以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態~第5実施形態について説明する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1~図5を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る充電制御システム10の構成を説明する図である。充電制御システム10は、EV及びハイブリッド車両等の充電を行うための充電インフラ設備、特に自動車ディーラーなどに設けられる充電ステーションに適用されるシステムである。
充電制御システム10は、電動車両Vの充電を行うためのスポットである複数の充電ポートpと、商用電源100に接続された充電電力制御装置26と、を備えている。
複数の充電ポートpは、それぞれが一台の電動車両Vに充電を行うためのスポット及び充電器等の設備を備える。本実施形態では、複数の充電ポートpとして高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2が設けられている。
高効率充電ポートp1は、充電対象である電動車両V1が配置される駐車位置29と、車両誘導線30と、第1充電器32と、自動接続状態切り替え装置40と、を有している。
車両誘導線30は、高効率充電ポートp1における充電を行うべき電動車両V1を駐車位置29まで誘導する経路を示す線である。これにより、電動車両V1のドライバ又は電動車両V1に搭載される所定の運転支援制御装置が、車両誘導線30を認識して、当該電動車両V1を駐車位置29に適切に停車させることができる。
なお、車両誘導線30は、電動車両V1を所定の充電待機橋から自動で搬送するための誘導レール及び該誘導レール上で電動車両V1を搬送する車両搬送機構を備えていても良い。
第1充電器32は、充電電力制御装置26からの指令に基づいた充電電力P1を電動車両V1に供給するための装置である。第1充電器32には、自動接続状態切り替え装置としての充電ロボット33が設けられている。
図2は、充電ロボット33の構成を説明する図である。本実施形態の充電ロボット33は、充電電力制御装置26からの指令に応じて、電動車両V1の図示しない充電口に対する充電インターフェースとしての充電ガン33aの脱着を自動的に実行するように構成されている。
具体的に、充電ロボット33は、電動車両V1が駐車位置29に位置されているときに、充電電力制御装置26からの接続指令をトリガとして、充電ガン33aを電動車両V1に自動的に接続する。また、充電ロボット33は、充電電力制御装置26からの脱離指令をトリガとして、充電ガン33aを電動車両V1から自動的に脱離する。
そして、充電ロボット33の充電ガン33aが電動車両V1に接続されると、充電電力制御装置26により定められる第1設定電力Ps1で電動車両V1への充電が行われる。
したがって、高効率充電ポートp1では、電動車両V1のユーザ(乗員)に対する手作業を要求することなく、充電ガン33aを電動車両V1に対して脱着させることができる。
これにより、電動車両V1のユーザに充電ガン33aの脱着を要求する場合と比べ、当該脱着作業のために費やされる時間を削減することができる。すなわち、高効率充電ポートp1では、充電ガン33aの脱着作業に費やされる時間(電動車両V1の駐車位置29への出入りのための移動時間も含む)、及び電動車両V1への電力供給が開始されてから所望の充電電力量を供給するまでに費やされる時間(以下、「実充電時間」とも記載する)からなる充電オペレーション時間が比較的短くすることができる。
一方、低効率充電ポートp2は、充電対象である電動車両V2が配置される駐車位置34と、第2充電器35と、手動充電インターフェース36と、を有している。
第2充電器35は、充電電力制御装置26からの指令に基づいた充電電力P2を電動車両V2に供給するための装置である。第2充電器35は、手動充電インターフェース36が設けられている。
手動充電インターフェース36は、第2充電器35から延びる充電ケーブル及び充電ケーブルの先端に取り付けられた充電ガンにより構成される。したがって、低効率充電ポートp2では、電動車両V2のユーザが、充電開始時及び充電完了時において、自ら当該手動充電インターフェース36の電動車両V2に対する脱着作業を手作業により行うこととなる。
このため、低効率充電ポートp2では、上述した高効率充電ポートp1における充電ガン33aを電動車両V2に自動的に脱着する構成と比べ、手動充電インターフェース36の電動車両V2に対する脱着作業により長い時間が要求されることとなる。すなわち、低効率充電ポートp2では、手動充電インターフェース36の脱着作業に費やされる時間(電動車両V2の駐車位置34への出入りのための移動時間も含む)、及び電動車両V2への充電に係る実充電時間からなる充電オペレーション時間が比較的長くなる。
充電電力制御装置26は、商用電源100からの供給電力Pcに基づき、高効率充電ポートp1における充電電力P1及び低効率充電ポートp2における充電電力P2を制御する。特に、充電電力制御装置26は、後述する充電電力制御ロジックにしたがって、商用電源100からの供給電力Pcを充電電力P1及び充電電力P2として分配する。
なお、商用電源100の供給電力Pcは、例えば、充電制御システム10を備えた充電ステーションを運営する者と電気事業者との間の契約等に基づいて定まる商用電源100の最大出力電力である。
次に、充電電力制御装置26の構成について説明する。充電電力制御装置26は、電力調節回路26aと、充電コントローラ26bと、を備えている。
電力調節回路26aは、高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2に分配するためのインバータ、DCDCコンバータ、及びスイッチ等の回路構成部品を有している。電力調節回路26aは、入力側が三相配線ACLを介して商用電源100に接続され、出力側が直流配線DCL1及びDCL2を介して、第1充電器32及び第2充電器35にそれぞれ接続されている。
充電コントローラ26bは、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)などを備えた一又は複数のコンピュータで構成される。そして、充電コントローラ26bは、本実施形態に係る充電制御方法を実行するようにプログラムされている。
より詳細には、充電コントローラ26bは、高効率充電ポートp1における電動車両V1への充電電力P1が第1設定電力Ps1となるように、電力調節回路26a及び第1充電器32を操作する。また、充電コントローラ26bは、低効率充電ポートp2における電動車両V2への充電電力P2が第2設定電力Ps2となるように、電力調節回路26a及び第2充電器35を操作する。
図3は、本実施形態の充電制御方法の流れを示すフローチャートである。
図示のように、ステップS110において、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2を設定する。
ここで、本実施形態では、充電コントローラ26bは、基本的に第1設定電力Ps1は第1充電器上限電力Ps1_limに設定し、第2設定電力Ps2は第2充電器上限電力Ps2_limに設定する。
ここで、第1充電器上限電力Ps1_limとは、高効率充電ポートp1の第1充電器32の仕様に応じて定まる当該第1充電器32の出力可能電力(最大充電電力)である。また、第2充電器上限電力Ps2_limとは、低効率充電ポートp2の第2充電器35の仕様に応じて定まる当該第2充電器35の出力可能電力(最大充電電力)である。
なお、充電対象である電動車両Vによる受け入れ可能な電力などを考慮して、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2をそれぞれ、第1充電器上限電力Ps1_lim及び第2充電器上限電力Ps2_lim以外の値に設定しても良い。
ステップS120において、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps1と第2設定電力Ps2の和である合計設定電力ΣPsが、商用電源100の供給電力Pc以下であるか否かを判定する。
そして、充電コントローラ26bは、ステップS120における判定が肯定的である場合には、ステップS140に進み、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2に基づく充電を実行する。
すなわち、この場合、商用電源100の供給電力Pcの範囲内で第1充電器上限電力Ps1_lim及び第2充電器上限電力Ps2_limの双方を同時に実現できるので、充電コントローラ26bは、これら上限電力を実現するように充電を実行する。
一方、充電コントローラ26bは、ステップS120の判定が否定的である場合に、ステップS130の処理を実行する。
ステップS130において、充電コントローラ26bは、第2設定電力Ps2を補正する。
すなわち、ステップS120の判定が否定的である場合は、商用電源100の供給電力Pcが第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の双方を同時に実現する観点から不足しているシーンに該当する。
このようなシーンにおいて、本実施形態の充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の合計設定電力ΣPsが供給電力Pc以下となるように、第2設定電力Ps2を制限する観点から補正後第2設定電力Ps2_coを演算する。
特に、本実施形態において、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps1を第1充電器上限電力Ps1_limに維持しつつも、合計設定電力ΣPsが供給電力Pc以下となるように、補正後第2設定電力Ps2_coを演算する。より詳細には、充電コントローラ26bは、供給電力Pcから第1設定電力Ps1を減算した値を補正後第2設定電力Ps2_coとして設定する。
そして、ステップS140において、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps1及び補正後第2設定電力Ps2_coに基づく充電を実行する。これにより、商用電源100の供給電力Pcが不足する状況下においては、低効率充電ポートp2における充電電力P2は制限される一方で、高効率充電ポートp1における充電電力P1が維持されることとなる。
なお、充電コントローラ26bは、高効率充電ポートp1における充電を実行しておらず、第1設定電力Ps1がゼロに設定されている場合には、第2設定電力Ps2を制限することなくそのまま維持する。
次に、本実施形態の構成による技術的意義について説明する。
充電制御システム10においては、高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2のそれぞれにおける充電オペレーション時間を短縮することが好ましい。したがって、充電オペレーション時間に含まれる各ポートpにおける実充電時間も短縮することが好適であるため、基本的には第1充電器32の充電電力P1の上限である第1充電器上限電力Ps1_limに設定し、第2充電器35の充電電力P2の上限である第2充電器上限電力Ps2_limに設定することが好ましい。
しかしながら、上記合計設定電力ΣPsが商用電源100の供給電力Pcを超える場合には、第1設定電力Ps1を第1充電器上限電力Ps1_limと設定すると同時に、第2設定電力Ps2を第2充電器上限電力Ps2_limと設定することができないシーンが想定される。
このようなシーンに対して本実施形態の構成によれば、低効率充電ポートp2における充電電力P2が第2充電器上限電力Ps2_limよりも小さい補正後第2設定電力Ps2_coに制限される。特に、高効率充電ポートp1における充電電力P1を第1充電器上限電力Ps1_limに維持しつつも、合計設定電力ΣPsが供給電力Pc以下となるような補正後第2設定電力Ps2_coが設定されている。
すなわち、本実施形態の充電制御方法においては、充電コントローラ26bは、実質的に、高効率充電ポートp1における充電を、低効率充電ポートp2における充電に対して優先して実行する。
さらに、高効率充電ポートp1における充電を、低効率充電ポートp2における充電に対して優先させることによる効果について説明する。
(比較例)
図4は、比較例における高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2における所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を説明するためのタイミングチャートである。
特に、図4(a)は高効率充電ポートp1の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示し、図4(b)は低効率充電ポートp2の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示す。
なお、本比較例は、ステップS130における処理(充電電力P2の制限)を実行しない点を除いて、本実施形態と同様の構成及び処理を実行するものとする。また、以下の説明においては、第1充電器上限電力Ps1_lim及び第2充電器上限電力Ps2_limの合計が、供給電力Pcを超えることを前提とする。また、第1充電器上限電力Ps1_lim及び第2充電器上限電力Ps2_limは相互に略等しいものとする。
ここで、図4(a)に示すグラフG1及び図4(b)に示すグラフG2は、それぞれ、充電電力P1(第1設定電力Ps1)及び充電電力P2(第2設定電力Ps2)の経時変化を表している。ここで、グラフG1にかかる充電電力P1がゼロとなっている区間は、高効率充電ポートp1において、充電ロボット33による充電ガン33aの脱着作業に費やされる時間に相当する。一方、グラフG2にかかる充電電力P2がゼロとなっている区間は、低効率充電ポートp2において、ユーザによる手動充電インターフェース36の脱着作業に費やされる時間に相当する。図4(a)及び図4(b)から明らかなように、高効率充電ポートp1における接続状態切り替え時間は、低効率充電ポートp2における接続状態切り替え時間よりも短くなっている。特に、高効率充電ポートp1における接続状態切り替え時間は、低効率充電ポートp2における接続状態切り替え時間に対して1/3~1/5となっている。
そして、高効率充電ポートp1における充電及び低効率充電ポートp2における充電の双方を実行する区間においては、合計設定電力ΣPsが商用電源100の供給電力Pcを超える。
これに対して、本比較例では、合計設定電力ΣPsが供給電力Pcを超えたことを検出したタイミングにおいて、先行して充電が実行されているポートにおける充電の完了を優先する。
具体的に、図4に示す例のように、低効率充電ポートp2における充電を既に実行している状態で、高効率充電ポートp1における充電が開始された場合(図4中に時刻t1として例示する)には、充電電力P2は第2充電器上限電力Ps2_limに維持される。そして、低効率充電ポートp2における充電電力P2を第2充電器上限電力Ps2_limに維持した上で、充電電力P1を供給電力Pcから第2充電器上限電力Ps2_limを減算して得られる余剰電力Psur(補正後第2設定電力Ps2_co)に設定して高効率充電ポートp1における充電を行う。
したがって、本比較例では、低効率充電ポートp2における充電を既に実行している状態では、高効率充電ポートp1における充電が開始されても低効率充電ポートp2における充電電力P2の維持を優先させる。このとき、高効率充電ポートp1における充電電力P1が制限された状態であるので、高効率充電ポートp1における充電の完了までにかかる時間が長くなる。一方で、低効率充電ポートp2における充電電力P2は維持される。
(実施例)
図5は、本実施例における高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2における所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を説明するためのタイミングチャートである。特に、図5(a)は高効率充電ポートp1の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示し、図5(b)は低効率充電ポートp2の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示す。
本実施例では、高効率充電ポートp1における充電及び低効率充電ポートp2における充電の双方を実行する区間において、低効率充電ポートp2における充電を既に実行している状態であっても、第2設定電力Ps2を補正後第2設定電力Ps2_coに制限して、充電電力P1を第1充電器上限電力Ps1_limに維持する。
したがって、低効率充電ポートp2における充電電力P2は制限される一方で、高効率充電ポートp1における充電電力P1が維持されるので、高効率充電ポートp1における実充電時間の延長は抑制される。
ここで、比較例では、高効率充電ポートp1における充電及び低効率充電ポートp2における充電の双方を実行する区間において、低効率充電ポートp2の充電電力P2は第2充電器上限電力Ps2_limに維持されていた。これに対して、本実施例においては、同区間において低効率充電ポートp2における充電電力P2は制限される。
しかしながら、低効率充電ポートp2では、手動充電インターフェース36の脱着作業に費やされる時間が相対的に長い。このため、低効率充電ポートp2における充電電力P2の制限されない比較例の場合と低効率充電ポートp2の充電電力P2を制限する実施例の場合のいずれであっても、所定時間区間ΔTの間における電動車両V2の充電処理台数の変化量(減少量)は小さい。特に、比較例にかかる図4(b)及び実施例にかかる図5(b)に示した例では、充電処理台数はいずれも2台程度であるところ、当該変化量は略ゼロとなっている。
より詳細には、低効率充電ポートp2における手動充電インターフェース36の接続状態切り替え時間が、当該低効率充電ポートp2における実充電時間と比べて長い。このため、低効率充電ポートp2における充電電力P2を維持して実充電時間の増大を抑制しても、所定時間区間ΔTの全体における充電オペレーション時間の短縮効果が比較的小さい。
一方、実施例においては、高効率充電ポートp1における充電及び低効率充電ポートp2における充電の双方を実行する区間において高効率充電ポートp1における充電電力P1は維持される。これに対して、比較例では、同区間において、高効率充電ポートp1における充電電力P1は制限されている。
したがって、比較例の場合において所定時間区間ΔTの間における電動車両V2の充電処理台数(図4(a)では3台)よりも、実施例の場合において所定時間区間ΔTの間における電動車両V1の充電処理台数(図5(a)では4台)の方が多くなる。
ここで、高効率充電ポートp1では、脱着作業に費やされる時間が相対的に短い。このため、本実施例のように、高効率充電ポートp1における充電電力P1を優先的に維持することによって、所定時間区間ΔTの間における平均的な車両一台あたりの充電オペレーション時間を短縮することが可能となる。
言い換えれば、高効率充電ポートp1における充電ガン33aの接続状態切り替え時間は相対的に短い。このため、高効率充電ポートp1における充電電力P1を優先的に維持して、実充電時間の増大を抑制することで、所定時間区間ΔTの充電処理台数を効果的に増大させることができる。
結果として、実施例の場合において所定時間区間ΔTの間におけるトータルの充電処理台数(図5では6台)の方が、比較例の場合において所定時間区間ΔTの間におけるトータルの充電処理台数(図4では5台)よりも多くなる。
したがって、本実施形態の充電制御方法によれば、当該充電制御方法を採用した充電ステーションにおける全体的な充電オペレーション時間を短縮して、当該充電ステーションの処理能力(単位時間あたりの充電処理台数)を向上させることができる。結果として、充電を行うまでの平均的な待ち時間を短縮することができるので、充電を希望する電動車両Vのユーザの利便性を向上させることができる。
また、上述のように充電ステーションの処理能力の向上にともない、充電事業者が当該充電ステーションにおける充電の対価として充電料金を設定している場合には、時間あたりに徴収できる充電料金を増大させることができる。結果として、当該充電ステーションを事業として運営する充電事業者の収益の向上にも資することとなる。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、複数の充電ポートpにおける電動車両Vへの充電電力を制御する電動車両Vの充電制御方法が提供される。また、充電ポートpは、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に短い高効率充電ポートp1と車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に長い低効率充電ポートp2を含む。
そして、本実施形態の充電制御方法は、高効率充電ポートp1の設定電力である第1設定電力Ps1及び低効率充電ポートp2の設定電力である第2設定電力Ps2を取得する充電電力取得工程(図3のステップS110)と、電力源としての商用電源100の供給電力Pc及び高効率充電ポートp1設定される第1設定電力Ps1に基づいて、低効率充電ポートp2に設定される第2設定電力Ps2を制限する(図3のステップS130)。
これにより、商用電源100の供給電力Pcに応じて(特に、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の双方を同時に実現することができない場合に)、充電オペレーション時間が相対的に短い高効率充電ポートp1における充電を優先的に実行することができる。
したがって、充電ステーションに本実施形態の充電制御方法を採用することで、当該充電ステーションの処理能力を向上させることができる。その結果、充電を行うまでの平均的な待ち時間を短縮することができ、充電を希望する電動車両Vのユーザの利便性を向上させることができる。また、充電ステーションを運営する充電事業者が、時間あたりに徴収できる充電料金を増大させることができる。結果として、当該充電ステーションを事業として運営する充電事業者の収益の向上にも資することとなる。
特に、近年、EV等の電動車両Vが広く普及し続けており、充電ステーションの数も増大し続けている。さらに、電池容量及び充放電性能に優れた蓄電池の開発も進んでおり、充電ステーションの利用者数もさらに増加することが想定される。
このような近年の状況に対し、充電ステーションにおいて本実施形態の充電制御方法を採用すれば、ユーザの利便性の向上及び充電事業者の収益の向上をもたらすので、電動車両V及び充電ステーション等の充電インフラ設備のさらなる普及を図ることができる。
また、設定電力調節工程では、第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の合計設定電力ΣPsが商用電源100の供給電力Pcよりも大きい場合に(図3のステップS120のNo)、第1設定電力Ps1を維持し、且つ該第1設定電力Ps1と第2設定電力Ps2との和である合計設定電力ΣPsが商用電源100の供給電力Pc以下となるように該第2設定電力Ps2を補正した補正後第2設定電力Ps2_coを演算する(ステップS130)。
そして、高効率充電ポートp1における充電電力P1を第1設定電力Ps1に制御し、低効率充電ポートp2における充電電力P2を補正後第2設定電力Ps2_coに制御する(ステップS140)。
これにより、商用電源100の供給電力Pcが限られていることに起因して第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の双方を同時に実現することができないシーンであっても、低効率充電ポートp2における充電電力P2の制限分を高効率充電ポートp1における充電電力P2に充てて、第1設定電力Ps1を維持することができる。すなわち、高効率充電ポートp1における充電電力P2を優先的に維持するための好適な制御態様が実現されることとなる。
そして、本実施形態の充電制御方法は、高効率充電ポートp1における充電が実行されていない場合に、第2設定電力Ps2に対する制限を解除する(図5参照)。
すなわち、低効率充電ポートp2における充電電力P2を制限する場合であっても、高効率充電ポートp1における充電を阻害しないタイミングにおいては、低効率充電ポートp2における充電電力P2を向上させる。これにより、高効率充電ポートp1における充電電力P1を優先しつつも、低効率充電ポートp2における時間当たりの平均的な充電電力P2の低下を抑制することができるので、本実施形態の充電制御方法が採用される充電ステーション等における全体的な充電オペレーション時間のさらなる短縮を図ることができる。
また、本実施形態によれば、上記充電制御方法を実行するために好適な電動車両Vの充電制御システム10が提供される。
具体的に、充電制御システム10は、複数の充電ポートpと、当該充電ポートpにおける電動車両Vへの充電電力を制御する充電電力制御装置26(充電コントローラ26b)と、を備える。
充電ポートpは、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に短い高効率充電ポートp1と、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に長い低効率充電ポートp2と、を含む。
そして、充電コントローラ26bは、高効率充電ポートp1における第1設定電力Ps1及び低効率充電ポートp2における第2設定電力Ps2を設定する充電電力設定部(図3のステップS120)、並びに電力源としての商用電源100の供給電力Pcに基づいて、低効率充電ポートp2に設定される第2設定電力Ps2を制限する設定電力調節部(図3のステップS130)として機能する。
これにより、上記充電制御方法の実行に適した具体的なシステム構成が提供されることとなる。
特に、高効率充電ポートp1には、所定の駐車位置29に配置された電動車両V1の受電インターフェース(充電口)に接続される給電インターフェースとしての充電ガン33aと、充電ガン33aと電動車両V1の充電口との間の接続状態及び非接続状態の切り替え(脱着)を自動で行う自動接続状態切り替え装置としての充電ロボット33と、を備える。
これにより、充電ロボット33で充電ガン33aの脱着を自動的に行うことができるので、ユーザが手動で手動充電インターフェース36の脱着を行う低効率充電ポートp2と比べ、脱着作業に費やされる時間を低減することができる。すなわち、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に短いという性質の高効率充電ポートp1を好適に実現することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について主に図6及び図7を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の充電制御システム10は、第1実施形態に対して、高効率充電ポートp1における自動接続状態切り替え装置の構成が異なる。
図6は、本実施形態における自動接続状態切り替え装置40の構成を説明する図である。図示のように、本実施形態の自動接続状態切り替え装置40は、駐車位置29における電動車両V1の下方位置に配置される。そして、自動接続状態切り替え装置40は、接点部41と、給電インターフェースとしての送電コイル42と、を有している。
接点部41は、例えば、駐車位置29に配置される電動車両V1の下部構造部と接触して所定量変位すると、電動車両V1を検出したことを示す信号を充電コントローラ26bに送信する車両検出手段として機能する。
送電コイル42は、駐車位置29に配置される電動車両V1の車体下部に設けられた受電インターフェースとしての受電コイル44へ、いわゆる非接触電力伝送によって直流配線DCL2を介して供給される充電電力を伝送する。なお、本実施形態の充電制御システム10では、自動接続状態切り替え装置40の送電コイル42が第1実施形態で説明した第1充電器32の機能を実現するので、当該第1充電器32は省略されている。したがって、本実施形態における第1充電器上限電力Ps1_limは、自動接続状態切り替え装置40の送電コイル42から受電コイル44への上限出力電力に相当する。
そして、充電コントローラ26bは、接点部41の検出信号に基づいて電動車両V1の駐車位置29に位置されたと判断すると、送電コイル42と受電コイル44との間が接続状態であると判断し、適宜他の条件(充電料金の支払いなど)が満たされているかの判断を経て充電を実行する。一方、充電コントローラ26bは、電動車両V1の駐車位置29に位置されていないと判断すると、充電を停止する(第1設定電力Ps1をゼロに設定する)。
したがって、本実施形態の構成によれば、高効率充電ポートp1においては電動車両V1が駐車位置29に配置されると、送電コイル42と受電コイル44の間の電力搬送が可能な状態(接続状態)となる。
これにより、電動車両V1のユーザによる手動の脱着作業が不要となるだけでなく、実質的に電動車両V1を駐車位置29に位置させるか又は駐車位置29から退避させるだけで、当該ユーザが電動車両V1から降車するなど動作を要することなく、上記接続状態と非接続状態の間の切り替えを自動的に行うことができる。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の充電制御システム10では、自動接続状態切り替え装置40は、電動車両V1が駐車位置29に位置したか否かを検出する車両検出手段としての接点部41をさらに備える。そして、自動接続状態切り替え装置40は、接点部41による検出結果に応じて、接続状態及び非接続状態の間の切り替えを実行する。
これにより、電動車両V1を駐車位置29に位置させるか又は駐車位置29から退避させることで、ユーザに対する電動車両V1からの降車などの動作を要求することなく、自動的に上記接続状態と非接続状態の間の切り替えを行うことができる。したがって、充電オペレーション時間の一部である当該切り替えにより消費される時間をより短縮することができる。
結果として、高効率充電ポートp1における車両一台当たりの充電オペレーション時間をより短縮することができるので、本実施形態の充電制御システム10を具備した充電ステーションの処理能力をさらに向上させることができる。
特に、本実施形態の自動接続状態切り替え装置40であれば、高効率充電ポートp1における電動車両V1の充電オペレーションの過程で、ユーザが一度も電動車両V1から降車することなく、当該充電オペレーションを完了させることができる。したがって、ユーザは、高効率充電ポートp1における充電のサービスをいわゆるドライブスルー形式で享受することができる。結果として、本実施形態の充電制御システム10を具備する充電ステーションを利用するユーザに対して、より利便性の高い充電サービスを提供することができる。
なお、本実施形態では、駐車位置29に配置される電動車両V1の下方に設けられる自動接続状態切り替え装置40について説明した。しかしながら、自動接続状態切り替え装置40の態様は適宜、変更が可能である。
図7は、本実施形態の変形例に係る自動接続状態切り替え装置40の構成を説明する図である。
図示のように、本変形例の自動接続状態切り替え装置40は、駐車位置29に配置される電動車両V1の上方に配置される送電コイル42を有している。すなわち、本変形例の送電コイル42は、電動車両V1の車体上部に設けられた受電コイル44との間で電力の搬送を実行することができるように構成されている。
そして、充電コントローラ26bは、車両検出手段として機能する図示しないセンサによる電動車両V1が駐車位置29に位置しているか否かの検出結果に基づいて、接続状態及び非接続状態の間の切り替えを実行する。
したがって、本変形例の構成であれば、車両一台当たりの充電オペレーション時間をより短縮できる自動接続状態切り替え装置40を備えた高効率充電ポートp1における充電を、車体上部に受電コイル44が設けられた電動車両V1に対しても行うことができる。結果として、充電制御システム10が具備された充電ステーションの高効率充電ポートp1における電動車両V1の充電対象(充電可能な車種の対象)を広げることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について主に図8及び図9を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の充電制御システム10では、高効率充電ポートp1における第1充電器32の第1充電器上限電力Ps1_limが、低効率充電ポートp2における第2充電器35の第2充電器上限電力Ps2_limよりも大きく構成される。すなわち、第1充電器32としては、相対的に高出力で充電を行ういわゆる急速充電器が想定される。一方、第2充電器35としては、相対的に低出力で充電を行ういわゆる普通充電器が想定される。
以下では、本実施形態の充電制御システム10において、高効率充電ポートp1における充電を、低効率充電ポートp2における充電に対して優先させることによる効果について説明する。
(比較例)
図8は、比較例における高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2における所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を説明するためのタイミングチャートである。
特に、図8(a)は高効率充電ポートp1の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示し、図8(b)は低効率充電ポートp2の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示す。
なお、本比較例は、ステップS130における第2設定電力Ps2の制限を実行しない点を除いて、本実施形態と同様の構成及び処理を実行するものとする。また、以下の説明においては、第1充電器上限電力Ps1_lim及び第2充電器上限電力Ps2_limの合計が、供給電力Pcを超えることを前提とする。
本比較例では、第1実施形態の比較例の場合(図4参照)と同様に、低効率充電ポートp2における充電を既に実行している状態では、高効率充電ポートp1における充電が開始されても低効率充電ポートp2における充電電力P2の維持を優先させる(時刻t1等参照)。
(実施例)
図9は、本実施例における高効率充電ポートp1及び低効率充電ポートp2における所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を説明するためのタイミングチャートである。特に、図9(a)は高効率充電ポートp1の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示し、図9(b)は低効率充電ポートp2の所定時間区間ΔTあたりの充電処理台数を示す。
本実施例でも、第1実施形態の実施例(図5参照)と同様に、高効率充電ポートp1における充電及び低効率充電ポートp2における充電の双方を実行する区間において、低効率充電ポートp2における充電を既に実行している状態であっても、充電電力P2を補正後第2設定電力Ps2_coに制限して、第1設定電力Ps1を第1充電器上限電力Ps1_limに維持する(時刻t1等参照)。
したがって、本実施例においても、第1実施形態で説明した所定時間区間ΔTの間におけるトータルの充電処理台数の増大効果を得ることができる。
その上で、本実施例では、高効率充電ポートp1の第1充電器32の出力(第1設定電力Ps1)が、低効率充電ポートp2における第2充電器35の出力(第2充電器上限電力Ps2_lim)よりも大きい。
したがって、充電電力P1を第1充電器上限電力Ps1_limに維持する制御に起因して高効率充電ポートp1における実充電時間の長時間化が抑制され、所定時間区間ΔTの間における電動車両V1の充電処理台数(図9(a)では5台)が比較例の場合(図8(a)では3台)に対してより増大する。
なお、手動充電インターフェース36の脱着作業に費やされる時間が相対的に長い低効率充電ポートp2では、充電電力P2を制限しても、所定時間区間ΔTの間における電動車両V2の充電処理台数の減少量は小さい。
具体的に、比較例にかかる図8(b)では充電処理台数は2台以上3台未満であり、実施例にかかる図9(b)では充電処理台数は1台以上2台未満程度である。すなわち、比較例と実施例の間において、高効率充電ポートp1における充電処理台数の増大量に対して、低効率充電ポートp2における充電処理台数の減少量は小さい。
結果として、実施例の場合において所定時間区間ΔTの間におけるトータルの充電処理台数(図9では7台)の方が、比較例の場合において所定時間区間ΔTの間におけるトータルの充電処理台数(図8では5台)よりもさらに多くなる。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、高効率充電ポートp1は、相対的に高い充電電力P1を出力する第1充電器32を備え、低効率充電ポートp2は、相対的に低い充電電力P2を出力する第2充電器35を備える。
これにより、商用電源100の供給電力Pcに基づいて、第2設定電力Ps2を制限する設定電力調節を実行した場合において、当該設定電力調節を実行しない場合に対する充電制御システム10の全体的な充電オペレーション時間の短縮効果がより顕著になる。結果として、本実施形態による充電制御システム10を具備した充電ステーションの処理能力をより一層向上させることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について主に図10を参照しつつ説明する。なお、第1~第3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10は、本実施形態における充電制御システム10の構成を説明する図である。なお、図面の簡略化のため、図10においては、本実施形態における充電制御システム10の特徴的な要素を説明するための構成のみを示している。
図示のように、本実施形態の高効率充電ポートp1には、充電を希望するユーザから料金の支払いを受け付ける第1料金受け付け装置50が設けられている。また、低効率充電ポートp2には、充電を希望するユーザから料金の支払いを受け付ける第2料金受け付け装置52が設けられている。
第1料金受け付け装置50及び第2料金受け付け装置52は、例えば、紙幣及び硬貨による支払いを受け付けるとともにその金額を検出する現金受領装置、及びICカードなどを介した電子マネー決済若しくはクレジットカード決済を受け付ける非接触通信装置などにより構成される。
そして、第1料金受け付け装置50及び第2料金受け付け装置52は、支払いを受け付けたこと及びその金額を含む情報を充電コントローラ26bに送信する。
充電コントローラ26bは、第1充電単価記憶部54と、第2充電単価記憶部56と、を有する。第1充電単価記憶部54及び第2充電単価記憶部56は、例えば、充電コントローラ26b内の補助記憶領域により実現される。なお、第1充電単価記憶部54及び第2充電単価記憶部56は、充電コントローラ26bと通信可能な他の装置の記憶領域に構成しても良い。
第1充電単価記憶部54は、高効率充電ポートp1における充電の単価として予め設定された第1充電単価を記憶している。一方、第2充電単価記憶部56は、低効率充電ポートp2における充電の単価として予め設定された第2充電単価を記憶している。本実施形態では、第1充電単価が第2充電単価よりも高く設定されている。
すなわち、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に短い高効率充電ポートp1は、当該充電オペレーションの完了までの待ち時間が少ない。このため、高効率充電ポートp1の充電では、ユーザは待ち時間が少ないというメリットを享受できるため、相対的に高額の第1充電単価が設定される。これに対して、低効率充電ポートp2における充電では、ユーザの待ち時間が長くなるため、相対的に低額の第2充電単価が設定される。
ここで、本実施形態の第1充電単価及び第2充電単価は、単位充電時間あたりに定められる金額を意味する。例えば、第1充電単価は1分の充電時間あたり300円、第2充電単価は1分の充電時間あたり50円などに設定される。
そして、充電コントローラ26bは、第1料金受け付け装置50により受け付けられた料金の額と上記第1充電単価に基づいて高効率充電ポートp1における充電を行う。より具体的には、充電コントローラ26bは、電動車両V1に対して、当該受け付けられた料金の額を第1充電単価で除して求められる値である第1目標充電電力量W1tの分の充電を行う。
また、充電コントローラ26bは、第2料金受け付け装置52により受け付けられた料金の額と上記第2充電単価に基づいて低効率充電ポートp2に充電を行う。より具体的には、充電コントローラ26bは、電動車両V2に対して、当該受け付けられた料金の額を第2充電単価で除して求められる値である第2目標充電電力量W2tの分の充電を行う。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の充電制御システム10は、高効率充電ポートp1における充電に対する料金としての第1充電単価、及び低効率充電ポートp2における充電の単価であって相対的に高額な第1充電単価を記憶した第1充電単価記憶部54と、低効率充電ポートp2における充電の単価であって相対的に低額な第2充電単価を記憶した第2充電単価記憶部56と、高効率充電ポートp1に設けられ、料金の支払いを受け付ける第1料金受け付け装置50と、低効率充電ポートp2に設けられ、料金の支払いを受け付ける第2料金受け付け装置52と、をさらに備える。
そして、充電コントローラ26bは、第1料金受け付け装置50により受け付けられた料金の額及び第1充電単価に基づいた第1目標充電電力量W1tを満たすように高効率充電ポートp1における充電を行う。また、充電コントローラ26bは、第2料金受け付け装置52により受け付けられた料金の額及び第2充電単価に基づいた第2目標充電電力量W2tを満たすように低効率充電ポートp2における充電を行う。
したがって、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に高効率充電ポートp1を利用するユーザに対して、車両一台当たりの充電オペレーション時間が相対的に低効率充電ポートp2を利用するユーザよりも高い充電単価を負担させることができる。結果として、高効率充電ポートp1では、充電処理台数が相対的に高いこと及びより高額の第1充電単価が設定されていることの相乗効果によって、充電制御システム10を具備する充電ステーションの収益をより向上させることができる。
さらに、第1実施形態等で説明した高効率充電ポートp1における充電を低効率充電ポートp2における充電に対して優先させる設定電力調節によって、当該高効率充電ポートp1における充電時間の延長が抑制されている。
したがって、本実施形態の構成によれば、設定電力調節によって高効率充電ポートp1の充電処理台数の低下が抑制されている前提で、当該高効率充電ポートp1の充電の料金が高く設定されることとなる。結果として、充電制御システム10が設けられる充電ステーション等を運営する充電事業者の収益をより一層向上させることができる。結果として、潜在的な充電事業者に対して充電ステーション等の電動車両Vの充電インフラ設備を運営する意欲を駆り立てることができるので、充電インフラ設備のさらなる普及にも寄与することができる。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について主に図11を参照しつつ説明する。なお、第1~第4実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る充電制御システム10の構成を説明する図である。図示のように、本実施形態の充電制御システム10は、高効率充電ポートp1を構成する2つの高効率充電ポートp11,p12と、低効率充電ポートp2を構成する3つの低効率充電ポートp21,p22,p23と、を備えている。
高効率充電ポートp11,p12には、それぞれ、図6で説明した構成の自動接続状態切り替え装置40-1,40-2が配置されている。また、低効率充電ポートp21,p22,p23には、3つの第2充電器35-1,35-2,35-3が配置されている。
ここで、高効率充電ポートp11における充電電力P11の上限は、自動接続状態切り替え装置40-1における非接触電力伝送が可能な上限出力電力に相当する第1充電器上限電力Ps1_lim1となる。
また、高効率充電ポートp12における充電電力P12の上限は、自動接続状態切り替え装置40-2における非接触電力伝送が可能な上限出力電力に相当する第1充電器上限電力Ps1_lim2となる。なお、充電電力制御の複雑化を抑制する観点から、第1充電器上限電力Ps1_lim1及び第1充電器上限電力Ps1_lim2が相互に略同一となるように、自動接続状態切り替え装置40-1及び自動接続状態切り替え装置40-2を構成することが好ましい。
また、本実施形態では、第1充電器上限電力Ps1_lim1と第1充電器上限電力Ps1_lim2との合計値が、商用電源100の供給電力Pcよりも小さくなるように、自動接続状態切り替え装置40-1及び自動接続状態切り替え装置40-2が構成される
さらに、低効率充電ポートp21,p22,p23における充電電力P21,P22,P23の上限は、それぞれ、各第2充電器35-1,35-2,35-3の上限出力電力に相当する第2充電器上限電力Ps2_lim1、第2充電器上限電力Ps2_lim2、及び第2充電器上限電力Ps2_lim3となる。なお、充電電力制御の複雑化を抑制する観点から、これらが相互に略同一となるように、各第2充電器35-1,35-2,35-3を構成することが好ましい。
そして、充電コントローラ26bは、基本的に、高効率充電ポートp11における充電電力P11を第1充電器上限電力Ps1_lim1(第1設定電力Ps11)に設定し、高効率充電ポートp12における充電電力P12を第1充電器上限電力Ps1_lim2(第1設定電力Ps12)に設定する。
また、充電コントローラ26bは、基本的に、低効率充電ポートp21,p22,p23におけるそれぞれの充電電力P21,P22,P23を、第2充電器上限電力Ps2_lim1(第2設定電力Ps21)、第2充電器上限電力Ps2_lim2(第2設定電力Ps22)、及び第2充電器上限電力Ps2_lim3(第2設定電力Ps23)に設定する。
一方、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps11、第1設定電力Ps12、第2設定電力Ps21、第2設定電力Ps22、及び第2設定電力Ps23の合計設定電力ΣPsが、商用電源100の供給電力Pcよりも大きいと判断した場合(図3のステップS120のNoに相当)において、第2設定電力Ps21、第2設定電力Ps22、及び第2設定電力Ps23を制限する。
特に、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps11を第1充電器上限電力Ps1_lim1に且つ第1設定電力Ps12を第1充電器上限電力Ps1_lim2に維持しつつ、合計設定電力ΣPsが供給電力Pcを超えないように補正した補正後第2設定電力Ps21_co、補正後第2設定電力Ps22_co、及び補正後第2設定電力Ps23_coを演算する。
そして、充電コントローラ26bは、第1設定電力Ps11,Ps12、及び補正後第2設定電力Ps21_co,Ps22_co,Ps23_coに基づいて、高効率充電ポートp11,p12、及び低効率充電ポートp21,p22,p23における充電を実行する。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態に係る充電制御システム10では、高効率充電ポートp1が複数配置される(高効率充電ポートp11,p12)。複数の高効率充電ポートp11,p12は、それぞれの第1設定電力Ps11,Ps12の合計が、商用電源100の供給電力Pcよりも小さくなるように構成される。
これにより、合計設定電力ΣPsが商用電源100の供給電力Pcを超えるシーンにおいても、低効率充電ポートp21,p22,p23における充電電力P21,P22,P23を制限することによって、高効率充電ポートp11,p12における第1設定電力Ps11,Ps12をそれぞれ、第1充電器上限電力Ps1_lim1及び第1充電器上限電力Ps1_lim2に維持することができる。すなわち、合計設定電力ΣPsに対して供給電力Pcが不足する状況においても、充電処理台数が相対的に高い全ての高効率充電ポートp11,p12における充電電力P11,P12をそれぞれの上限値に維持することができる。
結果として、複数の高効率充電ポートp11,p12を有する充電制御システム10においても、全ての高効率充電ポートp11,p12における充電処理台数を好適に維持することができるので、当該充電制御システム10を備える充電ステーション等の充電インフラ設備における全体的な処理能力をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態及び各変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、接続状態切り替え時間及び実充電時間からなる「充電オペレーション時間」は定める態様については種々の方法を適用することができる。一例として、特定の充電ポートpに対して、所定時間において充電オペレーションを完了させた平均的な車両台数(処理台数)を任意の統計的手法を用いて取得し、当該処理台数を所定時間で除した値を、充電ポートpにおける車両一台あたりの充電オペレーション時間とみなすことができる。
また、「車両一台あたりの充電オペレーション時間が相対的に短い」という性質を高効率充電ポートp1に与えるための手段は、上述した充電ロボット33及び自動接続状態切り替え装置40以外に、充電制御システム10が採用される充電ステーションの従業員が手動で、充電インターフェースの脱着を実行する設備によっても実現できる。
すなわち、この場合、高効率充電ポートp1では、業務として定常的に脱着作業を行う従業員が充電インターフェースの脱着作業を行うこととなるため、電動車両Vのユーザ自身が充電インターフェースの脱着作業を行う低効率充電ポートp2と比べ、当該脱着作業に費やされる時間が短縮される。結果として、高効率充電ポートp1では、車両一台あたりの充電オペレーション時間が低効率充電ポートp2と比べて短くなる。
また、上記各実施形態では、商用電源100の供給電力Pcが合計設定電力ΣPsよりも小さくなる場合に、供給電力Pcが合計設定電力ΣPs以下となり且つ第1設定電力Ps1が第1充電器上限電力Ps1_limに維持されるように、第2設定電力Ps2を制限する例について説明した。
しかしながら、高効率充電ポートp1における充電電力P1を低効率充電ポートp2における充電電力P2に対して優先させる観点で定められるならば、第1設定電力Ps1を第1充電器上限電力Ps1_limよりも小さい値に設定しても良い。
すなわち、商用電源100の供給電力Pcが合計設定電力ΣPsよりも小さくなるシーンにおいて、供給電力Pcが合計設定電力ΣPs以下となるように第1設定電力Ps1及び第2設定電力Ps2の双方を制限する一方で、第1設定電力Ps1の制限幅が第2設定電力Ps2の制限幅よりも小さくなるような制御態様を採用しても良い。
特に、図11に示す充電制御システム10のように、複数の高効率充電ポートp11,p12を有する場合には、一つの高効率充電ポートp1を有する場合と比べて要求される充電電力が全体として高くなる。このため、第1設定電力Ps11を第1充電器上限電力Ps1_lim1、及び第1設定電力Ps12を第1充電器上限電力Ps1_lim2に設定している場合、これら第1設定電力Ps11と第1設定電力Ps12の合計が、商用電源100の供給電力Pcを超えることも想定される。
このような場合には、第2設定電力Ps21、第2設定電力Ps22、及び第2設定電力Ps23の制限幅よりも小さい制限幅で第1設定電力Ps11及び第1設定電力Ps12を制限することで、これらの合計が商用電源100の供給電力Pc以下となるように制御しても良い。
さらに、一つの高効率充電ポートp1と、複数の低効率充電ポートp21,p22を備えた充電制御システム10(図12参照)において、上記実施形態で説明した設定電力調節制御を実行しても良い。
すなわち、充電制御システム10における高効率充電ポートp1の数、及び低効率充電ポートp2の数は適宜変更が可能である。例えば、3つ以上の高効率充電ポートp1を有する充電ステーションにおいて、上記実施形態で説明した充電制御方法又は充電制御システム10の構成を採用しても良い。
また、上記各実施形態における商用電源100の供給電力Pcは、電気事業者との間の契約等に基づいて定まる最大電力を想定している。しかしながら、供給電力Pcは契約に基づく最大電力に限られるものではない。例えば、商用電源100を充電制御システム10以外の他の電気設備における電力源として併用する場合には、最大電力から当該電気設備に供給する電力分を差し引いた値を供給電力Pcとして設定しても良い。すなわち、供給電力Pcは、商用電源100の最大電力の内、充電制御システム10における充電のために用いることのできる分の電力として定めることもできる。
また、上記実施形態は適宜、組み合わせが可能である。例えば、第3実施形態~第5実施形態で説明した構成については、これらの内の任意の2つ以上の組み合わせが可能である。