JP7097683B2 - 化学的活性炭の製造方法 - Google Patents

化学的活性炭の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7097683B2
JP7097683B2 JP2017162265A JP2017162265A JP7097683B2 JP 7097683 B2 JP7097683 B2 JP 7097683B2 JP 2017162265 A JP2017162265 A JP 2017162265A JP 2017162265 A JP2017162265 A JP 2017162265A JP 7097683 B2 JP7097683 B2 JP 7097683B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
activation
chemically
carbonized
carbon
inorganic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017162265A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018048063A (ja
Inventor
ミトラ シャンタヌ
ナイル ビノッド
Original Assignee
ファラッドパワー,インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US15/255,128 external-priority patent/US9975778B2/en
Application filed by ファラッドパワー,インコーポレイテッド filed Critical ファラッドパワー,インコーポレイテッド
Publication of JP2018048063A publication Critical patent/JP2018048063A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7097683B2 publication Critical patent/JP7097683B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年5月3日に出願されたインド特許出願第201617015427号、2014年6月25日に出願された米国特許出願第14341725号および2016年8月19日に出願された米国特許出願第15242113号の一部継続出願であり、その利益を主張し、本出願の内容にはそれらの全体が組み込まれている。
本開示は、一般に、化学的活性炭の製造方法に関する。
活性炭は、現在、椰子殻、石炭、木材などの種々の供給源から製造されているが、椰子殻は電気二重層キャパシタ(EDLC)のような最上級の用途に好まれている。天然源からの活性炭の製造に関わる主な工程は次のとおりである、i)適切な出発物質を用いてチャーを作る、ii)そのチャーを炭化する、iii)エッチングや洗浄によって不純物を除去する、そして、iv) 活性化する。活性化は、活性化媒体である、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)または蒸気下の高温処理を含む多くの方法を用いて行うことができるが、蒸気活性化が最も一般的な技術である。
この工程では、約130℃の蒸気が、約800℃から約1,000℃の温度の炭化チャー粒子の流動床を通って流れる。椰子殻のような比較的硬い出発物質を用いる場合、この工程は主として2ナノメートル(nm)未満の微細孔をもたらす。二酸化炭素活性化はまた、種々の炭化チャーを多孔質化する一般的な技術であるが、蒸気活性化よりも幾分効率が低い。同等の活性化の度合いに対して、二酸化炭素活性化工程は蒸気活性化工程よりも約100℃高い温度を必要とする。今日の商用の典型的な、椰子殻を原料とするEDLC用の活性炭(例えば、日本のクラレケミカル(株)のYP-50ブランド)の、比表面積は約1600m2/gm、密度は0.4gm/ccの範囲、細孔径は2nm未満、細孔容積は約0.7cm3/gmである。
炭素の化学的活性化は、また、種々の前駆体材料から活性炭を製造するためにも使用されている。この処理では、その最も基本的な実施形態において、粉末形態の炭化材料が特定の化学物質と混合され加熱される。この化学物質は、a) 強塩基(最も一般的には、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH))、b) 酸(最も一般的には、リン酸(H3PO4))、または、c) 塩類(最も一般的には、塩化亜鉛(ZnCl2))である。加熱は、典型的には約400℃から約900℃の温度で行われ、出発物質によっては同時に炭化または熱分解することもできる(炭化材料の代わりにチャーを使用する場合)。
化学的活性化は、大きな表面積の炭素を得るために有効であることが示されている。
例えば、セルロース、馬鈴薯澱粉およびユーカリ木材の鋸屑に由来するチャーのKOH活性化は、該チャーの乾燥粉末とKOHの混合物を700℃と800℃の間で1時間加熱することにより、2000m2/gmから3000m2/gmの表面積をもたらした[L. Wei 他、2011]。蔗糖から生成したチャーのKOH活性化は、KOHのチャーに対する重量比を4.3:1として815℃に加熱することにより2520m2/gmの表面積をもたらした[Evans, M. J. B. 他、1999]。KOH処理の他の研究は、KOHと石油コークスの混合物を不活性雰囲気下600℃から900℃で活性化して3000m2/gmをもたらした[Otowa, T. 他、1996]。
KOH活性化を用いる別の例(米国特許US8927103)では、炭素出発物質(ピッチコークス)、KOHおよびポリエチレングリコールの組み合わせを完全に混合し、ブリケットに成形し、大気下で850℃に加熱することによって活性化した。一旦冷却されると、過剰のKOHおよび他の反応副生成物の完全な除去を確実にするために、それは硫酸および水で広範囲に洗浄された。
KOH活性化は、得られる炭素の大きな表面積にもかかわらず、主に蒸気活性化に比べて製造費用が多くかかるため、今日商業的にはこの処理は限られている。上記のKOH活性化工程の詳細な検討は下記の特徴を示す:
a.炭素に対するKOHの重量比は、典型的には3:1から4:1である。これは、炭化出発物質の1kgごとに対して、4倍の重量のKOHの費用を追加しなければならないことを意味する。
b.この工程で生成されるカリウム含有副生成物は、水、溶媒または酸を用いて完全に洗浄して処分しなければならず、費用がかかる。
c.そして、KOHの腐食性のため特別な取り扱いと設備が必要となる。KOH活性化の機構には、反応性が高く、適切な取り扱いを要する700℃を超える温度下の金属カリウムの生成が含まれる[Wang, J. 他、2012]。
その結果、上記の強塩基(例えばKOH)のような激しい性質の化学物質を用いず、著しく少量の活性化物質をだけを用いてかつ、特殊な取扱いを必要とする装置を使用しない、より簡単な工程が必要とされている。
ZnCl2のような塩を用いた化学的活性化も行われている。米国特許US5039651は、粉末状の炭素前駆体を塩化亜鉛水溶液と混合することにより、円盤や平板など、様々な形状の活性炭を製造する方法を概説している。ZnCl2の乾燥重量に対する炭化材料の比を、1対0.6から1対3の間で変化させ、1対1.25の比において、この方法による最大表面積である約1400m2/gmをもたらした。ここで炭素前駆体は、椰子殻、木材チップ、鋸屑などであってもよい。ZnCl2活性化の別の例は、炭素源としてサクランボの種を使用し、使用されたZnCl2の量が炭素前駆体の5倍である場合、1971m2/gmをもたらした[Olivares-Marin, M. 他、2006]。またこれは、KOH活性化工程(例えば、Evans, M. J. B. 他、1999)と同様に、大量の余分な物質を適切に洗浄し、除去し、処分する必要があるため、製造工程に費用がかかる。
化学的活性化のために酸も使用されている。濃度80%のリン酸溶液は、オリーブ種子からの前駆体を500℃で4時間熱処理することにより、約1200m2/gmの最大表面積を持つ活性炭をもたらした[Yakout, S.M. 他、2012]。ヤクウト(Yakout)らによって記載されたこの方法から線形スケールを仮定すると、工業規模の設定で、1kgの活性炭を製造するために必要なリン酸の量は、約12リットルである。トウモロコシの穂軸のH3PO4活性化は、400℃で熱分解することにより、約700m2/gmの最大表面積をもたらした[El-Sayed, G.O. 他、2014]。H3PO4活性化は、木材を前駆材料として使用する440℃の活性化で1780m2/gmの最良の結果を示した[Benaddi, H. 他、2000]が、過剰のリン酸を除去した後でさえ、約0.4%のリンが残っていたことが化学分析により示された。
この不純物の度合いは、リンの含有率を50ppm未満にする必要のある、EDLC電極のような最上級の用途には適さない。これらの実施例の全てにおいて、必要とされる酸の量は、炭素前駆材料の重量の5倍以内であった。全体として、化学活性化剤としての酸の使用は、材料、処理体系および廃棄物処理に関連する追加の費用のため、工業的用途では限界がある。
化学的活性化法は、活性炭を生成する可能性を有するが、そこには費用を低減し、処理をより簡単かつ安全にする工程の改善が望まれる。
本明細書は、大きな表面積の活性炭素材料を製造するために使用され得る化学的活性化の方法を説明する。本開示は、無機塩の中性水溶液を含む穏やかな活性化剤を比較的少量使用して、厳しい化学環境を管理する必要なく、炭化材料を活性化する方法を説明する。前記炭化材料は、典型的には約600℃までの温度の不活性雰囲気下で、適切な炭素前駆体材料を加熱した後に得られる材料として定義される。
前記炭素前駆体材料には、天然に存在する炭素源(例えば、椰子殻、果実種、種子、馬鈴薯澱粉、小麦藁、セルロースおよび木材)、合成高分子材料(例えば、フルフリル官能基含有液体、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂など)および石油系原料(例えば、石油ピッチ)が含まれる。本炭化工程は、全ての揮発性有機化合物およびあらゆる凝縮副生成物を効果的に除去する(合成ポリマー材料の場合)。
一実施形態では、化学的活性炭は、炭化材料を化学活性化剤に曝露し、続いて加熱することによって製造される。前記化学活性化剤への炭化材料の暴露は、いわゆる化学的に充填された活性化可能材料を生成するための、炭化材料の該化学活性化剤の溶液中への浸漬と、その後の溶液からの取り出しを含む。この実施形態では、化学活性化剤の溶液中への炭化材料の浸漬とその後の溶液からの取り出し、およびそれに続く熱処理に、化学的活性炭を製造するために必要な化学的活性化工程が含まれる。
別の実施形態では、まず炭化材料を化学的に充填された活性化可能材料に変換し、次いでこれを加熱処理により化学的活性化材料に変換し、さらにそれを二酸化炭素または蒸気活性化技術によって活性化することにより、化学的活性炭を生成する。したがって、この方法の一態様は、化学活性化剤として水溶液中で中性である硝酸ナトリウム(NaNO3)のような塩を使用する。その基本的な実施形態では、この方法は、1.5モル濃度のNaNO3を含む水とエタノールの溶液を利用して、炭化材料の粒子を浸漬する。いわゆる化学的に充填された、この活性化可能な炭素は取り出され、大気下で約300℃までの適度な高温で加熱され、化学的に活性化される。次いで、この活性化された材料を脱イオン(DI)水中で十分に洗浄(煮沸およびすすぎ洗い)して、NaNO3の残渣を除去し、追加の二酸化炭素活性化または蒸気活性化の段階(例えば二酸化炭素下の950℃加熱)に備える。
別の態様は、NaNO3溶液中で浸漬が行われた後、充填された炭素を活性化するためにより高い温度の処理を用いる。したがって、化学的に充填された活性化可能材料は、600℃から800℃の間の温度で加熱される。この処理(一実施形態として、窒素下600℃で加熱した場合)だけ、すなわちこれ以上の二酸化炭素活性化または蒸気活性化を用いずに、606m2/gmの表面積を得た。より大きな表面積を達成するために、別の実施形態では、約800℃までのより高い温度で加熱を行っても良い。この高温処理に続いて、前記化学的活性化材料は過剰のNaNO3およびあらゆる活性化副生成物を除去するために、脱イオン(DI)水中で完全に洗浄(煮沸およびすすぎ洗い)され、その後、二酸化炭素または蒸気を用いてさらに活性化されても良い。約300℃までの温度の加熱処理は大気下で行われるが、より高い温度の処理では窒素のような不活性雰囲気を必要とする。
さらに別の態様では、より高い温度(600℃から800℃)の工程を、より低い温度の処理と組み合わせる。この実施形態では、化学的に充填された活性化可能材料をまず大気下200℃から300℃で数時間加熱し、続いて窒素下で600℃から800℃で処理し、その後、過剰のNaNO3および加熱工程に由来する副生成物を除去するために必要な洗浄工程が続く。この段階で、表面積をさらに増加させるために、二酸化炭素活性化または蒸気活性化を行うこともできる。さらなる実施形態では、化学的に充填された活性化可能材料は、高温の二酸化炭素活性化または蒸気活性化工程に直接さらされ、次いで過剰のNaNO3および副生成物を除去するために必要な洗浄工程が続く。
本発明者らの方法の様々な実施形態は、化学的活性化を説明する先行技術とは異なり、バルク活性化学物質(この場合はNaNO3)を直接高温に加熱する工程を実際には伴わない。したがって、炭化材料を浸漬するために使用された硝酸塩溶液は直接加熱されないので、これを回収して溶液を乾燥させて残りのNaNO3を沈殿させることにより、再使用することができる。
本発明の他の目的は、以下の明細書および特許請求の範囲を読むことによって当業者に明らかであり得る。
例示的な実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付の図面の図において限定ではなく例として示される。
(a)は代表的な充放電曲線を示す。(b)は、化学的活性炭(実施例1に記載)を使用して製造されたEDLC装置から得られた代表的な自己放電曲線を示す。NaNO3処理に使用された炭化材料は、米国特許出願第15242113号に記載の方法を用いて、有機酸触媒およびカーボンブラック添加剤によるフルフリルアルコールの重合を介して製造された。また、本図は、市販の活性炭を使用して製造された同様のEDLC装置の代表的な曲線を含む。 本開示において説明される化学的活性化方法を実施するための概略的な工程流れ図を示す。本図はまた、本明細書で説明されている化学的活性化の方法の出発点である炭化材料を製造するために使用することができる種々の出発物質も示す。本図はまた、最終の化学的活性炭を得るために、NaNO3浸漬工程の後に種々の熱処理を組み合わせるための様々な選択肢を示す。
本実施形態の他の特徴は、添付図面および以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本開示には、本発明者らの先の開示(米国特許出願第15242113号)で使用されたものと同じ炭素出発物質に適用した場合、3000m2/gmもの表面積をもたらす方法が記載されている。
最近、本発明者らは、フルフリルアルコールおよびアセチルフランのような純粋な出発物質から活性炭を合成する方法を説明した(米国特許公開US20150030525、EPO公開WO2015058113および米国特許出願15242113)。これらの開示の全ては、フルフリル官能基を含有する液体出発物質をシラン、アルミナ粉末または有機酸のような触媒で重合する方法を説明している。触媒残渣を除去するためのエッチングは、炭化の前にいくつかの場合に必要であり、その後、その材料は活性化の準備が整う。本発明者らは、二酸化炭素活性化法を用いて、活性化の前後の炭素重量に基づく活性化収率の61%および21.7%に対応する、1194m2/gmから1941m2/gmの表面積を実証した(米国特許出願第15242113号)。二酸化炭素活性化または蒸気活性化技術を用いて、フルフリル系の重合体で2000m2/gmを超える表面積を得るためには、より長い活性化時間が必要であり、その結果、収率が低下し焼失が増加する。
本発明の化学的活性化方法の有効性を評価するために、本発明者らは、以前に開示した方法に、本発明者らによる化学的な活性化工程を追加することによって活性炭を製造した。この新しい方法を使用して、本発明者らは、二酸化炭素活性化方法だけを用いて得られる表面積よりもはるかに大きな表面積を得た。下記で説明する化学活性化工程は、EDLC用途に特有の例を使用しているが、他のすべての典型的な活性炭用途も、これらの方法を用いて生成された活性炭で対処することができる。さらに、本方法で得られた細孔径に基づく特定の活性化に適した活性炭を生成するために、高温加熱処理を後続する化学活性化剤溶液中の浸漬だけを用いることもできる。
本発明者らの工程の独自性は、これを活性炭を製造するために現在使用されている既存の製造の流れ、すなわち[チャーの生成]→[炭化]→[蒸気活性化]の中間処理工程と見なすこともできることである。本発明者らが本明細書で説明する化学的活性化処理工程は、炭化工程と蒸気活性化工程との間に挿入することができ、化学的活性化工程なしで通常得られる表面積よりも大きな表面積をもたらす。さらに、本発明者らの化学的活性化工程を実施するために特別な設備は必要とされず、従って既存の製造設備で対応することができる。加えて、本発明者らの工程で使用される活性化学物質の量(炭化材料の重量の0.25倍未満)は、既存の化学的活性化法で使用される量(KOHまたは酸の重量は炭化材料の重量の2ないし5倍)よりもはるかに少ない。
一実施形態では、本方法は、水およびアルコール(例えば、エタノール)の硝酸塩溶液(硝酸ナトリウムのような)を調製することを含む。NaNO3は水に高度に可溶であり、約100gmの塩が100gmの水に溶解する[Rossiter, A. J.、2009]。しかし、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールの存在下では、NaNO3の全般的な溶解度は低下する。例えば、100mlの水と100mlのエタノールの溶液(エタノールの質量分率は約44%と計算される)の場合、NaNO3の溶解度は、20℃で約27gmであり、30℃で約29.75gmである。本方法を実施するためには、100mlの水と100mlの試薬用アルコール(エタノール約90%、メタノール約4.5%、残りはイソプロパノールである混合物)に対してNaNO3を25gmとする比率を使用する。NaNO3はこの溶媒の組み合わせに室温で完全に可溶であった。
溶液が調製されたら、予め約2mm以下の粒径に粉砕された炭化材料を前記溶液に数時間室温浸漬する。一実施形態では、100gの炭化材料(フルフリルアルコールを有機酸とカーボンブラックで重合して調製)をこの溶液に浸漬した。この特定の場合、炭化材料に対するNaNO3の重量比は0.25から1の範囲である。これは、前述の化学的活性化技術において必要とされる、化学活性化剤の炭化材料に対する一般的な重量比である3:1(およびそれ以上)よりもかなり小さい。
浸漬後、化学的に充填された活性化可能材料を取り出し風乾した。乾燥後、沈殿した可能性のある過剰のNaNO3はすべて脱イオン(DI)水で洗い流す。次に、この材料大気下で300℃までの温度で加熱する。大気下で加熱すると、NaNO3は308℃で溶解し、約400℃を超えるとカーボンブラックが劣化し始めるため、大気下の熱処理は最高で約300℃までで実施される。この工程の保持時間は通常数時間であるが、最終的に得る表面積の様々な値に応じて変化させても良い。
この段階で、得られた材料は化学的に活性化されていると考えられ、二酸化炭素活性化または蒸気活性化処理に供されるか、または場合によりさらに高温(600℃から800℃)の化学的活性化工程のために加熱される。二酸化炭素活性化または蒸気活性化法を使用する場合は、これに先立ちこの材料を脱イオン水で完全に洗浄(すすぎ洗い)する。追加の高温処理を使用する場合は、これを窒素下約800℃までの温度で実施し、続いて完全な洗浄工程を行う。
別の実施形態では、より大きな表面積を得るために、前記800℃の工程の後で、前記材料を二酸化炭素活性化または蒸気活性化しても良い。さらに別の実施形態では、NaNO3浸漬と加熱工程後の洗浄工程は、HCl溶液(例えば、重量濃度4%水溶液)を用いて行うことができる。HClを使用して過剰のNaNO3および副生成物を除去する場合、すすぎ洗い水のpHが中性になるまで脱イオン(DI)水中で最終洗浄工程を行う必要がある。別の実施形態では、NaNO3溶液中の炭化材料の混合物を超音波振動に30分間まで曝した。上記で参照した全ての実施形態は、最終活性炭の表面積に対するそれらの効果を示すために、本明細書に記載の実施例で使用される。
[実施例1]
この実施形態では、150mlのフルフリルアルコール(W249106、純度98%以上、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社製)を毎分約200回転で動作するオーバーヘッド撹拌機を用いてガラス瓶の中で数分間攪拌した。次に、i) シュウ酸を3.8g(75688、無水、純度99.0%以上、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社製)、ii) マレイン酸を4.9g(M0375、純度99.0%以上(HPLC)、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社製)、および iii) L-(+)-酒石酸を6.3g(T109、純度99.5%以上、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社製)、を含む有機酸の混合物を添加し、さらに120分間撹拌を続けた。
この溶液を数時間室温放置した後、カーボンブラック(C-NERGY SUPER C45、ベルギー、ウィッレブルークのイメリス社から入手)を4.28g添加し、混合物をさらに180分間撹拌した。この設備構成および出発物質の組成は、先の開示[米国特許出願第15242113号]に既に記載されている。顕著な更なる重量減少が見られなくなるまで、該混合物を大気下で室温放置した。次いで、大気下で40℃、80℃、125℃および192℃で熱処理を行い、高密度固体を生成した。
次に、前記重合物質を600℃で炭化するために調製した。炭化は2つの工程、すなわち、i) 通常の雰囲気下の中間温度(360℃)のソーキング処理工程、および ii) 窒素下600℃のソーキング処理工程、で行われた。次いで、前記で生成された炭化材料を乳鉢および乳棒でより小さな粒子に粉砕し、2mm以下の範囲の粒径にした。
100mlの脱イオン水(抵抗率18.01MΩ-cm)および100mlの試薬用アルコール(241000200、ケンタッキー州シェルビービルのPharmco-Aaper社製)中の25gのNaNO3(Lab-Pro ZS0655、カリフォルニア州サニーベール)の溶液を室温調製した。該アルコールの組成物は、エタノール90.65%、メタノール4.53%およびイソプロピルアルコール4.82%であった。
次いで、前記炭化材料を前記溶液に浸漬し、液体の蒸発損失を最小限に抑えるために覆いを用いて大気下で数時間浸漬させた。次に、該炭素を溶液から取り出して風乾し、脱イオン水で洗い流し、乾燥後に現れたNaNO3の沈殿物を除去した。次に、充填された炭化材料を、大気下200℃のオーブンで加熱することを含む低温化学活性化工程を用いた。その後、脱イオン水中で前記物質を数回完全に洗浄し、その後150℃で一晩乾燥させた。
この段階で、追加的な二酸化炭素活性化処理のために石英管真空炉(モデル GSL-1100X、カリフォルニア州リッチモンドのMTIコーポレーション製)内に置かれた石英ボート(長さ10cm、幅4cm)に前記炭素を装填した。前記石英管に二酸化炭素を毎分3.4リットルの流量で流しながら、950℃で二酸化炭素活性化を実施した。炭素の元の重量の18.7%が残る(すなわち、約81.3%を焼失する)まで加熱を続けた。
これらの活性炭をEDLC電極の製造に使用するために、最初に、ステンレス鋼の刃を備える研磨機を用いて平均サイズ約20ないし30ミクロンに粉砕した。次に、結合剤としてTEFLON(登録商標)粉末(PTFE 6C、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手)を加え、混合物を再度粉砕して成分を完全に混合し、生地様材料を製造した。最後に、この生地様材料をアルミニウムシート(厚さ33ミクロン)上に乾式圧延して電極を形成した。
前記アルミニウムシートからCR2032コイン型電池の寸法の電極を打ち抜き、EDLC製造に一般的に使用されている、市販の標準1Mテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート/アセトニトリル有機電解質を使用してコイン型電池に加工した。また、日本のクラレケミカル(株)から入手したYP-50ブランドの市販の活性炭を用いて、CR2032コイン型電池のEDLC電極を製造した。これらの電池について電気的測定を行い、本明細書に記載の方法によって製造された炭素がEDLC用途に適した電極に使用できることを検証した。
図1(a)および図1(b)は、この炭素を用いて製造されたコイン型電池の代表的な充放電曲線および自己放電曲線を示す。電気容量値は、V(t) 曲線の勾配から、すなわち電流を放電曲線の勾配で除すことによって得られる。ここで見られるように、本発明者らの炭素とYP-50の炭素を用いて構築された電池の充放電曲線の傾きは非常に似ており、電池間の同様の電気容量値を予測している。自己放電の計測値(開回路で24時間にわたって測定)は、本実施例に記載の化学活性化工程を用いて製造された炭素から製造された装置と市販のYP-50活性炭を用いて製造された装置の電池電圧において同様の低下を示す。
表1は、本実施例に記載の活性炭の平均比電気容量値をYP-50材料のものと比較している。図1(a) から予測されるように、前記比電気容量値は両方の電池の組みについて同様である。
Figure 0007097683000001
この活性炭粉末の表面積の測定は、BET(Brunauer, Emmett, and Teller)法[Brunauer, S. 他、1938]を用いて行った。窒素を吸着ガスとして使用して、マイクロメリティックス トライスターII 3020 (Micromeretics TriStarTM II 3020)装置で測定を行った。試料を90℃で1時間、続いて300℃で16時間脱気した後、77Kで窒素の等温線を得た。該等温線をBET方程式に適合させて表面積を得た。全細孔容積は、等圧点からの相対圧力(P/P0)が0.98を超える条件で得た。結果を表2に示す。
本発明者らはまた、比較として商業的サンプル(YP-50)の表面積および細孔容積を同じ方法を用いて測定した。本発明者らが以前に開示した方法(米国特許出願第15242113号、追加のNaNO3活性化工程に関して本明細書に記載された方法と異なるだけである)を用いて製造された活性炭試料の測定データ(BET表面積および細孔容積)も、またこの表に含まれる。
Figure 0007097683000002
本方法では、NaNO3溶液に浸漬し、二酸化炭素活性化の前に200℃で処理を行った結果、比表面積(2732m2/gm)および細孔容積(1.5cm3/gm)が著しく増加した。しかし、電気容量値はYP-50材料で得られたものと同様である。これは、部分的には、本発明者らの炭素が流動床ジェット粉砕法(市販の炭素で現在使用されている)によって最適に「サイズが縮小されていない」という事実に起因すると考えられる。本発明者らの炭素のさらなる粒子径減少の欠如は、電極内の炭素粒子の低充填密度に起因して、より低密度の電極をもたらした。この粒径効果は十分に実証されている[Rennie, A. J. R. 他、2016]。
[実施例2]
この実施形態では、150mlのフルフリルアルコール(シグマアルドリッチ社製)を毎分約200回転で動作するオーバーヘッド撹拌機を用いてガラス瓶の中で数分間攪拌した。次に、i) シュウ酸を3.8g(シグマアルドリッチ社製)、ii) マレイン酸を4.9g(シグマアルドリッチ社製)、および iii) L-(+)-酒石酸を6.3g(シグマアルドリッチ社製)、を含む有機酸の混合物を添加し、さらに90分間撹拌を続けた。次に、2.25gのカーボンブラック(C-NERGY SUPER C45)を加え、該混合物をさらに150分間撹拌した。出発物質の組成は、使用されるカーボンブラックの量において、実施例1の実施形態と異なる。顕著な更なる重量減少が見られなくなるまで、該混合物を大気下で室温放置した。その後、大気下で48℃、80℃、125℃および200℃で熱処理し、続いて窒素雰囲気下600℃で一段階の炭化処理を行った(実施例1の炭化処理とは異なる)。
次いで、前記で生成された炭化材料を乳鉢および乳棒でより小さな粒子に粉砕し、2mm以下の範囲の粒径にした。再度、100mlの脱イオン水(抵抗率18.01MΩ-cm)および100mlの試薬用アルコール(Pharmco-Aaper)中の25gのNaNO3(Lab-Pro、カリフォルニア州サニーベール)の溶液を室温調製した。該アルコールの組成は以前に説明している。次いで、前記炭化材料を前記溶液に浸漬し、液体の蒸発損失を最小限に抑えるために覆いを用いて大気下で数時間浸漬させた。その後、該炭化材料を溶液から取り出して脱イオン水で洗い流しNaNO3沈殿物を除去した。
次いで、上記材料を大気下200℃のオーブンで数時間加熱することにより化学的に活性化させた。これに続いて、窒素雰囲気下の石英管炉内における600℃の1時間の加熱工程を含む、より高い温度の化学的活性化工程を実施した。この後、実施例1と同様に、該炭素を脱イオン水中で数回煮沸して十分に洗浄し、残りのNaNO3や関連する副生成物を除去した。二酸化炭素活性化工程において20.4%の活性化収率(すなわち、約79.6%の焼失)が達成された。
この実施形態と前の実施形態との間の類似点は、同じNaNO3溶液、同様の室温浸漬、同様の初期200℃処理、などである。この先、本実施形態は、すべてのNaNO3および副生成物を洗浄して除去する前に、より高温(600℃の加熱)の化学的活性化工程を追加する。
これらの活性炭素材料を使用して、前述の方法でいくつかのEDLC装置を製造した。これらのEDLC装置の充放電曲線および自己放電曲線は、図1(a)および図1(b)の曲線と同様であるので、本明細書には掲載しない。電気容量値を放電曲線の傾きから計算し、平均値を実施例1と同様のデータとともに表3に示す。実施例1および実施例2から得られた平均比電気容量値を比較すると、実施例2におけるより高温(600℃)の化学的活性化工程の追加は、その後の二酸化炭素活性化工程によるものより少ない焼失にもかかわらず、より大きな平均比電気容量値をもたらすことが分かる。
Figure 0007097683000003
前述の設備構成を用いてBET表面積測定を行った。本試料を90℃で1時間、続いて300℃で16時間脱気した後、77Kで窒素等温線を得た。該等温線をBET方程式に適合させて表面積を得た。全細孔容積は、等圧点からの相対圧力(P/P0)が0.98を超える条件で得た。この例(2)および前の例(1)の標本について、結果を表4に示す。表4は、二酸化炭素活性化の前(すなわち、200℃および600℃のNaNO3処理のみの状態)に、実施例2の材料の標本で測定した、BET表面積および細孔容積測定のデータも含む。
Figure 0007097683000004
表4の実施例2の600℃の追加熱処理は、二酸化炭素活性化と併用することにより、実施例1のデータよりも大きな表面積、すなわち2954m2/gmをもたらした。一方、実施例2の二酸化炭素活性化後の細孔容積も、実施例1の細孔容積よりも大きい。また、実施例2では、NaNO3処理のみ(二酸化炭素活性化なし)のBET表面積は606m2/gmと測定された。より高い活性化温度(600℃の代わりに800℃とする)と、より長い温度浸漬は、この値を増加させると予想される。
[実施例3]
この実施形態では、フルフリルアルコールおよびシランが出発物質として使用される(米国特許公開US20150030525のように)。100mlのフルフリルアルコール(シグマアルドリッチ社製)を100mlのアセトン(HPLCグレード、329000000、ケンタッキー州シェールビールのPharmco-Aaper社から入手)と混合し、ガラス瓶中で数分間攪拌した。次いで、2mlのジクロロジメチルシラン(CH3)2SiCl2(440272、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社製)を添加し、その混合物を45分間撹拌した後、2gのカーボンブラック(C-NERGY SUPER C45)を添加した。撹拌をさらに45分間続けた。顕著な更なる重量減少が見られなくなるまで、該溶液を大気下で室温放置した。さらに、すべて大気下で75℃、120℃および200℃で熱処理し、続いて窒素雰囲気下600℃で炭化した。
次いで、前記で生成された炭化材料を乳鉢および乳棒でより小さな粒子に粉砕し、2mm以下の範囲の粒径にした。先の実施例と同様に、100mlの脱イオン水および100mlの試薬中の25gのNaNO3の溶液を調製した。前記炭化材料を前記溶液に浸漬し、液体の蒸発損失を最小限に抑えるために覆いを用いて大気下で数時間浸漬させた。次いで、該炭化材料を該溶液から取り出して、風乾し、大気下200℃のオーブンで直接加熱することによって化学的に活性化した。先の実施例とは異なり、該炭化材料を洗浄あるいは洗い流すことなく、200℃で処理した。この200℃の処理の後、少なくとも1時間煮沸し、3回洗い流して乾燥させた。この段階で、該炭素は二酸化炭素を用いて950℃で活性化され、約22.6%の活性化収率(すなわち、約77.4%の焼失)が達成された。
次に、これらの活性炭試料を使用して、前述の方法でEDLC電極を製造した。前述同様のEDLCの電気的性能およびBET表面積の測定を行った。表5は、この炭素を用いて製造したコイン型電池のEDLC装置の比電気容量の平均値を示す。これらの充放電曲線および自己放電曲線は、先に示したものと同様であるので、本明細書には掲載しない。表5に示すBET測定結果は、また、1.434cm3/gmの細孔容積と共に、2457m2/gmという大きな表面積を示す。
Figure 0007097683000005
中間洗浄およびすすぎ洗い工程、ならびに上記の様々な実施形態で使用される追加の高温加熱工程の役割を評価するために、本発明者らは上記のすべての実施例(実施例1、2および3)のデータを組み合わせて、それらを同一の二酸化炭素活性化収率に正規化した。3つの標本のすべてが線形の二酸化炭素活性化曲線(すなわち、活性化重量/収率対時間)を有していたので、表面積値も二酸化炭素活性化収率とともに線形に拡大することは、公平な仮定である(すべての標本について同じ活性化機構が仮定される)。
該仮定(CO2活性化率は直線的であること)の妥当性は、100%の二酸化炭素活性化収率(すなわち、二酸化炭素活性化前)に相当する表面積値を測定データから外挿することによって試験することができる。こうして、2954m2/gm(活性化収率20.4%)の測定面積は602m2/gm(活性化収率100%)に外挿される。この値は、実施例2の606.4m2/gm(二酸化炭素活性化前のNaNO3処理直後に達成された)の測定値と非常によく合致する。
表6は、すべての3つの実施例について活性化収率を20.4%と仮定した場合の比表面積の正規化値とともに、上記の種々の実施例に伴う処理工程を示す。正規化後も、追加の600℃処理(実施例2)で最良の表面積値が依然として得られる。
Figure 0007097683000006
実施例1と実施例3を比較することにより、二酸化炭素活性化の収率が同じ場合、NaNO3溶液に炭化材料を浸漬した後のすすぎ洗い工程を省くと、より大きな表面積(表中の正規化された値)がもたらされることが分かる。これに基づいて、実施例2(表6)の室温浸漬および200℃処理後のすすぎ洗い工程を省くと、さらに大きな比表面積を期待できる。さらに、また、工程3および5(表6)の2つの温度処理については、処理温度をそれぞれ300℃および800℃に上昇させることにより、NaNO3処理が単独で使用されるか、または後続の二酸化炭素活性化工程と併用されるかにかかわらず、より大きな表面積をもたらすことが期待される。
[実施例4]
本発明者らは、最終的に、椰子殻のチャーでもこのNaNO3浸漬処理を使用した。この実施形態では、揮発性有機化合物を追い出すために、最初に椰子殻のチャーを窒素下600℃で1時間炭化した。次に、脱イオン水および試薬用アルコール中のNaNO3の溶液(先に記載したものと同様)を調製し、前記炭化チャーを該溶液中に数時間浸した。その後、該炭化チャーを該溶液から取り出し、脱イオン水で洗い、大気下200℃のオーブンに数時間置いて化学活性化工程を行った。これに続いて、窒素下600℃で該材料を加熱する、より高い温度の化学活性化工程も実施した。これは石英管炉で行った。その後、炭素を重量濃度4%のHCl溶液中で1時間煮沸して、次いで数回脱イオン水ですすぎ洗いし、すすぎ水が中性のpH値を示すまで完全に洗浄した。次に、石英管炉で950℃の二酸化炭素活性化を実施するために該材料を調製した。活性化を、30%の収率(すなわち、70%の焼失)が達成されるまで続けた。
次いで、前述したものと同じ技術を用いて、前記材料の表面積および細孔容積について評価した。測定データを表7に示す。この表は、また、日本のクラレケミカル(Kuraray Chemical, Japan)から市販されている、椰子殻由来の活性炭のデータも含む。本明細書に記載の椰子殻の炭化チャーに使用される二酸化炭素活性化工程に伴う低温および高温NaNO3処理は、蒸気活性化による市販の炭素と比較して、より大きな比表面積をもたらした。
本発明者らは、また、NaNO3処理の直後(二酸化炭素活性化前)のこの炭素のBET表面積を測定した。この測定の結果として、545m2/gmの表面積および0.229cm3/gmの細孔容積を得た。NaNO3処理前の同様のBET表面積の測定値は200m2/gmであった。
Figure 0007097683000007
図2に上述の実施形態に概説された方法に基づく工程流れ図を示す。同図はまた、フルフリル官能基含有出発物質[米国特許出願第15242113号]を重合させて、本明細書に記載の化学活性化工程の出発点である炭化材料を製造する方法も含む。この図から分かるように、いくつか他の変形の工程がありうる。例えば、低温処理を約300℃まで上昇させることができ、高温処理を約800℃まで上昇させることができる(これらの温度は、二酸化炭素活性化および蒸気活性化工程により良く則しているが、これを超えて900℃または1000℃に上昇させることはできない理由はない)。また、300℃と800℃の両方の処理を使用する場合、中間の洗浄工程は必要ない。どのような温度の組み合わせを使用しても、過剰のNaNO3および関連する副生成物をすべて確実に除去するために、最終的な完全な洗浄工程(煮沸とすすぎ洗い)は必要である。脱イオン水またはHCl溶液をこの完全な洗浄工程に使用し、続いて脱イオン水中で数回のすすぎ洗い工程を実施することができる。
より大きな表面積が望まれる場合、NaNO3処理を、その後の二酸化炭素活性化または蒸気活性化法と組み合わせて使用することができる。低温化学活性化工程(300℃)あるいは高温工程(800℃)のどちらか一方の後、または両方を組み合わせた後、二酸化炭素活性化または蒸気活性化工程を考慮することが可能である。さらに、最初の浸漬(NaNO3室温溶液中の炭化材料)工程の直後に二酸化炭素活性化または蒸気活性化法を使用することも可能である。しかし、この場合、二酸化炭素活性化または蒸気活性化の後に、余分な化学副生成物を除去するための洗浄を行わなければならない。
本明細書に記載のNaNO3活性化法が二酸化炭素活性化または蒸気活性化法と共に使用される場合、椰子殻のような天然に存在する前駆体に由来する炭化材料が同様の表面積の改善を示すことも示されている。これらの椰子殻由来の炭素前駆体は、化学活性化処理のための炭化材料の開始点への追加の投入物質として図2に示されている。
この処理は、NaNO3以外の硝酸塩の溶液を用いて行うこともできる。硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)、硝酸コバルト(Co(NO3)2)、硝酸リチウム(LiNO3)は、いずれも水およびエタノールに良好な溶解性を有し、本明細書に記載の化学的活性化プロセスの良好な候補である。エタノール中で限られた溶解性を有し、適度に水に可溶である硝酸カリウム(KNO3)もまた候補であり得る。
本明細書に記載の方法の実施形態では、本発明者らは硝酸ナトリウムのみを使用したが、他の塩も同様の効果を示すことが予想される。例えば、ホウ酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物などの他の塩もまた、本明細書に記載のものと同様の様式でNaNO3の代わりに使用される場合、同様の挙動を示すことがある。
本発明者らは、本方法の多くの実施例および実施形態について論じてきた、そして当業者であれば、同じ最終結果を生み出すために改変、置換、追加、および部分的組合せを行うことができることを認識するであろう。したがって、上記に詳述した説明および図面に基づいて以後導入される請求項は、そのような改変、置換、追加および部分的組合せの全てがその精神および範囲内に含まれるものと解釈されることが意図される。本明細書で使用される場合、用語「実施形態」は、限定ではなく例として説明するために役立つ実施形態を意味する。

Claims (16)

  1. 化学的活性炭の製造方法であって、
    炭化材料を水と有機溶媒の少なくとも1つ中の無機化合物の希薄溶液に一定時間浸漬して化学的に充填された活性化可能材料を製造する工程であって、前記無機化合物が、Na、Ca、Al、Co、Li、Mg、およびKの少なくとも1つの可溶性化合物であり、前記無機化合物の希薄溶液の濃度が1.5モル未満である工程と、
    前記化学的に充填された活性化可能材料を前記溶液から取り出し、不活性雰囲気下の制御された温度で加熱して化学的に活性化して化学的活性化材料を製造する工程と、そして、
    前記化学的活性化材料を完全に洗浄して全ての残渣を除去して化学的活性炭を得る工程と
    を含む、方法。
  2. 前記炭化材料が重合し炭化したフルフリル官能基含有化合物の1つである請求項1に記載の方法。
  3. 前記炭化材料が、椰子殻、果実種、種子、馬鈴薯澱粉、小麦藁、セルロースおよび木材の少なくとも1つである、天然源由来である請求項1に記載の方法。
  4. 前記炭化材料が石油系製品由来である請求項1に記載の方法。
  5. 前記無機化合物が、Na、K、Ca、Mg、Al、Co、Liおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つの硝酸塩である請求項1に記載の方法。
  6. 前記有機溶媒がアルコールであり、前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びこれらの組み合わせのうちの1つである請求項1に記載の方法。
  7. 200℃から1000℃の間の加熱により制御される、化学的活性化のための温度を特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 活性炭の製造方法であって、
    炭化材料を水とアルコールの少なくとも1つ中の無機化合物の希薄溶液に一定時間浸漬して化学的に充填された活性化可能材料を製造する工程であって、前記無機化合物が、Na、Ca、Al、Co、Li、Mg、およびKの少なくとも1つの可溶性化合物であり、前記無機化合物の希薄溶液の濃度が1.5モル未満である工程と、
    前記化学的に充填された活性化可能材料を前記溶液から取り出し、不活性雰囲気下の制御された温度で加熱して化学的に活性化して化学的活性化材料を製造する工程と、
    前記化学的活性化材料を完全に洗浄して全ての残渣を除去する工程と、そして、
    電気化学エネルギ貯蔵用途で使用するための活性炭を得るために活性化剤として二酸化炭素または蒸気を用いて前記化学的活性化材料をさらに活性化する工程と
    を含む、方法。
  9. 前記炭化材料が重合し炭化したフルフリル官能基含有化合物の1つである請求項8に記載の方法。
  10. 前記炭化材料が、椰子殻、果実種、種子、馬鈴薯澱粉、小麦藁、セルロースおよび木材の少なくとも1つである、天然源由来である請求項8に記載の方法。
  11. 前記炭化材料が石油系製品由来である請求項8に記載の方法。
  12. 前記無機化合物が、NaNO3、KNO3、Ca(NO3)2、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Co(NO3)2、LiNO3およびこれらの組み合わせの少なくとも1つである請求項8に記載の方法。
  13. 前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びこれらの組み合わせのうちの1つである請求項8に記載の方法。
  14. 前記化学的活性化が200℃から1000℃の間の加熱により行われることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  15. 前記二酸化炭素活性化または蒸気活性化が、二酸化炭素または蒸気雰囲気を用いて制御された温度で加熱することによって行われる、請求項8に記載の方法。
  16. 前記活性炭が2000m2/gmより大きい表面積を有する、請求項8に記載の方法。
JP2017162265A 2016-09-01 2017-08-25 化学的活性炭の製造方法 Active JP7097683B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/255128 2016-09-01
US15/255,128 US9975778B2 (en) 2014-07-25 2016-09-01 Method of making chemically activated carbon

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018048063A JP2018048063A (ja) 2018-03-29
JP7097683B2 true JP7097683B2 (ja) 2022-07-08

Family

ID=61767262

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017162265A Active JP7097683B2 (ja) 2016-09-01 2017-08-25 化学的活性炭の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7097683B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111646470B (zh) * 2020-06-17 2023-10-20 宁夏浦士达环保科技有限公司 一种无氨防酸性气体活性炭及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012193299A (ja) 2011-03-17 2012-10-11 Asahi Organic Chemicals Industry Co Ltd 球状フルフリルアルコール樹脂粒子の製造方法及びその製造方法によって得られた球状フルフリルアルコール樹脂粒子並びに球状炭素粒子及び球状活性炭粒子
WO2014129409A1 (ja) 2013-02-20 2014-08-28 日本エンバイロケミカルズ株式会社 粒状活性炭およびその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6050912A (ja) * 1983-08-30 1985-03-22 松下電器産業株式会社 電気二重層キャパシタの製造法
JPS6448371A (en) * 1987-08-17 1989-02-22 Kanebo Ltd Lithium secondary cell
JP3539435B2 (ja) * 1993-12-09 2004-07-07 三菱瓦斯化学株式会社 高性能炭素材料の製法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012193299A (ja) 2011-03-17 2012-10-11 Asahi Organic Chemicals Industry Co Ltd 球状フルフリルアルコール樹脂粒子の製造方法及びその製造方法によって得られた球状フルフリルアルコール樹脂粒子並びに球状炭素粒子及び球状活性炭粒子
WO2014129409A1 (ja) 2013-02-20 2014-08-28 日本エンバイロケミカルズ株式会社 粒状活性炭およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018048063A (ja) 2018-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9975778B2 (en) Method of making chemically activated carbon
EP2362851B1 (en) Process for making porous activated carbon
JP2012507470A5 (ja)
JP6928620B2 (ja) 高表面積を有する活性炭及びその製造方法
JP7028580B2 (ja) 活性化ナノ多孔質炭素の製造方法
US10201802B2 (en) Method of making hetero-atom doped activated carbon
US9670066B2 (en) Carbon particles
US9938152B2 (en) Method of making activated nano-porous carbon
CN102460620B (zh) 双电层电容器电极用碳材料和碳材料的生产方法
CN101356607B (zh) 双电层电容器用磷化合物复合活性炭及其制造方法
JP6760583B2 (ja) 活性炭の製造方法
KR102170616B1 (ko) 이차 전지용 전극 재료 및 그 제조 방법, 및 이차 전지
US20150110707A1 (en) Process for making chemically activated carbon
CN104205431A (zh) 电极材料、制造电极材料的方法以及二次电池
JP2014072497A (ja) キャパシタ電極材用活性炭及びその製造方法、キャパシタ用電極、並びにキャパシタ
JP2006513969A (ja) 多孔質カーボンの孔特性を変える方法およびその方法で製造された多孔質カーボン材料
WO2018067292A1 (en) A method of making heteroatom-doped activated carbon
EP3530619A1 (en) Carbonaceous material and method for producing same
JP7097683B2 (ja) 化学的活性炭の製造方法
JP2020534230A (ja) 硬質炭素材料の製造方法
Chu et al. Functions of hydroxyapatite in fabricating N-doped carbon for excellent catalysts and supercapacitors
KR20160034895A (ko) 전극 재료 및 이차 전지
JP2013237595A (ja) 活性炭及びその製造方法
Phainuphong et al. Synthesis and Characterization of Activated Carbon Derived from Rubberwood Sawdust via Carbonization and Chemical Activation as Electrode Material for Supercapacitor
CN110803700B (zh) 多孔碳材料及利用微波热区效应制备多孔碳材料的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210224

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210514

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211214

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220628

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7097683

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150