JP7097374B2 - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents

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Description

本開示は、質量分析装置及び質量分析方法に関する。
従来、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI:Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization)によってイオン化された試料の成分を検出することにより、試料を構成する分子の二次元分布を画像化するイメージング質量分析を実施する質量分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。MALDIは、レーザ光を吸収するマトリックスと呼ばれる低分子量の有機化合物を試料に加え、これにレーザ光を照射することにより、試料をイオン化する手法である。MALDIによるイメージング質量分析においては、試料のイオン像と共に試料の可視光像が取得される場合がある。
特許第4863692号公報
上述したような質量分析装置においては、例えば組織切片等の薄膜状の生体試料がイメージング質量分析の対象となるが、MALDIでは、レーザ光が照射される試料の表面において導電性を確保する必要があるため、例えば試料の厚さが10μm程度に制限される等、試料を厚くすることが困難である。その一方で、厚さが10μm程度以下というように試料が薄いため、MALDIによるイメージング質量分析においては、試料の可視光像として試料の透過光像が取得されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、イオン化された試料の成分を検出する際における信号強度の確保という観点からは、厚い試料をイメージング質量分析の対象とし得ることが好ましい。
本開示は、厚い試料をイメージング質量分析の対象とすることができる質量分析装置及び質量分析方法を提供することを目的とする。
本開示の一側面の質量分析装置は、真空引きされる空間を形成するチャンバと、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板と、少なくとも第1表面に設けられた導電層と、を備える試料支持体の第2表面が試料に接触した状態で、チャンバ内の空間において、少なくとも試料及び試料支持体を支持する支持部と、第1表面に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、導電層に電圧を印加する電圧印加部と、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態で、チャンバ内の空間において、導電層に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射されることによりイオン化された成分を検出するイオン検出部と、試料に対して基板側から第1光を照射する第1光照射部と、第1光による試料の反射光像を取得する撮像部と、を備える。
この質量分析装置では、支持された試料支持体の基板において、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態にある。これにより、基板の第1表面側に移動した試料の成分においては、試料の位置情報(試料を構成する分子の二次元分布情報)が維持されている。この状態で、導電層に電圧が印加されつつ基板の第1表面に対してレーザ光が照射されるため、試料の位置情報が維持されつつ試料の成分がイオン化される。このように、試料の成分が基板の第1表面側に移動した状態で導電層に電圧が印加されるため、試料自体についての導電性を考慮せずに、試料を厚くすることができる。しかも、試料に対して基板側から第1光が照射され、第1光による試料の反射光像(導電層及び基板を透過し、試料で反射された第1光による試料の像)が取得されるため、試料における光透過性等を考慮せずに、試料を厚くすることができる。試料を厚くし得ることは、イオン化された成分を検出する際における信号強度を確保する上で有利である。以上により、この質量分析装置によれば、厚い試料をイメージング質量分析の対象とすることができる。
本開示の一側面の質量分析装置は、試料に対して基板とは反対側から第2光を照射する第2光照射部を更に備え、撮像部は、第2光による試料の透過光像を取得してもよい。これにより、試料の厚さ等によっては、試料の反射光像だけでなく、試料の透過光像(試料、基板及び導電層を透過した第2光による試料の像)を取得することができる。
本開示の一側面の質量分析装置は、第1光照射部による第1光の照射又は第2光照射部による第2光の照射を切り替える切替部を更に備えてもよい。これにより、試料の像として反射光像又は透過光像のいずれを取得するかを、試料の厚さ等に応じて選択することができる。
本開示の一側面の質量分析装置では、撮像部は、互いに異なる複数の撮像倍率での撮像が可能であってもよい。これにより、適切な撮像倍率で試料の像を取得することができる。
本開示の一側面の質量分析装置では、レーザ光照射部は、試料に対応する領域に対してレーザ光を走査し、イオン検出部は、レーザ光の走査位置に対応するように、イオン化された成分を検出してもよい。これにより、イメージング質量分析を適切に実施することができる。
本開示の一側面の質量分析装置では、レーザ光照射部は、試料に対応する領域に対してレーザ光を一括で照射し、イオン検出部は、領域の二次元情報を維持しながら、イオン化された成分を検出してもよい。これにより、イメージング質量分析を適切に実施することができる。
本開示の一側面の質量分析装置は、真空引きされる空間を形成するチャンバと、導電性を有し、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板を備える試料支持体の第2表面が試料に接触した状態で、チャンバ内の空間において、少なくとも試料及び試料支持体を支持する支持部と、第1表面に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、基板に電圧を印加する電圧印加部と、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態で、チャンバ内の空間において、基板に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射されることによりイオン化された成分を検出するイオン検出部と、試料に対して基板側から第1光を照射する第1光照射部と、第1光による試料の反射光像を取得する撮像部と、を備える。
この質量分析装置によれば、試料支持体において導電層を省略することができると共に、上述したように導電層を備える試料支持体を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
本開示の一側面の質量分析方法は、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板と、少なくとも第1表面に設けられた導電層と、を備える試料支持体の第2表面が試料に接触した状態で、真空引きされた空間において、少なくとも試料及び試料支持体が支持される第1工程と、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態で、導電層に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射される第2工程と、空間において、導電層に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射されることによりイオン化された成分が検出される第3工程と、試料に対して基板側から第1光が照射され、第1光による試料の反射光像が取得される第4工程と、を備える。
この質量分析方法では、支持された試料支持体の基板において、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態にある。これにより、基板の第1表面側に移動した試料の成分においては、試料の位置情報(試料を構成する分子の二次元分布情報)が維持されている。この状態で、導電層に電圧が印加されつつ基板の第1表面に対してレーザ光が照射されるため、試料の位置情報が維持されつつ試料の成分がイオン化される。このように、試料の成分が基板の第1表面側に移動した状態で導電層に電圧が印加されるため、試料自体についての導電性を考慮せずに、試料を厚くすることができる。しかも、試料に対して基板側から第1光が照射され、第1光による試料の反射光像が取得されるため、試料における光透過性等を考慮せずに、試料を厚くすることができる。試料を厚くし得ることは、イオン化された成分を検出する際における信号強度を確保する上で有利である。以上により、この質量分析方法によれば、厚い試料をイメージング質量分析の対象とすることができる。
本開示の一側面の質量分析方法では、第4工程は、第3工程の前に実施されてもよい。これにより、レーザ光の照射によって試料が何らかの影響を受ける前における試料の状態を観察することができる。
本開示の一側面の質量分析方法では、第4工程は、第3工程の後に実施されてもよい。これにより、イメージング質量分析の結果に基づいて試料の状態を観察することができる。
本開示の一側面の質量分析方法は、試料に対して基板側から第1光が照射され、第4工程よりも高い撮像倍率で、第1光による試料の反射光像が取得される第5工程を更に備えてもよい。これにより、試料の状態をより詳細に観察することができる。
本開示の一側面の質量分析方法では、第2工程及び第3工程は、第5工程において取得された反射光像に基づいて試料に対応する領域から抽出された一部の領域に対して実施されてもよい。これにより、試料の特定の部分をイメージング質量分析の対象とすることができる。
本開示の一側面の質量分析方法は、試料に対して基板とは反対側から第2光が照射され、第2光による試料の透過光像が取得される第6工程を更に備えてもよい。これにより、試料の厚さ等によっては、試料の反射光像だけでなく、試料の透過光像を取得することができる。
本開示の一側面の質量分析方法は、導電性を有し、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板を備える試料支持体の第2表面が試料に接触した状態で、真空引きされた空間において、少なくとも試料及び試料支持体が支持される第1工程と、試料の成分が毛細管現象によって複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した状態で、基板に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射される第2工程と、空間において、基板に電圧が印加されつつ第1表面に対してレーザ光が照射されることによりイオン化された成分が検出される第3工程と、試料に対して基板側から第1光が照射され、第1光による試料の反射光像が取得される第4工程と、を備える。
この質量分析方法によれば、試料支持体において導電層を省略することができると共に、上述したように導電層を備える試料支持体を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
本開示によれば、厚い試料をイメージング質量分析の対象とすることができる質量分析装置及び質量分析方法を提供することができる。
図1は、一実施形態の質量分析装置及び質量分析方法に用いられる試料支持体の平面図である。 図2は、図1に示されるII-II線に沿っての試料支持体の断面図である。 図3は、図1に示される試料支持体の基板の拡大像を示す図である。 図4は、一実施形態の質量分析方法の工程を示す図である。 図5は、一実施形態の質量分析方法の工程を示す図である。 図6は、一実施形態の質量分析方法の工程を示す図である。 図7は、一実施形態の質量分析装置の構成図である。 図8は、一実施形態の質量分析方法のフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
最初に、一実施形態の質量分析装置及び質量分析方法に用いられる試料支持体について説明する。図1及び図2に示されるように、試料支持体1は、基板2と、フレーム3と、導電層4と、を備えている。基板2は、互いに対向する第1表面2a及び第2表面2bを有している。基板2には、複数の貫通孔2cが一様に(均一な分布で)形成されている。各貫通孔2cは、基板2の厚さ方向(第1表面2a及び第2表面2bに垂直な方向)に沿って延在しており、第1表面2a及び第2表面2bに開口している。
基板2は、例えば、絶縁性材料によって長方形板状に形成されている。基板2の厚さ方向から見た場合における基板2の一辺の長さは、例えば数cm程度であり、基板2の厚さは、例えば1μm~50μm程度である。基板2の厚さ方向から見た場合における貫通孔2cの形状は、例えば略円形である。貫通孔2cの幅は、例えば1nm~700nm程度である。貫通孔2cの幅とは、基板2の厚さ方向から見た場合における貫通孔2cの形状が略円形である場合には、貫通孔2cの直径を意味し、当該形状が略円形以外である場合には、貫通孔2cに収まる仮想的な最大円柱の直径(有効径)を意味する。
フレーム3は、基板2の第1表面2aに設けられている。具体的には、フレーム3は、接着層5によって基板2の第1表面2aに固定されている。接着層5の材料としては、放出ガスの少ない接着材料(例えば、低融点ガラス、真空用接着剤等)が用いられることが好ましい。フレーム3は、基板2の厚さ方向から見た場合に基板2と略同一の外形を有している。フレーム3には、開口3aが形成されている。基板2のうち開口3aに対応する部分は、後述する毛細管現象によって試料の成分を第1表面2a側に移動させるための実効領域Rとして機能する。
フレーム3は、例えば、絶縁性材料によって長方形板状に形成されている。基板2の厚さ方向から見た場合におけるフレーム3の一辺の長さは、例えば数cm程度であり、フレーム3の厚さは、例えば1mm以下である。基板2の厚さ方向から見た場合における開口3aの形状は、例えば円形であり、その場合における開口3aの直径は、例えば数mm~数十mm程度である。このようなフレーム3によって、試料支持体1のハンドリングが容易化すると共に、温度変化等に起因する基板2の変形が抑制される。
導電層4は、基板2の第1表面2aに設けられている。具体的には、導電層4は、基板2の第1表面2aのうちフレーム3の開口3aに対応する領域(すなわち、実効領域Rに対応する領域)、開口3aの内面、及びフレーム3における基板2とは反対側の表面3bに一続きに(一体的に)形成されている。導電層4は、実効領域Rにおいて、基板2の第1表面2aのうち貫通孔2cが形成されていない部分を覆っている。つまり、実効領域Rにおいては、各貫通孔2cが開口3aに露出している。
導電層4は、導電性材料によって形成されている。ただし、導電層4の材料としては、以下に述べる理由により、試料との親和性(反応性)が低く且つ導電性が高い金属が用いられることが好ましい。
例えば、タンパク質等の試料と親和性が高いCu(銅)等の金属によって導電層4が形成されていると、後述する試料のイオン化の過程において、試料分子にCu原子が付着した状態で試料がイオン化され、Cu原子が付着した分だけ、後述する質量分析法において検出結果がずれるおそれがある。したがって、導電層4の材料としては、試料との親和性が低い金属が用いられることが好ましい。
一方、導電性の高い金属ほど一定の電圧を容易に且つ安定して印加し易くなる。そのため、導電性が高い金属によって導電層4が形成されていると、実効領域Rにおいて基板2の第1表面2aに均一に電圧を印加することが可能となる。また、導電性の高い金属ほど熱伝導性も高い傾向にある。そのため、導電性が高い金属によって導電層4が形成されていると、基板2に照射されたレーザ光のエネルギーを、導電層4を介して試料に効率的に伝えることが可能となる。したがって、導電層4の材料としては、導電性の高い金属が用いられることが好ましい。
以上の観点から、導電層4の材料としては、例えば、Au(金)、Pt(白金)等が用いられることが好ましい。導電層4は、例えば、メッキ法、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)、蒸着法、スパッタ法等によって、厚さ1nm~350nm程度に形成される。なお、導電層4の材料としては、例えば、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)等が用いられてもよい。
図3は、基板2の厚さ方向から見た場合における基板2の拡大像を示す図である。図3において、黒色の部分は貫通孔2cであり、白色の部分は貫通孔2c間の隔壁部である。図3に示されるように、基板2は、略一定の幅を有する複数の貫通孔2cが一様に形成されている。実効領域Rにおける貫通孔2cの開口率(基板2の厚さ方向から見た場合に実効領域Rに対して全ての貫通孔2cが占める割合)は、実用上は10~80%であり、特に60~80%であることが好ましい。複数の貫通孔2cの大きさは互いに不揃いであってもよいし、部分的に複数の貫通孔2c同士が互いに連結していてもよい。
図3に示される基板2は、Al(アルミニウム)を陽極酸化することにより形成されたアルミナポーラス皮膜である。具体的には、Al基板に対して陽極酸化処理を施し、酸化された表面部分をAl基板から剥離することにより、基板2を得ることができる。なお、基板2は、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ti(チタン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Zn(亜鉛)、W(タングステン)、Bi(ビスマス)、Sb(アンチモン)等のAl以外のバルブ金属を陽極酸化することにより形成されてもよいし、Si(シリコン)を陽極酸化することにより形成されてもよい。
次に、試料支持体1を用いた質量分析方法の概要について説明する。図4~図6においては、試料支持体1における貫通孔2c、導電層4及び接着層5の図示が省略されている。また、図1及び図2に示される試料支持体1と図4~図6に示される試料支持体1とでは、図示の便宜上、寸法の比率等が異なっている。
まず、上述した試料支持体1が用意される。試料支持体1は、質量分析方法を実施する者によって製造されることで用意されてもよいし、試料支持体1の製造者又は販売者等から取得されることで用意されてもよい。
続いて、図4の(a)に示されるように、試料Sがスライドガラス6の載置面6aに載置される。スライドガラス6は、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電膜が形成されたガラス基板であり、透明導電膜の表面が載置面6aとなっている。なお、スライドガラス6に限定されず、導電性を確保し得る部材(例えば、ステンレス等の金属材料等からなる基板等)を載置部として用いることができる。続いて、図4の(b)に示されるように、試料Sに基板2の第2表面2bが接触させられ、この状態で、図5の(a)に示されるように、スライドガラス6に対して試料支持体1が固定される。このとき、試料Sは、基板2の厚さ方向から見た場合に実効領域R内に配置される。また、試料支持体1は、導電性を有するテープ7(例えば、カーボンテープ等)によって、スライドガラス6に対して固定される。具体的には、テープ7は、基板2の第1表面2a上の導電層4に接触し、且つ、スライドガラス6の載置面6aに接触することにより、試料支持体1をスライドガラス6に対して固定する。テープ7は、試料支持体1の一部であってもよいし、試料支持体1とは別に用意されてもよい。テープ7が試料支持体1の一部である場合(すなわち、試料支持体1がテープ7を備える場合)には、例えば、テープ7は、予め、基板2の周縁部において第1表面2a側に固定されていてもよい。より具体的には、テープ7は、基板2の周縁部において導電層4上に固定されていてもよい。ここで、試料Sは、例えば組織切片等の薄膜状の生体試料(含水試料)である。
続いて、図5の(b)に示されるように、スライドガラス6と試料支持体1との間に試料Sが配置された状態で、試料Sの成分S1が毛細管現象によって複数の貫通孔2c(図2参照)を介して基板2の第1表面2a側に移動する。基板2の第1表面2a側に移動した成分S1は、表面張力によって第1表面2a側に留まる。なお、試料Sが乾燥試料である場合には、試料Sの粘性を低くするための溶液(例えばアセトニトリル混合液等)が試料Sに加えられる。これにより、毛細管現象によって複数の貫通孔2cを介して基板2の第1表面2a側に試料Sの成分S1を移動させることができる。
続いて、図6に示されるように、スライドガラス6と試料支持体1との間に試料Sが配置された状態で、スライドガラス6、試料支持体1及び試料Sが、質量分析装置10の支持部12(例えば、ステージ)上に載置される。続いて、質量分析装置10の電圧印加部14によって、スライドガラス6の載置面6a及びテープ7を介して試料支持体1の導電層4(図2参照)に電圧が印加される。続いて、質量分析装置10のレーザ光照射部13によって、フレーム3の開口3aを介して、基板2の第1表面2aに対してレーザ光Lが照射される。つまり、レーザ光Lは、基板2の第1表面2aのうちフレーム3の開口3aに対応する領域(すなわち、実効領域Rに対応する領域)に対して照射される。ここでは、レーザ光照射部13は、実効領域Rに対応する領域に対してレーザ光Lを走査する。
このように、導電層4に電圧が印加されつつ基板2の第1表面2aに対してレーザ光Lが照射されることにより、基板2の第1表面2a側に移動した成分S1がイオン化され、試料イオンS2(イオン化された成分S1)が放出される。具体的には、レーザ光Lのエネルギーを吸収した導電層4(図2参照)から、基板2の第1表面2a側に移動した成分S1にエネルギーが伝達され、エネルギーを獲得した成分S1が気化すると共に電荷を獲得して、試料イオンS2となる。
放出された試料イオンS2は、支持部12側とイオン検出部15側との圧力差、及びイオンガイド151(図7参照)の電場によって、質量分離部152(図7参照)に引き込まれる。質量分離部152では、試料イオンS2が質量に応じて分離される。質量に応じて分離された試料イオンS2は、イオン検出器153(図7参照)によって検出される。ここでは、イオン検出器153は、レーザ光Lの走査位置に対応するように、試料イオンS2を検出する。これにより、試料Sを構成する分子の二次元分布を画像化することができる。なお、ここでの質量分析装置10は、飛行時間型質量分析法(TOF-MS:Time-of-Flight Mass Spectrometry)を利用する走査型質量分析装置である。
以上の試料支持体1の構成及び質量分析方法の概要の説明を踏まえて、一実施形態の質量分析装置について説明する。図7に示されるように、質量分析装置10は、チャンバ11と、支持部12と、レーザ光照射部13と、電圧印加部14と、イオン検出部15と、第1光照射部16と、第2光照射部17と、撮像部18と、制御部(切替部)20と、操作部21と、表示部22と、を備えている。なお、図7に示される質量分析装置10の支持部12周りの構成は、図6に示される質量分析装置10の支持部12周りの構成と同様であるため、以下、図7だけでなく図6も参照する。
チャンバ11は、真空引きされる空間を形成する。支持部12は、スライドガラス6と試料支持体1との間に試料Sが配置された状態で、チャンバ11内の空間において、スライドガラス6、試料支持体1及び試料Sを支持する。支持部12は、例えば、基板2の厚さ方向に垂直な平面に沿って動作可能なステージである。レーザ光照射部13は、チャンバ11に設けられた窓部11aを介して、支持部12に支持された試料支持体1の第1表面2aに対してレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは、例えば、紫外域の波長を有する光である。電圧印加部14は、支持部12に支持された試料支持体1の導電層4(図2参照)に、例えばスライドガラス6の載置面6a及びテープ7を介して、電圧を印加する。
イオン検出部15は、チャンバ11内の空間において、試料イオンS2(すなわち、導電層4に電圧が印加されつつ第1表面2aに対してレーザ光Lが照射されることによりイオン化された試料Sの成分S1)を検出する。導電層4に電圧が印加されつつ第1表面2aに対してレーザ光Lが照射される際には、試料Sの成分S1が毛細管現象によって複数の貫通孔2cを介して第1表面2a側に移動した状態にある。
質量分析装置10では、制御部20によって支持部12が動作させられることにより、レーザ光照射部13が、実効領域Rに対応する領域(試料Sに対応する領域)に対してレーザ光Lを走査し、イオン検出部15が、レーザ光Lの走査位置に対応するように、試料イオンS2を検出する。つまり、質量分析装置10は、走査型質量分析装置である。なお、実効領域Rに対応する領域に対するレーザ光Lの走査は、制御部20によって支持部12及びレーザ光照射部13の少なくとも1つが動作させられることにより、実施可能である。
イオン検出部15は、イオンガイド151と、質量分離部152と、イオン検出器153と、を有している。チャンバ11内の空間に放出された試料イオンS2は、支持部12側とイオン検出部15側との圧力差、及びイオンガイド151の電場によって、質量分離部152に引き込まれる。質量分離部152では、試料イオンS2が質量に応じて分離される。質量に応じて分離された試料イオンS2は、イオン検出器153によって検出される。
第1光照射部16は、窓部11aを介して、支持部12に支持された試料Sに対して基板2側から第1光L1を照射する。第2光照射部17は、支持部12に設けられており、スライドガラス6を介して、支持部12に支持された試料Sに対して基板2とは反対側から第2光L2を照射する。第1光L1及び第2光L2は、例えば可視光である。第1光照射部16による第1光L1の照射又は第2光照射部17による第2光L2の照射は、制御部20によって切り替えられる。撮像部18は、チャンバ11に設けられた窓部11bを介して、第1光L1による試料Sの反射光像(導電層4及び基板2を透過し、試料Sで反射された第1光L1による試料Sの像)又は第2光L2による試料Sの透過光像(試料S、基板2及び導電層4を透過した第2光L2による試料Sの像)を取得する。撮像部18は、例えば複数のレンズユニットを切り替えることにより、互いに異なる複数の撮像倍率での撮像が可能である。なお、少なくとも、基板2の厚さが1μm~50μm程度であり、導電層4の厚さが1nm~350nm程度であり、貫通孔2cの幅が1nm~700nm程度であり、実効領域Rにおける貫通孔2cの開口率が10~80%であれば、第1光L1による試料Sの反射光像及び第2光L2による試料Sの透過光像を取得することが可能である。
制御部20は、質量分析装置10の各部の動作を制御すると共に、イオン検出部15による試料イオンS2の検出結果に基づいて、試料Sを構成する分子の二次元分布を画像化するイメージング質量分析を実施する。制御部20は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。操作部21は、オペレータが指示等を入力するためのインタフェースである。表示部22は、試料Sを構成する分子の二次元分布像、第1光L1による試料Sの反射光像、第2光L2による試料Sの透過光像等を表示するディスプレイである。
次に、上述した質量分析装置10において実施される一実施形態の質量分析方法について、図8のフローチャートを参照して説明する。まず、オペレータによって、スライドガラス6と試料支持体1との間に試料Sが配置された状態にあるスライドガラス6、試料支持体1及び試料Sが支持部12に取り付けられる(ステップS01)。その状態で、チャンバ11内の空間が真空引きされ、当該空間が所定の真空度に維持される(ステップS02)。つまり、試料支持体1の第2表面2bが試料Sに接触した状態で、真空引きされたチャンバ11内の空間において、支持部12によって試料S及び試料支持体1が支持される(第1工程)。
続いて、オペレータによって、試料イオンS2の検出を先に実施するか、試料Sの反射光像を先に取得するかが、操作部21を介して選択される(ステップS03)。試料イオンS2の検出を先に実施することが選択された場合、試料Sの成分S1が毛細管現象によって複数の貫通孔2cを介して第1表面2a側に移動した状態で、電圧印加部14によって導電層4に電圧が印加されつつ、レーザ光照射部13によって第1表面2aに対してレーザ光Lが照射される(ステップS04、第2工程)。そして、真空引きされたチャンバ11内の空間において、イオン検出部15によって試料イオンS2(すなわち、導電層4に電圧が印加されつつ第1表面2aに対してレーザ光Lが照射されることによりイオン化された試料Sの成分S1)が検出され、制御部20によって当該検出結果に基づいてイメージング質量分析が実施される(ステップS05、第3工程)。
続いて、第1光照射部16によって、試料Sに対して基板2側から第1光L1が照射され、撮像部18によって、第1光L1による試料Sの反射光像が取得される(ステップS06、第4工程)。続いて、オペレータによって、試料Sの透過光像を取得するか否かが、操作部21を介して選択される(ステップS07)。試料Sの透過光像を取得することが選択された場合、第2光照射部17によって、試料Sに対して基板2とは反対側から第2光L2が照射され、撮像部18によって、第2光L2による試料Sの透過光像が取得される(ステップS08、第6工程)。ステップS08において試料Sの透過光像が取得されると、或いは、ステップS07において試料Sの透過光像を取得しないことが選択されると、ここでの質量分析方法が終了となる。
ステップS03において、試料Sの反射光像を先に取得することが選択された場合、第1光照射部16によって、試料Sに対して基板2側から第1光L1が照射され、撮像部18によって、第1光L1による試料Sの反射光像が取得される(ステップS09、第4工程)。続いて、オペレータによって、試料Sの透過光像を取得するか否かが、操作部21を介して選択される(ステップS10)。試料Sの透過光像を取得することが選択された場合、第2光照射部17によって、試料Sに対して基板2とは反対側から第2光L2が照射され、撮像部18によって、第2光L2による試料Sの透過光像が取得される(ステップS11、第6工程)。
ステップS11において試料Sの透過光像が取得されると、或いは、ステップS10において試料Sの透過光像を取得しないことが選択されると、試料Sの成分S1が毛細管現象によって複数の貫通孔2cを介して第1表面2a側に移動した状態で、電圧印加部14によって導電層4に電圧が印加されつつ、レーザ光照射部13によって第1表面2aに対してレーザ光Lが照射される(ステップS12、第2工程)。そして、真空引きされたチャンバ11内の空間において、イオン検出部15によって試料イオンS2が検出され、制御部20によって当該検出結果に基づいてイメージング質量分析が実施される(ステップS13、第3工程)。制御部20によってイメージング質量分析が実施されると、ここでの質量分析方法が終了となる。
以上説明したように、質量分析装置10、及び質量分析装置10において実施される質量分析方法では、支持された試料支持体1の基板2において、試料Sの成分S1が毛細管現象によって複数の貫通孔2cを介して第1表面2a側に移動した状態にある。これにより、基板2の第1表面2a側に移動した試料Sの成分S1においては、試料Sの位置情報(試料Sを構成する分子の二次元分布情報)が維持されている。この状態で、導電層4に電圧が印加されつつ基板2の第1表面2aに対してレーザ光Lが照射されるため、試料Sの位置情報が維持されつつ試料Sの成分S1がイオン化される。このように、試料Sの成分S1が基板2の第1表面2a側に移動した状態で導電層4に電圧が印加されるため、試料S自体についての導電性を考慮せずに、試料Sを厚くすることができる。しかも、試料Sに対して基板2側から第1光L1が照射され、第1光L1による試料Sの反射光像が取得されるため、試料Sにおける光透過性等を考慮せずに、試料Sを厚くすることができる。本実施形態では、例えば100μm程度にまで試料を厚くすることができる。試料Sを厚くし得ることは、試料イオンS2を検出する際における信号強度を確保する上で有利である。以上により、質量分析装置10、及び質量分析装置10において実施される質量分析方法によれば、厚い試料Sをイメージング質量分析の対象とすることができる。質量分析装置10、及び質量分析装置10において実施される質量分析方法によれば、既存の質量分析装置及び質量分析方法では測定が困難な厚い試料S(例えば、10μmよりも大きい厚さを有する試料S)のイオン像及び可視光像を取得することができる。質量分析装置10、及び質量分析装置10において実施される質量分析方法によれば、試料支持体1が破損しない限り、百μmオーダーの厚さを有する試料S(好適には、MALDIでの測定が難しい、厚さ20μm~100μmの試料S)を測定対象とすることができる。
また、第2光照射部17が、試料Sに対して基板2とは反対側から第2光L2を照射した場合、撮像部18は、第2光L2による試料Sの透過光像を取得することが可能である。これにより、試料Sの厚さ等によっては、試料Sの反射光像だけでなく、試料Sの透過光像を取得することができる。
また、制御部20は、第1光照射部16による第1光L1の照射又は第2光照射部17による第2光L2の照射を切り替えることが可能である。これにより、試料Sの像として反射光像又は透過光像のいずれを取得するかを、試料Sの厚さ等に応じて選択することができる。
また、撮像部18は、互いに異なる複数の撮像倍率での撮像が可能である。これにより、適切な撮像倍率で試料Sの像を取得することができる。
また、レーザ光照射部13は、試料Sに対応する領域に対してレーザ光Lを走査し、イオン検出部15は、レーザ光Lの走査位置に対応するように、試料イオンS2を検出する。これにより、イメージング質量分析を適切に実施することができる。
また、試料Sの像の取得が、試料イオンS2の検出の前に実施された場合、レーザ光Lの照射によって試料Sが何らかの影響を受ける前における試料Sの状態を観察することができる。また、取得した試料Sの像に基づいて質量分析の対象領域を確実に指定することができる。また、チャンバ11内の空間が真空引きされた際に試料Sが収縮したとしても、収縮後の試料Sの像を取得することにより、当該試料Sの像と、試料Sを構成する分子の二次元分布像との正確なマッチングをとることができる。なお、イオン化部が大気圧の装置(大気圧MALDI)においては、生きた微生物の動きをレーザ光Lの照射直前まで観察することができる。
また、試料Sの像の取得が、試料イオンS2の検出の後に実施された場合、イメージング質量分析の結果に基づいて試料Sの状態を観察することができる。また、更に詳細な分析を行いたい場合に、試料Sを質量分析装置10から取り出すことなく、倍率を拡大しながら試料Sの像の取得し、取得した試料Sの像に基づいて質量分析の対象領域を容易に指定することができる。また、質量分析装置10内の試料Sを観察しながら、得られた測定結果の考察を行うことができる(その間、質量分析装置10内において試料Sの状態を維持することができる)。
なお、質量分析装置10において実施される質量分析方法では、ステップS06,S08よりも高い撮像倍率で、第1光L1による試料Sの反射光像又は第2光L2による試料Sの透過光像が更に取得され(第5工程)、取得された反射光像又は透過光像に基づいて試料Sに対応する領域から抽出された一部の領域に対してステップS04,S05が再度実施されてもよい。また、ステップS09,S11よりも高い撮像倍率で、第1光L1による試料Sの反射光像又は第2光L2による試料Sの透過光像が更に取得され(第5工程)、取得された反射光像又は透過光像に基づいて試料Sに対応する領域から抽出された一部の領域に対してステップS12,S13が再度実施されてもよい。試料Sの反射光像又は透過光像を高い撮像倍率で取得することで、試料Sの状態をより詳細に観察することができる。また、試料Sに対応する領域から抽出された一部の領域に対して試料イオンS2の検出を実施することで、試料Sの特定の部分をイメージング質量分析の対象とすることができる。
本開示は、上述した実施形態に限定されない。例えば、導電層4は、少なくとも基板2の第1表面2aに設けられていれば、基板2の第2表面2b及び貫通孔2cの内面に設けられていなくてもよいし、基板2の第2表面2b及び貫通孔2cの内面に設けられていてもよい。また、試料支持体1は、テープ7以外の手段(例えば、接着剤、固定具等を用いる手段)で、スライドガラス6に対して固定されてもよい。また、質量分析装置10の支持部12上に試料Sが直接載置され、試料支持体1が支持部12に対して固定されてもよい。つまり、スライドガラス6は、省略されてもよい。
また、電圧印加部14は、スライドガラス6の載置面6a及びテープ7を介さずに導電層4に電圧を印加してもよい。その場合、スライドガラス6及びテープ7は、導電性を有していなくてもよい。また、基板2が導電性を有していてもよく、電圧印加部14が基板2に電圧を印加してもよい。そのような質量分析装置10、及び質量分析装置10において実施される質量分析方法によれば、試料支持体1において導電層4を省略することができると共に、上述したように導電層4を備える試料支持体1を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
また、質量分析装置10においては、試料Sの反射光像と試料Sの透過光像とが、別々に設けられた撮像部でそれぞれ取得されてもよい。また、質量分析装置10は、第2光照射部17を備えていなくてもよい。つまり、試料Sに対する第2光L2の照射、及び第2光L2による試料Sの透過光像の取得は、省略されてもよい。また、質量分析装置10においては、レーザ光照射部13が、実効領域Rに対応する領域に対してレーザ光Lを一括で照射し、イオン検出部15が、当該領域の二次元情報を維持しながら、試料イオンS2を検出してもよい。つまり、質量分析装置10は、投影型質量分析装置であってもよい。その場合にも、イメージング質量分析を適切に実施することができる。
なお、質量分析装置10が投影型質量分析装置である場合、質量分析装置10は、イオンガイド151及び質量分離部152の代わりに、静電レンズを有している。静電レンズは、試料イオンS2をイオン検出器153に結像させるためのレンズである。静電レンズによって試料イオンS2がイオン検出器153に結像されることにより、イオン検出器153において、試料イオンS2の位置情報(二次元分布)が把握される。
また、試料支持体1の用途は、レーザ光Lの照射による試料Sのイオン化に限定されない。試料支持体1は、レーザ光L以外のエネルギー線(例えば、イオンビーム、電子線等)の照射による試料Sのイオン化に用いられてもよい。
1…試料支持体、2…基板、2a…第1表面、2b…第2表面、2c…貫通孔、4…導電層、10…質量分析装置、11…チャンバ、12…支持部、13…レーザ光照射部、14…電圧印加部、15…イオン検出部、16…第1光照射部、17…第2光照射部、18…撮像部、20…制御部(切替部)、L1…第1光、L2…第2光、S…試料。

Claims (14)

  1. 真空引きされる空間を形成するチャンバと、
    互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板と、少なくとも前記第1表面に設けられた導電層と、を備える試料支持体の前記第2表面が試料に接触した状態で、前記チャンバ内の空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体を支持する支持部と、
    前記第1表面に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
    前記導電層に電圧を印加する電圧印加部と、
    前記試料の成分が毛細管現象によって前記複数の貫通孔を介して前記第1表面側に移動した状態で、前記チャンバ内の空間において、前記導電層に電圧が印加されつつ前記第1表面に対して前記レーザ光が照射されることによりイオン化された前記成分を検出するイオン検出部と、
    前記試料に対して前記基板側から第1光を照射する第1光照射部と、
    前記第1光による前記試料の反射光像を取得する撮像部と、
    真空引きされた前記チャンバ内の空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が前記支持部によって支持された状態で、前記第1光の照射を前記第1光照射部に実施させ、前記反射光像の取得を前記撮像部に実施させる制御部と、を備える、質量分析装置。
  2. 前記試料に対して前記基板とは反対側から第2光を照射する第2光照射部を更に備え、
    前記撮像部は、前記第2光による前記試料の透過光像を取得し、
    前記制御部は、真空引きされた前記チャンバ内の空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が前記支持部によって支持された状態で、前記第2光の照射を前記第2光照射部に実施させ、前記透過光像の取得を前記撮像部に実施させる、請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 前記制御部は、前記第1光照射部による前記第1光の照射又は前記第2光照射部による前記第2光の照射を切り替える、請求項2に記載の質量分析装置。
  4. 前記撮像部は、互いに異なる複数の撮像倍率での撮像が可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の質量分析装置。
  5. 前記レーザ光照射部は、前記試料に対応する領域に対して前記レーザ光を走査し、
    前記イオン検出部は、前記レーザ光の走査位置に対応するように、イオン化された前記成分を検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の質量分析装置。
  6. 前記レーザ光照射部は、前記試料に対応する領域に対して前記レーザ光を一括で照射し、
    前記イオン検出部は、前記領域の二次元情報を維持しながら、イオン化された前記成分を検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の質量分析装置。
  7. 真空引きされる空間を形成するチャンバと、
    導電性を有し、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板を備える試料支持体の前記第2表面が試料に接触した状態で、前記チャンバ内の空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体を支持する支持部と、
    前記第1表面に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
    前記基板に電圧を印加する電圧印加部と、
    前記試料の成分が毛細管現象によって前記複数の貫通孔を介して前記第1表面側に移動した状態で、前記チャンバ内の空間において、前記基板に電圧が印加されつつ前記第1表面に対して前記レーザ光が照射されることによりイオン化された前記成分を検出するイオン検出部と、
    前記試料に対して前記基板側から第1光を照射する第1光照射部と、
    前記第1光による前記試料の反射光像を取得する撮像部と、
    真空引きされた前記チャンバ内の空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が前記支持部によって支持された状態で、前記第1光の照射を前記第1光照射部に実施させ、前記反射光像の取得を前記撮像部に実施させる制御部と、を備える、質量分析装置。
  8. 互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板と、少なくとも前記第1表面に設けられた導電層と、を備える試料支持体の前記第2表面が試料に接触した状態で、真空引きされた空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持される第1工程と、
    真空引きされた前記空間において、前記試料の成分が毛細管現象によって前記複数の貫通孔を介して前記第1表面側に移動した状態で、前記導電層に電圧が印加されつつ前記第1表面に対してレーザ光が照射される第2工程と、
    真空引きされた前記空間において、前記導電層に電圧が印加されつつ前記第1表面に対して前記レーザ光が照射されることによりイオン化された前記成分が検出される第3工程と、
    真空引きされた前記空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持された状態で、前記試料に対して前記基板側から第1光が照射され、前記第1光による前記試料の反射光像が取得される第4工程と、を備える、質量分析方法。
  9. 前記第4工程は、前記第3工程の前に実施される、請求項8に記載の質量分析方法。
  10. 前記第4工程は、前記第3工程の後に実施される、請求項8に記載の質量分析方法。
  11. 真空引きされた前記空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持された状態で、前記試料に対して前記基板側から前記第1光が照射され、前記第4工程よりも高い撮像倍率で、前記第1光による前記試料の前記反射光像が取得される第5工程を更に備える、請求項8~10のいずれか一項に記載の質量分析方法。
  12. 前記第2工程及び前記第3工程は、前記第5工程において取得された前記反射光像に基づいて前記試料に対応する領域から抽出された一部の領域に対して実施される、請求項11に記載の質量分析方法。
  13. 真空引きされた前記空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持された状態で、前記試料に対して前記基板とは反対側から第2光が照射され、前記第2光による前記試料の透過光像が取得される第6工程を更に備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の質量分析方法。
  14. 導電性を有し、互いに対向する第1表面及び第2表面に開口する複数の貫通孔が形成された基板を備える試料支持体の前記第2表面が試料に接触した状態で、真空引きされた空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持される第1工程と、
    真空引きされた前記空間において、前記試料の成分が毛細管現象によって前記複数の貫通孔を介して前記第1表面側に移動した状態で、前記基板に電圧が印加されつつ前記第1表面に対してレーザ光が照射される第2工程と、
    真空引きされた前記空間において、前記基板に電圧が印加されつつ前記第1表面に対して前記レーザ光が照射されることによりイオン化された前記成分が検出される第3工程と、
    真空引きされた前記空間において、少なくとも前記試料及び前記試料支持体が支持された状態で、前記試料に対して前記基板側から第1光が照射され、前記第1光による前記試料の反射光像が取得される第4工程と、を備える、質量分析方法。
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