図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ再生装置を含む車載情報システムの構成を示す図である。図1に示す車載情報システムは、車両に搭載されて使用されることでユーザに各種コンテンツを提供するものであり、車載装置1と携帯端末2が近距離無線通信3およびUSBケーブル4を介した有線通信で互いに接続されることによって実現される。ただし、近距離無線通信3およびUSBケーブル4は必ずしも両方が接続されている必要はなく、コンテンツの種類に応じて必要な接続が異なる。
携帯端末2と接続されることでコンテンツ再生装置として機能する車載装置1は、車両内に固定されており、たとえば車両のインストルメントパネル内などに設置されている。携帯端末2は、ユーザが持ち運び可能な携帯型の情報端末であり、たとえば携帯電話やスマートフォンなどである。なお、車載装置1と携帯端末2の間で行われる近距離無線通信3には、たとえばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などを用いることができる。また、USBケーブル4を介した有線通信以外に、たとえば有線LANやRS-232C等の有線通信を用いてもよい。以下では、近距離無線通信3としてBluetoothおよびWi-Fiを使用し、有線通信としてUSBケーブル4を用いる例を説明するが、他の通信方法でも同様である。
車載装置1には、表示部12と、操作キー(操作スイッチ)13a、13b、13c、13dおよび13eとが設けられている。表示部12は、各種の画像や映像を表示可能な表示モニタであり、たとえば液晶ディスプレイによって構成される。操作キー13a~13eは、ユーザの入力操作を検出するための操作スイッチ類であり、車載装置1が実行中の処理に応じて様々な機能が割り当てられる。ユーザは、操作キー13a~13eのうち任意の操作キーを操作することで、所望の機能を車載装置1に実行させることができる。なお、図1では操作キー13a~13dを押圧可能なボタン式のスイッチとし、操作キー13eを左右に回転可能なダイヤル式のスイッチとした例を示しているが、各操作キーの配置、構造、数などはこの例に限定されない。また、表示部12をタッチパネル式の表示モニタとし、操作キーの一部または全部を省略してもよい。
携帯端末2には、表示部22が設けられている。表示部22は、各種の画像や映像を表示可能なタッチパネル式の表示モニタであり、たとえばタッチ位置を検出するタッチセンサと液晶ディスプレイとを組み合わせて構成される。ユーザは、表示部22に表示される画像や映像の内容に応じて、表示部22上で任意の位置を指等でタッチすることで、所望の機能を携帯端末2に実行させることができる。なお、ここでは表示部22をタッチパネル式の表示モニタとした例を説明したが、タッチパネル式ではない通常の表示モニタとしてもよい。その場合、携帯端末2が実行する処理の内容に応じた各種の操作スイッチを携帯端末2に設けることが好ましい。あるいは、表示部22をタッチパネル式の表示モニタとし、さらに所定の操作に対応する操作スイッチを携帯端末2に設けてもよい。
図2は、車載装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように車載装置1は、制御部10、記憶部11、表示部12、操作部13、音声出力部14および通信インタフェース部15を有する。
車載装置1において、制御部10は、CPUや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、記憶部11に記録されている制御プログラムに基づいて各種の処理や演算を実行する。制御部10は、その機能として、ユーザ判別部101、端末識別部102、再生可否判断部103および通知部104を有している。すなわち、CPUにおいて所定のプログラムが実行されることにより、制御部10がユーザ判別部101、端末識別部102、再生可否判断部103および通知部104として動作する。なお、これらの機能ブロックの詳細については後述する。
記憶部11は、不揮発性のデータ格納装置であり、たとえばHDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリ等によって実現される。記憶部11には、たとえば制御部10において用いられる前述の制御プログラムなど、各種のデータが記憶されている。記憶部11におけるデータの読み出しおよび書き込みは、制御部10の制御により必要に応じて行われる。
さらに記憶部11には、ラストモード情報111が記憶されている。ラストモード情報111は、車載装置1の通電が遮断されたときに車載装置1が再生していたコンテンツに関する情報であり、ラストモード再生において利用される。ラストモード再生とは、車載装置1の通電が開始されたときに、ユーザごとに過去に再生していたコンテンツの続きをラストモード情報111から自動的に判断して再生する動作のことである。このラストモード再生により再生されるコンテンツを、以下では「ラストモードのコンテンツ」と称する。なお、ラストモード再生の詳細については後述する。
表示部12は、図1を用いて前述したように、液晶ディスプレイ等によって構成される表示モニタである。操作部13は、ユーザの入力操作を検出するためのスイッチであり、たとえば図1に示した操作キー13a~13eによって実現される。なお、前述のように表示部12をタッチパネル式の表示モニタとすることで、表示部12と操作部13を一体化された構成としてもよい。操作部13に対して行われたユーザの入力操作内容は制御部10へ出力され、制御部10が行う処理に反映される。
音声出力部14は、アンプ、スピーカ等を有しており、制御部10の制御によって各種の音声を出力することができる。たとえば、携帯端末2または不図示の記録媒体から読み出された音楽データを再生した音楽や、車両を目的地まで誘導するための誘導音声などが音声出力部14から出力される。
通信インタフェース部15は、制御部10の制御により、携帯端末2との間で近距離無線通信3およびUSBケーブル4を介した通信を行う際に必要なインタフェース処理を行う。たとえば、制御部10から出力された情報を所定の信号形式に変換し、近距離無線通信3やUSBケーブル4を介して携帯端末2へ送信したり、携帯端末2から所定の信号形式で出力された情報を近距離無線通信3やUSBケーブル4を介して受信し、制御部10へ出力したりする。通信インタフェース部15によるインタフェース処理は、Bluetooth、Wi-Fi、USB等の所定の通信規格に従って行われる。この通信インタフェース部15が行う処理により、車載装置1と携帯端末2との間で近距離無線通信3およびUSBケーブル4を介したインタフェースがそれぞれ確立され、これらのインタフェースを介した情報の入出力が行われる。
次に、本車載情報システムにおけるラストモード再生について説明する。本車載情報システムは、車載装置1と携帯端末2とを互いに接続することで、携帯端末2に記憶されている様々なコンテンツを車載装置1で再生したり、不図示のサーバから携帯端末2を介して配信される様々なコンテンツを車載装置1で再生したりすることができる。たとえば、地図を表示して車両を目的地まで案内するカーナビゲーション機能をコンテンツの一種としてユーザに提供したり、音楽や映画に代表される各種の音声コンテンツや映像コンテンツを再生してユーザに提供したりすることが可能である。これ以外にも、任意のコンテンツを携帯端末2から取得し、車載装置1において再生することができる。
さらに、車載装置1の電源が遮断され、その後に再投入されたときには、ラストモードのコンテンツを引き続き再生するラストモード再生が行われる。このとき、車両内のユーザが判別されるとともに、携帯端末2の接続状態が判別される。そして、これらの判別結果と、過去のコンテンツ再生時に記録されたラストモード情報とを用いて、ユーザごとにラストモード再生が行われる。
図3は、記憶部11に記憶されるラストモード情報111の例を示す図である。ラストモード情報111は、たとえば図3(a)に示す使用履歴情報DBと、図3(b)に示す接続端末情報DBとによって構成される。
図3(a)の使用履歴情報DBは、ユーザごとの過去の車両の使用履歴と、ラストモードのコンテンツおよび携帯端末2の接続状態とを表すデータベースである。使用履歴情報DBは、ユーザ情報301、開始日時302、終了日時303、端末ID304およびコンテンツ種別305の各フィールドを有する複数のレコード311~316によって構成されている。
レコード311~316において、ユーザ情報301には、各ユーザの特徴を示す情報が当該ユーザと対応付けて格納される。なお、ユーザ情報301にどのような情報を格納するかは、ユーザの判別方法に応じて決定される。たとえば、不図示のカメラを用いた画像認識によりユーザの判別を行う場合は、画像認識において用いられるユーザごとの特徴点情報がユーザ情報301に格納される。これ以外にもユーザの判別方法に応じて、たとえばパスワードや、生体認証で用いられる各種情報などを、ユーザ情報301に格納することができる。
開始日時302には、ユーザが車両の使用を開始した日時が格納される。終了日時303には、ユーザが車両の使用を終了した日時が格納される。
端末ID304には、ユーザの車両使用時に近距離無線通信3やUSBケーブル4を介して車載装置1に接続されていた携帯端末2に特有のIDが、その接続形態(通信規格)ごとに格納される。具体的には、携帯端末2には、Bluetooth接続における端末IDと、Wi-Fi接続における端末IDと、USB接続における端末IDとが予め設定されている。ただし、USB接続における端末IDは、ベンダーIDおよびプロダクトIDという二種類のIDコードで構成される。これらの端末IDの種類に合わせて、端末ID304は、Bluetooth接続で用いられる端末IDが格納されるフィールド304aと、Wi-Fi接続で用いられる端末IDが格納されるフィールド304bと、USB接続で用いられるベンダーIDおよびプロダクトIDがそれぞれ格納されるフィールド304c、304dとで構成される。なお、図3(a)で示した端末ID304のフィールド構成はあくまで一例であり、車載装置1と携帯端末2の接続で用いられる通信規格に応じて、端末ID304のフィールド構成は変化する。
コンテンツ種別305には、車載装置1の電源が遮断される直前に再生されていたラストモードのコンテンツの種別に関する情報が格納される。たとえば、携帯端末2に記憶されていた音楽や映画がラストモードのコンテンツとして再生されていたことをそれぞれ示す「MUSIC」、「MOVIE」や、携帯端末2が有するアプリの一種であるAndroid Auto(登録商標)を利用したナビゲーション機能がラストモードのコンテンツとして提供されていたことを示す「Android Auto」などの情報が、コンテンツ種別305において格納されている。
図3(b)の接続端末情報DBは、各ユーザが所持して過去に車載装置1に接続された携帯端末2ごとの端末IDを表すデータベースである。接続端末情報は、端末名称321および端末ID322の各フィールドを有する複数のレコード331~334によって構成されている。
レコード331~334において、端末名称321には、各携帯端末2に付与された名称を示す情報が格納される。なお、端末名称321に格納される各携帯端末2の名称は、初回接続時に、または初回接続後の任意のタイミングで、ユーザが任意に設定可能である。ただし、ユーザが設定しなかった場合は、車載装置1において予め設定された名称が仮の名称として付与される。図3の例では、ユーザが未設定の場合には最初の文字を「(仮)」とすることで、仮の名称であることが分かるようになっている。
端末ID322には、過去に近距離無線通信3やUSBケーブル4を介して車載装置1に接続されたことがある各携帯端末2の接続形態(通信規格)ごとのIDが格納される。この端末ID322のフィールド構成は、図3(a)の端末ID304と同様である。すなわち、端末ID322は、Bluetooth接続で用いられる端末IDが格納されるフィールド322aと、Wi-Fi接続で用いられる端末IDが格納されるフィールド322bと、USB接続で用いられるベンダーIDおよびプロダクトIDがそれぞれ格納されるフィールド322c、322dとで構成される。なお、図3(b)で示した端末ID322のフィールド構成はあくまで一例であり、車載装置1と携帯端末2の接続で用いられる通信規格に応じて、端末ID322のフィールド構成は変化する。
車載装置1では、上記のようなデータ構造を有する使用履歴情報DBおよび接続端末情報DBがラストモード情報111として記憶部11に記憶されている。すなわち、ラストモード情報111では、使用履歴情報DBおよび接続端末情報DBの各レコードにより、車両が使用される度に異なる時点でそれぞれ取得された複数のラストモード情報がユーザおよび携帯端末2と対応付けて記録されている。
図4は、車載装置1がラストモード情報111の記録を行う際に実行する処理のフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、車載装置1の電源が投入されると制御部10により実行されるものである。
ステップS10において、制御部10は、ラストモード情報111の使用履歴情報DBに開始日時を記録する。ここでは、図3(a)に例示した使用履歴情報DBにおいて新たなレコードを追加し、そのレコードの開始日時302の欄に現在の日時を格納することで、ラストモード情報111に現在の日時を開始日時として記録する。
ステップS20において、制御部10は、ユーザの判別を行う。ここでは、ユーザ判別部101におけるユーザの判別方法に応じて、現在車両に搭乗しているユーザのユーザ情報を取得する。たとえば、ユーザの画像認識用の特徴点情報やユーザが入力したパスワード等の情報を取得する。そして、ユーザ判別部101により、取得したユーザ情報をラストモード情報111の使用履歴情報DBにおける各レコードのユーザ情報301と比較する。その結果、取得したユーザ情報と一致するレコードがあれば、当該レコードに対応するユーザを現在車両に搭乗しているユーザと判断し、取得したユーザ情報と一致するレコードがなければ、新規ユーザと判断する。
ステップS30において、制御部10は、ステップS20で行ったユーザ判別時に取得したユーザ情報を、ユーザの判別結果と対応付けて、ラストモード情報111の使用履歴情報DBに記録する。ここでは、ステップS10において追加したレコードのユーザ情報301の欄に、取得したユーザ情報とユーザの判別結果を格納する。これにより、ユーザ判別部101が判別したユーザと対応付けてラストモード情報111が記憶部11に記憶される。
ステップS40において、制御部10は、近距離無線通信3またはUSBケーブル4を介して車載装置1に接続されている携帯端末2の有無を判定する。ここでは、端末識別部102により、Bluetooth、Wi-Fi、USBのいずれか少なくとも一つの接続形態を用いて車載装置1に接続されている携帯端末2があるかどうかを判定する。その結果、車載装置1に接続されている携帯端末2がある場合はステップS50に進み、ない場合はステップS100に進む。
ステップS50において、制御部10は、車載装置1に接続されている携帯端末2から端末IDを取得し、ラストモード情報111の使用履歴情報DBに記録する。ここでは、端末識別部102により、車載装置1に接続されている携帯端末2をその接続形態とともに識別し、識別した接続形態に応じて、Bluetooth接続における端末IDと、Wi-Fi接続における端末IDと、USB接続における端末ID(ベンダーID、プロダクトID)とのうち、いずれか少なくとも一つの端末IDを携帯端末2から取得する。そして、ステップS10において使用履歴情報DBに追加したレコードの端末ID304の欄に、取得した端末IDを格納する。これにより、端末識別部102が識別した携帯端末2と対応付けてラストモード情報111が記憶部11に記憶される。
ステップS60において、制御部10は、ステップS50で識別した携帯端末2が接続端末情報DBにおいて未登録の端末であるか否かを判定する。ここでは、ステップS50で取得した端末IDを、ラストモード情報111の接続端末情報DBにおける各レコードの端末ID322と比較する。その結果、取得した端末IDと一致するレコードが接続端末情報DBにあれば、携帯端末2が登録済みの端末であると判定してステップS80に進み、なければ携帯端末2が未登録の端末であると判定してステップS70に進む。
ステップS70において、制御部10は、ステップS60で未登録と判定した携帯端末2の端末名称を接続端末情報DBに追加する。ここでは、たとえば表示部12に所定の登録画面を表示し、この登録画面においてユーザに操作部13を操作して任意の端末名称を入力するように促す。その結果、ユーザが端末名称を入力したら、図3(b)に例示した接続端末情報DBにおいて新たなレコードを追加し、そのレコードの端末名称321の欄に入力された端末名称を格納することで、ラストモード情報111の接続端末情報DBに新たな携帯端末2を登録する。なお、ユーザが端末名称を入力しなかった場合は、前述のように予め設定された名称を仮の名称として付与すればよい。
ステップS80において、制御部10は、ステップS50で取得した端末IDの中に、接続端末情報DBにおいて未登録の端末IDがあるか否かを判定する。その結果、全ての端末IDが未登録か、または、取得した端末IDの一部が未登録、すなわち登録済みのものと未登録の両方の端末IDが含まれていた場合は、未登録の端末IDがあると判定してステップS90に進み、そうでない場合、すなわち全ての端末IDが登録済みである場合はステップS100に進む。なお、全ての端末IDが未登録の場合とは、ステップS60で携帯端末2が未登録の端末であると判定された場合である。一方、取得した端末IDの一部が未登録の場合とは、ステップS60では携帯端末2が登録済みの端末であると判定されたが、過去の接続時とは異なる接続形態を用いて携帯端末2が車載装置1に接続されていた場合である。
ステップS90において、制御部10は、ステップS80で未登録と判定した端末IDを接続端末情報DBに追加する。ここでは、ステップS50で取得した端末IDのうち、ステップS80で未登録と判定した端末IDを、対応するレコードの端末ID322の欄に格納する。これにより、携帯端末2の接続状態に応じて、ラストモード情報111の接続端末情報DBが更新される。
ステップS100において、制御部10は、携帯端末2の接続状態における変化の有無を判定する。ここでは、Bluetooth、Wi-Fi、USBのうち、これまで携帯端末2の接続では未使用であったものが新たに接続されるか、または携帯端末2の接続に使用していたものが切断された場合に、携帯端末2の接続状態に変化があったと判定し、ステップS50に戻る。この場合、変化後の接続状態に従ってステップS50以降の処理を繰り返す。一方、上記の条件を満たさない場合は、携帯端末2の接続状態に変化がないと判定し、ステップS110に進む。
ステップS110において、制御部10は、ステップS20で判別したユーザが車両から降車したか否かを判定する。ここでは、たとえば車両のパーキングブレーキが操作されて車載装置1の電源が切断された場合に、ユーザが車両から降車したと判定してステップS120に進み、そうでない場合はステップS100に戻る。なお、他の方法でユーザの降車を判定してもよい。
ステップS120において、制御部10は、ラストモード情報111の使用履歴情報DBに終了日時を記録する。ここでは、ステップS10において追加したレコードの終了日時303の欄に現在の日時を格納することで、ラストモード情報111に現在の日時を終了日時として記録する。
ステップS130において、制御部10は、ラストモード情報111の使用履歴情報DBに、ユーザが降車直前に再生していたラストモードのコンテンツに対応するコンテンツ種別を記録する。ここでは、ステップS10において使用履歴情報DBに追加したレコードのコンテンツ種別305の欄に、ステップS110でユーザが車両から降車したと判定する直前に再生されていたコンテンツの種別を表す情報を格納する。なお、このとき当該コンテンツの種別に加えて、当該コンテンツの詳細をラストモード情報111に記録してもよい。たとえば、楽曲名やタイトル名、再生位置などを記録することができる。
ステップS130を終えたら、図4のフローチャートに示す処理を終了する。車載装置1では、このようにしてラストモード情報111の記録が行われる。
図5は、車載装置1がラストモード再生を行う際に実行する処理のフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、車載装置1の電源が投入されると、図4のフローチャートと並行して、または図4のフローチャートに先立って、制御部10により実行されるものである。
ステップS210において、制御部10は、ユーザの判別を行う。ここでは、ユーザ判別部101により、図4のステップS20と同様の方法でユーザを判別する。なお、ステップS20とステップS210の処理を統合し、一回のユーザ判別で済むようにしてもよい。
ステップS220において、制御部10は、ステップS210で判別したユーザに対応する使用履歴情報がラストモード情報111において記録されているか否かを判定する。ここでは、ステップS210のユーザ判定時に取得したユーザ情報を、ラストモード情報111の使用履歴情報DBにおける各レコードのユーザ情報301と比較する。その結果、取得したユーザ情報と一致するレコードが使用履歴情報DBにあれば、当該ユーザの使用履歴情報が記録されていると判定してステップS240に進み、なければステップS230に進む。
ステップS230において、制御部10は、近距離無線通信3またはUSBケーブル4を介して車載装置1に接続されている携帯端末2の有無を判定する。ここでは、図4のステップS40と同様に、Bluetooth、Wi-Fi、USBのいずれか少なくとも一つにより、車載装置1に接続されている携帯端末2があるかどうかを判定する。その結果、車載装置1に接続されている携帯端末2がある場合はステップS250に進み、ない場合はステップS300に進む。
ステップS220からステップS240に進んだ場合、ステップS240において、制御部10は、ステップS210で判別したユーザに対応する使用履歴情報をラストモード情報111から抽出する。すなわち、ステップS220で特定したユーザ情報と一致する使用履歴情報DBのレコードを、当該ユーザに対応する使用履歴情報として抽出する。なお、ユーザ情報と一致するレコードが使用履歴情報DBにおいて複数存在する場合は、その中で最新のレコードから順に、予め定めた所定数のレコードを抽出することが好ましい。このようにすれば、当該ユーザに対応する複数のラストモードのコンテンツについて、ラストモード情報111から使用履歴情報をそれぞれ抽出することができる。
ステップS230からステップS250に進んだ場合、ステップS250において、制御部10は、ステップS230で判別した車載装置1に接続中の携帯端末2に対応する使用履歴情報をラストモード情報111から抽出する。ここでは、車載装置1に接続されている携帯端末2から端末IDを取得し、その端末IDが端末ID322の欄に格納されているレコードを接続端末情報DBにおいて特定する。そして、特定したレコードの各端末IDと同一の端末IDを一つ以上含むレコードを使用履歴情報DBにおいて特定し、そのレコードを使用履歴情報DBから抽出することで、車載装置1に接続中の携帯端末2に対応する使用履歴情報を抽出する。なお、接続中の携帯端末2の接続端末情報と同一の端末IDを含むレコードが使用履歴情報DBにおいて複数存在する場合は、その中で最新のレコードから順に、予め定めた所定数のレコードを抽出することが好ましい。このようにすれば、当該携帯端末2に対応する複数のラストモードのコンテンツについて、ラストモード情報111から使用履歴情報をそれぞれ抽出することができる。
上記のステップS240またはS250の処理により、ユーザ判別部101が判別した車両に搭乗中のユーザ、または端末識別部102が識別した車載装置1に接続中の携帯端末2のいずれかに対応して、ラストモード情報111の使用履歴情報DBから1つまたは複数の使用履歴情報が抽出される。こうして使用履歴情報が抽出されたら、ステップS260に進む。
ステップS260において、制御部10は、ラストモード再生で再生するコンテンツをユーザに通知するためのラストモード通知画面を表示する。ここでは、通知部104により、ステップS240またはS250で抽出した使用履歴情報においてコンテンツ種別305の欄に格納されている情報に基づき、所定の表示形態によるラストモード通知画面を表示部12に表示させる。これにより、1つまたは複数のコンテンツをラストモードのコンテンツとしてユーザに通知する。そして、通知したラストモードのコンテンツの中からいずれかをユーザに選択させることで、どのコンテンツについてラストモード再生を行うか否かをユーザに選択させるようにする。なお、ステップS260で表示されるラストモード通知画面の具体例については後述する。
ステップS270において、制御部10は、ステップS260で表示したラストモード通知画面においてユーザがいずれかのラストモードのコンテンツを選択したか否かを判定する。ユーザがラストモードのコンテンツを選択するまでは、ステップS260に戻ってラストモード通知画面を表示し続け、いずれかのラストモードのコンテンツを選択したらステップS280に進む。
ステップS280において、制御部10は、ステップS270でユーザが選択したラストモードのコンテンツを再生可能であるか否かを判定する。ここでは、再生可否判断部103により、ステップS240またはS250で抽出した使用履歴情報に基づき、ラストモード通知画面においてユーザが選択したラストモードのコンテンツを再生可能であるか否かを判断する。具体的には、端末識別部102を用いて、近距離無線通信3またはUSBケーブル4を介して車載装置1に接続されている携帯端末2の有無を判断し、車載装置1に接続中の携帯端末2があれば、その接続形態に応じた端末IDを携帯端末2から取得する。そして、取得した各端末IDと、ステップS240または250で抽出した使用履歴情報のうちユーザが選択したラストモードのコンテンツに対応する使用履歴情報において端末ID304の欄に格納されている各端末IDとを比較する。その結果、全ての端末IDが一致した場合、すなわち、Bluetooth、Wi-Fi、USBの各接続形態のうち、ユーザが選択したラストモードのコンテンツの再生に必要な接続形態が車載装置1と携帯端末2の間で全て接続されている場合には、ユーザが選択したラストモードのコンテンツを再生可能であると判定してステップS310に進む。一方、少なくとも一つの端末IDが一致しない場合、すなわち、ユーザが選択したラストモードのコンテンツの再生に必要な接続形態の少なくとも一つが車載装置1と携帯端末2の間で接続されていない場合には、ユーザが選択したラストモードのコンテンツを再生可能ではないと判定してステップS290に進む。
ステップS290において、制御部10は、携帯端末2の接続に関する通知をユーザに対して行うための接続通知画面を表示する。ここでは、通知部104により、ステップS280の判定で車載装置1に接続中の携帯端末2の端末IDとは一致しないと判定された使用履歴情報の端末IDに基づき、所定の表示形態による接続通知画面を表示部12に表示させる。これにより、Bluetooth、Wi-Fi、USBの各接続形態のうち、ユーザが選択したラストモードのコンテンツの再生に必要なものが接続されていないことをユーザに通知する。なお、ステップS290で表示される接続通知画面の具体例については後述する。
制御部10は、ユーザが選択したラストモードのコンテンツを再生可能であるとステップS280で判定されるまで、ステップS290の処理を繰り返す。これにより、ラストモードのコンテンツの再生に必要な接続形態での接続を行うようにユーザを促す。なお、ユーザが所定のキャンセル操作を行った場合や、接続通知画面の表示を開始してから所定時間が経過した場合は、ステップS290の処理を中断してステップS300に進むようにしてもよい。
ステップS230からステップS300に進んだ場合、またはステップS290の処理を中断してステップS300に進んだ場合、ステップS300において、制御部10は、既定のコンテンツをラストモードのコンテンツとして選択する。ここでは、たとえばステップS210のユーザ判別結果に関わらず、ラストモード情報111の使用履歴情報DBにおいて記録された最新の使用履歴情報を選択し、その使用履歴情報においてコンテンツ種別305の欄に格納されている情報に基づき、ラストモードのコンテンツを選択する。あるいは、予め定めた任意のコンテンツをラストモードのコンテンツとして選択してもよい。ステップS300でラストモードのコンテンツを選択したら、ステップS310に進む。
ステップS310において、制御部10は、ラストモード再生を開始する。ここでは、ステップS280で再生可能と判断したラストモードのコンテンツ、またはステップS300で選択したラストモードのコンテンツの再生を開始することで、ラストモード再生を開始する。このとき、再生するコンテンツに応じて、車載装置1に接続されている携帯端末2から必要な情報を取得する。
ステップS310を終えたら、図5のフローチャートに示す処理を終了する。車載装置1では、このようにしてラストモード再生が行われる。
図6は、図5のステップS260において表示部12に表示されるラストモード通知画面の例を示す図である。図6(a)では、図5のステップS240において、ユーザAに対応する2つのレコード314、311をユーザAの使用履歴情報として図2(a)の使用履歴情報DBから抽出し、これら2つの使用履歴情報を用いてステップS260で表示したラストモード通知画面の例を示している。一方、図6(b)では、図5のステップS250において、「母タブレット」という端末名称が付された携帯端末2に対応する2つのレコード314、312を当該端末の使用履歴情報として図2(a)の使用履歴情報DBから抽出し、これら2つの使用履歴情報を用いてステップS260で表示されたラストモード通知画面の例を示している。
図6(a)のラストモード通知画面には、通知枠61、62が表示されている。通知枠61に示された各情報は、使用履歴情報DBのレコード314と、このレコード314に対応する接続端末情報DBのレコード332とに基づくものである。また、通知枠62に示された各情報は、使用履歴情報DBのレコード311と、このレコード311に対応する接続端末情報DBのレコード331とに基づくものである。なお、使用履歴情報DBの各レコードと接続端末情報DBの各レコードとの対応関係は、端末ID304、322にそれぞれ格納された接続形態ごとの端末IDに基づいて判断することができる。
図6(b)のラストモード通知画面には、通知枠61、63が表示されている。通知枠61は、図6(a)の通知枠61と同一のものである。一方、通知枠63に示された各情報は、使用履歴情報DBのレコード312と、このレコード312に対応する接続端末情報DBのレコード332とに基づくものである。すなわち、図6(b)のラストモード通知画面における通知枠61、63は、いずれも接続端末情報DBのレコード332と対応しているため、「母タブレット」という同一の端末名称を示している。
ユーザは、図6(a)または図6(b)のラストモード通知画面において通知枠61~63のいずれかを選択することで、車載装置1にラストモード再生を指示するとともに、どのコンテンツをラストモード再生の対象とするかを選択する。通知枠61~63のいずれかがユーザにより選択されると、図5のステップS270が肯定判定され、ステップS280で当該コンテンツの再生が可能であるか否かを判断される。
図7は、図5のステップS290において表示部12に表示される接続通知画面の例を示す図である。この接続通知画面では、ラストモード通知画面の上に重ねて通知枠71を表示することで、ユーザが選択したコンテンツを対象としてラストモード再生を実行するためにはBluetoothによる接続が必要であることをユーザに通知している。これによりユーザは、「(仮)Smart1」という端末名称が付された携帯端末2と車載装置1の間でBluetoothが未接続であることを認識できる。したがって、当該端末のBluetooth接続をオンとするようユーザに促すことができる。なお、図7では、図6(a)のラストモード通知画面において通知枠62がユーザに選択され、この通知枠62に対応する接続端末情報DBのレコード331が表す「(仮)Smart1」という端末名称が付された携帯端末2のBluetooth接続がオフである場合の接続通知画面の例を示している。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)携帯端末2と接続可能なコンテンツ再生装置である車載装置1は、通電遮断時に車載装置1が再生していたラストモードのコンテンツに関する情報を含むラストモード情報111を記憶する記憶部11と、通電遮断後に車載装置1の通電が開始されると、記憶部11に記憶されたラストモード情報111に基づき、携帯端末2の接続状態がラストモードのコンテンツを再生可能であるか否かを判断する再生可否判断部103と、再生可否判断部103により携帯端末2の接続状態がラストモードのコンテンツを再生可能ではないと判断された場合(ステップS280:NO)、携帯端末2の接続に関する通知をユーザに対して行う通知部104とを備える。このようにしたので、携帯端末2の接続状態に関わらず、車載装置1においてコンテンツをラストモードで再生することができる。
(2)車載装置1は、ユーザを判別するユーザ判別部101を備えており、記憶部11は、ユーザ判別部101が判別したユーザと対応付けてラストモード情報111を記憶する(ステップS30)。このようにしたので、車載装置1において複数のユーザが別々のコンテンツをそれぞれ再生した場合でも、ラストモード情報111から各ユーザのラストモードのコンテンツを容易に識別することができる。
(3)通電遮断後に車載装置1の通電が開始されると、再生可否判断部103は、ユーザ判別部101が判別したユーザに対応するラストモード情報としての使用履歴情報を抽出し(ステップS240)、この使用履歴情報に基づき、携帯端末2の接続状態がラストモードのコンテンツを再生可能であるか否かを判断する(ステップS280)。このようにしたので、携帯端末2の接続状態に応じて、ユーザごとのラストモード再生を実行するのに適切な通知をユーザに対して行うことができる。
(4)記憶部11は、図3(a)の使用履歴情報で例示したように、異なる時点で取得された複数のラストモード情報をユーザと対応付けて記憶する。通電遮断後に車載装置1の通電が開始されると、通知部104は、ユーザ判別部101が判別したユーザに対応する複数のラストモードのコンテンツをユーザに通知する(ステップS260、図6(a))。再生可否判断部103は、通知部104が通知した複数のラストモードのコンテンツのうち、ユーザが選択したラストモードのコンテンツについて、携帯端末2の接続状態が再生可能であるか否かを判断する(ステップS280)。このようにしたので、ユーザごとのラストモード再生を行うコンテンツをユーザに選択させるとともに、携帯端末2の接続状態に応じて、そのコンテンツを対象としてラストモード再生するのに適切な通知をユーザに対して行うことができる。
(5)車載装置1は、接続中の携帯端末2を識別する端末識別部102を備えており、記憶部11は、端末識別部102が識別した携帯端末2と対応付けてラストモード情報111を記憶する(ステップS50)。このようにしたので、車載装置1に複数種類の携帯端末2がそれぞれ接続されて別々のコンテンツを再生した場合でも、ラストモード情報111から各携帯端末2のラストモードのコンテンツを容易に識別することができる。
(6)通電遮断後に車載装置1の通電が開始されると、再生可否判断部103は、端末識別部102が識別した携帯端末2に対応するラストモード情報としての使用履歴情報を抽出し(ステップS250)、この使用履歴情報に基づき、携帯端末2の接続状態がラストモードのコンテンツを再生可能であるか否かを判断する(ステップS280)。このようにしたので、携帯端末2の接続状態に応じて、携帯端末2ごとのラストモード再生を実行するのに適切な通知をユーザに対して行うことができる。
(7)記憶部11は、図3(a)の使用履歴情報で例示したように、異なる時点で取得された複数のラストモード情報を携帯端末2と対応付けて記憶する。通電遮断後に車載装置1の通電が開始されると、通知部104は、端末識別部102が識別した携帯端末2に対応する複数のラストモードのコンテンツをユーザに通知する(ステップS260、図6(b))。再生可否判断部103は、通知部104が通知した複数のラストモードのコンテンツのうち、ユーザが選択したラストモードのコンテンツについて、携帯端末2の接続状態が再生可能であるか否かを判断する(ステップS280)。このようにしたので、携帯端末2ごとのラストモード再生を行うコンテンツをユーザに選択させるとともに、携帯端末2の接続状態に応じて、そのコンテンツを対象としてラストモード再生するのに適切な通知をユーザに対して行うことができる。
なお、以上説明した実施の形態を以下のように変形してもよい。
(変形例1)
車載装置1が搭載されている車両の現在地から目的地までの距離が近い場合、通知部104は、図5のステップS280でラストモードのコンテンツを再生可能ではないと判定された場合であっても、ステップS290を実行せずに接続通知画面の表示を行わないようにしてもよい。たとえば、車載装置1が車両のナビゲーション機能を有する場合には、車載装置1に搭載されたGPS受信機から車両の現在位置の情報を取得するとともに、ユーザが車載装置1に対して設定した目的地の情報を取得する。そして、これらの情報に基づき、現在地から目的地までの距離を算出し、その距離が所定値未満、たとえば4km未満の場合には、ステップS280の判定結果に関わらず、ステップS290を実行せずに接続通知画面の表示を行わないようにする。このとき、ステップS290のかわりにステップS300を実行することで、既定のコンテンツをラストモードのコンテンツとして選択し再生してもよい。あるいは、車載装置1とは別に車両に搭載されたナビゲーション装置や、車載装置1に接続された携帯端末2を含む他の情報端末などから、現在地や目的地の情報を取得してもよい。
さらに、各ユーザが車両を使用したときの日時や走行地点の履歴を行動履歴情報としてユーザごとに記録しておき、この行動履歴情報に基づき車両の目的地を推定してもよい。たとえば、毎月同じ日、毎週同じ曜日、毎日同じ時間帯など、一定の頻度で同一の走行パターンを示す行動履歴情報が得られた場合、この走行パターンに従って車両の目的地を推定することが可能である。こうして推定された目的地と現在位置との距離を算出し、その距離が所定値未満であれば、前述のようにステップS280の判定結果に関わらず、ステップS290を実行せずに接続通知画面の表示を行わないようにすればよい。
以上説明した変形例によれば、通知部104は、移動体である車両の現在地および目的地の情報を取得し、現在地から目的地までの距離が所定値未満の場合は、接続通知画面を表示せずに携帯端末2の接続に関する通知を行わない。このようにすれば、車両の走行時間が短く、そのためユーザにとってはコンテンツの再生が重要ではない状況のときに、携帯端末2の接続に関する不要な通知が行われてしまうのを防止できる。
(変形例2)
図5のステップS290で表示部12に接続通知画面を表示する前に、または接続通知画面が表示されたままの状態で、車両が走行を開始した場合、通知部104は、接続通知画面を縮小して表示してもよい。たとえば、接続通知画面の中で最低限必要な情報のみを抽出し、表示部12の画面上部に帯状に表示することができる。さらにこのとき、信号待ち等で車両が停止したタイミングで接続通知画面を元に戻して、携帯端末2の接続喚起をユーザに行ってもよい。あるいは、車両が走行を開始したら接続通知画面の表示を中断し、車両の停止タイミングで再表示するようにしてもよい。このようにすれば、車両の走行状態に応じて、ラストモード再生に必要な携帯端末2の接続喚起を適切なタイミングでユーザに行うことが可能となる。
以上説明した各実施形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを任意に組み合わせて用いてもよい。