JP7247820B2 - ゴルフクラブ用シャフト - Google Patents
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Description
本発明の実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトは、女性ゴルファー用のシャフトである。本実施形態において、女性ゴルファーは、女性のゴルフプレイヤーであればよいが、中でも、ゴルフクラブの安定したスイングをすることができる女性のゴルフプレイヤー、自らゴルフクラブを所有してゴルフを楽しむ女性のプレイヤーであることが好ましい。
本実施形態のシャフトは、女性ゴルファー用のシャフトであることから、以下に示す物性を特に有する。
本実施形態のシャフトの振動数は、235cpm以上255cpm以下である。ここで、振動数は、素管の状態での値である。素管とは、シャフトを構成する部材であり、後述する意匠付与層などの他の構成を有さない管状体である。前記下限値以上であることで、シャフトがしなりすぎず、方向性が安定する。前記上限値以下であることでシャフトが程よくしなって、飛距離が向上する。シャフトの振動数は、例えば、ストレート層に用いる強化繊維の種類や強化繊維の含有量、巻回数によって調整することが可能である。
本実施形態のシャフトの重量は、後述する意匠性付与層を有する状態で、43g以上61g以下であることが好ましい。シャフトの重量は、43g以上であることが好ましく、43.5g以上であることがより好ましく、44g以上であることがさらに好ましく、44.5g以上であることが特に好ましく、45g以上であることが最も好ましい。シャフトの重量は、61g以下であることが好ましく、60g以下であることがより好ましく、59g以下であることがさらに好ましく、58.5g以下であることがさらに一層好ましく、58g以下であることが特に好ましく、57g以下であることが最も好ましい。前記下限値以上であることで、手打ちを防ぎ、スイングが安定する。前記上限値以下であることで、ダフり、スライスが低減する。
本実施形態のシャフトのキックポイントは、素管の状態で、44%以上55%以下である。キックポイントとは、シャフトがその軸方向(長手方向)に沿って圧縮された場合に最も撓む部位におけるチップ端からの距離がシャフトの全長に占める割合である。なお、以下の記載において、シャフトの物性値は、特に断り書きがない限り、素管の状態の値である。
本実施形態のシャフトの長さは、800mm以上1220mm以下であってよい。シャフトの長さが前記下限値未満であると、飛距離が出ないことがあり、シャフトの長さが前記上限値を超えると、振りきれないことがある。
本実施形態のシャフトにおけるチップ端側の外径は、8.00~9.50mmであることが市販のヘッドを装着できる観点から好ましい。チップ端側の外径とは、軸方向におけるシャフトのチップ端から10mmの位置の外径である。チップ端側の外径は、8.20~9.20mmであることがより好ましく、8.40~9.10mmであることがさらに好ましい。
本実施形態のシャフトのトルクは、5.5~10.5°であることがシャフト重量とねじ切り強度のバランスの観点から好ましい。前記範囲内であることで、良好な打感とシャフトの強度を両立できる。シャフトのトルクとは、シャフトのチップ端側においてシャフトの周方向に沿ってシャフトに所定の捻り荷重をかけたときに、シャフトのチップ端で観測されるシャフトの捻れ量である。トルクを小さくするためには、バイアス層を増やすため、重量が重くなる傾向にある。
本実施形態のシャフトのバランスポイントは、45~55%であることが振りやすさと先端強度の観点から好ましい。シャフトのバランスポイントとは、シャフトのチップ端からシャフトの重心までの距離がシャフトの全長に占める割合である。シャフトのバランスポイントは、部分補強層により調整することができる。バランスポイントが小さすぎるとヘッドを重く感じ、振りきれなくなることがあり、バランスポイントが大きすぎるとシャフト重量との両立のため相対的に先端部の積層枚数を減らすことになり、折れやすくなることがある。シャフトのバランスポイントは、振りやすさと先端強度を両立する観点から、46.5~54%であることがより好ましく、48.5~53.5%であることがさらに好ましい。バランスポイントは、例えば、部分補強層の位置や目付、巻回数、含有する強化繊維や充填剤の種類などを変更してシャフト全体の重さに対する重さの割合を制御することによって調整することが可能である。
片持ち曲げ試験とは、シャフトの太径端側、または細径端側を固定し、固定していない側に決まった荷重をかけて、荷重をかけた側の端部の水平からの変位量を測定する試験のことである。太径端側を固定する場合は順式片持ち曲げ試験と呼び、細径端側を固定する場合は逆式片持ち曲げ試験と呼ぶ。
本実施形態のシャフトは、順式片持ち曲げ試験で得られる変位量が、150mm以上であることが好ましい。155mm以上がより好ましく、160mm以上が更に好ましく、165mm以上が特に好ましい。250mm以下であることが好ましく、240mm以下であることがより好ましく、230mm以下であることが更に好ましく、220mm以下であることが特に好ましい。上記下限値以上であることで、先端の剛性が高くなり過ぎず、女性ゴルファーにとって良好な打感が得られる傾向にある。上記上限値以下であることで、シャフト先端の強度が十分に確保される傾向にある。
本実施形態のシャフトは、逆式片持ち曲げ試験の変位量が、200mm以上であることが好ましい。190mm以上がより好ましく、180mm以上が更に好ましく、170mm以上が特に好ましい。また、90mm以下であることが好ましく、100mm以下であることがより好ましく、110mm以下であることが更に好ましく、120mm以下であることが特に好ましい。上記下限値以上であることは、先端強度とボールスピード向上の観点から好ましい。上記上限値以下であることは、良好な打感の観点から好ましい。
本実施形態のシャフトの素管は、上記の物性を実現する観点から、強化繊維を含む樹脂成形体で構成されていることが好ましい。素管とは、例えば、所定の形状に裁断したプリプレグをマンドレルに巻き付けた後、樹脂製のテープで緊結してから硬化または固化し、引き続いてマンドレルを除去して、表面を研磨した管のことである。素管の物性がゴルフクラブ用シャフトの物性を実質的に決定する。
マトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれをも使用することができる。マトリックス樹脂は、硬化後の物性が高いため、好ましくは熱硬化性樹脂が用いられる。
本実施形態における強化繊維は、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることができ、一種でもそれ以上でもよい。強化繊維の例には、金属繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維およびセラミックス繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、その他の高強力合成繊維が含まれる。無機繊維は、軽量かつ高強力であることから好ましく使用される。これらの中でも、比強度、比剛性に優れるため、炭素繊維が最も好ましい。
強化繊維径は3~100μmであることが好ましい。なお、「強化繊維径」とは、それぞれの強化繊維の断面における等面積円相当直径のことである。
強化繊維の強度は、使用するシャフトの部位にもよるが、炭素繊維の場合、好ましくはJIS R 7608(2007)に準拠したストランドでの(前述の樹脂組成物の)引張強度が1000MPa以上であることが好ましい。また、強化繊維の引張弾性率は、同様の理由で45GPa以上であることが好ましい。
強化繊維の長さは限定されない。たとえば、強化繊維には、長繊維、短繊維およびこれらの混合繊維など、どのような長さの繊維を用いてもよい。また、長さの異なる二種以上の強化繊維を混合して使用してもよい。本実施形態において、樹脂成形体の強度を高める観点から、強化繊維には、長繊維を用いることが好ましい。
樹脂層において、強化繊維は、一方向材(繊維を一方向に引き揃えたもの)であってもよいし、強化繊維を製織して織物としたクロス材であってもよい。
樹脂層における強化繊維の体積含有率は、シャフトの剛性を十分に高くする観点から、60体積%以上であることが好ましく、65体積%以上であることがより好ましい。また、当該体積含有率は、マトリックス樹脂と強化繊維とを充分に密着させるためには、ある程度の樹脂量が必要であることから、75体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましい。
樹脂層における強化繊維の目付けは、限定されない。たとえば、樹脂層のそれぞれに必要な厚さおよび巻き径から、当該目付けを適宜選択することができる。
樹脂層における強化繊維の配向方向は、シャフトに発現させるべき物性に応じて、例えば前述の特許文献1、2に記載の発明と同様にして、適宜に決めることが可能である。樹脂層は、当該配向方向に応じた複数の層となり得る。当該樹脂層の例には、ストレート層、フープ層、アングル層およびバイアス層が含まれる。
ストレート層は、シャフトの軸方向に対して略平行に配向した強化繊維を含有する樹脂層である。ストレート層は、例えば、シャフトの軸方向に対して一方向材の強化繊維が配向角度-5°~+5°で配向している樹脂層である。ストレート層は、その強化繊維がシャフトの長手方向に略平行に配向していることから、シャフトの曲げ剛性あるいは曲げ強度を高くすることができる。
フープ層は、シャフトの長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度が85~95°である樹脂層である。フープ層は、主に、シャフトの潰し剛性および潰し強度を十分に高める観点から好ましい。潰し剛性とは、シャフトの管状構造を潰す方向における剛性であり、潰し強度とは、シャフトの管状構造を潰す方向における強度である。
アングル層は、シャフトの長手方向に対して一方向材の強化繊維の配向角度が20~70°である樹脂層である。アングル層における強化繊維の上記長手方向に対する配向角度をαとすると、αは、20~70°、好ましくは30~60°、さらに好ましくは35~55°である。αを上記の範囲内とすることは、シリンダのねじり剛性、曲げ剛性および潰し剛性を十分に高める観点から好ましい。
バイアス層は、正負のαを有するアングル層の対を含む層である。バイアス層は、シャフトの長手方向に対して正の配向角度+αで配向した強化繊維を含有するアングル層(+α層)と、負の配向角度-αで配向した強化繊維を含有するアングル層(-α層)とを含有する。バイアス層は、主に、シャフトのねじり剛性あるいはねじ切り強度を高める観点から好ましい。
本実施形態のシャフトは、本実施形態における効果が得られる範囲において、前述した樹脂層以外の他の樹脂層をさらに含んでもよい。このような他の層の例には、部分的なバイアス層および部分的なストレート補強層が含まれるこのような部分的な層を設けることは、シャフトのねじり剛性あるいは曲げ剛性を部分的に制御する観点から好ましい。他の樹脂層における強化繊維の引張弾性率および当該他の樹脂層の単層での厚さは、その機能に応じて、上述の範囲から適宜に決めることが可能である。
本実施形態において、樹脂層は、前述した強化繊維およびマトリックス樹脂以外の他の材料をさらに含んでいてもよい。他の材料は、一種でもそれ以上でもよく、本実施形態の効果と当該他の成分を配合することによる効果の両方を奏する適当な量で用いることができる。当該他の材料は、例えば、重量の調整または強度の調整などの目的で配合され、その例には、タングステンなどの金属粉末、強化繊維以外のフィラー、および、樹脂粉末が含まれる。また、他の材料の例には、硬化剤、消泡剤、脱泡剤および色剤が含まれる。
本実施形態のシャフトは、本実施形態の効果を奏するシャフトを製造可能な方法範囲において、公知の製造方法を適用することができる。当該製造方法の一例には、前述した樹脂層(例えばプリプレグ)を、マンドレルに複数枚巻きつけ、加熱し、次いで冷却した後に、マンドレルから抜き取ることで、硬化した樹脂成形品としてシャフトを得るシートラッピング法が挙げられる。
本実施形態のシャフトは、本実施形態の効果を奏する範囲において、他の構成をさらに有していてもよい。当該他の構成の例には、意匠性付与層が含まれる。
意匠性付与層は、通常、シャフトの表面を構成する層であり、模様、色、あるいはブランド名などを表示する加飾の役割を担う。意匠性付与層を有することで、デザイン性を向上させ、消費者の購買意欲を高めることができる。また、女性ゴルファーが抱く好感度を高める観点から好ましい。意匠性付与層は、シャフトの全長に亘って配置されていてもよく、長手方向におけるシャフトの一部に配置されていてもよい。
本実施形態のゴルフクラブは、女性ゴルファー用のゴルフクラブである。本実施形態のゴルフクラブは、前述した本実施形態のシャフトと、当該シャフトの一端側に取り付けられるゴルフヘッドと、前記シャフトの他端側に取り付けられるグリップとを有する。
(ゴルフクラブの重量)
本実施形態のゴルフクラブの重量は、240g以上であることが好ましく、250g以上がより好ましく、260g以上がさらに好ましい。また、本実施形態のゴルフクラブの重量は、330g以下であることが好ましく、320g以下がより好ましく、310g以下がさらに好ましい。前記下限値以上であれば、ミート率向上の効果がある。前記上限値以下であれば、ヘッドスピード向上、ダフり防止の効果がある。ゴルフクラブの重量は、ヘッド、シャフトまたはグリップの重さによって調整することが可能である。
本実施形態のゴルフクラブの長さは、40インチ以上であることが好ましく、41インチ以上がより好ましく、42インチ以上がさらに好ましい。また、本実施形態のゴルフクラブの長さは、48インチ以下であることが好ましく、47インチ以下がより好ましく、46インチ以下がさらに好ましい。前記下限値以上であれば、飛距離向上の効果がある。前記上限値以下であれば、スイングのブレを防ぐ。なお、ゴルフクラブの長さとは、シャフトの軸方向におけるヘッドの端からグリップの端までの距離である。ゴルフクラブの長さは、シャフトの長さ、またはヘッドあるいはグリップのサイズによって調整することが可能である。
本実施形態におけるヘッドは、女性ゴルファー全般を対象として、あるいは、特定の女性ゴルファーを対象として、またヘッドの種類に応じて、適宜に選ぶことができる。たとえば、ゴルフクラブがウッドの場合、ヘッドの重量が180~200gであり、ヘッドのロフト角が10~17°であり、ヘッドのライ角が55~60°であることが、ヘッドスピードが比較的遅い傾向にある女性ゴルファーの飛距離を伸ばす観点から好ましい。また、ゴルフクラブがフェアウェイウッドの場合、ヘッドの重量が180~210gであり、ヘッドのロフト角が20~30°であり、ヘッドのライ角が55~65°であることが、所期の方向への飛距離を伸ばす観点から好ましい。また、ゴルフクラブがアイアンの場合、ヘッドの重量が210~300gであり、ヘッドのロフト角が25~50°であり、ヘッドのライ角が58~65°であることが、上記の飛距離および方向性の観点から好ましい。
本実施形態におけるグリップは、本実施形態のシャフトに装着可能な範囲において限定されない。女性ゴルファーは、全ゴルファーの中で相対的に手が小さい傾向にあるため、グリップは、手が小さくても握りやすいグリップであることが好ましく、より具体的には、外径が比較的小さいことが好ましい。
本実施形態のシャフトは、女性ゴルファーをユーザと想定している従来のゴルフクラブに比べて、より良好な打感と好ましいフィーリングとを女性ゴルファーに提供し、飛距離および方向性の一方または両方の観点からより優れたショットを女性ゴルファーに実現させ得る。
女性向け、またはユニセックス用の市販のゴルフ用シャフトとして、下記表のAからGの七種類のシャフトを用意した。シャフトAは女性用であり、その他のシャフトは男女兼用である。シャフトA~Gのそれぞれについて、下記の物性を下記の方法によって測定した。なお、シャフトAについては塗装が施された状態で、その他のシャフトについては塗装が施されていない状態で、下記物性を測定した。
シャフトのバット端からチップ端までの距離を測定し、得られた測定値をシャフトの長さとした。
シャフトの重量を測定し、得られた測定値をシャフトの重量とした。なお、「Ws1」は未塗装のシャフトの重量を表しており、「Ws2」は塗装されたシャフトの重量を表している。
シャフトの長手方向(「軸方向」とも言う)におけるチップ端から10mmの位置におけるシャフトの外径を測定し、シャフトのチップ端側の外径とした。
シャフトの長手方向におけるバット端から25mmの位置におけるシャフトの外径を測定し、シャフトのバット端側の外径とした。
図1は、ゴルフクラブ用シャフトの振動数を測定する前の状態を模式的に示す図である。図2は、ゴルフクラブ用シャフトの振動数の測定時における状態を模式的に示す図である。図1に示されるように、シャフト1の長手方向におけるバット端から180mmの位置でシャフト1を固定治具5Aにより固定する。シャフト1のチップ端から固定治具5Aまでの距離は988mmである。次いで、シャフト1のチップ端に錘4を取り付ける。錘4は、ヘッドを模したものであり、196gの質量を有する。次いで、図2に示されるように、固定治具5で上記のように固定されているシャフト1のチップ端から錘4を落とし、この時に生じるシャフト1の振動を、ゴルフクラブタイミングハーモナイザー(藤倉コンポジット株式会社製)を用いて測定し、シャフト1の振動数とした。
図2は、ゴルフクラブ用シャフトのトルクの測定方法を説明するための図である。図2に示されるように、シャフト1の長手方向におけるチップ端から1035mmの位置でシャフト1を固定治具5D、5Eにより固定する。次いで、シャフト1の長手方向におけるチップ端から45mmの位置に、シャフト1の軸方向に直交しかつ水平方向に延在する梁部を固定する。次いで、梁部における位置であって、シャフト1の軸線から120mm離れた位置に1.152kgf(11.30N)の大きさの荷重を与える。こうしてシャフト1に捻り荷重を与える。このときのシャフト1のチップ端における捻れ角度を測定し、トルクとした。捻れ角度は、例えば、捻り荷重付与前のシャフト1のチップ端において当該チップ端面の中心を通り鉛直上方に向かう架空の線と、捻り荷重の付与後に上記梁部側に傾く当該架空の線とがなす角度で表される。
図3は、ゴルフクラブ用シャフトのバランスポイントを説明するための図である。図3に示されるように、シャフト1の長さ(チップ端11とバット端12との間の距離)をLsとし、シャフト1の長手方向におけるチップ端11からシャフト1の重心2までの距離をLgとする。シャフト1のバランスポイントは、下記式で表される。
バランスポイント(%)=(LG/LS)×100
キックポイントは、フォーティーン社製シャフトキックポイントゲージ「FG-105RM」を用いて測定した。図4は、ゴルフクラブ用シャフトのキックポイントの測定方法を説明するための図である。図4に示されるように、シャフト1のチップ端11を固定治具5Bで、バット端12を固定治具5Cで、それぞれ、シャフト1の軸を回転軸として回転可能に支持する。次いで、シャフト1の軸方向に沿い、かつ固定治具5B、5Cが相対的に近づく向きの圧縮荷重Pをシャフト1に印加し、シャフト1を湾曲させる。湾曲したシャフト1Cの周方向に最も突出した部位におけるシャフト1の軸線上の点である湾曲点3とチップ端11との間の水平方向(圧縮前のシャフト1の軸方向)における距離をLkとする。また、圧縮荷重Pを印加したときのチップ端11とバット端12との間の水平方向における距離をLbとする。シャフト1のキックポイントは、下記式で表される。
キックポイント(%)=(Lk/Lb)×100
シャフトA~Gのそれぞれにおけるチップ端にゴルフクラブヘッドを取り付け、バット端にグリップを取り付けて、ゴルフクラブA~Gを用意した。
ゴルフクラブA~Gについて、感性工学の手法を用いて評価した。感性工学とは、人間の感性の価値を科学的手法により発見し、人間の感性を活用することで社会に資することを目的とする学問である。
<マンドレルの用意>
図7は、本発明の実施例においてゴルフクラブ用シャフトの製造に用いたマンドレルの形状の一例を模式的に示す図である。図7に示されるような形状を有する鉄製のマンドレルを用意した。当該マンドレルは、細径端と太径端とを有し、当該細径端を含み、所定の外径を有する複数の部分Pを有する。各マンドレルにおける各部Pの外径、それぞれの細径端からの距離を表3に示す。表3中における「位置」は、(細径端からの)距離を表している。当該距離および外径の単位は、いずれも「mm」である。
表4~表13に示される品番のプリプレグを用意した。また、これらのプリプレグを用いて、下記表14、表15に示すサイズのプリプレグを用意した。表中の数値は、図8~図17に記載されている寸法を表している。プリプレグは、いずれも、三菱ケミカル株式会社製である。
表3に示されるマンドレル1を用い、図8および表4に示されるサイズのパターンのプリプレグを用いた。まず、配向角度+45°の強化繊維を含有するプリプレグと配向角度-45°の強化繊維を含有するプリプレグを1枚ずつ用意し、図8のパターン2左側(細径端部)において、2枚の巻き始め端部(プリプレグの図中上端)が10mmずれるように重ね、図8の右側端部(太径端部)において、2枚の巻き始め端部が22mmずれるように重ね、アイロンを用いて180℃で貼り合わせ、バイアス層形成用貼り合わせプリプレグ(パターン2)を得た。
表3に示されるマンドレル2を使用し、図9に示す形状であり、表5に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例1と同様にしてシャフト素管2aおよびシャフト2aを製造し、その物性を評価した。マンドレルにおけるプリプレグを巻き付ける位置は、細径端側から測って100mmから1290mmまでの部分とした。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル3を使用し、図10に示す形状であり、表6に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例1と同様にしてシャフト素管3aおよびシャフト3aを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル4を使用し、図11に示す形状であり、表7に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例1と同様にしてシャフト素管4aおよびシャフト4aを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル5を使用し、図12に示す形状であり、表8に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例1と同様にしてシャフト素管5aおよびシャフト5aを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。なお、実施例5の物性値は想定値である。
表3に示されるマンドレル7を使用し、図14に示す形状であり、表10に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例6と同様にしてシャフト素管2bおよびシャフト2bを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル8を使用し、図15に示す形状であり、表11に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例6と同様にしてシャフト素管3bおよびシャフト3bを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル9を使用し、図16に示す形状であり、表12に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例6と同様にしてシャフト素管4bおよびシャフト4bを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
表3に示されるマンドレル10を使用し、図17に示す形状であり、表13に示す種類であり、かつ表14および表15に示すサイズのパターンのプリプレグを用いて、実施例6と同様にしてシャフト素管5bおよびシャフト5bを製造し、その物性を評価した。結果を表16に示す。
ゴルフシャフト1aのチップ端側に市販のヘッド装着し、バット端側に市販のグリップを装着し、表7に示す長さの試験用のゴルフクラブ1aを製造した。ゴルフシャフト1aに代えてゴルフシャフト1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5aおよび5bのそれぞれを用いる以外は同様にして、ゴルフクラブ1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5aおよび5bのそれぞれを製造した。
A~Fの6名の女性ゴルファーに、ゴルフクラブ1a、ゴルフクラブ2a、ゴルフクラブ3a、ゴルフクラブ4a、ゴルフクラブ5a、を用いて、ゴルフクラブごとにゴルフボールを5球ずつ試打することで、各ゴルフクラブについて評価してもらった。
クラブヘッドが球と接触するインパクト時のクラブヘッドの移動速度を測定し、クラブスピードとした。
インパクト直後の球の移動速度を測定し、ボールスピードとした。
地面に対する球の打ち出し方向の角度を測定し、ランチ角とした。
インパクト直後に球に発生する回転数を毎分で測定し、スピン量とした。
打ち出された球が到達した最高点を測定し、打球高さとした。
球をヒットした地点から、球が地面に落ちた地点までの距離を測定し、飛距離とした。
球が地面に落ちた時点における、インパクト時のスイングの方向に対する左右方向へのずれを測定し、左右のずれとした。当該スイング方向に対して左方向のずれをL、右方向のずれをRで表す。
球をヒットした地点から、球が地面に落ち、転がるなどしてさらに移動した距離を含めた球の総移動距離を測定し、到達距離とした。
女性ゴルファーA~Fのそれぞれについて、各ゴルフクラブで球を打ったときの感覚についての所見を求め、ゴルフクラブ1~5の中で、最もよいと感じたものを「1」で、その次によいと感じたものを「2」で表示してもらった。
1C 湾曲したシャフト
2 重心
3 湾曲点
4 錘
5A、5D、5E 固定治具
10 マンドレル
11 チップ端
12 バット端
Claims (6)
- ゴルフクラブ用シャフトであって、
振動数が235cpm以上255cpm以下であり、重量が39g以上57g以下であり、キックポイントが44%以上55%以下であり、軸方向におけるバット端から25mmの位置の外径が14.30~15.30mmである素管を有する、
ゴルフクラブ用シャフト。 - 意匠性付与層をさらに有し、重量が43g以上58.5g以下である、請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 前記素管は、強化繊維を含む樹脂成形体で構成されている、請求項1または2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 前記樹脂成形体は、前記強化繊維を含む複数の樹脂層で構成されている、請求項3に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 前記軸方向におけるバット端から25mmの位置の外径が14.50~15.20mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブ用シャフトと、前記ゴルフクラブ用シャフトの一端側に取り付けられるゴルフヘッドと、前記ゴルフクラブ用シャフトの他端側に取り付けられるグリップとを有する、ゴルフクラブ。
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