JP7092242B2 - ロール製品の輸送方法及びラック - Google Patents

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Description

本発明は、輸送方法及びラックに関し、特に、棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を輸送するための輸送方法及びロール製品を積載するためのラックに関する。
特許文献1には、ロール状物品を積載するためのラックが開示されている。また、特許文献2には、棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれたシート状物品とを含むロール製品を積載するためのラックが開示されている。
特表2003-526579号公報 特開2005-335747号公報
ここで、棒状円筒部材に巻かれるシート状物品が光学フィルムである場合、光学フィルムは通常薄膜であり傷つきやすい。光学フィルムに擦り傷が生じると、光学フィルムの光学特性が損なわれることとなる。しかしながら、従来のラックに、光学フィルムを含むロール製品を積載して目的地へ搬送すると、搬送中に起きる振動等に起因して、光学フィルムには擦り傷が生じるという課題がある。特に、ロール製品の軸方向中央部において重力方向上部の位置で前記の傷が生じやすかった。
したがって、光学フィルムに可能な限り擦り傷が生じないようにそのロール製品を搬送するための搬送方法及び光学フィルムのロール製品を積載するためのラックが求められている。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学フィルムに擦り傷が発生することを抑制することができるロール製品の搬送方法;及び当該ロール製品を積載するためのラックを提供することにある。
上述した課題は、以下に例示される発明によって解決される。
〔1〕 棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を輸送するための輸送方法であって、
前記ロール製品を、前記棒状円筒部材にかかる加速度が3G未満であるように保持した状態で輸送する、
輸送方法。
〔2〕 棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を輸送するための輸送方法であって、
前記ロール製品を、前記棒状円筒部材にかかる3G以上の加速度を3G未満にまで低減可能なラックを用いて輸送する、
輸送方法。
〔3〕 棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を積載するためのラックであって、
前記ロール製品の軸方向両端側において立設する少なくとも一対の支持枠体であって、前記棒状円筒部材を受けるための円筒部材受け部を有する少なくとも一対の支持枠体と、
前記棒状円筒部材にかかる加速度を低減する加速度低減部と
を備える、
ラック。
〔4〕 前記加速度低減部は、
前記一対の支持枠体に架け渡されて当該一対の支持枠体間の距離を狭める方向に付勢する付勢部、及び、前記一対の支持枠体間の距離が狭まる方向に各支持枠体が傾くことを規制する規制部材のうちの一方又は双方
を含む、
〔3〕に記載のラック。
〔5〕 前記加速度低減部は、
前記一対の支持枠体から内側に向かって突出する一対の突出部材であって前記ロール製品の側面を支持する支持面を有する一対の突出部材
を含む、
〔3〕又は〔4〕に記載のラック。
〔6〕 前記加速度低減部は、
前記棒状円筒部材と前記受け部との当接位置において前記円筒部材受け部の表面上に設けられた防振性を有する緩衝部材
を含む、
〔3〕~〔5〕のいずれか一項に記載のラック。
本発明によれば、光学フィルムに擦り傷が発生することを抑制することができるロール製品の搬送方法;及び当該ロール製品を積載するためのラックを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るラックの構成を示す正面図である。 図2は、図1のラック100の側面図である。 図3は、図2におけるパネル11の構成を示す部分拡大斜視図である。
以下、本発明について一実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す一実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るラックの構成を示す正面図であり、また、図2は、図1のラック100の側面図である。
図1及び図2に示すラック100は、棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を積載するためのラックである。図1及び図2において、ロール製品は二点鎖線で表されており、符号20はロール製品を、符号22は棒状円筒部材を、符号21は光学フィルムを表している。便宜上、棒状円筒部材22の軸方向及びラック100の長手方向を「X軸方向」、棒状円筒部材22の軸方向に垂直な方向であってラック100の底面に平行な方向及びラック100の短手方向を「Y軸方向」、X軸方向及びY軸方向の双方に垂直な方向を「Z軸方向」とも称する。
ラック100は、基本的には金属製、例えばスチール製であり、当該ラック100の底部にあるパレット4と、パレット4から上方に向かって立設する一対の支持枠体12,12と、ラック100の側面上部において一対の支持枠体12,12を連結する連結ロッド60,60と、一対の支持枠体12,12に架け渡された付勢部70とを備える。ロール製品20は、パレット4の上面と、一対の支持枠体12,12と、連結ロッド60,60とに囲まれる収容空間に積載される。
パレット4は、上記収容空間の底板8を含む中空の直方体をなしており、ラック100にかかる荷重をうける土台として機能する。パレット4には、複数のリフト用凹部6が形成されており、ラック100の正面、背面、又は側方からフォークリフトの爪部を差し込むことが可能となっている。
また、パレット4の4つの角部には、コーナー金具50が設置されている。各コーナー金具50は、底板8の上面よりもZ軸方向上方に突出する側壁を有しており、これにより、パレット4から立設する支持枠体12が外側への移動するのを制限する。さらに、各コーナー金具50の側壁が底板8の上面よりもZ軸方向上方に突出しているので、底板8の上方の空間を2つの支持枠体12,12を保管する空間として確保することができ、加えて、4つのコーナー金具50の側壁の上に、他のラックを積み重ねることができる。また、各コーナー金具50のパレット4の正面側(又は背面側)の側面には、連結ロッド60の端部に設けられた爪部を受けるためのロッド受け部52aが設けられている。一対のロッド受け部52a,52aに連結ロッド60の両端部に設けられた爪部を係止することにより、連結ロッド60を保管することができる。
各支持枠体12は、パレット4から立設可能な一対の支柱10,10と、一対の支柱10,10を連結するパネル11と、パネル11の側面上において一対の支柱10,10を連結して支持枠体12の剛性を高める補強用棒材16とを備える。パネル11を薄肉の材料で形成することでラック100の軽量化を図ることができる。補強用棒材16の上面の中央部にはストッパ部材18が固定されている。パネル11及びストッパ部材18の構造及び機能等については図3を用いて後述する。
支柱10は、その下端部がパレット4の底板8の4隅に形成されている差込孔に差し込み可能に形成されている。そして、支柱10の下端部が差込孔に差し込まれることで、支持枠体12は、ロール製品20の棒状円筒部材22の軸方向端部側においてパレット4から上方に向かって立設できるようになっている。また、支柱10の上部側面には、連結ロッド60の端部に設けられた爪部を受けるためのロッド受け部62が設けられている。
各連結ロッド60は、両端に爪部が形成された棒状部材である。連結ロッド60の両端にある爪部が一対の支持枠体12,12のロッド受け部62,62に係止されることで、一対の支持枠体12,12が互いに連結される。この連結を行うことにより、ラック100の剛性を高めることができるとともに、ロール製品20がラック100から脱落するのを防止することができる。
付勢部70は、締め上げ可能なバンドで構成されており、具体的には、一対の支持枠体12,12の外周に沿って架け渡されたバンド71と、バンド71の長さを固定するためのバックル72とを備える。バンド71を一対の支持枠体12,12の外周に沿って架け渡した後、きつく締め上げた状態とし、バックル72を用いてバンド71の長さを固定する。これにより、付勢部70は、一対の支持枠体12,12間の距離を狭める方向に付勢し、その結果、ラック100の剛性等を高めることができる。付勢部70としては、たとえば市販のエステルバンド(例えば、大日製罐社製の商品名「SV196」)又は市販のラッシングベルト(例えば、テザック社製の商品名「テザックラッシングベルト」)を用いることができる。
続いて、パネル11の構成を、図3を用いて説明する。図3は、図2におけるパネル11の構成を示す部分拡大斜視図である。図3には、2つのパネル11のうちの一方が示されているが、もう一方のパネル11も同じ構造を有する。図3において長尺の部材は、一部断面又は一部切欠きで表現されている。
図3に示されるように、パネル11は、薄肉の板状部材11aと、板状部材11aの上端縁部において一端で回動可能に固定された開閉部材34と、開閉部材34を係止するための止め金具39と、開閉部材34の側面及び下面に固定された押さえ部材40と、開閉部材34の上面に着脱可能に固定された当て板部80とを備える。
板状部材11aは、図2に示すように両端が支柱10,10に固定されている。図3に示すように、板状部材11aは、支柱10,10間の中央位置において上方に開口する略V字形の受け溝14aを画成する円筒部材受け部14と、板状部材11aの上端縁において円筒部材受け部14の両端側に設けられた断面コ字形のフランジ部30a,30bとを含む。受け溝14aの大きさは、棒状円筒部材22の端部をある程度のクリアランスをもって収容可能な大きさである。フランジ部30aは、受け溝14aの開口部において、開閉部材34の一端を回動可能に支持する回動軸34aを備える。
円筒部材受け部14は、その上端縁において側面視略V字形のフランジ部30cを含む。フランジ部30cは、フランジ部30a,30bと同じ厚みを有しており、フランジ部30a,30bに連結されている。
また、円筒部材受け部14は、フランジ部30cの受け溝14aに面する側面の上に配置された、防振性を有する緩衝部材90を含む。緩衝部材90は、円筒部材受け部14の受け溝14aに棒状円筒部材22の端部が収容されたときに、棒状円筒部材22と円筒部材受け部14との当接位置に少なくとも配設され、フランジ部30cの側面全面にわたって配設されていてもよい。緩衝部材90は、防振性を有する材料で形成されており、例えば、防振ゴムで形成されている。防振ゴムとしては、倉敷化工社製の商品名「はねんで」、ヤクモ社製の防振パッド「YTタイプ」又はNOK社製の防振パッド等を用いることができる。
ここで、「防振性」とは、ラック100の支持構造に生じた振動を、積載対象であるロール製品20に伝播させないか又は伝播させにくい性質(振動絶縁性)をいう。防振性は、一般的な振動試験、例えばASTM D 4169「ランダム振動試験(トラック、保証レベル-III)」に準拠した振動試験、又は、一般的な振動試験よりも過酷な条件の振動試験によって評価することができる。振動試験の一例を挙げると、ロール製品20を積載したラック100に対して、市販のランダム振動試験機を用いて、3Gを超える最大加速度の振動、例えば最大加速度4Gの振動を、所定時間、例えばX軸方向に1時間、Y軸方向に1時間、及びZ軸方向に1時間の合計3時間にわたって、所定のパワースペクトル密度、例えば0.5G2/Hzで、付与(加振)し、市販の加速度センサを用いて、所望の部材、例えばロール製品20の棒状円筒部材22にかかる最大加速度の軸方向成分(すなわちX軸方向成分)を測定する。ここで、「最大加速度」とは、ランダム振動試験機によって発生させる加振方向のうちの一方向(プラス方向)への加速度の最大値及びもう一方の方向(マイナス方向)への加速度の最大値のうち値が大きい方の加速度をいう。防振性を有する材料とは、3G以上の振動、例えばランダム振動試験による振動の加速度4.0Gを、好ましくは3.0G未満、より好ましくは、2.0G未満、さらに好ましくは、1.0G未満にまで低減することができる材料をいう。防振性を有する材料は、通常、Y軸方向への加振によって生じるX軸方向成分の振動の加速度及びZ軸方向への加振によって生じるX軸方向成分の振動の加速度が、いずれも、X軸方向への加振によって生じるX軸方向成分の振動の加速度よりも大きくならない材料である。
開閉部材34は、フランジ部30aとフランジ部30bの間に架け渡すことが可能な長さを有する棒状部材であり、これにより、受け溝14aの開口を閉じることが可能となっている。また、開閉部材34は、回動軸34aの端部とは反対側の端部側面に固定された止め金具受け部38を備える。止め金具受け部38に止め金具39が係止することで、開閉部材34の回動が規制されて、受け溝14aの開口が閉じられる。また、開閉部材34は、その上部に固定された例えば3本のスレッドボルト36を備える。スレッドボルト36は、開閉部材34の上面から突出するねじ山部を含み、これにより、当て板部80を開閉部材34に固定することができるようになっている。
押さえ部材40は、下部に、防振性を有する緩衝部材92を含む。緩衝部材92は、円筒部材受け部14の受け溝14aに棒状円筒部材22の端部が収容されたときに、押さえ部材40と棒状円筒部材22との当接位置に配設される。したがって、受け溝14aに棒状円筒部材22の端部が収容された後、開閉部材34によって受け溝14aの開口が閉じられると、棒状円筒部材22の端部は、緩衝部材90と緩衝部材92を介して支持枠体12によって支持されることとなる。したがって、緩衝部材92は、緩衝部材90と同様に、防振性を有する材料で形成されていることが好ましい。一方で、緩衝部材92は、棒状円筒部材22の自重がかかる方向の下方に配される部材ではないので、緩衝部材90とは異なる材料を用いて形成してもよい。
当て板部80は、ロール製品20の側面を支持する支持面を有する当て板81と、当て板81の支持面とは反対側の背面から垂直に立設するベースプレート82と、スレッドボルト36のねじ山部と螺合する例えば3個のナット85とを備える。ベースプレート82には、当て板81と垂直な方向に延びる例えば3つの摺動穴82aが形成されている。摺動穴82aに、スレッドボルト36を通した後、ナット85を螺合することで、当て板部80を開閉部材34に固定することができるようになっている。また、摺動穴82aが当て板81と垂直な方向に延びているため、ロール製品20の側面の位置に合わせて当て板81の当接面を支持枠体12から内側に向かって(もう一方の支持枠体12に向かって)突出させ、その位置で当て板81を固定することができる。そして、2枚の当て板81,81の位置決めを行うことによって、ロール製品20の側面を挟持することができる。
また、図3に示すように、ベースプレート82は、押さえ部材40よりもZ軸方向上方に配置されているため、当て板81は、ロール製品20の側面においても棒状円筒部材22よりも上方にある側面と当接することとなる。ここで、ロール製品20は、通常、その自重のために、棒状円筒部材22よりも下方にある光学フィルム21同士の間にある空隙は維持されやすく、棒状円筒部材22よりも上方にある光学フィルム21同士の間にある空隙は押しつぶされやすい傾向にある。そのため、2枚の当て板81,81でロール製品20の側面上部を保持することによって光学フィルム21同士の間にある空隙が押しつぶされにくくして維持することができる。そして、光学フィルム21同士の間にある空隙を確保することにより、光学フィルム21同士が接触して擦り傷が発生する可能性を低くすることができ、また、擦り傷が発生したとしてもその擦り傷が拡大する可能性を低くすることができる。さらに、2枚の当て板81,81でロール製品20の側面上部を保持することによって、支持枠体12は、円筒部材受け部14を介して、かつ、当て板81,81を介して、ロール製品20の荷重を受けることができるようになるため、支持枠体12がなす支持構造を介して棒状円筒部材22の軸方向(X軸方向)に伝播する加速度を分散させることができる。
補強用棒材16に固定されているストッパ部材18は、フランジ部30cの下部側方及び下方においてクリアランスを持ってフランジ部30cの下部を覆うように配置されておいる。さらに、ストッパ部材18は、フランジ部30cの下方において、板状部材11aの側面に溶接等により固定されるフランジ部を有する。ストッパ部材18は、受け溝14aに棒状円筒部材22の端部が収容されたときに鉛直方向下方に向かう応力を受けた円筒部材受け部14と接触して荷重を受けることができるようになっている。また、ストッパ部材18は、受け溝14aに収容された棒状円筒部材22の端部が振動等に起因して軸方向に移動するのを制限する当て板としても機能する。したがって、ストッパ部材18の内周面に緩衝部材を配設してもよい。
続いて、上述したようにして構成されたラック100の使用方法、及びラック100を用いたロール製品20の搬送について説明する。
まず、ラック100の組立てを行う。具体的には、パレット4の底板8の上面に収納されている2つの支持枠体12,12を取り出し、パレット4に支持枠体12の支柱10を差し込むことにより、支持枠体12をパレット4から立設させる。開閉部材34は、止め金具39によるロックを解除することにより、受け溝14aの開口を開放可能な状態にする。続いて、パレット4の側方に保管されていた連結ロッド60を取り外して、一対の支持枠体12,12に架け渡すことにより、ロール製品20の収容空間を画成するとともに、ラック100の剛性を確保する。
続いて、ラック100にロール製品20を積載する。ここで、ロール製品20について説明する。ロール製品20は、例えば5200mにも及ぶ長尺の光学フィルム21を巻き取った重量物であり、例えば400kgである。ロール製品20の棒状円筒部材22は、例えばSUS製の略円筒形状をなす中空円筒部材であり、光学フィルム21を巻き取る際に用いられた巻芯であり、光学フィルム21の幅、例えば1330mmよりも長い棒状部材である。棒状円筒部材22は、完全な円筒形である必要はなく、必要に応じて、側面加工により周方向に沿う凹部又は凸部が設けられていてもよい。さらには、棒状円筒部材22は、その両端部において、周方向に沿って滑り止め部材又は滑り止め加工がなされていることが好ましい。光学フィルム21は、光学特性を持たせたフィルムであり、例えばシクロオレフィン樹脂で形成されたフィルムである。光学フィルム21は、例えば、その幅方向両端部にナール構造(ナーリング)が設けられたものであってもよく、これにより、光学フィルム21の両端部に厚みを確保して、巻き取られた光学フィルム21同士の間に空隙を確保することができる。また、光学フィルム21は、1層のフィルムであってもよいし、多層のフィルムであってもよいし、表面加工(例えば易滑性層又は易接着層の形成)が施されたフィルムであってもよい。光学フィルム21の巻き取りに際し、光学フィルム21同士の接触を回避するために、光学フィルム21と別のフィルム(例えばマスキングフィルム)とを一緒に巻き取ってもよい。
上述のように重量物であって傷つきやすいロール製品20は、例えばリフト等によってラック100の上方からラック100の収容空間内へと運搬され、そして、一対の支持枠体12,12の受け溝14a,14aに棒状円筒部材22の両端部を収容する。このとき、緩衝部材90に棒状円筒部材22の端部が接触することとなる。続いて、開閉部材34を閉じ、止め金具39を用いてロックすることにより、開閉部材34の回動を阻止する。このとき、開閉部材34の下方にある緩衝部材92は、棒状円筒部材22の端部に接触して、押圧した状態となる。その結果、ロール製品20は、棒状円筒部材22の端部が緩衝部材90及び緩衝部材92で挟持された状態で固定される。
次に、付勢部70を用いてラック100の剛性をさらに高める。このために、付勢部70のバンド71は、一対の支持枠体12,12の外周に沿って架け渡され、締め上げられた状態でバックル72によって固定される。このとき、バンド71は、コーナー金具50の側壁にかからないように架け渡される。このようにしてバンド71で締め上げることにより、一対の支持枠体12,12はそれら間の距離が短くなる方向に付勢されることとなり、その結果、支持枠体12,12によって端部が固定されている棒状円筒部材22もその軸方向(X軸方向)に応力を受けた状態でロール製品20が保持される。
続けて、2つの当て板部80,80の位置決めを行う。具体的には、当て板81の突出位置をベースプレート82に形成されている摺動穴82aで調節し、当て板81がロール製品20の側面に当接したところで、ナット85をスタッドボルト36に螺合させ、ベースプレート82の開閉部材34の上面での摺動を阻止する。これにより、ロール製品20は、当て板部80によって側方から挟持された状態となる。
これにより、ラック100へのロール製品20の積載が完了する。必要に応じて、ロール製品20又はラック100をシートで覆うことにより、浮遊物等の付着を防止したり、光による劣化を防止したりしてもよい。
ラック100は、ロール製品20を積載した状態で、フォークリフト等によって搬送可能であり、そのまま、倉庫へ保管することも可能である。そして、ロール製品20は、その出荷に際しては、ラック100に積載された状態で、輸送体、例えばトラック、飛行機、又は船舶に積み込まれて、必要に応じて経由地を経て最終的に出荷先へ向けて輸送される。出荷先では、ラック100から、ロール製品20が取り外され、その後、ラック100は解体されて収納状態で保管される。
ここで、輸送中のラック100に加わる加速度について説明する。ラック100の輸送経路はさまざまであり、出荷元は、通常、輸送担当者にロール製品20が傷つきやすい製品である旨を伝えることはできても、出荷先までの輸送体及び輸送方法の全てを指定及び管理することはできず、そのため、ラック100にどれほどの振動が加わるのかを把握することができない。そこで、本発明者らは鋭意研究し、その結果、輸送期間、特にはトラックでの輸送期間には、平均的に3Gを超える加速度の振動がラックに加わる期間が含まれることが判明した。さらに、従来では、ラックにかかる加速度と、ラックに搭載された製品の加速度とを分けて検討することはなされていなかったが、本発明者の検討によれば、通常のラックにロール製品20を積載した場合、ラックに加わる加速度は、ロール製品20に加わる加速度に影響することが判明し、そして、光学フィルム21に擦り傷を発生させる可能性を低減するためには、ラック100に加わる加速度の大きさよりもむしろ、ラック100に積載されているロール製品20に加わる加速度の大きさを小さくすることが有効であるとの知見を得た。
そして、本発明の一実施形態に係るラック100は、上記知見に基づき、ロール製品20の棒状円筒部材22に加わる加速度を低減する加速度低減部を含むように構成されている。
上記加速度低減部の第1の具体例は、付勢部70である。付勢部70は、一対の支持枠体12,12に架け渡されて当該一対の支持枠体12,12間の距離を狭める方向に付勢する。これにより、ラック100の剛性及び耐震性を高め、一対の支持枠体12,12に支持された棒状円筒部材22に加わる加速度を低減することができる。特に、付勢部70は、ラック100が組み立て式である場合に有効である。上述した実施形態では、付勢部70のバンド71を一対の支持枠体12,12の外周に沿って架け渡しているが、これに代えて、2つの付勢部70を用意し、各付勢部70をX軸方向で隣り合う2つの支柱10,10に架け渡してもよい。また、一対の支持枠体12,12間の距離を狭める方向に付勢する観点からは、コーナー金具50の側壁内側と支柱10との間に弾性部材を配設してもよいし、連結ロッド60として、軸方向に収縮性を有する材料で形成した連結ロッド60を用いてもよい。
上記加速度低減部の第2の具体例は、一対の支持枠体12,12の双方に設けられた当て板部80である。各当て板部80の当て板81は、支持枠体12から内側(もう一方の支持枠体12)に向かって突出する突出部材であり、ロール製品20の側面を支持する支持面を有している。一対の当て板81,81により、ロール製品20の側面を側方から挟持するように支持することにより、一対の支持枠体12,12に支持された棒状円筒部材22に加わる加速度を分散させることができる。棒状円筒部材22に加わる加速度を分散させる観点からは、ロール製品20における光学フィルム21の幅方向寸法は大きすぎない方が好ましく、幅の上限は、例えば2300mmである。さらには、当て板部80は、先に述べたとおり、ロール製品20の光学フィルム21,21間の空隙が自重により又は振動により押しつぶされないように保持することができ、もって、光学フィルム21に擦り傷が発生する可能性を大幅に低減することができる。したがって、当て板部80は、光学フィルム21がナール構造を有するロール製品20に好適である。上述した実施形態では、ナット85でベースプレート82の摺動を阻止しているが、これに代えて、ベースプレート82の摺動を許容した状態とし、かつ、当て板81の背面と開閉部材34の側面の間にばね等の付勢部材を配置して当て板81を付勢してもよい。また、上述した実施形態では、当て板部80をロール製品20の側面上部を挟持するように設けているが、これに代えて又はこれに組み合わせて、当て板部80をロール製品20の側面下部、側面左部、又は側面右部を挟持するように設けてもよい。また、当て板部80は、上述した実施形態では、開閉部材34の上面に設けたが、これに限られることはなく、支持枠体12に設けられていればよい。
上記加速度低減部の第3の具体例は、緩衝部材90である。緩衝部材90は、棒状円筒部材22と円筒部材受け部14との当接位置において円筒部材受け部14の表面上に設けられており、また、先に述べたとおり、防振性を有する材料で形成されている。これにより、ラック100に加わった加速度を吸収又は緩和することで、棒状円筒部材22に加わる加速度を低減することができる。この効果を奏する観点からは、緩衝部材90は、必ずしも円筒部材受け部14の表面上に設けられている必要はなく、棒状円筒部材22と円筒部材受け部14との当接位置に配置されていればよく、例えば棒状円筒部材22の表面に設けられていてもよい。また、緩衝部材90の材料である防振性を有する材料は、通常、滑りにくい材質であるため、棒状円筒部材22がその軸方向(X軸方向)に移動することを阻止することができる。これにより、ラック100の振動により棒状円筒部材22が移動することを防止することができる。この効果を奏する観点からは、棒状円筒部材22の端部表面において周方向に沿って、滑り止め部材又は滑り止め加工が施されていることが好ましい。緩衝部材90による効果は、押さえ部材40の下部に緩衝部材92を配置することにより、及び、ストッパ部材18の内周面に緩衝部材を配置することにより、相加的に又は相乗的に奏することができる。
上記加速度低減部の第4の具体例は、一対の支持枠体12,12間の距離が狭まる方向に各支持枠体12が傾くことを規制する規制部材(図示せず)である。これにより、ラック100の剛性及び耐震性を高め、一対の支持枠体12,12に支持された棒状円筒部材22に加わる加速度を低減することができる。この第4の具体例に係る規制部材の一例は、火打ち部材である。火打ち部材は、例えば、支持枠体12の支柱10の下部側面と、パレット4の底板8の上面とを斜めに掛け渡されて双方に固定される補強部材であり、市販の火打ち金具を用いることができる。規制部材は、好ましくは、1本の支柱10につき、1つ設けられる。より好ましくは、規制部材は、その一端がピン結合により支持枠体12又はパレット4に固定されており、これにより、ラック100が組み立て式であっても、収納状態にあるときの省スペース化を図ることができる。したがって、規制部材は、ラック100が組み立て式である場合に有効である。この第4の具体例に係る規制部材は、ラック100が上述した第1の具体例に係る付勢部70に代えて備えるものであってもよいし、上述した第1の具体例に係る付勢部70とともに備えるものであってもよい。ラック100が、付勢部70と上記規制部材の双方を備えることで、ラック100の剛性及び耐震性をさらに高めることができる。
上述の第1ないし第4の具体例に係る加速度低減部は、いずれも、ラック100に加わる加速度が棒状円筒部材22の軸方向(X軸方向)に加わる加速度に影響しないようにすることを目的として設けられたものであるが、これに加えて、棒状円筒部材22のY軸方向又はZ軸方向に加わる加速度を考慮した別の加速度低減部を設けてもよい。
上述したように、本発明の一実施形態に係るラック100は、加速度低減部を含むように構成されているので、例えば、ラック100は、ラック100に加わる加速度が3Gを超えてもロール製品20の棒状円筒部材22に加わる加速度、特にはX軸方向に加わる加速度を例えば3G未満に低減することができる。そして、このようなラック100を用いることにより、ロール製品20の搬送中における光学フィルム21に擦り傷が発生する可能性を低減することができる。また、光学フィルム21に擦り傷が発生したとしてもその擦り傷が拡大することを抑制することができる。
上述した実施形態によれば、光学フィルム21に擦り傷が発生する可能性を低減することができるので、上述した実施形態に係るラック100は、光学フィルム21が特に傷がつきやすい光学フィルム及びロール製品20の輸送に好適である。特に傷がつきやすい光学フィルム21としては、表面粗さが小さい光学フィルム(表面粗さSRaが例えば15nm以下の光学フィルム)、摩擦係数が大きい光学フィルム(摩擦係数が例えば0.7以上の光学フィルム)、厚みが小さい光学フィルム(厚みが例えば40μm以下の光学フィルム)、幅方向寸法が大きい光学フィルム(幅方向寸法が例えば1000mm以上の光学フィルム)、粒子を分散させた光学フィルム、及び、材質の異なる界面を有する多層フィルムを挙げることができる。光学フィルム21に特に傷がつきやすいロール製品20としては、光学フィルムとマスキングフィルムとが一緒に巻き取られていないロール製品、光学フィルムの巻き取り長さが長いロール製品(光学フィルムの巻き取り長さが例えば5000m以上のロール製品)、光学フィルムの巻き取り回数が多いロール製品、ナール構造が幅方向両端部に形成されていない光学フィルムのロール製品、巻き取り時に一部に巻き取りシワが形成されてしまったロール製品、及び、帯電しやすく巻き取り時に浮遊物が付着しやすい光学フィルムのロール製品を挙げることができる。例えば、本実施形態は、表面粗さSRaの値が5nm~20nmの光学フィルムの輸送に好適である。光学フィルム21の表面粗さSRaを上限未満とすることで、フィルム同士が接触しやすくなることによる擦り傷の発生を抑制することができる。ここで、光学フィルムの表面粗さSRaは、市販の表面粗さ測定機、例えば小坂研究所社製の表面粗さ測定機「Surfcorder ET4000AK」を用いて、触針荷重50μN、測定長1mm四方、カットオフ0.8mmの条件で測定することができる。光学フィルムの摩擦係数は、市販の測定機、例えば東洋精機製作所社製の「TD-2」を用いて測定することができる。光学フィルムの厚みは、市販の測定器、例えばフィルムメトリクス社製の「F20-NIR」を用いて測定することができる。
また、上述した実施形態によれば、ラック100を用いてロール製品20を輸送することで、光学フィルム21に擦り傷が発生する可能性を低減することができる理由は、ロール製品20の棒状円筒部材22に加わる加速度、特にはX軸方向に加わる加速度を例えば3G未満に低減することにあるといえる。したがって、ラック100を用いない場合であっても、輸送中におけるロール製品20の棒状円筒部材22に加わる加速度、特にはX軸方向に加わる加速度が3G以上とならないように、つまり3G未満であるように保持した状態でロール製品20を輸送すれば、光学フィルム21の傷つきを抑制することができる。すなわち、本発明によれば、略円筒形をなす棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を輸送するための輸送方法であって、前記ロール製品を、前記棒状円筒部材にかかる加速度を3G未満であるように保持した状態で輸送する、輸送方法も提供される。
[変形例]
上述した実施形態では、ラック100は、支持枠体12がパレット4に対して着脱自在な組み立て式で構成したが、組み立て式でなくてもよい。また、ラック100を棒状円筒部材22の軸方向長さに合わせて調整可能とすべく、連結ロッド60を長さ方向に可変の連結ロッドとし、かつ、パレット4の底板8に差込孔を複数設けて支持枠体12の支柱10を任意の差込孔に差し込めるようにしてもよい。長さ方向に可変の連結ロッドは、例えば太い中空パイプに細いパイプを差し込むことで作製することができる。また、上述した実施形態では、ラック100は、2つの支持枠体12,12を備えているが、さらに別の一対の支持枠体を備えて、複数のロール製品20を積載可能に構成してもよい。また、ロール製品20が、1本の棒状円筒部材22の軸方向に並んで巻き取られた複数の光学フィルム21を備えていてもよく、この場合には、複数の光学フィルム21の間に、支持枠体12と同様に構成された支持枠体を配置してもよい。
また、上述した実施形態では、円筒部材受け部14が画成する受け溝14aの外形が略V字形であるとしたが、略U字形であってもよい。この場合には、円筒部材受け部14のフランジ部30cに設けた緩衝部材90が棒状円筒部材22の端部と接触する面積を広くすることができる。また、円筒部材受け部14が画成する空間は、溝形形状に限られることはなく、支持枠体12がロール製品20の荷重を支持可能な形状であればよく、例えば、棒状円筒部材22の端部が断面角形に加工されている場合には、略U字形であることが好ましい。さらには、支持枠体12は、パネル11を備えるとしたが、これに限られることはなく、棒状円筒部材22を支持可能なフレームを備えていればよい。
以下、本発明に係る実施例(実施例1~6並びに比較例1及び2)を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
本実施例では、図1及び図2に示したラック100に設けた第1ないし第3の具体例に係る加速度低減部材(以下、それぞれ、第1ないし第3の加速度低減部材ともいう)による加速度低減効果を検証した。概略的には、第1ないし第3の加速度低減部材のうちの少なくとも1つを実質的に備えるラック(実施例1~6)と、第1ないし第3の加速度低減部材を実質的に備えていないラック(比較例1及び2)とを用意し、各ラックにロール製品を積載し、ロール製品を積載したラックに対してランダム振動試験を行い、ラックに加わった加速度のX方向成分である最大加速度Gaと、ロール製品の棒状円筒部材に加わった加速度のX方向成分である最大加速度Gbとを測定した。ここで、第1ないし第3の加速度低減部材を実質的に備えていないラックとは、第1ないし第3の加速度低減部材を保有していたとしてもそれらを機能させず単に保有しているラックを意味し、第1ないし第3の加速度低減部材を保有している場合には、それらの重量がラックの総重量に含まれる。一方、第1ないし第3の加速度低減部材を実質的に備えているラックとは、第1ないし第3の加速度低減部材をそれらが機能するように保有しているラックを意味する。
以下、実施例1~6並びに比較例1及び2の各々について、ラックの構成及びランダム振動試験の条件等を説明する。
<実施例1>
実施例1では、まず、ラックとして、第1の加速度低減部材である付勢部70を備えるラックを用意した。この実施例1に係るラックは、上述した緩衝部材90の代わりに、防振性を実質的に有していない一般的な材料で形成されたゴム(エスケー社製、商品名「ネオプレンゴム」)を備えており、その他の構成は、図1及び図2に示したラック100と同一であり、ロール製品20を積載していないラック単体の重量は100kgであった。
続いて、実施例1に係るラックに、重量400kgのロール製品20を積載した。ロール製品20としては、SUS製の重さ10kg、半径9cmの中空の棒状円筒部材22に、長さ5200m、幅1500mmの光学フィルム21を巻いたものを用意した。光学フィルム21としては、シクロオレフィン樹脂で形成されたフィルムの一方の表面にウレタン樹脂からなる易接着層が設けられた厚み50μmの光学フィルムであってその両端部に厚み10μmのナール構造が付与されている光学フィルムを用いた。ここで、ナール構造の厚みとは、ナール構造が有する凸部の頂部の高さから凹部の底部の高さを差し引いた値である。
次に、ロール製品20を積載した実施例1に係るラックに対して、市販のランダム試験機(IMV社製、商品名「EMK1252/H15」)を用いて、ランダム振動試験を行った。ランダム振動試験を行うに際し、当て板81がロール製品20の側面に当接しない位置でベースプレート82を固定した。ランダム振動試験の条件としては、ロール製品20を積載した実施例1に係るラックに加わる最大加速度Gaが3.0Gとなる条件を採用した。具体的には、ランダム振動試験では、X軸方向に1時間、Y軸方向に1時間、及びZ軸方向に1時間の合計3時間にわたって、パワースペクトル密度0.4G2/Hzで、加振した。ランダム振動試験の間に、ロール製品20の棒状円筒部材22に加わった最大加速度Gbを測定したところ、1.0Gであった。最大加速度Gbは、ラックに積載したロール製品20の棒状円筒部材22に装着した加速度センサ(スリック社製のグラビティ ショック レコーダ「G-MEN DR 20」を用いて測定した。
<実施例2>
実施例2では、実施例1に係るラックと同じラックを用い、ランダム振動試験に際し、ロール製品20の側面を一対の当て板81,81で挟持し、かつ、付勢部70による固定を行わなかった(すなわち、実施例2に係るラックは、第2の加速度低減部材を実質的に備えており、かつ、第1の加速度低減部材を実質的には備えていない)。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。
<実施例3>
実施例3では、実施例1に係るラックと同じラックを用い、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度0.8G2/Hzで、ロール製品20を積載した実施例3に係るラックに加わる最大加速度Gaが6.0Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。
<実施例4>
実施例4では、実施例1に係るラックと同じラックを用い、ランダム振動試験に際し、ロール製品20の側面を一対の当て板81,81で挟持し、かつ、付勢部70による固定を行わず(すなわち、実施例4に係るラックは、第2の加速度低減部材を実質的に備えており、かつ、第1の加速度低減部材を実質的には備えていない)さらに、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度0.2G2/Hzで、ロール製品20を積載した実施例4に係るラックに加わる最大加速度Gaが1.5Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、1.0Gであった。
<実施例5>
実施例5では、実施例1に係るラックに代えて、緩衝部材90として防振性を有する防振ゴム(倉敷化工社製の商品名「はねんで」)を備えるラックを用意した(すなわち、実施例5に係るラックは、第3の加速度低減部材を実質的に備えている)。実施例5に係るラックのその他の構成は、図1及び図2に示したラック100と同一であり、ロール製品20を積載していないラック単体の重量は100kgであった。ランダム振動試験に際し、当て板81がロール製品20の側面に当接しない位置でベースプレート82を固定し、かつ、付勢部70による固定を行わず(すなわち、実施例5に係るラックは、第1及び第2の加速度低減部材を実質的には備えていない)、さらに、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度1.2G2/Hzで、ロール製品20を積載した実施例5に係るラックに加わる最大加速度Gaが10.0Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。
<実施例6>
実施例6では、実施例1に係るラックに代えて、緩衝部材90として防振性を有する防振ゴム(NOK社製の防振パッド)を備えるラックを用意した(すなわち、実施例6に係るラックは、第3の加速度低減部材を実質的に備えている)。実施例6に係るラックのその他の構成は、図1及び図2に示したラック100と同一であり、ロール製品20を積載していないラック単体の重量は100kgであった。ランダム振動試験に際し、当て板81がロール製品20の側面に当接しない位置でベースプレート82を固定し、かつ、付勢部70による固定を行わず(すなわち、実施例6に係るラックは、第1及び第2の加速度低減部材を実質的には備えていない)、さらに、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度0.7G2/Hzで、ロール製品20を積載した実施例6に係るラックに加わる最大加速度Gaが5.0Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、1.0Gであった。
<比較例1>
比較例1では、実施例1に係るラックを用いた。ランダム振動試験に際し、当て板81がロール製品20の側面に当接しない位置でベースプレート82を固定し、かつ、付勢部70による固定を行わず(すなわち、比較例1に係るラックは、第1ないし第3の加速度低減部材のいずれも実質的に備えていない)、さらに、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度0.5G2/Hzで、ロール製品20を積載した比較例1に係るラックに加わる最大加速度Gaが4.0Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、3.0Gであった。
<比較例2>
比較例2では、実施例1に係るラックを用いた。ランダム振動試験に際し、当て板81がロール製品20の側面に当接しない位置でベースプレート82を固定し、かつ、付勢部70による固定を行わず(すなわち、比較例2に係るラックは、第1ないし第3の加速度低減部材のいずれも実質的に備えていない)、さらに、ランダム振動試験の条件を変更した。ランダム振動試験の条件としては、パワースペクトル密度1.0G2/Hzで、ロール製品20を積載した比較例2に係るラックに加わる最大加速度Gaが8.0Gとなる条件を採用した。上記の事項以外は、実施例1と同じ条件で、最大加速度Gbを測定したところ、4.0Gであった。
実施例1~6並びに比較例1及び2の結果を表1に示す。
Figure 0007092242000001
表1から、ラックに第1ないし第3の加速度低減部のうちの少なくとも1つを設けることにより、ロール製品20を積載したラックに加わった振動の最大加速度Gaがロール製品20の棒状円筒部材22に最大加速度Gbとして伝播しにくくなることが分かった。特に、実施例1~6の結果に示されるように、第1ないし第3の加速度低減部は、ロール製品20を積載したラックに加わる最大加速度Gaが3G以上である場合に、ロール製品20の棒状円筒部材22に加わる最大加速度Gbを3G未満にまで低減させる効果があることが分かった。
また、第1ないし第3の加速度低減部を設けたラック(図1及び図2に示すラック100)にロール製品20を積載し、上述した実施例1と同じ条件でランダム振動試験を行った。その後、ロール製品20をラック100から取り外し、光学フィルム21を10mごとにサンプリングを行い、目視検査にて、擦り傷の有無を確認した。目視検査の結果、光学フィルム21には、擦り傷の発生が認められなかった。この結果は、ランダム振動試験を行っていない同じロットのロール製品の光学フィルムの目視検査の結果と遜色がないものであった。一方、第1ないし第3の加速度低減部を実質的に備えていないラックに同じロットのロール製品20を積載し、上述した比較例1と同じ条件でランダム振動試験を行い、上記と同じようにして目視検査を行ったところ、光学フィルム21には、多数の擦り傷が認められた。さらに、それら多数の擦り傷の多くは、ロール製品20の軸方向中央部において重力方向上部の位置にあるサンプリング箇所に認められることが分かった。以上のことから、ラックに第1ないし第3の加速度低減部を設けることで、振動に起因して発生する擦り傷を減らすか又はなくすことができることが分かった。
100 ラック
4 パレット
8 底板
10 支柱
11 パネル
12 支持枠体
14 円筒部材受け部
14a 受け溝
20 ロール製品
21 光学フィルム
22 棒状円筒部材
30a,30b,30c フランジ部
34 開閉部材
60 連結ロッド
70 付勢部
80 当て板部
81 当て板
82 ベースプレート
90,92 緩衝部材

Claims (3)

  1. 棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を積載するためのラックであって、
    前記ロール製品の軸方向両端側において立設する少なくとも一対の支持枠体であって、前記棒状円筒部材を受けるための円筒部材受け部を有する少なくとも一対の支持枠体と、
    前記棒状円筒部材にかかる加速度を低減する加速度低減部と
    を備え、
    前記加速度低減部は、
    前記一対の支持枠体に架け渡されて当該一対の支持枠体間の距離を狭める方向に付勢する付勢部
    を含み、
    前記付勢部は、前記ラックの側面上部において前記一対の支持枠体を連結する連結ロッドであり、前記連結ロッドは、軸方向に収縮性を有する材料で形成されている、
    ラック。
  2. 前記加速度低減部は、
    前記棒状円筒部材と前記受け部との当接位置において前記円筒部材受け部の表面上に設けられた防振性を有する緩衝部材
    を含む、
    請求項1に記載のラック。
  3. 棒状円筒部材と当該棒状円筒部材に巻かれた光学フィルムとを含むロール製品を輸送するための輸送方法であって、
    前記ロール製品を、前記棒状円筒部材にかかる3G以上の加速度を3G未満にまで低減可能なラックであって、請求項1又は2に記載のラックを用いて輸送する、
    輸送方法。
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