JP7101812B2 - Osr貼り付け装置及びosr貼り付け方法 - Google Patents
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Description
1枚のパネルにはOSRが数百枚貼り付けられ、OSRが貼り付けられたパネルは1つの衛星に複数枚使用される。特許文献1に記載されたように、OSRの貼り付け作業は全て人手で行われており、膨大な時間と工数がかかっている。
また、OSRはガラスと鏡とから構成されるため、少しの衝撃ですぐに割れてしまう。1枚のOSRが割れてしまうと、割れた周辺のOSRも剥がして修復しなければならず、工数が多くなる一因となっている。
人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け装置であり、
前記OSRと接触して前記OSRを前記パネルに押し付けるための弾性体で形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体で形成された軟質層とを有する加圧パッド
を備える。
これにより、加圧パッドによりOSRを加圧することにより、軟質層が変形してパネル表面の凹凸に応じてOSRを緩やかに曲げながらパネルに押し付けることができる。そのため、凹凸の影響によりパネルに押し付けられない箇所がなくなり、OSRとパネルとの間の気泡が外に押し出され、気泡が残りづらい。また、ローラーのように移動させず、真上から加圧パッドを押すことにより、気泡を外に押し出すことができる。そのため、OSRが指定の位置からずれ難い。
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係るOSR貼り付け装置10の構成を説明する。
OSR貼り付け装置10は、加圧パッド11と、塗布装置12と、移動装置13と、架台14と、OSRマガジン15とを備える。
加圧パッド11は、硬質層21と、軟質層22と、基部23との3つの層が積層して構成される。加圧パッド11は、直方体状に構成される。加圧パッド11は、4隅に、硬質層21の接触面24から、基部23の加圧面25までを貫通した吸着孔26が設けられている。
硬質層21と軟質層22との境界は、硬質層21及び軟質層22の柔軟性を阻害しないように、有機系接着剤で接着されている。
図5から図9を参照して、実施の形態1に係るOSR貼り付け装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係るOSR貼り付け装置10の動作は、実施の形態1に係るOSR貼り付け方法に相当する。
移動装置13は、X駆動軸16及びY駆動軸17を用いて、パネル31におけるOSR30の貼り付け領域の上に塗布装置12を移動させ、Z駆動軸18を用いて、塗布装置12をパネル31に近づける。そして、塗布装置12は、2液性シリコンの接着剤32をディスペンサから吐出し、ミキサによって混合した上で、パネル31におけるOSR30の貼り付け領域に塗布する。
この際、図6に示すように、塗布装置12は、複数の線状に接着剤32を塗布する。具体的には、塗布装置12は、パネル31におけるOSR30の貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部へ向かって、放射状に線状の接着剤32を塗布する。これにより、貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部へ向かって徐々に、隣り合う線状の接着剤32間の間隔が広くなる。
塗布装置12は、貼り付け領域の中央部に比べて貼り付け領域の端部に近い位置に接着剤32を多く塗布してもよい。例えば、塗布装置12は、貼り付け領域の端部に近くなるほど、接着剤32を多く塗布してもよい。貼り付け領域の端部ほど接着剤32間の間隔が広い。そのため、貼り付け領域の端部に近くなるほど、接着剤32を多く塗布することにより、接着剤32の膜厚を均一に近づけることが可能である。
この場合にも、OSR30の中央部に比べて、OSR30の端部に近い位置に接着剤32を多く塗布してもよい。例えば、塗布装置12は、OSR30の端部に近くなるほど、接着剤32を多く塗布してもよい。
移動装置13は、X駆動軸16及びY駆動軸17を用いて、OSRマガジン15に設置されたOSR30の上に加圧パッド11を移動させ、Z駆動軸18を用いて、加圧パッド11をOSR30に近づける。そして、加圧パッド11は、吸着孔26を用いて真空吸着により、OSR30を接触面24に吸着する。
移動装置13は、OSR30が接触面24に吸着された状態で、X駆動軸16及びY駆動軸17を用いて、パネル31におけるOSR30の貼り付け領域の上に加圧パッド11を移動させる。そして、移動装置13は、Z駆動軸18を用いて、加圧パッド11をパネル31に徐々に近づけ、接触面24に吸着されたOSR30をパネル31の貼り付け領域に押し付ける。移動装置13は、基部23の加圧面25側から加圧して、接触面24に吸着されたOSR30をパネル31の貼り付け領域に押し付ける。これにより、OSR30がパネル31における貼り付け領域に張り付けられる。
接着剤32に気泡が含まれてしまうケースは2つある。ケース1は、接着剤32に気泡が含まれている場合である。ケース2は、OSR30の張り付け時に、OSR30とパネル31との間で空気が接着剤32に囲われてしまった場合である。
ケース1は、接着剤32の脱泡を行うことにより回避可能である。ケース2が発生する原因は2つある。原因1は、接着剤32がOSR30とパネル31との間で広がっていく際に、接着剤32の流れ方が原因となって空気の出口がふさがれてしまうことである。原因2は、パネル31の表面が歪んでいるために、OSR30がパネル31に十分に密着されずに空気層が残ることである。
具体的には、放射状に線状の接着剤32が塗布されているため、加圧パッド11によってOSR30がパネル31に押し付けられ、接着剤32が平面方向に広がっていく際に、貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部に向かって徐々に隣り合う接着剤32間が閉じていく。そのため、貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部に向かって徐々に空気が追い出され、空気の出口がふさがれることが防止される。
具体的には、図7及び図8に示すように、加圧パッド11によってOSR30をパネル31に押し付ける際、パネル31の表面の歪みに合わせて軟質層22が変形する。これにより、硬質層21の接触面24全体でOSR30がパネル31に押し付けられる。そのため、OSR30の全体がパネル31に密着され、空気層が残ることが防止される。
そこで、材料力学における等分布荷重での歪み量が間隔の4乗に比例することを考慮し、図9に示すように、硬質層21は、OSR30の端における隣り合う接着剤32間の幅Saでは第1基準値未満の変形しかせず、OSR30の幅Soでは第1基準値よりも大きい第2基準値以上に変形する材料及び厚さである。第1基準値は、接着剤の高さhよりも小さい、非常に小さい値である。第2基準値は、0.1~1mm程度の値である。つまり、硬質層21は、OSR30の端における隣り合う接着剤32間の幅Saではほとんど変形せず、OSR30の幅Soでは0.1~1mm程度変形する材料及び厚さである。これにより、パネル31の歪みに対する追従性と、接着剤32の広がり易さとを両立させることが可能である。
以上のように、実施の形態1に係るOSR貼り付け装置10は、硬質層21と軟質層22とを有する加圧パッド11によって、OSR30をパネル31に押し付ける。
これにより、パネル31の表面の歪みに合わせて軟質層22が変形し、硬質層21の接触面24全体でOSR30がパネル31に押し付けられる。そのため、OSR30の全体がパネル31に密着され、空気層が残ることが防止される。
これにより、接着剤32が平面方向に広がっていく際に、貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部に向かって徐々に隣り合う接着剤32間が閉じていく。そのため、貼り付け領域の中央部から貼り付け領域の端部に向かって徐々に空気が追い出され、空気の出口がふさがれることが防止される。
なお、接触面24がOSR30よりも縦横が少し小さい場合であっても、接着剤32を十分に塗布しておけば、加圧パッド11が加圧された際に、OSR30の変形力と接着剤32の粘性とにより、接着剤32がOSR30の端まで行き渡り、OSR30を適切に接着可能である。
<変形例1>
実施の形態1では、OSR貼り付け装置10は、1つの加圧パッド11を備えた。しかし、OSR貼り付け装置10は、硬質層21の材質と厚みとの少なくともいずれかが異なる複数の加圧パッド11を備えてもよい。
この場合には、OSR貼り付け装置10は、複数の加圧パッド11を用いて、順にOSR30をパネル31に押し付ける。つまり、ある加圧パッド11を用いて、OSR30を吸着させ、パネル31における貼り付け領域に押し付けて、OSR30をパネル31に張り付ける。その後、他の加圧パッド11を用いて、パネル31に張り付けられたOSR30をパネル31に押し付ける。
これにより、パネル31の歪みに対する追従性と、接着剤32の広がり易さとの両立を容易に実現可能である。
実施の形態1では、加圧パッド11及び塗布装置12に共通のX駆動軸16及びY駆動軸17が設けられた。しかし、加圧パッド11及び塗布装置12それぞれに別のX駆動軸16及びY駆動軸17を設けてもよい。
これにより、加圧パッド11と塗布装置12とを独立して動作させることが可能になり、貼り付け作業を短時間で行うことが可能になる。
実施の形態1では、硬質層21の材料を硬質塩化ビニル樹脂とした。硬質塩化ビニル樹脂は、製造コストと、使用する可能性のある薬液に対する耐性とを考慮して選定された。しかし、パネル31の歪みに対する追従性と、接着剤32の広がり易さとを両立させることが可能な材料であれば、他の樹脂と、金属と、セラミックといった他の材料が用いられてもよい。
実施の形態1では、軟質層22の材料をクロロプレン独立気泡スポンジとした。しかし、真空吸着を妨げず、パネル31の歪みに対応可能な材料であれば、他のスポンジといった他の材料が用いられてもよい。また、三次元プリンタで製作可能なプラスチック及び金属のばねがマトリックス上に配置された金属ばねのマトリックス構造が用いられてもよい。
実施の形態1では、移動装置13をX駆動軸16とY駆動軸17とZ駆動軸18とを有する直交3軸の構成とした。しかし、パネル31の大きさと、OSR貼り付け装置10の装置構成といったことを考慮して、例えば、6軸等の垂直多関節ロボットといったロボットで移動装置13を構成してもよい。
実施の形態1では、OSR30の吸着に真空吸着を利用した。しかし、OSR30を把持できるとともに、OSR30の貼り付け後にOSR30を取り外せるような構成であれば、静電吸着と、粘着といった方法を利用してもよい。
実施の形態1では、接着剤32を用いてOSR30をパネル31に接着した。しかし、両面テープといったシート状の接着剤を用いてOSR30をパネル31に接着してもよい。この場合であっても、パネル31に沿ってOSR30を押し付けることが可能であり、密着性を向上させることが可能である。しかし、気泡の除去は難しくなる可能性がある。
Claims (9)
- 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け装置であり、
前記OSRと接触して前記OSRを前記パネルに押し付けるための弾性体で形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体で形成された軟質層とを有する加圧パッドと、
前記パネル又は前記OSRに複数の線状に接着剤を塗布する塗布装置と、
前記加圧パッドを移動させて、前記接着剤が塗布された状態で前記加圧パッドにより前記OSRを前記パネルに押し付けることにより前記OSRを前記パネルに張り付ける移動部と
を備え、
前記硬質層は、前記OSRを前記パネルに押し付ける際に、前記複数の線状の接着剤の間の幅では第1基準値未満の変形しかせず、前記OSRの幅では前記第1基準値よりも大きい第2基準値以上に変形するOSR貼り付け装置。 - 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け装置であり、
前記OSRと接触して前記OSRを前記パネルに押し付けるための弾性体で形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体で形成された軟質層とを有する複数の加圧パッドであって、前記硬質層の材質と厚みとの少なくともいずれかが異なる複数の加圧パッド
を備えるOSR貼り付け装置。 - 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け装置であり、
前記OSRと接触して前記OSRを前記パネルに押し付けるための弾性体である硬質塩化ビニル樹脂により形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体であるクロロプレン独立気泡スポンジにより形成された軟質層とを有する加圧パッド
を備えるOSR貼り付け装置。 - 前記塗布装置は、前記パネルにおける前記OSRの貼り付け領域の中央部から前記貼り付け領域の端部へ向かって、又は、前記OSRの中央部から前記OSRの端部へ向かって、放射状に前記接着剤を塗布する
請求項1に記載のOSR貼り付け装置。 - 前記塗布装置は、前記中央部に比べて前記端部に近い位置に前記接着剤を多く塗布する
請求項4に記載のOSR貼り付け装置。 - 前記加圧パッドは、前記硬質層から前記軟質層までを貫通した複数の吸着孔が設けられた
請求項1から5までのいずれか1項に記載のOSR貼り付け装置。 - 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け方法であり、
前記パネル又は前記OSRに複数の線状に接着剤を塗布し、
弾性体で形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体で形成された軟質層とを有する加圧パッドを移動させて、前記接着剤が塗布された状態で前記硬質層を前記OSRに接触させて前記OSRを前記パネルに押し付け、
前記OSRを前記パネルに押し付ける際に、前記複数の線状の接着剤の間の幅では第1基準値未満の変形しかせず、前記OSRの幅では前記第1基準値よりも大きい第2基準値以上に変形するOSR貼り付け方法。 - 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け方法であり、
弾性体で形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体で形成された軟質層とを有する複数の加圧パッドであって、前記硬質層の材質と厚みとの少なくともいずれかが異なる複数の加圧パッドを用いて、前記硬質層を前記OSRに接触させて前記OSRを前記パネルに押し付けるOSR貼り付け方法。 - 人工衛星のパネルにOSR(Optical Solar Reflector)を貼り付けるためのOSR貼り付け方法であり、
弾性体である硬質塩化ビニル樹脂により形成された硬質層と、前記硬質層に積層され、前記硬質層よりも変形し易い弾性体であるクロロプレン独立気泡スポンジにより形成された軟質層とを有する加圧パッドを用いて、前記硬質層を前記OSRに接触させて前記OSRを前記パネルに押し付けるOSR貼り付け方法。
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