JP7100457B2 - ブロックコポリマー、ミセル組成物、及び医薬組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、正常組織のpH環境(pH7.4)における分解が低減された、新規のpH感受性ブロックコポリマー、前記ブロックコポリマーを含むミセル組成物、及び前記ミセル組成物を含む医薬組成物を提供することを課題とする。
[1]親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含むブロックコポリマーであって、
前記親水性ポリマーセグメントと前記疎水性ポリマーセグメントとが、下記一般式(I)で表される構造を含む2価の連結基で連結されている、ブロックコポリマー。
[2]前記一般式(I)中、X1及びX2の少なくとも1つが電子吸引性基である、[1]に記載のブロックコポリマー。
[3]前記疎水性ポリマーセグメントが、アミノ酸から誘導される繰り返し単位を有する、[1]又は[2]に記載のブロックコポリマー。
[4]前記電子吸引性基がフッ素原子である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
[5][1]~[4]のいずれか一項に記載のブロックコポリマーのミセルを含む、ミセル組成物。
[6]さらに、薬物を含む、[5]に記載のミセル組成物。
[7]前記薬物が、前記ミセル内に封入されている、[6]に記載のミセル組成物。
[8]前記薬物が抗腫瘍剤である、[6]又は[7]に記載のミセル組成物。
[9][5]~[8]のいずれか一項に記載のミセル組成物を含む、医薬組成物。
[10]腫瘍を治療又は予防するための医薬組成物である、[9]に記載の医薬組成物。
1実施形態において、本発明は、親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含むブロックコポリマーであって、前記親水性ポリマーセグメントと前記疎水性ポリマーセグメントとが、下記一般式(I)で表される構造を含む2価の連結基で連結されている、ブロックコポリマーを提供する。
X1~X4における電子吸引性基には、薬学的に許容される置換基を用いる。
そのような電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
中でも、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基は、炭素素数1~5のハロゲン化アルキル基が好ましい。炭素数1~5のハロゲン化アルキル基は、炭素数1~5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。ハロゲン化アルキル基におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。ハロゲン化アルキル基は、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のハロゲン化アルキル基がさらにこのましい。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
上記の中でも、X1~X4における電子吸引性基としては、フッ素原子が最も好ましい。
なお、本実施形態のブロックポリマーにおいて、ポリマーセグメントの「親水性」及び「疎水性」は、相対的なものである。すなわち、上記(I)で表される構造を含む2価の連結基で連結されるポリマーセグメントのうち、より親水性の高いポリマーセグメントが親水性ポリマーセグメントであり、より親水性の低いポリマーセグメントが疎水性ポリマーセグメントである。ポリマーの親水性/疎水性は、例えば、logP値によって規定することができる。logP値は、オクタノール/水分配係数(Pow)の対数値であり、広範囲の化合物に対し、その親水性/疎水性を特徴づけることのできる有効なパラメータである。logP値が0をはさんでプラス側に大きくなると疎水性が増すことを意味し、マイナス側に大きくなると親水性が増すことを意味する。
親水性ポリマーセグメントの繰り返し単位数は、例えば、1個以上、5個以上、10個以上、20個以上、又は45個以上であってよい。また、親水性ポリマーセグメントの繰り返し単位数は、例えば、1000個以下、700個以下、又は450個以下であってよい。親水性ポリマーセグメントの分子質量は、例えば、1,000Da以上、2,000Da以上、又は5,000Da以上であってよい。また、親水性ポリマーセグメントの分子質量は、例えば、40,000Da以下、30,000Da以下、又は20,000Da以下であってよい。
疎水性ポリマーセグメントの繰り返し単位数は、例えば、5個以上、10個以上、又は20個以上であってよい。また、疎水性ポリマーセグメントの繰り返し単位数は、例えば、200個以下、100個以下、又は60個以下であってよい。疎水性ポリマーセグメントの分子質量は、例えば、1,000Da以上、又は2,000Da以上であってよい。また、疎水性ポリマーセグメントの分子質量は、例えば、30,000Da以下、16,000Da以下、又は10,000Da以下であってよい。
また、疎水性ポリマーセグメントは、例えば、アルキル基側鎖又はアラルキル基側鎖を有するアミノ酸から誘導される繰り返し単位を含んでいてもよい。アルキル基側鎖を有するアミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンが挙げられる。また、アラルキル基側鎖を有するアミノ酸としては、フェニルアラニンが挙げられる。2以上のアルキル基側鎖アミノ酸及び/又はアラルキル基側鎖アミノ酸から誘導される繰り返し単位を有する場合、それらの側鎖は同一であってもよく、異なっていてもよい。疎水性ポリマーセグメントの全繰り返し単位に対するアルキル基側鎖アミノ酸又はアラルキル基側鎖アミノ酸から誘導される繰り返し単位の比率は、特に限定されず、例えば、20%以上、35%以上、40%以上、50%以上、80%以上、95%以上、99%以上、又は100%であってよい。
一般式(II)及び(III)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、1価の基である。R1及びR2における1価の基は、特に限定されないが、本実施形態のブロックコポリマーのミセル形成を妨げないものであることが好ましい。R1及びR2における1価の基の具体例としては、例えば、水素原子、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールC1-3オキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、C1-6アルコキシカルボニル基、C2-7アシルアミド基、トリ-C1-6アルキルシロキシ基、シロキシ基、シリルアミノ基、飽和若しくは不飽和のC1~C29脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、水酸基、飽和若しくは不飽和のC1~C30脂肪族オキシ基、アリール-低級アルキルオキシ基等が挙げられる。
一般式(II)及び(III)中、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。L1及びL2における2価の連結基は、特に限定されないが、本実施形態のブロックコポリマーのミセル形成を妨げないものであることが好ましい。L1及びL2における2価の連結基の具体例としては、例えば、-NH-、-Z-NH-、-NH-Z-、-Z-、-Z-S-Z-NH-、-NH-Z-S-Z-、-CO-Z-CO-、-Z-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-Z-、-NH-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-NH-、-Z-NH-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-NH-Z-、-Z-S-Z-NH-、-Z-NH-Z-S-、-NH-CO-、-CO-NH-、-Z-NH-CO-、-CO-NH-Z-、-Z-NH-CO-Z-、-Z-CO-NH-Z-(Zはそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキレン基である。)等が挙げられる。
一般式(II)及び(III)中、P1は親水性ポリマーセグメントであり、P2は疎水性ポリマーセグメントである。P1における親水性ポリマーセグメントとしては、上記に挙げたものが挙げられる。P2における疎水性ポリマーセグメントとしては、上記に挙げたものが挙げられる。
一般式(II-1)及び(III-1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、1価の基である。R1の具体例としては、C1-6アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールC1-3オキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、C1-6アルコキシカルボニル基、C2-7アシルアミド基、トリ-C1-6アルキルシロキシ基、シロキシ基、シリルアミノ基等が挙げられる。中でも、R1としては、水素原子、C1-6アルコキシ基が好ましく、水素原子又はメトキシ基がより好ましい。また、R2の具体例としては、水素原子、飽和若しくは不飽和のC1~C29脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。中でも、R2としては、水素原子が好ましい。
一般式(II-1)及び(III-1)中、L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。L1の具体例としては、-NH-、-Z-NH-、-NH-Z-、-Z-、-Z-S-Z-NH-、-NH-Z-S-Z-、-CO-Z-CO-、-Z-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-Z-、-NH-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-NH-、-Z-NH-CO-Z-CO-、-CO-Z-CO-NH-Z-、-Z-S-Z-NH-、-Z-NH-Z-S-、-NH-CO-、-CO-NH-、-Z-NH-CO-、-CO-NH-Z-、-Z-NH-CO-Z-、-Z-CO-NH-Z-(Zはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキレン基である。)等が挙げられる。L2の具体例としては、-NH-、-Z-NH-、-NH-Z-、-Z-、-Z-S-Z-NH-、-NH-Z-S-Z-(Zはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキレン基である。)等が挙げられる。
一般式(II-1)及び(III-1)中、P1は親水性ポリマーセグメントである。P1における親水性ポリマーセグメントとしては、上記に挙げたものが挙げられる。
一般式(II-1)及び(III-1)中、R3は、アミノ酸の側鎖又はその誘導体を表す。m個のR3は、各々独立に選択することができ、全て同じであってもよく、複数種類からなるものであってもよい。R3の具体例としては、アスパラギン酸の側鎖(カルボキシメチル基)、グルタミン酸の側鎖(カルボキシエチル基)、リジンの側鎖(4-アミノブチル基)、それらの誘導体(ベンジルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルエチル基など)等が挙げられる。また、R3は、アラニンの側鎖(メチル基)、バリンの側鎖(イソプロピル基)、ロイシンの側鎖(イソブチル基)、イソロイシンの側鎖(sec-ブチル基)、フェニルアラニンの側鎖(ベンジル基)、オルニチンの側鎖(3-アミノプロピル基)、セリンの側鎖(ヒドロキシメチル基)、又はヒスチジンの側鎖(イミダゾイルメチル基)であってもよい。
一般式(II-1)及び(III-1)中、mは、5以上の整数を表す。mは、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。mの上限は特に限定されないが、例えば、200以下、100以下、又は60以下が挙げられる。
一般式(II-2)及び(III-2)中、R1~R3、並びにm及びnは、一般式(II-1)及び(III-1)におけるR1~R3、並びにm及びnと同様である。
一般式(II-2)及び(III-2)中、L1’及びL2’は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基を表す。L1’及びL2’におけるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。L1’及びL2’は、炭素数1~3のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基であることがより好ましい。
一般式(II-3)及び(III-3)中、R1~R3、P1、及びmは、一般式(III-1)及び(III-1)におけるR1~R3、P1、及びmと同様である。
一般式(II-3)及び(III-3)中、L1’及びL2’は、一般式(II-2)及び一般式(III-2)におけるL1’及びL2’と同様である。
一般式(II-3)及び(III-3)中、nは、1以上の整数を表す。nは、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、45以上であることが特に好ましい。nの上限は特に限定されないが、例えば、700以下、又は450以下が挙げられる。
疎水性ポリマーセグメントP2において、繰り返し単位(P2-1)又は(P2-4)で表される繰り返し単位の個数のは特に限定されないが、例えば、200個以下、100個以下、又は60個以下が挙げられる。疎水性ポリマーセグメントP2が、繰り返し単位(P2-1)又は(P2-4)を2個以上含む場合、各繰り返し単位におけるR3は、各々独立に選択することができ、全て同じであってもよく、複数種類からなるものであってもよい。
疎水性ポリマーセグメントP2が繰り返し単位(P2-1)又は(P2-4)を複数含む場合、各繰り返し単位におけるR3のうち、50%以上が炭素数1~8のアルキル基又はアラルキル基を含むアミノ酸側鎖又はその誘導体であることが好ましい。前記割合は、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、又は100%であってもよい。
疎水性ポリマーセグメントP2において、繰り返し単位(P2-2)又は(P2-5)で表される繰り返し単位の個数のは特に限定されないが、例えば、200個以下、100個以下、又は60個以下が挙げられる。疎水性ポリマーセグメントP2が、一般式(P2-2)又は(P2-5)で表される繰り返し単位を2個以上含む場合、各繰り返し単位におけるR5は、各々独立に選択することができ、全て同じであってもよく、複数種類からなるものであってもよい。同様に、各繰り返し単位におけるR4及びyも、各々独立に選択することができる。
疎水性ポリマーセグメントP2において、繰り返し単位(P2-3)又は(P2-6)で表される繰り返し単位の個数のは特に限定されないが、例えば、200個以下、100個以下、又は60個以下が挙げられる。疎水性ポリマーセグメントP2が、一般式(P2-3)又は(P2-6)で表される繰り返し単位を2個以上含む場合、各繰り返し単位におけるR7は、各々独立に選択することができ、全て同じであってもよく、複数種類からなるものであってもよい。同様に、各繰り返し単位におけるR6も、各々独立に選択することができる。
上記一般式(III)で表されるブロックコポリマーにおいて、疎水性ポリマーセグメントP2が、繰り返し単位(P2-5)及び(P2-6)のいずれかを有する場合、R5又はR7が水素原子である繰り返し単位は、繰り返し単位(P2-5)及び(P2-6)の合計の75%以下である。
疎水性ポリマーセグメントP2が有する繰り返し単位全体に対する繰り返し単位(P2-2)の割合は、例えば、10~100%である。好ましくは、20~100%、35~100%、40~100%、50~100%、80~100%、又は90~100%である。
疎水性ポリマーセグメントP2が有する繰り返し単位全体に対する繰り返し単位(P2-3)の割合は、例えば、0~90%である。好ましくは、0~80%、0~65%、0~50%、0~20%、又は0~10%ある。
疎水性ポリマーセグメントP2が有する繰り返し単位全体に対する繰り返し単位(P2-5)の割合は、例えば、10~100%である。好ましくは、20~100%、35~100%、40~100%、50~100%、80~100%、又は90~100%である。
疎水性ポリマーセグメントP2が有する繰り返し単位全体に対する繰り返し単位(P2-6)の割合は、例えば、0~90%である。好ましくは、0~80%、0~65%、0~50%、0~20%、又は0~10%ある。
本実施形態のブロックコポリマーは、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、親水性ポリマーセグメントを含む化合物、及び疎水性ポリマーセグメントを含む化合物をそれぞれ合成し、必要に応じて分子質量分布を狭くするように精製する。その後親水性ポリマーセグメントを含む化合物又は疎水性ポリマーセグメントを含む化合物を、ホウ素原子のメタ位の少なくとも1つが電子吸引性基で置換されたフェニルボロン酸誘導体とカップリングさせる。次に、前記フェニルボロン酸誘導体とカップリングさせなかったポリマーセグメントを含む化合物を、カテコール誘導体とカップリングさせる。次に、一方のポリマーセグメントを含む化合物とカップリングさせたフェニルボロン酸誘導体と、他方のポリマーセグメントを含む化合物とカップリングさせたカテコール誘導体との、エステル化反応を行うことにより、本実施形態のブロックコポリマーを製造することができる。
あるいは、親水性ポリマーセグメントを含む化合物をカテコール誘導体とカップリングさせ、次いでホウ素原子のメタ位の少なくとも1つが電子吸引性基で置換されたフェニルボロン酸誘導体を反応させて、フェニルボロン酸とカテコールとのエステル化反応を行った後、N-カルボキシアミノ酸無水物又はN-カルボキシアミノ酸誘導体無水物を用いて、ポリアミノ酸又はその誘導体の合成を行ってもよい。
次に、化合物(3)とカテコール誘導体(4)とのエステル化反応(B)を行い、化合物(5)を得る。反応(B)は、例えば、トルエン溶媒を用いて行うことができる。
次に、化合物(5)のアミノ基を起点として、N-カルボキシアミノ酸(誘導体)無水物の重合反応(C)を行うことにより、化合物(7)(一般式(II-2)で表されるブロックコポリマー)を得ることができる。反応(C)は、例えば、DMF、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒を用いて行うことができる。反応温度としては、例えば、25~40℃、反応時間としては、例えば、1~5日が挙げられる。
次に、化合物(9)とフェニルボロン酸誘導体(10)とのエステル化反応(E)を行い、化合物(11)を得る。反応(E)は、例えば、トルエン溶媒を用いて行うことができる。
次に、化合物(11)のアミノ基を起点として、N-カルボキシアミノ酸(誘導体)無水物の重合反応(F)を行うことにより、化合物(12)(一般式(III-2)で表されるブロックコポリマー)を得ることができる。反応(F)は、例えば、DMF、ジクロロメタン、THF等の溶媒を用いて行うことができる。反応温度としては、例えば、25~40℃、反応時間としては、例えば、1~5日が挙げられる。
本実施形態のブロックコポリマーでは、フェニルボロン酸のメタ位の少なくとも1つに電気吸引性基を有することにより、正常組織におけるpH環境(pH7.4程度)下では、フェニルボロン酸カテコールエステルの開裂が生じない。一方、腫瘍組織等の低pH環境(pH6.2~7.2程度)下では、フェニルボロン酸カテコールエステルの開裂が生じる。そのため、腫瘍組織特異的に、親水性ポリマーセグメントと、疎水性ポリマーセグメントとを分離させることができる。これにより、腫瘍細胞に対する、本実施形態のブロックコポリマーの取り込みを促進させることができる。
1実施形態において、本発明は、上記実施形態のブロックコポリマー(以下、「本ブロックコポリマー」という。)のミセルを含むミセル組成物を提供する。
一方、本ブロックコポリマーを親水性溶媒に溶解又は懸濁し、当該溶解液又は懸濁液を親油性溶媒に分散させると、親水性ポリマーセグメントからなるコアと、疎水性ポリマーセグメントからなるシェルとを有するミセルを形成する(以下、「油中水型ミセル」という。)。当該ミセルにおいて、本ブロックコポリマーは、親水性ポリマーセグメントを内側に向けるとともに、疎水性ポリマーセグメントを外側に向けた状態で、放射状に配列している。
本実施形態のミセル組成物が含むミセルは、水中油型ミセル及び油中水型ミセルのいずれであってもよいが、水中油型ミセルであることが好ましい。
また、薬物が荷電性化合物である場合には、本ブロックコポリマーの疎水性ポリマーセグメントに、当該薬物と逆の電荷を有する側鎖を導入し、静電相互作用を利用して、水中油型ミセル内に薬物を封入してもよい。
また、本ブロックコポリマーの疎水性ポリマーセグメントに、薬物を結合可能な官能基を導入し、薬物を当該官能基に結合させて、本ブロックコポリマーと薬物との薬物複合体作製し、当該薬物複合体により水中油型ミセルを形成してもよい。疎水性ポリマーセグメントに導入する官能基は、特に限定されないが、例えば、芳香族若しくは脂肪族のケトン基、又は芳香族若しくは脂肪族のアルデヒド基等が挙げられる。
これらの中でも、薬物は、抗腫瘍剤が好ましい。本ブロックコポリマーの水中油型ミセルは、正常組織のpH環境(pH7.4程度)では安定であるが、腫瘍組織等の低pH環境(pH6.2~7.2程度)下において、親水性ポリマーセグメントが脱離する。そのため、本ブロックコポリマーのミセルに抗腫瘍剤を封入して、がん患者に投与した場合、腫瘍組織に送達されるまで、抗腫瘍剤はミセル内に安定して存在する。ミセルが腫瘍組織に到達すると、腫瘍組織の低pHに応答して、親水性ポリマーセグメントが脱離し、抗腫瘍剤の細胞内への取り込みが促進されるようになる。したがって、腫瘍細胞特異的に、抗腫瘍剤を送達することができる。
抗腫瘍剤としては、特に限定されないが、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド;OSU-03012などのCOX-2選択的非ステロイド性抗炎症剤;(+)-JQ1などのBETブロモドメイン阻害剤;K252Aなどのスタウロスポリン類縁体;ヒドララジンなどの脱メチル化剤;ベンダムスチン及びクロラムブシルなどのアルキル化剤;AZD39などのファシネルトランスフェラーゼ阻害剤;フルルビプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤等を挙げることができる。また、疎水性抗腫瘍剤としては、例えば、パクリタキセル、トポテカン、カンプトテシン、シスプラチン、塩酸ダウノルビシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、ドセタキセル、硫酸ビンクレスチン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。また、薬剤は、siRNA、アンチセンスRNAなどの抗腫瘍性核酸;抗腫瘍性ペプチド等であってもよい。
また、本実施形態のミセル組成物は、乳鉢等を用いて乾燥状態の本ブロックコポリマーを均一の粉体とし、そこへ粉末の薬物又は少量の溶液に溶解した薬物を添加した後に穏やかに混合し、適切な緩衝液を添加して撹拌し、氷冷しながら超音波処理することによっても行うことができる。
本実施形態のミセル組成物は、適切な緩衝液を本ブロックコポリマーに添加し、上記と同様に超音波処理して空ミセルを調製し、そこへ同じ緩衝液に溶解した薬物、又は当該緩衝液で希釈した薬物を添加し、穏やかに撹拌するか静置することによっても行うことができる。
上記の緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸緩衝液、Tris緩衝液、TAPS緩衝液、MES緩衝液、HEPES緩衝液等が挙げられる。
1実施形態において、本発明は、上記実施形態のミセル組成物を含む医薬組成物を提供する。
本実施形態の医薬組成物は、単回投与又は複数回投与を行うことが可能であり、その投与期間及び間隔は、薬物の種類、疾患の種類及び状態等、投与経路、投与対象の年齢、体重及び性別等によって、適宜選択することができる。
本実施形態の医薬組成物の投与量は、薬物の種類、疾患の種類及び状態等、投与経路、投与対象の年齢、体重及び性別等によって、適宜選択することができる。本実施形態の医薬組成物の投与量は、医薬組成物に含まれる薬物の治療的有効量とすることができ、例えば、1回につき体重1kgあたり0.01~1000mg程度、0.1~500mg程度、0.1~100mg程度等とすることができる。
本実施形態の医薬組成物の投与間隔は、薬物の種類、疾患の種類及び状態等、投与経路及び投与量、投与対象の年齢、体重及び性別等によって、適宜選択することができる。本実施形態の医薬組成物の投与間隔は、例えば、1日1~3回、3日毎、1週間毎等とすることができる。
別の態様において、本発明は、腫瘍を治療又は予防するための医薬組成物の製造のための、本ブロックコポリマー及び抗腫瘍剤の使用を提供する。
以下の手順に従って、ポリエチレングリコール-フルオロフェニルボロン酸カテコールエステル-ポリアスパラギン酸(PEG-FPBA-CAT-P(Asp))を合成した。PEG-FPBA-CAT-P(Asp)の合成手順の概略を図2に示す。
ポリエチレングリコール(PEG)-NH2(1.55g、0.129mmol、1Eq.)及びトリエチルアミン(TEA;0.05mL、0.375.mmol、3Eq.)を、不活性雰囲気下で、75mLの脱水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に完全に溶解するまで攪拌した。別のフラスコで、4-カルボキシ-3-フルオロフェニルボロン酸(FPBA;0.23g、1.25mmol、10Eq.)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS;0.216g、1.88mmol、15Eq.)及びN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;0.386g、1.87mmol、15Eq.)を、75mLの乾燥DMFに溶解し、不活性雰囲気下で、10分間攪拌した。これを、前記PEG-NH2のDMF溶液と混合した。不活性雰囲気下、室温で、前記混合物を一晩攪拌した。生成した修飾PEGをジエチルエーテルで沈殿させ、得られた沈殿を、酸性pHの水で、1日透析した。ポリマーを回収するために、透析溶液を凍結乾燥した。最終産物は、白色粉末であり、収率は97%であった。PEG-FPBAの割合を、D2Oを用いたH1-NMR解析により求めた。1H-NMR(D2O,400MHz):δ(ppm)7.7-7.56(m,phenyl 3H),3.71(m,PEG),3.40(s,CH3)
上上記で合成したPEG-FPBA(0.2g、0.0165mmol、1Eq.)及びドーパミン塩酸塩(5.8mg、0.0306mmol、1.85Eq.)を、それぞれ、2つの異なるフラスコに入れたベンゼンを用いて凍結乾燥し、微量水分を除去した。その後、不活性雰囲気下で20mLのトルエンにPEG-FPBAを溶解し、不活性雰囲気下でドーパミンを含むフラスコに移した。前記混合溶液を1時間攪拌した。その後、トルエンを減圧化で除去した。次いで、過剰なドーパミンを除去するために、生成物を、あらかじめアルゴンガスを吹き込んだメタノールで、1日透析した。その後、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去した。最後に、生成ポリマーを、ベンゼンを用いて凍結乾燥し、白色粉末を得た(収率85%)。PEG-FPBA-CATの割合を、D2Oを用いたH1-NMR解析により求めた。PEGに対するドーパミンの付加率は、ドーパミンのフェニル基とPEGのエチレン単位との比から、約92%と確認された。1H NMR(D2O,400MHz):δ(ppm)7.69-7.27(m,FPBA 3H),6.9-6.65(m,catechol 3H)3.71(m,PEG),3.39(s,CH3),3.23(t,CH2,2H),2.87(t,CH2,2H)
PEG-FPBA-CAT-ポリ(β-ベンジル-L-アスパラギン酸)(PEG-FPBA-CAT-PBLA)を、PEG-FPBA-CATをイニシエーターとして用いたβ-ベンジル-L-アスパラギン酸-N-カルボン酸無水物(BLA-NCA)の開環重合により合成した。まず、BLA-NCA(0.17g、0.68mmol、47Eq.)を、不活性雰囲気下で、DMF(1mL)に溶解した。脱水CH2Cl2(4mL)溶液にPEG-FPBA-CAT(0.172g、0.014mmol、1Eq.)を添加し、35℃で3日間攪拌した。生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、真乾燥した(0.177g、収率64%)。ポリマーにおけるBLA単位数は、ジメチルスルホキシドーd6(DMSO-d6)を用いたH1-NMR解析により求めた。ポリマーにおけるBLA単位数は、PEGにおけるエチレン単位(-OCH2CH2-,δ=3.5ppm)と、PBLAにおけるフェニル基(C6H5-,δ=7.3ppm)との比から求めた。
上記のように合成したPEG-FPBA-CAT-PBLA(0.16g)をNaOH水溶液(0.5M、3.2mL)に添加し、一晩攪拌することにより脱保護し、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)を調製した。最後に、生成物を、塩基性pHの水で透析した。D2Oを用いたH1-NMRにより、完全な脱保護が確認された。
PEG-FPBA-CAT-P(Asp)を200μg/mLとなるようにPBS(10mM、pH=7.4、150mM NaCl)に溶解し、一晩攪拌した。この濃度は、λ=210nmで吸光度約1に達することができる。次いで、分析用超遠心システム(Berkman Coulter Optima XL-I Analytical Ultracentrifugation)を用いて、超遠心分析を行った(一晩、λ=210nm)。
分光蛍光光度計(JASCO FP-6500)を用いて、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)の蛍光スペクトル解析を行った。PEG-FPBA-CAT-P(Asp)(1mg/mL)を、異なるpH(pH7.4、pH7.14、pH6.88pH6.82、pH6.5)又は異なるD(+)-グルコース濃度(0~100mM)のPBSバッファー(10mM、150mM NaCl)に溶解した。次いで、各サンプルを一晩攪拌し、蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルは、302nmの励起光(バンド幅=5nm)を用い、25℃で測定した。放射スキャンは、分光蛍光光度計を用いて、310~480nm(バンド幅=6nm)の範囲で行った。
図4Bは、異なるpHのHEPSバッファー中で、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)の蛍光スペクトルを測定した結果である。バッファーのpHが低くなるほど、フェニルボロン酸カテコールエステルのピークが小さくなった。pH6.82以下では、フェニルボロン酸カテコールエステルのピークは、ほとんど検出されなかった。この結果は、pHの低下により、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)中のフェニルボロン酸カテコールエステルが分解することを示す。なお、図4Dは、図4Bにおける結果を、pHとPEG-FPBA-CAT-P(Asp)の残存量の関係として示したグラフである。
図4Cは、異なる濃度のグルコースを含むHEPSバッファー中で、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)の蛍光スペクトルを測定した結果である。図4Cには、グルコースを含まないHEPSバッファー中で、PEG-FPBAの蛍光スペクトルを測定した結果も示している。グルコース濃度が高くなるほど、フェニルボロン酸カテコールエステルのピークが小さくなった。この結果は、グルコース濃度の上昇により、PEG-FPBA-CAT-P(Asp)中のフェニルボロン酸カテコールエステルが分解することを示す。なお、図4Eは、図4Cにおける結果に、さらにグルコース濃度10mM及び30mMにおける結果を加えて、グルコース濃度とPEG-FPBA-CAT-P(Asp)の残存量の関係として示したグラフである。
(PEG-FPBA-CAT-PBLAミセルの調整)
PEG-FPBA-CAT-PBLA(20mg)を0.5mLのCH2Cl2に溶解した。次いで、この溶液を、PBS(pH=8、10mM、150mM NaCl)に滴加した。混合溶液を24時間混合して有機溶媒を蒸発させた後、ろ過(0.45μm)した。PEG-FPBA-CAT-PBLAの最終濃度は、1.4mg/mLであった。
上記のようにPEG-FPBA-CAT-PBLAミセルを調製し、サイズ分布及びZ平均粒子径を、動的光散乱(DLS)手法により測定した。測定は、入射ビームとして緑色レーザー(532nm)を用い、173°の検出角度で、Zetasizer nano ZS(Malvern instruments,UK)を使用して、25℃の温度条件で行った。
5mMのグルコースを含むPBS(pH7.4)中で、PEG-FPBA-CAT-PBLAミセルをインキュベートする前と24時間インキュベートした後に、ミセルのサイズ分布を測定した。
5mMグルコースを含むPBS(pH7.4、pH7、又はpH6.5)中で、PEG-FPBA-CAT-PBLAミセルのZ平均粒子径を経時的に測定した。
PEG-NH2に替えてN3-PEG-NH2を用いたこと以外は、上記合成例1(PEG-FPBAの合成)と同様の操作により、N3-PEG-FPBAを得た。次いで、DBCO-ローダミン110(1mg、1Eq.)及びN3-PEG-FPBA(13.6mg、1Eq.)を、1mLのDMF中で混合し、-80℃で一晩凍結した。4℃で解凍した後、標識ポリマー(Rhod-PEG-FPBA)を酸性pHの水で透析して精製し、凍結乾燥した。これをN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)に10g/Lとなるように溶解し、ストック溶液とした。
PEG-FPBA-CATの替わりにN3-PEG-NH2をイニシエーターとして用いたことを以外は、上記合成例1(PEG-FPBA-CAT-PBLAの合成)と同様の操作により、BLA-NCAの開環重合を行い、N3-PEG-PBLAを合成した。N3-PEG-PBLA(21.4mg、1Eq.)をAlexa545(1mg、1E1.)で標識し、標識ポリマー(Alexa545-PEG-PBLA)を得た。Alexa545-PEG-PBLAは、カラム(Sephadex L20,eluent:DMF)精製を行った。これをDMACに4g/Lとなるように溶解し、ストック溶液とした。
(マウスメラノーマ細胞への取り込み評価)
B6-F10メラノーマ細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%抗生物質(ペニシリン及びスプレぷトマイシン)を含むRPMI1640培地(pH7.4)(Sigma Chemical Co., Inc.)中で、5%CO2を含む加湿雰囲気下、37℃で維持した。B16-F10細胞は、35mmガラス皿(Asahi Techno glass)に入れたRPMI培地(pH6.5又はpH7.4)で、1×105細胞を培養した。24時間培養後、50μLの二重標識ミセルを添加し、6時間培養した。細胞をHoechstで標識し、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM 510 META)を用いて撮像した。Hoechstの励起用に2-photon Mai-Taiレーザーを用い、ミセル内のAlexa545の励起用にHe-Neレーザーを用いた。
pH6.5では、pH7.4と比較して、二重標識ミセルの細胞内への取り込み量が増加することが確認された。
血液循環中の二重標識PEG-FPBA-CAT-PBLAミセルの安定性を、生体内リアルタイム共焦点レーザー顕微鏡(IVRTCLSM)を用いて、マウス生体内でFRETシグナルを検出することにより評価した。全ての画像の撮像は、20倍対物レンズを備えた直立ECLIPSE FN1 (NIKON)、640nmダイオードレーザー及び488/525-50nmバンドパス励起/放射フィルターを装備したNIKON A1R共焦点レーザー顕微鏡システムを用いて行った。
Univenter 400 Anesthesia unit(Univentor Ltd., Zejtun, Malta)を用いて、C57BL6/Jマウス(雌、6週齢)を2.0~3.0%のイソフルラン(Ablott JapanCo., Ltd., Tokyo Japan)で麻酔した。次いで、マウスに、1.8mg/mLのAlexa545-PEG-PBLA及び0.2mg/mLのRhod-PEG-FPBA-CAT-PBLAからなる二重標識ミセルを尾静脈カテーテルにより投与した(200μL;ミセル2mg/mL)。二重標識ミセルの血液循環及び安定性を評価するために、1滴の液浸油を滴下してカバースリップで耳たぶを固定し、耳たぶ真皮を観察した。FRET及びAlexa545のシグナルデータは、8時間にわたって、10分毎にスナップショットをビデオモードで撮像することにより取得した。FRETシグナルの検出は、励起光488nm、放出光570nmで行った。
FRETシグナル及びAlexa545シグナルの強度は、同様の経時変化を示した。この結果は、正常組織では、ローダミン110標識PEGの脱離が生じないことを示す。
C57BL6/Jマウス(雌、6週齢)に、B16F10マウスメラノーマ細胞(100,000/100μL/マウス)を皮下接種した。1週間後、上記と同様に麻酔した後、マウスに二重標識ミセルを尾静脈カテーテルにより投与した(200μL;ミセル2mg/mL)。二重標識ミセルの腫瘍血管系での安定性及び腫瘍環境での分解を評価するために、IVRCLSにより腫瘍組織を観察した。FRET及びAlexa545のシグナルデータは、4時間にわたって、30分毎にスナップショットをビデオモードで撮像することにより取得した。FRETシグナルの検出は、励起光488nm、放出光570nmで行った。
ALEXA545シグナルは経過時間とともに上昇したが、FRETシグナルは経過時間とともに減少した。この結果は、腫瘍組織では、ローダミン110標識PEGの脱離が生じていることを示す。
FPBA-CATエステル構造が、ローダミン110標識PEGの脱離に寄与していることを確認するために、二重標識PEG-PBLAミセルを用いて、上記と同様の試験を行った。二重標識PEG-PBLAミセルは、PEG-FPBA-CAT-PBLAに替えてPEG-PBLAを用いたこと以外は、実験例4と同様の方法により調製した。
及び<腫瘍組織におけるローダミン110標識PEGの脱離評価>と同様の方法で、FRETシグナルを観察した。
Claims (10)
- 前記一般式(I)中、X1及びX2の少なくとも1つが電子吸引性基である、請求項1に記載のブロックコポリマー。
- 前記疎水性ポリマーセグメントが、アミノ酸から誘導される繰り返し単位を有する、請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
- 前記電子吸引性基がフッ素原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロックコポリマー。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のブロックコポリマーのミセルを含む、ミセル組成物。
- さらに、薬物を含む、請求項5に記載のミセル組成物。
- 前記薬物が、前記ミセル内に封入されている、請求項6に記載のミセル組成物。
- 前記薬物が抗腫瘍剤である、請求項6又は7に記載のミセル組成物。
- 請求項5~8のいずれか一項に記載のミセル組成物を含む、医薬組成物。
- 腫瘍を治療又は予防するための医薬組成物である、請求項9に記載の医薬組成物。
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