以下、本発明に係るシステムの実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
先ず、本実施形態に係るシステムの一例としての運動モニタリングシステムの実施形態の手法について説明する。以下では、運動モニタリングシステムに用いられる運動モニタリング装置(検出装置)として、例えば、ユーザーの手首に装着される脈波センサーや体動センサーを備えたウェアラブル機器(リスト機器)を例示して説明する。
運動モニタリングシステムに用いられる運動モニタリング装置としてのウェアラブル機器には、ユーザーの生体情報としての脈波情報を取得する脈波センサーやユーザーの動作情報(体動情報)を取得する体動センサーが備えられている。さらに、ウェアラブル機器には、ユーザーの位置情報を取得する全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)などと呼ばれる位置情報衛星を用いた位置測位システムの一例としてのGPS(Global Positioning System)が備えられている。なお、ウェアラブル機器は、頸部や足首等、ユーザーの他の部位に装着されるウェアラブル機器としてもよい。
脈波センサーは、脈拍数などの脈波情報を取得することが可能である。脈波センサーとしては、例えば、光電センサー(光センサー)が用いられる。この場合には、生体に対して照射された光の反射光又は透過光を当該光電センサーで検出する手法等が考えられる。血管内の血流量に応じて、照射された光の生体での吸収量、反射量が異なるため、光電センサーで検出したセンサー情報は、血流量等に対応した信号となり、当該信号を解析することで拍動に関する情報を取得することができる。ただし、脈波センサーは、光電センサーに限定されず、心電計や超音波センサー等、他のセンサーを用いてもよい。
体動センサーは、ユーザーの体動を検出するセンサーである。体動センサーとしては、加速度センサーや角速度センサー、あるいは方位センサー(地磁気センサー)や気圧センサー(高度センサー)等を用いることが考えられるが、他のセンサーを用いてもよい。
GPSは、全地球測位システムとも呼ばれ、複数の衛星信号に基づいて地球上の現在位置を測定するための衛星測位システムである。GPSは、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行いユーザーの位置情報を取得する機能、及び時計機能における時刻修正機能を備えている。
2.運動モニタリングシステム
次に、図1~図5を参照して、本実施形態に係るシステムの一例としての運動モニタリングシステムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るシステムの一例としての運動モニタリングシステム100の概要を示す概略構成図である。図2は、運動モニタリングシステム100に用いられるウェアラブル機器200の概略構成を示す外観図である。図3は、ウェアラブル機器200の装着例を示す外観図である。図4は、ウェアラブル機器200の構成を示す断面図である。図5は、運動モニタリングシステム100の構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る運動モニタリングシステム100は、図1に示すように、生体センサー(光電センサー)としての脈波センサーやGPSが備えられた検出装置としてのウェアラブル機器200と、ウェアラブル機器200とデータ通信可能な情報処理装置の一例としての携帯機器300と、携帯機器300とネットワークNEを介して接続される情報処理装置の他の一例としてのサーバー400と、を含む。
ウェアラブル機器200に備えられた全地球的航法衛星システムとしてのGPS160(図5参照)は、測位衛星としてのGPS衛星8からの電波(衛星信号)を受信して内部時刻を修正したり、測位計算を行って位置情報を取得したりする機能を備えている。
GPS衛星8は、地球の上空において、所定の軌道上を周回する位置情報衛星の一例である。GPS衛星8は、航法メッセージが重畳された高周波の電波、例えば、周波数が1.57542GHzの電波(L1波)を地上に送信している。以降の説明では、航法メッセージが重畳された、例えば、1.57542GHzの電波を衛星信号という。衛星信号は、右旋偏波の円偏波である。
現在、複数のGPS衛星8(図1においては、4個のみを図示)が存在している。衛星信号がどのGPS衛星8から送信されたかを識別するために、各GPS衛星8は、C/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1、又は-1のいずれかであり、ランダムパターンのように見える。したがって、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。このようにして、衛星信号がどのGPS衛星8から送信されたかを識別する衛星番号を取得することができる。
GPS衛星8は、原子時計を搭載している。衛星信号には、原子時計で計時された極めて正確なGPS時刻情報が含まれている。地上のコントロールセグメントにより、各GPS衛星8に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されている。衛星信号には、その時刻誤差を補正するための時刻補正パラメーターも含まれている。ウェアラブル機器200は、1つのGPS衛星8から送信された衛星信号(電波)を受信し、その中に含まれるGPS衛星8の時刻情報であるGPS時刻情報と時刻補正パラメーターとを使用して時刻情報を取得することができる。
衛星信号には、GPS衛星8の軌道上の位置を示す軌道情報(衛星軌道情報)やGPS衛星8とウェアラブル機器200との擬似距離を取得可能なデータも含まれている。なお、衛星信号から取得される擬似距離、衛星信号の周波数情報、衛星番号、及び衛星時刻情報(GPS時刻情報、時刻補正パラメーター)を、衛星信号の観測データ(以下、「観測データ」)と呼称する。
ウェアラブル機器200は、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、ウェアラブル機器200の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、ウェアラブル機器200の三次元の位置を特定するためのx、y、zパラメーターに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、ウェアラブル機器200は、例えば、三つ以上のGPS衛星8からそれぞれ送信された衛星信号(電波)を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行い、現在地の測定位置情報(位置情報、速度情報)を取得することができる。ウェアラブル機器200は、ユーザーの運動中に測定された位置情報である測定位置情報を計測する。
携帯機器300は、例えば、スマートフォンやタブレット型の端末装置などで構成することができる。携帯機器300は、光電センサーである生体センサーとしての脈波センサーが用いられたウェアラブル機器200と、例えば、Bluetooth(登録商標)通信などを例示することができる近距離無線通信や有線通信(不図示)等によって接続されている。
なお、本実施形態におけるウェアラブル機器200及び携帯機器300は、Bluetoothの機能を有しており、携帯機器300とウェアラブル機器200とは、Bluetooth通信によって接続されている。Bluetooth通信は、2.4GHz帯を複数の周波数チャネルに分け、利用する周波数をランダムに変える周波数ホッピングを行いながら、半径10~100m程度の範囲のBluetooth搭載機器間の無線通信を行うことができる。指向性の少ない、簡易なデジタル無線通信としてモバイル通信に好適なBluetooth通信によって、ウェアラブル機器200と携帯機器300との接続を好適に行うことができる。
また、本実施形態のBluetooth通信は、Bluetooth Low Energy(Bluetooth4.0ともいう)による通信を適用している。Bluetooth Low Energy(以下、BLEという)は、2.4GHz帯の無線を用いた近距離無線通信の規格であり、省電力性が重視されている。BLEでは、ホスト側とデバイス側とで、GATT(Generic ATTribute)というプロファイルで通信を行う。このような、BLEを適用した通信を行うことにより、従来のバージョンに比べ大幅に省電力化することが可能となり、ウェアラブル機器200の使用可能時間を長くすることが可能となる。
また、携帯機器300は、ネットワークNEを介してPC(Personal Computer)やサーバーシステム等のサーバー400と接続されることができる。ここでのネットワークNEは、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、近距離無線通信等、種々のネットワークNEを利用できる。この場合、サーバー400は、ウェアラブル機器200で計測された脈波情報や体動情報を、携帯機器300からネットワークNEを介して受信し、記憶する処理記憶部として実現される。
なお、ウェアラブル機器200は、携帯機器300との通信が可能であればよく、直接的にネットワークNEに接続する必要がない。よって、ウェアラブル機器200の構成を簡略化することが可能になる。ただし、運動モニタリングシステム100において、携帯機器300を省略し、ウェアラブル機器200とサーバー400とを直接接続する変形実施も可能である。この場合、ウェアラブル機器200は、携帯機器300に含まれている計測情報を処理する機能、及び計測情報をサーバー400に送信したりサーバー400からの情報を受け付けたりする機能を備える。
また、運動モニタリングシステム100は、サーバー400により実現されるものには限定されない。例えば、運動モニタリングシステム100は、携帯機器300により実現されてもよい。例えば、スマートフォン等の携帯機器300は、サーバーシステムに比べれば処理性能や記憶領域、バッテリー容量に制約があることが多いが、近年の性能向上を考慮すれば、十分な処理性能等を確保可能となることも考えられる。よって、処理性能等の要求が満たされるのであれば、携帯機器300を本実施形態に係る運動モニタリングシステム100とすることが可能である。
また、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100は、1つの装置により実現するものには限定されない。例えば、運動モニタリングシステム100は、ウェアラブル機器200、携帯機器300、及びサーバー400のうちの2以上の装置を含んでもよい。この場合、運動モニタリングシステム100で実行される処理は、いずれか1つの機器において実行されてもよいし、複数の機器で分散処理されてもよい。また、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100が、ウェアラブル機器200、携帯機器300、及びサーバー400とは異なる機器を含むことも妨げられない。
さらに、端末性能の向上、あるいは利用形態等を考慮した場合、ウェアラブル機器200により、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100を実現する実施形態とすることができる。
また、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100の各部の処理をプログラムにより実現することができる。すなわち、本実施形態の手法は、ユーザーの運動中の位置情報をモニタリングする手法であり、位置情報である測定位置情報の計測開始の指示を取得するステップと、計測開始の指示を取得すると、所定数以上のGPS衛星8を捕捉したかどうかを判定し、所定数以上のGPS衛星8を捕捉している場合、GPS衛星8が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力するステップと、衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを取得し、衛星信号を受信した受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、観測データと、を用いて、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定するステップと、算出位置情報を出力するステップと、を含む処理を、コンピューターに実行させるプログラムに適用できる。
また、本実施形態の運動モニタリングシステム100は、情報(例えば、プログラムや各種のデータ)を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーを含む。プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、あるいは各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。ただしプロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサーは、ASICによるハードウェア回路でもよい。メモリーは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリーは、コンピューターにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサーにより実行されることで、運動モニタリングシステム100の各部の機能が実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを構成する命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
2.1.ウェアラブル機器
ウェアラブル機器200は、図3に示すように、ユーザーの所与の部位(例えば、手首などの測定の対象部位)に装着され、脈波情報や位置情報等を検出する。ウェアラブル機器200は、図2に示すように、ハウジング30を含みユーザーに密着されて脈波情報等を検出する機器本体18と、機器本体18に取り付けられ機器本体18をユーザーに装着するための一対のバンド部10と、を有する。ハウジング30を含む機器本体18には、表示部50、及び光センサー部40が設けられている。バンド部10には、嵌合穴12と尾錠14とが設けられる。尾錠14は、尾錠枠15、及び係止部(突起棒)16から構成される。また、ハウジング30の側面には、操作部130として押しボタンが複数配置されている。
なお、以下のウェアラブル機器200の説明では、機器本体18をユーザーに装着したとき、測定の対象部位となる対象物(被検体)側に位置する側を「裏側、若しくは裏面側」、その反対側となる機器本体18の表示面側を「表側、若しくは表面側」として説明する。また、測定される「対象物(対象部位)」を「被検体」ということがある。また、ウェアラブル機器200のハウジング30を基準として座標系を設定し、表示部50の表示面に交差する方向であって、表示部50の表示面側のハウジング30を表面とした場合の裏面から表面へと向かう方向をZ軸正方向としている。あるいは、光センサー部40から表示部50に向かう方向、あるいは表示部50の表示面の法線方向においてハウジング30から離れる方向をZ軸正方向と定義してもよい。ウェアラブル機器200が被検体に装着された状態では、上記Z軸正方向とは、被検体からハウジング30へと向かう方向に相当する。また、Z軸に直交する2軸をXY軸とし、特にハウジング30に対してバンド部10が取り付けられる方向をY軸に設定している。
図2は、嵌合穴12と係止部16とを用いてバンド部10が固定された状態であるウェアラブル機器200を、バンド部10側の方向(ハウジング30の面のうち装着状態において被検体側となる面側)である-Z軸方向から見た斜視図である。ウェアラブル機器200では、バンド部10に複数の嵌合穴12が設けられ、尾錠14の係止部16を、複数の嵌合穴12のいずれかに挿入することでユーザーへの装着が行われる。複数の嵌合穴12は、バンド部10の長手方向に沿って設けられる。
機器本体18は、図4に示すように、第1ハウジング21と第2ハウジング22とを含むハウジング30を有する。第2ハウジング22は、機器本体18をユーザーに装着したとき、測定の対象物の側に位置する。第1ハウジング21は、第2ハウジング22に対して、測定の対象物側と反対側(表側)に配置される。そして、第2ハウジング22の裏面には、検出窓221が設けられ、検出窓221に対応する位置に光センサー部40が設けられている。
図2では、生体センサー(脈波情報を取得する脈波センサーとしての光電センサー401(図4参照))を想定し、ハウジング30のうち、ウェアラブル機器200の装着時に被検体側となる面に光センサー部40が設けられる例を示した。ただし、生体センサーが設けられる位置は図2の例示には限定されない。例えば、生体センサーは、ハウジング30の内部に設けられてもよい。
図3は、ユーザーが装着した状態でのウェアラブル機器200を、表示部50の設けられる側(Z軸方向)から見た図である。図3に示すように、本実施形態に係るウェアラブル機器200は、通常の腕時計の文字盤に相当する位置、あるいは数字やアイコンを視認可能な位置に表示部50を有する。ウェアラブル機器200の装着状態では、ハウジング30のうちの第2ハウジング22(図4参照)側が被検体に密着するとともに、表示部50は、ユーザーによる視認が容易な位置となる。
次に、ウェアラブル機器200のうちの機器本体18の構成を、図4に示す断面構造例と図5に示す機能ブロック例とを参照して説明する。機器本体18は、図4に示すように、第1ハウジング21と第2ハウジング22とに加えて、モジュール基板35と、モジュール基板35に接続された光センサー部40と、回路基板41と、パネル枠42と、回路ケース44と、表示部50を構成するLCD501と、体動センサーの一例としての加速度センサー55と、二次電池60と、GPSアンテナ65と、制御部90と、を含む。ただし、ウェアラブル機器200の構成は、図4に示す構成に限定されず、他の構成を追加することや一部の構成を省略することが可能である。
第1ハウジング21は、胴部211とガラス板212とを備えてもよい。この場合、胴部211及びガラス板212は、内部構造を保護する外壁として用いられるとともに、ガラス板212を介して、ガラス板212の直下に設けられる液晶ディスプレイ(以下、LCD501)等の表示部50の表示をユーザーが視認可能な構成としてもよい。つまり本実施形態では、検出した生体情報や運動状態を表す情報、あるいは時刻情報等の種々の情報を、LCD501を用いて表示し、当該表示を第1ハウジング21側からユーザーに提示するものであってもよい。なお、ここでは機器本体18の天板部分をガラス板212により実現する例を示したが、LCD501を視認可能な透明部材であり、LCD501等のハウジング30の内部に含まれる構成を保護可能な程度の強度を有する部材であれば、透明のプラスチック等、ガラス以外の材料により天板部分を構成することが可能である。
第2ハウジング22には、検出窓221及び遮光部222が設けられる。そして、検出窓221に対応する位置に光センサー部40が設けられる。検出窓221においては光が透過する構成となっており、光センサー部40に含まれる発光部150(図5参照)から射出される光は、検出窓221を透過して被検体(測定の対象物)に対して照射される。また、被検体で反射された反射光も検出窓221を透過し、光センサー部40のうちの受光部140(図5参照)において受光される。つまり、検出窓221を設けることで、光電センサー401を用いた生体情報の検出が可能になる。光センサー部40は、モジュール基板35に接続されている。なお、モジュール基板35は、フレキシブル基板47などを用いて回路基板41と電気的な接続がなされている。
回路基板41には、一方の面にLCD501等の表示パネルを案内するパネル枠42が配置され、他方の面に二次電池60などを案内する回路ケース44が配置されている。回路基板41には、GPSアンテナ65を含むGPS160(図5参照)を制御する回路、光センサー部40を駆動し脈波(脈拍)を測定する回路、LCD501を駆動する回路などを制御する制御回路としての制御部90が実装されている。回路基板41は、LCD501の電極と図示しないコネクターを介して導通されている。そして、LCD501では、各モードに応じて脈拍数などの脈拍測定データや、現在時刻などの時刻情報などが表示される。
回路ケース44には、充電可能な二次電池60(リチウム二次電池)が案内されている。二次電池60は、両極の端子が接続基板48などによって回路基板41に接続され、電源を制御する回路へ電源を供給する。電源は、この回路で所定の電圧に変換されるなどして各回路へ供給され、光センサー部40を駆動し脈拍を検出する回路、LCD501を駆動する回路、各回路を制御する制御回路(制御部90)などを動作させる。二次電池60の充電は、コイルばねなどの導通部材(不図示)により回路基板41と導通された一対の充電端子を介して行われる。なお、ここでは電池として二次電池60を用いる例を説明したが、電池には、充電が不要な一次電池を用いてもよい。
また、図4に示したように、検出窓221は、第1ハウジング21と第2ハウジング22との接続部に設けられる密封部51まで延在形成されていてもよい。ここで、密封部51は、ハウジング30の内部を外部から密閉するパッキン52が設けられているものであってもよい。パッキン52は、第1ハウジング21と第2ハウジング22との接続部に設けられ、ハウジング30の内部を外部から密閉するものである。
また、ウェアラブル機器200は、その機能構成として、図5に示されているように、光センサー部40、表示部50、通信部80、制御部90、操作部130、GPS160、体動センサー部170、及び記憶部180を含んでいる。
光センサー部40は、脈波等を検出するものであり、受光部140及び発光部150を含む。光センサー部40は、前述したように発光部150から射出される光が被検体(測定の対象物)に対して照射され、その反射光が受光部140で受光されることによって脈波情報を検出することができる。光センサー部40は、脈波センサーにより検出された信号を、脈波検出信号として出力する。光センサー部40としては、例えば、光電センサーが用いられる。この場合には、生体(ユーザーの手首)に対して、発光部150から照射された光の反射光又は透過光を、受光部140によって検出する手法等が考えられる。このような手法では、血管内の血流量に応じて、照射された光の生体での吸収量、反射量が異なるため、光電センサーで検出したセンサー情報は、血流量等に対応した信号となり、当該信号を解析することで拍動に関する情報を取得することができる。ただし、脈波センサーは、光電センサーに限定されず、心電計や超音波センサー等、他のセンサーを用いてもよい。
表示部50は、制御部90の指示に基づいて、ユーザーの生体情報や運動状態を表す情報、位置情報、あるいは時刻情報等の種々の情報をLCD501に表示し、ユーザーに提示することができる。表示部50は、ユーザーの位置情報を地図上に示すことができ、地図上にプロットされた移動履歴を移動軌跡としてユーザーに対してビジュアル的に示すことができる。このような表示を行うことにより、ユーザーは、移動軌跡などをビジュアル的に確認できるので、ランニングやウォーキングの実績を把握しやすくなる。
制御部90は、光センサー部40を駆動し脈波を測定する回路、表示部50(LCD501)を駆動する回路、体動センサー部170を駆動し体動情報を検出する回路、及びGPS160を制御する回路などの制御回路を構成する。制御部90は、操作部130からの信号により、位置情報の計測開始や計測終了のタイミング、若しくは表示モードの切替えなどを制御することができる。
制御部90は、それぞれの部位で検出された脈波情報や体動情報、又はユーザーの位置情報などを通信部80に送信する。通信部80は、衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを送信する。そして、通信部80は、制御部90から送信された脈波情報や体動情報、若しくはユーザーの位置情報(測定位置情報)や観測データを、携帯機器300に送信する。
制御部90は、上述した位置情報の計測が行われていない、若しくは計測ができていない場合(第1の期間)においても、例えば、加速度センサー55の計測を行うことができる。制御部90は、加速度センサー55の取得した加速度データを用いて、ユーザーの移動距離、スピード(移動スピード)、ピッチ、ペースなどをリアルタイムに計測することができる。なお、ペースとは、単位距離当たりにかかった時間のことを示している。このように、第1の期間におけるユーザーの運動中の移動距離及びスピードの少なくともいずれかを決定することができる。
制御部90は、慣性航法システム(慣性航法装置)として知られる機能部であり、加速度センサー55を少なくとも含む体動センサー部170の計測結果を利用して、所定の慣性航法演算を行って位置及び速度ベクトルを算出する。慣性航法演算では、加速度センサー55の計測結果を用いて速度ベクトルを算出し、当該速度ベクトルから移動方向及び移動距離を求めて、位置情報を新たに算出・更新する。
制御部90は、加速度データとユーザーの歩幅との関係を学習し、それを用いて、移動距離を算出することが好ましい。これによれば、移動距離を加速度データと歩幅との関係により正確に算出することができる(なお、加速度データとユーザーの歩幅との関係についての詳細は特願2013-229329号公報参照)。
押しボタンで構成される操作部130は、制御部90と接続されている。ユーザーは、複数配置されたボタン(操作部130)を押すなどの操作を行うことにより、例えば、位置情報の計測開始や計測終了のタイミング、若しくは表示モードの切替えなどを指示することができる。
GPS160は、GPSアンテナ65、信号処理部66、及び第1の処理部としての制御部67を含む。GPS160は、GPSアンテナ65が受信した複数の衛星信号を信号処理部66が処理し、処理された複数の衛星信号に基づいて、制御部67において、測位計算を行ってユーザーの位置情報を取得(決定)したり、衛星信号の観測データを生成したりすることができる。
第1の処理部としての制御部67は、取得された複数の衛星信号に基づいて測位計算を行い、第1の測定位置情報(1回目の測定位置情報)の決定から計測終了までの第2の期間におけるワークアウト情報として複数の測定位置情報を決定する測定位置情報決定部63を備えている。また、制御部67は、取得された複数の衛星信号に基づいて、操作部130の操作による計測開始から第1(1回目)の測定位置情報の決定までの第1の期間におけるワークアウト情報としての衛星信号の観測データを生成する観測データ生成部64を備えている。観測データ生成部64は、計測開始から第1の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データを生成する。
制御部67は、計測開始の指示を取得すると、所定数以上のGPS衛星8を捕捉したかどうかを判定し、所定数以上のGPS衛星8を捕捉している場合、衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを記憶させる。制御部90は、衛星軌道情報(衛星パラメーター)の取得完了を待たずに計測開始し、第1の期間は、観測データを保存する。制御部67は、3衛星以上を捕捉したら、衛星軌道情報(衛星パラメーター)の取得完了を待たずに計測開始する。
制御部67の判定処理において、通常GPS衛星8の所定数が4個以上であることが好ましいが、所定数を3個としてもよい。これによれば、計測開始を早めることができる。
制御部67は、GPS衛星8の所定数が3個の場合は、3個の衛星信号から判定を行い、所定数が4個以上の場合は、4個の衛星信号から観測データの記憶を開始するか否かの判定を行うことが好ましい。これによれば、3個の衛星信号を受信した場合には、第1の処理部は、3個の衛星信号から判定を行い二次元測位処理によって位置情報を算出できる。また、4個以上の衛星信号を受信した場合には、第1の処理部は、4個の衛星信号から判定を行い三次元測位処理によって位置情報を算出できる。したがって、それぞれ捕捉したGPS衛星8からの信号で測位処理を実行できるため、衛星サーチ処理を継続する必要がなく、衛星信号の受信処理を効率的に行うことができ、消費電力も低減できる。なお、三次元測位とは、ウェアラブル機器200の現在位置を、緯度・経度・標高の三次元のデータで算出するものである。一方、二次元測位とは、標高は所定値に設定し、ウェアラブル機器200の現在位置を、緯度・経度の二次元のデータで算出するものである。
なお、本明細書では、衛星信号に基づく測位が、操作部130の操作による計測開始のタイミングから計測終了のタイミングまでの間で、計測開始から最初に成功して算出された測定位置情報を第1の測定位置情報とし、この第1の測定位置情報を「1回目の測定位置情報」と呼称している。また、操作部130の操作による計測開始のタイミングから1回目の測定位置情報の決定ができるまでの間を「第1の期間」とし、1回目の測定位置情報の決定のタイミングから操作部130の操作による計測終了のタイミングまでの間を「第2の期間」としている。
なお、「第1の期間」及び「第2の期間」は、運動中(運動開始から運動終了の期間)において、測定位置情報が決定されず、観測データを取得する期間、換言すれば、GPS信号による測位ができなくなった期間を「第1の期間」とし、運動中において測定位置情報が決定される期間、換言すれば、GPS信号による測位ができる期間を「第2の期間」、とすることもできる。
また、計測開始及び計測終了のタイミングは、操作部130のボタン操作、若しくは加速度センサー55や図示しない脈拍センサーなどの出力に基づいて、制御部90が判定することによって決定されることができる。
体動センサー部170は、加速度センサー55、方位センサー(地磁気センサー)56、及び気圧センサー57などを含み、ユーザーの体の動きに係る情報の検出、即ち体動情報を検出することができる。体動センサー部170は、ユーザーの体動に応じて変化する信号である体動検出信号として、加速度センサー55からは加速度データ、方位センサー(地磁気センサー)56からは方位データ、及び気圧センサー57からは気圧データが出力された、例えば、情報処理装置としての携帯機器300に出力される。
記憶部180は、制御部90の制御によって、光センサー部40による脈波等の生体情報、GPS160による位置情報、体動センサー部170による体動情報などを記憶することができる。
2.2.携帯機器
携帯機器300は、図5に示すように、ウェアラブル機器200との通信処理を行う情報通信部280と、情報通信部280の受信した計測情報や位置情報に基づいた制御を行う制御部224と、取得されたユーザーの脈波情報や体動情報、若しくは位置情報などを記憶する記憶部238と、制御部224によって処理された情報を報知する報知部290と、外部との通信処理を行う通信処理部294と、を含む。
ただし、携帯機器300は、図5の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。例えば、ウェアラブル機器200に含まれている光センサー部40や体動センサー部170、若しくはGPS160などを含んでもよい。また、携帯機器300は、ウェアラブル機器200に含まれる光センサー部40や体動センサー部170によって検出されたユーザーの脈波情報や体動情報を取得する計測情報処理部(不図示)を含んでもよい。
情報通信部280は、ウェアラブル機器200によって検知、計測され、ウェアラブル機器200の通信部80から送信された観測データ、若しくは計測情報や位置情報(測定位置情報)を受信する。また、情報通信部280は、携帯機器300によって算出処理された算出位置情報をウェアラブル機器200に送信する。
制御部224は、例えば、記憶部238をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えば、CPU等のプロセッサーあるいはASICなどの論理回路により実現できる。制御部224は、出力部236及び報知制御部239を含む。なお、制御部224は、ユーザーの指示したウェアラブル機器200の計測開始から計測終了までの間において、計測開始からGPS160の測位が開始されるまでの間(第1の期間)のユーザーの位置を、衛星信号の観測データからさかのぼって推測して複数の算出位置情報とし、GPS160の測位が開始され、1回目の測位による測定位置情報の決定から計測終了までの第2の期間における測定位置情報とともに記憶部238に記憶させたり、ウェアラブル機器200やサーバー400に送信したりするための指示を行う。また、制御部224は、ウェアラブル機器200からの計測情報や位置情報、算出された算出位置情報などを報知部290に報知するための処理を行う。
出力部236は、サーバー400の算出位置情報決定部235の決定した第1の期間における算出位置情報と、測定位置情報取得部233の取得した第2の期間における測定位置情報や移動軌跡情報とを、ウェアラブル機器200に出力する。
報知制御部239は、サーバー400の測定位置情報取得部233で取得された第2の期間におけるユーザーの位置情報や、サーバー400の算出位置情報決定部235によって決定された第1の期間におけるユーザーの算出位置情報などから生成されたユーザーの現在位置情報や移動軌跡情報、若しくはユーザーの活動情報などに基づいて、それぞれの報知を行うための報知データの生成や報知部290への報知指示などの制御処理を行う。そして、報知制御部239は、報知部290、若しくは通信処理部295を介してネットワークNE上の機器に設けられた報知部(不図示)に、制御処理された報知信号を送信する。
記憶部238は、サーバー400の測定位置情報取得部233で取得された第2の期間におけるユーザーの位置情報や、サーバー400の算出位置情報決定部235によって決定された第1の期間におけるユーザーの算出位置情報などから生成されたユーザーの現在位置情報や移動軌跡情報、若しくはユーザーの活動情報を記憶する。また、記憶部238は、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100の一連の処理をコンピューターに実行させるプログラムを記憶する。
報知部290は、報知制御部239の制御により、ユーザーに各種の情報を報知する。報知部290は、画像表示を行う、例えば、液晶ディスプレイによる表示部291を備えている。報知部290は、例えば、報知制御部239からのデータ信号に基づいて表示部291に、現在位置情報や移動軌跡情報、若しくは体動情報などの活動情報を画像表示する。なお、報知部290は、他の報知方法として、振動モーター(バイブレーター)などを用いた振動部292、若しくはLEDなどを用いた報知用の発光体(不図示)などを備えることができる。振動部292では、振動モーター(バイブレーター)の振動の強弱や長さなどによって、報知用の発光体では、発光体の点灯、点滅などによって、各種の情報をユーザーに報知する。なお、これらの情報は、画像表示のみで行ってもよいし、振動、及び報知用の発光の少なくとも一方と組み合わせて報知してもよい。
通信処理部294は、報知制御部239によって制御処理された報知信号を、他の端末機器などに設けられた報知機能部に送信するための通信処理を行う。この場合、携帯電話網や無線LANネットワークNEを用いずに、例えば、Bluetooth(ブルートゥース)などの近距離無線通信規格にしたがった無線通信の処理を行うことができる。ここで送信される報知信号は、画像信号、振動信号、若しくは発光信号などとすることができる。また、通信処理部294は、ネットワークNEを介してPCやサーバーシステム等のサーバー400と接続する。
2.3.サーバー
サーバー400は、図5に示すように、通信処理部295の受信した計測情報や位置情報に基づいた位置の算出処理を行う第2の処理部としての制御部230と、取得されたユーザーの脈波情報や体動情報、若しくは位置情報などを記憶する記憶部240と、外部との通信処理を行う通信処理部295と、を含む。
ただし、サーバー400は、図5の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
通信処理部295は、ウェアラブル機器200によって検知、計測され、携帯機器300の通信処理部294から送信された観測データ、若しくは計測情報や位置情報(測定位置情報)を受信する。
第2の処理部としての制御部230は、例えば、記憶部240をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えば、CPU等のプロセッサーあるいはASICなどの論理回路により実現できる。制御部230は、測定位置情報取得部233、算出位置情報決定部235、及び出力部237を含む。制御部230は、ウェアラブル機器200からの衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを取得し、衛星信号を受信した受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、観測データと、を用いて、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定する。なお、制御部230は、ユーザーの指示したウェアラブル機器200の計測開始から計測終了までの間において、計測開始からGPS160の測位が開始されるまでの間(第1の期間)のユーザーの位置を、衛星信号の観測データからさかのぼって推測して複数の算出位置情報とし、GPS160の測位が開始され、1回目の測位による測定位置情報の決定から計測終了までの第2の期間における測定位置情報とともに記憶部240に記憶させたり、携帯機器300に送信したりするための指示を行う。また、制御部230は、計測情報や位置情報、算出した算出位置情報などを携帯機器300に送信するための処理を行う。
測定位置情報取得部233は、ウェアラブル機器200に備えられているGPS160によって測位計算された第2の期間における測定位置情報や時刻情報、若しくはウェアラブル機器200に備えられている方位センサー56や気圧センサー57によって取得された方位情報や標高情報に基づいて、ユーザーの現在位置情報や移動軌跡情報を生成する。なお、測定位置情報取得部233は、生成した現在位置情報や移動軌跡情報を記憶部240に保存したり、報知制御部239によって報知データとしたりすることができる。
算出位置情報決定部235は、携帯機器300から送信された第1の期間における観測データに基づいて、第1の期間に対応するユーザーの測定位置情報に代わる位置情報として算出した算出位置情報を決定する。算出位置情報決定部235は、1回目の測定位置情報(第1の測定位置情報)を初期位置として、算出位置情報を決定することが好ましい。これにより、1回目の測定位置情報よりも前にさかのぼって位置情報(位置)を算出することができる。また、1回目の測定位置情報(第1の測定位置情報)を初期位置として用いてユーザーの運動による移動時の位置を計算することから、精度の良い初期位置を設定することができることになり、測位に係る時間の短縮、及び精度向上を図ることができる。ここで初期位置とは、算出位置情報を決定するときに用いる位置情報のことであり、測定位置情報又はそれに代わる位置情報である。
出力部237は、算出位置情報決定部235の決定した第1の期間における算出位置情報と、測定位置情報取得部233の取得した第2の期間における測定位置情報や移動軌跡情報とを、携帯機器300に出力する。
図6は、ウェアラブル機器200から取得したデータ処理を示す図である。
算出位置情報決定部235は、観測データを使い、算出位置情報を決定する。図6に示すように、初期位置がある場合、初期位置を基準にし、観測データを利用して逆に位置を計算して(例えば、カルマンフィルターにより計算する)、端末測位できていない位置を補い、算出位置情報を表示する。また、初期位置がない場合、最終時刻の観測データで最終位置を計算して(例えば、最小二乗法により計算する)、その位置を基準に逆に位置を計算して(例えば、カルマンフィルターにより計算する)、算出位置情報を表示する。
算出位置情報決定部235は、決定した算出位置情報を経過時刻ごとのログ情報として、測定位置情報取得部233の生成した現在位置情報や移動軌跡情報とともに記憶部240に保存することができる。
算出位置情報決定部235は、携帯機器300から受け取った観測データに対して、測位計算を実施する。そのためにはまず時間を解決しなければならず、位置情報が一つ以上でも取得できている場合(測位ができている場合)は、位置情報に含まれる測定時刻と衛星時刻情報との関係から、受け取った観測データに含まれる測定時刻を衛星時刻情報に変換して時刻を求めればよい。また、一度も測位に成功できていない場合には、サーバー400の初期時刻を利用する。このときサーバー400の時刻が正しいとは限らないので、携帯機器300から送信されたウェアラブル機器200の測定した時刻データなどを用いて補正を行う。ただし、観測データ中に5以上の衛星データが必要である。このようにして時刻を取得した後、インターネット上、若しくは携帯機器300、ウェアラブル機器200などから該当時間帯のGPSアシスト情報をダウンロードする。そして、取得したGPSアシスト情報と、観測データとから、測位計算を実施して、算出位置情報を決定する。
なお、初期位置が必要な場合には、ウェアラブル機器200が前回利用したときの位置情報をサーバー400の履歴から参照して、それを用いてもよい。また、最初に測位成功したときの位置情報やそれに準ずるもの(その後数秒の平均とか、全体平均など)を初期位置として観測データの測位計算に用いてもよい。また、ウェアラブル機器200からサーバー400の距離がある程度近いことが想定されるときには、サーバー400の位置情報を初期位置として利用してもよい。
また、算出位置情報決定部235は、第1の期間における算出位置情報を決定した後は、算出位置情報を算出する際に用いた、それぞれの算出位置情報に対応する観測データは、記憶部240から削除することとしてもよい。
記憶部240は、測定位置情報取得部233で取得された第2の期間におけるユーザーの位置情報や算出位置情報決定部235によって決定された第1の期間におけるユーザーの算出位置情報などから生成されたユーザーの現在位置情報や移動軌跡情報、若しくはユーザーの活動情報を記憶する。記憶部240は、過去の衛星軌道情報を時刻と関連付けて記憶する。また、記憶部240は、本実施形態に係る運動モニタリングシステム100の一連の処理をコンピューターに実行させるプログラムを記憶する。
3.運動モニタリング方法
次に、運動モニタリングシステム100の動作手順(運動モニタリング方法)の実施例を、図7~図16を参照して説明する。
図7は、計測待ち時間短縮の仕組みを示す図である。図8は、計測開始時に計測される位置情報(ログ情報)を時系列で示す一覧表であり、図9は、変換処理後の位置情報(ログ情報)を時系列で示す一覧表である。図10は、変換処理後の位置情報(ログ情報)に係る変形例1を時系列で示す一覧表である。図11は、位置情報(ログ情報)のアップデートに係る変形例を示す一覧表である。図12は、データの送信タイミングを説明する図である。図13は、計測開始時の位置情報の取得を示すタイミングチャートである。図14は、計測開始時の位置情報(ログ情報)の取得手順を示すフローチャートである。図15は、観測データに基づく算出位置情報の決定手順の一例を示すフローチャートである。図16は、気圧センサー57を用いた位置情報の取得手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、上述した運動モニタリングシステム100の構成と同符号を用いて説明する。
具体的には、図7に示すように、測定位置情報の取得完了を待たずに計測を開始し、測定位置情報の取得が完了するまでのGPS160の測位が利用できない間は、加速度センサー55で移動距離及びスピードの算出を行う。その間もGPS160は、バックグラウンドで観測データの取得を継続し、測定位置情報の取得が完了して、測定位置情報が利用可能となったら、制御部224は、GPS160を使った移動距離計測に切り替える。
一方で、測定位置情報の取得が完了するまでの間は、観測データを保存しておき、ユーザーがデータをアップロードした際に、測定位置情報と一緒にアップロードする。サーバー側では、過去の衛星軌道情報(衛星パラメーター)を履歴的に保管しておき、それらの履歴の中から観測データの時刻に該当する衛星軌道情報(衛星パラメーター)を用いて該当時刻におけるGPS衛星8の算出位置情報を計算する。この算出位置情報とアップロードされた測定位置情報とを組み合わせれば、端末上では位置計算ができていなかった区間の測定位置情報を計算(測位)することができる。このようにサーバーで測位したユーザー位置で補完すれば、実際は端末で測位できていない区間も含め、計測開始から全ての移動軌跡をユーザーに提供できる。
なお、上述の算出位置情報の計算において、サーバー内の過去の衛星軌道情報の履歴を用いたが、外部のデーターベースから過去の衛星軌道情報を取得する形態であってもよい。
本方法は、ランニングウォッチのように、計測終了後(つまり、ランニング後)に測定位置情報が必要となるような製品に適用可能である。
本方法では、GPS160の測位が利用可能となるまでの間、加速度センサー55により移動距離やスピードを算出することになる。具体的には、加速度から、周波数や振幅といった特徴量を抽出し、こういった特徴量が実際のスピードとどう相関しているかをあらかじめGPS160のスピードをリファレンスとして学習しておき、反対に加速度からスピードを求める際は、学習したパラメーターを使ってスピードを求める。したがって、加速度からスピードにあたっては、あらかじめGPS160の測位が利用可能な状態で、相関パラメーターを十分に学習しておく必要がある。
3.1.運動モニタリングシステムで送受信されるデータ
先ず、運動モニタリングシステム100において送受信されるデータ、及び運動モニタリングシステム100を構成する機器間のデータのやり取りについて図8~図11を参照して説明する。
運動モニタリングシステム100では、ウェアラブル機器200で計測した位置情報などのデータを取得後、若しくはデータを取得中随時、携帯機器300にログ情報としてアップデートする。携帯機器300では、取得した情報をそのままサーバー400へアップデートしてログ情報として保存される。なお、ウェアラブル機器200においてGPS160のアシストデータを取得する場合には、携帯機器300が、ウェアラブル機器200の操作部130を操作した時点のアシスト情報(Eph情報など)をサーバー400から取得し、ウェアラブル機器200に送信する。また、携帯機器300は、サーバー400に記憶されているユーザーの過去履歴や参照イベントなどを必要に応じて参照したり、送信してもらったりすることができる。また、計測終了後に、GPS160の位置情報や移動軌跡情報をウェアラブル機器200から携帯機器300へ送信する場合は、図8に示すようなデータ構成(ログ情報の構成)としてウェアラブル機器200から送信してもよい。
ユーザーの位置を算出するウェアラブル機器200では、計測開始時において、GPS衛星8からの衛星信号を受信して測位を始めるまでに時間がかかってしまう。ただし、図8に示すように、測位計算が始まるまでの間においてもGPS衛星8からの衛星信号は、観測データ(measurementデータ:以下、省略して「Measデータ」という)として受信されている。そして、ウェアラブル機器200から携帯機器300にアップデートするログ情報には、従来の位置情報(測定位置情報に該当)に加えて、観測データ(Measデータ)、若しくはセンサーデータが追加される。なお、衛星信号の観測データ(Measデータ)には、衛星信号から取得される擬似距離、衛星信号の周波数情報、衛星番号、及び衛星時刻情報が含まれている。
ここで、図8では、計測開始からの経過時刻ごとのログ情報の状態が示されている。そして、ウェアラブル機器200からは、観測データ(Measデータ)及び測定位置情報が出力される。図8に示す例では、1回目の測位が成功した時点として計測開始から37000msec(37秒)のときから測位が始まり、この時点以降の期間(後述する第2の期間)のログ情報として複数の測定位置情報が決定され、出力されている。なお、ここでは、測位が始まったときの測定位置情報を第1の測定位置情報としている。それまでの間(1000~36000msec)は、GPS衛星8からの衛星信号に含まれる情報である観測データ(図8では、Measデータと記載)が取得され、出力されている。なお、測位が行われて測定位置情報として決定される37000msec以降においても、観測データ(Measデータ)は、ログ情報として取得されている。
本運動モニタリングシステム100では、計測開始時においてGPS衛星8からの衛星信号を受信して測位を始めるまでの間(1回目の測位が成功した時点までの間、換言すれば、第1の測定位置情報が決定されるまでの間)の位置情報を、この観測データ(Measデータ)に基づいて算出位置情報として決定し、参照することによって、ユーザーの待ち時間を短縮させるものである。図9には、この算出位置情報を計測開始から37000msec(37秒)までの、1000msecから36000msecまでの間のログ情報として決定した例が示されている。携帯機器300では、ウェアラブル機器200から受け取ったログ情報(データ)に対して、測定位置情報がない時間帯(後述する第1の期間)においては、位置情報を計算した算出位置情報としてアップデートをする。この処理によって、ログ情報が、図9に示すように変換される。
これによって、ウェアラブル機器200での計測開始時点では未知だった測位開始時点(37000msec)より前(36000msec以前)の位置情報が、算出位置情報として携帯機器300のログ上でアップデートされ、あたかも計測開始の指示がなされた計測開始時点(1000msec)から測位が成功しているかのようなログ情報を取得することができる。
なお、例えば、図10に示すように、計測開始から2000msec時点のみ情報不足で携帯機器300における算出位置情報の決定ができなかったときなどには、その時刻のログ(ログ情報)をスキップする(図10では、空欄としている)構成としてもよい。
さらに、携帯機器300を介さない場合、すなわち、ウェアラブル機器200とサーバー400とが直接通信が可能な場合には、ウェアラブル機器200とサーバー400との直接通信によって上述のやり取りを行うことができる。この場合には、携帯機器300が存在している例において、携帯機器300で実施していたデータ変換は、サーバー400、若しくはウェアラブル機器200で実施することになる。具体的には、サーバー400ではウェアラブル機器200から受け取ったログ情報に対して、まず後処理測位をして、観測データ(Measデータ)、センサーデータのいずれか、若しくはその両方を算出位置情報に置き換える。そして、変換された算出位置情報のみのログ情報を保存して、ユーザーへの位置情報提示に利用する構成になる。また、ウェアラブル機器200でこれらの処理を実施する場合は、アシスト情報(Eph情報など)がない状態で取得した観測データ(Measデータ)を過去の情報として保存しておいて、後ほどアシスト情報(Eph情報など)が取得できた時点で過去の観測データ(Measデータ)に測位計算を実施して、算出位置情報を取得する方法になる。
なお、計測終了後に、GPS160の位置情報や移動軌跡を利用する場合には、図11に示すようなデータ構成(ログ情報の構成)として、ウェアラブル機器200から送信してもよい。具体的には、1回目の測位が成功するまでの間、換言すれば第1の測定位置情報が決定されるまでの間(1000~36000msec)は、GPS衛星8からの衛星信号に含まれる情報である観測データ(図11では、Measデータと記載)が取得され、出力されている。そして、1回目の測位が成功し、第1の測定位置情報が決定された37000msecのときから計測終了までの間は、測定位置情報に加えて、観測データ(Measデータ)を出力することができる。このような構成にすることで、測定位置情報を決定することのできた期間においても、サーバー400あるいは携帯機器300で算出位置情報を決定することができ、測定位置情報と算出位置情報とを比較して、より精度の良い位置情報をその時刻に対応する最終的な位置情報として選択することができる。
なお、前段にて図11を用いて説明した、計測終了後においてGPS160の位置情報や移動軌跡を利用する場合のデータ構成(ログ情報の構成)は、次のような変形例とすることができる。
図11を用いて説明したデータ構成(ログ情報の構成)の変形例は、1回目の測位が成功するまでの間、換言すれば第1の測定位置情報が決定されるまでの間(1000msec~36000msec)は、観測データ(Measデータ)を保存し、1回目の測位が成功し、第1の測定位置情報が決定された37000msec以降は、測定位置情報と観測データ(Measデータ)とを、時刻と関連付けてログ情報(ログデータ)として保存する。携帯機器300又はサーバー400にログ情報(ログデータ)を送信するときには、時刻1000msec~36000msecにおいては、観測データ(Measデータ)を送信する。そして、時刻37000msec以降に取得された測定位置情報のうち、測定位置情報の誤差情報が所定の条件を満たした測定位置情報を選別して送信する構成としても良い。この場合、所定の条件とは、誤差情報に関する閾値以下であることである。一方、所定の条件を満たさない測定位置情報については、当該測定位置情報を取得した時刻に対応する観測データ(Measデータ)を送信するように構成しても良い。
3.2.運動モニタリングシステムにおけるデータの送受信
次に、運動モニタリングシステム100を構成する機器間のデータ(観測データ(Measデータ)や位置情報など)のやり取りのタイミング(シーケンス)について、図12及び図13を参照して説明する。
運動モニタリングシステム100を構成するウェアラブル機器200、携帯機器300、及びサーバー400における通信タイミングは、図12に示すようなタイミングで行われる。ここでの通信タイミングは、ユーザーがウェアラブル機器200から計測開始の指示を行うことによって計測が開始され、ウェアラブル機器200では、GPS衛星8からの衛星信号の取得を開始する。
計測開始から1回目の測位が成功するまでの間、換言すれば第1の測定位置情報が決定されるまでの間である第1の期間では、図13に示すように、1回目の計測時刻においての観測データ(Measデータ)を生成し、以降2回目の計測時刻、3回目の計測時刻、・・と観測データ(Measデータ)の生成を続ける。そして、1回目の測位が成功してから計測終了の指示がされるまでの間である第2の期間では、1回目の測位位置データとして測定位置情報を決定し、以降2回目の計測時刻、3回目の計測時刻、・・において計測終了の指示があるまでの間の測位位置データとして、測定位置情報を決定する。このとき、観測データ(Measデータ)の生成を併せて行ってもよい。ここで、図12において「計測開始」とは、ユーザーが操作部130を操作して、運動の記録開始をウェアラブル機器200の制御部90に指示し、捕捉衛星数が所定数を超えたことを制御部90が判断した時点を意味し、後述の図14のステップS108に相当する。また「測位開始」とは、計測開始の後刻においてGPS160で測位成功した時点、あるいは測定位置情報を決定した時点を意味する。そして、「計測終了」とは、ユーザーが操作部130を操作して、運動の記録終了を制御部90に指示した時点を意味する。
また、ウェアラブル機器200(制御部90)は、GPS衛星8からの衛星信号から、GPS衛星8の軌道上の位置を示す軌道情報(衛星軌道情報)などを含むGPSアシスト情報を取得するように構成してもよい。
計測が終了した後、ウェアラブル機器200は、携帯機器300に第1の期間における観測データ(Measデータ)と、第2の期間における測定位置情報とを送信する。加えて、ウェアラブル機器200は、携帯機器300にGPSアシスト情報を送信する。
携帯機器300は、受信した第1の期間における観測データ(Measデータ)と、第2の期間における測定位置情報とをサーバー400に送信する。加えて、携帯機器300は、サーバー400にGPSアシスト情報を送信するように構成してもよい。
サーバー400は、受信した第1の期間における観測データ(Measデータ)、第2の期間における測定位置情報、及びGPSアシスト情報に基づいて測位計算を行い、第1の期間における位置情報として、算出位置情報を決定する。つまり、サーバー400は、1回目の測位が成功した時点(第1の測定位置情報が決定された時点)からさかのぼった過去の位置情報として、第1の期間における算出位置情報を決定する。
このように、ウェアラブル機器200の制御部90によって、GPS衛星8が送信する衛星信号から取得、送信された衛星軌道情報(GPSアシスト情報)を用いて、サーバー400が第1の期間に対応する算出位置情報を決定する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器200と携帯機器300とサーバー400とがネットワークNEで接続されていなくても、その間にウェアラブル機器200の取得した衛星軌道情報を用いて算出位置情報を決定することができ、第1の期間における位置情報の提示を確実に、かつ時間効率よく行うことができる。
サーバー400は、決定した第1の期間における算出位置情報と、ウェアラブル機器200において測位を行った第2の期間における測定位置情報と、を携帯機器300に送信する。サーバー400は、算出位置情報と、測定位置情報と、をアップデートして記憶(保存)する。
ユーザーが運動における移動軌跡を確認しようとしたときには、サーバー400から位置情報を取得してウェアラブル機器200にダウンロードする。そして、ユーザーは、ウェアラブル機器200の表示部50に表示された地図にプロットされた移動履歴を移動軌跡としてビジュアル的に確認できるので、ランニングやウォーキングの実績を把握しやすくなる。
具体的に、ユーザーが運動における移動軌跡(位置情報)を確認したい場合は、ウェアラブル機器200の操作部130などから確認の指示を行う。指示を受けたウェアラブル機器200は、携帯機器300に位置情報を要求する。要求を受けた携帯機器300は、サーバー400に対して、アップデートされた位置情報として第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とを携帯機器300に送信する。携帯機器300は、受信した第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とを、ウェアラブル機器200に送信する。
ウェアラブル機器200は、受信した第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とに基づいて、ユーザーの運動にかかる移動軌跡情報(位置情報)として表示部50によって表示する。そして、ユーザーは、表示部50の表示から、計測開始から計測終了までの間の移動軌跡情報(位置情報)を目視によって確認することができる。
なお、上述では、ユーザーが運動における移動軌跡(位置情報)の確認を、ウェアラブル機器200によって行う事例を説明したが、これに限らない。例えば、ユーザーが運動における移動軌跡(位置情報)の確認を、携帯機器300の報知部290(表示部291)で行うこともできる。
3.3.運動モニタリングシステムの動作手順
次に、運動モニタリングシステム100の動作手順の実施例について、図14及び図15を参照して説明する。
図14は、計測開始時の位置情報(ログ情報)の取得手順の一例を示すフローチャートである。図15は、観測データに基づく算出位置情報の決定手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、上述した運動モニタリングシステム100の構成要素と同様の符号を用いて説明する。
実施例にかかる運動モニタリングシステム100の動作手順は、図14に示すように、ユーザーから計測開始の指示を行う工程(ステップS102)から、ユーザーから計測終了の指示を行う工程(ステップS122)の計測終了の指示に基づいて行われる、算出位置情報及び測定位置情報を出力する工程(ステップS126)までの手順に沿って実行される。以下、図14のフローチャートに沿って工程を説明する。
先ず、ステップS102において、ユーザーは、ウェアラブル機器200の操作部130を操作し、自身の運動を開始にあたって、それに伴う運動モニタリングによる計測開始の指示をウェアラブル機器200に対して行う。
次に、ステップS104において、計測開始の指示を受けたウェアラブル機器200の制御部90(第1の処理部)は、GPS衛星8からの衛星信号を受信し、後述する計測終了の指示あり(ステップS122)までの間の観測データ(Measデータ)を受信する。
次に、ステップS106において、制御部90は、受信されている衛星信号に基づいて、GPS衛星8の数が必要数を上回っているか否か(必要数以上か否か)を判定する。ここで、GPS衛星8の数が必要数以上であると判定された場合(ステップS106:Yes)は、制御部90はステップS108に移行する。なお、GPS衛星8の数が必要数以上でないと判定された場合(ステップS106:No)は、制御部90はステップS104に移行する。
次に、ステップS108において、運動モニタリングによる計測を開始する。制御部90は、衛星軌道情報(衛星パラメーター)の取得完了を待たずに計測開始し、第1の期間は、観測データを保存する。制御部90は、3衛星以上を捕捉することで衛星軌道情報(衛星パラメーター)の取得完了を待たずに計測を開始する。
次に、ステップS110において、制御部90は、観測データを記憶部180に保存する。なお、ステップS110における観測データの保存の仕方は、記憶部180の容量などリソースの状況によって異なる。例えば、潤沢にリソースが利用できるときには、無条件に保存することにしてもよいし、リソースの利用に制限がある場合は、所定の算出位置情報が決定できる範囲での保存条件を設定してもよい。
次に、ステップS112において、制御部90は、加速度センサー55の加速度データを用いて、ユーザーの移動距離及びスピードを算出する。加速度センサー55は、第1の期間における移動距離とスピードとを算出する。移動距離は歩幅×歩数で算出し、スピードは歩幅×単位時間当たりの歩数で算出する。
次に、ステップS114において、制御部90は、ユーザーから計測終了の指示があったか否かを判定し、計測終了の指示があった場合(ステップS114:Yes)は、制御部90はステップS124に移行する。なお、計測終了の指示がない場合(ステップS114:No)は、制御部90はステップS116に移行する。
次に、ステップS116において、制御部90は、1回目の測位が成功したか否かを判定する。なお、「1回目の測位が成功したか否か」は、「第1の測定位置情報が決定されたか否か」と言い換えてもよい。1回目の測定位置情報が決定したと判定された場合(ステップS116:Yes)は、制御部90はステップS118に移行する。なお、1回目の測位が成功しないと判定された場合(ステップS116:No)は、制御部90はステップS110に移行する。
次に、ステップS118において、制御部90は、以降測位を継続し、測位結果を第2の期間の測定位置情報として決定する。1回目の測位が成功すると、GPS160を使った測位、移動距離計測、及びスピード計測を行う。
次に、ステップS120において、制御部90は、測定位置情報を記憶部180に保存する。観測データは任意保存される。
次に、ステップS122において、制御部90は、ユーザーから計測終了の指示があったか否かを判定し、計測終了の指示があった場合(ステップS122:Yes)は、制御部90は、観測データ及び決定された測定位置情報を携帯機器300に送信する。そして、制御部90はステップS124に移行する。なお、計測終了の指示がない場合(ステップS122:No)は、制御部90はステップS118に移行する。
次に、ステップS124において、サーバー400の制御部230の算出位置情報決定部235は、観測データ及び測定位置情報から第1の期間の位置情報として算出位置情報を決定する。ここで、算出位置情報の決定は、測位の開始された時刻側からさかのぼって行ってもよいし、逆に観測データの取得が開始された時刻側から測位の開始された時刻側に向かって行ってもよい。サーバー400は、観測データ及び測定位置情報を取得し、観測データ及び測定位置情報を使って、第1の期間の位置情報としての算出位置情報を決定する。サーバー400は、過去の衛星軌道情報のパラメーターを時刻と関連付けて記憶し、観測データを取得した時刻に対応する衛星軌道情報を使って、第1の期間の位置情報としての算出位置情報を決定する。
ここで、ステップS124における算出位置情報の決定は、図15のフローチャートに示すような手順で行うことができる。
先ず、ステップS201において、サーバー400の制御部230は、衛星時刻情報を取得する。ここでの衛星時刻情報は、測位ができていれば正確な時刻情報として取得されている情報であり、測位において既に取得されている衛星時刻情報を用いることができる。
次に、ステップS205において、制御部230は、受信できた全てのGPS衛星8の衛星軌道情報及び衛星時刻情報から、衛星軌道情報の取得時刻(T1)を決定する。
次に、ステップS207において、制御部230の測定位置情報取得部233は、決定した衛星軌道情報の取得時刻(T1)時点のGPS衛星8の位置及び移動速度を決定する。
次に、ステップS209において、制御部230の算出位置情報決定部235は、衛星軌道情報、GPS衛星8の位置及び移動速度に基づいて測位計算を行い、算出位置情報を決定する。
次に、ステップS211において、制御部230は、算出位置情報を記憶部240にアップデートする。以上の手順で、算出位置情報を決定することができる。
図14に戻って、次に、ステップS126において、制御部230は、観測データ、及び第1の期間における算出位置情報とともに第2の期間における測定位置情報を携帯機器300に送信し、一連の手順を終了する。
制御部230によって出力された第1の期間における算出位置情報、及び第2の期間における測定位置情報は、ウェアラブル機器200に送信されて表示部50に表示したり、携帯機器300の表示部291に表示したりして、ユーザーに提示することができる。
このような、運動モニタリングシステム100の動作手順によれば、第1の処理部67が、計測開始から1回目の測定位置情報の決定(第1の測定位置情報の決定)までの第1の期間における観測データ、及び1回目の測定位置情報の決定から計測終了の指示を取得するまでの第2の期間における複数の測定位置情報を出力し、第2の処理部230が、観測データに基づいて第1の期間に対応する位置情報としての算出位置情報を決定し、算出位置情報とともに複数の測定位置情報を出力する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器200とサーバー400とがネットワークNEで接続されていなくても、その間にウェアラブル機器200の取得した観測データを用いて算出位置情報を決定することができ、1回目の測定よりも前(第1の期間)の位置情報を決定することができる。換言すれば、1回目の測定位置情報よりも前にさかのぼって位置情報(位置)を算出することができる。
なお、ステップS114における算出位置情報の決定は、ウェアラブル機器200に備えられている気圧センサー57を併用することによって精度を向上した算出位置情報として求めることができる。この気圧センサー57の取得した気圧データに基づいて算出位置情報を決定する手順について図16を参照して説明する。
図16は、気圧センサー57を用いた位置情報(算出位置情報)の取得手順の一例を示すフローチャートである。
本例の算出位置情報を決定するための手順では、先ず、ステップS304において、サーバー400の制御部230の測定位置情報取得部233は、観測データに含まれる海面気圧(P0)を取得する。
次に、ステップS306において、測定位置情報取得部233は、観測データの取得時刻(T)を取得する。
次に、ステップS308において、測定位置情報取得部233は、気圧センサー57の測定した気圧データに基づいて、観測データ取得時における高度(h)を算出する。
次に、ステップS310において、測定位置情報取得部233は、観測データの取得時刻(T)の位置情報が存在するか否かの判定を行う。観測データの取得時刻(T)の位置情報が存在する場合(ステップS310:Yes)は、制御部230はステップS312に移行する。なお、観測データの取得時刻(T)の位置情報が存在しない場合(ステップS310:No)は、制御部230はステップS314に移行する。
次に、ステップS312において、測定位置情報取得部233は、位置情報の高度と算出した高度(h)との差が一定値以下であるか否かを判定する。位置情報の高度と算出した高度(h)との差が一定値以下である場合(ステップS312:Yes)は、制御部230はステップS304に移行する。なお、位置情報の高度と算出した高度(h)との差が一定値以下でない場合(ステップS312:No)は、制御部230はステップS314に移行する。
次に、ステップS314において、制御部230の算出位置情報決定部235は、高度(h)を固定して2D測位計算を行う。
次に、ステップS316において、算出位置情報決定部235は、ステップS314で算出された経度、緯度などの情報を算出位置情報として決定し、記憶部240にアップデートする。このように気圧センサー57の測定結果から求められる標高情報も加えて算出位置情報を決定することにより、GPS衛星8の数を減らして算出位置情報を決定することができる。
以上説明した運動モニタリングシステム100によれば、ウェアラブル機器200の計測開始から第1の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データを利用して、情報処理装置としての携帯機器300の第2の処理部である制御部230が第1の期間に対応する位置情報としての算出位置情報を決定する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器200が衛星軌道情報を待っていなくても、ユーザーが運動を終了し、計測を終了したときに、ウェアラブル機器200の取得した観測データを携帯機器300へ送信し、携帯機器300において観測データを用いて第1の期間の算出位置情報をさかのぼって決定することができ、第1の期間における位置情報を決定し、出力することができる。換言すれば、携帯機器300によって、ウェアラブル機器200によって測位が成功した第1の測定位置情報と、第1の測定位置情報の測位が成功する前にウェアラブル機器200によって取得された観測データを用いて、第1の測定位置情報の測位が成功する時点より前の位置情報を算出し、第1の期間の算出位置情報として決定し、出力することができる。
また、1回目の測定位置情報(第1の測定位置情報)を初期位置として用いることにより、精度の良い初期位置を設定することができるので、測位に係る時間の短縮と、ユーザーの運動による移動時の位置(移動軌跡)を精度よく計算し、提示することができる。
3.4.ウェアラブル機器の変形例
次に、運動モニタリングシステム100に含まれるウェアラブル機器200aの構成に係る変形例を、図17を参照して説明する。
図17は、ウェアラブル機器200aの構成に係る変形例を示すブロック図である。なお、本説明では、上述の実施形態と同様な構成部位は、同じ符号を付し、その説明を省略する。また、変形例に係るウェアラブル機器200aは、運動モニタリング装置の一例である。
運動モニタリング装置としてのウェアラブル機器200aは、その機能構成として、図17に示されているように、光センサー部40、操作部130、GPS160、体動センサー部170、記憶部340、表示部350、通信部380、及び制御部390を含んでいる。ウェアラブル機器200aは、制御部390の構成が上述の実施形態と異なる。制御部390は、第1の処理部190及び第2の処理部330を備えている。
第1の処理部190は、光センサー部40を駆動し脈波を測定する回路、表示部350を駆動する回路、体動センサー部170を駆動し体動情報を検出する回路、GPS160を制御する回路などの制御回路を構成する。また、第1の処理部190は、GPS160によって取得された複数の衛星信号に基づいて、操作部130の操作による計測開始から1回目の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データを生成する観測データ生成部95を備えている。観測データ生成部95は、計測開始から第1の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データを生成する。また、第1の処理部190は、GPS160によって取得された複数の衛星信号に基づいて測位計算を行い、1回目の測定位置情報の決定から計測終了までの第2の期間における測定位置情報を決定する機能を備えている。
第2の処理部330は、第1の処理部190によって生成された計測情報や位置情報に基づいた位置の算出処理を行い、測定位置情報取得部233、算出位置情報決定部235、及び出力部237を含んでいる。第2の処理部330は、例えば、記憶部340をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えば、CPU等のプロセッサーあるいはASICなどの論理回路により実現できる。なお、第2の処理部330は、ユーザーの指示した計測開始から計測終了までの間において、計測開始からGPS160の測位が開始されるまでの間(第1の期間)のユーザーの位置を、衛星信号の観測データからさかのぼって推測し、算出位置情報とし、GPS160の測位が開始され、1回目の測位による測定位置情報の決定から計測終了までの第2の期間における測定位置情報とともに記憶部340に記憶させたり、他の情報処理機器に送信したりするための指示を行う。
測定位置情報取得部233は、GPS160によって測位計算された第2の期間における測定位置情報や時刻情報、若しくは方位センサー56や気圧センサー57によって取得された方位情報や標高情報に基づいて、ユーザーの現在位置情報や移動軌跡情報を生成する。なお、測定位置情報取得部233は、生成した現在位置情報や移動軌跡情報を記憶部340に保存したり、表示部350の表示データとしたりすることができる。
算出位置情報決定部235は、第1の期間における観測データに基づいて、第1の期間に対応するユーザーの測定位置情報に代わる位置情報として算出した算出位置情報を決定する。算出位置情報決定部235は、決定した算出位置情報を経過時刻ごとのログ情報として、測定位置情報取得部233の生成した現在位置情報や移動軌跡情報とともに記憶部340に保存したり、表示部350の表示データとしたりすることができる。算出位置情報決定部235は、観測データに対して、測位計算を実施するが、この測位計算については、上述した実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
出力部237は、算出位置情報決定部235の決定した第1の期間における算出位置情報と、測定位置情報取得部233の取得した第2の期間における測定位置情報や移動軌跡情報とを、サーバー400など他の情報処理装置に出力する。
このような運動モニタリング装置としてのウェアラブル機器200aによれば、計測開始から1回目の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データを利用して、処理部としての制御部390が第1の期間に対応する位置情報としての算出位置情報をさかのぼって決定することができる。したがって、計測開始時におけるネットワーク接続に影響されずに第1の期間における位置情報の提示を短時間で行うことができる。
また、第2の期間における測定位置情報の決定、及び第1の期間に対応する算出位置情報の決定を、第1の処理部190、及び第2の処理部330に区分して行うことにより、処理スピードを速くして、ユーザーの待ち時間を短縮させることができる。
3.5.データの送受信の変形例
位置情報の送受信に関しては、携帯機器300が衛星軌道情報をサーバー400から取得し、携帯機器300がサーバー400から取得した衛星軌道情報を使って算出位置情報を決定する構成とすることができる。この構成例について、運動モニタリングシステム100を構成する機器間のデータ(観測データ(Measデータ)や位置情報など)のやり取りのタイミング(シーケンス)の変形例として、図18を参照して説明する。
運動モニタリングシステム100を構成するウェアラブル機器200、携帯機器300、及びサーバー400における通信タイミングは、図18に示す変形例を用いることができる。ここでの通信タイミングは、ユーザーがウェアラブル機器200から計測開始の指示を行うことによって計測が開始され、ウェアラブル機器200では、GPS衛星8からの衛星信号の取得を開始する。
図12及び図13に沿って説明した実施形態と同様に、計測開始から1回目の測位が成功するまでの間である第1の期間では、1回目の計測時刻から1回目の測位が成功する直前のn回目の計測時刻まで観測データ(Measデータ)を生成する。そして、1回目の測位が成功してから計測終了の指示がされるまでの間である第2の期間では、それぞれの計測時刻における測位位置データとして測定位置情報を決定する。このとき、観測データ(Measデータ)の生成を併せて行ってもよい。計測が終了した後、ウェアラブル機器200は、携帯機器300に第1の期間における観測データ(Measデータ)と、第2の期間における測定位置情報とを送信する。
観測データ(Measデータ)と測定位置情報とを受信した携帯機器300は、サーバー400に第1の期間における観測データ(Measデータ)と、第2の期間における測定位置情報とを送信する。
観測データ(Measデータ)と測定位置情報とを受信したサーバー400は、衛星軌道情報(GPSアシスト情報ともいう)を取得する。
観測データ(Measデータ)、測定位置情報、及び衛星軌道情報を取得したサーバー400は、受信した第1の期間における観測データ(Measデータ)、第2の期間における測定位置情報、及び衛星軌道情報に基づいて、1回目の測位成功からさかのぼって測位計算を行い、第1の期間における位置情報として、算出位置情報を決定する。つまり、サーバー400は、1回目の測位が成功した時点からさかのぼった過去の位置情報として、第1の期間における算出位置情報を決定する。
サーバー400は、決定した第1の期間における算出位置情報と、ウェアラブル機器200において測位を行った第2の期間における測定位置情報と、を携帯機器300に送信する。サーバー400は、算出位置情報と、測定位置情報と、をアップデートして記憶(保存)する。
ユーザーが運動における移動軌跡を確認しようとしたときには、サーバー400から位置情報を取得してウェアラブル機器200にダウンロードする。そして、ユーザーは、ウェアラブル機器200の表示部50に表示された地図にプロットされた移動履歴を移動軌跡としてビジュアル的に確認できるので、ランニングやウォーキングの実績を把握しやすくなる。
具体的に、ユーザーが運動における移動軌跡(位置情報)を確認したい場合は、ウェアラブル機器200の操作部130などから確認の指示を行う。指示を受けたウェアラブル機器200は、携帯機器300に位置情報を要求する。要求を受けた携帯機器300は、サーバー400に対して、アップデートされた位置情報として第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とを携帯機器300に送信する。携帯機器300は、受信した第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とを、ウェアラブル機器200に送信する。
ウェアラブル機器200は、受信した第1の期間における算出位置情報と、第2の期間における測定位置情報とに基づいて、ユーザーの運動にかかる移動軌跡情報(位置情報)として表示部50によって表示する。そして、ユーザーは、表示部50の表示から、計測開始から計測終了までの間の移動軌跡情報(位置情報)を目視によって確認することができる。
なお、上述した測位計算の処理タイミングとして、比較的処理が空いている時間帯に、少しずつ算出位置情報の決定処理を実施して行く方法を適用し、比較的計算量が多い算出位置情報の決定処理を行うことで、通常の(リアルタイムの)測位計算に支障をきたす虞を減少させることができる。また、計測終了の状態へ移行したときに、算出位置情報の決定処理を実施して行く方法を適用し、比較的計算量が多い算出位置情報の決定処理を行うことで、通常の(リアルタイムの)測位計算に支障をきたす虞を減少させることができる。
また、運動モニタリングシステム100では、ウェアラブル機器200で計測した位置情報などのデータを取得後、若しくはデータを取得中随時、携帯機器300にログ情報としてアップデートする。そして、携帯機器300では、取得した情報をそのままサーバー400へアップデートしてログ情報として保存されるが、以下に示す位置情報(ログ情報)に係る変形例2のような保存形態とすることができる。
以下、図19を参照して位置情報(ログ情報)の保存に係る変形例2について説明する。
図19は、変換処理後の位置情報(ログ情報)に係る変形例2を時系列で示す一覧表である。位置情報(ログ情報)の保存に係る変形例2は、ユーザーの運動中に、GPS信号を使っての測定位置情報を決定できなくなった場合の一例を示している。
ここで、図19では、計測開始からの経過時刻ごとのログ情報の状態が示されている。そして、ウェアラブル機器200からは、観測データ(Measデータ)及び測定位置情報が出力される。図19に示す例では、1回目の測位が成功した時点として計測開始から20000msecのときから測位が始まり、第1の測定位置情報が決定される。そして、第1の測定位置情報が決定されたのち、計測開始から27000msecまでは、ログ情報として測定位置情報が決定されるが、その後の計測開始から28000msecから36000msecまでの間は、GPS信号を使っての測定位置情報が決定できていない。
この測定位置情報が決定できていない間である、計測開始から1000msecから19000msecまでの間、及び28000msecから36000msecまでの間は、GPS衛星8からの衛星信号に含まれる情報である観測データ(図19では、Measデータと記載)が取得され、出力されている。その後、計測開始から37000msecのとき、再度GPS信号を使っての測位が始まり、以降複数の測定位置情報が決定される。なお、測位が行われて測定位置情報として決定される間においても、観測データ(Measデータ)は、ログ情報として取得されている。
また、複数の処理部(CPU)を搭載している携帯機器を用い、通常の(リアルタイムの)測位計算と、算出処理情報の決定処理とを、別々のCPUで処理することにより、それぞれの処理が重なることによって生じる支障を減少させることができる。
また、上述した実施形態では、全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)が備える位置情報衛星としてGPS衛星8を用いたGPSを例示して説明したが、これはあくまで一例である。全地球的航法衛星システムは、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他のシステムや、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの衛星信号を発信する位置情報衛星を備えるものであればよい。即ち、ウェアラブル機器200,200aは、GPS衛星8以外の衛星を含む位置情報衛星からの電波(無線信号)を処理して把握される日付情報、時刻情報、位置情報、及び速度情報のいずれか一つを取得する構成であってもよい。なお、全地球的航法衛星システムは、地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigation Satellite System)とすることができる。
また、上記実施形態において、制御部67は、3衛星以上を捕捉したら、衛星軌道情報(衛星パラメーター)の取得完了を待たずに計測開始するとしたが、1か所でも測位できていたら、2衛星以上でも実現は可能であるとしてもよい。サーバー400が持つ地図データから測位ポイントの高度情報を持ってきてもよい。制御部90は、計測途中から測位できなくなった(受信環境の劣化、衛星軌道情報の期限切れなど)場合も、メジャーメント情報を保存するようにしてもよい。
また、上記実施形態の図14において、ウェアラブル機器200の制御部90は、ステップS102において計測開始の指示を受け付け、ステップS104においてGPS衛星8からの衛星信号を受信し、後述する計測終了の指示あり(ステップS122)までの間の観測データ(Measデータ)を受信し、ステップS106において制御部90は、受信されている衛星信号に基づいて、GPS衛星8の数が必要数を上回っているか否か(必要数以上か否か)を判定し、GPS衛星8の数が必要数以上であると判定された場合(ステップS106:Yes)は、制御部90は運動モニタリングによる計測を開始する(ステップS108)構成とした。しかし、これに限定されない。
ステップS102~ステップS106を省略し、ユーザーの操作により操作部130から計測開始を指示する信号を制御部90が取得すると、制御部90は運動モニタリングによる計測を開始するように構成してもよい。この場合、GPS160で取得されたGPS衛星数が所定数に満たない場合は、GPS衛星数不足を表すフラグとともに観測データを記憶部180に記憶する。このような構成にすることで、ユーザーの操作部130の操作後、すぐに運動を開始することができるため、計測開始までの待機時間をさらに短縮することができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
本願の運動モニタリングシステムは、ユーザーの運動中に測定された位置情報である測定位置情報を計測するウェアラブル機器と、前記ウェアラブル機器とデータ通信可能な情報処理装置と、を有する運動モニタリングシステムであって、前記ウェアラブル機器は、前記ユーザーが前記測定位置情報の計測開始及び計測終了を指示する操作部と、測位衛星が送信する衛星信号を用いて、前記衛星信号の観測データを生成する観測データ生成部と、前記計測開始の指示を取得すると、所定数以上の前記測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉している場合、前記衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて前記観測データを記憶させる第1の処理部と、前記受信時刻及び前記観測データを送信する通信部と、を有し、前記情報処理装置は、前記受信時刻及び前記観測データを取得し、前記受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報を取得し、前記観測データと前記過去の衛星軌道情報とを用いて、前記受信時刻における算出位置情報を決定する第2の処理部と、前記算出位置情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
これによれば、ウェアラブル機器の計測開始から衛星信号を受信した受信時刻と関連付けた観測データを利用して、情報処理装置の第2の処理部が衛星信号を受信した受信時刻における位置情報としての算出位置情報を決定する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器が衛星軌道情報を待っていなくても、ユーザーが運動を終了し、計測を終了したときにウェアラブル機器の取得した衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置において衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを用いて衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができ、その算出位置情報を出力することができる。その結果、ユーザーを待たせることなく計測を開始することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記観測データは、前記ウェアラブル機器と前記測位衛星との擬似距離、及び前記衛星信号の周波数情報を含むことが好ましい。
これによれば、観測データに含まれているウェアラブル機器と測位衛星との擬似距離、及び衛星信号の周波数情報により、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記観測データは、前記測位衛星の衛星番号、及び前記測位衛星の時刻情報を含むことが好ましい。
これによれば、上記内容に加えて、観測データに含まれている測位衛星の衛星番号、及び測位衛星の時刻情報を参照して、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記観測データ生成部は、前記計測開始から第1の前記測定位置情報の決定までの第1の期間における前記観測データを生成し、前記第1の処理部は、前記第1の測定位置情報の決定から前記計測終了までの第2の期間における前記測定位置情報を決定し、前記第2の処理部は、前記第1の測定位置情報を初期位置として、前記算出位置情報を決定することが好ましい。
これによれば、第1の処理部が、計測開始から第1の測定位置情報の決定までの第1の期間における観測データ、及び第1の測定位置情報の決定から計測終了の指示を取得するまでの第2の期間における測定位置情報を出力し、第2の処理部が、観測データに基づいて第1の期間に対応する位置情報としての算出位置情報を決定し、算出位置情報とともに測定位置情報を出力する。換言すれば、1回目の測定位置情報よりも前にさかのぼって位置情報(位置)を算出することができる。また、第2の処理部が、第1の測定位置情報を初期位置として用いてユーザーの運動による移動時の位置を計算することから、精度の良い初期位置を設定することができることになり、測位に係る時間の短縮、及び精度向上を図ることができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記第1の処理部は、前記測位衛星が送信する前記衛星信号の衛星軌道情報を取得し、前記通信部は、前記情報処理装置に前記衛星軌道情報を送信し、前記第2の処理部は、前記衛星軌道情報を用いて、前記第1の期間に対応する前記算出位置情報を決定することが好ましい。
これによれば、ウェアラブル機器の第1の処理部によって、測位衛星が送信する衛星信号から取得、送信された衛星軌道情報を用いて、情報処理装置の第2の処理部が第1の期間に対応する算出位置情報を決定する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器と情報処理装置とがネットワークで接続されていなくても、その間にウェアラブル機器の取得した衛星軌道情報を用いて算出位置情報を決定することができ、第1の期間における位置情報の提示を確実に行うことができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記第1の測定位置情報は、前記計測開始のあと最初に決定された前記測定位置情報であることが好ましい。
これによれば、計測開始から最初の測定位置情報が取得(決定)されるまでの間、換言すれば、運動している間において位置が決定されなかった期間、における位置情報を算出位置情報として決定し、運動の記録を補うことができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記第2の処理部は、前記第1の期間に対応する複数の前記算出位置情報を決定する、ことが好ましい。
これによれば、運動している間において位置が決定されなかった第1の期間における複数の位置情報を算出位置情報として決定できるので、運動の記録を詳細に補うことができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記ウェアラブル機器は、気圧センサーを有し、前記通信部は、前記気圧センサーの取得した気圧データを前記情報処理装置へ送信し、前記情報処理装置は、前記気圧データ、及び前記観測データを用いて前記算出位置情報を決定することが好ましい。
これによれば、気圧センサーの取得した気圧データ、及び観測データを用いることにより、測位衛星の数を減らして算出位置情報を決定することができる。それにより第2の処理部での処理負荷を軽減することができ、さらに高度(標高)における精度も確保することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記ウェアラブル機器は、加速度センサーを有し、前記第1の処理部は、前記加速度センサーの取得した加速度データを用いて、前記第1の期間における前記ユーザーの運動中の移動距離及びスピードの少なくともいずれかを決定することが好ましい。
これによれば、加速度センサーを備えることにより、測定位置情報の決定ができない第1の期間であっても、ユーザーの運動中の移動距離及びスピードの少なくともいずれかを決定することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記第1の処理部は、前記加速度データと前記ユーザーの歩幅との関係を学習し、それを用いて、前記移動距離を算出することが好ましい。
これによれば、移動距離を加速度データと歩幅との関係により正確に算出することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記情報処理装置は、表示部を有し、前記表示部は、前記観測データ及び前記測定位置情報を地図上に表示することが好ましい。
これによれば、表示部が観測データ及び測定位置情報を地図上に表示することにより、運動開始から終了までの移動軌跡を視認することができることから視覚的に容易に確認することができる。
上記の運動モニタリングシステムでは、前記第1の処理部は、前記所定数が3個の場合は、3個の前記衛星信号から判定を行う、前記所定数が4個以上の場合は、4個の前記衛星信号から判定を行うことが好ましい。
これによれば、3個の衛星信号を受信した場合には、第1の処理部は、3個の衛星信号から判定を行い二次元測位処理によって位置情報を算出できる。また、4個以上の衛星信号を受信した場合には、第1の処理部は、4個の衛星信号から判定を行い三次元測位処理によって位置情報を算出できる。したがって、それぞれ捕捉した測位衛星からの信号で測位処理を実行できるため、衛星サーチ処理を継続する必要がなく、衛星信号の受信処理を効率的に行うことができ、消費電力も低減できる。なお、三次元測位とは、ウェアラブル機器の現在位置を、緯度・経度・標高の三次元のデータで算出するものである。一方、二次元測位とは、標高は所定値に設定し、ウェアラブル機器の現在位置を、緯度・経度の二次元のデータで算出するものである。
本願の運動モニタリング方法は、第1の処理部と第2の処理部とを有し、ユーザーの運動中の位置情報をモニタリングする運動モニタリングシステムの運動モニタリング方法であって、前記第1の処理部は、前記位置情報である測定位置情報の計測開始の指示を取得し、前記計測開始の指示を取得すると、所定数以上の測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉している場合、前記測位衛星が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力し、前記第2の処理部は、前記受信時刻及び前記観測データを取得し、前記受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、前記観測データと、を用いて、前記受信時刻における算出位置情報を決定し、前記算出位置情報を出力することを特徴とする。
これによれば、第1の処理部が計測開始の指示を取得すると、所定数以上の測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、所定数以上の測位衛星を捕捉している場合、測位衛星が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力し、第2の処理部が、衛星信号を受信した受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、観測データと、を用いて、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定し、算出位置情報を出力する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器が衛星軌道情報を待っていなくても、ユーザーが運動を終了して、計測を終了したときにウェアラブル機器の取得した衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置において衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを用いて衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができ、その算出位置情報を出力することができる。その結果、ユーザーを待たせることなく計測を開始することができる。
本願のプログラムは、ユーザーの運動中の位置情報をモニタリングするプログラムであって、前記位置情報である測定位置情報の計測開始の指示を取得するステップと、前記計測開始の指示を取得すると、所定数以上の測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉している場合、前記測位衛星が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力するステップと、前記受信時刻及び前記観測データを取得し、前記受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、前記観測データと、を用いて、前記受信時刻における算出位置情報を決定するステップと、前記算出位置情報を出力するステップと、を含むことを特徴とする。
これによれば、第1の処理部が計測開始の指示を取得すると、所定数以上の測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、所定数以上の測位衛星を捕捉している場合、測位衛星が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力し、第2の処理部が、衛星信号を受信した受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、観測データと、を用いて、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定し、算出位置情報を出力する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器が衛星軌道情報を待っていなくても、ユーザーが運動を終了し、計測を終了したときにウェアラブル機器の取得した衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置において衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを用いて衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができ、その算出位置情報を出力することができる。その結果、ユーザーを待たせることなく計測を開始することができる。
本願の運動モニタリング装置は、ユーザーの運動中の位置情報をモニタリングする運動モニタリング装置であって、前記ユーザーが測定位置情報の計測開始及び計測終了を指示する操作部と、測位衛星が送信する衛星信号を用いて、前記衛星信号の観測データを生成する観測データ生成部と、過去の衛星軌道情報を時刻と関連付けて記憶する記憶部と、前記計測開始の指示を取得すると、所定数以上の前記測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉している場合、前記衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて前記観測データを記憶させ、前記受信時刻に対応する前記過去の衛星軌道情報と、前記観測データと、を用いて、前記受信時刻における算出位置情報を決定する処理部と、前記算出位置情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
これによれば、第1の処理部が計測開始の指示を取得すると、所定数以上の測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、所定数以上の測位衛星を捕捉している場合、測位衛星が送信する衛星信号を受信した受信時刻と関連付けて観測データを出力し、第2の処理部が、衛星信号を受信した受信時刻に対応する過去の衛星軌道情報と、観測データと、を用いて、衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定し、算出位置情報を出力する。したがって、計測開始時において、ウェアラブル機器が衛星軌道情報を待っていなくても、ユーザーが運動を終了し、計測を終了したときにウェアラブル機器の取得した衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを情報処理装置へ送信し、情報処理装置において衛星信号を受信した受信時刻、及び観測データを用いて衛星信号を受信した受信時刻における算出位置情報を決定することができ、その算出位置情報を出力することができる。その結果、ユーザーを待たせることなく計測を開始することができる。
上記の運動モニタリング装置では、前記処理部は、前記計測開始の指示を取得すると、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉したかどうかを判定し、前記所定数以上の前記測位衛星を捕捉している場合、前記受信時刻と関連付けて前記観測データを記憶させる第1の処理部と、前記第1の処理部から前記受信時刻及び前記観測データを取得し、前記受信時刻に対応する前記過去の衛星軌道情報と、前記観測データと、を用いて、前記受信時刻における前記算出位置情報を決定する第2の処理部と、を有することが好ましい。
これによれば、測定位置情報の決定を、第1の処理部及び第2の処理部に区分して行うことにより、処理スピードを速くして、ユーザーの待ち時間を短縮させることができる。