JP6785353B1 - レール破断検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電車電流の影響を受けることのない、レール破断の検知能力を高めたレール破断検知装置の技術の提供。【解決手段】レール破断検知装置1Aは、符号化信号をスペクトラム拡散により変調して生成した送信信号Sを信号入力点sからレールに出力する信号生成部10Aと、信号出力点rからの受信信号Rに対してスペクトラム拡散による復調を試行し、受信信号Rの捕捉に成功したことを検出する信号捕捉検出部30Aと、信号捕捉検出部30Aの検出結果に基づいてレール破断を判定する破断判定部50Aとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レールの破断を検知するレール破断検知装置に関する。
従来、鉄道において、レール破断の検知は軌道回路の副次的な機能として実現されていた。軌道回路は、列車の輪軸で左右のレール間が短絡されることにより軌道回路の送信側から送出された信号の受信側での受信レベルが低下することを利用して、軌道回路内に列車が在線していることを検出する装置である。レール破断が発生した場合も受信レベルが低下することから、軌道回路はレール破断を副次的に検知することができるのである。
近年では、コスト削減や高密度な列車運行を実現可能とした地上・車上間の無線通信を利用した列車制御システムの開発が進められている。かかるシステムは、列車位置を車上で取得することから軌道回路が設置されないことが多い。このため、レール破断検知装置を別途設けることが求められている。この要求に応えるため、例えば特許文献1には、コストを低減したレール破断検知装置が開示されている。
特開2011−225192号公報
上述の特許文献1に開示されているような軌道回路を利用したレール破断検知装置は、レールに検知信号を送信し、その受信レベルの低下によってレール破断を検知している。この場合、軌道回路には検知信号の信号電流よりはるかに大きな電車電流が流れているが、電車電流は並行する2本のレールにほぼ同じ大きさに分流して同一方向に流れる。レール破断が生じていない状態においては、レール破断の検知信号は軌道回路の並行するレールに還流して流れるため、検知信号に対する電車電流の影響は、同一方向に並行して流れる電流の差分となる。しかしながら、レール破断時においては、レール破断が生じていない健全なレールだけに電車電流が流れ、これが全て検知信号に対する妨害波となることからS/N(Signal-to-Noise)比が大幅に悪化し、レール破断の検知能力が低下するおそれがある。
また、レール破断の発生頻度は低いことから、コスト削減のため、駅間といった比較的長い区間を1つの検知対象区間とする場合が考えられる。しかしその場合には、レールを流れる検知信号の減衰が大きくなるため、上述した電車電流による雑音や妨害波の影響が更に強まり、更なるレール破断の検知能力の低下につながることが考えられる。
本発明が解決しようとする課題は、電車電流の影響を受けることのない、レール破断の検知能力を高めた新たなレール破断検知装置の技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
所定の符号化信号を所定の多周波利用変調方式で変調して送信信号を生成し、左右一対のレールの一方レールに定められた信号入力点に当該送信信号を出力する信号生成部と、
前記一方レールに定められた信号出力点からの受信信号に対して、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調を試行し、当該受信信号を前記符号化信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを検出する信号捕捉検出部と、
前記信号捕捉検出部の検出結果に基づいて、前記一方レールのレール破断を判定する破断判定部と、
を備えたレール破断検知装置である。
第1の発明によれば、レールに送信する送信信号を所定の多周波利用変調方式で変調して生成し、レールからの受信信号に対する復調を試行して信号捕捉に成功したかを検出することにより、レール破断を検知することが可能となる。つまり、受信信号を元の符号化信号にまで復号しなくとも、送信時の多周波利用変調方式に対応する復調方式で復調成功条件に達する復調ができたこと、すなわち信号捕捉に成功したことの検出でもって、受信した信号は適正な信号に違いないことを確認できる。これにより、電車電流による雑音や妨害波の影響を受けても符号化信号の捕捉が可能となり、耐雑音および耐妨害波特性が大幅に向上して、レール破断の検知能力の高いレール破断検知装置を実現できる。また、左右一対のレールの一方レールに信号入力点および信号出力点が定められるので、信号入力点と信号出力点の間のレールに列車が在線している場合であっても受信信号を捕捉できるので、レール破断を列車在線と区別して検知する必要がない。なお、発明の最小限の構成要素の説明として、左右一対の一方レールを対象としたレール破断検知装置について説明したものであり、左右一対のレールそれぞれを対象としたレール破断検知装置を設けることとしてもよいのは勿論である。
第2の発明は、第1の発明において、
前記信号生成部は、並行する2つの軌道それぞれの一方レール同士を接続して設けられた前記信号入力点に前記送信信号を出力し、
前記信号捕捉検出部は、前記2つの軌道それぞれの一方レール同士を接続して設けられた前記信号出力点からの信号を前記受信信号として入力し、
前記破断判定部は、前記2つの軌道それぞれの一方レール同士のうち、少なくともどちらかに発生したレール破断を判定する、
レール破断検知装置である。
第2の発明によれば、信号入力点および信号出力点が2つの軌道それぞれの一方レール同士を接続して設けられる。このため、信号入力点に出力された送信信号の伝搬経路は、2つの軌道それぞれの一方レール同士を、あたかも接地側・非接地側とする2本の電線のように伝搬する経路となる。このため、信号出力点からの受信信号に基づいてレール破断を判定することで、2つの軌道それぞれの一方レール同士のうちのどちらかに発生したレール破断を判定できる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記信号生成部は、所定の拡散符号を用いて前記符号化信号を拡散符号化するスペクトラム拡散により前記多周波利用変調方式での一次変調を行い、当該一次変調した信号で所定の搬送波を変調させる二次変調を行って前記送信信号を生成し、
前記信号捕捉検出部は、前記受信信号に対して前記二次変調に対応する復調を行った信号に対して、前記拡散符号を用いて逆拡散復号することで、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調の試行を行う、
レール破断検知装置である。
第3の発明によれば、符号化信号に対する多周波利用変調方式としてスペクトラム拡散変調を行うことで、送信信号を生成することができる。
第4の発明は、第1又は第2の発明において、
前記信号生成部は、前記符号化信号をサブキャリア数分のパラレル信号に変換した上でサブキャリア変調および逆フーリエ変換を行って各信号を合成するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)により前記多周波利用変調方式での一次変調を行い、当該一次変調した信号で所定の搬送波を変調させる二次変調を行って前記送信信号を生成し、
前記信号捕捉検出部は、前記受信信号に対して前記二次変調に対応する復調を行った信号に対して、フーリエ変換およびサブキャリア復調を行って得られるサブキャリア数分のパラレル信号をシリアル信号に変換することで、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調の試行を行う、
レール破断検知装置である。
第4の発明によれば、符号化信号に対する多周波利用変調方式としてOFDM変調を行うことで、送信信号を生成することができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明において、
列車が走行する軌道を区切った各区間を順次切り替えて選択することで、当該区間の前記一方レールに定められた前記信号入力点および前記信号出力点を選択する切替制御部と、
前記信号生成部から出力された前記送信信号を、前記切替制御部によって選択された信号入力点に出力させる送信切替部と、
前記切替制御部によって選択された信号出力点から入力された信号を前記受信信号として前記信号捕捉検出部に出力する受信切替部と、
を更に備え、
前記破断判定部は、前記信号捕捉検出部の検出結果、および、前記切替制御部によって選択された区間に基づいて、区間毎の前記一方レールのレール破断を判定する、
レール破断検知装置である。
第5の発明によれば、列車が走行する軌道を区切った複数の区間毎にレール破断の判定を行うことができるため、1台のレール破断検知装置で広範囲に亘るレール破断の判定が可能となる。
第6の発明は、第1〜第4の何れかの発明において、
前記信号生成部は、前記変調を行って周波数の異なる複数の前記送信信号を生成し、列車が走行する軌道を区切った各区間のうち、隣接する区間で周波数が異なるように各区間の前記一方レールに定められた前記信号入力点に当該送信信号を出力し、
前記信号捕捉検出部は、各区間の前記一方レールに定められた前記信号出力点から入力した前記受信信号それぞれに対して前記復調を試行し、当該受信信号を前記符号化信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを区間毎に検出し、
前記破断判定部は、前記信号捕捉検出部の検出結果に基づいて、区間毎の前記一方レールのレール破断を判定する、
レール破断検知装置である。
第6の発明によれば、列車が走行する軌道を区切った複数の区間毎にレール破断の判定を行うことができるため、1台のレール破断検知装置で広範囲に亘るレール破断の判定が可能となる。また、複数の区間それぞれに対して並列に信号入力点に送信信号を出力し、信号出力点から受信信号を入力するが、隣接する区間で周波数が異なるように複数の区間それぞれに送信信号を出力するので、各区間の受信信号を判別することができる。
第1実施形態におけるレール破断検知装置の構成図。 信号生成部の構成図。 信号捕捉検出部の構成図。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 第2実施形態におけるレール破断検知装置の構成図。 第3実施形態におけるレール破断検知装置の構成図。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 第4実施形態におけるレール破断検知装置の構成図。 信号生成部の構成図。 信号捕捉検出部の構成図。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 破断判定部によるレール破断の判定の一例。 OFDMを用いて送信信号を生成する場合の信号生成部の構成図。 OFDMを用いて送信信号を生成する場合の並列捕捉検出部の構成図。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のレール破断検知装置1Aの構成図である。レール破断検知装置1Aは、区間Tにおける並行して敷設された2つの軌道L1,L2のレール破断を検知する装置である。区間Tの中央には信号入力点s(sa,sb)が定められ、区間Tの両端には信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)が定められている。信号入力点sおよび信号出力点rは、レールとレール破断検知装置1Aとの電気的接点であり、整合変成器MTを介して信号が入出力される。レール破断検知装置1Aは、信号入力点sからレールに送信信号Sを出力し、信号出力点rから入力される受信信号Rに基づいて、区間Tのレール破断を判定する。
軌道L1,L2はともに左右一対の2本のレールを有しており、信号入力点sおよび信号出力点rは、軌道L1,L2間でレール同士を接続して構成されている。つまり、信号入力点sとして、軌道L1,L2それぞれの左右一対の2本のレールのうちの一方レール同士を接続して構成した一方側信号入力点saと、他方レール同士を接続して構成した他方側信号入力点sbとが設けられている。また、信号出力点rとして、軌道L1,L2それぞれの左右一対の2本のレールのうち、一方側信号入力点saと同じ一方レール同士を接続して構成した一方側信号出力点r1a,r2aと、他方側信号入力点sbと同じ他方レール同士を接続して構成した他方側信号出力点r1b,r2bとが設けられている。一方側信号出力点r1aと他方側信号出力点r1bとは、例えば軌道の起点側に設けられ、一方側信号出力点r2aと他方側信号出力点r2bとは、例えば軌道の終点側に設けられる。
レール破断検知装置1Aは、信号生成部10Aと、信号捕捉検出部30Aと、破断判定部50Aとを備える。
信号生成部10Aは、所定の符号化信号であるレール破断検知信号を、多周波利用変調方式の1つであるスペクトラム拡散による変調を行った上で送信信号S(Sa,Sb)を生成する。図2に示すように、信号生成部10Aは、検知信号生成部21と、変調部29Aとを有する。変調部29Aは、拡散符号生成部22と、拡散符号化部23と、搬送波生成部24Aと、搬送波変調部25とを有する。検知信号生成部21は、符号化信号であるレール破断検知信号を生成する。拡散符号生成部22は、不図示のクロック信号に従って、拡散符号である疑似雑音符号(以下、「PN符号」という)を生成する。拡散符号化部23は、検知信号生成部21により生成されたレール破断検知信号と、拡散符号生成部22により生成されたPN符号とを乗算することで、スペクトラム拡散による一次変調を行って拡散符号化信号を生成する。搬送波生成部24Aは、所定周波数の搬送波を生成する。搬送波変調部25は、拡散符号化部23により生成された拡散符号化信号と搬送波生成部24Aにより生成された搬送波を乗算することで、拡散符号化信号で搬送波を変調させる二次変調を行って送信信号Sを生成する。
搬送波変調部25により生成された送信信号Sは、送信信号Sa,Sbとして、信号入力点s(sa,sb)それぞれに並列に出力される。信号入力点sからレールに出力された信号は、区間Tの両端それぞれに向かって伝搬する。例えば、2つの軌道L1,L2の一方レールに対して一方側信号入力点saから出力された信号は、当該一方レール同士を、あたかも接地側・非接地側とする2本の電線のように、一方レールの両端それぞれの一方側信号出力点r1a,r2aに向けて伝搬していく。同じく、2つの軌道L1,L2の他方レールに対して他方側信号入力点sbから出力された信号は、当該他方レール同士を、あたかも接地側・非接地側とする2本の電線のように、他方レールの両端それぞれの他方側信号出力点r1b,r2bに向けて伝搬していく。一方レールに係る伝搬経路と他方レールに係る伝搬経路とは電気的に絶縁されている。このため、信号入力点sa,sbそれぞれに、同じ送信信号Sa,Sbを出力することができる。
図1に戻り、信号捕捉検出部30Aは、信号出力点rから入力した受信信号Rに対してスペクトラム拡散による復調を試行し、受信信号Rをレール破断検知信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを検出する。受信信号Rからレール破断検知信号を復号する必要はない。
図3に示すように、信号捕捉検出部30Aは、信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)それぞれから入力される受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)それぞれに対応する複数の並列捕捉検出部40A(40A−1,40A−2,40A−3,40A−4)を有する。区間Tの一方の端部には、一方レール同士を接続して構成された一方側信号出力点r1aと、他方レール同士を接続して構成された他方側信号出力点r1bとが定められている。また、当該区間Tの他方の端部には、一方レール同士を接続して構成された一方側信号出力点r2aと、他方レール同士を接続して構成された他方側信号出力点r2bとが定められている。信号捕捉検出部30Aは、これらの4つの信号出力点r1a,r1b,r2a,r2bから入力される受信信号R1a,R1b,R2a,R2bそれぞれに対応する、4つの並列捕捉検出部40A−1〜40A−4を有する。
並列捕捉検出部40A−1〜40A−4は、同一構成であり、搬送波生成部41Aと、搬送波信号除去部42と、拡散符号生成部43と、逆拡散復号部44と、同期捕捉部45とを有する。搬送波生成部41Aは、信号生成部10Aの搬送波生成部24Aが生成する搬送波と同じ周波数の搬送波を生成する。搬送波信号除去部42は、入力された受信信号Rと搬送波生成部41Aにより生成された搬送波とを乗算することで、受信信号Rに対する復調を行う機能部であり、この復調によって搬送波信号が除去される。除去された後の信号を復調信号と呼称する。搬送波信号除去部42が行う復調は、信号生成部10Aの搬送波変調部25による二次変調に対応する復調である。
拡散符号生成部43は、不図示のクロック信号に従って、信号生成部10Aの拡散符号生成部22が生成するPN符号と同じ符号であるPN符号を生成する。逆拡散復号部44は、搬送波信号除去部42により搬送波信号が除去された後の復調信号と拡散符号生成部43により生成されたPN符号とを乗算することで、復調信号に対してPN符号を用いた逆拡散復号を行う。この逆拡散復号はスペクトラム拡散による復調の試行ということができる。
同期捕捉部45は、拡散符号生成部43に対して、生成するPN符号の位相を指示する信号を出力して、拡散符号生成部43が生成するPN符号の位相と、受信信号Rに含まれているPN符号の位相とを一致させる受信信号Rの同期捕捉を行う。具体的には、逆拡散復号部44によって逆拡散復号された信号の値を積算し、この積算値(相関値ともいえる)ができるだけ高い値となるように、拡散符号生成部43に対して、生成するPN符号の位相をずらす指示をする。積算は、いわゆる相互相関演算に相当する。また、同期捕捉部45は、逆拡散復号された信号の積算値(相関値)が所定のピーク値条件を満たす場合、復調成功条件に達したとして、受信信号Rの信号捕捉に成功したことを検出する。信号捕捉の成否の検出結果は、捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)として出力する。すなわち、並列捕捉検出部40A−1は、受信信号R1aの信号捕捉の成否の検出結果として捕捉信号D1aを出力する。並列捕捉検出部40A−2は、受信信号R1bの信号捕捉の成否の検出結果として捕捉信号D1bを出力する。並列捕捉検出部40A−3は、受信信号R2aの信号捕捉の成否の検出結果として捕捉信号D2aを出力する。並列捕捉検出部40A−4は、受信信号R2bの信号捕捉の成否の検出結果として捕捉信号D2bを出力する。
復調成功条件は、受信信号Rがレール破断検知信号を含むとみなせる条件である。本実施形態では、スペクトラム拡散によりレール破断検知信号の変調を行っているので、受信信号R(より正確には逆拡散復号された信号)とPN符号との積算値(相関値)が所定のピーク値条件を満たすことを復調成功条件としている。PN符号は所定長(例えば、64ビット)の符号であるので、PN符号全体ではなく、その一部(例えば、符号長を64ビットとした場合、50%である32ビット、20%である12ビット、10%である6ビット、などである)が合致した場合に積算値(相関値)として表れ得る閾値に達したことを所定のピーク値条件を満たすこととし、復調成功条件に達したと判定することができる。
図1に戻り、破断判定部50Aは、信号捕捉検出部30Aの検出結果に基づいて、区間Tのレール破断を判定する。区間Tにレール破断が生じると、当該レール破断の部分で送信信号Sの伝搬が遮断されるため、当該区間Tでの受信信号Rの信号捕捉が失敗する。破断判定部50Aは、信号捕捉検出部30Aから出力される捕捉信号Dから信号捕捉の失敗、すなわち信号捕捉の成功の未検出を判定して、当該区間Tのレール破断を判定する。
上述のように、区間Tには4つの信号出力点r1a,r1b,r2a,r2bが定められ、これらの4つの信号出力点r1a,r1b,r2a,r2bそれぞれからの受信信号R1a,R1b,R2a,R2bに対する捕捉信号D1a,D1b,D2a,D2bが、信号捕捉検出部30Aから出力される。つまり、捕捉信号D1aは軌道L1,L2の一方レール(より詳細には信号入力点saから信号出力点r1aの間)に対応し、捕捉信号D2aは軌道L1,L2の一方レール(より詳細には信号入力点saから信号出力点r2aの間)に対応する。また、捕捉信号D1bは軌道L1,L2の他方レール(より詳細には信号入力点sbから信号出力点r1bの間)に対応し、捕捉信号D2bは軌道L1,L2の他方レール(より詳細には信号入力点sbから信号出力点r2bの間)に対応する。
従って、破断判定部50Aは、4つの捕捉信号Dから、軌道L1,L2を構成する左右一対のレールのどちらのレール(一方レール/他方レール)にレール破断が生じたかを区別するとともに、信号入力点sを境界として区間Tを分けたどちら側のレール部分にレール破断が生じたかを区別して判定することができる。例えば、捕捉信号D1a,D2aのどちらかが信号捕捉の失敗を示す信号であれば、軌道L1の一方レールと軌道L2の一方レールとのうちの少なくともどちらかにレール破断が発生したことを判定できる。さらに、捕捉信号D1aが信号捕捉の失敗を示す信号であり、捕捉信号D2aが信号捕捉の失敗を示す信号ではなかった場合には、信号入力点saから信号出力点r1aの間にレール破断が発生したと判定することができる。また、捕捉信号D1b,D2bのどちらかが信号捕捉の失敗を示す信号であれば、軌道L1の他方レールと軌道L2の他方レールとのうちの少なくともどちらかにレール破断が発生したことを判定できる。さらに、捕捉信号D1bが信号捕捉の失敗を示す信号であり、捕捉信号D2bが信号捕捉の失敗を示す信号ではなかった場合には、信号入力点sbから信号出力点r1bの間にレール破断が発生したと判定することができる。
図4,図5は、破断判定部50Aによるレール破断の判定の一例である。図4は、レール破断が生じていない通常時の判定結果の一例であり、図5は、レール破断が生じた場合の判定結果の一例である。また、破断判定部50Aによる判定結果とともに、信号捕捉検出部30Aによる検出結果として、各時刻tにおける捕捉信号D1a,D1b,D2a,D2bが表す成否を示す。また、各捕捉信号Dに対応するレール破断の判定可能なレール部分を示す。上述のように、区間Tでは、信号入力点sに対する信号出力点r1と信号出力点r2との位置が逆となるため、信号入力点sを境界として区間Tを2つに分けることができる。図4,図5では、信号出力点r1側を“前半”、信号出力点r2側を“後半”として示している。
図4に示すように、通常時には、全てのレール部分について、受信信号Rの信号捕捉は成功となり、破断判定部50Aは“通常(レール破断無し)”と判定する。
また、図5に示すように、レール破断が生じた場合には、レール破断が生じたレール部分(図5では“一方レールの後半”)のみが受信信号Rの信号捕捉が失敗となり、且つ、継続して信号捕捉に失敗した状態となる。破断判定部50Aは“一方レールの後半でレール破断”と判定する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、上述の第1実施形態と同一要素については同符号を付して詳細な説明を省略する。第2実施形態は、上述の第1実施形態のレール破断検知装置1Aによるレール破断の検知対象を、1つの軌道を区切った区間Tとした実施形態である。
図6は、第2実施形態におけるレール破断検知装置1Bの適用例である。図6に示すように、第2実施形態において、レール破断検知装置1Bは、1つの軌道L1の区間Tのレール破断を検知する。区間Tの中央に信号入力点s(sa,sb)が定められ、区間Tの両端に信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)が定められていることは、第1実施形態と同様である。第2実施形態では、信号入力点sおよび信号出力点rは、軌道L1が有する左右一対のレールのうちの1本のレールを接地接続(地面(大地)に接続)して、いわば接地電位に対する対地電圧の信号を伝搬する電線として構成されている点が、第1実施形態と異なる。すなわち、信号入力点sとして、軌道L1が有する左右一対の2本のレールのうちの一方レールの中央に一方側信号入力点saが定められ、他方レールの中央に他方側信号入力点sbが定められている。また、信号出力点rとして、一方側信号入力点saと同じ一方レールの区間Tの端部に一方側信号出力点r1a,r2aが定められ、他方側信号入力点sbと同じ他方レールの区間Tの端部に他方側信号出力点r1b,r2bが定められている。そして、信号入力点sと大地間に整合変成器MTが設けられて信号入力点sからレールに送信信号Sが出力される。各信号出力点rそれぞれと大地間に整合変成器MTが設けられて各信号出力点rから受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)が入力される。
第2実施形態のレール破断検知装置1Bが備える信号生成部10A、信号捕捉検出部30A、破断判定部50Aは、第1実施形態と同じであり、対象とする軌道が1つの軌道L1となっただけである。信号捕捉検出部30Aは、受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)の信号捕捉の成功を検出し、その検出結果を示す捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)に基づいて破断判定部50Aが区間Tのレール破断を判定する。レール破断の判定に当たっては、一方レールにレール破断が発生したか、他方レールにレール破断が発生したかを捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)に基づいて判定することができ、更には、信号入力点sから見て区間Tのどちら側でレール破断が発生したかを判定することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態では、上述の第1又は第2実施形態と同一要素については同符号を付して詳細な説明を省略する。第3実施形態は、レール破断検知装置によるレール破断の検知対象を、軌道を区切った複数の区間とした実施形態である。
図7は、第3実施形態のレール破断検知装置1Cの構成図である。図7に示すように、第3実施形態におけるレール破断検知装置1Cは、列車が走行する軌道Lを区切った複数の区間Ti(i=1,2,・・,n)それぞれのレール破断を検知する装置である。各区間Tには、上述の第1および第2実施形態と同様に、区間Tの中央に信号入力点s(sa,sb)が定められ、区間Tiの両端に信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)が定められている。信号入力点sおよび信号出力点rは、第1実施形態のように、2つの軌道の一方レール同士を接続するとともに、他方レール同士を接続して構成するようにしてもよいし(図1参照)、或いは、第2実施形態のように、1つの軌道の一方レールを接地接続するとともに、他方レールを接地接続して構成するようにしてもよい(図6参照)。
レール破断検知装置1Cは、複数の区間Tiのうちから1つの区間Tを検知対象として順次切り替えて選択し、選択した区間Tの信号入力点sからレールに送信信号Sを出力し、当該区間Tの信号出力点rから入力される受信信号Rに基づいて、当該区間Tのレール破断を判定する。レール破断検知装置1Cは、切替制御部60と、信号生成部10Cと、送信切替部70と、受信切替部80と、信号捕捉検出部30Cと、破断判定部50Cとを有する。
切替制御部60は、各区間Tを順次切り替えて選択し、選択した区間Tを指示する信号を送信切替部70および受信切替部80に出力することで、当該区間Tのレールに定められた信号入力点sおよび信号出力点rを選択する。図7では、区間T1を選択している状態を示しており、区間T1に対応する送信切替部70のスイッチP1と、受信切替部80のスイッチQ11〜Q14とがオンとなっている。
信号生成部10Cは、第1実施形態におけるレール破断検知装置1Aの信号生成部10Aと同一構成であり、所定の符号化信号であるレール破断検知信号を、多周波利用変調方式の1つであるスペクトラム拡散変調による変調を行った上で送信信号Sを生成する(図2参照)。
送信切替部70は、各区間Tiの信号入力点sそれぞれに接続された複数のスイッチPi(i=1,2,・・,n)を有し、切替制御部60によって指示された区間Tの信号入力点sに接続されたスイッチPをオン(接続)し、それ以外のスイッチPをオフ(非接続)することで、信号生成部10Cから出力された送信信号Sを、切替制御部60によって選択された信号入力点sに出力させる。各区間Tには2つの信号入力点s(一方側信号入力点sa、他方側信号入力点sb)が定められており、各スイッチPiは、対応する区間Tiの2つの信号入力点sa,sbに並列に接続されている。これにより、送信切替部70は、区間Tに定められた2つの信号入力点sそれぞれに、送信信号Sを並列に出力することになる。
受信切替部80は、各区間Tiの信号出力点rそれぞれに接続された複数のスイッチQi1〜Qi4(i=1,2,・・,n)を有し、切替制御部60によって指示された区間Tの信号出力点rに接続されたスイッチQをオンし、それ以外のスイッチQをオフすることで、切替制御部60によって選択された信号出力点rから入力された信号を受信信号Rとして信号捕捉検出部30Cに出力する。各区間Tには4つの信号出力点r(一方側信号出力点r1a,r2a、他方側信号出力点r1b,r2b)が定められ、各信号出力点rそれぞれにスイッチQが接続されるから、受信切替部80は、区間数nの4倍の4n個のスイッチQを有する。
信号捕捉検出部30Cは、受信切替部80により入力された受信信号Rに対してスペクトラム拡散による復調を試行し、受信信号Rをレール破断検知信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを検出する。受信信号Rからレール破断検知信号を復号する必要はない。切替制御部60は各区間Tを順次切り替えて選択することから、信号捕捉検出部30Cは、この選択に従い、各区間Tを順次切り替えて当該区間Tからの受信信号Rの信号捕捉に成功したことを検出することになる。信号捕捉検出部30Cは、第1実施形態におけるレール破断検知装置1Aの信号捕捉検出部30Aと同一構成であり、入力される4つの受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)それぞれに対して信号捕捉の成功を検出したかの検出結果である4つの捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)を出力する(図3参照)。
破断判定部50Cは、信号捕捉検出部30Cの検出結果、および、切替制御部60によって選択された区間Tに基づいて、区間T毎の一方レールおよび他方レールを区別してレール破断を判定する。切替制御部60は各区間Tを順次切り替えて選択することから、破断判定部50Cは、この選択に従って、信号捕捉検出部30Cの検出結果である捕捉信号Dが何れの区間Tについてであるかを特定する。ある区間Tにレール破断が生じると、当該レール破断の部分で送信信号Sの伝搬が遮断されるため、当該区間Tでの受信信号Rの信号捕捉が失敗する。破断判定部50Cは、信号捕捉検出部30Cによる信号捕捉の成功が未検出の区間に基づいてレール破断を判定する。
図8,図9は、破断判定部50Cによるレール破断の判定の一例である。図8は、レール破断が生じていない通常時の判定結果の一例であり、図9は、レール破断が生じた場合の判定結果の一例である。図8では、上側に、信号捕捉検出部30Cが出力する捕捉信号Dが表す信号捕捉の成否、および、切替制御部60による区間Tの選択を示し、下側に、破断判定部50Cによる判定結果を示している。また、図9では、破断判定部50Cによる判定結果を示している。
各区間Tiに4つの信号出力点r(ra1,r1b,r2a,r2b)が定められ、送信切替部70には4つの受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)が入力されるから、信号捕捉検出部30Cは、この4つの受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)それぞれについての信号捕捉の成否を示す捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)を出力する。破断判定部50Cは、時刻tから区間Tと捕捉信号Dとの対応を特定し、区間T毎に特定した捕捉信号Dから、上述の第1実施形態と同様に、信号捕捉の失敗を判定してレール破断を判定することができる。
図8に示すように、切替制御部60によって、区間T1,T2,T3,・・の順に切り替えて選択されている。通常時には、すべての区間Tについて受信信号Rの信号捕捉は成功となり、破断判定部50Cは“通常(レール破断無し)”と判定する。
また、図9に示すように、レール破断が生じた場合には、レール破断が生じたレール部分のみが受信信号Rの信号捕捉が失敗となり、同じレール部分で継続して信号捕捉に失敗した状態となる。破断判定部50Cは、“区間T1の後半の一方レールでレール破断”と判定する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態では、上述の第1〜第3実施形態と同一要素については同符号を付して詳細な説明を省略する。第4実施形態は、レール破断検知装置によるレール破断の検知対象を、軌道を区切った複数の区間であることは第3実施形態と同じであるが、全ての区間に対して並列にレール破断を判定することが、第3実施形態との主な相違点である。
図10は、第4実施形態のレール破断検知装置1Dの適用例である。図10に示すように、第4実施形態におけるレール破断検知装置1Dは、列車が走行する軌道Lを区切った複数の区間Ti(i=1,2,・・,n)それぞれのレール破断を検知する装置である。各区間Tには、上述の第1〜第3実施形態と同様に、区間Tの中央に信号入力点s(sa,sb)が定められ、区間Tの両端に信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)が定められている。信号入力点sおよび信号出力点rは、第1実施形態のように、2つの軌道の一方レール同士を接続するとともに、他方レール同士を接続して構成するようにしてもよいし(図1参照)、或いは、第2実施形態のように、1つの軌道の一方レールを接地接続するとともに、他方レールを接地接続して構成するようにしてもよい(図6参照)。レール破断検知装置1Dは、複数の区間Tそれぞれに対して、当該区間Tの信号入力点sからレールに送信信号Sを出力し、当該区間Tの信号出力点rから入力される受信信号Rに基づいて、当該区間Tのレール破断を判定する。
レール破断検知装置1Dは、信号生成部10Dと、信号捕捉検出部30Dと、破断判定部50Dとを有する。
信号生成部10Dは、多周波利用変調方式の1つであるスペクトラム拡散による変調を行った上で、周波数の異なる複数の送信信号Sを生成し、列車が走行する軌道を区切った各区間Tのうち、隣接する区間Tで周波数が異なるように各区間Tの一方レールおよび他方レールそれぞれに定められた信号入力点sに送信信号Sを出力する。上述の第1実施形態と同様に、信号生成部10Dは、各区間Tiに定められた2つの信号入力点s(一方側信号入力点saおよび他方側信号入力点sb)それぞれに対して同じ送信信号Sa,Sbを並列に出力する。
図11に示すように、信号生成部10Dは、複数の並列信号生成部20D(20D−1〜20D−m)を有する。並列信号生成部20Dの数mは、区間数n以下である。並列信号生成部20Dは、上述の第1実施形態におけるレール破断検知装置1Aの信号生成部10Aに相当し、検知信号生成部21と、変調部29Dとを有する。変調部29Dは、拡散符号生成部22と、拡散符号化部23と、搬送波生成部24Dと、搬送波変調部25とを有する。
搬送波生成部24Dは、並列信号生成部20D毎に異なる周波数f(f1,f2,・・,fm)の搬送波を生成する。各搬送波生成部24Dが生成する搬送波の周波数f(f1,f2,・・,fm)は、搬送波変調部25による変調後の変調信号H(H1,H2,・・,Hm)の周波数帯域が、周波数において隣り合う変調信号Hの周波数帯域と少なくとも所定の周波数帯域Δfをおいて重畳しないように定められている。より具体的には、並列信号生成部20Dそれぞれの拡散符号生成部22が生成するPN符号は同じ符号であり、且つ、PN符号の信号は同じ周波数である。そのため、PN符号の信号周波数帯域幅より広い周波数帯域Δfをおいて、搬送波の周波数f(f1,f2,・・,fm)を設定することで、隣り合う変調信号H(H1,H2,・・,Hm)の周波数が重ならないように定められる。
そして、信号生成部10Dは、各並列信号生成部20Dが生成した変調信号Hを送信信号Sとして、各区間Tに出力する送信信号Sの周波数fが軌道Lに沿って所定順に繰り返すように、送信信号Sを各区間Tの信号入力点sからレールに並列的に出力する。図11では、区間T1,Tm+1,T2m+1,・・・、に周波数f1の搬送波の変調信号H1が送信信号Sとして出力され、区間T2,Tm+2,T2m+2,・・・、に周波数f2の搬送波の変調信号H2が送信信号Sとして出力され、といったように、m種類の周波数fj(j=1,2,・・,m)の変調信号Hが、送信信号Sとして軌道Lに沿って繰り返すように各区間Tに出力されている。
図10に戻り、信号捕捉検出部30Dは、各区間Tの一方レールおよび他方レールそれぞれに定められた信号出力点rから入力した受信信号Rそれぞれに対してスペクトラム拡散による復調を試行し、受信信号Rを符号化信号であるレール破断検知信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを区間T毎に検出する。受信信号Rからレール破断検知信号を復号する必要はない。
図12に示すように、信号捕捉検出部30Dは、複数の並列捕捉検出部40D−k(k=1,2,・・,4n)を有する。各区間Tiに4つの信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)が定められており、各信号出力点rから受信信号Rが並列に入力されるから、区間数nの4倍である4n個の並列捕捉検出部40Dを有することになる。
並列捕捉検出部40Dは、搬送波生成部41Dと、搬送波信号除去部42と、拡散符号生成部43と、逆拡散復号部44と、同期捕捉部45とを有する。搬送波生成部41Dは、並列信号生成部20Dの搬送波生成部24Dが生成する搬送波と同じ周波数の搬送波を生成する。すなわち、搬送波生成部41Dに入力される受信信号Rの信号出力点rと同じ区間Tの信号入力点sに出力される送信信号Sの生成の際に用いられた搬送波と同じ周波数の搬送波を生成する。
図10に戻り、破断判定部50Dは、信号捕捉検出部30Dの検出結果に基づいて、区間毎の一方レールおよび他方レールを区別してレール破断を判定する。
図13,図14は、破断判定部50Dによるレール破断の判定の一例である。図13は、レール破断が生じていない通常時の判定結果の一例であり、図14は、レール破断が生じた場合の判定結果の一例である。図13,図14では、何れも、破断判定部50Dによる判定結果とともに、信号捕捉検出部30Dによる検出結果として、各時刻tにおける各区間Tについての捕捉信号Dが表す信号捕捉の成否を示している。
信号捕捉検出部30Dは、各区間Tに定められた4つの信号出力点r(r1a,r1b,r2a,r2b)からの4つの受信信号R(R1a,R1b,R2a,R2b)それぞれについての信号捕捉の成否を示す捕捉信号D(D1a,D1b,D2a,D2b)を並列に出力する。破断判定部50Dは、各区間Tについて、上述の第1実施形態と同様に、信号捕捉の失敗を判定してレール破断を判定することができる。
図13に示すように、通常時には、すべての区間Tについて受信信号Rの信号捕捉は成功となり、破断判定部50Dは“通常(レール破断無し)”と判定する。
また、図14に示すように、レール破断が生じた場合には、レール破断が生じたレール部分のみが受信信号Rの信号捕捉が失敗となり、同じレール部分で継続して信号捕捉に失敗した状態となる。破断判定部50Dは“区間T1の後半の一方レールでレール破断”と判定する。
[作用効果]
幾つかの実施形態を説明したが、各実施形態のレール破断検知装置1(1A,1B,1C,1D)によれば、レールに送信する送信信号Sをスペクトラム拡散により変調して生成し、レールからの受信信号Rに対する復調を試行して信号捕捉に成功したかを検出することにより、レール破断を検知することが可能となる。つまり、受信信号Rを元の符号化信号であるレール破断検知信号にまで復号しなくとも、送信時の多周波利用変調方式に対応する復調方式で復調成功条件に達する復調ができたこと、すなわち信号捕捉に成功したことの検出でもって、受信した信号は適正な信号であるレール破断検知信号に違いないことを確認できる。これにより、電車電流による雑音や妨害波の影響を受けてもレール破断検知信号の捕捉が可能となり、耐雑音および耐妨害波特性が大幅に向上して、レール破断の検知能力の高いレール破断検知装置1を実現できる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)多周波利用変調方式
上述の実施形態では、送信信号Sの生成の際に用いる多周波利用変調方式をスペクトラム拡散による変調としたが、これ以外でもよく、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数多重分割)を用いることにしてもよい。この場合、上述の各実施形態のレール破断検知装置1A(図1参照),1B(図6参照),1C(図7参照),1D(図10参照)において、信号生成部10A,10C、信号生成部10Dの並列信号生成部20Dを、図15に示す信号生成部10Eに、信号捕捉検出部30A,30C,30Dの並列捕捉検出部40A,40Dを、図16に示す並列捕捉検出部40Eに置き替えることで実現できる。
図15に示すように、OFDMを用いたレール破断検知装置における信号生成部10Eは、検知信号生成部21と、変調部29Eとを備える。変調部29Eは、検知信号生成部21により生成されたレール破断検知信号を一次変調するOFDM変調部26と、搬送波生成部24と、搬送波変調部25とを備える。OFDM変調部26は、検知信号生成部21により生成されたシリアル信号であるレール破断検知信号を、所定のサブキャリア数分のパラレル信号に変換するS/P変換部と、複数のパラレル信号それぞれを変調してサブキャリア信号を生成するサブキャリア変調部と、複数のサブキャリア信号に対して逆フーリエ変換を行って合成するIFFT部とを有する。
また、並列捕捉検出部40Eは、図16に示すように、復調部49Eと、捕捉検出部48とを備える。復調部49Eは、搬送波生成部41と、搬送波信号除去部42と、信号生成部10EのOFDM変調部26による一次変調に対応する復調の試行を行うOFDM復調部47を備える。OFDM復調部47は、搬送波信号除去部42により搬送波が除去された信号に対してフーリエ変換を行って複数のサブキャリア信号に再生するFFT部と、複数のサブキャリア信号それぞれを復調するサブキャリア復調部と、復調されたパラレル信号をシリアル信号に変換して捕捉検出部48に出力するP/S変換部とを有する。
捕捉検出部48は、OFDM復調部47により復調された信号と符号化信号であるレール破断検知信号とを比較し、復調成功条件に達した時点で受信信号Rの信号捕捉に成功したことを検出する。復調成功条件は、例えば、復調された信号とレール破断検知信号との合致度合(復調率ともいえる)であり、具体的には、所定長の符号化信号であるレール破断検知信号の全体が合致する(つまり、復調率が100%)としてもよいが、復調率が50%以上、20%以上、10%以上などといったように、レール破断検知信号の一部が復調されたことを復調成功条件に達したと判定してもよい。捕捉検出部48は、復調成功条件に達したと判定した場合には信号捕捉に成功したと判定して、その判定結果を示す捕捉信号Dを出力する。
(B)信号入力点sおよび信号出力点r
また、上述の各実施形態では、区間Tの中央に信号入力点s(sa,sb)を定め、区間の両端に信号出力点r(r11,r1b,r2a,r2b)を定めているが、次のようにしてもよい。すなわち、区間Tの両端のうちの一方側の端部に信号入力点sを定め、他方側の端部に信号出力点rを定める。つまり、信号入力点sとして、軌道Lが有する左右一対の2本のレールのうちの一方レールの区間Tの一方側の端部に一方側信号入力点saを定め、他方レールの区間Tの一方側の端部に他方側信号入力点sbを定める。また、信号出力点rとして、軌道Lが有する左右一対の2本のレールのうちの一方レールの区間Tの他方側の端部に一方側信号出力点raを定め、他方レールの区間Tの他方側の端部に他方側信号出力点rbを定める。そして、レール破断検知装置は、区間Tの2つの信号入力点s(sa,sb)それぞれからレールに送信信号Sを出力し、2つの信号出力点r(ra,rb)それぞれから入力される受信信号Rに基づいて、当該区間Tのどちらのレール(一方レール/他方レール)にレール破断が生じたかを判定する。この場合、図4,図5,図8,図9,図13,図14に示したように、信号入力点sを境界として区間Tを“前半/後半”に分けてレール破断を判定することはできないことになる。
(C)検知対象のレール
また、上述の各実施形態では、軌道が有する一方レールと他方レールとの2本のレール両方を対象としてレール破断を判定することにしたが、一方レールのみをレール破断の対象としてもよい。この場合、対象とする一方レールにのみ、信号入力点sおよび信号出力点rを定めればよい。
1(1A,1B,1C,1D)…レール破断検知装置
10(10A,10C,10D)…信号生成部
20D…並列信号生成部
21…検知信号生成部
29(29A,29D)…変調部
22…拡散符号生成部、23…拡散符号化部
24(24A,24D)…搬送波生成部、25…搬送波変調部
30(30A,30C,30D)…信号捕捉検出部
40(40A,40D)…並列捕捉検出部
41(41A,41D)…搬送波生成部、42…搬送波信号除去部
43…拡散符号生成部、44…逆拡散復号部、45…同期捕捉部
50(50A,50C,50D)…破断判定部
60…切替制御部
70…送信切替部、P(Pi)…スイッチ
80…受信切替部、Q(Qi1〜Qi4)…スイッチ
L(L1,L2)…軌道、T(Ti)…区間
s…信号入力点、r…信号出力点
S…送信信号、R…受信信号

Claims (6)

  1. 所定の符号化信号を所定の多周波利用変調方式で変調して送信信号を生成し、左右一対のレールの一方レールに定められた信号入力点に当該送信信号を出力する信号生成部と、
    前記一方レールに定められた信号出力点からの受信信号に対して、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調を試行し、当該受信信号を前記符号化信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを検出する信号捕捉検出部と、
    前記信号捕捉検出部の検出結果に基づいて、前記一方レールのレール破断を判定する破断判定部と、
    を備えたレール破断検知装置。
  2. 前記信号生成部は、並行する2つの軌道それぞれの一方レール同士を接続して設けられた前記信号入力点に前記送信信号を出力し、
    前記信号捕捉検出部は、前記2つの軌道それぞれの一方レール同士を接続して設けられた前記信号出力点からの信号を前記受信信号として入力し、
    前記破断判定部は、前記2つの軌道それぞれの一方レール同士のうち、少なくともどちらかに発生したレール破断を判定する、
    請求項1に記載のレール破断検知装置。
  3. 前記信号生成部は、所定の拡散符号を用いて前記符号化信号を拡散符号化するスペクトラム拡散により前記多周波利用変調方式での一次変調を行い、当該一次変調した信号で所定の搬送波を変調させる二次変調を行って前記送信信号を生成し、
    前記信号捕捉検出部は、前記受信信号に対して前記二次変調に対応する復調を行った信号に対して、前記拡散符号を用いて逆拡散復号することで、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調の試行を行う、
    請求項1又は2に記載のレール破断検知装置。
  4. 前記信号生成部は、前記符号化信号をサブキャリア数分のパラレル信号に変換した上でサブキャリア変調および逆フーリエ変換を行って各信号を合成するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)により前記多周波利用変調方式での一次変調を行い、当該一次変調した信号で所定の搬送波を変調させる二次変調を行って前記送信信号を生成し、
    前記信号捕捉検出部は、前記受信信号に対して前記二次変調に対応する復調を行った信号に対して、フーリエ変換およびサブキャリア復調を行って得られるサブキャリア数分のパラレル信号をシリアル信号に変換することで、前記多周波利用変調方式に対応する復調方式による復調の試行を行う、
    請求項1又は2に記載のレール破断検知装置。
  5. 列車が走行する軌道を区切った各区間を順次切り替えて選択することで、当該区間の前記一方レールに定められた前記信号入力点および前記信号出力点を選択する切替制御部と、
    前記信号生成部から出力された前記送信信号を、前記切替制御部によって選択された信号入力点に出力させる送信切替部と、
    前記切替制御部によって選択された信号出力点から入力された信号を前記受信信号として前記信号捕捉検出部に出力する受信切替部と、
    を更に備え、
    前記破断判定部は、前記信号捕捉検出部の検出結果、および、前記切替制御部によって選択された区間に基づいて、区間毎の前記一方レールのレール破断を判定する、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のレール破断検知装置。
  6. 前記信号生成部は、前記変調を行って周波数の異なる複数の前記送信信号を生成し、列車が走行する軌道を区切った各区間のうち、隣接する区間で周波数が異なるように各区間の前記一方レールに定められた前記信号入力点に当該送信信号を出力し、
    前記信号捕捉検出部は、各区間の前記一方レールに定められた前記信号出力点から入力した前記受信信号それぞれに対して前記復調を試行し、当該受信信号を前記符号化信号に復号可能な状態に達する以前の、所定の復調成功条件に達した時点で、信号捕捉に成功したことを区間毎に検出し、
    前記破断判定部は、前記信号捕捉検出部の検出結果に基づいて、区間毎の前記一方レールのレール破断を判定する、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のレール破断検知装置。
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