呼される。)10の概略システム構成図である。本装置10は、車両に搭載され、駐車ブレーキECU20、ケーブル巻き上げユニット30、ケーブル40、駐車ブレーキユニット50(50R、50L)及び表示装置60等を備えている。
駐車ブレーキECU(以下、単に「ECU」と称呼する。)20は、ケーブル巻き上げユニット30及び表示装置60等と電気的に接続されている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(又は不揮発性メモリ)及びインタフェースI/F等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ケーブル巻き上げユニット30は、ケーブル40を巻き上げるアクチュエータとして機能する。より具体的に述べると、ケーブル巻き上げユニット30は、図示しない電動モータ及びギヤ機構により構成されている。このようなケーブル巻き上げユニット30は、例えば、特開2001-322537号公報(図2)及び特開2006-123797号公報(図2)等に開示された公知のユニットである。
ケーブル40は、一端がケーブル巻き上げユニット30の図示しない巻き上げギヤに接続され、他端がイコライザ42に接続された第1ケーブル41と、一端がイコライザ42に接続され、他端が駐車ブレーキユニット50Rのブレーキシューレバー55Rに接続された第2ケーブル43Rと、一端がイコライザ42に接続され、他端が駐車ブレーキユニット50Lの図示しないブレーキシューレバーに接続された第3ケーブル43L、により構成されている。
右後輪WRRの駐車ブレーキユニット50Rは、ブレーキドラム51R、ブレーキシュー52R、ライニング53R、シューストラット54R及びブレーキシューレバー55R等を備えている。ブレーキドラム51Rは、ホイールWHに固定され、ホイールWHとともに回転する筒状の部材である。ブレーキシュー52Rは、ブレーキドラム51R内部に配置される一対の「シュー」である。ライニング53Rは、ブレーキシュー52Rに固定され、ブレーキドラム51Rに押接されることによりホイールWHに制動力を発生させる。
一対のブレーキシュー52Rの一方には、ブレーキシューレバー55Rの一端がピンを介して回転可能に取り付けられており、ブレーキシューレバー55Rの他端には第2ケーブル43Rの一端が接続される。ブレーキシューレバー55Rは、シューストラット54Rによって他方のブレーキシュー52Rと連結されている。従って、ケーブル40がケーブル巻き上げユニット30によって巻き上げられると、ブレーキシューレバー55R及びシューストラット54Rによって一対のブレーキシュー52Rが拡開され、ライニング53Rがブレーキドラム51Rの内周面に押接されることによりホイールWHに制動力が付与される。左後輪WRLの駐車ブレーキユニット50Lも右後輪WRRの駐車ブレーキユニット50Rと同様に構成されている。
本装置10は、更に、イグニッション・キー・スイッチ21、駐車ブレーキ用スイッチ22、シフトポジションセンサ23、アクセルスイッチ24、ブレーキスイッチ25、張力センサ26及び車輪速センサ27(27L、27R)等を備えている。ECU20は、イグニッション・キー・スイッチ21、駐車ブレーキ用スイッチ22、シフトポジションセンサ23、アクセルスイッチ24、ブレーキスイッチ25、張力センサ26及び車輪速センサ27等と電気的に接続されている。
イグニッション・キー・スイッチ21は、車両のシステム及び図示しないエンジンの起動又は停止を行うためのスイッチである。
駐車ブレーキ用スイッチ22は、図2に示したように、車両のセンターコンソールCCに配置されている。従って、ユーザ(運転者)は、車両の運転中に駐車ブレーキ用スイッチ22を操作可能である。駐車ブレーキ用スイッチ22は、自己復帰型(モーメンタリ)の3位置切り替えスイッチである。図3に示したように、駐車ブレーキ用スイッチ22は、ユーザ(運転者)が操作していないときには、定位置NEU(位置A0)にある。この定位置NEUを含む所定の範囲は、「ニュートラル位置NP」と称呼される。
駐車ブレーキ用スイッチ22は、操作子221の一端にある操作部222がニュートラル位置NPから上方に引き上げられている間、ECU20に駐車ブレーキ作動信号を出力するようになっている。操作部222が上方に引き上げられ、駐車ブレーキ用スイッチ22が駐車ブレーキ作動信号を出力しているときの操作子221の位置は、「ブレーキ作動位置LP」と称呼される。一方、駐車ブレーキ用スイッチ22は、操作部222がニュートラル位置NPから下方に押し下げされている間、ECU20に駐車ブレーキ解除信号を出力するようになっている。操作部222が下方に押し下げられ、駐車ブレーキ用スイッチ22が駐車ブレーキ解除信号を出力しているときの操作子221の位置は、「ブレーキ解除位置RP」と称呼される。
より具体的に述べると、ニュートラル位置NPから操作部222が上方に引き上げられ又は下方に押し下げられると、操作子221は、操作子221の他端である支点223を中心として回動する。操作子221は、操作子221の可動範囲上限ULM(位置A3)から操作子221の可動範囲下限LLM(位置-A3)までの範囲で回動可能である。操作子221が位置A1から位置-A1の範囲(即ち、ニュートラル位置NP)にあるとき、駐車ブレーキ用スイッチ22は、ニュートラル位置信号を出力する。操作子221が位置A2から位置A3までの範囲にあるとき、駐車ブレーキ用スイッチ22はブレーキ作動位置LPにあり、駐車ブレーキ作動信号を出力する。操作子221が位置-A2から位置-A3までの範囲にあるとき、駐車ブレーキ用スイッチ22はブレーキ解除位置RPにあり、駐車ブレーキ解除信号を出力する。
更に、操作子221が位置A1から位置A2までの範囲にあるとき、駐車ブレーキ用スイッチ22は「ニュートラル位置NP」でも「ブレーキ作動位置LP」でもない「第1中間位置IP1」にあり、第1中間位置信号を出力する。操作子221が位置-A1から位置-A2までの範囲にあるとき、駐車ブレーキ用スイッチ22は「ニュートラル位置NP」でも「ブレーキ解除位置RP」でもない「第2中間位置IP2」にあり、第2中間位置信号を出力する。
再び図1を参照すると、シフトポジションセンサ23は、シフトレバー23aのシフト位置SPを表す信号をECU20に出力するようになっている。アクセルスイッチ24は、アクセルペダル24aが踏み込まれたことを表す信号をECU20に出力するようになっている。ブレーキスイッチ25は、サービスブレーキのブレーキペダル25aが踏み込まれたことを表す信号をECU20に出力するようになっている。張力センサ26は、ケーブル41の張力TSを表す信号を出力するようになっている。車輪速センサ27Lは、左後輪WRLの車輪速度Vwrlを表す信号を出力するようになっている。車輪速センサ27Rは、右後輪WRRの車輪速度Vwrrを表す信号を出力するようになっている。
ECU20は、車輪速センサ27Lが出力する車輪速度Vwrlを表す信号、車輪速センサ27Rが出力する車輪速度Vwrrを表す信号、アクセルスイッチ24が出力するアクセルオンを表す信号、ブレーキスイッチ25が出力するブレーキオンを表す信号及びイグニッション・キー・スイッチ21が出力するイグニッション信号を入力するようになっている。更に、ECU20は、ケーブル巻き上げユニット30の電動機に取り付けられた図示しない電流計が出力する電動機への印加電流を表す信号、駐車ブレーキ用スイッチ22が出力する駐車ブレーキ用スイッチ22の状態を表す信号、シフトポジションセンサ23が出力するシフト位置SPを表す信号及び張力センサ26が出力するケーブル張力TSを表す信号を入力するようになっている。
更に、ECU20は、電動機への駆動信号、運転席の前面に配置された液晶ディスプレイ61への表示信号、駐車ブレーキ用スイッチ22に備えられた作動灯62へのブレーキ装置作動信号等がそれぞれ出力されるようになっている。
ECU20は、車両の状態に応じて駐車ブレーキユニット50の作動を自動的に行う駐車ブレーキ自動作動制御を実行するようになっている。例えば、ECU20のCPUは、シフト位置SPが「P」及び「N」等の停止位置にあり、車輪速度Vwrl及びVwrrが実質的にゼロであり、且つ、ブレーキペダル25aが踏み込まれてブレーキスイッチ25からオン信号が出力されているときに駐車ブレーキユニット50の作動条件が成立したと判定する。そして、CPUは、ECU20から電動機に駆動信号を出力させ電動機を駆動することにより、駐車ブレーキユニット50を作動させる。
CPUは、上記「駐車ブレーキ自動作動制御」とともに「駐車ブレーキ自動解除制御」も実行する。「駐車ブレーキ自動解除制御」は、例えば、シフト位置SPが走行可能な位置(「D」位置及び「L」位置等)にある場合においてブレーキスイッチBSがオフになったとき駐車ブレーキユニット50を解除するようになっている(特開2001-322537号公報を参照。)。
更に、CPUは、ユーザ(運転者)により駐車ブレーキ用スイッチ22がニュートラル位置NPからブレーキ作動位置LPに操作されたとき、駐車ブレーキユニット50を作動させ、駐車ブレーキ用スイッチ22がニュートラル位置NPからブレーキ解除位置RPに操作されたとき、駐車ブレーキユニット50を解除させる。
(作動)
次に、駐車ブレーキ用スイッチ22に対する操作と駐車ブレーキ用スイッチ22が出力するニュートラル位置信号、駐車ブレーキ作動信号、駐車ブレーキ解除信号、第1中間位置信号及び第2中間位置信号等の関係についてより詳細に説明する。
先ず、操作子221がニュートラル位置NPにある場合(即ち、ユーザによって操作されていないとき)の状態について説明する。図4に示したように、駐車ブレーキ用スイッチ22は、連動する2極の単投スイッチであって一方の極が閉成すると他方の極が開成するように動作するスイッチを2つ(作動スイッチ225及び解除スイッチ226)備えている。作動スイッチ225は、常時開の第1単投スイッチLOK1(以下、単に「第1スイッチLOK1」とも称呼する。)と常時閉の第2単投スイッチLOK2(以下、単に「第2スイッチLOK2」とも称呼する。)とが並列に配置され且つ連動して動作するように構成されている。解除スイッチ226は、常時閉の第3単投スイッチREL1(以下、単に「第3スイッチREL1」とも称呼する。)と常時開の第4単投スイッチREL2(以下、単に「第4スイッチREL2」とも称呼する。)とが並列に配置され且つ連動して動作するように構成されている。
更に、作動スイッチ225と解除スイッチ226とは、第1スイッチLOK1と第3スイッチREL1とが直列に接続される第1回路C1と、第2スイッチLOK2と第4スイッチREL2とが直列に接続される第2回路C2と、が並列に接続されている。
第1スイッチLOK1と第3スイッチREL1との間の接続点(第1接続点)P1は、ECU20から第1信号SIG1を入力する第1端子IN1と接続されている。第2スイッチLOK2と第4スイッチREL2との間の接続点(第2接続点)P2は、ECU20から第2信号SIG2を入力する第2端子IN2と接続されている。第1接続点P1及び第2接続点P2とは反対側の第1スイッチLOK1と第2スイッチLOK2との接続点(第3接続点P3)は、ECU20に信号を出力する第3端子OUT1と接続されている。第1接続点P1及び第2接続点P2とは反対側の第3スイッチREL1と第4スイッチREL2との接続点(第4接続点P4)は、ECU20に信号を出力する第4端子OUT2と接続されている。
第1端子IN1、第2端子IN2、第3端子OUT1及び第4端子OUT2は、それぞれワイヤハーネス227及びその両端のコネクタ228及び229を介してECU20の第5端子SWO1、第6端子SWO2、第7端子SWI1及び第8端子SWI2と接続される。
ECU20のCPUは、第5端子SWO1から一定時間毎にパルス状の第1信号SIG1を出力するとともに、第6端子SWO2から第1信号SIG1と同期するパルス状の第2信号SIG2を出力するようになっている。なお、第1信号SIG1のパルス形状と第2信号SIG2のパルス形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図4に示したように、操作子221がニュートラル位置NPにある場合、第1スイッチLOK1は開成し、第2スイッチLOK2は閉成し、第3スイッチREL1は閉成し、第4スイッチREL2は開成している。従って、この場合、第5端子SWO1から出力した第1信号SIG1は、第1端子IN1、第1接続点P1、第3スイッチREL1、第4接続点P4及び第4端子OUT2を経由して第8端子SWI2に入力する。第6端子SWO2から出力した第2信号SIG2は、第2端子IN2、第2接続点P2、第2スイッチLOK2、第3接続点P3及び第3端子OUT1を経由して第7端子SWI1に入力する。
つまり、表1に示したように、操作子221がニュートラル位置NPにある場合、「ニュートラル位置信号」として、第7端子SWI1には第2信号SIG2が入力し、第8端子SWI2には第1信号SIG1が入力する。なお、表1において、「ON」は、第1スイッチLOK1乃至第4スイッチREL2が開成していることを表し、「OFF」は第1スイッチLOK1乃至第4スイッチREL2が閉成していることを表している。
操作部222が引き上げられて、操作子221がニュートラル位置NPからブレーキ作動位置LPに移動すると、作動スイッチ225が押下されることにより、作動スイッチ225の状態が変化する。即ち、第1スイッチLOK1が閉成され、第2スイッチLOK2が開成される(図5の(A)を参照。)。このとき、「駐車ブレーキ作動信号」として、第7端子SWI1には第1信号SIG1が入力し、第8端子SWI2には第1信号SIG1が入力する。その後、ユーザが操作部222の操作を中止すると(ユーザが操作子221から手を放すと)、操作子221はニュートラル位置NPに復帰するとともに、第1スイッチLOK1が開成し第2スイッチLOK2が閉成する。
操作部222が押し下げられて、操作子221がニュートラル位置NPからブレーキ解除位置RPに移動すると、解除スイッチ226が押下されることにより、解除スイッチ226の状態が変化する。即ち、第3スイッチREL1が開成され、第4スイッチREL2が閉成される(図5の(B)を参照。)。このとき、「駐車ブレーキ解除信号」として、第7端子SWI1には第2信号SIG2が入力し、第8端子SWI2には第2信号SIG2が入力する。その後、ユーザが操作部222の操作を中止すると、操作子221はニュートラル位置NPに復帰するとともに、第3スイッチREL1が閉成し第4スイッチREL2が開成する。
操作部222が引き上げられて、操作子221がニュートラル位置NPから第1中間位置IP1に移動すると、作動スイッチ225が「半押し状態」となる。この「半押し状態」においては、第1スイッチLOK1及び第2スイッチLOK2が同時に閉成される(図6の(A)を参照。)。このとき、「第1中間位置信号」として、第7端子SWI1には第1信号SIG1と第2信号SIG2の和(SIG1+SIG2)が入力し、第8端子SWI2にも第1信号SIG1と第2信号SIG2の和(SIG1+SIG2)が入力する。その後、ユーザが操作部222の操作を中止すると、操作子221はニュートラル位置NPに復帰するとともに、第1スイッチLOK1が開成する。
操作部222が押し下げられて、操作子221がニュートラル位置NPから第2中間位置IP2に移動すると、解除スイッチ226が「半押し状態」となる。この「半押し状態」においては、第3スイッチREL1及び第4スイッチREL2が同時に閉成される(図6の(B)を参照。)。このとき、「第2中間位置信号」として、第7端子SWI1及び第8端子SWI2には何れも第1信号SIG1と第2信号SIG2の和(SIG1+SIG2)が入力する。その後、ユーザが操作部222の操作を中止すると、操作子221はニュートラル位置NPに復帰するとともに、第4スイッチREL2が開成する。
次に、ワイヤハーネス227が断線している場合及びコネクタ228又は229が抜けている場合等の装置異常がある場合について説明する。例えば、第5端子SWO1に対応するワイヤハーネスが断線した場合、第1信号SIG1は駐車ブレーキ用スイッチ22に到達しない。従って、図7の(A)に示したように、操作子221がニュートラル位置NPにある場合、第7端子SWI1には第2信号SIG2が入力されるが、第8端子SWI2には信号が入力しない。従って、第8端子SWI2は無信号状態となる(例えば、信号がローレベルとなる。)。この場合、CPUは、本装置10に異常が発生したと判定して、液晶ディスプレイ61を用いて本装置10の異常をユーザに警告する。
例えば、第7端子SWI1に対応するワイヤハーネスが断線した場合、第3端子OUT1の出力は第7端子SWI1に到達しない。従って、図7の(B)に示したように、操作子221がニュートラル位置NPにある場合、第8端子SWI2には第1信号SIG1が入力されるが、第7端子SWI1には信号が入力しない。従って、第7端子SWI1は無信号状態となる(例えば、信号がローレベルとなる。)。この場合も、CPUは、本装置10に異常が発生したと判定する。
例えば、コネクタ228又は229(ECU20側か駐車ブレーキ用スイッチ22側の少なくとも何れか一方)が外れた状態又は接触不良(以下、「コネクタ抜け」と称呼する。)である場合、図7の(C)に示したように、第7端子SWI1にも第8端子SWI2にも信号が入力しない。従って、第7端子SWI1及び第8端子SWI2には信号が入力しない。この場合も、CPUは、本装置10に異常が発生したと判定する。以下、表2に、ワイヤハーネス227の断線、コネクタ228又は229の抜けが発生した場合における第5端子SWO1乃至第8端子SWI2の入出力信号と第1スイッチLOK1乃至第4スイッチREL2の各状態が整理されている。なお、表2中、「信号無し」は、無信号状態である(例えば、信号レベルがローレベルである)ことを表している。
このように、本装置10は、「半押し状態」である第1中間位置IP1又は第2中間位置IP2において、第7端子SWI1及び第8端子SWI2に入力する信号が「信号無し」になることがない(表1を参照。)。従って、本装置10によれば、操作子221の「半押し状態」と、ワイヤハーネス227の断線又はコネクタ抜けの異常状態と、を明確に判別することができる。
上述の動作を実現するための駐車ブレーキ用スイッチ22は、例えば、図8に示した構造(プリント基板のパターン)により具現化される。図8に示したように、駐車ブレーキ用スイッチ22内部の回路基板70には6つの電極が並列に形成されている。以下、6つの電極は、紙面の上から順に第1電極71、第2電極72、第3電極73、第4電極74、第5電極75及び第6電極76と称呼される。
第1電極71は、第4端子OUT2と電気的に接続されている。第2電極72は、第2端子IN2と電気的に接続されている。第3電極73は、第3端子OUT1と電気的に接続されている。第4電極74は、第3端子OUT1と電気的に接続されている。第5電極75は、第1端子IN1と電気的に接続されている。第6電極76は、第4端子OUT2と電気的に接続されている。
更に、回路基板70上にはE字型の第1接触子77及び第2接触子78が、図8において紙面の左右方向に摺動可能に設けられる。第1接触子77及び第2接触子78は、操作子221が操作されたときの回動動作に伴って回路基板70上を互いに連動して摺動するようになっている。
操作子221がニュートラル位置NPにあるとき、第1接触子77及び第2接触子78は、図9の(A)に示したように、破線L0上に整列している。この場合、第1接触子77の第1突起部77aは第1電極71には接触しておらず、第1接触子77の第2突起部77bは第2電極72に接触し、第1接触子77の第3突起部77cは第3電極73に接触している。従って、第2電極72と第3電極73とが第1接触子77によって短絡される。これは、第4スイッチREL2が開成しており、第2スイッチLOK2が閉成していることと等価である。
一方、第2接触子78の第1突起部78aは第4電極74には接触しておらず、第2接触子78の第2突起部78bは第5電極75に接触し、第2接触子78の第3突起部78cは第6電極76に接触している。従って、第5電極75と第6電極76とが第2接触子78によって短絡される。これは、第1スイッチLOK1が開成しており、第3スイッチREL1が閉成していることと等価である。従って、この場合、第7端子SWI1には第2信号SIG2が入力し、第8端子SWI2には第1信号SIG1が入力する。
例えば、操作子221がブレーキ作動位置LPにあるとき、第1接触子77及び第2接触子78は、図9の(B)に示したように、破線L1上に整列している。この場合、第1接触子77の第1突起部77aは第1電極71には接触しておらず、第1接触子77の第2突起部77bは第2電極72に接触し、第1接触子77の第3突起部77cは第3電極73には接触していない。従って、第1電極71、第2電極72及び第3電極73は互いに短絡していない。これは、第4スイッチREL2も第2スイッチLOK2も開成していることと等価である。
一方、第2接触子78の第1突起部78aは第4電極74に接触し、第2接触子78の第2突起部78bは第5電極75に接触し、第2接触子78の第3突起部78cは第6電極76に接触している。従って、第4電極74、第5電極75及び第6電極76は互いに短絡される。これは、第1スイッチLOK1も第3スイッチREL1も閉成していることと等価である。従って、この場合、第7端子SWI1にも第8端子SWI2にも第1信号SIG1が入力する。
例えば、操作子221がブレーキ解除位置RPにあるとき、第1接触子77及び第2接触子78は、図9の(C)に示したように、破線L2上に整列している。この場合、第1接触子77の第1突起部77aは第1電極71に接触し、第1接触子77の第2突起部77bは第2電極72に接触し、第1接触子77の第3突起部77cは第3電極73に接触する。従って、第1電極71、第2電極72及び第3電極73は互いに短絡される。これは、第4スイッチREL2も第2スイッチLOK2も閉成していることと等価である。
一方、第2接触子78の第1突起部78aは第4電極74に接触しておらず、第2接触子78の第2突起部78bは第5電極75に接触し、第2接触子78の第3突起部78cは第6電極76に接触していない。従って、第4電極74、第5電極75及び第6電極76は互いに短絡していない。これは、第1スイッチLOK1も第3スイッチREL1も開成していることと等価である。従って、この場合、第7端子SWI1にも第8端子SWI2にも第2信号SIG2が入力する。
操作子221が第1中間位置IP1にあるとき、第1接触子77及び第2接触子78は、図10の(A)に示したように、破線L0と破線L1との間の破線L3上に整列している。このとき、第2電極72と第3電極73とが短絡し、第4電極74、第5電極75及び第6電極76が互いに短絡している。これは、第4スイッチREL2は開成し、第2スイッチLOK2、第1スイッチLOK1及び第3スイッチREL1が閉成していることと等価である。従って、この場合、第7端子SWI1にも第8端子SWI2にも第1信号SIG1と第2信号SIG2の和(SIG1+SIG2)が入力する。
図8及び図10等から理解されるように、第3電極73と第4電極74とは、摺動方向(左右方向)においてオーバラップしている(図8のOL1を参照。)。ここで、仮に、第3電極73と第4電極74とのオーバラップ部分がない場合、第1スイッチLOK1及び第2スイッチLOK2が何れも開成することが発生し得る。この場合、第7端子SWI1に第1信号SIG1も第2信号SIG2も入力しない状況が発生し得る。これにより、本装置10に異常があると判定されてしまう場合がある。
つまり、本装置10によれば、第1中間位置IP1においては、第3電極73と第4電極74とが摺動方向(左右方向)においてオーバラップしていることにより、第1スイッチLOK1と第2スイッチLOK2とが同時に閉成する。これにより、第1中間位置IP1において無信号状態が発生することを防止し、本装置10に異常がないにもかかわらず異常があると判定されることを防止することができる。
操作子221が第2中間位置IP2にあるとき、第1接触子77及び第2接触子78は、図10の(B)に示したように、破線L0と破線L2との間の破線L4上に整列している。このとき、第1電極71、第2電極72及び第3電極73が互いに短絡し、第5電極75と第6電極76とが短絡している。これは、第1スイッチLOK1が開成し、第4スイッチREL2、第2スイッチLOK2及び第3スイッチREL1が閉成していることと等価である。従って、この場合、第7端子SWI1にも第8端子SWI2にも第1信号SIG1と第2信号SIG2の和(SIG1+SIG2)が入力する。
図8及び図10等から理解されるように、第1電極71と第6電極76とは、摺動方向(左右方向)においてオーバラップしている(図8のOL2を参照。)。ここで、仮に、第1電極71と第6電極76とのオーバラップ部分がない場合、第3スイッチREL1及び第4スイッチREL2が何れも開成することが発生し得る。この場合、第8端子SWI2に第1信号SIG1も第2信号SIG2も入力しない状況が発生し得る。これにより、本装置10に異常があると判定されてしまう場合がある。
つまり、本装置10によれば、第2中間位置IP2においては、第1電極71と第6電極76とが摺動方向においてオーバラップしていることにより、第3スイッチREL1と第4スイッチREL2とが同時に閉成する。これにより、第2中間位置IP2において無信号状態が発生することを防止し、本装置10に異常がないにもかかわらず異常があると判定されることを防止することができる。
以上、説明したように、本装置10の駐車ブレーキ用スイッチ22は、作動スイッチ225、解除スイッチ226、スイッチ回路224、操作子221を備えている。作動スイッチ225は、駐車ブレーキユニット50を作動させるために操作されるスイッチであり、解除スイッチ226は、駐車ブレーキユニット50の作動を解除させるために操作されるスイッチである。スイッチ回路224は、作動スイッチ225と、解除スイッチ226と、2つの入力端子である第1端子IN1及び第2端子IN2と、2つの出力端子である第3端子OUT1及び第4端子OUT2と、を含んでいる。操作子221は、作動スイッチ225又は解除スイッチ226を操作するために設けられている。
本装置10の制御部20は、第1端子IN1及び第2端子IN2に第1信号SIG1及び第2信号SIG2をそれぞれ送信するとともに、第3端子OUT1及び第4端子OUT2からそれぞれ出力される第3信号及び第4信号を受信する。これにより、制御部20は、作動スイッチ225の操作の有無及び解除スイッチ226の操作の有無の判定を行い、これらの判定の結果に基づいて駐車ブレーキユニット50の作動及び解除を制御する。
作動スイッチ225は、連動する2極のスイッチであって一方の第1極LOK1が常時開状態であり他方の第2極LOK2が常時閉状態であるスイッチである。解除スイッチ226は、連動する2極のスイッチであって一方の第3極REL1が常時閉状態であり他方の第4極REL2が常時開状態であるスイッチである。操作子221は、第1極LOK1を閉成し且つ第2極REL2を開成する位置であるブレーキ作動位置LPと、第3極REL1を開成し且つ第4極REL2を閉成する位置であるブレーキ解除位置RPと、ブレーキ作動位置LPとブレーキ解除位置RPとの中間の位置であるニュートラル位置NPとの間を移動可能に構成されている。操作子221は、操作されたときブレーキ作動位置LP又はブレーキ解除位置RPまで移動し、操作されないときニュートラル位置NPに位置するように構成される。
スイッチ回路224において、第1極LOK1と第3極REL1とが直列に接続される第1回路C1と、第2極LOK2と第4極REL2とが直列に接続される第2回路C2と、が並列に接続されている。更に、第1極LOK1と第3極REL1とを接続する第1接続点P1は第1端子IN1と、第2極LOK2と第4極REL2とを接続する第2接続点P2は第2端子IN2と、前記第1接続点P1及び前記第2接続点P2とは反対側の第1極LOK1と第2極LOK2とを接続する第3接続点P3は第3端子OUT1と、前記第1接続点P1及び前記第2接続点P2とは反対側の第3極REL1と第4極REL2とを接続する第4接続点P4は第4端子OUT2と、それぞれ接続されている。
駐車ブレーキ用スイッチ22は、ブレーキ作動位置LPとニュートラル位置NPとの間の第1中間位置IP1において第1極LOK1と第2極LOK2とが同時に閉成し、且つブレーキ解除位置RPとニュートラル位置NPとの間の第2中間位置IP2において第3極REL1と第4極REL2とが同時に閉成する、ように構成される。
このような構成により、本装置10は、装置異常が発生していないにもかかわらず、誤って装置異常と判定してしまうことを防止することができる。
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
上記実施形態において、CPUは、第5端子SWO1から一定時間毎にパルス状の第1信号SIG1を出力するとともに、第6端子SWO2から第1信号SIG1と同期するパルス状の第2信号SIG2を出力するように構成されていた。しかし、第1信号SIG1及び第2信号SIG2は、それぞれ所定の電圧信号であってもよい。
この場合、第7端子SWI1及び第8端子SWI2に入力する信号の電圧レベルは、第1信号SIG1も第2信号SIG2も入力しない第1レベル(ローレベル)、第1信号SIG1及び第2信号SIG2の何れか一方が入力する第2レベル(中間レベル)、第1信号SIG1及び第2信号SIG2の両方が入力する第3レベル(ハイレベル)の何れかとなる。従って、この場合、CPUは、これら3つのレベルを判別するように構成されればよい。
上記実施形態において、駐車ブレーキ用スイッチ22は、操作子221の操作端222が押し下げられている間だけECU20に駐車ブレーキ作動信号を出力し、操作端222が引き上げられている間だけECU20に駐車ブレーキ解除信号を出力するように構成されていた。しかし、駐車ブレーキ用スイッチは、操作子の一端(上端)が押下されている間だけECU20に駐車ブレーキ作動信号を出力し、操作子の他端(下端)が押下されている間だけECU20に駐車ブレーキ解除信号を出力するシーソー型の構造が採用されてもよい(例えば、特許文献1の図3を参照。)。
上記実施形態において、駐車ブレーキユニット50は、左後輪WRL及び右後輪WRRに設けられていたが、駐車ブレーキユニットは、車両の前輪に設けられてもよいし、4輪すべてに設けられてもよい。