JP7227822B2 - イオン化法及び質量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン化法及び質量分析方法に関する。
質量分析等を行うために生体試料等の試料をイオン化する方法として、脱離エレクトロスプレーイオン化法(DESI:Desorption Electrospray Ionization)が知られている(例えば、特許文献1参照)。脱離エレクトロスプレーイオン化法は、試料に対して、帯電した微小液滴(charged-droplets)を照射することにより、試料を脱離・イオン化する方法である。
特開2007-165116号公報
脱離エレクトロスプレーイオン化法では、例えば質量分析において信号強度(感度)の向上を図るために、試料の成分を確実にイオン化することが求められている。
本発明は、帯電した微小液滴の照射によって試料の成分を確実にイオン化することができるイオン化法、及び信号強度の向上を図ることができる質量分析方法を提供することを目的とする。
本発明のイオン化法は、第1表面、及び第1表面とは反対側の第2表面、並びに、第1表面及び第2表面のそれぞれに開口する複数の貫通孔を有する電気絶縁性の基板と、基板に取り付けられた電気絶縁性のフレームと、を備える試料支持体を用意する第1工程と、載置部の載置面に試料を載置し、試料に第2表面が接触するように載置面に試料支持体を載置する第2工程と、第1表面に対して、帯電した微小液滴を照射することにより、複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した試料の成分をイオン化し、イオン化された成分を吸引する第3工程と、を備える。
このイオン化法では、試料支持体の基板において、試料の成分が、複数の貫通孔を介して第2表面側から第1表面側に移動し、第1表面側に留まる。そして、試料支持体の基板及びフレームが電気絶縁性の部材であるため、例えば高電圧が印加された微小液滴照射部を第1表面に近付けても、微小液滴照射部と試料支持体との間での放電の発生が抑制される。よって、このイオン化法によれば、微小液滴照射部を第1表面に近付けて第1表面に対して帯電した微小液滴を照射することにより、複数の貫通孔を介して第1表面側に移動した試料の成分を確実にイオン化することができる。
本発明のイオン化法では、第3工程は、大気圧雰囲気から中真空雰囲気(真空度10-3Torr以上の雰囲気)までの条件下で実施されてもよい。これにより、試料を手軽に交換して試料の観察及び分析を容易に行うことができる。
本発明のイオン化法では、第3工程においては、第1表面に対して、帯電した微小液滴の照射領域を相対的に移動させてもよい。基板の第1表面側に留まっている試料の成分においては、試料の位置情報(試料を構成する分子の二次元分布情報)が維持されている。したがって、第1表面に対して、帯電した微小液滴の照射領域を相対的に移動させることにより、試料の位置情報を維持しつつ試料の成分をイオン化することができる。これにより、イオン化された成分を検出する後段の工程において、試料を構成する分子の二次元分布を画像化することができる。更に、上述したように微小液滴照射部を第1表面に近付けることが可能であるため、帯電した微小液滴の照射領域が拡大するのを抑制することができる。これにより、イオン化された成分を検出する後段の工程において、試料を構成する分子の二次元分布を高分解能で画像化することができる。
本発明の質量分析方法は、上述したイオン化法の第1工程、第2工程及び第3工程と、第3工程においてイオン化された成分を検出する第4工程と、を備える。
この質量分析方法では、上述したように、帯電した微小液滴の照射によって試料の成分が確実にイオン化されるため、イオン化された成分を検出する際における信号強度の向上を図ることができる。
本発明によれば、帯電した微小液滴の照射によって試料の成分を確実にイオン化することができるイオン化法、及び信号強度の向上を図ることができる質量分析方法を提供することが可能となる。
一実施形態の質量分析方法に用いられる試料支持体の平面図である。 図1に示されるII-II線に沿っての試料支持体の断面図である。 図1に示される試料支持体の基板の拡大像である。 一実施形態の質量分析方法の工程を示す図である。 一実施形態の質量分析方法の工程を示す図である。 一実施形態の質量分析方法が実施される質量分析装置の構成図である。 比較例の質量分析方法によって得られた質量スペクトルを示す図である。 実施例の質量分析方法によって得られた質量スペクトルを示す図である。 比較例の質量分析方法によって得られた特定イオンの二次元分布像を示す図である。 実施例の質量分析方法によって得られた特定イオンの二次元分布像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[試料支持体]
図1及び図2に示されるように、試料支持体1は、基板2と、フレーム3と、接着層4と、を備えている。基板2は、第1表面2a及び第2表面2b、並びに、複数の貫通孔2cを有している。第2表面2bは、第1表面2aとは反対側の表面である。各貫通孔2cは、第1表面2a及び第2表面2bのそれぞれに開口している。本実施形態では、複数の貫通孔2cは、基板2の全体に一様に(均一な分布で)形成されており、各貫通孔2cは、基板2の厚さ方向(第1表面2a及び第2表面2bが互いに対向する方向)に延在している。
基板2は、電気絶縁性の部材である。本実施形態では、基板2の厚さは、1~50μmであり、各貫通孔2cの幅は、1~700nm程度である。基板2の厚さ方向から見た場合における基板2の形状は、例えば、直径が数mm~数cm程度の略円形である。基板2の厚さ方向から見た場合における各貫通孔2cの形状は、例えば、略円形である(図3参照)。なお、貫通孔2cの幅とは、基板2の厚さ方向から見た場合における貫通孔2cの形状が円形である場合には、貫通孔2cの直径を意味し、当該形状が円形以外の形状である場合には、貫通孔2cに収まる仮想的な最大円柱の直径(有効径)を意味する。
フレーム3は、第3表面3a及び第4表面3b、並びに、開口3cを有している。第4表面3bは、第3表面3aとは反対側の表面であり、基板2側の表面である。開口3cは、第3表面3a及び第4表面3bのそれぞれに開口している。フレーム3は、電気絶縁性の部材であり、フレーム3の熱伝導率は、1.0W/m・K以下である。本実施形態では、フレーム3の材料は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)又はPI(ポリイミド)であり、また、フレーム3の厚さは、10~500μm(より好ましくは、100μm未満)である。更に、本実施形態では、フレーム3は、可視光に対して透過性を有しており、また、フレーム3は、可撓性を有している。基板2の厚さ方向から見た場合におけるフレーム3の形状は、例えば、一辺が数cm程度の矩形である。基板2の厚さ方向から見た場合における開口3cの形状は、例えば、直径が数mm~数cm程度の円形である。なお、フレーム3の熱伝導率の下限値は、例えば、0.1W/m・Kである。
フレーム3は、基板2に取り付けられている。本実施形態では、基板2の第1表面2aのうち基板2の外縁に沿った領域と、フレーム3の第4表面3bのうち開口3cの外縁に沿った領域とが、接着層4によって互いに固定されている。接着層4の材料は、例えば、放出ガスの少ない接着材料(低融点ガラス、真空用接着剤等)である。試料支持体1では、基板2のうちフレーム3の開口3cに対応する部分が、複数の貫通孔2cを介して第2表面2b側から第1表面2a側に試料の成分を移動させるための実効領域Rとして機能する。
図3は、基板2の厚さ方向から見た場合における基板2の拡大像ある。図3において、黒色の部分は貫通孔2cであり、白色の部分は貫通孔2c間の隔壁部である。図3に示されるように、基板2には、略一定の幅を有する複数の貫通孔2cが一様に形成されている。実効領域Rにおける貫通孔2cの開口率(基板2の厚さ方向から見た場合に実効領域Rに対して全ての貫通孔2cが占める割合)は、実用上は10~80%であり、特に60~80%であることが好ましい。複数の貫通孔2cの大きさは互いに不揃いであってもよいし、部分的に複数の貫通孔2c同士が互いに連結していてもよい。
図3に示される基板2は、Al(アルミニウム)を陽極酸化することにより形成されたアルミナポーラス皮膜である。具体的には、Al基板に対して陽極酸化処理を施し、酸化された表面部分をAl基板から剥離することにより、基板2を得ることができる。なお、基板2は、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ti(チタン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Zn(亜鉛)、W(タングステン)、Bi(ビスマス)、Sb(アンチモン)等のAl以外のバルブ金属を陽極酸化することにより形成されてもよいし、Si(シリコン)を陽極酸化することにより形成されてもよい。
[イオン化法及び質量分析方法]
試料支持体1を用いたイオン化法及び質量分析方法について説明する。なお、図4及び図5では、試料支持体1において、貫通孔2c及び接着層4の図示が省略されている。また、図1及び図2に示される試料支持体1と図4及び図5に示される試料支持体1とでは、図示の便宜上、寸法の比率等が異なっている。
まず、試料のイオン化用の試料支持体として、上述した試料支持体1を用意する(第1工程)。試料支持体1は、イオン化法及び質量分析方法の実施者によって製造されることにより用意されてもよいし、試料支持体1の製造者又は販売者等から譲渡されることにより用意されてもよい。
続いて、図4の(a)に示されるように、スライドグラス(載置部)6の載置面6aに試料Sを載置する(第2工程)。試料Sは、例えば組織切片等の薄膜状の生体試料(含水試料)であり、凍結された状態にある。続いて、図4の(b)に示されるように、試料Sに基板2の第2表面2bが接触するように載置面6aに試料支持体1を載置する(第2工程)。このとき、基板2の厚さ方向から見た場合に試料Sが実効領域R内に位置するように、試料支持体1を配置する。続いて、図5の(a)に示されるように、電気絶縁性のテープ7を用いてフレーム3をスライドグラス6に固定する。この状態で、試料Sが解凍されると、図5の(b)に示されるように、基板2においては、例えば毛細管現象によって、試料Sの成分S1が複数の貫通孔2c(図2参照)を介して第2表面2b側から第1表面2a側に移動し、例えば表面張力によって、試料Sの成分S1が第1表面2a側に留まる。
続いて、試料Sが乾燥したら、図6に示されるように、質量分析装置10のイオン化室20内のステージ21上に、スライドグラス6、試料S及び試料支持体1を載置する。イオン化室20内は、大気圧雰囲気から中真空雰囲気(真空度10-3Torr以上の雰囲気)までの条件下にある。続いて、基板2の第1表面2aのうち実効領域Rに対応する領域に対して、帯電した微小液滴Iを照射することにより、第1表面2a側に移動した試料Sの成分S1をイオン化し、イオン化された成分である試料イオンS2を吸引する(第3工程)。本実施形態では、例えばステージ21をX軸方向及びY軸方向に移動させることにより、基板2の第1表面2aのうち実効領域Rに対応する領域に対して、帯電した微小液滴Iの照射領域I1を相対的に移動させる(つまり、当該領域に対して、帯電した微小液滴Iを走査する)。以上の第1工程、第2工程及び第3工程が、試料支持体1を用いたイオン化法(本実施形態では、脱離エレクトロスプレーイオン化法)に相当する。
イオン化室20内では、ノズル22から、帯電した微小液滴Iが噴射され、イオン輸送管23の吸引口から試料イオンS2が吸引される。ノズル22は、二重筒構造を有している。ノズル22の内筒には、高電圧が印加された状態で溶媒が案内される。これにより、ノズル22の先端に達した溶媒に、片寄った電荷が付与される。ノズル22の外筒には、ネブライズガスが案内される。これにより、溶媒が微小液滴となって噴霧され、溶媒が気化する過程で生成された溶媒イオンが、帯電した微小液滴Iとして出射される。
イオン輸送管23の吸引口から吸引された試料イオンS2は、イオン輸送管23によって質量分析室30内に輸送される。質量分析室30内は、高真空雰囲気(真空度10-4Torr以下の雰囲気)の条件下にある。質量分析室30内では、試料イオンS2がイオン光学系31で収束され、高周波電圧が印加された四重極質量フィルタ32に導入される。高周波電圧が印加された四重極質量フィルタ32に試料イオンS2が導入されると、当該高周波電圧の周波数によって決定される質量数を有するイオンが選択的に通過させられ、通過させられたイオンが検出器33で検出される(第4工程)。四重極質量フィルタ32に印加する高周波電圧の周波数を走査することにより、検出器33に到達するイオンの質量数を順次変化させて、所定の質量範囲の質量スペクトルを得る。本実施形態では、帯電した微小液滴Iの照射領域I1の位置に対応するように検出器33にイオンを検出させて、試料Sを構成する分子の二次元分布を画像化する。以上の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程が、試料支持体1を用いた質量分析方法に相当する。
[作用及び効果]
試料支持体1を用いたイオン化法では、試料支持体1の基板2において、試料Sの成分S1が、複数の貫通孔2cを介して第2表面2b側から第1表面2a側に移動し、第1表面2a側に留まる。そして、試料支持体1の基板2及びフレーム3が電気絶縁性の部材であるため、例えば高電圧が印加された微小液滴照射部であるノズル22を第1表面2aに近付けても、ノズル22と試料支持体1との間での放電の発生が抑制される。よって、試料支持体1を用いたイオン化法によれば、ノズル22を第1表面2aに近付けて第1表面2aに対して帯電した微小液滴Iを照射することにより、複数の貫通孔2cを介して第1表面2a側に移動した試料Sの成分S1を確実にイオン化することができる。
また、試料支持体1を用いたイオン化法では、大気圧雰囲気から中真空雰囲気(真空度10-3Torr以上の雰囲気)までの条件下で脱離エレクトロスプレーイオン化法が実施される。これにより、試料Sを手軽に交換して試料Sの観察及び分析を容易に行うことができる。特に、このような条件下では、ノズル22から噴射された帯電した微小液滴Iが大気ガス分子等と接触して拡散し易い。そのため、上述したようにノズル22を第1表面2aに近付け得ることは、試料Sの成分S1を確実にイオン化する上で極めて有効である。
また、試料支持体1を用いたイオン化法では、基板2の第1表面2aのうち実効領域Rに対応する領域に対して、帯電した微小液滴Iの照射領域I1を相対的に移動させる。基板2の第1表面2a側に留まっている試料Sの成分S1においては、試料Sの位置情報(試料Sを構成する分子の二次元分布情報)が維持されている。したがって、基板2の第1表面2aのうち実効領域Rに対応する領域に対して、帯電した微小液滴Iの照射領域I1を相対的に移動させることにより、試料Sの位置情報を維持しつつ試料Sの成分S1をイオン化することができる。これにより、試料イオンS2を検出する後段の工程において、試料Sを構成する分子の二次元分布を画像化することができる。更に、上述したようにノズル22を第1表面2aに近付けることが可能であるため、帯電した微小液滴Iの照射領域I1が拡大するのを抑制することができる。これにより、試料イオンS2を検出する後段の工程において、試料Sを構成する分子の二次元分布を高分解能で画像化することができる。
また、試料支持体1を用いた質量分析方法では、上述したように、帯電した微小液滴Iの照射によって試料Sの成分S1が確実にイオン化されるため、試料イオンS2を検出する際における信号強度の向上を図ることができる。
ここで、比較例の質量分析方法及び実施例の質量分析方法のそれぞれによる分析結果について説明する。比較例の質量分析方法では、スライドグラスの載置面に生体試料を載置して、生体試料に対して、帯電した微小液滴を照射することにより、生体試料の成分をイオン化し、生体試料を構成する分子(イオン)について質量スペクトル及び特定イオンの二次元分布像を得た。実施例の質量分析方法では、上述した実施形態と同様に、スライドグラスの載置面に生体試料及び試料支持体を載置して、試料支持体の基板の第1表面に対して、帯電した微小液滴を照射することにより、生体試料の成分をイオン化し、生体試料を構成する分子(イオン)について質量スペクトル及び特定イオンの二次元分布像を得た。
比較例の質量分析方法及び実施例の質量分析方法のそれぞれにおいて、生体試料として、マウスの脳の凍結切片(厚さ40μm)を用いた。また、比較例の質量分析方法及び実施例の質量分析方法のそれぞれにおいて、同様の条件で、帯電した微小液滴を照射することにより、生体試料の成分をイオン化した。また、比較例の質量分析方法及び実施例の質量分析方法のそれぞれにおいて、同様の条件で、生体試料を構成する分子(イオン)について質量スペクトルを得た。実施例の質量分析方法においては、次のような試料支持体1を用いた。
基板2の材料:アルミナ
基板2の厚さ:10μm
貫通孔2cの幅:190nm
貫通孔2cの開口率:43%
フレーム3の材料:ガラス
フレーム3の厚さ:130~170μm
図7は、比較例の質量分析方法によって得られた質量スペクトルを示す図であり、図8は、実施例の質量分析方法によって得られた質量スペクトルを示す図である。また、図9は、比較例の質量分析方法によって得られた特定イオンの二次元分布像を示す図であり、図10は、実施例の質量分析方法によって得られた特定イオンの二次元分布像を示す図である。図9及び図10のそれぞれにおいて、(a)は、質量電荷比(m/z)=506.32についての二次元分布像、(b)は、質量電荷比(m/z)=528.30についての二次元分布像、(c)は、質量電荷比(m/z)=534.34についての二次元分布像である。これらの結果から分かるように、実施例の質量分析方法によれば、比較例の質量分析方法に比べ、特に質量電荷比(m/z)≦600において(例えば、リゾリン脂質において)高い信号強度が得られ、特定イオンの二次元分布も明確に表れた。MALDIでは検出できず、DESIのみ(比較例)では感度が低かったものが、DESI-DIUTHAME(実施例)で初めて予想外に高感度で検出された。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、フレーム3の材料は、PET、PEN又はPI以外の樹脂であってもよいし、セラミックス又はガラスであってもよい。その場合にも、電気絶縁性のフレーム3を容易に得ることができる。なお、電気絶縁性のフレーム3を実現することができれば、フレーム3の材料は、特に限定されない。また、フレーム3は、例えば顔料によって、着色されていてもよい。これにより、試料支持体1を用途に応じて分類することができる。
また、上述した実施形態では、基板2に1つの実効領域Rが設けられていたが、基板2に複数の実効領域Rが設けられていてもよい。また、上述した実施形態では、基板2の全体に複数の貫通孔2cが形成されていたが、基板2のうち少なくとも実効領域Rに対応する部分に複数の貫通孔2cが形成されていればよい。また、上述した実施形態では、1つの実効領域Rに1つの試料Sが対応するように試料Sが配置されたが、1つの実効領域Rに複数の試料Sが対応するように試料Sが配置されてもよい。
また、フレーム3に、開口3cとは別の開口を形成し、その開口を利用して、テープ7で試料支持体1をスライドグラス6に固定してもよい。また、テープ7以外の手段(例えば、接着剤、固定具等を用いる手段)で試料支持体1をスライドグラス6に固定してもよい。フレーム3の材料が樹脂である場合、静電気を利用して試料支持体1をスライドグラス6に固定することも可能である。
また、試料Sは、含水試料に限定されず、乾燥試料であってもよい。試料Sが乾燥試料である場合には、試料Sの粘性を低くするための溶液(例えばアセトニトリル混合液等)が試料Sに加えられる。これにより、例えば毛細管現象によって、複数の貫通孔2cを介して基板2の第1表面2a側に試料Sの成分S1を移動させることができる。
1…試料支持体、2…基板、2a…第1表面、2b…第2表面、2c…貫通孔、3…フレーム、6…スライドグラス(載置部)、6a…載置面、I…帯電した微小液滴、I1…照射領域、S…試料、S1…成分、S2…試料イオン(イオン化された成分)。

Claims (4)

  1. 外部に露出した第1表面、及び前記第1表面とは反対側において外部に露出した第2表面、並びに、前記第1表面及び前記第2表面のそれぞれに開口する複数の貫通孔を有する電気絶縁性の基板と、前記基板に取り付けられた電気絶縁性のフレームと、を備える試料支持体を用意する第1工程と、
    載置部の載置面に試料を載置し、前記試料に前記第2表面が接触するように前記載置面に前記試料支持体を載置する第2工程と、
    前記第1表面に対して、帯電した微小液滴を照射することにより、前記複数の貫通孔を介して前記第1表面側に移動した前記試料の成分をイオン化し、イオン化された前記成分を吸引する第3工程と、を備える、イオン化法。
  2. 前記第3工程は、大気圧雰囲気から中真空雰囲気までの条件下で実施される、請求項1に記載のイオン化法。
  3. 前記第3工程においては、前記第1表面に対して、前記帯電した微小液滴の照射領域を相対的に移動させる、請求項1又は2に記載のイオン化法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のイオン化法の前記第1工程、前記第2工程及び前記第3工程と、
    前記第3工程においてイオン化された前記成分を検出する第4工程と、を備える、質量分析方法。
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