JP7094629B2 - ベルト式の無段変速機 - Google Patents
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Description
特許文献1には、遠心油圧キャンセル室を設けて、プーリ油室に発生する遠心油圧を、遠心油圧キャンセル室に発生する遠心油圧でキャンセルすることが開示されている。
軸内油路には、他の油圧機器からリークした油が供給される。そのため、リークした油の量が少ない場合には、遠心油圧キャンセル室へ供給する油量が不足することがある。
軸内油路が設けられたプーリ軸を有する固定プーリと、
前記プーリ軸に外挿されて回転軸方向に移動可能に設けられた可動プーリと、
前記可動プーリのシーブ面の裏面に設けられた受圧面を含む受圧室と、
前記受圧室に隣接する遠心油圧キャンセル室と、を有し、
前記軸内油路を介して前記受圧室に供給されるオイルの供給圧で、前記可動プーリを前記回転軸方向に移動させるように構成されたベルト式の無段変速機において、
前記遠心油圧キャンセル室に連絡する第1油路と、前記軸内油路に連絡する第2油路とを、前記プーリ軸における前記可動プーリが移動する領域の外周に開口させ、
前記回転軸方向に移動する前記可動プーリにより、前記第1油路と前記第2油路との連通/遮断が切り替えられるようにした。
図1は、ベルト式の無段変速機1のバリエータ2周りを説明する図である。
図2は、変速比が最Lowである場合を説明する図である。図2の(a)は、変速比が最Lowである場合における可動プーリ42の配置を説明する図である。図2の(b)は、(a)におけるA-A断面図である。
図3は、変速比がLowである場合におけるオイルOLの流れを説明する図である。図3の(a)は、油室R2と遠心油圧キャンセル室R3に供給されるオイルOLの流れを説明する図である。図3の(b)は、図3の(a)におけるA-A断面図である。図3の(c)は、図3の(a)におけるB-B断面図である。
図4は、変速比が最Highである場合を説明する図である。図4の(a)は、変速比がHighである場合における可動プーリ42の配置を説明する図である。図4の(b)は、図4の(a)におけるA-A断面図である。図4の(c)は、図4の(a)におけるB-B断面図である。
固定プーリ31は、回転軸X1に沿って配置された軸部311と、軸部311の外周から径方向外側に延びるシーブ部312とを、有している。
可動プーリ32は、固定プーリ31との相対回転が規制された状態で、軸部311の軸方向(回転軸X1方向)に移動可能に設けられている。
プライマリプーリ3では、固定プーリ31のシーブ面312aと、可動プーリ32のシーブ面322aの間に、ベルト5が巻き掛けられるV溝33が形成されている。
固定プーリ41は、回転軸X2に沿って配置された軸部411(プーリ軸)と、軸部411の外周から径方向外側に延びるシーブ部412とを、有している。
可動プーリ42は、固定プーリ41の軸部411に外挿された環状基部421と、環状基部421の外周から径方向外側に延びるシーブ部422と、を有している。
ここで、図2の(b)に示すように、固定プーリ41の軸部411の外周と、可動プーリ42の環状基部421の内周における互いに対向する部位には、回転軸X2に沿う溝419、429が設けられている。可動プーリ42と固定プーリ41との回転軸X2回りの相対回転の規制は、軸部411側の溝419と、環状基部421側の溝429とに跨がって設けられたボールBaにより成されている。
セカンダリプーリ4では、固定プーリ41のシーブ面412aと、可動プーリ42のシーブ面422aとの間に、ベルト5が巻き掛けられるV溝43が形成されている。
回転軸X2方向における軸部411の他方の端部411bは、ベアリング45を介して、変速機ケース10側の支持部112で回転可能に支持されている。
回転軸X2方向における軸部411の一方の端部411aは、ベアリング44を介して、サイドカバー13側の支持部132で回転可能に支持されている。
支持筒172には、円筒状のブッシュ173の一端側が内嵌しており、ブッシュ173の他端側は、軸内油路413に内嵌している。この状態おいて、軸部411とブッシュ173とは相対回転可能である。
本実施形態では、可動プーリ42の作動用の油圧が、軸内油路413に供給されたのち、油孔414を通って軸部411の外径側に位置する油室R2に供給される。
バランスシールド47は、シーブ部422から離れる方向(図中、右方向)への移動が、スナップリング465により規制されている。
プランジャ48の外周部48aには、シールリングSが外嵌しており、プランジャ48の外周部48aは、筒状部材46の内周にシールリングSを接触させている。
本実施形態では、この空間Rが、プランジャ48により、回転軸X2方向で隣接する2つの空間(油室R2、遠心油圧キャンセル室R3)に区画されている。
この油孔417は、後記する第1油路416および第2油路415を介して、軸内油路413に連絡可能となっている。
遠心油圧キャンセル室R3は、嵌合部481の油孔486と、軸部411の油孔417と、第1油路416と第2油路415を介して、軸内油路413に連絡可能となっている。
第2油路415は、軸内油路413から回転軸X2の径方向外側に向けて直線状に延びており、回転軸X2周りの周方向に120°間隔で3つ設けられている。
第2油路415は、軸内油路413と軸部411の外周411dとを連通させている。
軸内油路413から第2油路415を通って、軸部411の外周411d側に排出されたオイルOLが、第1油路416に流入できるようになっている。
よって、第2油路415から排出された後に第1油路416に流入したオイルOLは、油孔417と油孔486を通って、前記した遠心油圧キャンセル室R3に流入する。
回転軸X2方向に移動する環状基部421により、軸部411の外周411dにおける第2油路415と第1油路416の開口を開閉できるようにするためである。
第1基部421aと第2基部421bは、回転軸X2方向で連なっており、第1基部421aのほうが、第2基部421bよりもシーブ部422側(図3の(a)における左側)に位置している。
この最Lowの状態では、軸部411の外周411dと環状基部421の内周との間に隙間CLが形成されており、第2油路415から軸部411の外周411d側に排出されたオイルOLが、第1油路416に流入できるようになる。
さらに、最Lowの状態では、油孔414の外径側に環状基部421が位置していないので、軸内油路413に供給される作動用のオイルOLが、油孔414から可動プーリ42の油室R2に供給される。
この最Highの状態では、軸部411の外周411dにおける第2油路415と重なる領域に、第1基部421aの内周が隙間なく接している。そのため、軸内油路413に供給された作動用のオイルOLは、第2油路415を通って第1油路416に流入できない。
図1に示すように、無段変速機1では、オイルポンプOPが駆動されると、オイルパン60内のオイルOLがオイルストレーナ63を介してオイルポンプOPに吸引される。
オイルポンプOPは、吸引したオイルOLを加圧したのち、オイルOLを、油圧制御回路62に供給する。
そして、軸内油路413に供給されたオイルOLは、油孔414を通って、油室R2に供給される。
これにより、油室R2に供給されたオイルOLが、可動プーリ42の作動圧として機能して、セカンダリプーリ4におけるV溝43の溝幅が、所望の変速を実現するための所定幅に調整される。
そして、変速比に応じて回転軸X2方向に移動する可動プーリ42の位置に応じて、遠心油圧キャンセル室R3へのオイルOLの供給/非供給や、オイルOLを供給する場合の供給量が調整される。
前記したように、変速比が最Highの時には、遠心油圧キャンセル室R3に作動用のオイルOLは供給されないが、変速比が最Highから最Low側に向かうにつれて、遠心油圧キャンセル室R3に供給されるオイルOLの量が増加する。
よって、遠心油圧をキャンセルできないために、プーリの推力が余分に高まって、ベルトに対する挟持力が過大となる事態の発生を好適に防止できる。
(1)無段変速機1は、
軸内油路413が設けられた軸部411(プーリ軸)を有する固定プーリ41と、
軸部411に外挿されて回転軸X2方向に移動可能に設けられた可動プーリ42と、
可動プーリ42のシーブ面422aの裏面に設けられた裏面422b(受圧面)を含む油室R2(受圧室)と、
油室R2に隣接する遠心油圧キャンセル室R3と、を有する。
無段変速機1では、軸内油路413を介して油室R2に供給されるオイルOLの供給圧で、可動プーリ42を回転軸X1方向に移動させるように構成されている。
軸内油路413に供給されるオイルOLの一部が、遠心油圧キャンセル室R3に供給可能とされている。
(2)遠心油圧キャンセル室R3に連絡する第1油路416と、軸内油路413に連絡する第2油路415とが、軸部411における可動プーリ42が移動する領域の外周に開口している。
回転軸X2方向に移動する可動プーリ42により、第1油路416と第2油路415との連通/遮断が切り替えられる。
軸内油路413に供給されるオイルOLは、油圧制御回路62から供給される作動用のオイルOLである。よって、リーク油のように供給が不足することないので、遠心油圧キャンセル室R3にオイルOLを適切に供給でき、ベルト5に対する挟持力が過大となることを防止できる。
(3)固定プーリ41と可動プーリ42は、無段変速機1が備える一対のプーリ(プライマリプーリ3、セカンダリプーリ4)のうちのセカンダリプーリ4(従動側のプーリ)を構成する。
可動プーリ42のシーブ面422aと、固定プーリ41のシーブ面412aとが、回転軸X1方向で所定距離以上離間すると、軸部411の外周における第2油路415の開口が、可動プーリ42により塞がれるように設定されている。
変速比をHighからLowに変化させる際には油室R2(受圧室)に供給されるオイルOLの供給圧を高めて、V溝43の溝幅を狭くする方向に可動プーリ42を移動させる。
この際に、軸内油路413を介して供給されるオイルOLの一部が、遠心油圧キャンセル室R3にも供給されると、油室R2内のオイルOLの圧力と、遠心油圧キャンセル室R3内のオイルOLの圧力とが略同じになる結果、V溝43の溝幅を狭くする方向への可動プーリ42の移動が阻害される。
かかる場合、Low側への変速が遅れてしまう。
上記のように構成すると、可動プーリ42のシーブ面422aと固定プーリ41のシーブ面412aとが回転軸X2方向で所定距離以上離間して、変速比が閾値の変速比よりもHigh側になった場合に、遠心油圧キャンセル室R3へのオイルOLの供給を止めることができる。
よって、この状態で、変速比をLow側に変化させようとすると、V溝43の溝幅を狭くする方向への可動プーリ42の移動が、遠心油圧キャンセル室R3内のオイルOLにより阻害されないので、Low側への変速をスムーズに行うことができる。
(4)可動プーリ42は、軸部411に外挿される環状基部421を有しており、
環状基部421では、軸部411の外径と整合する内径の第1基部421aと、軸部411の外径よりも大きい内径の第2基部421bとが、回転軸X2方向で隣接している。
第1基部421aが、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口に重なる位置に配置されると、第1油路416と第2油路415との連通が遮断される。
第2基部421bが、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口に重なる位置に配置されると、第1油路416と第2油路415とが連通する。
遠心油圧キャンセル室R3へのオイルOLの供給/非供給の切替のために、別途部品を用意することや弁体などを用意する必要がないので、より安価な構成で、遠心油圧キャンセル室R3へのオイルの供給/非供給の切替を行うことができる。
図5は、変速比が最Lowである場合を説明する図である。
図5の(a)は、変速比が最Lowである場合における可動プーリ42の配置を説明する図である。図5の(b)は、(a)におけるA-A断面図である。図5の(c)は、(a)におけるB-B断面図である。
図6は、変速比が最Highである場合を説明する図である。
図6の(a)は、変速比が最Highである場合における可動プーリ42の配置を説明する図である。図6の(b)は、(a)におけるA-A断面図である。図6の(c)は、(a)におけるB-B断面図である。
第2油路415は、軸内油路413から回転軸X2の径方向外側に向けて直線状に延びており、回転軸X2周りの周方向に120°間隔で3つ設けられている。
第2油路415は、軸内油路413と軸部411の外周411dとを連通させている。
軸内油路413から第2油路415を通って、軸部411の外周411d側に排出されたオイルOLが、第1油路416に流入できるようになっている。
回転軸X2方向に移動する環状基部421により、軸部411の外周411dにおける第2油路415と第1油路416の開口を開閉できるようにするためである。
凹部423は、回転軸X2周りの周方向の全周に亘って設けられており、回転軸X2方向に所定長さLxで設けられている。
(a)バリエータ2での変速比が小さい最Lowの時に、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口および第1油路416の開口と、油孔414の開口が、環状基部421と重なる位置に配置されない。
(b)バリエータ2での変速比が大きい最Highの時に、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口および第1油路416の開口が、環状基部421と重なる位置に配置される。
(c)バリエータ2での変速比が大きい最Highの時に、油孔414の開口が、環状基部421の凹部423と重なる位置に配置される。
さらに、最Lowの状態では、油孔414の外径側に環状基部421が位置していないので、軸内油路413に供給される作動用のオイルOLが、可動プーリ42の油室R2に供給される。
この最Highの状態では、軸部411の外周411dの第2油路415および第1油路416が開口する領域に、環状基部421の内周が隙間なく接している。そのため、軸内油路413に供給された作動用のオイルOLは、第2油路415を通って第1油路416に流入できない。
そのため、軸内油路413に供給された作動用のオイルOLは、油孔414と、凹部423と、油孔424とを通って、セカンダリプーリ4の油室R2に供給される。
(5)可動プーリ42は、軸部411(プーリ軸)に外挿される環状基部421を有しており、
環状基部421が、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口に重なる位置に配置されると、第1油路416と第2油路415との連通が遮断される。
環状基部421が、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口から外れた位置に配置されると、第1油路416と第2油路415とが連通する。
(6)環状基部421の内周には、回転軸X2方向における途中位置に、凹部423が設けられている。
バリエータ2での変速比が大きい最Highの時に、油孔414の開口が、環状基部421の凹部423と重なる位置に配置される。
バリエータ2での変速比が大きい最Highの時に、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口および第1油路416の開口が、環状基部421と重なる位置に配置される。
環状基部421における凹部423の領域には、環状基部421の外周を凹部423とを連通させる油孔424が設けられている。
バリエータ2での変速比が小さい最Lowの時に、軸部411の外周411dにおける第2油路415の開口および第1油路416の開口と、油孔414の開口が、環状基部421と、回転軸X2方向で離れた位置に配置される。
2 バリエータ
3 プライマリプーリ
31 固定プーリ
32 可動プーリ
33 V溝
4 セカンダリプーリ
41 固定プーリ
411 軸部
411d 外周
412 シーブ部
412a シーブ面
413 軸内油路
414 油孔
415 第2油路
416 第1油路
417 油孔
419 溝
42 可動プーリ
421 環状基部
421a 第1基部
421b 第2基部
421c 端部
422 シーブ部
422a シーブ面
422b 裏面
423 凹部
424 油孔
429 溝
43 V溝
5 ベルト
46 筒状部材
47 バランスシールド
48 プランジャ
481 嵌合部
486 油孔
62 油圧制御回路
Ba ボール
CL 隙間
OL オイル
R1 油室
R2 油室
R3 遠心油圧キャンセル室
S シールリング
X1 回転軸
X2 回転軸
Claims (4)
- 軸内油路が設けられたプーリ軸を有する固定プーリと、
前記プーリ軸に外挿されて回転軸方向に移動可能に設けられた可動プーリと、
前記可動プーリのシーブ面の裏面に設けられた受圧面を含む受圧室と、
前記受圧室に隣接する遠心油圧キャンセル室と、を有し、
前記軸内油路を介して前記受圧室に供給されるオイルの供給圧で、前記可動プーリを前記回転軸方向に移動させるように構成されたベルト式の無段変速機において、
前記遠心油圧キャンセル室に連絡する第1油路と、前記軸内油路に連絡する第2油路とを、前記プーリ軸における前記可動プーリが移動する領域の外周に開口させ、
前記回転軸方向に移動する前記可動プーリにより、前記第1油路と前記第2油路との連通/遮断が切り替えられるようにしたことを特徴とするベルト式の無段変速機。 - 前記固定プーリと前記可動プーリは、無段変速機が備える一対のプーリのうちの従動側のプーリを構成しており、
前記可動プーリのシーブ面と、前記固定プーリのシーブ面とが、前記回転軸方向で所距離以上離間すると、前記プーリ軸の外周における前記第2油路の開口が、前記可動プーリにより塞がれるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式の無段変速機。 - 前記可動プーリは、前記プーリ軸に外挿される環状基部を有しており、
前記環状基部では、前記プーリ軸の外径と整合する内径の第1基部と、前記プーリ軸の外径よりも大きい内径の第2基部とが、前記回転軸方向で隣接しており、
前記第1基部が、前記プーリ軸の外周における前記第2油路の開口に重なる位置に配置されると、前記第1油路と前記第2油路との連通が遮断され、
前記第2基部が、前記プーリ軸の外周における前記第2油路の開口に重なる位置に配置されると、前記第1油路と前記第2油路とが連通することを特徴とする請求項2に記載のベルト式の無段変速機。 - 前記可動プーリは、前記プーリ軸に外挿される環状基部を有しており、
前記環状基部が、前記プーリ軸の外周における前記第2油路の開口に重なる位置に配置されると、前記第1油路と前記第2油路との連通が遮断され、
前記環状基部が、前記プーリ軸の外周における前記第2油路の開口から外れた位置に配置されると、前記第1油路と前記第1油路と前記第2油路とが連通することを特徴とする請求項2に記載のベルト式の無段変速機。
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