JP7094707B2 - 列車検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軌道回路を利用して列車を検知する列車検知装置に関し、特に、フィルタによって分離された列車検知信号を複数の軌道回路のそれぞれに印加し、各軌道回路からの受信信号に基づいて列車の在線状況を検知する列車検知装置に関する。
この種の列車検知装置の一例として、特許文献1に記載の列車位置検知装置が知られている。特許文献1に記載の列車位置検知装置は、異なる周波数の複数の列車検知信号が時系列に配置された送信信号を複数の軌道回路のそれぞれに対応するフィルタを介して印加し、各軌道回路からの受信信号のうち欠落している受信信号がある場合に、当該欠落している受信信号に対応する軌道回路上に列車があることを検知するように構成されている。
特許第3202952号公報
前記列車位置検知装置においては、例えば、対象となる軌道回路TCが5個(TC1~TC5)である場合、図11(A)に示されるように、周波数の異なる5個の列車検知信号TD1~TD5(長さt(ms))が時系列に配置された送信信号が生成されて出力され、図11(B)に示されるように、各軌道回路TC1~TC5には、対応する列車検知信号TD1~TD5が所定の間隔(ここでは、4×t(ms))をあけて印加される。このため、各軌道回路TC1~TC5において、対応する列車検知信号TD1~TD5が印加される時間よりも印加されない時間の方が長く、各軌道回路TC1~TC5の在線状況の検知に時間がかかってしまうという課題がある。
特に列車の運転時隔の短縮を図る場合には、軌道回路に列車が在線しないこと、すなわち、軌道回路の列車非在線をより早く且つ確実に検知することが望まれる。
そこで、本発明は、従来に比べて、各軌道回路の在線検知に要する時間を短縮することのできる列車検知装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、列車検知装置は、メイン検知信号に、前記メイン検知信号とは周波数が異なると共に互いに周波数が異なり且つ前記メイン検知信号より振幅レベルが小さい複数のサブ検知信号が重畳された信号を通過帯域の異なるフィルタを介して複数の軌道回路のそれぞれに印加し、各軌道回路からの受信信号に基づいて列車の在線状況を検知するように構成されている。
前記列車検知装置において、前記フィルタを介して前記複数の軌道回路のそれぞれに印加される信号は、前記メイン信号に、前記メイン検知信号とは周波数が異なると共に互いに周波数が異なり且つ前記メイン検知信号より振幅レベルが小さい複数のサブ検知信号が重畳されている。このため、従来技術に比べて、前記複数の軌道回路のそれぞれにおいて対応する列車検知信号が印加されない時間が減少し、各軌道回路の在線状況の検知に要する時間が短縮される。
本発明の一実施形態に係る列車検知装置の構成を示すブロック図である。 前記列車検知装置の送信装置の構成を示すブロック図である。 前記送信装置において加算される各軌道回路用の列車検知信号(第1~第5列車検知信号)を示す図である。 前記送信装置から出力される送信信号を示す図である。 前記列車検知装置の制御装置が実行する列車の在線状況検知処理の一例を示すフローチャートである。 前記列車検知装置と従来の列車検知装置とを比較した図であり、(A)は前記列車検知装置における列車が在線していない軌道回路からの受信信号を示し、(B)は従来の列車検知装置における列車が在線していない各軌道回路からの受信信号を示す。 前記送信装置において加算される前記各軌道回路用の他の列車検知信号(第1~第5列車検知信号)を示す図である。 前記送信装置から出力される他の送信信号を示す図である。 前記送信装置の変形例を示すブロック図である。 図9に示される送信装置から出力される送信信号の一例を示す図である。 従来の列車検知装置における信号を示す図であり、(A)は送信器から出力される送信信号を示し、(B)は各軌道回路に印加される列車検知信号を示す。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る列車検知装置の構成を示すブロック図である。実施形態に係る列車検知装置は、駅St及び駅Stの近傍に配置された複数(ここでは5個)の軌道回路TC(TC1~TC5)を対象として列車Tの在線状況を検知するように構成されている。なお、図1において、列車Tは、軌道回路TC1、TC2、・・・TC5の順に走行する。
図1に示されるように、実施形態に係る列車検知装置は、送信装置10と、複数(ここでは5個)のフィルタF1~F5と、第1受信装置30Aと、第2受信装置30Bと、制御装置50と、を含む。
送信装置10は、周波数の異なる複数(ここでは5個)の列車検知信号を含む送信信号TSを生成し、生成した送信信号TSを出力するように構成されている。具体的には、本実施形態において、送信装置10は、制御装置50からの指令に基づいて、それぞれが軌道回路TC1~TC5のいずれかに対応する5個の列車検知信号を生成し、生成された5個の列車検知信号を所定時間ずつ遅延させて加算(波形加算)することで送信信号TSを生成し、生成した送信信号TSを出力するように構成されている。ここで、制御装置50からの前記指令は、各軌道回路TC1~TC5のID情報とこれらの周波数との組み合わせの設定を含む。
図2は、送信装置10の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、送信装置10は、第1~第5信号発生部11~15と、第1~第4遅延部16~19と、加算部20と、を有する。
本実施形態において、第1信号発生部11は、以下の手順により、軌道回路TC1用の第1周波数f1の第1列車検知信号TD1を生成して出力する。
(1)まず、第1信号発生部11は、軌道回路TC1のID情報を示す電文(デジタル電文)をメイン検知信号M1として生成する。生成されたメイン検知信号(軌道回路TC1のID情報を示す電文)M1の振幅はVであり、長さはt(ms)である。
(2)次に、第1信号発生部11は、メイン検知信号M1の振幅Vを1/3とした電文波形を4(=軌道回路TCの数-1)個生成してこれらをサブ検知信号S1とする。すなわち、第1信号発生部11は、振幅がV/3、長さがt(ms)の4個のサブ検知信号S1を生成する。ここで、サブ検知信号S1は、メイン検知信号M1の振幅を小さくした信号であり、メイン検知信号M1と同内容の電文(すなわち、軌道回路TC1のID情報を示す電文)を構成する。
(3)そして、第1信号発生部11は、生成された1個のメイン検知信号M1と生成された4個のサブ検知信号S1とを繋ぎ合わせて1周期分の信号とし、これを第1周波数f1の搬送波にのせて(すなわち、第1周波数f1の周波数帯域に変調して)連続して繰り返し出力する。
これにより、メイン検知信号M1とメイン検知信号M1より振幅レベルが小さく且つメイン検知信号M1と同内容の電文を構成するサブ検知信号S1とを含む第1周波数f1の第1列車検知信号TD1が第1信号発生部11から出力される。
また、上記(1)~(3)と同様の手順により、第2信号発生部12は、軌道回路TC2用の第2周波数f2の第2列車検知信号TD2を生成して出力し、第3信号発生部13は、軌道回路TC3用の第3周波数f3の第3列車検知信号TD3を生成して出力し、第4信号発生部14は、軌道回路TC4用の第4周波数f4の第4列車検知信号TD4を生成して出力する。第5信号発生部15は、軌道回路TC5用の第5周波数f5の第5列車検知信号TD5を生成して出力する。ここで、第2列車検知信号TD2のメイン検知信号M2及びサブ検知信号S2は軌道回路TC2のID情報を示す電文であり、第3列車検知信号TD3のメイン検知信号M3及びサブ検知信号S3は軌道回路TC3のID情報を示す電文であり、第4列車検知信号TD4のメイン検知信号M4及びサブ検知信号S4は軌道回路TC4のID情報を示す電文であり、第5列車検知信号TD5のメイン検知信号M5及びサブ検知信号S5は軌道回路TC5のID情報を示す電文である。
第1遅延部16は、第2信号発生部12から出力された第2列車検知信号TD2を入力してt(ms)遅延させて出力する。第2遅延部17は、第3信号発生部13から出力された第3列車検知信号TD3を入力して2×t(ms)遅延させて出力する。第3遅延部18は、第4信号発生部14から出力された第4列車検知信号TD4を入力して3×t(ms)遅延させて出力する。第4遅延部19は、第5信号発生部15から出力された第5列車検知信号TD5を入力して4×t(ms)遅延させて出力する。
加算部20は、第1信号発生部11から出力された第1列車検知信号TD1、第1遅延部16から出力された第2列車検知信号TD2、第2遅延部17から出力された第3列車検知信号TD3、第3遅延部18から出力された第4列車検知信号TD4及び第4遅延部19から出力された第5列車検知信号TD5を入力し、これらを加算して送信信号TSとして出力する。
図3は、加算部20に入力される軌道回路TC1~TC5用の第1~第5列車検知信号TD1~TD5を示し、図4は、加算部20から出力される送信信号TSを示している。
図3に示されるように、第1~第5列車検知信号TD1~TD5は、それぞれ1個のメイン検知信号M(M1~M5)とこれに連続する4個のサブ検知信号S(S1~S5)とを含む。そして、第2列車検知信号TD2は第1列車検知信号TD1に対してt(ms)だけシフトされており、第3列車検知信号TD3は第2列車検知信号TD2に対してt(ms)だけシフトされており、第4列車検知信号TD4は第3列車検知信号TD3に対してt(ms)だけシフトされており、第5列車検知信号TD5は第4列車検知信号TD4に対してt(ms)だけシフトされている。
このため、加算部20から出力される送信信号TSは、図4に示されるように、第1~第5列車検知信号TD1~TD5のメイン検知信号M1~M5のそれぞれに、他の列車検知信号のサブ検知信号が重畳された形態を有している。例えば、第1列車検知信号TD1のメイン検知信号M1には第2~第5列車検知信号TD2~TD5のサブ検知信号S2~S5が重畳され、第3列車検知信号TD3のメイン検知信号M3には第1、第2、第4及び第5列車検知信号TD1、TD2、TD4、TD5のサブ検知信号S1、S2、S4、S5が重畳されている。
図1に戻って、送信装置10(の加算部20)から出力された送信信号TSは、フィルタF1~F5に入力される。フィルタF1~F5は、互いに通過帯域の異なるバンドバスフィルタである。フィルタF1は第1周波数f1の第1列車検知信号TD1を通過させ、フィルタF2は第2周波数f2の第2列車検知信号TD2を通過させ、フィルタF3は第3周波数f3の第3列車検知信号TD3を通過させ、フィルタF4は第4周波数f4の第4列車検知信号TD4を通過させ、フィルタF5は第5周波数f5の第5列車検知信号TD5を通過させるように構成されている。
各フィルタF1~F5の出力は、図示省略のトランスなどを介して各軌道回路TC1~TC5の中央部に印加される。したがって、各軌道回路TC1~TC5において列車進入側と列車進出側とは電気的に分離されている。また、軌道回路TC1には第1列車検知信号TD1が印加され、軌道回路TC2には第2列車検知信号TD2が印加され、軌道回路TC3には第3列車検知信号TD3が印加され、軌道回路TC4には第4列車検知信号TD4が印加され、軌道回路TC5には第5列車検知信号TD5が印加されることになる。換言すれば、軌道回路TC1には軌道回路TC1のID情報を示す電文が繰り返し送信され、軌道回路TC2には軌道回路TC2のID情報を示す電文が繰り返し送信され、軌道回路TC3には軌道回路TC3のID情報を示す電文が繰り返し送信され、軌道回路TC4には軌道回路TC4のID情報を示す電文が繰り返し送信され、軌道回路TC5には軌道回路TC5のID情報を示す電文が繰り返し送信される。
第1受信装置30Aは、フィルタF11~F15と、復調部31~35と、を有する。
フィルタF11~F15は、フィルタF1~F5と同様の特性を有するバンドパスフィルタである。各フィルタF11~F15は、対応する軌道回路TC1~TC5の列車進入側の端部から信号を受信して対応する復調部31~35に出力する。例えば、フィルタF11は、軌道回路TC1の列車進入側の端部から信号を受信して復調部31に出力し、フィルタF13は、軌道回路TC3の列車進入側の端部から信号を受信して復調部33に出力する。
各復調部31~35は、対応するフィルタF11~F15から出力された信号、すなわち、対応する軌道回路TC1~TC5の列車進入側の端部からの信号を復調処理して制御装置50に出力する。
第2受信装置30Bは、第1受信装置30Aと同様に、フィルタF11~F15と、復調部31~35と、を有する。第1受信装置30Aと第2受信装置30Bとの相違は、第1受信装置30AにおいてはフィルタF11~F15が対応する軌道回路TC1~TC5の列車進入側の端部から信号を受信するのに対して、第2受信装置30BにおいてはフィルタF11~F15が対応する軌道回路TC1~TC5の列車進出側の端部から信号を受信することである。したがって、第2受信装置30Bにおいて、各復調部31~35は、対応する軌道回路TC1~TC5の列車進出側の端部からの信号を復調処理して制御装置50に出力する。
制御装置50は、第1受信装置30Aの復調部31~35及び第2受信装置30Bの復調部31~35の出力、すなわち、軌道回路TC1~TC5の列車進入側の端部からの受信信号及び軌道回路TC1~TC5の列車進出側の端部からの受信信号に基づいて軌道回路TC1~TC5の列車の在線状況を検知する。なお、以下では、軌道回路TC1~TC5の列車進入側の端部からの受信信号を「軌道回路TC1~TC5からの第1受信信号」といい、軌道回路TC1~TC5の列車進出側の端部からの受信信号を「軌道回路TC1~TC5からの第2受信信号」という。
図5は、制御装置50が実行する列車の在線状況検知処理の一例を示すフローチャートであり、第1受信装置30Aの復調部31の出力、すなわち、軌道回路TC1からの第1受信信号に基づく処理を示している。
図5において、ステップS1では、軌道回路TC1からの第1受信信号の受信レベル(振幅)を検出する。
ステップS2では、ステップS1で検出された第1受信信号の受信レベルが第1所定値以上であるか否かを判定する。前記第1受信信号の受信レベルが前記第1所定値以上である場合にはステップS3に進み、前記第1受信信号の受信レベルが前記第1所定値未満の場合にはステップS6に進む。ここで、前記第1所定値は、サブ検知信号S1の振幅V/3よりも小さい値に設定される。
ステップS3では、軌道回路TC1からの第1受信信号が軌道回路TC1のID情報を示すか否か、換言すれば、軌道回路TC1への送信電文が示すID情報と前記第1受信信号(すなわち、軌道回路TC1からの受信電文)が示すID情報とが一致しているか否かを判定する。軌道回路TC1からの第1受信信号が軌道回路TC1のID情報を示す場合にはステップS4に進み、軌道回路TC1からの第1受信信号が軌道回路TC1のID情報を示さない場合(一部が欠落している場合等を含む)にはステップS1に戻る。
ステップS4では、軌道回路TC1のID情報を示す第1受信信号を所定回数受信したか否か、換言すれば、ステップS4におけるYES判定が前記所定回数以上となったか否かを判定する。軌道回路TC1のID情報を示す第1受信信号の受信回数が前記所定回数以上となった場合にはステップS5に進み、軌道回路TC1のID情報を示す第1受信信号の受信回数が前記所定回数未満の場合にはステップS1に戻る。前記所定回数は、特に制限されるものではないが、例えば3回に設定され得る。
ステップS5では、軌道回路TC1の列車進入側に列車が在線していないこと、すなわち、軌道回路TC1(の列車進入側)の列車非在線を検知する。
ステップS6では、ステップS1で検出された第1受信信号の受信レベルが第2所定値未満であるか否かを判定する。前記第1受信信号の受信レベルが前記第2所定値未満の場合にはステップS7に進み、前記第1受信信号の受信レベルが前記第2所定値以上である場合にはステップS1に戻る。ここで、前記第2所定値は、前記第1所定値よりも小さく且つノイズのレベルよりも大きい値に設定される。
ステップS7では、前記第1受信信号の受信レベルが第2所定値未満の状態が所定時間以上継続したか否かを判定する。前記第1受信信号の受信レベルが前記第2所定値未満の状態が前記所定時間以上継続した場合にはステップS8に進み、前記第1受信信号の受信レベルが前記第2所定値未満の状態が前記所定時間以上継続していない場合にはステップS1に戻る。前記所定時間は、特に制限されるものではないが、例えば2×t(ms)に設定され得る。
ステップS8では、軌道回路TC1の列車進入側に列車が在線していること、すなわち、軌道回路TC1(の列車進入側)の列車在線を検知する。
なお、他の復調部(第1受信装置30Aの復調部32~35及び第2受信装置30Bの復調部31~35)からの出力、すなわち、軌道回路TC1からの第2受信信号、軌道回路TC2~TC5からの第1受信信号及び第2受信信号に基づく処理についての説明は省略するが、これらに対しても図5と同様の処理が行われる。
以上のようにして、制御装置50は、各軌道回路TC1~TC5の在線状況、さらに言えば、各軌道回路TC1~TC5における列車進入側及び列車進出側の在線状況を検知する。そして、制御装置50は、各軌道回路TC1~TC5の在線状況の検知結果を図示省略の列車制御用の上位装置に出力する。
図6は、前記列車検知装置と従来の列車検知装置とを比較した図であり、(A)は前記列車検知装置における列車Tが在線していない軌道回路TCn(n=1~5)からの受信信号(前記第1受信信号又は前記第2受信信号)を示し、(B)は従来の列車検知装置における列車Tが在線していない軌道回路TCnからの受信信号を示している。
上述のように、実施形態に係る列車検知装置において、軌道回路TCn(n=1~5)に印加される列車検知信号TDnはメイン検知信号Mnと4個のサブ検知信号Snとを含んでいる。このため、軌道回路TCnにはメイン検知信号Mn又はサブ検知信号Snが常に印加される。そして、軌道回路TCnに列車Tが在線していないときには、軌道回路TCにおけるレール間が短絡されないので、図6(A)に示されるように、制御装置50には、軌道回路TCnからメイン検知信号Mnに対応する受信信号Mn′又はサブ検知信号Snに対応する受信信号Sn′が連続的に入力される。したがって、図5のステップS4における前記所定回数が3回に設定されている場合、制御装置50が軌道回路TCn(の列車進入側又は列車進出側)の列車非在線を検知するのに要する時間は、図6(A)において矢印Xで示される「3×t(ms)+α」と信号処理時間との和になる。
一方、従来の列車検知装置において、軌道回路TCnに印加される列車検知信号TDnはメイン検知信号Mnに相当する信号のみで構成される。このため、軌道回路TCnには対応する列車検知信号TDnが所定の間隔(=4×t(ms))をあけて印加され、列車検知信号TDnに対応する受信信号TDn′が前記所定の間隔をあけて受信される。したがって、実施形態に係る列車検知装置と同様の条件で軌道回路TCnの列車非在線を検知する場合、軌道回路TCnの列車非在線を検知するのに要する時間は、図6(B)において矢印Yで示される「15×t(ms)+α」と信号処理時間との和になる。
つまり、実施形態に係る列車検知装置は、従来の列車検知装置に比べて、軌道回路TCnの列車非在線を検知するのに要する時間が少なくて済む。そして、従来の列車検知装置においては対象となる軌道回路TCの数nが増加するほど軌道回路TCnの列車非在線を検知するのに要する時間が長くなるのに対して、実施形態に係る列車検知装置においては対象となる軌道回路TCの数nが増加しても軌道回路TCnの列車非在線を検知するのに要する時間は変化しない。この点は、軌道回路TCnの列車在線を検知するのに要する時間についても同様である。
以上のように、実施形態に係る列車検知装置は、第1周波数f1の第1列車検知信号TD1、第2周波数f2の第2列車検知信号TD2、第3周波数f3の第3列車検知信号TD3、第4周波数f4の第4列車検知信号TD4及び第5周波数f5の第5列車検知信号TD5を含む送信信号TSを、通過帯域の異なるフィルタF1~F5を介して軌道回路TC1~TC5に印加し、軌道回路TC1~TC5からの第1受信信号及び第2受信信号に基づいて軌道回路TC1~TC5における列車Tの在線状況を検知するように構成されている。ここで、送信信号TSは、第1~第5列車検知信号TD1~TD5が加算されて形成されており、第1~第5列車検知信号TD1~TD5が重畳された形態を有している。このため、軌道回路TC1~TC5のそれぞれに対応する第1~第5列車検知信号TD1~TD5が印加されない時間がなくなり、従来の列車検知装置に比べて、軌道回路TC1~TC5の在線状況の検知に要する時間が大幅に短縮され得る。
また、上述の実施形態において、第1~第5列車検知信号TDn(n=1~5)は、メイン検知信号Mnとメイン検知信号Mnより振幅の小さいサブ検知信号Snとを含み、送信信号TSは、第1~第5列車検知信号TDn(n=1~5)のメイン検知信号Mnのそれぞれに他の列車検知信号のサブ検知信号が重畳されて形成されている。このため、送信信号TSの振幅の増加が抑制される。
ここで、上述の実施形態においてはサブ検知信号S1~S5の振幅がメイン検知信号M1~M5の振幅の1/3に設定されている。しかし、これに限られるものではない。サブ検知信号S1~S5の振幅はメイン検知信号M1~M5の振幅よりも小さく設定されていればよい。但し、送信信号TSの振幅の増加を抑制するためには、サブ検知信号S1~S5の振幅がメイン検知信号M1~M5の振幅の1/2以下に設定されるのが好ましい。
また、実施形態に係る列車検知装置は、駅St及び駅Stの近傍に配置された軌道回路TC1~TC5を対象としている。一般に、駅及びその近傍に配置された軌道回路は、駅と駅との間に配置される他の軌道回路に比べて短い。このため、実施形態に係る列車検知装置は、列車の運転時隔の短縮に効果的に寄与し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
例えば、上述の実施形態において、第1~第5列車検知信号TDn(n=1~5)は、メイン検知信号Mnとメイン検知信号Mnより振幅の小さいサブ検知信号Snとを含んでいる。しかし、これに限られるものではない。上述のように、軌道回路TC1~TC5は、前記他の軌道回路に比べて短いので、その分、ノイズ等による影響が抑制されている。そのため、第1~第5信号発生部11~15が、メイン検知信号M1~M5及びサブ検知信号S1~S5を生成することに代えて、メイン検知信号M1~M5より振幅の小さい検知信号M1′~M5′(長さ:t(ms))を生成し、生成した検知信号M1′~M5′を第1~第5周波数f1~f5の搬送波にのせて連続して繰り返し出力するように構成されてもよい。この場合、第1~第4遅延部16~19が省略され、加算部20には、図7に示されるような第1~第5列車検知信号TD1′~TD5′が入力され、加算部20からは、図8に示されるような送信信号TS′が出力される。このようにしても上述の実施形態と同様の効果が得られる。
また、実施形態に係る列車検知装置において、送信装置10は、第1~第5列車検知信号TD1~TD5のそれぞれの生成と生成停止とが切り替え可能に構成されてもよい。この場合、送信装置10は、例えば図9に示されるように、第1~第5信号発生部11~15の動作状態を切り替え可能な切替部21をさらに有し、切替部21は、例えば制御装置50からの指令に基づいて、第1~第5信号発生部11~15のうちの少なくとも一つによる列車検知信号の生成動作を停止させるように構成される。
そして、例えば切替部21によって第3信号発生部13による第3列車検知信号TD3の生成が停止されると、図4に示されるような送信信号TSに代えて図10に示されるような送信信号TSが送信装置10(の加算部20)から出力される。
このようにすると、対象となる軌道回路TCの数の変更などにも容易に対応することができるので便宜である。
10…送信装置、11~15…第1~第5信号発生部、16~19…第1~第4遅延部、20…加算部、21…切替部、30A…第1受信装置、30B…第2受信装置、31~35…復調部、50…制御装置、F1~F5,F11~F15…フィルタ、M1~M3…メイン検知信号、S1~S5…サブ検知信号、St…駅、T…列車、TC1~TC5…軌道回路、TD1~TD5…列車検知信号、TS…送信信号

Claims (6)

  1. メイン検知信号に、前記メイン検知信号とは周波数が異なると共に互いに周波数が異なり且つ前記メイン検知信号より振幅レベルが小さい複数のサブ検知信号が重畳された信号を通過帯域の異なるフィルタを介して複数の軌道回路のそれぞれに印加し、各軌道回路からの受信信号に基づいて列車の在線状況を検知するように構成された列車検知装置。
  2. 前記複数のサブ検知信号のそれぞれの振幅レベルは前記メイン検知信号の振幅レベルの1/2以下である、請求項1に記載の列車検知装置。
  3. 前記複数の軌道回路の数をNとしたとき、1個の前記メイン検知信号に(N-1)個のサブ検知信号が重畳されている、請求項1又は2に記載の列車検知装置。
  4. 前記フィルタは、前記メイン検知信号及び前記複数のサブ検知信号のうちのいずれかを通過させる、請求項1~3のいずれか一つの記載の列車検知装置
  5. 同じ周波数のメイン検知信号とサブ検知信号とは同内容のデジタル電文を構成する、請求項1~4のいずれか一つに記載の列車検知装置。
  6. 前記複数の軌道回路は、駅の軌道回路及び駅近傍の軌道回路である、請求項1~のいずれか一つに記載の列車検知装置。
JP2018012976A 2018-01-29 2018-01-29 列車検知装置 Active JP7094707B2 (ja)

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