JP7091823B2 - タイヤのトレッド部の摩耗予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの摩耗性能を、簡易に予測することができるタイヤのトレッド部の摩耗予測方法に関する。
従来、タイヤのトレッド部の摩耗性能を予測するための方法が、種々提案されている。例えば、下記特許文献1では、模擬路面上でタイヤを転動させて、タイヤ摩耗を試験するタイヤ摩耗試験方法が提案されている。
この特許文献1のタイヤ摩耗試験方法では、実車走行により計測された加速度から、前後方向加速度及び横方向加速度の頻度分布を算出するとともに、前後方向加速度又は横方向加速度が単独で作用しているときのタイヤの外的条件を取得し、この頻度分布と外的条件とに基づいて、タイヤの摩耗性能を予測している。
特開2007-139708号公報
近年、タイヤのトレッド部の摩耗性能について、より簡易に予測することができる摩耗予測方法が求められている。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤのトレッド部の摩耗性能を、簡易に予測することができる摩耗予測方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ある条件で走行したタイヤのトレッド部の摩耗性能を予測するための方法であって、前記タイヤの走行履歴に基づいて、タイヤに作用した加速度を含む走行データを取得する工程と、前記加速度に基づいて前記トレッド部の摩耗に関する物理量を計算する工程とを含み、前記走行データを取得する工程は、走行中の単位時間ごとに、前記加速度として、前後加速度成分及び横加速度成分を測定する工程と、予め定めた関数に従って、前記前後加速度成分又は前記横加速度成分を修正する加速度を修正する工程と、を含む。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記修正する工程では、前記加速度が前記前後加速度成分又は前記横加速度成分の双方の成分を含む場合に修正されるのが望ましい。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記関数が、前記加速度を、前記前後加速度成分又は前記横加速度成分のいずれか一つの成分のみに修正するものであるのが望ましい。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記関数が、絶対値で比較したときに、前記前後加速度成分又は前記横加速度成分の大きい方の成分のみに修正するものであるのが望ましい。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記関数が、前記前後加速度成分及び/又は前記横加速度成分に係数を乗じた後の比較において、大きい方の成分のみに修正するものであるのが望ましい。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記関数が、前記タイヤに予め作用するタイヤ軸方向の力に基づいて修正するものであるのが望ましい。
本発明に係るタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、前記関数が、前記タイヤに予め作用するタイヤ軸方向の力に基づいて前記横加速度成分を修正するのが望ましい。
本発明のタイヤのトレッド部の摩耗予測方法は、タイヤに作用した加速度を含む走行データを取得する工程において、予め定めた関数に従って、前後加速度成分又は横加速度成分を修正する。本発明では、例えば、前記加速度を、前後加速度成分又は横加速度成分のいずれか一つの成分のみに修正することができる。このような方法によれば、加速度を横加速度成分又は前後加速度成分のいずれかで代表させるので、さほど精度を落とさずに、簡易にタイヤのトレッド部の摩耗予測が可能となる。
本発明の摩耗予測方法を示すフローチャートである。 本実施形態の測定工程で測定された加速度の頻度分布の一例を示すグラフである。 本実施形態の修正工程で修正された加速度の頻度分布の一例を示すグラフである。 他の実施形態の修正工程で修正される加速度の一例を示すグラフである。 さらに他の実施形態の修正工程で修正された加速度の頻度分布の一例を示すグラフである。 さらに他の実施形態の修正工程で修正された加速度の頻度分布の一例を示すグラフである。 実施例及び比較例による摩耗エネルギーの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本発明のタイヤのトレッド部の摩耗予測方法(以下、単に「予測方法」ということがある。)は、ある条件で走行したタイヤのトレッド部(図示省略)の摩耗性能を予測するための方法である。本発明の予測方法では、例えば、タイヤは、ある加速度Aで走行される。
本実施形態の予測方法は、タイヤの走行データを取得する工程と、前記走行データに基づいてトレッド部の摩耗に関する物理量を計算する計算工程S5とを含んでいる。前記取得する工程は、本実施形態では、測定工程S1、算出工程S2、判定工程S3、及び、修正工程S4を含んでいる。図1は、本実施形態の予測方法を示すフローチャートである。図1に示されるように、本実施形態の予測方法は、測定工程S1、算出工程S2、判定工程S3、修正工程S4、計算工程S5、及び、前記物理量に基づいて摩耗性能を予測する予測工程S6を含んでいる。
このような予測方法は、例えば、周知のドラム試験機(図示省略)によって実験的に予測されても良いし、また、例えば、コンピュータによる有限要素法等を用いたコンピュータシミュレーションによって予測されても良い。さらに、予測方法は、例えば、ドラム試験機とコンピュータシミュレーションとをそれぞれ用いて予測しても良い。本実施形態では、工程S1乃至S6において、数値解析法等を用いたコンピュータシミュレーションが用いられる。
コンピュータシミュレーションの場合、例えば、周知な入力工程と周知な設定工程とが行われる。入力工程では、本実施形態では、コンピュータに、トレッド部を含むタイヤモデルが入力される。入力工程では、例えば、タイヤに関する情報に基づいて、タイヤが数値解析法により有限個の小さな要素F(i)に離散化される。これにより、タイヤを有限個の要素F(i)で3次元的にモデル化したタイヤモデルが設定される。数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用される。
要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は6面体ソリッド要素等が用いられる。要素F(i)には、要素番号、節点P(j)の番号等の数値データが定義される。各要素F(i)には、要素番号、節点P(j)の番号、節点P(j)の座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)等の数値データが定義される。
設定工程は、本実施形態では、路面モデルの設定、境界条件の設定、タイヤモデルの内圧付加及びタイヤモデルと路面モデルとの接地等を行う。
路面モデルの設定は、例えば、タイヤモデルと同様に、評価対象となる路面に関する情報に基づいて、路面を数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能な有限個の要素に離散化している。路面モデルとしては、特に限定されるものではなく、平滑な表面を有するものや、アスファルト路面のような微小凹凸、不規則な段差、窪み、うねり又は轍等の実走行路面に近似した凹凸などを有するものが設定される。
境界条件の設定は、例えば、タイヤモデルの内圧条件、負荷荷重条件、キャンバー角及びタイヤモデルと路面モデルとの摩擦係数等が設定される。さらに、境界条件としては、走行速度に対応する角速度、並進速度、及び、横力等が設定される。なお、並進速度は、タイヤモデルの接地面での速度である。また、横力は、路面と平行かつタイヤモデルの進行方向と直交する向きの力であり、負荷荷重条件に横加速度を乗じた力として決定される。
次に、本実施形態の測定工程S1では、走行中の単位時間ごとに、タイヤに作用する加速度Aが測定される。加速度Aは、横加速度成分Ax及び前後加速度成分Ayを含んでいる。本明細書では、横加速度成分Axは、タイヤ軸方向に作用する加速度成分を意味し、前後加速度成分Ayは、タイヤ周方向に作用する加速度成分を意味する。本実施形態では、タイヤモデルを走行させて、例えば、各節点P(j)において加速度Aが測定される。
測定工程S1では、例えば、タイヤを実際の車両に装着して、高速道路、山岳路、及び、一般道を含む経路を走行させ、これら全経路において、走行中の単位時間ごとに加速度Aが測定されてもよい。このような加速度Aの発生度数は、車両に取り付けられた加速度センサー(図示省略)によって測定されうる。なお、測定工程S1では、タイヤを周知のドラム試験機(図示省略)に装着して、加速度Aを測定しても良い。
また、本実施形態の測定工程S1では、せん断力H、及び、すべり量Lが測定される。せん断力H及びすべり量Lは、各加速度Aに対応し、かつ、各節点P(j)が路面モデルに接地している間の各節点P(j)において測定される。せん断力Hは、例えば、タイヤ軸方向のせん断力Hx及びタイヤ周方向のせん断力Hyが含まれる。すべり量Lは、せん断力Hx、Hyに対応する、タイヤ軸方向のすべり量Lx及びタイヤ周方向のすべり量Lyが含まれる。
せん断力H及びすべり量Lは、例えば、転動開始から、予め定められた転動終了まで、単位時間ごとに測定される。せん断力H及びすべり量Lは、例えば、全要素F(i)の各節点P(j)において、それぞれ1回以上求められるのが望ましい。本実施形態では、例えば、加速度Aの横加速度成分Ax、前後加速度成分Ay、せん断力H、すべり量L、加速度Aの発生頻度数等が、コンピュータに記憶される。
測定工程S1の後、本実施形態では、加速度Aの頻度分布が算出される算出工程S2が行われる。図2は、測定工程S1で取得された加速度Aの頻度分布の一例を表すグラフである。図2の横軸は、横加速度成分Axである。Y軸(X=0)よりも右側の領域は、右旋回時の加速度成分、Y軸よりも左側の領域は、左旋回時の加速度成分を表している。図2の縦軸は、前後加速度成分Ayである。X軸(Y=0)よりも上側は、駆動時の加速度成分であり、X軸よりも下側は、制動時の加速度成分を表している。図2では、便宜上、加速度Aの発生頻度が濃淡によって示され、発生頻度のより多い加速度Aがより濃い色で示されている。図2の例のタイヤでは、前後加速度成分Ayが零(ゼロ)より大(即ち、駆動時走行)、かつ、横加速度成分Axがゼロに近い(即ち、直進に近い走行)加速度の頻度が多いことが理解できる。
次に、判定工程S3が行われる。本実施形態の判定工程S3は、測定工程S1で測定された加速度Aの前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axに基づいて判定される。判定工程S3は、例えば、前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axの双方を含むか否かで判定される。
例えば、判定工程S3で前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axの双方を含むと判定された場合(S3でY)、即ち、前後加速度成分Ay及び横加速度成分Axの少なくともいずれか一方がゼロでないと判定された場合、修正工程S4が行われる。修正工程S4は、本実施形態では、予め定められた関数fに従って、加速度Aが修正される。
関数fは、種々の態様を採用しうる。関数fは、例えば、加速度Aを前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axのいずれか一つの成分のみに修正する関数f1でも良い。即ち、関数f1は、下記式(1)で示されるとおり、加速度Aに含まれる横加速度成分Ax又は前後加速度成分Ayのいずれか一方を零(ゼロ)として、他方のみの加速度成分を採用するものである。
f1(Ax,Ay)=(Ax,0)又は(0,Ay)…(1)
これによると、後の計算工程S5において、タイヤ軸方向のせん断力Hx又はタイヤ周方向のせん断力Hyの一方が零となり、及び、タイヤ軸方向のすべり量Lx又はタイヤ周方向のすべり量Lyの一方が零とできるので、摩耗に関する物理量の計算を簡易にできる。
前記関数fは、例えば、絶対値で比較したときに、前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axのいずれか大きい方の成分のみに加速度Aを修正する関数f2であっても良い。即ち、下記条件式(2)を満足する場合は、下記式(3)が採用され、下記条件式(4)を満足する場合は、下記式(5)が採用される。
|Ax|>|Ay|…(2)、f2(Ax,Ay)=(Ax,0)…(3)
|Ax|<|Ay|…(4)、f2(Ax,Ay)=(0,Ay)…(5)
なお、関数fとしては、例えば、前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axに係数αを乗じた後の比較において、大きい方の成分のみに修正する関数f3であっても良い。下記条件式(6)を満足する場合は、下記式(7)が採用され、下記条件式(8)を満足する場合は、下記式(9)が採用される。
α×Ax>α×Ay…(6)、f3(Ax,Ay)=(Ax,0)…(7)
α×Ax<α×Ay…(8)、f3(Ax,Ay)=(0,Ay)…(9)
図3は、修正工程S4で、ある加速度Aにおいて、前後加速度成分Ayの絶対値及び横加速度成分Axの絶対値のいずれか大きい方の成分のみに修正された加速度Aの頻度分布の一例を示すグラフである。図3では、発生頻度のより多い加速度成分Ay、Axがより濃い色で示されている。また、発生頻度の大小を理解しやすくするために、X軸(Y=0)及びY軸(X=0)が一定の幅を持たせて示されている。図3に示されるように、本実施形態では、Y=0又はX=0の2軸に加速度成分Ay又はAxが集約される。
本実施形態では、判定工程S3で加速度Aが前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axの双方を含むと判定されなかった場合(S3でN)は、修正工程S4を経ることなく、そのままの各加速度成分に基づいて、計算工程S5で計算される。即ち、判定工程S3で、前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axのいずれか一方、又は、双方が零であると判定された場合、そのままの各加速度成分に基づいて、計算工程S5で計算される。
計算工程S5は、本実施形態では、物理量として、例えば、摩耗エネルギーEが計算される。本実施形態の摩耗エネルギーEは、せん断力Hとすべり量Lとから計算される。
摩耗エネルギーEは、例えば、各節点P(j)の各せん断力Hx(i)、Hy(i)と、該せん断力Hx(i)、Hy(i)に対応する各すべり量Lx(i)、Ly(i)とから、各節点P(j)の単位面積当たりの摩耗エネルギーが計算される。なお、摩耗エネルギーは、このような態様に限定されるものではなく、全節点での合計の摩耗エネルギーや、各節点の摩耗エネルギーを平均した平均の摩耗エネルギーが計算されても良い。
摩耗エネルギーEは、全要素F(i)の各節点P(j)で計算されたせん断力H(i)、及び、すべり量L(i)に基づいて求められるため、タイヤ周方向に連続して摩耗する実際のタイヤの摩耗エネルギーに近似させることができる。このため、後述する予測工程S6において、タイヤ周方向に連続して摩耗する実際のタイヤの摩耗性能を、正確に予測するのに役立つ。さらに、タイヤモデルと路面モデルとの間には、実際のタイヤと路面との摩擦係数等が設定されているため、摩耗エネルギーを、精度よく計算することができる。
また、加速度Aが前後加速度成分Ay又は横加速度成分Axのいずれか一つの成分のみに修正されているので、せん断力H及びすべり量Lは、この修正された加速度成分Ay又はAxに対応した成分のみが用いられる。即ち、例えば、加速度Aが横加速度成分Axに修正された場合、タイヤ軸方向のせん断力Hxと、このせん断力Hxに対応するすべり量Lxとから各横加速度成分Axにおける摩耗エネルギーE1iが計算される。また、例えば、加速度Aが前後加速度成分Ayに修正された場合、タイヤ周方向のせん断力Hyと、このせん断力Hyに対応するすべり量Lyとから各前後加速度成分Ayにおける摩耗エネルギーE2iが計算される。そして、合計の摩耗エネルギーEは、例えば、Σ(摩耗エネルギーE1i×頻度分布)+Σ(摩耗エネルギーE2×頻度分布)で求められる。
また、本実施形態では、加速度Aが、絶対値で比較したときの大きい方の成分のみに修正されている。このため、タイヤ軸方向のせん断力Hx又はタイヤ周方向のせん断力Hyの大きい方、及び、これらせん断力Hx又はHyに対応するタイヤ軸方向のすべり量Lx又はタイヤ周方向のすべり量Lyのいずれか一方のみが選択されるので、摩耗に関する物理量の精度が高められる。
本実施形態の予測工程S6は、合計の摩耗エネルギーEに基づいて、走行時のタイヤ摩耗性能を予測される。なお、予測工程S6は、本実施形態では、タイヤの摩耗として、合計の摩耗エネルギーEからタイヤ摩耗量Dが計算され、その計算結果からタイヤの摩耗が予測される。タイヤ摩耗量Dは、本実施形態では、合計の摩耗エネルギーEとトレッド部の材料の摩耗係数Kとの積として、下記式(6)に基づいて計算される。
D=K×E … (6)
なお、予測工程S6は、摩耗エネルギーEから直接、タイヤの摩耗性能を予測してもよい。
図4には、本発明の他の実施形態の修正工程S4で修正された各加速度成分Ay、Axの頻度分布が示されている。タイヤは、各タイヤ固有の加速度の頻度分布を有しているので、加速度分布からタイヤごとに適切な直交する2軸を選択して、加速度を修正するのが望ましい。このため、この実施形態の修正工程S4では、原点(X、Y=0)を通り直交する2軸に各加速度成分が修正される。例えば、Y=aX、及び、Y=-(1/a)Xの2軸(図4ではI)や、Y=-bX、及び、Y=(1/b)Xの2軸(図4ではII)に加速度成分が修正(集約)されても良い。これにより、タイヤ固有の加速度分布に対応して加速度成分を修正することができるので、より精度良くかつ簡易に摩耗を予測することができる。上記a、bは、例えば、各タイヤ固有の加速度の頻度分布に基づいて算出される係数である。
図5には、本発明のさらに他の実施形態の修正工程S4で修正された各加速度成分Ay、Axの頻度分布が示されている。この実施形態の修正工程S4では、原点(X=0、Y=0)を通ることなく直交する2軸に各加速度成分が修正される。例えば、Y=cX+d、及び、Y=-(1/c)X+eの2軸(図5ではIII)や、Y=-fX-g、及び、Y=(1/f)-hの2軸(図5ではIV)に加速度成分が修正(集約)されても良い。さらに、修正工程S4では、直交しない2軸に各加速度成分が修正されても良い。例えば、Y=jX+k、及び、Y=mX+nの2軸に各加速度成分が修正されても良い(図示省略)。上記c~h、j、k、m、nは、各タイヤ固有の加速度の頻度分布に基づいて算出される係数である。
図6は、本発明のさらに他の実施形態の修正工程S4で修正された各加速度成分Ay、Axの頻度分布が示されている。この実施形態の修正工程S4は、例えば、タイヤに予めタイヤ軸方向の力が作用している場合に適用される。タイヤに予めタイヤ軸方向の力が作用している場合とは、例えば、車両のアライメント調整のために、予め所謂トー角等が設けられている場合が該当する。
この実施形態でも、予め定めた関数fに従って、測定工程S1で求められた加速度Aが修正される。関数fは、例えば、タイヤに予め作用するタイヤ軸方向の力基づいて定められる。関数fは、例えば、車両装着時に設定されるトー角によってタイヤに予め作用するタイヤ軸方向の力に基づいて定められる。関数fは、例えば、測定工程S1で求められた加速度Aから、前記トー角によって作用するタイヤ軸方向の力に基づく変数である加速度成分Bを考慮して定められる。関数fは、本実施形態では、測定工程S1で求められた横加速度成分Axから前記トー角によって作用する前記力に基づくタイヤ軸方向の加速度成分Bを考慮する。図6に示されるように、この実施形態では、X=B又はY=0の2軸に加速度成分Ay又はAxが集約される。なお、加速度成分Bは、例えば、周知構造のドラム式走行試験機によって求められる。
関数fとしては、例えば、前後加速度成分Ayの絶対値|Ay|又は横加速度成分Axに加速度成分Bを考慮した加速度成分の絶対値|Ax+B|のいずれか大きい方の成分のみに加速度Aを修正する関数f4であっても良い。即ち、下記条件式(10)を満足する場合は、下記式(11)が採用され、下記条件式(12)を満足する場合は、下記式(13)が採用される。
|Ax+B|>|Ay|…(10)、f4(Ax,Ay)=(Ax+B,0)…(11)
|Ax+B|<|Ay|…(12)、f4(Ax,Ay)=(0,Ay)…(13)
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
図1に示される予測方法に従って、複数のタイヤのトレッド部に関する摩耗エネルギーが計算された(実施例)。比較例として、実施例と同一のタイヤモデル及び同一の路面モデルを用いて、修正工程を除いた図1の予測方法に基づいた摩耗エネルギーが計算された。具体的には、実施例は、絶対値の比較において、前後加速度成分又は横加速度成分の大きい方の成分のみに修正されて摩耗エネルギーが計算され、比較例は、前後加速度成分及び横加速度成分の両方に基づく周知の方法によって摩耗エネルギーが計算された。
摩耗エネルギーの計算結果が、図7に示される。図7の横軸は、比較例によるタイヤの摩耗エネルギーであり、縦軸は、実施例によるタイヤの摩耗エネルギーである。実施例による摩耗エネルギーと、実施例と同一のタイヤモデル及び同一の路面モデルを用いた比較例による摩耗エネルギーとの計算結果が、◆印として示されている。
図7から明らかなように、実施例の摩耗エネルギーは、比較例の摩耗エネルギーに近似していることが理解される。また、実施例は、加速度を前後加速度成分又は横加速度成分のいずれか一つの成分のみとしているので、比較例に比して、簡易に計算できることが、容易に理解される。従って、実施例は、比較例に対し、タイヤ摩耗性能をより簡易、かつ、精度を維持しつつ予測できることが確認できた。
S1 測定工程
S4 修正工程
S5 計算工程

Claims (5)

  1. ある条件で走行したタイヤのトレッド部の摩耗性能を予測するための方法であって、
    前記タイヤの走行履歴に基づいて、タイヤに作用した加速度を含む走行データを取得する工程と、前記加速度に基づいて前記トレッド部の摩耗に関する物理量を計算する工程とを含み、
    前記走行データを取得する工程は、
    走行中の単位時間ごとに、前記加速度として、前後加速度成分及び横加速度成分を測定する工程と、
    予め定めた関数に従って、前記前後加速度成分又は前記横加速度成分を修正する工程とを含み、
    前記修正する工程では、前記前後加速度成分及び前記横加速度成分が、直交する2軸に集約され、
    前記直交する2軸は、X=B(Bは、タイヤに予め作用するタイヤ軸方向の力に基づいて定められる加速度成分)、及び、Y=0であり、
    前記関数は、前記前後加速度成分の絶対値、又は、前記横加速度成分と前記Bとの和の絶対値のいずれか小さい方をゼロとし、前記前後加速度成分の絶対値、又は、前記横加速度成分と前記Bとの和の絶対値のいずれか大きい方の値から前記絶対値を取り除いた値とする、タイヤのトレッド部の摩耗予測方法。
  2. 前記Bは、ゼロである、請求項1に記載のタイヤのトレッド部の摩耗予測方法。
  3. 前記関数は、前記前後加速度成分及び/又は前記横加速度成分に係数を乗じた後の比較において、大きい方の成分のみに修正するものである、請求項2に記載のタイヤのトレッド部の摩耗予測方法。
  4. ある条件で走行したタイヤのトレッド部の摩耗性能を予測するための方法であって、
    前記タイヤの走行履歴に基づいて、タイヤに作用した加速度を含む走行データを取得する工程と、前記加速度に基づいて前記トレッド部の摩耗に関する物理量を計算する工程とを含み、
    前記走行データを取得する工程は、
    走行中の単位時間ごとに、前記加速度として、前後加速度成分及び横加速度成分を測定する工程と、
    予め定めた関数に従って、前記前後加速度成分又は前記横加速度成分を修正する工程とを含み、
    前記修正する工程では、前記前後加速度成分及び前記横加速度成分が、直交する2軸に集約され、
    前記直交する2軸は、X=0及びY=0を除く、タイヤのトレッド部の摩耗予測方法。
  5. 前記直交する2軸は、原点(X、Y=0)を通る、請求項4に記載のタイヤのトレッド部の摩耗予測方法。
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