以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、図1乃至図15において異なる図面同士で互いに整合している。
図1は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物60とが接続されている状態を上面視により示した外観斜視図である。図2は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物60とが分離した状態を上面視により示した外観斜視図である。
以下の説明では、一実施形態に係るコネクタ10はプラグコネクタであり、接続対象物60はリセプタクルコネクタであるとして説明する。すなわち、コネクタ10と接続対象物60とが接続される際に、第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bが弾性変形しないコネクタ10をプラグコネクタとし、第1コンタクト90A及び第2コンタクト90Bが弾性変形する接続対象物60をリセプタクルコネクタとして説明する。コネクタ10及び接続対象物60の種類は、これに限定されない。コネクタ10がリセプタクルコネクタの役割を果たし、接続対象物60がプラグコネクタの役割を果たしてもよい。
以下の説明では、コネクタ10は、回路基板CB1に対して略平行に接続対象物60と接続されるとして説明する。より具体的には、コネクタ10及び接続対象物60は、回路基板CB1及びCB2にそれぞれ実装され、これらに対して互いに平行方向に接続されるとして説明する。コネクタ10及び接続対象物60は、一例として前後方向に沿って接続される。以下で記載する「コネクタ10と接続対象物60との嵌合側」は、例えば前側を意味する。「コネクタ10と接続対象物60との嵌合側と反対側」は、例えば後側を意味する。「回路基板CB1と略直交する方向」は、例えば上下方向を意味する。接続方法は、これに限定されない。コネクタ10が回路基板CB1に対して平行方向、接続対象物60が回路基板CB2に対して垂直方向による組み合わせで互いに接続されてもよい。回路基板CB1及びCB2は、リジッド基板であってよいし、又はそれ以外の任意の回路基板であってもよい。例えば、回路基板CB1又はCB2は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)であってもよい。
一実施形態に係るコネクタ10は、フローティング構造を有している。コネクタ10は、接続されている接続対象物60の回路基板CB1に対する相対的な移動を許容する。すなわち、接続対象物60は、コネクタ10と接続されている状態であっても、回路基板CB1に対して所定の範囲内で動くことができる。
図3は、一実施形態に係るコネクタ10を上面視により後方から示した外観斜視図である。図4は、図3のコネクタ10を上面視により前方から示した外観斜視図である。図5は、図3のコネクタ10の上面図である。図6は、図3のコネクタ10の上面視による分解斜視図である。図7は、図4のコネクタ10の上面視による分解斜視図である。図8は、図3のVIII-VIII矢線に沿った断面斜視図である。図9は、図3のVIII-VIII矢線に沿った断面図である。以下では、図3乃至図9を参照しながら、第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bが弾性変形しないときの一実施形態に係るコネクタ10の構成について主に説明する。
図6及び図7に示すとおり、コネクタ10は、大きな構成要素として、第1インシュレータ20と、第2インシュレータ30と、電気伝導性を有するカバー部材40と、第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bと、を有する。以下では、第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bを区別しない場合、まとめてコンタクト50と表記する。コネクタ10は、一例として以下の方法で組み立てられる。第2インシュレータ30に第1コンタクト50Aを前方から後方に向けて圧入する。第2インシュレータ30に圧入している第1コンタクト50Aを第1インシュレータ20に後方から前方に向けて圧入する。このとき、第2インシュレータ30が第1インシュレータ20の内部に配置される。第1インシュレータ20及び第2インシュレータ30に第2コンタクト50Bを前方から後方に向けて圧入する。第1インシュレータ20にカバー部材40を後方から前方に向けて圧入する。
第1インシュレータ20は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、略角筒状の部材である。第1インシュレータ20は、中空であり、前面及び後面に開口21A及び21Bをそれぞれ有する。第1インシュレータ20は、4つの側面から構成され、内部の空間を囲繞する外周壁22を有する。第1インシュレータ20は、後面側で外周壁22の左右両端部を前方に向けて凹設した、上下方向にわたる取付溝23を有する。取付溝23には、カバー部材40が取り付けられる。
第1インシュレータ20は、外周壁22の上部の内面及び下部の後面にわたって形成されている複数の第1コンタクト取付溝24Aを有する。第1コンタクト取付溝24Aは、外周壁22の上部の内面において前後方向に延在し、外周壁22の下部の後面において上下方向に延在する。複数の第1コンタクト取付溝24Aは、左右方向に並んで凹設されている。複数の第1コンタクト取付溝24Aには、複数の第1コンタクト50Aがそれぞれ取り付けられる。
第1インシュレータ20は、外周壁22の下部の前側に形成されている複数の第2コンタクト取付溝24Bを有する。第2コンタクト取付溝24Bは、外周壁22の下部の前面から後方に向けて直線状に凹設されている。複数の第2コンタクト取付溝24Bは、左右方向に並んで凹設されている。各第2コンタクト取付溝24Bの左右位置は、対応する第1コンタクト取付溝24Aの左右位置と略同一である。複数の第2コンタクト取付溝24Bには、複数の第2コンタクト50Bがそれぞれ取り付けられる。
第1インシュレータ20は、前面側で外周壁22の上部、左部及び右部、並びに下部と内側に連接する左右一対の抜止部25を有する。抜止部25は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の前方への抜けを抑制する。
第2インシュレータ30は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、左右方向に延在する部材である。第2インシュレータ30は、本体を構成する基部31と、基部31の後部の左右両端から後方に向けて延出する一対の延出部32と、を有する。第2インシュレータ30は、延出部32の前面を構成し、基部31の左右両端部よりも外側に位置する被抜止部32aを有する。第2インシュレータ30は、延出部32の後面から後方に向けて突設されている突部32bを有する。第2インシュレータ30は、基部31の前面に凹設されている嵌合凹部33を有する。第2インシュレータ30は、基部31の前縁部の左右両端に嵌合凹部33を挟むように形成されている誘い込み部34を有する。嵌合凹部33は、左右方向において一対の誘い込み部34の間に位置する。誘い込み部34は、基部31の前縁部において前方に向けて斜め内方に傾斜する傾斜面によって構成される。
第2インシュレータ30は、基部31の上部の前半部に左右方向に並んで形成されている複数の第1コンタクト取付溝35Aを有する。第1コンタクト取付溝35Aは、基部31の上面、基部31の前縁部及び嵌合凹部33の上面にわたって連続的に凹設されている。複数の第1コンタクト取付溝35Aには、複数の第1コンタクト50Aがそれぞれ取り付けられる。
第2インシュレータ30は、基部31の下部の前半部に左右方向に並んで形成されている複数の第2コンタクト取付溝35Bを有する。第2コンタクト取付溝35Bは、基部31の下面、基部31の前縁部及び嵌合凹部33の下面にわたって連続的に凹設されている。各第2コンタクト取付溝35Bの左右位置は、対応する第1コンタクト取付溝35Aの左右位置と略同一である。複数の第2コンタクト取付溝35Bには、複数の第2コンタクト50Bがそれぞれ取り付けられる。
第2インシュレータ30は、基部31の後半部に形成されている壁部36を有する。壁部36は、上下方向に配置された状態で第2インシュレータ30に取り付けられる一対の第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bの間に位置する。すなわち、壁部36は、一対の第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bそれぞれと対向する。
カバー部材40は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。カバー部材40は、上下方向に幅を持った状態で左右方向に延在する第1カバー部41と、第1カバー部41の上縁部から略L字状に屈曲して前方に延出する第2カバー部42と、を有する。カバー部材40は、第1カバー部41の左右両縁部から略L字状に屈曲して前方に延出する一対の係止部43を有する。係止部43は、左右方向における平面視において略コ字状に形成されている。カバー部材40は、第1カバー部41の下縁部の左右両端、及び係止部43の下縁部の前端それぞれから下方に向けて直線状に延出する4つの実装部44を有する。
カバー部材40は、係止部43が取付溝23に圧入されることで第1インシュレータ20に対して係止する。このとき、カバー部材40は、第1インシュレータ20の後面に位置する開口21Bを第1カバー部41によって覆う。カバー部材40は、第1インシュレータ20の後面と第1カバー部41との間の空隙及び第1インシュレータ20の上面を第2カバー部42によって上方から覆う。
第1コンタクト50Aは、ばね弾性を備えた銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅若しくはチタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図6乃至図9に示す形状に成形加工したものである。第1コンタクト50Aは、弾性変形に伴う形状変化が大きくなるように、弾性係数の小さい金属材料によって形成されている。第1コンタクト50Aの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
図6に示すとおり、第1コンタクト50Aは、実装面に沿って左右方向に複数配列されている。図9に示すとおり、第1コンタクト50Aは、第1インシュレータ20の第1コンタクト取付溝24A及び第2インシュレータ30の第1コンタクト取付溝35Aに取り付けられている。第1コンタクト50Aは、コネクタ10と接続対象物60との嵌合側と反対側で第1インシュレータ20から露出する。
第1コンタクト50Aは、上下方向に沿って延在し、第1インシュレータ20の開口21Bと対面する基部51Aを有する。第1コンタクト50Aは、基部51Aの下端部と連続して形成されている位置決め部52Aを有する。位置決め部52Aは、第1インシュレータ20の第1コンタクト取付溝24Aに配置されている。より具体的には、位置決め部52Aは、外周壁22の下部の後面にわたって形成されている第1コンタクト取付溝24Aに配置されている。位置決め部52Aが第1コンタクト取付溝24Aに配置されることで、第1コンタクト50Aが第1インシュレータ20に対して位置決めされる。第1コンタクト50Aは、位置決め部52Aの下端部から略L字状に屈曲して後方に延出する実装部53Aを有する。
第1コンタクト50Aは、基部51Aの上端部から略L字状に屈曲して前方に延伸する第1係止部54Aを有する。第1係止部54Aは、第1インシュレータ20の第1コンタクト取付溝24Aに対して係止する。より具体的には、第1係止部54Aは、外周壁22の上部の内面にわたって形成されている第1コンタクト取付溝24Aに対して係止する。
第1コンタクト50Aは、第1係止部54Aと連続して形成されている、弾性変形可能な弾性部55Aを有する。弾性部55Aは、第1係止部54Aから略クランク状に屈曲して前方に延伸し、前方に向けて斜め下方に傾斜した後、略水平に延伸する。第1コンタクト50Aは、弾性部55Aと連続して形成されている略U字状の第2係止部56Aを有する。第2係止部56Aは、第2インシュレータ30の第1コンタクト取付溝35Aに対して係止する。第1コンタクト50Aは、第2係止部56Aの上面及び下面によって構成される接触部57Aを有する。
第2コンタクト50Bは、ばね弾性を備えた銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅若しくはチタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図6乃至図9に示す形状に成形加工したものである。第2コンタクト50Bは、弾性変形に伴う形状変化が大きくなるように、弾性係数の小さい金属材料によって形成されている。第2コンタクト50Bの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
図7に示すとおり、第2コンタクト50Bは、実装面に沿って左右方向に複数配列されている。図9に示すとおり、第2コンタクト50Bは、第1インシュレータ20の第2コンタクト取付溝24B及び第2インシュレータ30の第2コンタクト取付溝35Bに取り付けられている。
第2コンタクト50Bは、略コ字状に形成されている第1係止部54Bを有する。第1係止部54Bは、第1インシュレータ20の第2コンタクト取付溝24Bに対して係止する。第2コンタクト50Bは、第1係止部54Bの下部の前端部から略クランク状に屈曲して前方に延出する実装部53Bを有する。
第2コンタクト50Bは、第1係止部54Bと連続して形成されている、弾性変形可能な弾性部55Bを有する。弾性部55Bは、第1係止部54Bの上部の前端部から略クランク状に屈曲して前方に延伸し、前方に向けて斜め上方に傾斜した後、略水平に延伸する。第2コンタクト50Bは、弾性部55Bと連続して形成されている略U字状の第2係止部56Bを有する。第2係止部56Bは、第2インシュレータ30の第2コンタクト取付溝35Bに対して係止する。第2コンタクト50Bは、第2係止部56Bの上面及び下面によって構成される接触部57Bを有する。
以上のような構造のコネクタ10では、回路基板CB1の実装面に形成されている回路パターンに対して、第1コンタクト50Aの実装部53A及び第2コンタクト50Bの実装部53Bがはんだ付けされる。当該実装面に形成されている接地パターン等に対して、カバー部材40の実装部44がはんだ付けされる。より具体的には、回路基板CB1の実装面に凹設又は貫設されている略円筒状の凹部又は貫通部に実装部44が挿入された状態ではんだ付けされる。以上により、カバー部材40、第1コンタクト50A及び第2コンタクト50Bが回路基板CB1に対して固定され、コネクタ10は、回路基板CB1に対して実装される。回路基板CB1の実装面には、コネクタ10とは別の電子部品(例えば、CPU、コントローラ又はメモリ等)が実装される。
図3、図8及び図9に示すとおり、このようなコネクタ10では、カバー部材40は、コネクタ10と接続対象物60との嵌合側と反対側から第1コンタクト50Aの露出部と重畳する。第1コンタクト50Aの露出部は、第1コンタクト50Aにおいて回路基板CB1と略直交する方向に延在する部分を含む。より具体的には、第1コンタクト50Aの露出部は、上下方向に沿って延在する基部51A及び基部51Aの上端部から略L字状に屈曲している部分を含む。第1コンタクト50Aの露出部は、第1コンタクト取付溝24Aに配置されている位置決め部52Aの後面もさらに含む。すなわち、第1コンタクト50Aの露出部は、実装部53Aと位置決め部52Aとの接続部分から、基部51Aの上端部から略L字状に屈曲している部分までを含む。第1カバー部41及び第2カバー部42は、第1コンタクト50Aが露出する第1インシュレータ20の後面側を上下左右前後方向の略全体にわたって覆う。このとき、カバー部材40は、第2インシュレータ30の突部32bと対向している。
第1カバー部41は、第1インシュレータ20から露出する第1コンタクト50Aの露出部と、回路基板CB1と略直交する方向に沿って後方から重畳する。第1カバー部41は、複数の第1コンタクト50Aの配列方向、例えば左右方向にわたって各第1コンタクト50Aの露出部と重畳する。第1カバー部41の下縁部は、第1コンタクト50Aの実装部53Aの直上に位置する。すなわち、第1カバー部41の下縁部と実装部53Aとは互いに近接する。
第2カバー部42は、第1カバー部41と略直交する方向、例えば前方に延出し、第1コンタクト50Aの露出部と回路基板CB1に対して略平行に上方から重畳する。第2カバー部42は、第1コンタクト50Aの露出部と第1カバー部41との間の空隙を上方から覆う。第2カバー部42は、複数の第1コンタクト50Aの配列方向、例えば左右方向にわたって各第1コンタクト50Aの露出部と重畳する。第2カバー部42は、第1コンタクト50Aの露出部に加えて、第1コンタクト取付溝24Aに対して係止している第1係止部54Aも外周壁22の上部を挟んで上方から覆う。第2カバー部42は、第1コンタクト50Aが第1インシュレータ20に取り付けられている際の弾性部55Aの位置まで、回路基板CB1に対して略平行に延出する。
図5に示すとおり、カバー部材40は、回路基板CB1と略直交する方向における平面視において、第1コンタクト50Aの実装部53Aの一部と重畳する。より具体的には、第1コンタクト50Aの実装部53Aの前部は第1カバー部41の後面よりも第1インシュレータ20側に位置し、実装部53Aの後部は第1カバー部41の後面よりもさらに後方に位置する。実装部53Aの後部は、カバー部材40から外部に露出する。
接続対象物60の構造について主に図10乃至図14を参照しながら説明する。
図10は、図3のコネクタ10と接続される接続対象物60を上面視により後方から示した外観斜視図である。図11は、図10の接続対象物60を上面視により前方から示した外観斜視図である。図12は、図10の接続対象物60の上面視による分解斜視図である。図13は、図11の接続対象物60の上面視による分解斜視図である。図14は、図10のXIV-XIV矢線に沿った断面図である。以下では、図10至図14を参照しながら、一実施形態に係るコネクタ10と接続される接続対象物60の構成について主に説明する。
図12及び図13に示すとおり、接続対象物60は、大きな構成要素として、インシュレータ70と、電気伝導性を有するカバー部材80と、第1コンタクト90A及び第2コンタクト90Bと、を有する。以下では、第1コンタクト90A及び第2コンタクト90Bを区別しない場合、まとめてコンタクト90と表記する。接続対象物60は、一例として以下の方法で組み立てられる。第2コンタクト90Bをインシュレータ70に前方から後方に向けて圧入する。第1コンタクト90Aをインシュレータ70に前方から後方に向けて圧入する。カバー部材80をインシュレータ70に対して前方から圧入する。
インシュレータ70は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、略四角柱状の部材である。インシュレータ70は、後面に形成されている嵌合凹部71を有する。インシュレータ70は、嵌合凹部71の内部に形成されている嵌合凸部72を有する。インシュレータ70は、嵌合凹部71の後縁部の左右両側に嵌合凹部71を挟むように形成されている誘い込み部73を有する。嵌合凹部71及び嵌合凸部72は、左右方向において一対の誘い込み部73の間に位置する。誘い込み部73は、嵌合凹部71の後縁部の左右両側において後方に向けて斜め外方に傾斜する傾斜面によって構成される。インシュレータ70は、前面の左右両端の下部で上下方向に沿ってインシュレータ70の内部に凹設されている取付溝74を有する。取付溝74には、カバー部材80が取り付けられる。
インシュレータ70は、インシュレータ70の前面の上端部及び下端部に凹設され、かつ、前面の上部から後方に向けて内部に凹設されている複数の第1コンタクト取付溝75Aを有する。第1コンタクト取付溝75Aは、インシュレータ70の前面の上部から、嵌合凹部71の上面、及び嵌合凸部72の上面に至るまで凹設されている。複数の第1コンタクト取付溝75Aは、左右方向に並んで凹設されている。複数の第1コンタクト取付溝75Aには、複数の第1コンタクト90Aがそれぞれ取り付けられる。
インシュレータ70は、インシュレータ70の前面の下部から後方に向けて内部に凹設されている複数の第2コンタクト取付溝75Bを有する。第2コンタクト取付溝75Bは、インシュレータ70の前面の下部から、嵌合凹部71の下面、及び嵌合凸部72の下面に至るまで凹設されている。複数の第2コンタクト取付溝75Bは、左右方向に並んで凹設されている。各第2コンタクト取付溝75Bの左右位置は、対応する第1コンタクト取付溝75Aの左右位置と略同一である。複数の第2コンタクト取付溝75Bには、複数の第2コンタクト90Bがそれぞれ取り付けられる。
カバー部材80は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。カバー部材80は、上下方向に幅を持った状態で左右方向に延在する第1カバー部81と、第1カバー部81の上縁部から略L字状に屈曲して後方に延出する第2カバー部82と、を有する。カバー部材80は、第1カバー部81の左右両縁部から略L字状に屈曲して後方に延出する一対の係止部83を有する。カバー部材80は、係止部83の下端部から下方に向けて直線状に延出する2つの実装部84を有する。
カバー部材80は、係止部83が取付溝74に圧入されることでインシュレータ70に対して係止する。このとき、カバー部材80は、インシュレータ70の前面を第1カバー部81によって覆う。カバー部材80は、インシュレータ70の前面と第1カバー部81との間の空隙及びインシュレータ70の上面を第2カバー部82によって上方から覆う。
第1コンタクト90Aは、ばね弾性を備えた銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅若しくはチタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図12乃至図14に示す形状に成形加工したものである。第1コンタクト90Aの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
図13に示すとおり、第1コンタクト90Aは、実装面に沿って左右方向に複数配列されている。図14に示すとおり、第1コンタクト90Aは、インシュレータ70の第1コンタクト取付溝75Aに取り付けられている。
第1コンタクト90Aは、上下方向に沿って延在し、上部で後方に向けて突出する基部91Aを有する。第1コンタクト90Aは、基部91Aの下端部から略L字状に屈曲して前方に延出する実装部92Aを有する。第1コンタクト90Aは、基部91Aの後方に突出した部分の上端部から後方に向けて延出する係止部93Aを有する。係止部93Aは、インシュレータ70に対して係止する。第1コンタクト90Aは、基部91Aの後方に突出した部分の上下方向略中央部から後方に向けて延出する略コ字状の弾性接触部94Aを有する。
第2コンタクト90Bは、ばね弾性を備えた銅合金(例えば、リン青銅、ベリリウム銅若しくはチタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図12乃至図14に示す形状に成形加工したものである。第2コンタクト90Bの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
図12に示すとおり、第2コンタクト90Bは、実装面に沿って左右方向に複数配列されている。図14に示すとおり、第2コンタクト90Bは、インシュレータ70の第2コンタクト取付溝75Bに取り付けられている。
第2コンタクト90Bは、上下方向に沿って延在し、下部で後方に向けて屈曲する基部91Bを有する。第2コンタクト90Bは、基部91Bの下端部から略L字状に屈曲して後方に延出する実装部92Bを有する。第2コンタクト90Bは、基部91Bの上下方向略中央部から後方に向けて延出する係止部93Bを有する。係止部93Bは、インシュレータ70に対して係止する。第2コンタクト90Bは、基部91Bの上部から後方に向けて延出する略コ字状の弾性接触部94Bを有する。
以上のような構造の接続対象物60では、回路基板CB2の実装面に形成されている回路パターンに対して、第1コンタクト90Aの実装部92A及び第2コンタクト90Bの実装部92Bがはんだ付けされる。当該実装面に形成されている接地パターン等に対して、カバー部材80の実装部84がはんだ付けされる。より具体的には、回路基板CB2の実装面に凹設又は貫設されている略円筒状の凹部又は貫通部に実装部84が挿入された状態ではんだ付けされる。以上により、カバー部材80、第1コンタクト90A及び第2コンタクト90Bが回路基板CB2に対して固定され、接続対象物60は、回路基板CB2に対して実装される。回路基板CB2の実装面には、接続対象物60とは別の電子部品(例えば、カメラモジュール又はセンサ等)が実装される。
コネクタ10に対して接続対象物60を接続するときの、フローティング構造を有するコネクタ10の動作について説明する。
図15は、図1のXV-XV矢線に沿った断面図である。
コネクタ10のコンタクト50は、第1インシュレータ20の内部で、第2インシュレータ30が第1インシュレータ20と離間し、かつ浮いた状態で、第2インシュレータ30を支持している。このとき、第2インシュレータ30の後部は、第1インシュレータ20の外周壁22によって囲繞される。嵌合凹部33を含む第2インシュレータ30の前部は、第1インシュレータ20の前面に位置する開口21Aより前方に突出する。
第1コンタクト50Aの実装部53A及び第2コンタクト50Bの実装部53Bが回路基板CB1に対してはんだ付けされることで、第1インシュレータ20は、回路基板CB1に対して固定される。第2インシュレータ30は、第1コンタクト50Aの弾性部55A及び第2コンタクト50Bの弾性部55Bが弾性変形することで、固定された第1インシュレータ20に対して相対的に移動可能となる。
開口21Aの周縁部は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の過剰な移動を規制する。より具体的には、第2インシュレータ30がコンタクト50の弾性変形に伴い設計値を超えて大きく移動すると、第2インシュレータ30の基部31の前部が開口21Aの周縁部と接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上外側に移動しない。
同様に、カバー部材40は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の後方への過剰な移動を規制する。より具体的には、第2インシュレータ30がコンタクト50の弾性変形に伴い設計値を超えて大きく後方に移動すると、第2インシュレータ30の突部32bが第1カバー部41の前面と接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上後方に移動しない。
このようなフローティング構造を有するコネクタ10に対して接続対象物60の上下位置及び左右位置を略一致させながら、互いを前後方向に対向させる。その後、接続対象物60を後方に移動させる。このとき、互いの位置が例えば上下左右方向に多少ずれていても、コネクタ10の誘い込み部34と接続対象物60の誘い込み部73とが接触する。その結果、コネクタ10のフローティング構造により第2インシュレータ30が第1インシュレータ20に対して相対的に移動する。より具体的には、コネクタ10の第2インシュレータ30が、接続対象物60の嵌合凹部71に誘い込まれる。
接続対象物60を後方にさらに移動させると、コネクタ10の基部31と接続対象物60の嵌合凹部71とが嵌合する。このとき、コネクタ10の嵌合凹部33と接続対象物60の嵌合凸部72とが嵌合する。コネクタ10の第2インシュレータ30と接続対象物60のインシュレータ70とが嵌合した状態で、コネクタ10のコンタクト50と接続対象物60のコンタクト90とが互いに接触する。より具体的には、第1コンタクト50Aの接触部57Aと第1コンタクト90Aの弾性接触部94Aとが互いに接触する。接触部57Aを含む第1コンタクト50Aの略U字状の第2係止部56Aの略全体が第1コンタクト90Aの略コ字状の弾性接触部94Aの内部に配置される。上下一対の接触部57Aは、弾性接触部94Aの上部及び下部とそれぞれ接触する。このとき、第1コンタクト90Aの弾性接触部94Aの上部及び下部は、それぞれ上方及び下方に向けて若干弾性変形し、第1コンタクト取付溝75Aの内部において弾性変位する。同様に、第2コンタクト50Bの接触部57Bと第2コンタクト90Bの弾性接触部94Bとが互いに接触する。
以上により、コネクタ10と接続対象物60とは、完全に接続される。このとき、コンタクト50及びコンタクト90を介して、回路基板CB1と回路基板CB2とが電気的に接続される。コネクタ10のカバー部材40は、接続対象物60に取り付けられているカバー部材80に対して略平行に配置されている。
接続対象物60の弾性接触部94Aは、コネクタ10の第1コンタクト50Aを上下方向に沿った内側への弾性力により上下両側から挟持する。同様に、接続対象物60の弾性接触部94Bは、コネクタ10の第2コンタクト50Bを上下方向に沿った内側への弾性力により上下両側から挟持する。これにより生じるコンタクト50への押圧力の反作用により、接続対象物60をコネクタ10から抜去する際、第2インシュレータ30は、コンタクト50を介して抜去方向、例えば前方向への力を受ける。これにより、仮に第2インシュレータ30が前方向に移動したとしても、図6に示す第1インシュレータ20の抜止部25が第2インシュレータ30の抜けを抑制する。より具体的には、第1インシュレータ20の抜止部25は、第1インシュレータ20内部において、第2インシュレータ30の被抜止部32aの直前に位置する。したがって、第2インシュレータ30が前方に過剰に移動しようとすると、被抜止部32aが抜止部25と接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上前方に移動しない。
以上のような一実施形態に係るコネクタ10によれば、ノイズによる電気的な悪影響を抑制し、かつ外部からの異物による複数のコンタクト50の短絡を抑制できる。すなわち、コネクタ10は、ピッチが狭い複数の第1コンタクト50Aを外部から保護し、かつ信号伝送における伝送特性を向上できる。第1コンタクト50Aのピッチが例えば1mmよりもさらに小さくなると、第1コンタクト50Aの露出部へ外部から混入した異物による短絡の恐れがさらに増大する。コネクタ10では、第1インシュレータ20から露出する第1コンタクト50Aの露出部とカバー部材40が重畳することでこのような短絡の恐れが低減する。さらに、カバー部材40が電気伝導性を有することで、コネクタ10では、高速大容量の信号伝送においても伝送特性が向上する。より具体的には、コネクタ10に対して外部から流入する磁気等のノイズをカバー部材40が抑制することで、コンタクト50によって伝送される信号の電気的な乱れが低減する。逆に、コネクタ10から外部に流出する磁気等のノイズをカバー部材40が抑制することで、コンタクト50によって伝送される信号が及ぼす、コネクタ10周辺に搭載される電子部品への電気的な影響が低減する。
カバー部材40が第1インシュレータ20に取り付けられることで、コネクタ10全体の重心が後方に移動する。これにより、コネクタ10が回路基板CB1の実装面に対して安定して配置される。したがって、実装の際にコネクタ10の転倒が抑制され、コネクタ10の回路基板CB1への実装性が向上する。同様に、回路基板CB1に対して略平行にコネクタ10が接続対象物60と接続される場合であっても、コネクタ10と接続対象物60との接続性が向上する。
フローティング構造を有するコネクタ10がカバー部材40を有することで、コネクタ10は、上述した外部からの保護及び伝送特性の向上に関する効果をより顕著に奏する。コネクタ10がフローティング構造を有する場合、第2インシュレータ30が何らかの外的要因により第1インシュレータ20に対して相対的に移動すると、コンタクト50が弾性変形する。これに伴い、第1コンタクト50Aの露出部におけるピッチが弾性変形の態様に応じてそれぞれの取付位置ごとに変動する。したがって、コネクタ10がフローティング構造を有さない場合と比べ、第1コンタクト50Aの露出部において、外部から混入した異物による短絡の恐れがさらに増大する。このような場合であっても、コネクタ10では、第1コンタクト50Aの露出部がカバー部材40によって効果的に保護され、伝送特性が向上する。
フローティング構造を有するコネクタ10では、第2インシュレータ30が第1インシュレータ20よりも前方に突出するため、コネクタ10全体の重心が前方に偏る。このような場合であっても、カバー部材40によりコネクタ10全体の重心が後方に移動し、コネクタ10が回路基板CB1に対して安定的に配置される。フローティング構造を有する場合、コネクタ10は、上述したコネクタ10の回路基板CB1への実装性及びコネクタ10と接続対象物60との接続性に関する効果をより顕著に奏する。
フローティング構造を有するコネクタ10が回路基板CB1に対して略平行に接続対象物60と接続されることで、回路基板CB1と略直交する方向に沿って接続される場合と比較して、コネクタ10がより低背化する。
カバー部材40が第2インシュレータ30の突部32bと対向し、第2インシュレータ30の後方への過剰な移動を規制することで、コンタクト50の過剰な弾性変形が抑制される。これにより、コンタクト50の破損が抑制される。カバー部材40が金属材によって構成される場合、規制部としてのカバー部材40の強度が増すので、このような第2インシュレータ30の過剰な移動がより効果的に規制される。
カバー部材40が第1カバー部41を有することで、回路基板CB1と略直交する方向に沿って第1インシュレータ20から外部に露出する第1コンタクト50Aの露出部を効果的に保護できる。例えば、第1コンタクト50Aにおいて回路基板CB1と略直交する方向に延在する部分の全体と第1カバー部41が重畳することで、このような保護がより効果的になる。
カバー部材40が第2カバー部42を有することで、第1コンタクト50Aの露出部と第1カバー部41との間の空隙を上方から効果的に覆うことができる。したがって、外部からの異物の混入がさらに抑制され、第1コンタクト50Aはより効果的に外部から保護される。
第2カバー部42が弾性部55Aの位置まで前方に延出することで、第2カバー部42による上述した保護効果がより顕著になる。
カバー部材40が実装部44を有することで、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。より具体的には、実装部44が回路基板CB1にはんだ付けされることで、回路基板CB1に対するカバー部材40の固定強度が向上し、回路基板CB1からの剥離に対する耐性が向上する。例えば、コネクタ10がフローティング構造を有する場合、何らかの外的要因によって発生する振動等により第2インシュレータ30が第1インシュレータ20に対して相対的に移動するので、コンタクト50に対して大きな力学的負荷が加わりやすい。このような場合であっても、コネクタ10では、コンタクト50の弾性部55A及び55Bが振動等を吸収することで、実装部53A及び53Bに大きな力が加わる恐れが少ない。加えて、第1インシュレータ20の回路基板CB1に対する固定強度がカバー部材40を介して増すので、第1インシュレータ20にも取り付けられているコンタクト50の回路基板CB1からの剥離に対する耐性が向上する。以上により、コネクタ10は、コンタクト50と回路基板CB1との接続部分が破損する可能性を低減できる。したがって、コネクタ10は、接続対象物60と接続されている状態であっても、接続信頼性を保つことができる。
カバー部材40が金属材から構成されることで、コネクタ10の堅牢性が向上する上に、上述した信号伝送における伝送特性の向上に関する効果がより顕著になる。
回路基板CB1と略直交する方向における平面視においてカバー部材40が各第1コンタクト50Aの実装部53Aの一部と重畳し、それらの後部がカバー部材40から外部に露出することで、各実装部53Aの実装状態に関する視覚的な検査が容易となる。
カバー部材40がコンタクト50の配列方向にわたって各第1コンタクト50Aの露出部と重畳することで、第1インシュレータ20に取り付けられた全ての第1コンタクト50Aが適切に外部から保護される。
カバー部材40がコネクタ10と接続対象物60との嵌合の際にカバー部材80に対して略平行に配置されていることで、コネクタ10及び接続対象物60が前後両側からカバー部材40及びカバー部材80によって挟まれる。これにより、上述した外部からの保護及び伝送特性の向上に関する効果がさらに顕著になる。
第2インシュレータ30が壁部36を有することで、図9の上下方向に対称的に配置されている一対のコンタクト50同士の接触を抑制できる。仮に壁部36が形成されていない場合、コンタクト50の弾性部55A及び55Bは第2インシュレータ30の移動に伴って弾性変形するので、それぞれの弾性変形状態に応じて上下一対のコンタクト50同士が万が一でも接触する可能性がある。壁部36はこのような可能性を低減できる。コネクタ10は、壁部36の形成により、このようなコンタクト50同士の接触を抑制して、短絡等の電気的に引き起こされる不具合及び破損等の力学的に引き起こされる不具合を抑制できる。したがって、コネクタ10は、製品としての信頼性を維持できる。
コンタクト50が弾性係数の小さい金属材料によって形成されていることで、コネクタ10は、第2インシュレータ30にかかる力が小さい場合であっても、必要とされる第2インシュレータ30の移動量を確保できる。すなわち、第2インシュレータ30は、第1インシュレータ20に対して滑らかに移動することができる。これにより、コネクタ10は、接続対象物60と接続する際の位置ずれを容易に吸収できる。
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。上述したコネクタ10及び接続対象物60の組立方法は、上記の説明の内容に限定されない。コネクタ10及び接続対象物60の組立方法は、それぞれの機能が発揮されるように組み立てることができるのであれば、任意の方法であってもよい。例えば、カバー部材40又はコンタクト50は、圧入ではなくインサート成形によって第1インシュレータ20又は第2インシュレータ30と一体的に成形されてもよい。例えば、カバー部材40は、接着剤等の粘着剤によって第1インシュレータ20に取り付けられてもよい。
第2インシュレータ30の後方への過剰な移動の規制方法は、第2インシュレータ30の突部32bとカバー部材40とを対向させる方法に限定されない。例えば、第2インシュレータ30の延出部32の後面は平面状であり、カバー部材40の前面に突部が突設されていてもよい。例えば、互いに突部を有さずに、延出部32の後面及びカバー部材40の前面が共に平面状であってもよい。
第2カバー部42は、弾性部55Aの位置まで前方に延出していなくてもよい。第2カバー部42は、上述した保護効果を維持できる任意の長さで延出していればよい。
カバー部材40は、金属製であるとして説明したがこれに限定されない。カバー部材40は、樹脂材を含み表層に電気伝導性を有していてもよい。カバー部材40は、金属粉末射出成形法によって成形されていてもよい。
カバー部材40の実装部44は回路基板CB1の実装面に形成されている凹部又は貫通部に挿入された状態ではんだ付けされるとして説明したが、実装方法はこれに限定されない。カバー部材40は、回路基板CB1の実装面上に形成されている接地パターンに対して実装部44がはんだ付け又は溶着されることで表面実装されてもよい。
カバー部材40は直線状に延出する4つの実装部44を有するとして説明したがこれに限定されない。実装部44は、その機能を実現できる任意の形状、配置及び個数により構成されてもよい。例えば、実装部44は、第1カバー部41及び一対の係止部43の下縁部全体にわたって連続的に形成されていてもよい。
コンタクト50は、弾性係数の小さい金属材料によって形成されているとして説明したが、これに限定されない。コンタクト50は、必要とされる弾性変形量を確保できるのであれば、任意の弾性係数を有する金属材料によって形成されていてもよい。
接続対象物60は、回路基板CB2に実装されるリセプタクルコネクタであるとして説明したが、これに限定されない。接続対象物60は、コネクタ以外の任意の対象物であってもよい。例えば、接続対象物60は、FPC、フレキシブルフラットケーブル、リジッド基板又は任意の回路基板のカードエッジ等であってもよい。
以上のようなコネクタ10は、電子機器に搭載される。電子機器は、例えば、カメラ、レーダ、ドライブレコーダ又はエンジンコントロールユニット等の任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム又はセキュリティシステム等の車載システムにおいて使用される任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又は複合機等の任意の情報機器を含む。その他、電子機器は、任意の産業機器を含む。
このような電子機器では、短絡等の電気的な不具合が発生する恐れが低減し、かつ信号伝送における伝送特性が向上する。コネクタ10がフローティング構造を有する場合、当該フローティング構造により回路基板間の位置ずれが吸収されるので、電子機器の組み立ての際の作業性が向上する。すなわち、電子機器の製造が容易になる。カバー部材40を有するコネクタ10により回路基板CB1との接続部分の破損が抑制されるので、電子機器の製品としての信頼性が向上する。