JP7098961B2 - ゴルフクラブ用シャフト - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブ用シャフトに関する。
ゴルフの打球の飛距離は、ボールの初速、打ち出し角度、スピン量で決定することが知られている。飛距離を伸ばすためには、適正且つ安定した打ち出し角度とスピン量を備え、さらにボールの初速を増加させることが必要である。
これらの要素を改善するため、様々な手法でゴルフクラブ用シャフトが設計されてきた。その手法の一つとして、超弾性合金繊維を用いる手法が知られている。
特許文献1には、ニッケルチタン繊維を、カーボン繊維層の層間に、ヘッド側端部からシャフト長手方向に沿って長さ50cmの範囲内にわたり、5~10本、シャフト軸方向に対し平行又は斜めにかつシャフト軸周りに等間隔に配列したシャフトが記載されている。また、これにより、シャフト全体の弾性性能が向上され、スイング時のシャフトのしなりにより大きな弾性エネルギーを蓄積することができ、ヘッドスピードをアップさせて飛距離を伸ばすことができることが記載されている。
特許文献2には、超弾性の合金繊維とカーボン繊維を、ストレート層として併用したプリプレグを、少なくとも1枚用いたゴルフクラブ用シャフトが記載されている。また、当該ゴルフクラブ用シャフトは、動的なプレー時のタイミングの取り易さを改良し、スイングを安定させ、さらに、スイング時のシャフトの撓みを復元しやすくし、飛距離の増大及び方向性の安定向上ができることが記載されている。
特開2001-120697号公報 特開2008-49203号公報
しかしながら、これらの手法では、飛距離を伸ばすために不可欠な項目である、スピン量の低減に関しては検討されていなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、スピン量を低減することで、キャリー(ゴルフボールをヒットした地点から、ボールが地面に落ちた地点までの距離)およびトータル飛距離(ゴルフボールが地面に落ちた後、さらに転がる(ラン)距離を含めたゴルフボールの移動距離)の向上が可能であるゴルフクラブ用シャフトを提供することを課題としている。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層を2層以上使用したゴルフクラブ用シャフトにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、以下の(1)~(3)の通りである。
(1) 複数の繊維強化樹脂層を有するゴルフクラブ用シャフトであって、前記繊維
強化樹脂層のうち、2層以上が超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層であり、前記超弾性
合金繊維を含む繊維強化樹脂層は、一枚以上の超弾性合金繊維を含まない繊維強化樹脂層
を隔てて配置されているゴルフクラブ用シャフト。
(2) 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層を前記シャフトのチップ端側から0~400mmの範囲内に有する(1)に記載のゴルフクラブ用シャフト。
(3) 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層を前記シャフトのチップ端側から0~400mmの範囲内に少なくとも2層以上有する(1)または(2)に記載のゴルフクラブ用シャフト。
(4) 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層のうち、少なくとも2層以上において、強化繊維の配向角度が、ゴルフクラブ用シャフトの軸方向に対して-5°以上+5°以下である(1)から(3)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトを含むゴルフクラブ。
本発明のゴルフクラブ用シャフトは、ボールのスピン量を低減し、かつ打出し角を大きくできるため、キャリーを長くさせられる。また、スピン量を低減することで、ゴルフボールが地面に落ちた後、さらに転がる(ラン)距離を長くさせられるため、トータル飛距離(ランを含めたゴルフボールの移動距離)を長くさせられる。
本発明のゴルフクラブ用シャフトの一実施形態例を示すプリプレグの裁断形状と、巻き付け順序とを示す説明図である。 比較例1の形態例を示すプリプレグの裁断形状と巻き付け順序を示す説明図である。 本発明の一実施形態における固有振動数を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるバランスポイントを説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるキックポイントを説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態に関して具体例を示して説明する。なお、以後、本明細書では、ゴルフクラブ用シャフトをシャフト、シャフトの太径端部をバット端部、細径端部をチップ端部と表記する。
本実施形態における「ゴルフクラブ用シャフト」とは、ゴルフクラブに組む前のシャフト(ゴルフクラブの部品)と、ゴルフクラブの各部品をゴルフクラブに組み立てた際の、前記ゴルフクラブにおけるシャフト部分の両方を意味する。なお、ゴルフクラブにおけるシャフト部分の方がより本願発明の効果を発現する。
本発明のシャフトは、複数の繊維強化樹脂層を有する。本発明のシャフトの製造方法としては、本発明のシャフトを製造できれば特に制限されず、公知の製造方法を適用できるが、繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂層(プリプレグ)を、マンドレルに複数枚巻きつけて、これを加熱硬化した後にマンドレルを抜き取ることで成形するシートラッピング法が一例として挙げられる。
シートラッピング法では、プリプレグとして、面積や含有する強化繊維の配向角が異なる複数種のものを用意し、これらを1枚ずつ順次マンドレルに巻回し、多層構造のシャフトを製造することが一般的である。プリプレグの枚数は、8~14枚程度が一般的である。
各プリプレグの面積、各プリプレグが含有する強化繊維の配向角、各プリプレグが含有する強化繊維の引張弾性率、各プリプレグを巻回する位置などを調整したり、プリプレグの層数を変更したり、マンドレルの形状を変更したりすることにより、本発明のシャフトを製造することができる。また、この際に、シャフトのテーパー度やシャフトの外径などの形状、及びシャフトの物性を適宜調整することができる。
本発明の繊維強化樹脂を構成する繊維は、金属繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、その他の高強力合成繊維などを使用することができる。無機繊維は軽量、かつ高強力であることから好ましく使用される。これらの中でも、比強度、比剛性に優れるため、炭素繊維が最も好ましい。
これらの繊維は、単独または混合して使用できる。また、長繊維、短繊維及びこれらの混合繊維など、どのような長さの繊維を用いてもよい。
繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、シャフトの剛性をより高くできることから、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。また、繊維強化樹脂層の繊維体積含有率は、マトリックス樹脂と強化繊維とを充分に密着させるためには、ある程度の樹脂量が必要であることから、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
繊維強化樹脂層の繊維目付は特に限定しないが、各層に必要な厚さ、巻き径から適宜選択できる。
本発明の繊維強化樹脂を構成するマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができるが、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびこれらの混合樹脂を用いることができる。一方、熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらの混合樹脂を使用することができる。中でも、エポキシ系樹脂は硬化収縮率が少なく、高い強度、剛性、及び靱性値を有するので、最も好ましく使用される。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを使用し得る。これらのエポキシ樹脂は、液状のものから固体状のものまで使用できる。更に、単一種類のエポキシ樹脂又は2種類以上のエポキシ樹脂をブレンドして使用することもできる。又エポキシ樹脂には、硬化剤を配合して用いることが多い。
本実施形態のシャフトの長さは、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンなど、種類によって異なる。本発明の本質である、飛距離が必要なクラブは、ドライバーとフェアウェイウッドなどのウッド用ゴルフシャフトである。これらのシャフトの全長Lsは、通常1092mm~1220mmである。
本実施形態のシャフトの重量は、シャフト全長Lsに伴って変化するため、明確な重量定義が困難となる。そこで、本明細書中では、下記の式によってシャフト全長Lsを1168mmに換算したときのシャフト重量を定義する。
換算後のシャフト重量=M×(Ls/1168)・・・式(1)
M=シャフト重量
Ls=シャフト全長
前述のように、本発明のシャフトはウッド用であるため、35≦Ls≦80であることが好ましい。
本実施形態のシャフトを構成する繊維強化樹脂層としては、例えば、シャフトの長手方向に対して強化繊維を配向角度-5°~+5°に配向したストレート層、シャフトの長手方向に対して強化繊維を配向角度85~95°に配向したフープ層、シャフトの長手方向に対して強化繊維が配向角度+35~+55°又は-35~-55°に配向したアングル層が挙げられる。なお、アングル層は、強化繊維の配向角度が正である1枚と、強化繊維の配向角度が負である1枚の2枚を一組として、バイアス層として使用する。
前記ストレート層、フープ層、及びバイアス層を構成するマトリックス樹脂及び繊維は、上述の繊維強化樹脂の説明のとおりである。
ストレート層は、炭素繊維がシャフトの長手軸方向に略平行に配向していることで、曲げ剛性や曲げ強度を高くすることができる。略平行の範囲は、シャフトの長手軸方向に対して-5°以上+5°以下である。
ストレート層を形成する繊維の引張弾性率は50GPa以上400GPa以下が好ましい。繊維の引張弾性率が50GPa以上であると、曲げ剛性が十分であり、スイングリズムが良くなる。一方、繊維の引張弾性率が400GPa以下であれば、曲げ剛性と曲げ強度が適切な範囲になる。
ストレート層1層の厚さは0.05mm以上0.150mm以下が好ましい。ストレート層の厚さが0.05mm以上であれば、積層枚数が多くなりすぎないため、生産性が高くなる。また、取扱い性が良くなるため、皺等の不良が発生しにくくなり、成形性が良好になる。一方、ストレート層の厚さが0.150mm以下であれば、外径や曲げ剛性を均一にすることができ、品質が良好になる。
フープ層には、主に潰し剛性や潰し強度を高める効果がある。フープ層の配向角度がシャフトの長手軸方向に対して+85~+95°又は、-85~-95°、すなわち配向角度の絶対値が85°以上95°以下であれば、シャフトの潰し剛性や潰し強度の両方が十分になる。フープ層を形成する繊維の引張弾性率は240GPa以上、400GPa以下が好ましい。繊維の引張弾性率が240GPa以上であると、潰し剛性が十分に確保され、潰し変形によるスイングリズムの乱れが起こりにくい。一方、繊維の引張弾性率が400GPa以下であると、潰し剛性と潰し強度を十分に確保できる。
フープ層1層の厚さは0.02mm以上0.100mm以下が好ましい。フープ層の厚さが0.02mm以上であれば、十分な潰し剛性が得られる。一方、フープ層の厚さが0.100mm以下であれば、取扱い性が良くなり、皺等の発生が抑制され、成形性が良好になる。
バイアス層には、主にねじり剛性やねじり強度を高める効果がある。
バイアス層の配向角度は、シャフトの長手軸方向に対して+35~+55°又は-35~-55°、すなわち配向角度の絶対値が35°以上55°以下であれば、シャフトの曲げ剛性とねじり剛性の両方が十分になる。
バイアス層を形成する繊維の引張弾性率は240GPa以上550GPa以下が好ましい。繊維の引張弾性率が240GPa以上であれば、ねじり剛性が十分であり、ボールインパクト時のヘッドのフェース面の返りが遅れないため、方向性が良好になる。一方、繊維の引張弾性率が550GPa以下であれば、ねじり強度を十分に確保できる。
バイアス層1層の厚さは0.05mm以上0.125mmが好ましい。バイアス層1層の厚さが0.05mm以上であれば、積層数が多くなり過ぎないため、皺等の発生が抑制され、成形性が良好になる。一方、バイアス層の1層の厚さが0.125mm以下であれば、外径や曲げ剛性を均一にすることができる。
本発明の繊維強化樹脂層のうち、少なくとも2層は、超弾性合金繊維を含む。2層以上の繊維強化樹脂層が超弾性合金繊維を含むことで、効率的にスイングのエネルギーがボールに伝達できるため、ミート率(ボール初速とヘッドスピードの比)を高めることができる。また、スイング中のフェースの戻りが速くなることで、ダイナミックロフトが大きくなるため、ボールの打出し角が高くなり、飛距離が向上する。更には、ヘッドの挙動が安定するため、クラブの入射角が一定になり、ショットが安定する。一方で、ヘッドスピードが43m/s程度の場合、バックスピン量を2400回転/分程度まで減らし、逆に打ち出し角を15~17度程度まで高くする方が、飛距離が長くなると同時にランが増えて、トータルの飛距離が出て理想的であることが知られている。超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層が2層以上であることで、スピン量を低減して、キャリー及びトータル飛距離を伸ばすことができる。超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層は、4層以下が好ましい。前記上限以下とすることで、シャフトの剛性が適正な範囲とすることができ、しなりを利用したスイングをすることができる。
超弾性とは、形状記憶合金が、逆変態温度以上で応力変形したときに、除荷すると原形にもどる現象をいう。超弾性を有する合金が、超弾性合金である。
超弾性合金は、応力変形時の弾性変形量が、通常の金属における0.5%程度であるのと比較して、10%~20%と著しく大きい。超弾性合金としては、例えば、ニッケル・チタン合金や銅・亜鉛・アルミニウム合金などが挙げられる。
超弾性合金繊維としては、伸び率が10%と大きく、入手が容易であるため、ニッケル・チタン合金繊維が好ましい。
超弾性合金繊維をプリプレグとして利用する場合、特に制限はないが、通常、炭素繊維と併用する。ニッケル・チタン合金繊維と炭素繊維との複合化の態様は、ニッケル・チタン合金繊維を0.2mm~2.0mmの間隔で一方向に配置し、当該ニッケル・チタン合金繊維の周囲及び当該ニッケル・チタン合金繊維同士の間に炭素繊維を一方向に配置した構造とすることが一例として挙げられる。ニッケル・チタン合金繊維の外径は、好ましくは50~200μm程度である。
超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層は、長さが400mm以内で、全長がチップ端から400mm以内におさまるように配置することが好ましい。400mm以内とすることで、シャフトのキックポイントを調整しやすくなる。更に好ましくは、長さが300mm以内で、チップ端から300mm以内に配置することが好ましい。超弾性合金繊維を含む複数の繊維強化樹脂層の長さは、同一であっても良く、異なっていても良い。長さが異なることで、シャフトの剛性分布が急激に変化しないため、好ましい。また、長さが長い方を、シャフトの外側に配置することが、シャフトの剛性分布制御の観点で好ましい。
超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層の厚さは、20~300μmとすることが好ましい。20μm以上とすることで、超弾性合金繊維を含むプリプレグを容易に製造することができ、また、シャフトの成形が容易にできる。厚さが300μm以下であることで、シャフトの成形が容易になる。
超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層における繊維配向角は、シャフトの軸方向に対して、-5°以上+5°以下、すなわち、絶対値が5°以内であることが好ましい。絶対値が5°以内であることで、シャフトの曲げからの回復に寄与することができ、スイング中のフェースの戻りが速くなることで、ダイナミックロフトが大きくなるため、ボールの打出し角が高くなり、飛距離が向上する。
超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層は、プリプレグの総積層枚数が9枚以上14枚以下の中で、最内層から数えて1枚目から3枚目に少なくとも一枚と、4枚目から8枚目に少なくとも一枚配置することが好ましい。なお、最内層または最外層からのプリプレグの積層枚数の数え方は、シャフト全長に亘る長さを有しない部分層の場合であっても、一枚と数える。例えば、図2において、バット端に存在するプリプレグの積層枚数は、実際は5枚であるが、パターン3は最内層から3枚目と数える。
複数の超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層は、隣接していても良く、一枚以上の超弾性合金繊維を含まない繊維強化樹脂層を隔てて配置しても良い。一枚以上の超弾性合金繊維を含まない繊維強化樹脂層を隔てて配置した方が、成形時にプリプレグの皺が出にくいため、好ましい。
更に、上記バイアス層や上記ストレート層に加え、部分的なバイアス層や部分的なストレート補強層を存在させても良い。部分的に補強層を設けることでねじり剛性や曲げ剛性を部分的に制御できる。繊維の引張弾性率や厚さは上述の範囲が好ましい。
ゴルフクラブは、通常、シャフトのチップ端にヘッドを取り付け、バット端にグリップを取り付けて組み上げる。ウッド用のゴルフクラブは、通常、クラブとして通常の長さである45inch~46inchになるようにするため、シャフトの両端をカットし、シャフト全長が1100mm~1130mmにしてからヘッドを取り付けて組み上げる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
<シャフトの評価方法>
(固有振動数の測定方法)
シャフトの固有振動数は図3で示す方法で測定した。藤倉ゴム株式会社製ゴルフクラブタイミングハーモナイザーを用い、シャフト1のチップ端部に、ヘッドを模擬した質量196gの錘4を取り付ける。バット端部から固定治具5Aまでの距離を180mm、チップ端部から固定治具5Aまでの距離を988mmとして、シャフトの固有振動数を測定した。
(バランスポイントの測定方法)
シャフトのバランスポイントの模式図を図4に示す。シャフトのチップ端部から、シャフトの重心までの距離Lを、シャフトの全長に対する比率で示した。すなわち、
バランスポイント(%)=(L/L)×100・・・(式2)
で求められる。
(キックポイントの測定方法)
キックポイントは、フォーティーン社製シャフトキックポイントゲージ「FG-105RM」を用いて、図5に示す方法で測定した。
シャフトの両端を回転可能な固定治具5B、5Cで固定し、一方の治具を移動させることにより、固定治具同士を互いに近づけることでシャフトを圧縮して、両端の距離を短縮させることで湾曲させた。このとき、シャフトの周方向に最も突出した点と、チップ端部の距離L、湾曲時のシャフトの両端を直線で結んだ距離をLとし、上記LとLの比率をキックポイントの値とした。両端から加える圧縮荷重Pは、シャフトの曲げ剛性によって異なるが、両端の直線距離が圧縮前のシャフト長の98.5~99.5%になるようにかけるものとする。すなわち、
キックポイント(%)=(L/L)×100・・・(式3)
:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5~99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、シャフトの両端同士を結ぶ直線に、前記湾曲の頂点から垂線を引いた際の交点とシャフトのチップ端部との距離
:前記シャフトの両端同士に、前記シャフトの両端の直線距離がシャフト長の98.5~99.5%となるように圧縮荷重をかけることで湾曲させた際の、前記シャフトの両端同士の直線距離
で求めた。
(実施例1)
図1に示す形状の鉄製のマンドレルを用意した。
マンドレルにおけるプリプレグを巻き付ける位置は、細径端側から測って80mmから1270mmまでの部分とした。次いで、このマンドレルに図1に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~11)を順次巻きつけ、その上に20mm幅のポリプロピレン製収縮テープをピッチ2mmで巻きつけた。それぞれのパターンに用いたプリプレグの物性の詳細を表1に、サイズを表3に示す。なお、パターン2とパターン6は、超弾性合金繊維を含むプリプレグを使用した。パターン1はヘッド側先端部に配置し、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置した。パターン2はチップ端から0mm~220mmの範囲に、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるように配置して、ストレート層とした。パターン3、4は、マンドレルの軸方向に対して強化繊維が+45°に配向したプリプレグと、マンドレルの軸方向に対して強化繊維が-45°に配向したプリプレグをそれぞれ1枚重ね合わせて、バイアス層とした。また、パターン3は、図4のパターン3左側(細径側)において、2枚の巻き始め端部(プリプレグの図中上端)が端部にて8mmずれるように重ねられ、図4右側端部(太径側)において、2枚の巻き始め端部が21mmずれるように重ねられている。パターン7、8、10は、シャフト全長に配置し、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるよう配置し、ストレート層とした。パターン5、6、9、11は、強化繊維の配向角度がマンドレルの軸方向に対して0°となるようチップ側端部に配置し、先端部分補強層とした。
次いで、これを135℃に加熱した硬化炉に2時間入れて硬化した後、硬化炉から取り出して、常温まで放冷して、前記収縮テープを剥ぎ取り、細径側を10mm、太径側を12mm切断して、全長を1168mmとした。次いで表面を研磨して細径側の外径が8.5mm、固有振動数が275cpm、バランスポイントが51.5%、キックポイントが45.5%のシャフトを得た。
得られたシャフトの全長、重量、固有振動数、バランスポイント、キックポイントを表4に示す。
(実施例2)
使用したプリプレグの種類を表2、サイズを表3に示したように変更し、図2に示した形状に切断したプリプレグ(パターン1~10)を用いた以外は、実施例1と同様にシャフトを製造した。結果を表4に示す。
<試験評価>
上記の実施例および比較例で製造したシャフトを用いてクラブを組み立て、下記の条件でロボット試験を行った。
(クラブの組み立て)
実施例1及び比較例1で製造したシャフトの太径部を切断して全長1100mmとした後、細径側に市販のヘッドを、太径側に市販のグリップを装着し、長さ46インチ(1168mm)の試験用のドライバーゴルフクラブを製作した。クラブバランスはD0とした。
(クラブバランス)
ゴルフクラブを組み立てる際には、クラブバランスを測定する。クラブバランスは、クラブのスイング方向の慣性モーメントを近似的に測定できるものである。クラブのスイング方向の慣性モーメントは、スイング時に感じる「重さ」であるため、クラブバランスが同じならばスイング時に感じる重さは同一とみなされる。本実験ではクラブバランスがD0となるようにヘッド重量を調節した。クラブバランスはKenneth Smith社製クラブバランス計「Golf Club Scale」を用いて測定した。
(ロボット試験)
ロボット試験にはミヤマエ社製スイングロボット「ROVO IV」を用いた。各シャフトについて5球ずつ試打した。弾道の計測はTrackMan社製弾道計測装置「TrackMan Pro2」を用いて計測した。測定した結果を表4に示す。
Figure 0007098961000001
Figure 0007098961000002



































Figure 0007098961000003
Figure 0007098961000004
表4から明らかなように、実施例1のシャフトから得られたゴルフクラブを用いた場合、ゴルフボールの打出し角が大きく、スピン量が抑えられており、キャリー及びトータル飛距離が向上した。一方、比較例1のシャフトから得られたゴルフクラブでは、ゴルフボールの打出し角が小さく、スピン量が多かったため、キャリーもトータル飛距離も短かった。
1 シャフト
1C 圧縮して湾曲したシャフト
11 チップ端部
12 バット端部
2 シャフトの重心位置
3 シャフトのキックポイント位置
4 ヘッドを模擬した質量196gの錘
5A、5B,5C 固定治具
シャフトの全長
、L、L、L 長さ
P 荷重

Claims (6)

  1. 複数の繊維強化樹脂層を有するゴルフクラブ用シャフトであって、前記繊維強化樹脂層
    のうち、2層以上が超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層であり、前記超弾性合金繊維を
    含む繊維強化樹脂層は、一枚以上の超弾性合金繊維を含まない繊維強化樹脂層を隔てて配
    置されているゴルフクラブ用シャフト。
  2. 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層を、前記シャフトのチップ端側から0~40
    0mmの範囲内に有する請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
  3. 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層を、前記シャフトのチップ端側から0~40
    0mmの範囲内に少なくとも2層以上有する請求項1または2に記載のゴルフクラブ用シ
    ャフト。
  4. 前記超弾性合金繊維を含む繊維強化樹脂層のうち、少なくとも2層以上において、強化
    繊維の配向角度が、ゴルフクラブ用シャフトの軸方向に対して-5°以上+5°以下であ
    る請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトを含むゴルフクラブ。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
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